JPH04248982A - 高度不飽和脂肪酸含有光合成細菌の製造法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、高度不飽和脂肪酸含有
光合成細菌を製造する方法に関する。該光合成細菌は食
品、飼料、肥料及び医薬品、農業、水産、化成品などの
分野において有用である。

【０００２】

【従来の技術】光合成細菌はその菌体中に良質のタンパ
ク質を豊富に含んでおり、また細菌性葉緑素やカロチン
系色素、ビタミン含量も多く、養殖漁業において、重要
な飼料となり、既に市販もされている。更に食品、肥料
としての利用も考えられている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
光合成細菌が有する脂肪酸としては炭素数１６〜１８の
飽和脂肪酸及び／又はモノエン脂肪酸を主成分とするも
のであり、炭素数１８以上かつ不飽和結合２以上の不飽
和脂肪酸（以下、高度不飽和脂肪酸と称す）、特に近年
稚仔魚の増養殖に必須とされているエイコサペンタエン
酸やドコサヘキサエン酸を全く含有していない。本発明
の目的は、高度不飽和脂肪酸含有光合成細菌を工業的に
効率良く、短時間で、容易に得ることのできる製造法を
提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明は高度不飽和脂肪酸含有光合成細菌の製造法に関す
る発明であって、光合成細菌を、高度不飽和脂肪酸及び
／又はその誘導体を含む油脂を添加した培地中で培養す
ることを特徴とする。

【０００５】本発明者らは、上記の目的に合った製造法
を見出すために鋭意研究の結果、培地中に高度不飽和脂
肪酸及び／又はその誘導体を含む油脂を添加して培養し
た光合成細菌の脂質について、次のような知見を得た。 すなわち、■光合成細菌の総脂質含有量は乾物換算で６
〜１２重量％と高く、そのうち９０％以上がリン脂質で
あること、■リン脂質の脂肪酸組成を見ても高度不飽和
脂肪酸が１０〜３０重量％と高いこと、■本発明で用い
る光合成細菌の増殖速度は著しく速く、多量の菌体を極
めて短時間のうちに得ることができること、等である。 本発明は、以上の知見に基づいて完成されたものである
。

【０００６】本発明で用いる高度不飽和脂肪酸及び／又
はその誘導体を含む油脂としては、好ましくは総脂肪酸
中の高度不飽和脂肪酸の占める割合が１０重量％以上の
ものが良く、このようなものの例を挙げるとイワシ、サ
バ、アジ等の青背魚より抽出した油脂、マグロやカツオ
等の大型海産魚の眼窩脂肪由来の油脂、微生物や藻類由
来の油脂、イカ等の肝臓より抽出した海産物由来の油脂
かどが好ましい例として挙げられる。

【０００７】本発明で使用できる光合成細菌は、特に属
、種あるいは株などを限定するものではないが、通常は
、ロドシュードモナス（Ｒｈｏｄｏｐｓｅｕｄｏｍｏｎ
ａｓ）属、ロドスピリルム（Ｒｈｏｄｏｓｐｉｒｉｌｌ
ｕｍ）属などに分類される光合成細菌を用いることがで
きる。これらの光合成細菌については公的微生物寄託機
関等にて容易に入手できる。例えば上記のロドシュード
モナスに属する光合成細菌の例としてロドシュードモナ
ス・キャプシュレイタ（Ｒｈｏｄｏｐｓｅｕｄｏｍｏｎ
ａｓ　　ｃａｐｓｕｌａｔａ　）ＦＥＲＭ　　Ｐ−８７
９，ＡＴＣＣ−１７０１５及びロドスピリルム・ルブル
ム（Ｒｈｏｄｏｓｐｉｒｉｌｌｕｍｒｕｂｒｕｍ）ＡＴ
ＣＣ−１１１７０等を挙げることができる。

【０００８】本発明の実施に当っては、光合成細菌を常
法により例えば培地で培養し、これを遠心分離法などで
集め、洗浄、必要に応じ乾燥して微生物粉末を得る。こ
の際の培地としては例えば下記表１に示す組成の培地を
調製することができる。％は重量％である。

【０００９】

【表１】 　　　　　　　　　　　　　　　　　　表　　　　１　
　酢酸ナトリウム　　　　　　　　　　　　　　　　０
．３％　　リン酸一カリウム　　　　　　　　　　　　
　　０．０５％　　塩化マグネシウム　　　　　　　　
　　　　　　０．０２％　　塩化ナトリウム　　　　　
　　　　　　　　　　　０．０１％　　塩化第二鉄　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　０．０００１％
　　硫酸アンモニウム　　　　　　　　　　　　　　０
．０３％　　酵母エキス　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　０．３％　　ペプトン　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　０．３％────────
───────────────────　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｐＨ　　７
．０

【００１０】培地中に添加する油脂としては、脂肪
酸の遊離型、エステル型、塩等の誘導体を含む油脂を用
いることができる。より好ましくは高度不飽和脂肪酸の
塩、例えばカリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩等
を含む油脂を用いることができる。

【００１１】添加する油脂は、培地に対し０．００１〜
１０重量％、好ましくは０．０１〜１．０重量％を添加
することが、光合成細菌の増殖及び高度不飽和脂肪酸の
取込み率から見て望ましい。また光合成細菌の培養時に
乳化剤を添加しても良い。

