JPH04171872A - ジョセフソン素子およびその製造方法 - Google Patents

ジョセフソン素子およびその製造方法

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JPH04171872A
JPH04171872A JP2300392A JP30039290A JPH04171872A JP H04171872 A JPH04171872 A JP H04171872A JP 2300392 A JP2300392 A JP 2300392A JP 30039290 A JP30039290 A JP 30039290A JP H04171872 A JPH04171872 A JP H04171872A
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thin film
metal oxide
substrate
oxide thin
manufacturing
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JP2300392A
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English (en)
Inventor
Akira Enohara
晃 榎原
Shigemi Furubiki
古曵 重美
Hidetaka Tono
秀隆 東野
Kentarou Segaki
瀬垣 謙太郎
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野コ 本発明は、超伝導素子、特に接合部を有する金属酸化物
超伝導薄膜を用いたジョセフソン素子の製造方法に関す
るものである。
[従来の技術] 従来、超伝導体としては、A15型2元系化合物として
窒化ニオブ(N b N)やニオブ3ゲルマニウム(N
 b 3 G e )などが知られていた。また、これ
らの材料を用いた超伝導素子も種々提案されている。し
かし、これらの材料の超伝導転移温度(Tc)はたかだ
か24にであった。
また、ペロブスカイト系化合物としては、Ba−Pb−
Bi−0系(特開昭60−173885号公報)が知ら
れており、この系の材料を用いた超伝導素子も数多く研
究されている。しかし、この材料の超伝導転移温度(T
c)は13に程度と低く実用化は困難であった。
ところがTcが30〜40Kを示すBa−La−Cu−
0系の高温超伝導体が提案された[1.GBednor
x and K、A、Muller、  ツアイト シ
ュリフトフェア フィジーク(2eNshrifj I
ur physik B)−Condensed Ma
ker 64.1g9−193 (1986)コ。さら
に、Y−Ba−Cu−0系では90KをこえるTCが報
告されており口M、 K、 Wu等、フィジカル レビ
ュー レターズ(Physical Review L
etters) V。
1、58. No、 9.908−910 (1987
)] 、液体窒素の沸点(77K)よりも高(なったこ
とで実用化か有望となってきた。
このY−Ba−Cu−0系に代表される金属酸化物超伝
導体は、例えばスパッタリング法等の薄膜形成手法を用
いると、薄膜状の高温超伝導体として形成され得る。そ
して、この金属酸化物超伝導体は、結晶性および酸素含
有量すなわち酸化状態がその超伝導特性に大きな影響を
与えることか知られている。従来、結晶性や酸化状態の
制御は、主として薄膜作製条件を調整することで実現し
ている。
[発明が解決しようとする課題] 前記超伝導薄膜を利用して素子を作製するためには、素
子作製プロセス技術が不可欠であるが、現在決定的な方
法は確立しておらず、新規素子の実現は困難な状況にあ
る。
実際に超伝導体の酸化状態を調節するには、従来、適当
な雰囲気中で高温に加熱したり、また、還元性のある水
素イオンや酸化性のある酸素イオンなどを照射したりす
る手法が用いられてきた。
しかし、前者の方法では、高温に加熱するため制御性が
悪く、また、金属酸化物超伝導薄膜と通常の半導体電子
回路との集積化などが困難になること、後者の方法では
