JPH0331925B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、ねじ棒が取り付けられた支持プレ
ート上に構造部品又は機能部品を取り外すことが
できるように取り付け固定するために用いられ、
例えば自動車の車体における床面にブレーキ用配
管を取り付け固定するために用いられる支持用ク
リツプに関する。

さらに詳しくは、ねじ棒に押し込まれる取り付
け用孔を有し、ばね弾性を有する合成樹脂からな
る支持用クリツプであつて、取り付け用孔の内壁
が上下に交互に配置される取り付け用孔の軸に対
して横方向に走る偏平空間によつて中断され、偏
平空間は取り付け用孔の直径幅で形成されるとと
もに支持用クリツプの外壁まで伸びて、偏平空間
の間にリブを形成し、リブは支持用クリツプの押
し込み方向に対して外方へ向つて軽く傾斜する半
円形の孔壁を有し、孔壁における内方へ向つて突
出する壁縁の間の内径寸法がねじ棒の外径より若
干小さく形成される支持用クリツプに関する。

（従来の技術） 従来、この種の支持用クリツプでは、特公昭59
−18563号に記載された支持用クリツプがあり、
この支持用クリツプは、取り付け用孔の軸に対し
て横方向に走る偏平空間が配置されることによつ
て次のような長所をもつている。

即ち偏平空間を作るために必要な成形金型にお
ける成形プレートを、支持用クリツプの成形部分
の如く、同一の方向に形成することができる。こ
れによつて、支持用クリツプは、二つの上下に交
互に配置された成形プレートを有する二つに分れ
た成形金型により比較的低コストで製造すること
ができる。

また、ねじ棒の上にこの種の支持用クリツプを
押し込む場合には、各孔壁はねじの上に軽く曲げ
られてさし込まれ、このねじ山は支持用クリツプ
を保持する位置においては、半円形の孔壁の中に
軽く埋め込まれて、これによつて確実に不動の結
合を得ることができる。若干の孔壁はその位置に
よつてはねじ山の下に向つてはね返り、これによ
つて保持力が増す。従つて鋸歯状のねじを有する
ねじ棒を使用する場合は、支持用クリツプの保持
力はクリツプをねじ棒に押し込む力よりも大きく
なる。しかしながらこの大きな保持力にもかかわ
らず、必要な場合は再びねじもどして取り外すこ
とができ、そして保持力をそこなうことなく再び
ねじ棒の上に押し込むことができる。

（発明が解決しようとする問題点） この種の支持用クリツプをねじ棒に押し込む力
についていえば、成形技術上適当なリブの寸法の
場合、孔壁は比較的剛性が大きく、従つてねじ棒
の上に押し込む場合、大きな力が必要である。こ
れはベルトコンベヤ上で自動的に組み立てられる
場合は欠点とは感じられない。しかしながらクリ
ツプを手作業でねじ棒の上に押し込まねばならな
い場合は、これに必要な力は作業者の筋力を超え
ている。その場合支持用クリツプはハンマーの力
をかりてねじ棒の上に打ち込まれる。しかしこの
場合ハンマーが外れて支持プレートを傷つける危
険がある。

この発明は、既述の問題点を解決するもので、
従来の取り付け用孔の孔壁を改良し、保持力をそ
こなうことなしに、ねじ棒に押し込む力を減少で
きる支持用クリツプを提供することを目的とす
る。なお、このねじ棒に押し込む力は、手作業が
可能な最大60〜80ニユートン以下が望ましい。

（問題点を解決するための手段） この発明に係る支持用クリツプは、ねじ棒に押
し込まれる取り付け用孔を有し、ばね弾性を有す
る合成樹脂からなる支持用クリツプであつて、取
り付け用孔の内壁が上下に交互に配置される取り
付け用孔の軸に対して横方向に走る偏平空間によ
つて中断され、偏平空間は取り付け用孔の直径幅
で形成されるとともに支持用クリツプの外壁まで
伸びて、偏平空間の間にリブを形成し、リブは支
持用クリツプの押し込み方向に対して外方に向つ
て軽く傾斜する半円形の孔壁を有し、孔壁におけ
る内方へ向つて突出する壁縁の間の内径寸法がね
じ棒の外径より若干小さく形成される支持用クリ
ツプにおいて、ねじ棒に接触する孔壁をリブに対
して弾性変形可能に形成させることにより、既述
の問題点を解決するものである。

