JPH0417129B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、凸面形状の樹脂成型品の内面に所望
の模様を転写する方法に係り、より詳しくは樹脂
成型品が凸曲面状であつても極めて簡単にその内
面に対し正確に模様が転写できる方法に関する。

（従来の技術） 曲面を有する樹脂成型品の前記曲面に、任意の
模様を転写する方法として、特公昭51−33456号
公報に樹脂成型品の絵付法が開示されている。こ
れは、サーモフオーミング可能な基体シートの上
に任意の模様を形成した転写シートをその模様面
を内面として加熱成型して、成形用受け型の内面
に合致する転写成型体を形成し、次に該転写成型
体を成形用受け型の内面に装着し、しかる後該転
写成型体の内面に成形用樹脂を供給して成形し、
次いで上記の成形用受け型を取りはずし更に上記
の転写シートの基体シートを剥離除去する方法で
ある（以下従来例１と称す）。

また、前記従来例が樹脂成型品の外面に対し模
様を転写するものであるに対し、樹脂成型品の内
面に模様を転写する方法が特開昭56−118835号公
報、特に第９図Ａに開示されている（以下従来例
２と称す）。

前記従来例１の方法は透明樹脂成型品の外面に
対し模様を転写するものであるから、転写模様が
平面的に見える。このさい転写模様表面に透明樹
脂によるコーテイングを施して擦傷等を防止する
構成も開示されているが、前記コーテイング層は
極めて薄いものであるから転写模様は立体的に見
えない。これに対し従来例２の方法は、透明樹脂
成型品の内面に模様を転写するものであるから、
転写模様は外部から透視でき光学的に立体感を呈
するので意匠的にも優れたものとなり、かつ擦傷
が生ずるおそれがない。

（発明が解決しようとする課題） 前記従来例１、２において何れも転写シートを
成型する形に作成された射出成型金型と同形状の
転写成型体を予じめ成形し、この成形した転写成
型体を射出金型に正確に装着し、該成型体の模様
面側に溶融樹脂を射出成形して樹脂成型品を得る
ものであるが、前記したように転写成型体を金型
に正確に装着しなければならないことで作業が煩
雑であり、射出成型時に転写成型体を移動させな
いような手段を施していないため、転写成型体の
移動によつて樹脂成型品に表出される模様位置に
バラ付きが出るという問題がある。

本発明の目的は、前記従来例２のように樹脂成
型品の内面に模様を転写するようにしたものにお
いて、転写成型体を金型に容易に装着可能とする
と共に、転写成型体を金型に固定することにより
射出成形時に転写成型体の移動を阻止して樹脂成
型品の表出される模様位置にバラ付きが生じない
均一な模様転写方法を提供する点にある。

また、本発明の他の目的は凸面形状の樹脂成型
品の開口端面に模様を転写可能ならしめた模様転
写方法を提供する点にある。

（課題を解決するための手段） 本発明は、上記の目的を達成するため次の手段
を採用した。すなわち、加熱成型可能な剥離シー
トの上に任意の模様が形成された転写シートを加
熱成形して転写成型体を得て、該転写成型体を樹
脂成型用金型内に装着し、転写成型体の模様面側
に溶融樹脂を供給し成形した後、該金型から凸面
形状の樹脂成型品を取り出し、該樹脂成型品の表
面に一体的に形成された転写成型体から剥離シー
トを除去して、樹脂成型品の表面に模様を転写す
る方法において、 転写シート４をその模様面を外面としてフラン
ジ部１０を設けた凸面形状に加熱成形して転写成
型体９を得、次に該転写成型体９を樹脂成型用の
射出金型１２のキヤビテイ１３内に遊装すると共
に転写成型体９のフランジ部１０を前記金型１２
の雌型１５と雄型１６とで挟持固定し、次いで転
写成型体９の外面側に供給された透明ないし半透
明の溶融樹脂１７の射出圧力により転写成型体９
の殻壁を前記雄型１６の外面に当接成型し、成型
完了後金型１２から樹脂成型品を取り出して剥離
シート５を剥離除去することにより、樹脂成型品
内面に所望の模様を転写形成することを特徴とす
る。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面を参照して説明す
る。

