JPH0357497Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、熱溶融性インクを含有する熱転写用
インクリボンにサーマルヘツドの発熱素子を選択
的に加熱して、記録紙等にインクを熱転写して逐
次印字記録を行なうサーマルプリンタに係り、特
に前記熱転写インクリボンを収納するインクリボ
ンカセツトに関するものである。

〔従来の技術〕 一般にシリアル型サーマルプリンタは小型、軽
量、低価格、低騒音、メイテナンス性、高信頼性
等の優れた特長を有している。特に熱転写プリン
タは記録画像の鮮明度が良く、且つ多色画像形成
も可能である。

シリアル型サーマルプリンタのサーマルヘツド
は、アルミニウム等の金属板から成るサーマルヘ
ツドホルダ上に１枚のセラミツク基板を取り付け
ている。セラミツク基板の上には発熱素子群が、
サーマルヘツドの移動方向と直交する方向に沿つ
て１列又は複数列に配列されている。

感熱転写記録を行なうときには、上記サーマル
ヘツドの発熱素子群を熱転写用インクリボンに圧
接しながら記録方向に移動すると共に、発熱素子
群に選択的に電圧を印加して加熱して、インクリ
ボンに含有する熱溶融性インクを記録紙上に熱転
写させて、文字等を逐次記録させる。

かかるシリアル型熱転写サーマルプリンタにお
いては、カセツト内に収納されたインクリボンの
一端は巻取ローラに、他端は送出ローラにそれぞ
れ固着されている。巻取ローラは印字動作の往行
程には、サーマルヘツドおよびカセツトを塔載し
てプラテン軸と平行して往復走行するキヤリツジ
に設けられたインクリボン巻取軸により回動され
るようになつれいる。また印字をしない復行程に
はインクリボンは巻取られない。

従来のサーマルプリンタのインクリボン巻取機
構としては、電動モータによつてインクリボン巻
取ローラを巻き上げる方式と、キヤリツジの走行
に連動して機構的にインクリボン巻取ローラを巻
き取る方式とがある。何れの場合においても、カ
セツト内に収納されたインクリボンは元巻部から
引き出されてサーマルヘツドの発熱素子の表面を
摺動して巻取部に巻取られる。このインクリボン
巻取過程において、インクリボンには無理な張力
が加わることがなく、また、弛みやインクリボン
の走行中の乱れを生じることなく円滑に巻き取ら
れねばならない。

〔考案が解決しようとする問題点〕

近年、高速印字を可能にするシリアル型熱転写
プリンタの開発進行に伴つて、次のような種々の
問題が発生している。

(1) 低速印字、例えば30cps以下のときには、イ
ンクリボンの熱溶融性インク塗着面がサーマル
ヘツドによつて記録紙に圧着されるときに生じ
る記録面の地汚れやこすれ等はあまり問題にな
らなかつたが、高速印字、例えば100cps位にな
ると、上記の現象が顕著にあらわれ記録画像品
質を低下せしめる。

(2) 高解像度の印字品質を有して、高速印字を行
なうためには、高熱伝導性と低熱拡散性を得る
ためインクリボンの基材（ベース）の厚さを極
めて薄くする（例えば３〜5μm）必要がある。
このような薄膜状基材から成るインクリボンを
カセツトに収納してカセツト移動に連動して高
速で巻き取ると、インクリボンがカセツト内で
乱れて、弛みや巻き込み等の走行不良を生じた
り、インクリボンの搬送進度が不均一になつた
り、ヘツドの発熱素子面から離脱してしまう等
の搬送不良や走行不安定等を生じる。これらの
問題点は印字品質の低下や印字不能又はプリン
タ故障等を惹起する。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は上記の問題点を解決するためになされ
たもので、高速印字・高解像度印字を達成するこ
とを目的とし、インクリボン基材の極めて薄いも
のを用いても、インクリボンの走行性を安定して
いて、且つサーマルヘツドによつて記録紙に圧着
された時に汚れやこすれ等のない良好な印字品質
を得ることができるサーマルプリンタのインクリ
ボンカセツトを提供することを目的とするもので
ある。