（発明の作用・効果） この発明に係る支持用クリツプは、ねじ棒に接
触する孔壁がリブに対して弾性変形可能に形成さ
れており、支持用クリツプをねじ棒に押し込む際
に、孔壁が容易に外側に向つて押し出され、その
後ねじ山の下側にはね返つて当接したり、あるい
は、リブの先端が容易に上方に曲つて、その後、
ねじ山の下側から斜めに支えたり、又はねじ溝の
中に入り込んで保持力を維持する。

したがつて、保持力をそこなうことなしに、ね
じ棒に押し込む力を減少させることができる。

（実施例） 第１図に示された支持用クリツプは二つの把持
部１及び２と、そしてクリツプの中心に配置され
た取り付け用孔３とからなる。取り付け用孔３
は、矢印“Ｐ”の方向に力を働かせることによつ
て、支持プレート８に溶接されるか又はその他の
方法で取り付けられたねじ棒９の上に支持用クリ
ツプを押し込むために用いられる。把持部１及び
２はブレーキチユーブ、パイプ、ケーブル等のよ
うな特に管状の構造部品又は機能部品４を収容す
るために溝５と弾力的に変形することのできるば
ねアーム６を備えている。このばねアーム６は保
持されるべき部品４を押し込む場合に開口部７の
中に横に移動し、そして再び元に位置にはね返
り、これにより挿入された構造部品４を上から支
える役をする（第７図参照）。

取り付け用孔３の内壁は、第２図及び第５図か
ら明らかな如く、上下に交互に配置され、孔の直
径幅をもつた平らな偏平空間１０によつて中断さ
れ、この偏平空間１０は成形上の理由から孔の軸
に対して横方向にクリツプの外壁まで伸び、これ
によつて偏平空間１０の間に半円形の孔壁１２を
もつたリブ１１が残る。この孔壁１２はクリツプ
の押し込み方向に軽く外側に向つて斜めになつて
いて、内側に向つて突出する壁縁１３の内径寸法
“ｗ”はねじ棒９の“ｄ”よりも若干小さくなつ
ている。

このねじ棒９は鋸歯の形をしたねじ断面を備え
ている。そして上側の傾斜のゆるいねじ側面１４
は外側に向つて斜めに切られた半円形の孔壁１２
と当接されてクリツプの押し込みを容易にする。
そして傾斜の急な下側のねじ側面１５はよりすぐ
れた保持力を持つことができる。この際ねじ山１
６はクリツプを押し込んだ際、孔壁１２の中に軽
く埋め込まれるか、又は孔壁の縁１３が、ねじ山
１６を乗り越えた後に下側のねじ側面１５の下に
はね返り、そして下からこれを支える。

ねじ棒９に接触する孔壁１２は、上側のねじ側
面１４及びねじ山１６を通過する時に、クリツプ
の押し込み方向と逆にねじ棒９から離れて弾力的
に変形するようにリブ１１に取り付けられてい
る。この弾力的な変形は第１図及び第２図に示さ
れているごとく、この孔壁１２が半円形又はカラ
ーの形に形成され、そしてその下の部分でリブ１
１と結合されて変形することができることによつ
て達成される。そしてリブ１１は孔壁１２の高さ
“ｈ”よりも二分の一から三分の二までの量だけ
薄くなつている。孔壁１２の厚さ“ｓ”はリブ１
１の厚さ“ｒ”とほぼ同一になつており、容易に
弾力的に変形することができると共に、又十分な
強度をもつており、これによつてこの孔壁を有す
るリブ１１及びねじ棒９とを連結させ、希望する
ような保持力をもたらすことができる。