、活性イオンにより超伝導体の結晶構造などが損傷を受
けるなどの欠点があり、ジョセフソン素子の作製への適
用は困難であった。
さらに、金属酸化物超伝導体は化学的にきわめて不安定
で、特に、超伝導体と空気中の水分などとの化学反応や
超伝導体の構成元素である酸素の離脱などによって、超
伝導体表面や界面で超伝導特性が劣化したり、または超
伝導性が喪失したりすることがある。そのため、積層構
造を用いて接合を作製する場合には、トンネル形接合は
言うにおよばず、弱結合形接合でさえも、超伝導体と障
壁層界面に、絶縁体や半導体的な層が形成されてしまい
、素子の作製が困難になることが大きな問題である。
したがって、再現性および制御性良くジョセフソン素子
を製造するためには超伝導体界面の特性劣化の影響を防
止することが重要な課題となっている。
本発明は、前記従来技術の課題を解決するため、金属酸
化物超伝導体の結晶性や酸化状態を部分的にうまく制御
することにより、性能の高いジョフソン素子およびその
製造方法を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 前記目的を達成するため、本発明のジョセフソン素子は
、基板上に少なくとも金属酸化物薄膜を含むジョセフソ
ン素子であって、前記金属酸化物薄膜は基板の表面から
順番に少なくとも電極部層、接合部層、電極部層からな
る層が形成されているとともに、前記少なくとも3つの
層は連続的に変化しており、かつ前記接合部層は前記電
極部層に比較して超伝導特性が低いかまたは超伝導特性
を有さないことを特徴とする。
また本発明のジョセフソン素子の製造方法は、基板上に
少なくとも金属酸化物薄膜を含むジョセフソン素子の製
造方法であって、基板上に形成された金属酸化物薄膜に
対して、熱処理を行なった後、前記金属酸化物薄膜表面
、および前記基板の前記金属酸化物薄膜が形成されてい
ない方の面から紫外線を照射することを特徴とする。
前記本発明方法の構成においては、金属酸化物薄膜とし
てA−B−Cu−0複合化合物を用いることが好ましい
[ここで、AはY、La、およびLa系列元素(原子番
号57.59〜60.62〜71)から選ばれる少なく
とも1種の元素、Bは周期律表のIIa族元素から選ば
れる少なくとも1種の元素、かっAXB元素とCu元素
の濃度は 0.5≦(A+B)/Cu≦2.5  」また前記本発
明方法の構成においては、金属酸化物薄膜として、Bi
−Sr−Ca−Cu−0またはTi−Ba−Ca−Cu
−0複合化合物を用いることが好ましい。
また前記本発明方法の構成においては、基板として、M
gO単結晶を用いることか好ましい。
また前記本発明方法の構成においては、熱処理が、酸素
ガス中で800〜1000℃の範囲の温  “度に加熱
する条件であることが好ましい。
また前記本発明方法の構成においては、熱処理の時間が
、30分以内の範囲であることが好ましい。
さらに前記本発明方法の構成においては、紫外線の照射
が、減圧下、または不活性ガス雰囲気中で行なう条件で
あることが好ましい。
[作用] 前記した本発明の構成によれば、金属酸化物薄膜は基板
の表面から順番に少なくとも電極部層、接合部層、電極
部層からなる層が形成されているとともに、前記少なく
とも3つの層は連続的に変化しており、かつ前記接合部
層は前記電極部層に比較して超伝導特性が低いかまたは
超伝導特性を有さないので、膜の中央付近に十分薄い接
合部を形成し、それを利用して、弱結合形のジョセフソ
ン接合を形成することができる。
また本発明方法の構成によれば、基板上に形成された金
属酸化物薄膜に対して、熱処理を行なった後、前記金属
酸化物薄膜表面、および前記基板の前記金属酸化物薄膜
が形成されていない方の面、すなわち両面から紫外線を
照射することにより、薄膜表面及び薄膜と基板界面から
ある深さまでの領域のみの超伝導性を部分的に向上、ま
たは発現させることができる。また、紫外線の膜中での
減衰によって、膜の中央付近は紫外線強度が最も弱くな
るので、その部分の超伝導特性は周辺よりも悪いかある
いは超伝導性を有しなくなる。そこで、膜の中央付近に
十分薄い接合部を形成し、それを利用して、弱結合形の