第６図及び第７図は、本発明方法によつて模様
２が転写された凸面形状の樹脂成型品１を示す。
この成型品１は例えば化粧品容器のキヤツプ、容
器の蓋その他として使用される。

次に樹脂成型品１に本発明方法によつて模様２
を転写する場合につき詳述する。

まず、本発明に適用する転写シートは、加熱成
型可能な剥離シートの上に任意の模様２（但し文
字等でも良い）が形成されたものであり、その例
として、第２図及び第３図を挙げることができ
る。第２図の転写シート４は、剥離シート５の上
に模様２を形成し、更に模様２を含んだ剥離シー
ト５の全面に接着剤層７が形成されたものであ
る。第３図の転写シート４は剥離シート５の全面
に、転写後模様の摩滅消失の防止を図るための樹
脂層８を形成し、該樹脂層８の上に模様２を形成
し、更に模様２を含んだ樹脂層８の全面に接着剤
層７を形成したものである。尚、第２図及び第３
図とも図示省略してあるが、剥離シート５の直上
面には離型剤層が形成されている。

前記剥離シート５は、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化
ビニル、ポリスチレン等により形成されている。

また、模様２は、通常のプラスチツク印刷用イ
ンキ、塗料を用いて印刷、描画、塗装等により形
成される。転写シートの模様は、転写シートの加
熱成型及び後述する溶融樹脂による転写シートの
膨出時の変形を考慮して決定される。尤も、多少
輪郭が流れてもよいような模様、例えば、木目や
石材模様では、図柄の変形をそれほど考慮する必
要がなく好適である。

前記接着剤層７の材質としては、例えばアクリ
ル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、フ
エノール系樹脂等を例示でき、樹脂成型品を形成
する樹脂との溶着性を考慮して決定する。

また、前記樹脂層８の材質としては、例えばア
ルキド樹脂、フエノール樹脂、ビニル系樹脂、エ
ポキシ樹脂、アクリル樹脂等を例示できる。

上記の転写シート４は、その模様面を外面とし
て第４図の如く、フランジ部１０を有する転写成
型体９に加熱成形される。加熱成形の方法として
は加熱手段を伴つた真空成型、ブロー成型、プレ
ス成型等がある。該転写成型体９の略半球面状の
本体１１は、後記する雄型１６の外表面形状と略
同一形状であれば良く、ピツタリと嵌合するを要
せず、要は樹脂成型品１を成型するための樹脂成
型用の射出金型１２内のキヤビテイ１３に遊装で
きればよい。次に上記のようにして形成された転
写成型体９を、第１図に示すように、その本体１
１を雄型１６上に軽く被冠させると共にフランジ
部１０を裁置させ、次いで雌型１５と雄型１６と
でキヤビテイ１３を構成すると共に、転写成型体
９のフランジ部１０を挟持固定する。なお、前記
射出金型１２は雌型１５と雄型１６との２部材で
構成されたものであるが、前記金型部材の数、形
状等は限定されないことは勿論である。

次に、第５図に示すように、前記射出金型１２
のキヤビテイ１３内に装着された転写成型体９の
本体１１、フランジ部１０の内周部１０ａのそれ
ぞれ外面側に、即ち雌型１５から透明又は半透明
の溶融樹脂１７を射出させる。この際、溶融樹脂
１７としては、成型品の要求される特性に応じ
て、ビニル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、スチレン系樹脂、ポリアミド、フエノール樹
脂等の合成樹脂の内から適宜選択される。

転写成型体９の外面側に溶融樹脂１７が射出注
入されるのに応じて、溶融樹脂１７の射出圧力に
より転写成型体９の殻壁は第５図の如く雄型１６
の外面に当接する。かくして、金型１２によつて
成型された樹脂成型品１の内表面に、転写成型体
９が一体的に形成され、樹脂成形と転写工程との
一部とが同時に達成される。

