JPH0410074B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は色彩稿模様を有する紙合板チツプ及び
この紙合板チツプを用いて形成する装飾画体に関
するものである。

〔従来技術〕

色彩稿模様断面を有する造形用板材及びそれを
利用した造形物形成法については、本出願人に係
る特公昭60−35671公報に詳細に記載されている。
その概要を述べれば、異なる色彩の複数の紙片を
積層し、各紙片に樹脂系接着材を浸透させかつこ
の接着材により各紙片を一体に接合し、断面に色
彩縞模様を有する造形用板材としたもので、この
造形用板材に彫刻などを施して一つの形状となし
た後、全表面に透明の樹脂を塗布浸透させ、かつ
硬化させることによつて色彩縞模様を有する造形
物を得るものである。

このような構成をもつ造形用材は、紙を素材と
し樹脂性接着材を用いて一体化したことにより、
(1)刃物による加工が容易であり、削り過ぎの場合
も修復が容易である、(2)紙の色彩を利用すること
により色彩縞模様を有する造形物を熟練を要せず
に形成できる等の利点を有する。

〔発明が解決しようとする問題点〕

前記したように、造形用材が紙を素材とするこ
とにより加工は比較的に容易であるとはいうもの
の、板材から一つの複雑な造形物を創り上げ仕上
げるためには、ある程度の造形的な創作力、熟練
が要求される。大型の造形物になると使用される
材料の量、したがつて製作費用の問題も無視でき
ない。

本発明は上記した点を考慮し、造形材をチツプ
化することによつて問題の解決を図つたものであ
る。

すなわち、本発明の目的は、特別な熟練を要す
ることなく、材料も少なくてすみ、しかも効果的
に装飾模様を形成することのできる紙合板チツプ
及び装飾模様形成技術を提供することにある。

本願において開示される発明のうち代表的なも
のの概要を、簡単に説明すれば下記のとおりであ
る。

すなわち、異なる色彩の複数の紙片を積層して
各紙片に樹脂系接着材を浸透させかつこの接着材
により接合して合板としたものに、その主面に斜
め方向にうすく削り、わん曲断面をもちかつ木目
状の色彩縞模様を有する小片（チツプ）となした
ものであり、さらにこの小片を、平面上又は立体
表面に複数配置しかつ接着して、所定の装飾模様
を形成するとともに全表面に透明樹脂を塗布する
ことにより硬化させるものある。

〔作用〕

従来の紙合板を小片としたことにより、装飾模
様ないし造形物の構成が容易となり、熟練を要せ
ず、かつ材料費も節減でき、前記目的を達成でき
る。

〔実施例〕

材料として市販されている薄口の洋紙（全判、
四ツ切、八ツ切）又は和紙でいくつかの異なる色
彩に染色された紙片を用意する。これらの紙片は
切口断面の色彩を生かす必要上紙の両面、中心部
まで完全に染色され、かつ液状樹脂が良く浸透す
る比較的薄口のものを使用する。上記紙片を同じ
色彩のものを１枚または複数枚ごとに適当な色彩
配分に従つて例えば、20〜30枚またはそれ以上重
ねて１枚の板を形成する。紙片の貼合せに当つて
は、紙片１枚ごとに接着材を塗布して紙片を順次
重ね合せていく。接着材としては、紙片に対して
完全に接着して速乾性を有するもので、乾燥後固
結せず、ソフトで異物感のない無色透明で変せ
ず、また紙の色彩を変色させない粘着力のある化
学合成糊（例えば商品名アラビア糊等）と、酢酸
ビニル樹脂エマルジヨン系接着材（通称：木工用
ボンド）を撹拌混合したものをルーラー等を使用
して均一に、かつ十分に紙に浸透するように塗布
し、多数枚に貼合せた状態で、プレス（万力等）
で圧着させる。例えば30枚の紙片を重ねることで
第１図に示すように一定の厚さ（約５mm）を有
し、側面断面３に色彩縞を有する紙合板素材２を
得る。

このようにして得られた紙合板素材２は紙を心
材とし、接着部分は固着していないため、通常の
カツター彫刻力、糸鋸等で容易に切断、切抜き、
切削、刻切等の加工が可能で、所望とする形状に
造形することができる。

第２図は上記紙合板素材２を加工して紙合板チ
ツプを製造する形態を示す拡大断面図である。

紙合板素材の加工には、例えば第３図に示され
るような断面がわん曲状をなし、先端に刃４ａを
有する丸刃状のカツター４を使用する。

第２図に示すように、このカツター４を使つて
紙合板素材２の主面１に対して斜め方向（角度
θ）に力を加えて平行切削を繰り返すことによ
り、断面わん曲のうすい削り片（チツプ）５が多
数個得られる。

このようにして得られたチツプの一片は多数枚
の色紙片がずれた状態に重なり、第４図に示すよ
うに舌片状の木目縞模様を有するもので、そのＡ
−Ａ断面は第４Ａ図に示すように三日ケ月状にわ
ん曲したものである。

