JPH0375704B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は構造物における耐震壁の施工方法に係
るものである。

（従来の技術） 従来鉄筋コンクリート耐震壁を施工する場合、
壁体部分は外周の柱、梁とともに施工現場におい
て鉄筋を組立て、型枠を建込んだのち、上部の床
部より梁の中を通してコンクリートを打設してい
た。

（発明が解決しようとする問題点） 従つて前記従来の施工方法では鉄筋を組立てる
ための鉄筋工が必要であり、次に型枠を建込むた
めの大工が必要であり、更にまたコンクリートを
打設するための人員も必要である。

また施工精度の点において、型枠の製作、建方
誤差が生じ、鉄筋と型枠とが接触し易く、鉄筋の
乱れを生じ易い。更にコンクリート打設時にまた
鉄筋が乱れ、コンクリート打設面はコンクリート
の調合、打設方法、養生方向によつて仕上りが一
定せず、コンクリートのひび割れの惧れもある。

このように前記従来の施工法では、多大の手間
と時間とを要する割にその効果が薄く、また爾後
の修理も省くことができない。

（問題点を解決するための手段） 本発明はこのような問題点を解決するために提
案されたもので、外周面にコツタが設けられたプ
レキヤスト鉄筋コンクリート壁版を構造物の柱、
梁より構成された構格内に建込み、前記壁版の各
コツタ及び柱、梁の同壁版に対向するコツタより
突出するコツタ筋を接合したのち、前記壁版と
柱、梁との間に接合コンクリートを打設すること
を特徴とするプレキヤスト鉄筋コンクリート耐震
壁の施工法に係るものである。

（作用）及び（発明の効果） 本発明においては外周面にコツタを設けたプレ
キヤスト鉄筋コンクリート壁版を使用し、同壁版
を柱、梁より構成された構造物の構格内に建込
み、同壁版のコツタ及び前記柱、梁の対向面に設
けられた各コツタより突出する壁版と柱、梁との
各コツタ筋を接合し、壁版と柱、梁との間に接合
コンクリートを打設したので、壁版は柱、梁にコ
ツタ筋接合部及び各コツタに填装された接合コン
クリートによつて剛強に接合され、柱、梁及び壁
版間の応力の伝達が確実に行なわれる。

而して本発明において施工現場において鉄筋を
組立てたり、型枠を建込んだり、またコンクリー
トを打設することなく、工場で製作されたプレキ
ヤスト鉄筋コンクリート壁版を柱、梁内にクレン
等によつて建込み、壁版及び柱、梁の各コツタ筋
を接合するとともに対向面に夫々コツタを有する
壁版と柱、梁との間に接合コンクリートを打設す
るようにしたので、施工が著しく簡略化され、現
場での作業員を減少し、業種を縮減し、工程を簡
略化し短縮でき、作業場が整然として作業環境が
向上される。

（実施例） 以下本発明を図示の実施例について説明する。

Ａはプレキヤスト鉄筋コンクリート壁版で、外
周面にコツタ１が列設されている。

前記のように構成された壁版Ａを、同壁版Ａに
対する対向面にコツタ２，３が設けられた柱Ｂ及
び下階梁Ｃ間に建込む。

而して前記壁版Ａの側面に設けられたコツタ１
より突出するコツタ筋４と、柱Ｂのコツタ２より
突出するコツタ筋５とを添筋６で溶接する。（第
２図及び第３図参照）なお図中７は壁版Ａと柱Ｂ
との間に配設された縦筋である。

なお柱梁内において壁版Ａが隣接する場合、両
壁版Ａのコツタ筋４，４を添筋８で溶接する。
（第４図及び第５図参照）図中９は縦筋である。

また壁版Ａの下面に設けたコツタ１より突出す
るコツタ筋４と下階のプレキヤストコンクリート
梁C₁のコツタ３より突出するコツタ筋１０とを
添筋１１で溶接する。（第６図及び第７図参照）
図中Ｄはプレキヤスト鉄筋コンクリートスラブ、
１２，１３は夫々梁C₁及びスラブＤの鉄筋突出
部である。

而るのち前記壁版Ａと梁C₁及び柱Ｂとの間、
相隣る壁版Ａ，Ａ間に接合コンクリートを打設す
る。この際壁版Ａと梁C₁との間には前記各鉄筋
１２，１３を埋設するように接合コンクリートを
打設し、壁版Ａ、梁C₁、スラブＤを一体化する
下階梁Ｃを構成する。

また壁版Ａの上部は第８図に示すように、同壁
版Ａの上面コツタ１より突出するコツタ筋４′を、
プレキヤスト鉄筋コンクリート上部梁C₁′の上方
及び側方における梁鉄筋１４突出部とプレキヤス
ト鉄筋コンクリートスラブＤの鉄筋１５突出部と
の間を上方に貫通せしめ、壁版Ａ、梁C₁′スラブ
Ｄ間にコンクリートを打設して、これらが一体化
された上階梁C′を構成する。

なおこの上階梁C′は上面にコツタ３が設けら
れ、同コツタ３より突出する前記コツタ筋４′が
上部のプレキヤスト鉄筋コンクリート壁版A′の
下面コツタ１より突設されたコツタ筋４と添筋１
１で溶接されるものである。

図示の実施例は前記したように構成されている
ので、プレキヤスト鉄筋コンクリート壁版はその
外周面に設けられたコツタと柱梁に設けられたコ
ツタと対向し、且つ壁版と柱梁のコツタより突設
された鉄筋が添筋を介して接合され、且つ壁版と
柱梁との間に接合コンクリートが打設されるの
で、壁版は柱、梁に剛強に接合され、両者間の応
力の伝達が確実に行なわれ、また壁版は工場製作
された部材よりなり、所要の個所にクレン等で建
込まれることによつて、施工を大幅に簡略化し、
工期を短縮しうるものである。

以上本発明を実施例について説明したが、本発
明は勿論このような実施例にだけ局限されるもの
ではなく、本発明の精神を逸脱しない範囲内で
種々の設計の改変を施しうるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の方法によつて施工された耐震
壁の正面図、第２図は壁版と柱との接合部を示す
正面図、第３図はその横断平面図、第４図は相隣
る壁版の接合部を示す正面図、第５図はその横断
平面図、第６図は壁版と下階梁との接合部を示す
正面図、第７図はその縦断側面図、第８図は壁版
と中間階梁との接合部を示す縦断側面図である。 Ａ，A′…プレキヤスト鉄筋コンクリート壁版、
Ｂ…柱、Ｃ，C′…梁、１，２，３…コツタ、４，
４′，５，１０…コツタ筋、６，８，１１…添筋。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 外周面にコツタが設けられたプレキヤスト鉄
   筋コンクリート壁版を構造物の柱、梁より構成さ
   れた構格内に建込み、前記壁版の各コツタ及び
   柱、梁の同壁版に対向するコツタより突出するコ
   ツタ筋を接合したのち、前記壁版と柱、梁との間
   に接合コンクリートを打設することを特徴とする
   プレキヤスト鉄筋コンクリート耐震壁の施工法。