JPH0323824Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、ブラシ装置をそなえた小型回転機、
特に先端部にブラシをそなえると共に他端部に電
源電圧が供給されたアーム・ガイドに対して回動
自在に係止されるアーム係止部をそなえた２組の
ブラシ・アームをそなえてなり、当該係止部と上
記アーム・ガイドとの電気的接触状態を安定させ
るようにしたブラシ装置をそなえた小型回転機に
関するものである。

［従来の技術と考案が解決しようとする問題点］ 従来、高出力用の小型回転機例えば小型モータ
に使用されているブラシ装置にあつては、筒状の
ブラシ・ホルダにブラシとスプリングとを組込
み、スプリングの弾性力によつてブラシを押圧す
る構造のものがあるが、この構造のブラシ装置は
ブラシの摩耗に伴つてブラシの押圧力が変化し必
ずしも安定した押圧力が得られない欠点があつ
た。そして、その構造も複雑である欠点があつ
た。また弾性体のブラシ・アームにブラシを取り
付け、該ブラシ・アームの弾性力だけではブラシ
の押圧力が不足するため，補助ブラシ・アームを
設けた構造のものがあるが、この構造のブラシ装
置は上記の構造のブラシ装置と同様にブラシの摩
耗による押圧力の不安定性、その構造の複雑さお
よびブラシ交換が容易に行えないなどの欠点を有
していた。本願出願人は先にこれらの欠点を解決
すべく実願昭59−120850号を出願している。以
下、前記出願のブラシ装置をそなえた小型回転機
を第２図ないし第６図に関連して説明する。

上記出願の小型回転機の斜視図を示す第２図お
よびその縦断面図を示す第３図において、筒形状
のモータ・ケース１の両端にハウジング２及びケ
ース蓋３が止めねじ４によつて固定されている。
ハウジング２には止めねじ４用の長穴（図示省
略）が設けられており、後に詳しく説明するが該
長穴によつてケース蓋３のモータ・ケース１に対
する取り付け位置が変えられ、モータの回転方向
によつてブラシが最適な整流位置にくるように調
整できるようになつている。該長穴はハウジング
２に設けられた風孔（図示省略）と共に、冷却用
の通風孔としても機能する。ハウジング２及びケ
ース蓋３の各中央部はベアリング７を介して回転
子８のシヤフト９を軸支している。ケース蓋３側
のシヤフト９には整流子１０が固着されており、
該整流子１０の上方に回転子８等で発生する熱を
逃す長角孔状の風孔１１が適宜の間隔で複数個ケ
ース蓋３に設けられている。該ケース蓋３の下側
は次に説明するブラシ装置１２を取り付けるリム
部３ａを残し大きく削り取られており、この削り
取られたケース蓋３の下側の部分、すなわちケー
ス蓋３の内部であつてその内面にブラシ装置１２
が取り付けられている。なお、モータ・ケース１
の中央部に２個のマグネツト１３が取り付けられ
ているが、当該マグネツト１３の存在を明確にす
るため、第３図ではマグネツト１３が実際に位置
する位置よりも90度ずらした上・下の位置に図示
されており、これらのマグネツト１３が止めねじ
４に対して妨害となるものではない。

次にブラシ装置１２について説明する。第３
図、第４図（正面図）、第５図（右側面図），第６
図Ａ（ブラシ・アーム部分の拡大断面図）、第６図
Ｂ（他の実施例におけるブラシ・アーム部分の拡
大図）を特に参照してみると判るように、ケース
蓋３のリム部３ａに２個のアーム・ガイド１４が
それぞれ固着されている。上記説明のケース蓋３
は合成樹脂等の絶縁材が使用されており、金属材
のアーム・ガイド１４とリム部３ａとの固着はワ
ツシヤ１５を介したカシメ等によつて行われてい
る。各アーム・ガイド１４には，当該アーム・ガ
イド１４の支柱径を内径とする円形状に形成され
たブラシ・アーム１６の一端，すなわち支柱受け
基部１６ａが嵌め込まれており、さらにブラシ・
アーム１６の端面１６ｂと電気的に接続されるタ
ーミナル板１７が嵌め込まれている。そして各タ
ーミナル板１７は絶縁材の固定板１８を介して固
定ねじ１９でそれぞれのアーム・ガイド１４に固
定されている。ブラシ・アーム１６の強度を補強
するため，ブラシ・アーム１６の支柱受け基部１
６ａの部分にはリブ１６ｃが設けられ、また当該
ブラシ・アーム１６の長手方向側面に折り曲げ片
１６ｄが形成されている。なおアーム・ガイド１
４とブラシ・アーム１６との電気的接触を良好な
らしめるための手段として、例えば第６図Ｂに示
すように、ブラシ・アーム１６の内面に複数個の
突条部１６ｅを設けてアーム・ガイド１４の外周
面に密着させるとよい。

