JPH0446548B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はクロレラ等の微細藻類を蛋白分解酵素
で消化させたのち、酵母により発酵させた液を主
体とする発酵飲料に関する。

（従来の技術） クロレラ、クラミドモナス、セネデスムス等の
微細藻類はたん白質、ビタミン類、ミネラルなど
に富み、乾燥物は健康食品として用いられてい
る。

（発明が解決しようとする問題点） これらの乾燥物には栄養上の価値は充分認めら
れるが、独特の臭味を有するので、嗜好的に攝取
されるものではない。

（問題点を解決するための手段） 本発明者らは微細藻類を原料として風味佳良な
飲料を製造すべく研究を重ねた結果、多くの試行
錯誤を経て、遂に本発明を確立するに至つた。

本発明は、細胞壁を破壊したクロレラ、クラミ
ドモナス、セネデスムス等の微細藻類にたん白分
解酵素を作用させ、得られる消化物に酵母を加え
て発酵させ、発酵物からアルコールを留去に残留
液を採り、所望によりきよう味料、強化剤、香料
等を添加してなる発酵飲料である。

本発明の発酵飲料の原料としては、クロレラ、
クラミドモナス、セネデスムス等の微細藻類が用
いられるが、これらの藻類の細胞壁は本発明の飲
料の製造に用いるたん白分解酵素の作用を困難に
するので、予め細胞壁をたん白分解酵素の作用を
妨げない程度に破壊して用いる。

細胞壁の破壊は、たとえば、藻体を加圧後急激
圧力を去つて藻体を破壊させたり、機械的に磨砕
したりして行いうる。細胞壁はセルロース分を含
むのでセルラーゼを用作させて酵素的に破壊して
もよい。また、細胞壁の薄い藻類、たとえばクロ
レラ・ブルガリスE25株（特許第1198185号明細
書参照）の場合はスプレー・ドライ等による乾燥
後、ブレンダーやアトマイザーにより細胞壁を破
壊することもできる。

上記の藻類を、望ましくは先ず加熱してたん白
を変性させる。加熱はたん白の変性温度以上、た
とえば、約70〜90℃でよく、一般に短時間で充分
である。この予備加熱によりたん白分解酵素が作
用し易くなり、藻体の臭気が除去され、製品の風
味が良くなることが判つた。

たん白分解酵素としては、たとえば、枯草菌プ
ロテアーゼ、パパイン、トリプシンのような微生
物、植物、動物起源のものを広く用いうる。これ
らは本発明の目的を達しうる限りいずれでもよ
い。

酵素の作用により藻体は消化され、次いで消化
物を次段の発酵工程に移すが、その前に加熱して
酵素を失活させた方が発酵を円滑にするので好ま
しい。この場合の加熱は約90℃前後で一般に充分
である。

消化物は、望ましくは上澄液を採取し、これに
好ましくは炭素源、たとえば蔗糖を加え酵母を接
種して発酵させる。酵母としては、たとえば、パ
ン酵母、ワイン酵母、ビール酵母、日本酒酵母な
どを用いうる。

発酵が終了したならば、蒸留してアルコールを
留去する。蒸留は減圧下に行つてもよい。アルコ
ールの留去と共に臭気が除去されるので、発酵物
中のアルコール含量は余り低くない方がよく、そ
のためには発酵工程において上記のように炭素源
を加えるのがよい。

アルコールは完全に除去せずに蒸留残液中に多
少残留させてもよい。

蒸留残液を適宜濃度に調節し、所望により嗜好
に適するように酸味料、甘味料などのきよう味
料、香料やビタミンなどの強化剤を加えて製品と
する。

（作用） 本発明においては、微細藻類をたん白分解酵素
で消化したのち発酵させるので藻体中の栄養物は
吸収されやすい形で製品中に含まれ、また、消
化、発酵、アルコール留去の工程を経ているので
微細藻類特有の不快な臭味が除去されると共に好
ましい風味を付与する。

（発明の効果） 本発明により、栄養豊富な微細藻類の栄養分を
充分活用しながらその不快臭味を除いた風味佳良
の飲料が提供される。

次に実施例を示すが、本発明はこれに限定され
るものではない。

実施例 クロレラ・ブルガリスE25の乾燥粉末20ｇに水
500mlを加え、混合液を液温90〜92℃に至るまで
加熱した。次いで加熱を中止し、冷却して液温が
50〜60℃になつたときビオプラーゼ・コンク〔枯
草菌の蛋白分解酵素、長瀬産業(株)製〕100mgを加
え、時々撹拌しながら４〜５時間、同温度に保つ
て消化させる。続いて、再び90〜92℃まで加熱し
たのち、室温にて一夜放置し、上層液約300mlを
得る。これに水を加えて全量を450mlとし、蔗糖
40ｇを加え（糖度約８％）、常法により加熱滅菌
し、冷却した。冷後、ビール酵母を接種し、25〜
30℃で静置培養する２〜３日後、発酵が終了した
ら培養を止め、減圧でアルコールを留去し、残液
に水を、残液50ml：水35mlの割合で、加え、これ
にクエン酸4.8ｇ、リンゴ酸1.4ｇ、ブドウ糖と果
糖よりなる液糖（市販品）65ml、ステビア−50
（市販品、ステビアの抽出物）0.3ｇ、安定剤とし
てβ−サイクロデキストリン0.5ｇ、さらに適量
の薬用人参エキス、はちみつビタミンB₁、B₂、
Ｃ、乳酸カルシウム、香料等を添加して製品とし
た。本品は飲用に際し水で５〜６倍に希釈して用
いる。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 細胞壁を破壊したクロレラ、クラミドモナ
   ス、セネデスムス等の微細藻類にたん白分解酵素
   を作用させ、得られる消化物に酵母を加えて発酵
   させ、発酵物からアルコールを留去して残留液を
   採り、所望によりきよう味料、強化剤、香料等を
   添加してなる発酵飲料。 ２ 微細藻類を加熱してたん白を変性させたのち
   たん白分解酵素を作用させる特許請求の範囲第１
   項記載の発酵飲料。