ジョセフソン接合を効率よく合理的に形成することがで
きる。
また、金属酸化物薄膜としてA−B−Cu−0複合化合
物、B i −Sr−Ca−Cu−0またはT l−B
a−Ca−Cu−0複合化合物を用いるという本発明方
法の好ましい構成によれば、臨界温度の高いジョセフソ
ン素子を得ることができる。
また、基板としてMgO単結晶を用いるという本発明方
法の好ましい構成によれば、基板側からの紫外線照射の
効果を有効に利用することができる。
また、熱処理が酸素ガス中で800〜1000℃の範囲
の温度に加熱するという本発明方法の好ましい構成によ
れば、超伝導膜層の結晶性を向上することができる。
また、熱処理の時間が30分以内の範囲であるという本
発明方法の好ましい構成によれば、超伝導膜層の超伝導
特性を良好に保つことができる。
さらに、紫外線の照射が、減圧下、または不活性ガス雰
囲気中で行なう条件であるという本発明方法の好ましい
構成によれば、酸化状態を精度良く制御でき、結晶性の
劣化を有効に防止できる。
[実施例] 本発明者らは、紫外線を照射したときの超伝導体の特性
変化について着目し、その効果を詳細に検討した。その
結果、金属酸化物超伝導体中のCu−0結合の酸素イオ
ンが照射により一部離脱し、銅イオンの酸化状態が制御
できることを見い出した。また、熱処理と紫外線照射の
金属酸化物超伝導薄膜に対する影響を検討した結果、以
下のような効果のあることを見い出した。
■ 比較的高温(800〜1000℃)の熱処理によっ
て、上記薄膜堆積直後は不完全であった結晶性が改善さ
れるが、しかし、酸化状態が不確定となる。
■ 紫外線の照射によって、薄膜の酸化状態を制御でき
、最適化できる。
そこで、これら2つの処理を共に施すことによって金属
酸化物超伝導薄膜の超伝導特性を著しく改善される、ま
たは堆積直後は結晶性あるいは酸化状態が不完全である
ために超伝導性を示さなかった膜については、その超伝
導特性を発現させる作用がある。
この作用によれば、堆積後の金属酸化物薄膜に上記熱処
理を施した後、この薄膜の、表面及び基板面側から紫外
線を照射することにより、これら照射によって、薄膜表
面及び薄膜と基板界面がらある深さまでの領域のみの超
伝導性を部分的に向上、または発現させることができる
。また、紫外線の膜中での減衰によって、膜の中央付近
は紫外線強度が最も弱くなるので、その部分の超伝導特
性は周辺よりも悪いかあるいは超伝導性を有しなくなる
。そこで、紫外線の照射!(例えば、照射強度や照射時
間)を調節することによって、膜の中央付近に十分薄い
接合部を形成し、それを利用して、弱結合形のジョセフ
ソン接合を形成することができる。
以上のように本発明のジョセフソン素子の製造方法は、
熱処理と紫外線照射とによってジョセフソン素子をを得
ることができるので、微細なブリッジ構造をエツチング
などで製作するのに比べて極めて簡単なプロセスでジョ
セフソン素子を作製できる。また、エツチングなどを用
いないので形状の変化がなく、積層化などの際にも有効
である。
従来行なわれてきた、積層構造を利用して作製するのに
比べて、プロセスが簡略化される。また、超伝導体と接
合層との界面がプロセスの途中で露出することがないの
で、超伝導体界面での超伝導特性の劣化の影響を全く受
けない等の利点もある。
次に、本発明の一実施例を図面を用いて説明する。第1
図(a)〜(c)は本発明の製造方法のモデル的工程図
を示すものであり、第1図(C)は本発明のジョセフソ
ン素子の概念図を示す。
第1図(a)のように、金属酸化物薄膜12を基板11
上に例えばスパッタリング法で形成する。
つぎに、この試料に熱処理を施す。さらに、第1図(b
)に示すように、薄膜12の表面、および、基板11の
裏面から、紫外線13を照射する。紫外線の、金属酸化
物薄膜中での減衰定数は比較的大きく、そのため、紫外
線の照射効果が生じる範囲は、照射された表面からある
程度の深さまでの部分に限られる。この部分では、その
超伝導特性が発現あるいは向上する。したがって、これ
らの処理によって、第1図(c)に示すように、金属酸
化物薄膜12の中で、超伝導特性の優れた部分が表面お
よび裏面からある程度の深さまで存在する。この部分を