ブラシ・アーム１６の先端部にはブラシ２０が
取り付けられており、またその中央部の位置に絶
縁材のスプリング受け２１が設けられている。第
４図図示の如く、整流子１０との接触を回避する
と共に、弾性力を得るために円形状に形成された
金属製の板ばね２２の各先端部が、２個のブラ
シ・アーム１６にそれぞれ設けられたスプリング
受け２１で係止されている。このような構造の板
ばね２２について機械的に見た場合、当該板ばね
２２の弾性力により、各ブラシ・アーム１６は横
方向から押圧される形となり、かつ各アーム・ガ
イド１４に嵌め込まれたブラシ・アーム１６の支
柱受け基部１６ａまわりに与えられる回転モーメ
ントでブラシ２０に押圧力を付与している。一方
ブラシ２０の摩耗によるブラシ・アーム１６の先
端部の変位量に比べ、板ばね２２の各ブラシ・ア
ーム１６を移動させる変位量は極めて小さい。従
つて、板ばね２２の弾性力はブラシ２０の摩耗以
前とほぼ同一であり、上記説明のブラシ・アーム
１６の支柱受け基部１６ａまわりの回転モーメン
トはほぼ一定である。従つてブラシ２０の整流子
１０に対する押圧力は、当該ブラシ２０の摩耗に
依存することなく常にほぼ一定となる。

また板ばね２２について電気的に見た場合、各
ブラシ・アーム１６に設けられた絶縁性のスプリ
ング受け２１によつてブラシ・アーム１６間は二
重に絶縁された形態となつている。誤つて一方の
ブラシ・アーム１６と上記板ばね２２とが電気的
に接触したとしても、片方のスプリング受け２１
によつて絶縁性が保たれ、２個のブラシ・アーム
１６間が短絡されることはない。

ブラシ２０の交換に当たつては、円環状に形成
された板ばね２２の両端部を、係止されているス
プリング受け２１からそれぞれを外す。そしてブ
ラシ・アーム１６、ターミナル板１７を止めてい
る各固定ねじ１９を外し、例えば第３図の図面で
は左から右の方向へブラシ・アーム１６をアー
ム・ガイド１４から摺動させることにより、容易
にブラシ・アーム１６を取り出すことができる。
この取り出されたブラシ・アーム１６のブラシ２
０を新たなものと交換するか、新しいブラシが組
立てられているブラシ・アームを用いて、取り外
した場合と逆の順に組立てれば、容易にブラシ２
０の交換換ができる。

上記説明のブラシ装置１２はケース蓋３の下側
の内部であつてその内面に取り付けられているか
ら、ケース蓋３を回転させるとブラシ２０も当然
回転する。マグネツト１３が取り付けられている
モータ・ケース１に対し、ハウジング２の止めね
じ４の位置をずらしケース蓋３の固定位置を移動
させることにより、上記マグネツト１３に対する
ブラシ２０の設置位置を調整することができる。
従つてモータの回転方向によつてブラシ２０の最
適な整流位置に移動させる調整が極めて容易に行
うことができる。

以上、先に出願したブラシ装置をそなえた小型
回転機について説明したが、当該小型回転機にお
いては、ブラシ・アームとアーム・ガイドとの接
続において電気的には必ずしも十分と言えないこ
とが判つた。従つて、上記ブラシ・アームとアー
ム・ガイドとの電気的接続の向上を図ることを目
的として、本願出願人は更に実願昭59ー176146号
を出願（以下、第２の出願と呼ぶ）した。以下、
第２の出願を第７図に関連して説明する。なお、
第７図は第２の出願のブラシ装置をそなえた小型
回転子におけるブラシ・アームとアーム・ガイド
との固着部分の拡大断面図である。

