JPH041298Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はＶ型エンジンの吸気管構造に関し、特
に左右のバンク間の上方に設けたサージタンクと
吸気ポートとを接続する独立吸気通路の連結構造
を改善したものに関する。

（従来技術） Ｖ型エンジンにおいては、エンジンの小型化を
図り且つ吸気管長を確保するために、左右両バン
クの相対向する内側面に各バンクの吸気ポートを
開口させ、両バンク間の上方にサージタンクを配
設し、サージタンクの側部から延びサージタンク
の下方でサージタンクの反対側の側部から延びた
吸気通路と互いに交差し反対側のバンクの各吸気
ポートに接続された複数の独立吸気通路を設ける
のが一般的である。

ところで、各独立吸気通路は複雑に湾曲した形
状であるため一体部品として鋳造することが難し
いので、各独立吸気通路を上半部と下半部とに２
分割し、吸気ポートに接続される独立吸気管と、
この独立吸気管とサージタンクとを接続する湾曲
状の接続管とを接続するようにした構造が採用さ
れる場合も少なくない。

そして、エンジン組立時の工程サイクル短縮の
ため、各バンクの複数の独立吸気管を溶接にて或
いは一体鋳造にて予め吸気管ブロツクに一体化
し、エンジン組立時には両バンクに吸気管ブロツ
クとサージタンクとを順々に組付け、最後に接続
管を組付けるようにしている。

従来、上記独立吸気管と接続管との接続部のよ
うに、鋳造品の吸気管の接続部構造には、一般に
フランジ接続構造が採用されて来た（例えば、特
開昭60−209623号公報参照）。

一方、本願出願人は先の出願（実願昭60−
59829号）において、上記独立吸気管の上端部に
嵌合フランジ部を形成し、上記接続管の下端部を
嵌合フランジ部にシール材を介して内嵌連結して
なる接続部構造を提案した。

（考案が解決しようとする問題点） 第２図は、上記吸気管ブロツク１００ａ，１０
０ｂを左右のバンク１０１ａ，１０１ｂのシリン
ダヘツドに組付けた状態の概略を示すもので、各
独立吸気管１０２の上端には接続用のフランジ１
０３が設けられ、各バンクに取付けられる３本の
独立吸気管１０２はそれらの下端の取付フランジ
を介して一体的に形成され、図示のように組付け
た状態において左右のバンク１０１ａ，１０１ｂ
の独立吸気管１０２は、それらの上部において交
互に接近して交差する状態になつており、独立吸
気管１０２は３次元的に湾曲した形状に形成され
ている。従つて、左右のバンク１０１ａ，１０１
ｂの吸気管ブロツク１００ａ，１００ｂを組付け
る際には、予めエンジン本体の外部において、両
吸気管ブロツク１００ａ，１００ｂの位置・姿勢
を調整しながら、一方の吸気管ブロツク１００ａ
の３本の独立吸気管１０２のフランジ１０３より
下方位置でこれら３本の独立吸気管１０２の間に
他方の吸気管ブロツク１００ｂの３本の独立吸気
管１０２を同時に交互に差し込んで両方の吸気管
ブロツク１００ａ，１００ｂの独立吸気管１０２
を交差状に組合わせ、それから両吸気管ブロツク
１００ａ，１００ｂをエンジンの対応するバンク
１０１ａ，１０１ｂに位置決めして組付けるよう
にしている。

上記組付けの際、他方の吸気管ブロツク１００
ｂの独立吸気管１０２のフランジ１０３が一方の
吸気管ブロツク１００ａの独立吸気管１０２の管
状部分と干渉するので組付性が著しく悪化すると
いう問題がある。

上記先の出願で提案した吸気管の接続部構造に
おいても、独立吸気管の上端に嵌合フランジ部を
形成しているので、組付性の面で上記同様の欠点
がある。

また、独立吸気管と接続管とをフランジ接続す
る構造では、フランジのボルト穴とボルト間の〓
間の分だけ独立吸気管と接続管とが異心状に位置
ズレした状態に接続されることも多く、その場合
吸気通路断面積が減少し、吸気性能の低下を来す
などの問題がある。

（問題点を解決するための手段） 本考案に係るＶ型エンジンの吸気管構造は、
夫々複数の気筒を有する１対のバンクの相対向す
る内側面に各バンクの各気筒の吸気ポートが開口
され、上記両バンク間の上方にサージタンクが配
設され、上記サージタンクの側部に上端部が接続
されサージタンクの下方でサージタンクの反対側
の側部から延びた吸気通路と互いに接近した状態
で交差して下端部が反対側のバンクの各吸気ポー
トに接続された複数の独立吸気通路を備えたＶ型
エンジンの吸気管構造において、上記各独立吸気
通路は、上端部がサージタンクに接続されサージ
タンクの下方へ湾曲した接続管と、上端部が接続
管の下端部に接続され且つ下端部が吸気ポートに
接続された独立吸気管とから構成され、互いに反
対側のバンクの各吸気ポートに接続された独立吸
気管同士が上記サージタンクの下方で交差して配
置され、各バンクに取付けられる複数の独立吸気
管はそれらの下端部の取付フランジを介して一体
的に構成され、上記接続管の下端部に独立吸気管
の上端部がシール材を介して内嵌連結されたもの
である。