電極部14.15と呼ぶと、これら電極部によって、紫
外線照射効果がおよばないために、超伝導体界面しない
があるいは回りよりも劣った部分である接合部16を挟
むような構造の接合が形成できる。
そして、紫外線13の照射量(例えば、照射強度や照射
時間)を調節することによって、接合部16を十分に薄
くすることができ、適当な照射量では接合部16か弱結
合形のジョセフソン接合となり、ジョセフソン効果を発
揮する。
熱処理の方法としては、少なくとも酸素を含むガス中で
、800〜1ooo℃に加熱する。処理時間は30分以
下が有効である。上記紫外線照射は、減圧雰囲気中、ま
たは不活性ガス中で行なう。
この照射処理は試料を加熱する必要がない上に、比較的
短時間で処理が終る利点がある。
このような、熱処理と紫外線照射による効果を示す実験
結果を次に示す。
(100)面MgO単結晶を基板上に、高周波プレナー
マグネトロンスパッタにより、Bi、Sr、Ca、Cu
の各元素を含む酸化物からなる焼結したターゲットをA
rと02の混合ガス雰囲気でスパッタリング蒸着して、
C軸配向性のあるBi  Sr  CaCu2O!薄膜
として付着させた。
この薄膜の結晶構造は、単位結晶格子中にCu−0面が
2面含まれているいわゆる低温層と呼ばれる構造である
次に、この薄膜を1気圧酸素中で920℃で20分間熱
処理を行なった。この処理では、薄膜を直径6anの石
英管中に置き、酸素ガスを単位時間あたりの流量100
m1/minで流しながら、周囲より電気ヒータで加熱
した。温度変化率は、温度上昇時は2000℃/h、下
降時は自然冷却(900℃付近で約−2000℃/h)
とした。
さらに、この熱処理を施した薄膜を真空中(10’Pa
以下)に置いて、室温で30分間紫外線照射を行なった
。紫外線光源には低圧水銀ランプ(最大強度発光波長:
250nm)を用いた。
試料面での紫外線強度は約3mW/ad)であった。
第3図に、薄膜形成直後(a)、および、熱処理と紫外
線照射を行なった後(b)での薄膜の抵抗率の温度変化
を示す。第3図(a)〜(b)かられかるように、形成
直後はオンセット温度は70に程度であったものが、処
理の後には20に程上昇して約90Kに上昇しているこ
とかわかる。
しかしながら、形成直後の薄膜に、熱処理のみを、また
は紫外線照射処理のみを行なっただけでは、超伝導特性
は処理前よりもむしろ劣化することを確認している。第
3図に示すような超伝導特性の向上の原因は、薄膜形成
過程では、薄膜へのイオ゛ンの衝突や膜堆積量に伴う諸
条件の変化(例えば、膜の輻射熱吸収量の変化に伴い実
効的な基板温度が変化)等のために、結晶性が不完全で
あったか、熱処理によって結晶性を回復させ、さらに、
後の紫外線照射によって酸化状態の最適化か施されたも
のと考えられる。
次に、先と同じ薄膜を使って、光吸収係数の波長依存性
を調べた結果を第4図に示す。第4図かられかるように
、吸収のピークが約250nm付近にある。この波長は
水銀の発光スペクトルに−致し、通常の低圧水銀ランプ
が照射の際に利用できる。また、吸収係数が250nm
付近で約5×105 [cm−1コであり、この値は、
1100n厚の膜で、透過率が約0.01である。この
ことは、紫外線照射効果が比較的表面近くに限られるこ
とを示しており、また、膜中の紫外線強度は表面から指
数関数的に減衰することは明らかであるので、紫外線照
射量によって、表面からどの程度の深さにまで照射の影
響がおよぶかを調節できることがわかる。
また、第5図はMgO結晶の吸収係数を測定したもので
、Mgoは、25Onm付近での吸収は小さく、そのた
め、MgOを金属酸化物薄膜の基板として用いれば、基
板側から紫外線を照射したとき、紫外線がよく透過し、
効率よく金属酸化物薄膜に照射効果が与えられることが
わかる。
(具体的実施例) (100)面MgO単結晶を基板11として用い、高周
波プレナーマグネトロンスパッタにより、Bi、Sr、
Ca、Cuの各元素を含む酸化物からなる焼結したター
ゲットをArと02の混合ガス雰囲気でスパッタリング
蒸着して、C軸配向性のあるBi2 Sr2 CaCu
2o、薄膜として付着させた。
この場合、ガス圧力は0.5Pa、スパッタリング電力