第２の出願のブラシ装置をそなえた小型回転機
は、第７図に図示されている如く、アーム・ガイ
ド１４に環状凸起部１４ａがもうけられている以
外は、基本的に第２図ないし第６図に関連して前
述した第１の出願のものと同様な構成を有するも
のである。即ち、上記第１の出願のブラシ装置を
そなえた小型回転機を前提とし、上記アーム・ガ
イド１４に環状凸起部１４ａをもうけることによ
り、ブラシ・アーム１６とアーム・ガイド１４と
の電気的接続の改善を図るようにしたものであ
る。

以上説明した第１および第２の出願のブラシ装
置をそなえた小型回転機においては、ブラシ・ア
ームがアーム・ガイドに対して回動自在にする必
要があることから、アーム・ガイドに接触するブ
ラシ・アームの部分の内径をアーム・ガイドの外
径よりも若干大きくなるように形成されているた
め、どうしても当該ブラシ・アームとアーム・ガ
イドとの間にがたつきが生じることが避けられな
い。そして、該がたつきの存在がブラシ・アーム
とアーム・ガイドとの電気的接続を不良にする原
因となるという非所望な問題が上記第１および第
２の出願にはある。

［問題点を解決するための手段］ 本考案は、上記の如き問題点を解決することを
目的としており、そのため、本考案のブラシ装置
をそなえた小型回転機は、ブラシ装置をそなえた
小型回転機において、モータ・ケース蓋の内面に
電源電圧が供給される２個の円柱状のアーム・ガ
イドがもうけられると共に、 先端部にブラシをそなえかつ他端部に上記アー
ム・ガイドを包む中空柱状の筒部をそなえて当該
アーム・ガイドに回動自在に係止されるアーム係
止部をそなえかつ中央部に絶縁体のスプリング受
けがもうけられたブラシ・アームをそなえてな
り、 円環状に形成された板ばねの両端部を上記スプ
リング受けに係止せしめ、上記板ばねの弾性力に
もとづいてブラシに押圧力を付与するように構成
すると共に、 上記アーム係止部は２つの互に異なつた角位置
において上記アーム・ガイドに接触する構成をそ
なえ、 該アーム係止部の上記中空柱状の筒部は、その
断面が上記アーム・ガイドのもつ断面円形に対し
て接触する２つの互に交差する接線をもつ形状部
分を有し、当該形状部分と上記アーム・ガイドと
の接触が断面上でみて２点接触を形成してなり、
当該接触によつて両者が電気的かつ機械的に接続
されていることを特徴としている。以下、図面を
参照しつつ説明する。

［実施例］ 第１図は本考案に係るブラシ装置の一実施例を
説明するための説明図であり、本考案における第
５図図示矢印ＡーＡに対応する位置の断面図を示
している。なお、図中の符号１０，１４，１６，
２０，２１および２２は第２図ないし第７図に対
応しており、２３はアーム係止部、２４はアーム
係止面を表している。

本考案は、本願明細書冒頭に説明した第２図な
いし第７図に図示されている本考案の前提となつ
たブラシ装置をそなえた小型回転機と基本的に同
様な構成を有するものである。即ち、第７図に図
示されている本考案に係るブラシ装置、特にブラ
シ・アーム１６がアーム・ガイド１４と係止され
るアーム係止部２３以外は、上記本考案の前提と
なつた小型回転機、即ち第６図Ｂ図示のものや第
７図図示のものや突条部１６ｅや凸起部１４ａの
存在しないものと同様であると考えて良い。