この目的を達成する本考案のサーマルプリンタ
のインクリボンカセツトはサーマルヘツドの近傍
でインクリボンに安定したバツクテツシヨンをか
けるように構成したもので、詳しくはサーマルヘ
ツドによりインクリボンを介して記録紙に熱転写
記録を行うサーマルプリンタのインクリボンカセ
ツトにおいて、前記インクリボンカセツトのイン
クリボンの元巻部とサーマルヘツドの印字記録部
との間で、この記録部に近接してインクリボンを
弾性的に挟持する二つの板ばねを配置し、一方の
板ばねの先端の圧接部分を曲面形状として、この
板ばねに常時インクリボンの張力を付与する方向
に弾性力を与え、他方の板ばねの抗力に拮抗する
ように配置するリボン挟持部材を設け、このイン
クリボンに圧接するリボン挟持部材のいずれか一
方にフエルト部材を張りつけ、インクリボンの滑
りを防止し、インクリボンの搬送方向に対するバ
ツクテンシヨンを付与したことを特徴とするもの
である。

〔実施例〕

以下、図面を参照して本考案の実施例を詳細に
説明する。

第１図は本考案によるインクリボンカセツトの
断面図である。図において、１は熱転写インクを
塗着する熱転写インクリボン、２はインクリボン
１の元巻部、３は使用済みのインクリボン２の巻
取部である。４はインクリボン１を収納するイン
クリボンカセツト（以下、単にカセツトと称す）
で、プラテン２０側の端部の中央には矩形状の切
欠部４Ａが設けられている。インクリボン１はこ
の切欠部５において外部に露出している。また上
記カセツト４の切欠部４Ａとインクリボン１との
間の空間には、カセツト４をサーマルプリンタの
キヤリツジ１３に設置したとき、キヤリツジ１３
に傾動自在に枢着されたサーマルヘツド１２が下
方から挿入される。

元巻部２は、カセツト４の円筒状突起部４Ｂの
外径に緩く嵌合する巻芯５に密巻きされたインク
リボン１のローラである。元巻部２の最外層のイ
ンクリボン１は引き出されて、サーマルヘツド１
２が設置された記録部を経て巻取部３によつて巻
芯６に巻き取られる。巻芯６はカセツト４の内側
底部に設けられた円形状突起（不図示）に遊嵌し
て回転自在になつている。巻芯６の外径部にはイ
ンクリボン１の一端が固定されていて、巻芯６の
矢印方向回転によつてロール状に巻き取られる。
巻芯６の内径部は複数個の切欠きを有する中空円
形になつていて、キヤリツジ１３側の複数の突起
を有する巻取軸１４が嵌合してある。

カセツト４の内側には、固定ピン７，８が一体
に形成されていて、インクリボン１をガイドして
引きまわし張架する。４Ｃはカセツト４の内壁の
一部をなし、先端部が曲面状をなすガイド部であ
つて、インクリボン１に摺接し走行方向を規制し
ている。４Ｄ，４Ｅはカセツト４の前記切欠部４
Ａの両側壁の最前面を形成する曲面状のガイド部
である。インクリボン１はこのガイド部４Ｄ，４
Ｅの間に張架される。

４Ｆ，４Ｇ，４Ｈ，４Ｊはカセツト４の内側に
一体に設けられた固定ピンであり、後述の板ばね
を保持する。４Ｋは前記ガイド部４Ｃの側方に設
けられたスリツト部である。

板ばね９の右端の折曲部は上記スリツト部４Ｋ
に挿入され、板ばね９の平面部は固定ピン４Ｆに
当接する。板ばね９の左端はほぼ円筒状をなす曲
面部であつて、インクリボン１はこの曲面部の外
周に摺接し、板ばね９の弾性力によつて支持され
ている。

板ばね１０はＬ字形に折り曲げられた弾性板で
あつて、前記切欠部４Ａの両側壁の一部と固定ピ
ン４Ｇ，４Ｈ，４Ｊとによつて保持されている。
板ばね１０の右端上面にはフエルト板１１が取付
けられている。インクリボン１はここでは板ばね
１０によつて弾性的に支持されたフエルト板１１
の上面と、前記板ばね９の左端の曲面部の外周と
の間に弾性的に挾持される。そしてインクリボン
１の挾接位置は、インクリボン１がサーマルヘツ
ド１２によつて第２図の如く引き上げられた位置
に変わつても、常に圧接挾持された状態を保持す
る。