150W、スパッタリング時間10分、薄膜の膜厚11
0nm、基板温度580℃であった。
次に、この薄膜を1気圧酸素中で920℃で20分間熱
処理を行なった。この処理では、薄膜を直径6cmの石
英管中に置き、酸素ガスを単位時間あたりの流量100
 m l / m i nで流しながら、周囲より電気
ヒータで加熱した。温度変化率は、温度上昇時は200
0℃/h、下降時は自然冷却(900℃付近で約−20
00’C/h)とした。
さらに、この熱処理を施した薄膜を真空中(IQ−2P
a以下)に置いて、薄膜12の表面、および、基板11
の側からそれぞれ室温で30分間紫外線照射を行なった
。紫外線光源には低圧水銀ランプ(最大強度発光波長:
250nm)を用いた。
試料面での紫外線強度は約3mW/cd)であった。
この場合、実際に本素子の特性を調べるには、接合部1
6に電圧を加えなければならないのが、第1図(C)の
構造そのままでは困難である。そこで、第2図に示すよ
うに、金属酸化物薄膜12表面からの照射は、メタルマ
スクによって、約1mm四方の部分のみに対して行いこ
の部分を電極部22とした。電極部22上に導電性ペー
スト25で導線26を接続した。下側の電極部23への
接続は、第2図のように、部分的にイオンビームエツチ
ング等によって表面を削り取ってから同様に、導電ペー
スト27と導線28で測定用端子を接続した。
これら端子間に85Hzの交流電圧を印加し、この端子
を通して間隙部24を流れる電流との関係を観測した。
その結果、観測された電流・電圧特性はジョセフソン接
合特有の非線形性を有していた。さらに、この間隙部2
5に20GHzのマイクロ波を照射したところ、電流・
電圧特性の曲線上に電圧のステップが観測され、このス
テップの位置とマイクロ波の周波数の関係からこのステ
ップはジョセフソン接合特有のいわゆるシャピロステッ
プであることがわかった。これらの結果から、試作した
素子は、弱結合形のジョセフソン接合が形成されている
ことが分かった。
本発明者らは、結晶性向上のための工程である熱処理で
は、最適な温度及び処理時間があることを見い出した。
温度は高すぎると膜材料の再結晶化が進むと同時に膜内
の原子が一部蒸発することなどによって、膜の表面状態
が劣化し、最終的にはむしろ超伝導特性が悪化する。ま
た、温度が低いと結晶性改善の効果がなくなる。処理温
度としては800℃〜1000℃が有効な範囲で、とり
わけ950℃付近が特に有効である。また、熱処理は酸
化性の雰囲気で行なう必要があり、特に酸素中で行なう
ことが最も適当である。処理時間についても、長すぎる
と、膜材料の極度の再結晶化と原子の蒸発の影響が現れ
、むしろ超伝導特性向上には逆効果となることから30
分以下の処理時間が有効であることを見い出した。
この熱処理過程のみでは、結晶性は改善されるが、酸化
物薄膜の酸化状態が不確定きなる。金属酸化物超伝導体
は、適度の酸素欠損が超伝導特性に重要な役割を果たす
ことが知られている。このことは、超伝導体の酸化状態
、言い替えれば、酸素量が多すぎても少なすぎても超伝
導特性の劣化の原因になることを意味している。したが
って、熱処理過程の後に、酸化状態を最適の値に制御で
きればさらに超伝導特性を向上させることが可能である
。本発明者らは、紫外線を金属酸化物超伝導体に照射す
れば、結晶中の特に銅イオンのまわりの酸素サイトに効
率よく酸素欠損が生じることを既に確認している。そこ
で、本発明のジョセフソン素子の製造方法では、この手
法を適用し、非常に制御性良い酸素欠損量、つまり、酸
化状態の最適化を実現している。また、紫外線の照射に
よって、結晶性もさらに幾分改善される効果もあり、こ
の手法の適用は極めて有効である。
このような酸化状態の最適化の方法としては、適当な雰
囲気中で加熱したり、還元性のイオン(例えば水素イオ
ン)を照射することなどによっても実現できる。しかし
、本発明の紫外線の照射では、試料を加熱する必要がな
く、また、照射時間によって精度良く酸化状態を制御で
き、さらに、結晶性を劣化させることがないなど非常に
有効な方法である。
また、ここでは、紫外線照射を真空中で行なったが、特
に真空中に限定されるものではなく、1気圧以下の減圧