第１図において、本考案に係るブラシ装置のブ
ラシ・アーム１６のアーム係止部２３にアーム・
ガイド１４の中心線介して所定の角度（図示矢印
α）を有する２個の平面状のアーム係止面２４を
そなえている。そして、ブラシ・アーム１６が板
ばね２２により図示矢印ａ，a′方向に押圧される
ことによつて、上記アーム係止面２４がアーム・
ガイド１４と接触した状態で上記ブラシ・アーム
１６がアーム・ガイド１４に係止される。この係
止状態においては、ブラシ２０の中心線（図示矢
印ｃ）と上記アーム係止部２３の中心線（図示矢
印ｄ）とはほぼ平行となり、上記ブラシ・アーム
１６は２個所のアーム係止部２４，２４によりア
ーム・ガイド１４を挟むかたちで保持される。第
８図Ａ，Ｂは第７図図示の場合におけるＡーＡ線
とＢーＢ線との夫々の断面拡大図を示している。
アーム係止面２４，２４は、断面図でみると明瞭
になる如く、アーム・ガイド１４の断面円形に対
して２つの互に交差する接線をもつ形状部分をそ
なえている。即ち、本考案においては、或る断面
形状でみるとき、第８図Ａ図示の如く２点接触を
つくるように構成されていることが必要である。
従つて、上記の構造の場合には、２個のアーム係
止面が円柱状のアーム・ガイドと常に接触してお
り、このため整流子１０が回転することによつて
生じるブラシ・アーム１６の図示矢印ｂ方向の微
振動が抑止される。当該抑止力を高めるために
は、上記アーム係止面２４，２４の角度αが小さ
い程良いことは言うまでもないが、アーム係止部
２３に対して可能な限ぎり中空円筒の形状を持た
せた上でいわば局部的に上記平面状のアーム係止
面２４をもうけることが好ましいことから、上記
角度αを30度程度にすることが好ましい。

以上、第１図図示実施例について説明したが、
本考案はこれに限られるものではなく、本願明細
書の冒頭に説明した第６図Ａ，Ｂおよび第７図図
示例において第１図図示アーム係止部２３をもう
けるようにしてもよい。

［考案の効果］ 以上説明した如く、本考案によれば、ブラシ・
アームとアーム・ガイドとの電気的・機械的接触
を良好かつ安定させることが可能となり、しかも
整流子の回転によるブラシ・アームの微振動を抑
制することが可能となるため、上記アーム・ガイ
ド、ブラシ・アーム、ブラシを介して行なわれる
整流子に対する給電状態を安定化させることが可
能となる。従つて、供給電流を大きくすることが
可能となり、安定した性能を有しかつ効率良い小
型回転機を提供することができる。また、ブラシ
の微振動を抑制することが可能であることは、整
流子およびブラシの寿命を高めることとなり、小
型回転機の寿命の向上に貢献することが可能とな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るブラシ装置の一実施例説
明図、第２図は本考案の前提となる小型回転機の
斜視図、第３図は第２図図示小型回転機の縦断面
図、第４図は第２図および第３図図示小型回転機
に用いられているブラシ装置の正面図、第５図は
第４図図示ブラシ装置の側面図、第６図Ａ，Ｂお
よび第７図は第４図および第５図におけるブラ
シ・アームとアーム・ガイドとの固着部分の拡大
断面図、第８図Ａ，Ｂは本考案において第７図図
示の形を採用する場合における第７図図示ＡーＡ
線およびＢーＢ線による断面拡大図を示す。 図中、１０は整流子、１４はアーム・ガイド、
１６はブラシ・アーム、２０はブラシ、２１はス
プリング受け、２２は板ばね、２３はアーム係止
部、２４はアーム係止面を夫々表す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ブラシ装置をそなえた小型回転機において、 モータ・ケース蓋の内面に電源電圧が供給され
   る２個の円柱状のアーム・ガイドがもうけられる
   と共に、 先端部にブラシをそなえかつ他端部に上記アー
   ム・ガイドを包む中空柱状の筒部をそなえて当該
   アーム・ガイドに回動自在に係止されるアーム係
   止部をそなえかつ中央部に絶縁体のスプリング受
   けがもうけられたブラシ・アームをそなえてな
   り、 円環状に形成された板ばねの両端部を上記スプ
   リング受けに係止せしめ、上記板ばねの弾性力に
   もとづいてブラシに押圧力を付与するように構成
   すると共に、 上記アーム係止部は２つの互に異なつた角位置
   において上記アーム・ガイドに接触する構成をそ
   なえ、 該アーム係止部の上記中空柱状の筒部は、その
   断面が上記アーム・ガイドのもつ断面円形に対し
   て接触する２つの互に交差する接線をもつ形状部
   分を有し、当該形状部分と上記アーム・ガイドと
   の接触が断面上でみて２点接触を形成してなり、
   当該接触によつて両者が電気的かつ機械的に接続
   されていることを特徴とするブラシ装置をそなえ
   た小型回転機。