本考案によるサーマルプリンタのインクリボン
カセツトは以上の如く構成されていて、元巻部２
の巻芯５にロール状に巻き込まれたインクリボン
１の一端は固定ピン７の外周に巻かれて方向変換
し、ガイド部４Ｃを摺接して、板ばね９の曲面部
とフエルト板１１との間に圧接されて通過し、開
口状の切欠部４Ｃの両端のガイド部４Ｄ，４Ｅの
間を張架して、固定ピン８の外周を巻回して、巻
取部３の巻芯６にロール状に巻き取られる。この
ようにインクリボン１はフエルト板１１、板ばね
９の圧接位置と巻取部３との間で張架されている
から、サーマルヘツド１２によつてインクリボン
１がカセツト４の外方に引き出された場合にも、
または元巻部２のインクリボン１が弛んだ場合に
も、記録部付近のインクリボン１は常にバツクテ
ンシヨンがかかつていて緊張状態を保つ。

なお、上記板ばね９，１０は燐青銅板又はステ
ンレス鋼板等のばね材を用いプレス加工して得ら
れる。その板厚は0.05ないし0.5mm、板幅はイン
クリボン１の幅とほぼ等しく、適度な押圧力が得
られるよう設計される。またフエルト板１１は弾
力性と耐摩擦性のよい材料、例えば天然繊維又は
合成繊維を厚縮して布状に形成したものである。
上記フエルト板１１は板ばね１０の代わりに板ば
ね９の曲面のインクリボン摺接箇所に取り付けれ
ばインクリボン１の熱溶融性インク塗着面に付着
した塵埃や紙粉等はフエルト板１１で除去するこ
とができる。更に上記板ばね９，１０のインクリ
ボン１に圧接する部分は回転可能なローラにして
もよい。

第２図は上記カセツトをシリアルキヤラクタ型
サーマルプリンタのキヤリツジに搭載して印字状
態を示す一部破断平面図であり、第３図は上記サ
ーマルプリンタの要部を示す斜視図である。

サーマルプリンタの機構部は、記録紙給送部、
サーマルヘツドを搭載して走行駆動せしめるキヤ
リツジユニツト、カセツト内に収納されたインク
リボンを巻取り駆動するリボン巻取り機構部とか
ら構成されている。

記録紙給送部は、記録紙Ｐを巻回して搬送する
円筒状のプラテン２０と、該プラテン２０に圧接
する紙送りローラ２１とから成る。プラテン２０
はプリンタ本体フレーム２２の左右側板の各軸受
に回転自在に支持されていて、パルスモータ又は
サーボモータ等の駆動用モータ２３によつて矢印
方向に間欠回転駆動される。

プラテン２０の前方にはガイドシヤフト２４お
よびラツク歯形を有するガイドバー２５がプリン
タ本体フレーム２２に架設されている。キヤリツ
ジ１３はガイドシヤフト２４に嵌合し、ガイドバ
ー２５によつて案内されてプラテン２０の中心軸
と平行方向に移動可能となつている。キヤリツジ
１３はその下面にエンドレス状の歯付ベルト２６
の一部を固定している。歯付ベルト２６は、歯付
プーリ２７と、駆動用モータ２８の駆動軸と一体
をなす歯付プーリ２９との間に張架されている。
モータ２８は印字信号に基づいて左又は右回転
し、これにより歯付ベルト２６を回動し、更にキ
ヤリツジ１３を左右方向に移動させる。

キヤリツジ１３のガイドバー２５側の端部に
は、ピニオン歯車１５が回転自在に設けられてい
て、ガイドバー２５のラツク歯形２５Ａに歯合し
ている。該歯車１５は係脱自在なアイドル歯車１
６を介して巻取軸１４と同軸固定された歯車１７
に歯合している。

キヤリツジ１３のプラテン２０に近接する側に
は、サーマルヘツド１２が傾動自在に枢着されて
いる。該サーマルヘツド１２は図示しないが、プ
ラテン２０から離れる方向に常時スプリングによ
り付勢されており、印字動作の往行程時（第２図
および第３図の右方向移動時）には、プラテン２
０側にソレノイド等を利用して強制的に傾動され
る。

このような構成をなすインクリボンカセツトを
搭載したシリアル型サーマルプリンタの記録動作
を以下に説明する。印字動作の往行程時には、サ
ーマルヘツド１２をソレノイド等によりプラテン
２０側に強制的に傾動する。これによりインクリ
ボン１はサーマルヘツド１２によりカセツト４の
外方に引き出されプラテン２０に圧着される。こ
のインクリボン１引出し時には巻取軸１４は静止
しているから、元巻部２からインクリボン１が引
き出されるが、インクリボン１は板ばね９とフエ
ルト板１１との間で弾性的に挾持されているか
ら、記録部付近に突出したインクリボン１は緊張
状態となり、弛みやしわは生じない。ここで、サ
ーマルヘツド１２の発熱素子はインクリボン１の
裏面（インクが塗布されていない面）を押圧する
と共に、記録紙Ｐをプラテン２０に押し当ててイ
ンクリボン１の表面を記録紙Ｐに接触させる。こ
の状態において、キヤリツジ１３をモータ２８の
駆動力によつて歯付ベルト２６を介して右方向に
直線移動させながら、サーマルヘツド１２に印字
信号を印加すれば、記録紙Ｐ上にマトリクス状の
ドツト印字が形成される。