半円形の孔壁１２を弾力的に変形することがで
きるように作ることは第３図〜第６図に示す方法
によつても又可能である。この場合孔壁１２のリ
ブ１１は両側の方向で一部を切り込まれて、約半
分の厚さに薄くされ、これにより残留するリブの
先端１７がクリツプを押し込む際により容易に上
に曲るようにしてある。リブの先端１７の壁縁１
３の間の内径寸法“ｗ”はねじ棒９の谷径“ｋ”
と等しいか、又はこれよりもごくわずかだけ大き
くしてある。リブの先端１７は、上に曲るのを容
易にするために、上側の面、即ち押し込む方向か
ら見て後側に当るリブの壁面１８と連続され、ね
じ棒９の溝幅“ｂ”とほぼ同じおなじ厚さにして
あり、これによつてリブの先端１７はねじ棒９に
対する位置によつて溝の中に、即ちねじ山の側面
１４と１５との間に一杯に入り込むことができ
る。リブの先端１７はその弾力性によつてねじの
ピツチによく適合して変形することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は一実施例の支持用クリツプにおける拡
大された正面図を示す。第２図は第１図の線−
における取り付け用孔の断面図を示す。第３図
は別の実施例の支持用クリツプにおける拡大され
た正面図を示す。第４図は第３図の線−にお
ける取り付け用孔の断面を上から見た図を示す。
第５図は第３図の線Ｖ−Ｖにおける取り付け用孔
の断面図で、ねじ棒の上に押し込まれる前の状態
を示す。第６図は第５図と同じ断面図で、支持用
クリツプをねじ棒の上に押し込んだ後の状態を示
す。第７図はねじ棒の上に押し込んで組立てられ
た支持用クリツプで、パイプを入れて保持してい
る状態を示す図で、実寸であらわされている。 ３……取り付け用孔、９……ねじ棒、１０……
偏平空間、１１……リブ、１２……孔壁、１３…
…壁縁、１７……リブ先端、１８……リブ壁面。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ねじ棒に押し込まれる取り付け用孔を有し、
   ばね弾性を有する合成樹脂からなる支持用クリツ
   プであつて、前記取り付け用孔の内壁が上下に交
   互に配置される前記取り付け用孔の軸に対して横
   方向に走る偏平空間によつて中断され、該偏平空
   間は前記取り付け用孔の直径幅で形成されるとと
   もに前記支持用クリツプの外壁まで伸びて、前記
   偏平空間の間にリブを形成し、該リブは前記支持
   用クリツプの押し込み方向に対して外方に向つて
   軽く傾斜する半円形の孔壁を有し、該孔壁におけ
   る内方へ向つて突出する壁縁の間の内径寸法が前
   記ねじ棒の外径より若干小さく形成される支持用
   クリツプにおいて、前記ねじ棒９に接触する前記
   孔壁１２が前記リブ１１に対して弾性変形可能に
   形成されていることを特徴とする支持用クリツ
   プ。 ２ 前記孔壁１２が半リング状又はカラー状の形
   に形成されて下側部位で外方へ向つて伸びる前記
   リブ１１と結合され、該リブ１１が前記孔壁１２
   の高さ“ｈ”より略1/2〜2/3だけ薄く形成される
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項に記載さ
   れた支持用クリツプ。 ３ 前記カラー状の形の孔壁１２における壁の厚
   さ“ｓ”が前記リブ１１の厚さ“ｒ”と略同一で
   あることを特徴とする特許請求の範囲第２項に記
   載された支持用クリツプ。 ４ 前記リブ１１が前記孔壁１２から一部を両側
   の方向へ切り込まれ、該切り込まれた部位におけ
   る前記リブの先端１７が前記リブ１１に対して略
   １／２だけ薄く形成され、該リブの前記先端１７に
   おける壁縁１３の間の内径寸法“ｗ”が前記ねじ
   棒９における谷径“ｋ”と等しいか又はこれより
   少し大きく形成されることを特徴とする特許請求
   の範囲第１項に記載された支持用クリツプ。 ５ 前記リブの先端１７がリブ１１の上面、即ち
   押し込み方向における後方のリブ１１の壁面１８
   と面一となるように結合されて、前記リブの先端
   １７の厚みがねじ棒９の溝幅“ｂ”と略同一に形
   成されることを特徴とする特許請求の範囲第４項
   に記載された支持用クリツプ。