（作用） 本考案に係るＶ型エンジンの吸気管構造におい
ては、サージタンクから各独立吸気通路を介して
各バンクの各吸気ポートへ吸気が供給されること
になり、各独立吸気管はサージタンクの側部から
延びサージタンクの下方を通つて反対側のバンク
の吸気ポートに接続されるので、十分な吸気管長
を有する独立吸気管通路となる。

左右のバンクに、取付フランジを介してブロツ
ク状に一体化された複数の独立吸気管を、夫々組
付ける際には、予めエンジン本体の外部におい
て、一方のブロツク状の複数の独立吸気管を治具
に支持させ、次にこれら複数の独立吸気管に他方
のバンクに取付けられる複数の独立吸気管を交差
させるように差し込んで両者を組合せ、その後こ
れら両者をエンジン本体の左右のバンクに夫々組
付けることになる。

ここで、独立吸気管の上端部が接続管の下端部
にシール材を介して内嵌連結される構造となつて
いることから、独立吸気管の上端部が大径化して
いないので、上記一方のブロツク状の複数の独立
吸気管と他方のブロツク状の複数の独立吸気管と
を交差状に組合わせる時に円滑に組合わせること
が出来る。但し、独立吸気管や取付フランジの構
造如何によつては、一方のブロツク状の複数の独
立吸気管を一方のバンクに組付けてから、他方の
ブロツク状の複数の独立吸気管を他方のバンクに
組付けることも不可能ではない。

上記左右のバンクに対してブロツク状の複数の
独立吸気管を夫々組付けてから、各独立吸気管の
上端部には接続管が接続されるが、独立吸気管の
上端部が接続管の下端部にシール材を介して内嵌
連結されるので、独立吸気管と接続管とを同心状
に正確に接続することが可能となる。

（考案の効果） 本考案に係るＶ型エンジンの吸気管構造によれ
ば、以上説明したように独立吸気管の上端部が大
径化しないので左右のバンクのシリンダヘツドに
独立吸気管を組付けるときの組付け性が著しく向
上すること、独立吸気管と接続管とを位置ズレの
ないように接続し得ること、などの効果が得られ
る。

（実施例） 本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

本実施例は、本考案に係るＶ型エンジンの吸気
管構造を６気筒Ｖ型エンジンに適用した場合の実
施例である。

第１図に示すように、Ｖ型エンジンＥは左右１
対のバンク１ａ，１ｂが約60°の開角をなしてＶ
形に配設され、左右のバンク１ａ，１ｂのシリン
ダブロツク２ａ，２ｂは一体で、左右のシリンダ
ブロツク２ａ，２ｂの上端には、夫々シリンダヘ
ツド３ａ，３ｂが固着され、左右のシリンダブロ
ツク２ａ，２ｂには夫々３個ずつシリンダボア４
が形成され、左右のバンク１ａ，１ｂのシリンダ
ボア４は前後方向について交互に配設されてい
る。

左右の各バンク１ａ，１ｂについて、シリンダ
ボア４とシリンダヘツド３ａ，３ｂの下面とピス
トン５の上面とで燃焼室６が形成され、燃焼室６
に連なる吸気ポート７の下流端を開閉する吸気弁
８が設けられ、吸気弁８は動弁機構で開閉駆動さ
れるようになつている。上記吸気ポート７はシリ
ンダヘツド３ａ，３ｂの内側面に開口している。

上記Ｖ型エンジンＥの吸気通路は、エアクリー
ナからサージタンク９まで延びる共通吸気通路
と、サージタンク９と、サージタンク９と各吸気
ポート７とを独立に接続する６本の独立吸気通路
１０ａ，１０ｂとから構成され、上記共通吸気通
路にはエアフローメータ、過給機及びスロツトル
弁などが介設されている。

上記サージタンク９は左右のバンク１ａ，１ｂ
間の上方に配設され、サージタンク９の左側部に
前後方向所定間隔おきに接続された３本の独立吸
気通路１０ａは夫々上記左側部から下方へ湾曲
し、サージタンク９の下方を通つて右側バンク１
ｂの各吸気ポート７に接続され、サージタンク９
の右側部に前後方向所定間隔おきに接続された３
本の独立吸気通路１０ｂは夫々上記右側部から下
方へ湾曲しサージタンク９の下方を上記独立吸気
通路１０ａと接近した状態で交差状に通つて左側
バンク１ａの各吸気ポート７に接続されている。