このような紙合板チツプ５は加工の際に断面の
わん曲度が大きいカツターを使用すれば幅の寸法
の大きいチツプが得られるが、断面のわん曲度の
小さいカツターを使用すれば細幅のチツプが得ら
れる。あるいは、断面がＶ状のカツター（三角ノ
ミ）を使用することにより第５図に示すようなＶ
状断面のチツプ６が得られる。

また、紙合板素材の主面に対するカツターの角
度θが小さければ縦方向寸法の長いチツプが得ら
れる。一方θが大きければ寸ずまりのチツプが得
られる。

このようなカツターによる加工は同時に複数本
のカツターを治具に固定したものを使用すれば、
短時間で大量のチツプを生産することが可能であ
る。

最初の紙合板素材２の製作のときに、重ねる色
紙の色彩の組合せを適当に選ぶことにより好みの
色彩配合をもつ紙合板チツプを製造することがで
きる。

第６図は上述した方法で製作された紙合板チツ
プを用いて平面上に装飾画体を形成した例を示す
ものである。

７は板紙、板材からなる基板、８はこの基板上
に接着された紙合板チツプである。

紙合板チツプは同図に示すように好みの模様形
状にしたがつて配置し、塗布した裏面に接着材を
介して基板に接合した後、チツプ表面に透明液状
アクリル樹脂をシンナー等で薄めて塗布し、乾燥
させる。このようにして、紙や板などの基板の上
に同図のような十字模様を有する装飾画体が得ら
れる。

第７図は紙合板チツプを用いて製造したペンダ
ントの例示を示すものである。

基板９には、たとえばフエルト材を用い、この
上に紙合板チツプ１０をたとえば放射状にならべ
て隙間なく配置する。一部ではチツプを二重三重
に重ねることになる。配置された周辺のチツプは
適当に切断加工して所要とする形となし、表面に
透明液状樹脂を塗布することによつてペンダント
形状に仕上げる。裏面にはクリツプ、チエーンな
どの金具を取付けてペンダントを完成する。

第８図は紙合板チツプを用いて製作した装飾画
体の例を示すものである。同図に示される鳥、花
あるいは樹木等はすべてそれぞれの色彩に見合う
色調形状のチツプを選んで基板となる板材上に配
置し、接着材を介して接合し、透明樹脂で固めた
ものである。

〔発明の効果〕

以上実施例で述べた本発明によれば、下記のよ
うに諸効果が得られる。

(1) 紙合板素材はカツター等により容易に加工で
き、好みの色彩の縞模様をもつチツプを好みの
寸法規格で大量に生産できる。

(2) このような紙合板チツプは特に熟練を要する
ことなく紙や板などの基板上に配置して簡単に
接着することができ、それに要する費用も低廉
である。

(3) 加工の易しさ、仕上げの美しさ等にすぐれて
いることから、初心者の装飾模様や装飾画の用
材、家庭における趣味の手作り用材として広く
利用できる。

以上は本発明者によつてなされた発明を実施例
にもとづき具体的に説明したが、本発明は上記実
施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱
しない範囲で種々変更可能である。

たとえば、紙合板チツプをはりつける基板は平
面にかぎらず、曲面を含む立体状のものの表面を
利用し、種々の形態の箱体や、装飾造形物を製作
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明における紙合板素材の斜面図で
ある。第２図は本発明による紙合板チツプを製造
する形態を示す断面図、第３図はチツプ切削に使
用されるカツターの斜面図である。第４図は本発
明による紙合板チツプの一片を示す拡大平面図、
第４Ａ図は第１図におけるＡ−Ａ断面図、第４Ｂ
図は同Ｂ−Ｂ断面図である。第５図は紙合板チツ
プの他の例を示す断面図である。第６図は本発明
の他の実施例を示す紙合板チツプを用いて製作し
た装飾模様の平面図、第６Ａ図は同Ａ−Ａ断面図
である。第７図は本発明の他の実施例を示し、紙
合板チツプを用いて製作したペンダントの平面
図、第７Ａ図は同Ａ−Ａ断面図である。第８図は
本発明の他の実施例を示し、紙合板チツプを用い
て製作した装飾絵画の平面図である。 １…色彩紙片、２…紙合板素材、３…側面断面
図、４…カツタ、５…削り片（紙合板チツプ）、
６…断面がＶ状のチツプ、７…基板（板紙、板
材）、８…紙合板チツプ、９…基板（フエルト
材）、１０…紙合板チツプ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 異なる色彩の複数の紙片を積層して各紙片に
   樹脂系接着材を浸透させかつこの接着材により接
   合して合板となしたものを、その主面に対し斜め
   方向にうすく削り、わん曲またはＶ字状断面をも
   ちかつ木目縞模様を有する小片に形成したことを
   特徴とする紙合板チツプ。 ２ 異なる色彩の複数の紙片を積層して各紙片に
   樹脂系接着材を浸透させかつこの接着材により接
   合して合板となし、その主面に対し斜め方向にう
   すく削り、わん曲又はＶ字状断面をもちかつ木目
   縞模様を有する小片となしたものを、基板表面上
   又は立体表面上に複数個配置し、かつ接着して所
   定の装飾模様を形成するとともに、全表面に透明
   樹脂を塗布することにより硬化させてなる装飾画
   体。