JPH0445767Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、穿孔作業用として使用される超硬合
金等から成るドリル、特に面取り用バイトと組合
せて使用するのに好適な面取り兼用ドリルに関す
るものである。

（従来の技術及びその問題点） ワークに座ぐり穴を加工する場合、汎用のドリ
ルで切削加工された穴の周縁を別の面取り用バイ
トで座ぐり加工する方法か、穿孔と座ぐりを同時
に行うことの出来る専用の回転切削工具を使用す
る方法が一般にとられているが、前者の方法では
作業能率が極めて悪く、後者の方法では高価な専
用工具が必要となるので種々のサイズの加工を行
わなければならない場合には活用し難い欠点があ
る。

このような問題点を解決するために、第１図に
示すように汎用のドリル１を取り付ける工具ホル
ダー２に、アタツチメント３を介して面取り用バ
イト４をセツトし、ドリル１と面取り用バイト４
とを一体に回転駆動させて穿孔作業が一定深さに
達したときに前記面取り用バイト４による面取り
作業が連続的に行われるようにすることが考えら
れたが、従来は汎用のドリル１を使用していたの
で、面取り用バイト４の先端を前記ドリル１のラ
ンド部周面５に当接させるか、又は第１図及び第
２図に示すように当該ドリル１の切削屑送り出し
用溝６の内部に前記面取り用バイト４の先端を遊
嵌させる状態で当該面取り用バイト４を工具ホル
ダー２にセツトしなければならなかつた。

図中、７はドリル固定用ボルト、８は前記アタ
ツチメント３を軸方向に固定位置を調整した状態
で工具ホルダー２に固定するボルト、９はアタツ
チメント３の先端に面取り用バイト４を所定の角
度で且つドリル１に対する遠近方向に位置調整し
た状態で固定するボルト、１０はワーク、１１は
ドリル１で加工された穴、そして１２は面取り用
バイト４で加工された面取り部である。

前者のように面取り用バイト４の先端を前記ド
リル１のランド部周面５に当接させた場合は、面
取り用バイト４の先端とドリル１のランド部周面
５との間に隙間が生じ易いので、穴１１と面取り
部１２との境界部にバリが残る可能性が大きくな
り、高品質の座ぐり穴を得ることが困難である。
又、後者のようにドリル１の切削屑送り出し用溝
６の内部に前記面取り用バイト４の先端を遊嵌さ
せた場合は、溝６の内部でコイル状になつて送り
出されてくる切削屑が前記面取り用バイト４に絡
まつて当該溝６内で詰まつてしまい、切削作業そ
のものを中断しなければならなくなつたり、穴１
１の内面を損傷させる可能性もある。

この従来技術の難点を解消するために、実公昭
49−36548号公報に示すように、バイトの刃先を
ドリル切刃の二番角の後に形成された溝部に位置
させるようにして前述の切削屑送り出し用溝への
切削屑の目詰まりを防止するようにした技術が提
案されているが、この従来技術であつても矢張り
充分正確に面取り作業を行うことができない難点
がある。

即ち、バイトによつて面取り切削を行う場合に
は当然にバイトに切削抵抗が負荷する。このバイ
トは工具ホルダーから長く延びるアームに片持ち
状態に取り付けられて切削作業が行われるため、
バイトに負荷する前述の切削抵抗によつて、バイ
トに横揺れ現象が生起し、これが原因で面取り切
削を正確に行うことができない事態が発生すると
共に、横方向への過大な負荷によつてバイトが折
欠するという問題点があつた。この場合、バイト
を保持するアームを肉厚に形成して剛性を高めれ
ばよいが、アームは工具ホルダーに余り突出しな
いように取り付けられなければならないため、そ
の肉厚を厚くすることに限界があり、アームの剛
性を必要十分に高めることができないという問題
がある。

