JPH0439822Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ （産業上の利用分野） この考案は車体の床板構造を改良した車体構造
に関する。

（従来の技術） 一般に、例えば自動車等の車両にはシートベル
トが装着されている。このシートベルトには大き
な衝撃荷重が作用するので、このシートベルトの
取付け部にはシートベルトに作用する大きな衝撃
荷重に耐え得る充分な強度が必要になる。そのた
め、従来からシートベルトの取付け部を第６図に
示すように車体のフレームを形成するサイドシル
ａ，a′や、車体の床板を形成するフロアパネルｂ
の車幅方向中央部位に車室内側に向けて突出さ
せ、かつ車体の前後方向に延設させたバツクボー
ンｃの縦壁面ｄ，d′等のように剛性が高い構造部
分に配設するようにしていた。この場合、例えば
車室内に２人用のシートを装着した場合には左席
側のシートベルトS₁の取付け部ｅ，e′を左側のサ
イドシルａとバツクボーンｃの左側の縦壁面ｄと
にそれぞれ配設するとともに、右席側のシートベ
ルトS₂の取付け部ｆ，f′を右側のサイドシルa′と
バツクボーンｃの右側の縦壁面d′とにそれぞれ配
設するようにしている。

ところで、例えば３人掛けのベンチシート等を
車室内に装着する場合には中央席のシートベルト
S₃の取付け部ｇ，g′をフロアパネルｂの平板部
ｈ，h′に配置しなければならない問題がある。し
かしながら、フロアパネルｂの平板部ｈ，h′は剛
性が比較的弱いので、中央席のシートベルトS₃に
大きな衝撃荷重が作用した場合にはシートベルト
S₃の取付け部ｇ，g′が変形するおそれがあつた。

（考案が解決しようとする問題点） 例えば３人掛けのベンチシート等を車室内に装
着する場合には中央席のシートベルトS₃の取付け
部ｇ，g′をフロアパネルｂの平板部ｈ，h′に配置
する必要があるが、フロアパネルｂの平板部ｈ，
h′は剛性が比較的弱いので、シートベルトS₃に大
きな衝撃荷重が作用した場合にはシートベルトS₃
の取付け部ｇ，g′が変形するおそれがあつた。

この考案は上記問題点に着目してなされたもの
で、車体の床板全体の剛性を高めることができる
とともに、例えば３人掛けのベンチシート等を車
室内に装着する場合であつてもシートベルトに大
きな衝撃荷重が作用した場合に中央部のシートベ
ルトの取付け部の変形を防止することができる車
体構造を提供することを目的とするものである。

［考案の構成］ （問題点を解決するための手段） この考案は車体の床板を形成するフロアパネル
の車幅方向中央部位に車室内側に向けて突出さ
せ、かつ車体の前後方向に延設させたバツクボー
ンの下側に補強用のバツクボーンリンホースメン
トを配設し、このバツクボーンリンホースメント
の縦壁面の下部にフロアパネルの下面に配設され
る略チヤンネル状のサイドメンバ構成部を屈曲形
成するとともに、シートベルト取付け部を備えた
シートベルトリンホースメントをサイドメンバ構
成部の内部に固定したものである。

（作用） この考案は車体の床板を形成するフロアパネル
のバツクボーンの下側に補強用のバツクボーンリ
ンホースメントを配設して車体の床板全体の剛性
を高め、さらにバツクボーンリンホースメントの
縦壁面の下部に屈曲形成された略チヤンネル状の
サイドメンバ構成部をフロアパネルの下面に配設
することにより、フロアパネルの平板部における
サイドメンバ構成部と対応する部分の強度を高め
るとともに、例えば３人掛けのベンチシート等を
車室内に装着する場合に中央席のシートベルト取
付け部を備えたシートベルトリンホースメントを
サイドメンバ構成部の内部に固定することによ
り、シートベルトに大きな衝撃荷重が作用した場
合に中央席のシートベルトの取付け部が変形する
ことを防止するようにしたものである。

（実施例） 以下、この考案の一実施例を第１図乃至第５図
を参照して説明する。第１図および第２図は例え
ばFF型自動車の車体の床部の概略構成を示すも
ので、１は車体の床板を形成するフロアパネルで
ある。このフロアパネル１の両側部は車体のフレ
ームを形成するサイドシル２ａ，２ｂにそれぞれ
接合されている。また、フロアパネル１の車幅方
向中央部位には車室内側に向けて突出させたバツ
クボーン３が形成されている。このバツクボーン
３は車体の前後方向に延設されている。さらに、
このバツクボーン３の下面にはフロアパネル１の
剛性を高めるバツクボーンリンホースメント４が
配設されている。このバツクボーンリンホースメ
ント４はバツクボーン３と略同一形状に形成され
ており、バツクボーンリンホースメント４の縦壁
面４ａ，４ａとバツクボーン３の縦壁面３ａ，３
ａとが例えばボルトナツト等の固定部材によつて
固定されている。この場合、バツクボーン３の上
面３ｂとバツクボーンリンホースメント４の上面
４ｂとの間には適宜の隙間が形成されており、こ
れらの隙間に例えば各種の配線類等が配設可能に
なつている。また、このバツクボーンリンホース
メント４の両側部には上側に向けて屈曲させたサ
イドメンバ構成部４ｃ，４ｃが形成されている。
これらのサイドメンバ構成部４ｃ，４ｃはフロア
パネル１の平板部１ａ，１ａの下面に接合されて
おり、これらのサイドメンバ構成部４ｃ，４ｃに
よつてフロアパネル１の内部側サイドメンバ５，
５が形成されている。さらに、フロアパネル１の
平板部１ａ，１ａの下面には車体の前後方向に延
設された略チヤンネル状の一対の外部側サイドメ
ンバ６，６が配設されている。