下あるいはAr、He等の不活性なガス中でも同様の効
果があることを確認している。
紫外線の利用はイオンビームや電子ビームの利用と異な
り、金属元素同士の比率の変化や局所的な大きな温度上
昇、また薄膜の結晶性の低下等を引き起こさずに均一性
の良好な処理を可能とするので、本発明は被照射部の薄
膜に大きな損傷を与えないという利点を有する。
また、金属酸化物薄膜12には、Bi−Sr−C(1−
Cu−0の他にA−B−Cu−0,または、T l−B
a−Ca−Cu−0複合化合物を熱蒸着例えば電子ビー
ム蒸着、レーザビーム蒸着等の物理的気相成長法で基板
上に付着させたものを用いても同様の効果がある。これ
ら金属酸化物超伝導体は組成式がまだ明確には決定され
ていないが、A−B−Cu−0に関しては酸素欠損ペロ
ブスカイト(AXB)  Cu307−xといわれてお
り、この種の材料に関して、本発明者らは、作製された
薄膜の元素比率が、 0、 5≦(A+B)/Cu≦2.5 の範囲にあれば、臨界温度に多少の差があっても超伝導
現象が見いだされることを確認した。また、B i−S
r−Ca−Cu−0,T l−Ba−Ca−Cu−0超
伝導体は、臨界温度が100Kを越えるものができ、実
用上極めて有用であるが、含まれる元素数も多(、優れ
た超伝導膜形成は比較的困難であった。本発明者らは、
作製条件などを厳密に制御すれば、これら材料について
も先のA−B−Cu−0超伝導体と同様の方法で再現性
よく薄膜化できることを確認した。
以上説明した通り本発明の一実施例によれば、薄膜化し
た均一性の良い金属酸化物薄膜に対して、熱処理と紫外
線の照射とを施すことでジョセフソン接合を作製できる
ところに大きな特徴がある。
紫外線の照射による銅酸化物薄膜の処理は薄膜の温度上
昇がなく、制御性もよく、かつ、処理か簡単である。従
来行なわれてきた、積層構造を利用して作製するのに比
べて、極めて簡単なプロセスでジョセフソン素子を作製
できる。また、超伝導体と接合層との界面がプロセスの
途中で露出することがないので、従来問題であった、超
伝導体界面での超伝導特性の劣化の影響を全く受けない
さらに、エツチングなどの加工プロセスや、高温の熱処
理を必要としないことから、形状の変化かなく、積層化
、他の電子デバイスや他の材料との集積化の際などに特
に有効である。
以上の説明のごとく本発明のジョセフソン素子の製造方
法により例えばSiあるいはGaAs等のデバイスとの
集積化が可能となる。また、本発明のジョセフソン素子
の製造方法は5QUID等の各種超伝導デバイスの製造
に実用される。特に、この種の金属酸化物超伝導体の転
移温度が室温になる可能性もあり、実用の範囲は広く本
発明の工業的価値は高い。
[発明の効果コ 以上の通り本発明によれば、金属酸化物薄膜は基板の表
面から順番に少なくとも電極部層、接合部層、電極部層
からなる層が形成されているとともに、前記少なくとも
3つの層は連続的に変化しており、かつ前記接合部層は
前記電極部層に比較して超伝導特性が低いかまたは超伝
導特性を有さないので、膜の中央付近に十分薄い接合部
を形成し、それを利用して、弱結合形のジョセフソン接
合を形成することができる。
また本発明方法によれば、基板上に形成された金属酸化
物薄膜に対して、熱処理を行なった後、前記金属酸化物
薄膜表面、および前記基板の前記金属酸化物薄膜が形成
されていない方の面、すなわち両面から紫外線を照射す
ることにより、前記本発明のジョセフソン素子を効率よ
く合理的に形成することができる。
また、金属酸化物薄膜としてA−B−Cu−0複合化合
物、B i −3r−Ca−Cu−0またはTi−Ba
−Ca−Cu−0複合化合物を用いるという本発明方法
の好ましい構成によれば、臨界温度の高いジョセフソン
素子を得ることができる。
また、基板としてMgO単結晶を用いるという本発明方
法の好ましい構成によれば、基板側からの紫外線照射の
効果を有効に利用することができる。
また、熱処理が酸素ガス中で800〜1000℃の範囲
の温度に加熱するという本発明方法の好ましい構成によ
れば、超伝導膜層の結晶性を向上することができる。
また、熱処理の時間が30分以内の範囲であるという本