本考案は、これら難点を一挙に解消して、例え
バイトを保持するアームに充分な剛性を持たせる
ことができなくとも、バイトの横揺れ現象を最小
限に抑えることを解決課題とする。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、上記のように面取り用バイトとセツ
トで使用するときに生じていた従来の問題点を解
決し得る面取り兼用ドリルを提案するものであつ
て、その特徴は、工具ホルダー２にドリル１３と
これに平行にアタツチメント３とを取り付け、該
アタツチメント３の先端部にドリル１３に向けて
傾斜状に面取りバイト４を取り付け、一方ドリル
切刃１４に対して回転方向側に形成される切削屑
送り出し用溝１５に隣接するランド部の周面１７
に、断面略凹状の面取りバイト遊嵌用補助溝１６
を前記切削屑送り出し用溝１５に沿つて該送り出
し用溝１５のシヤンク側終端部に至るまで形成
し、前記面取り用バイト４の先端部を前記面取り
用バイト遊嵌用補助溝１６に遊嵌してなる点にあ
る。

（実施例） 以下に本考案の一実施例を第３図及び第４図に
基づいて説明する。

１３はドリル本体１３ａとシヤンク部１３ｂと
からなる本考案の面取り兼用ドリルであつて、先
端のドリル切刃１４に対して回転方向側に一端が
隣接するように切削屑送り出し用溝１５がドリル
本体１３ａの周面に螺旋状に形成されている。１
６は本考案による補助溝であつて、前記切削屑送
り出し用溝１５間のランド部周面１７に当該溝１
５にそつて且つ当該溝１５のシヤンク部１３ｂ側
終端部に至るまで螺旋状に形成されると共に、該
補助溝１６の断面形状は略凹状となつており、そ
の凹状補助溝１６の内周面に一対の支持面１６
ａ，１６ｂが形成される。１８は必要に応じて軸
方向に穿設される油穴である。

図示の実施例では、前記補助溝１６の先端はド
リル先端面１９に開口させているが、当該ドリル
先端面１９の手前までの長さとすることも出来る
が、補助溝１６の後端は前述のように切刃１４が
形成される切削屑送り出し用溝１５の終端部に至
るまでの長さに形成される。

上記のように構成された本考案ドリル１３は、
従来の汎用ドリルと全く同様に、第１図に示すド
リル１に代えて工具ホルダー２にセツトして穿孔
作業に使用することが出来る。そして第１図に示
すように面取り用バイト４と併用する場合には、
当該面取り用バイト４の先端が第３図仮想線で示
すように前記補助溝１６に遊嵌するように、当該
面取り用バイト４を工具ホルダー２にアタツチメ
ント３を介して取り付ければ良い。

このように面取り用バイト４を併用した状態で
穿孔作業を行つた場合には、ドリル１３による穿
孔作業が所定深さに達したときに前記面取り用バ
イト４による面取り作業が連続的に行われ、座ぐ
り穴を一挙に加工することが出来るのであるが、
前記切刃１４の切削作用によつて生じる切削屑は
主として前記切削屑送り出し用溝１６内を経由し
て加工穴外に送り出され、前記面取り用バイト４
の先端が遊嵌している補助溝１６内を通つて送り
出される可能性は皆無か又は非常に少ない。

また面取り用バイトによる面取り作業は、ドリ
ルによる穿孔作業の最終段階で行われるから、面
取り用バイトはドリル切刃のシヤンク部終端部附
近に取付けられるようにしなければならない。こ
の点本考案によれば面取りバイト遊嵌用補助溝１
６はドリル切刃１４に隣接して形成される切削屑
送り出し用溝１５のシヤンク部１３ｂ側終端部に
至るまで同長に形成されるため、ドリルによる穿
孔長の最大時においても、この穿孔作業に支障の
きたさない位置に面取り用バイト４を取り付ける
ことができる。