一方、バツクボーンリンホースメント４におけ
るサイドメンバ構成部４ｃ，４ｃの内部には第３
図に示すようにシートベルトリンホースメント７
が固定されている。このシートベルトリンホース
メント７は略コ字状に屈曲形成された部材で、こ
のシートベルトリンホースメント７の上面部（シ
ートベルト取付け部）７ａにはシートベルト取付
け孔８が形成されているとともに、このシートベ
ルト取付け孔８の前後両端部には仕切り部９，９
がそれぞれ形成されている。この場合、シートベ
ルトリンホースメント７の上面部７ａの下面には
第４図に示すようにウエルドナツト１０が固定さ
れている。そして、第５図に示すシートベルト取
付け金具１１の取付け孔１２に挿通された固定ボ
ルト１３がフロアパネル１の平板部１ａに形成さ
れた挿通孔１４およびシートベルトリンホースメ
ント７のシートベルト取付け孔８を順次介してウ
エルドナツト１０に螺着されており、このシート
ベルト取付け金具１１を介して中央席のシートベ
ルトS₃がフロアパネル１の平板部１ａに固定され
ている。また、シートベルトリンホースメント７
の仕切り部９，９はバツクボーンリンホースメン
ト４のサイドメンバ構成部４ｃをフロアパネル１
の平板部１ａとの間に形成される空間を閉塞する
状態で配設されており、この仕切り部９，９の周
囲の接合フランジ部がサイドメンバ構成部４ｃに
溶接等の手段によつて強固に接合されている。な
お、１５，１５′は左席側のシートベルトS₁の取
付け部、１６，１６′は右席側のシートベルトS₂
の取付け部をそれぞれ示すものである。

そこで、上記構成のものにあつては車体の床板
を形成するフロアパネル１の車幅方向中央部位に
車室内側に向けて突出させ、かつ車体の前後方向
に延設させたバツクボーン３を形成し、このバツ
クボーン３の下側に補強用のバツクボーンリンホ
ースメント４を配設させたので、車体の床板全体
の剛性を高めることができる。また、バツクボー
ンリンホースメント４の縦壁面４ａ，４ａの下部
に屈曲形成された略チヤンネル状のサイドメンバ
構成部４ｃ，４ｃをフロアパネル１の下面に配設
したので、フロアパネル１の平板部１ａ，１ａに
おけるサイドメンバ構成部４ｃ，４ｃと対応する
部分の強度を高めることができる。さらに、例え
ば３人掛けのベンチシート等を車室内に装着する
場合に中央席のシートベルト取付け孔８を備えた
シートベルトリンホースメント７を強度の高いサ
イドメンバ構成部４ｃ，４ｃの内部に固定するこ
とができるので、中央席のシートベルトS₃に大き
な衝撃荷重が作用した場合に中央席のシートベル
トS₃の取付け部が変形することを防止することが
できる。

なお、この考案は上記実施例に限定されるもの
ではなく、この考案の要旨を逸脱しない範囲で
種々変形実施できることは勿論である。

［考案の効果］ この考案によればフロアパネルのバツクボーン
の下側に補強用のバツクボーンリンホースメント
を配設し、このバツクボーンリンホースメントの
縦壁面の下部にフロアパネルの下面に配設される
略チヤンネル状のサイドメンバ構成部を屈曲形成
するとともに、シートベルト取付け部を備えたシ
ートベルトリンホースメントをサイドメンバ構成
部の内部に固定したので、車体の床板全体の剛性
を高めることができるとともに、例えば３人掛け
のベンチシート等を車室内に装着する場合であつ
てもシートベルトに大きな衝撃荷重が作用した場
合に中央席のシートベルトの取付け部の変形を防
止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第５図はこの考案の一実施例を示す
もので、第１図は自動車の床板部分の概略構成を
示す縦断面図、第２図は同斜視図、第３図はシー
トベルトリンホースメントの取付け状態を示す斜
視図、第４図はシートベルト取付け金具の取付け
状態を示す縦断面図、第５図はシートベルト取付
け金具を示す斜視図、第６図はフロアパネルの平
板部にシートベルト取付け金具を取付けた状態を
示す縦断面図である。 １……フロアパネル、３……バツクボーン、３
ａ，４ａ……縦壁部、４……バツクボーンリンホ
ースメント、４ｃ……サイドメンバ構成部、７…
…シートベルトリンホースメント、７ａ……上面
部（シートベルト取付け部）、８……シートベル
ト取付け孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車体の床板を形成するフロアパネルの車幅方向
   中央部位に車室内側に向けて突出させ、かつ車体
   の前後方向に延設させたバツクボーンが形成され
   た車体構造において、前記バツクボーンの下側に
   配設され、前記バツクボーンの両側の縦壁面と接
   合する一対の縦壁面を備えたバツクボーンリンホ
   ースメントを設け、このバツクボーンリンホース
   メントの縦壁面の下部に前記フロアパネルの下面
   に配設される略チヤンネル状のサイドメンバ構成
   部を屈曲形成するとともに、シートベルト取付け
   部を備えたシートベルトリンホースメントを前記
   サイドメンバ構成部の内部に固定したことを特徴
   とする車体構造。