発明方法の好ましい構成によれば、超伝導膜層の超伝導
特性を良好に保つことができる。
さらに、紫外線の照射が、減圧下、または不活性ガス雰
囲気中で行なう条件であるという本発明方法の好ましい
構成によれば、酸化状態を制度良く制御でき、結晶性の
劣化を有効に防止できる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)〜(c)は本発明の製造方法のモデル的工
程図を示すものであり、第1図(C)は本発明のジョセ
フソン素子の概念図、第2図は本発明の一実施例により
作製したジョセフソン素子の一例の断面図、第3図(a
)は金属酸化物薄膜の作製直後抵抗率の温度変化を示す
図、第3図(b)は熱処理と紫外線を照射した後の抵抗
率の温度変化を示す図、第4図はビスマス系超伝導薄膜
の吸収係数の波長依存性を示す図、第5図はMg○単結
晶の吸収係数の波長依存性を示す図である。 11.21・・・基板、 12・・・金属酸化物薄膜、
16.24・・・接合部、 14.15,22.23・
・・電極部、 25.27・・・導電性ペースト、26
.28・・・導線。 13・・・紫外線 14.15・・・電極部 16・・・接合部 21・・・基板 25.27・・導電性ペースト 26.28 ・導線 第3図(a) 第3図(b)

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 (1)基板上に少なくとも金属酸化物薄膜を含むジョセ
    フソン素子であって、前記金属酸化物薄膜は基板の表面
    から順番に少なくとも電極部層、接合部層、電極部層か
    らなる層が形成されているとともに、前記少なくとも3
    つの層は連続的に変化しており、かつ前記接合部層は前
    記電極部層に比較して超伝導特性が低いかまたは超伝導
    特性を有さないことを特徴とするジョセフソン素子。 (2)基板上に少なくとも金属酸化物薄膜を含むジョセ
    フソン素子の製造方法であって、基板上に形成された金
    属酸化物薄膜に対して、熱処理を行なった後、前記金属
    酸化物薄膜表面、および前記基板の前記金属酸化物薄膜
    が形成されていない方の面から紫外線を照射することを
    特徴とするジョセフソン素子の製造方法。 (3)金属酸化物薄膜としてA−B−Cu−O複合化合
    物を用いる請求項2記載のジョセフソン素子の製造方法
    。 [ここで、AはY、La、およびLa系列元素(原子番
    号57、59〜60、62〜71)から選ばれる少なく
    とも1種の元素、Bは周期律表のIIa族元素から選ば
    れる少なくとも1種の元素、かつA、B元素とCu元素
    の濃度は 0.5≦(A+B)/Cu≦2.5] (4)金属酸化物薄膜として、Bi−Sr−Ca−Cu
    −OまたはTi−Ba−Ca−Cu−O複合化合物を用
    いる請求項2記載のジョセフソン素子の製造方法。 (5)基板として、MgO単結晶を用いる請求項2記載
    のジョセフソン素子の製造方法。(6)熱処理が、酸素
    ガス中で800〜1000℃の範囲の温度に加熱する条
    件である請求項2記載のジョセフソン素子の製造方法。 (7)熱処理の時間が、30分以内の範囲である請求項
    1記載のジョセフソン素子の製造方法。 (8)紫外線の照射が、減圧下、または不活性ガス雰囲
    気中で行なう条件である請求項2記載のジョセフソン素
    子の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100428910B1 (ko) * 1994-10-17 2004-09-16 이 아이 듀폰 디 네모아 앤드 캄파니 다층 복합체 및 그의 제조방법

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100428910B1 (ko) * 1994-10-17 2004-09-16 이 아이 듀폰 디 네모아 앤드 캄파니 다층 복합체 및 그의 제조방법

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