更に、上述のように面取り用バイト４はアタツ
チメント３の先端部に片持ち状態に保持されてい
るため、該バイト４による面取り切削作業途上で
該バイト４に大きな切削抵抗が負荷し、これが原
因でバイト４に横揺れ現象が生起しようとする
が、バイト４が位置する面取りバイト遊嵌用補助
溝１６は断面が凹状に形成されて、バイト４の先
端部両側に支持面１６ａ，１６ｂが対向するた
め、切削作業途上でバイト４が若干横方向に偏移
したときにバイト４の先端部側面が支持面１６ａ
または１６ｂに支持され、それ以上の横方向への
偏移を阻止し、これによつてバイト４はその切削
途上ではその基端部がアタツチメント３によつ
て、又その先端部が前記支持面１６ａまたは１６
ｂに支持されてその横揺れ現象の生起を最小限に
留め、面取り切削作業を正確に行うことができる
と共に、バイト４に対する過大の切削抵抗の負荷
によつてもバイト４が折欠することがない。

（考案の作用及び効果） 以上のように本考案のドリルによれば、切削作
業中に切刃の切削作用によつて生じる切削屑が通
り抜ける切削屑送り出し用溝に対し、これから外
れた位置のランド部周面に補助溝が形成されてな
るため、該補助溝を切削屑が通り抜ける可能性が
皆無か又は極めて少なく、これに面取り用バイト
の先端部を遊嵌せしめることにより、切削屑を前
記面取り用バイトの先端位置で溝内に詰まらせる
ことなく、面取り用バイトを併用していない状態
での作業時と同様に円滑に排出させ得る。

従つて、切削屑の詰まりに起因する作業の中断
や加工穴内周面の損傷等の恐れが無くなり、作業
を円滑に行えると共に高品質の加工穴を得ること
が出来る。しかも面取り用バイトの先端がドリル
の外周面より内部に入り込んだ状態で使用し得る
ので、穴と面取り部との境界部にバリを残す恐れ
もなく、高品質の座ぐり穴を得ることが出来る。

また本考案によれば、面取りバイト遊嵌用補助
溝はドリル切刃が隣接して形成される切削屑送り
出し用溝のシヤンク側終端部に至るまで形成され
るため、ドリルによる穿孔長の最大時において
も、この穿孔作業に支障のきたさない位置に面取
り用バイトを取付けることができ、面取り作業を
円滑に行うことができる。

特に本考案によれば、バイトが位置する面取り
バイト遊嵌用補助溝は断面が凹状に形成されて、
バイトの先端部両側に凹状内面が対向するため、
切削作業途上でバイトが若干横方向に偏移したと
きにバイトの先端部側面が凹状内面に支持され、
それ以上の横方向への偏移を阻止し、これによつ
てバイトはその切削途上ではその基端部がバイト
保持部材によつて、又その先端部が前記凹状内面
に支持されてその横揺れ現象の生起を最小限に留
め、面取り切削作業を正確に行うことができると
共に、バイトに対する過大の切削抵抗の負荷によ
つてもバイトが折欠することがない。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の汎用ドリルの使用状態を示す側
面図、第２図は同ドリルと面取り用バイトとの位
置関係を示すドリル正面図、第３図は本考案ドリ
ルと面取り用バイトとの位置関係を示すドリル正
面図、第４図は本考案ドリルの斜視図である。 １……従来の汎用ドリル、２……工具ホルダ
ー、３……アタツチメント、３ａ……ドリル本
体、３ｂ……シヤンク部、４……面取り用バイ
ト、５，１７……ランド部周面、６，１５……切
削屑送り出し用溝、１１……加工された穴、１２
……面取り部、１３……本考案ドリル、１４……
ドリル切刃、１６……面取りバイト遊嵌用補助
溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 工具ホルダーにドリルとこれに平行にアタツチ
   メントとを取り付け、アタツチメントの先端部に
   ドリルに向けて傾斜状に面取りバイトを取り付
   け、一方ドリル切刃に対して回転方向側に形成さ
   れる切削屑送り出し用溝に隣接するランド部の周
   面に、断面略凹状の面取りバイト遊嵌用補助溝を
   前記切削屑送り出し用溝に沿つて該送り出し用溝
   のシヤンク側終端部に至るまで形成し、前記面取
   り用バイトの先端部を前記面取りバイト遊嵌用補
   助溝に遊嵌してなる面取り兼用ドリル。