キヤリツジ１３が右移動する際には、プリンタ
本体に固設されたガイドバー２５のラツク歯形２
５Ａに歯合するピニオン歯車１５が回転されて、
アイドル歯車１６を介して歯車１６と同軸をなす
巻取軸１４が回転される。巻取軸１４の上端には
カセツト４内の巻取部３の巻芯６が嵌入・係合し
ているから、キヤリツジ１３の右方向移動によ
り、巻芯６に一端が固定された使用済みのインク
リボン１は、矢印方向に巻き取られる。

かくして印字往行程では、サーマルヘツド１２
と記録紙Ｐに挾持されたインクリボン１は、キヤ
リツジ１３の走行長さに等しい量が巻取軸１４に
巻き取られ、元巻部２から新しいインクリボン１
が引き出されて印字部に送られる。この間、印字
部付近のインクリボン１は常に前記板ばね９，１
０の弾性力により圧接挾持されて緊張状態となつ
ている。

印字をしない復行程時（第２図および第３図の
左方向移動時）には、先ずサーマルヘツド１２が
プラテン２０から離間してカセツト４の切欠部４
Ａに復帰した後、キヤリツジ１３は僅か右方向移
動して一旦停止する。これによつてカセツト４の
切欠部４Ａの開口部付近に余分となつたインクリ
ボン１は巻取部３に巻き取られて、弛緩すること
はない。

キヤリツジ１３が左方向移動へ方向変換すると
き、又はその直前にアイドル歯車１６と歯車１７
との歯合が解除され、この状態でキヤリツジ１３
は左方向移動を行なうから巻取軸１４は回転せ
ず、インクリボン１は巻き取られることはない。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案によれば、サーマ
ルヘツドの記録位置に近接して相互に相反する方
向に弾性力を付与された二枚の板ばねによりイン
クリボンを挟持して、インクリボンの走行中およ
び印字停止中のバツクテンシヨンを制御すること
ができ、特に、インクリボン基材の極めて薄いも
のを用いてもインクリボンの走行性が安定してい
るから高速印字に有効である。またサーマルヘツ
ドによつて記録紙に圧着された時に汚れやこすれ
等のない、良好な印字品質を得ることができるイ
ンクリボンカセツトが実現する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるインクリボンカセツトの
断面図、第２図は該カセツトをシリアル型熱転写
サーマルプリンタに搭載して印字状態を示す一部
破断平面図、第３図は上記サーマルプリンタの要
部を示す斜視図である。 １……熱転写インクリボン、２……元巻部、３
……巻取部、４……インクリボンカセツト、４Ａ
……切欠部、４Ｄ，４Ｅ……ガイド部、４Ｆ，４
Ｇ，４Ｈ，４Ｊ……固定ピン、５，６……巻芯、
７，８……固定ピン、９，１０……板ばね、１１
……フエルト板、１２……サーマルヘツド、１３
……キヤリツジ、１４……巻取軸、１５……ピニ
オン歯車、２０……プラテン、２５Ａ……ラツク
歯形。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. サーマルヘツドによりインクリボンを介して記
   録紙に熱転写記録を行なうサーマルプリンタのイ
   ンクリボンカセツトにおいて、前記インクリボン
   カセツトのインクリボン元巻部と、サーマルヘツ
   ドの印字記録部との間で、この記録部に近接して
   インクリボンを弾性的に挟持する二つの板ばねを
   配置し、一方の板ばねの先端の圧接部分を曲面形
   状として、この板ばねに常時インクリボンの張力
   を付与する方向に弾性力を与え、他方の板ばねの
   抗力に拮抗するように配置するリボン挟持部材を
   設け、このインクリボンに圧接するリボン挟持部
   材のいずれか一方にフエルト部材を張りつけ、イ
   ンクリボンの滑りを防止し、インクリボンの搬送
   方向に対するバツクテンシヨンを付与したことを
   特徴とするサーマルプリンタのインクリボンカセ
   ツト。