そして、上記独立吸気通路１０ａと独立吸気通
路１０ｂとは、前後方向について交互に配設され
ている。

上記各独立吸気通路１０ａ，１０ｂは、その上
半部を構成している接続管１１と、その下半部を
構成している独立吸気管１２とから構成されてい
る。

上記接続管１１は大曲率の湾曲状で、接続管１
１の上端部のフランジ部１１ａがサージタンク９
の側部の開口部の周囲部分にボルト１３により締
結され、接続管１１の下端部には少し大径化され
た嵌合フランジ部１１ｂが形成され、この嵌合フ
ランジ部１１ｂに独立吸気管１２の上端部がＯリ
ングなどのシール材１４を介して同心状に内嵌連
結されている。

上記独立吸気管１２の上端部はそれ以外の部分
と略同外径に形成され、上記シール材１４により
嵌合部の気密性が確保されている。

上記独立吸気管１２は接続管１１とは反対側へ
緩やかに湾曲する湾曲状に形成され、各バンク１
ａ，１ｂのシリンダヘツド３ａ，３ｂに接続され
る３本の独立吸気管１２の下端部には共通の取付
フランジ１５が溶接接合或いは一体鋳造により一
体化されており、上記取付フランジ１５をシリン
ダヘツド３ａ，３ｂの内側部の取付フランジ部１
６に４本のボルト１７で締結することにより３本
の独立吸気管１２が対応するシリンダヘツド３
ａ，３ｂに固着され、各独立吸気通路１０ａ，１
０ｂが各吸気ポート７に連通接続されている。

また、６本の独立吸気管１２にサージタンク９
を取付けるため、サージタンク９の幅方向中央部
の直下に対応する位置において各独立吸気管１２
の上側部にはボス状の取付部１８が突設され、サ
ージタンク９の壁部を挿通させた固定ボルト１９
を各取付部１８に締結することによりサージタン
ク９が６本の固定ボルト１９で独立吸気管１２に
固定されている。

尚、各吸気ポート７に燃料を噴射するインジエ
クタ２０が各独立吸気管１２の下端近傍部の上側
部に装着され、これらインジエクタ２０へは燃料
供給管２１から加圧燃料が供給される。

上記６本の独立吸気通路１０ａ，１０ｂとサー
ジタンク９とを組付ける場合には、先ず片側３本
ずつの独立吸気管１２が夫々対応するシリンダヘ
ツド３ａ，３ｂに組付けられ、次にサージタンク
９が６本の独立吸気管１２に組付けられ、最後に
６本の接続管１１が組つけられる。

上記左側バンク１ａの為の３本の独立吸気管１
２と右側バンク１ｂの為の３本の独立吸気管１２
とを交互に交差状に組付ける際に、各独立吸気管
１２の上端部が大径化していないので、組付能率
が格段に向上する。

各独立吸気管１２の上端部をこれに対応する各
接続管１１の嵌合フランジ部１１ｂに内嵌連結す
る構造なので、両者を同心状に位置ズレなしに連
結できるので、独立吸気通路１０ａ，１０ｂの通
路断面積が減少することもないばかりか、接続管
１１を組付ける際にも容易に組付けることが出来
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例に係るＶ型エンジンの
要部縦断面図、第２図は従来技術に係るＶ型エン
ジンの両バンクに独立吸気管を組付けた状態を示
す平面図である。 １ａ，１ｂ……バンク、４……シリンダボア、
７……吸気ポート、９……サージタンク、１０
ａ，１０ｂ……独立吸気通路、１１……接続管、
１１ｂ……嵌合フランジ部、１２……独立吸気
管、１４……シール材、１５……取付フランジ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 夫々複数の気筒を有する１対のバンクの相対向
   する内側面に各バンクの各気筒の吸気ポートが開
   口され、上記両バンク間の上方にサージタンクが
   配設され、上記サージタンクの側部に上端部が接
   続されサージタンクの下方でサージタンクの反対
   側の側部から延びた吸気通路と互いに接近した状
   態で交差して下端部が反対側のバンクの各吸気ポ
   ートに接続された複数の独立吸気通路を備えたＶ
   型エンジンの吸気管構造において、 上記各独立吸気通路は、上端部がサージタンク
   に接続されサージタンクの下方へ湾曲した接続管
   と、上端部が接続管の下端部に接続され且つ下端
   部が吸気ポートに接続された独立吸気管とから構
   成され、互いに反対側のバンクの各吸気ポートに
   接続された独立吸気管同士が上記サージタンクの
   下方で交差して配置され、各バンクに取付けられ
   る複数の独立吸気管はそれらの下端部の取付フラ
   ンジを介して一体的に構成され、上記接続管の下
   端部に独立吸気管の上端部がシール材を介して内
   嵌連結されていることを特徴とするＶ型エンジン
   の吸気管構造。