【００１２】培養終了後集菌により菌体あるいは水分を
除去した乾燥菌体を得ることができる。このような菌体
中には高度不飽和脂肪酸が含有されている。なお、菌体
に含有された高度不飽和脂肪酸の総量は、培地に添加さ
れた油脂の種類や量、培養温度や時間等により変化する
が、およそ１．０〜３．０重量％である。

【００１３】また所望によりこの光合成細菌菌体から、
有機溶剤などを用いて脂質抽出を行い、脱溶剤後、アセ
トン分画を行い、アセトンに不溶な物質を集めれば、リ
ン脂質の粗分画物を得ることができる。

【００１４】このようにして得られた高度不飽和脂肪酸
含有光合成細菌菌体は、シオミズツボワムシやアルテミ
ア等の稚仔魚用飼料生物のエサ、あるいは直接稚仔魚用
飼料として使用できる。更に食品や動物用飼料、土壌改
善用にも使用が可能である。一方該菌体より抽出した高
度不飽和脂肪酸リン脂質は、種々の疾病に対する医薬品
、化粧品素材、化成品原料としての利用が可能である。

【００１５】

【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。なお
、例中の％は特に断らない限り重量％を意味する。

【００１６】実施例１ ロドシュードモナス・キャプシュレイタ　　ＡＴＣＣ−
１７０１５を、表１に示した培地に、マグロ眼窩脂肪よ
り抽出して得られた脂肪酸カリウム塩からなる油脂（該
油脂中ドコサヘキサエン酸カリウム３０％、エイコサペ
ンタエン酸カリウム８．４％を含有）０．１％を含有せ
しめ、ｐＨ７に調整した培地中で１５℃にて１０リット
ル好気培養し、培養物を遠心分離して集め、洗浄して菌
体１００ｇを得た。得られた菌体１００ｇをクロロホル
ム：メタノール＝２：１混合溶剤で抽出し、８ｇの抽出
脂質を得た。この脱溶剤後の総脂質にアセトン４００ｍ
ｌを加え、冷却しながらかくはんを行い、糖脂質、キノ
ンを分別ろ過によりアセトン不溶分を回収した。得られ
たアセトン不溶分をクロロホルムに溶解し、次にこの溶
液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけ、クロ
ロホルム、クロロホルム：メタノール＝２：１、クロロ
ホルム：メタノール＝１：１及びメタノールで順次展開
した。得られた各フラクションをＴＬＣでチェックし、
目的とするリン脂質のフラクションをいくつか見出し、
それらを回収し、脱溶剤したところ約７ｇのリン脂質が
得られた。得られたリン脂質の組成はＴＬＣ分析の結果
、ホスファチジルグリセロール（７０％）及びホスファ
チジルエタノールアミン（２０％）が主成分であり、ま
たこれらの脂質の構成高度不飽和脂肪酸はドコサヘキサ
エン酸１８．５％、エイコサペンタエン酸５．６％であ
つた。

【００１７】実施例２ 上記実施例１に用いた菌株と同じ菌株を、添加する油脂
としてエイコサペンタエン酸０．１％を用い、上記実施
例１と同様の方法で培養して菌体６４ｇを得た。該菌体
を実施例１と同方法にて抽出したところ、リン脂質６．
８ｇを得た。該リン脂質の構成高度不飽和脂肪酸はエイ
コサペンタエン酸２１％であった。

【００１８】実施例３ 上記実施例１に用いた菌株と同じ菌株を、添加する油脂
としてエイコサペンタエン酸カリウム０．１％及びドコ
サヘキサエン酸カリウム０．１％を用い、上記実施例１
と同様の方法で培養して得た光合成細菌菌体の重量を測
定したところ６６．５ｇであった。該光合成細菌の含有
する高度不飽和脂肪酸は、ドコサヘキサエン酸８．５％
、エイコサペンタエン酸１７．２％であった。

【００１９】実施例４ ロドスピリルム・ルブルム　　ＡＴＣＣ−１１１７０を
、添加する油脂としてエイコサペンタエン酸０．１％を
用い、上記実施例１と同様の方法で培養して菌体５３ｇ
を得た。該菌体を実施例１と同方法にて抽出したところ
、リン脂質５．８ｇを得た。該リン脂質の構成高度不飽
和脂肪酸はエイコサペンタエン酸１９％であった。

【００２０】実施例５ ロドスピリウム・ルブルム　　ＡＴＣＣ−１１１７０を
、添加する油脂としてエイコサペンタエン酸カリウム０
．１％及びドコサヘキサエン酸カリウム０．１％を用い
、上記実施例１と同様の方法で培養して得た光合成細菌
菌体の重量を測定したところ５７．６ｇであった。該光
合成細菌の含有する高度不飽和脂肪酸は、ドコサヘキサ
エン酸７．４％、エイコサペンタエン酸１７．６％であ
った。

【００２１】

【発明の効果】以上説明したように、本発明方法により
、高度不飽和脂肪酸含有光合成細菌を効率良く、短時間
で且つ容易に得ることが可能となった。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　光合成細菌を、高度不飽和脂肪酸及び
   ／又はその誘導体を含む油脂を添加した培地中で培養す
   ることを特徴とする高度不飽和脂肪酸含有光合成細菌の
   製造法。