樹脂成型品１の成型完了後、成型用射出金型１
２の雌型１５、雄型１６を分離して成型品１を取
り出し、転写成型体９の最外面に配された剥離シ
ート５を剥離除去して、内側表面に所望の模様２
が転写された透明又は半透明の樹脂成型品１を得
る。

なお、上記実施例において、例えば第４図に示
す転写成型体９において模様２を該成型体９のフ
ランジ部１０の内周部１０ａにまで延長させた
り、また内周部１０ａに独立した模様、例えば着
色リング模様等２ａを施したものを使用すれば、
第７図に示すように樹脂成型品１の開口端面１ａ
まで模様２ａが転写でき、樹脂成型品１を外部か
ら観察した場合、更に立体感を助長できると共に
意匠的効果を助長できる。

これは、従来例１の樹脂成形品の外面に対し模
様を転写するに際し、転写成型体としてフランジ
部を有するものを使用しても実現できないもので
ある。

（発明の効果） 本発明は、フランジ部１０を設けた転写成型体
９を射出金型１２のキヤビテイ１３内に遊装する
と共に転写成型体９のフランジ部１０を射出金型
１２の雌型１５と雄型１６とで挟持固定し、次い
で成型体９の外面側に供給した透明ないし半透明
の溶融樹脂の射出圧力により該成型体９の殻壁を
雄型に当接成型するものであるから、転写成型体
９は雄型１６上に軽く被冠させるだけで位置固定
できるので、その装着が容易で作業性に優れ、ま
た転写成型体９は射出成型時に移動を阻止されて
いることにより樹脂成型品に表出される模様位置
にバラ付きが生じない。従つて転写成型体９の成
型用型は精度を要求されず安価なものですむ。

更に本発明は必要に応じ樹脂成型品の開口端面
に模様を転写可能としたことにより、模様の立体
感を助長し、又は意匠感を増長させた樹脂成型品
を提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は転写成型体が装着された樹脂成型用の
射出金型の断面図、第２図及び第３図は転写シー
トの構造を示す断面図、第４図は転写成型体の一
部切欠正面図、第５図は溶融樹脂の射出注入完了
時における樹脂成型用金型の断面図、第６図は樹
脂成型品の一例を示す一部切欠正面図、第７図は
同底面図である。 １……樹脂成型品、２……模様、４……転写シ
ート、５……剥離シート、９……転写成型体、１
２……樹脂成型用金型、１５……雌型、１６……
雄型、１７……溶融樹脂。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 加熱成型可能な剥離シートの上に任意の模様
   が形成された転写シートを加熱成形して転写成型
   体を得て、該転写成型体を樹脂成型用金型内に装
   着し、転写成型体の模様面側に溶融樹脂を供給し
   成形した後、該金型から凸面形状の樹脂成型品を
   取り出し、該樹脂成型品の表面に一体的に形成さ
   れた転写成型体から剥離シートを除去して、樹脂
   成型品の表面に模様を転写する方法において、 転写シート４をその模様面を外面としてフラン
   ジ部１０を設けた凸面形状に加熱成形して転写成
   型体９を得、次に該転写成型体９を樹脂成型用の
   射出金型１２のキヤビテイ１３内に遊装すると共
   に転写成型体９のフランジ部１０を前記金型１２
   の雌型１５と雄型１６とで挟持固定し、次いで転
   写成型体９の外面側に供給された透明ないし半透
   明の溶融樹脂１７の射出圧力により転写成型体９
   の殻壁を前記雄型１６の外面に当接成型し、成型
   完了後金型１２から樹脂成型品を取り出して剥離
   シート５を剥離除去することにより、樹脂成型品
   内面に所望の模様を転写形成することを特徴とす
   る樹脂成型品の模様転写方法。