JPH0315711Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、建築途上にあ建物の鉄骨梁上に、
例えば第２図に示したような安全通路又は第３図
に示したような作業用ないし資材置場用のステー
ジを架設するため使用される束立に関する。さら
に詳しくは、前記通路又はステージのＨ形鋼（大
引）等を載置するバタ角材等を、梁鉄筋の組立て
に支障をきたさず、又は梁鉄筋を乱さないだけの
高さに差し上げて支持するための束立に係り、用
途が広く、しかも鉄骨のサイズに対する自在性が
ある万能型束立に関する。

従来の技術 従来、建物の鉄骨建方後、鉄骨の本締めや溶接
及び鉄筋の組立てその他の諸作業を安全に効率良
く遂行するために、各階の鉄骨梁上に安全通路や
作業用ステージを架設することが一般的に行なわ
れている。

こうした安全通路やステージは、鉄骨梁に付設
される梁鉄筋の組立てをじやましたり、又はせつ
かく組立てた梁鉄筋を乱すことがないように束立
を使用して架設される。即ち、安全通路等の単管
やＨ形鋼（大引）は、束立により一定の高さに差
し上げて支持されたバタ角材等の上に載置される
のである。

従来、束立としては、適当な大きさ、高さのコ
ンクリートブロツクを使用し、これを鉄筋梁のフ
ランジ上に置き番線等でくくり付けて固定し、該
コンクリートブロツクの上に角バタ材等を載置
し、安全道路やステージを組立てていた。

あるいはまた、鉄骨梁上にアングル又はＣ形
鋼、Ｈ形鋼などのＨ形鋼などの小片を溶接し、こ
れを束立として使用することも行なわれている。

本考案が解決しようとする問題点 従来のようにコンクリートブロツクを束立とし
て使用した場合は、コンクリートブロツクを鉄筋
梁上にくくり付けて固定する作業に手数がかかる
し、かつその作業には熟練を要する。その上、同
コンクリートブロツク上に載置した角バタ材の位
置決め固定や安全性に欠け、見た目にもいかにも
危なかしいという問題点があつた。

また、安全通路やステージ等はスラブ型枠を組
立後コンクリート打設前に解体撤去されるが、そ
の解体時には一旦くくり付けた番線をほどくのに
手間がかかるし、番線を切断すれば消耗材となり
番線屑が発生するという問題点があつた。

次に、鉄骨梁上に溶接したアングルやＣ形鋼、
Ｈ形鋼などの小片を束立として使用する場合に
は、現場で鉄骨梁に溶接熱等を加えることになり
これはは設計管理上きびしく忌避される。だから
といつて、工場で予め小片を溶接しておくという
ことも種々やつかいな問題があり、実用的でな
い。しかも使用済後の解体時には、当該小片によ
る束立は必らず切断して撤去しなければならず、
したがつて、手間がかかる上に転用はできないと
いう問題点があつた。

問題点を解決するための手段 上記従来技術の問題点を解決するための手段と
して、この考案に係る万能型束立は、図面の第１
図〜第３図に実施例を示したとおり、 鉄骨１０のフランジ幅よりも細幅の台座２に所
定高さの芯棒ボルト３を直立させ、該芯棒ボルト
３にハンドル４付きの着脱操作用ナツト５をねじ
込んでいる。そして、前記着脱操作用ナツト５の
外周部には下方への移動を阻止されたスリツプリ
ング１４を回転自在に設け、このスリツプリング
１４に鉄筋１０のフランジ１０ａに掛止めるフラ
ンジホルダ６を設けた掛止腕７，７を左右対称な
配置で少なくとも一対開閉揺動が可能に取付け
た。また、前記芯棒ボルト３の上端部には上向き
に開口した溝形のバタ角受け８を設けた。

作 用 この万能型束立１を鉄骨梁１０のフランジ１０
ａ上の所定位置、特に梁鉄筋を避けた位置にその
台座２を載せて立て、左右の掛止腕７，７はその
フランジホルダ６，６でフランジ１０ａの両側縁
部を抱持させ（第１図）、しかる後にハンドル４
を回し着脱操作用ナツト５を芯棒ボルト３に沿つ
て上昇させると、ナツト５の上昇につれて掛止腕
７，７は緊張され、フランジホルダ６，６はフラ
ンジ１０ａの両側縁部をがつちりつかみ、逆に芯
棒ボルト３の下端の台座２はフランジ１０ａ上に
突張る形で反力をとるので、この万能型束立１は
フランジ１０ａ上に強固に据付け固定される。

しかる後に、バタ角受け８にバタ角材１２（又
は角パイプその他、以下同じ）を入れ込んで支持
させ、締付ボルト９を回して締付け固定するか、
又は釘孔に釘を打つとバタ角材１２は安定に支持
される。

安全道路やステージの解体時には、バタ角材１
２をバタ角受け１２から取外し、ハンドル４を回
し着脱操作用５を芯棒ボルト３に沿つて下降させ
ると、掛止腕７，７の緊張がゆるみ、フランジホ
ルダ６はフランジ１０ａの側縁から容易に外すこ
とができ、当該万能型束立１はフランジ１０ａ上
から撤去可能である。

鉄骨梁１０のサイズの大小、即ちフランジ１０
ａの幅寸法の大小に対しては、例えば着脱操作用
５を必要なだけ下降させると、フランジ１０ａの
幅寸法が大きい場合でもその両側縁に掛止腕７の
フランジホルダ６が届くようになる。逆に、フラ
ンジ１０ａの幅寸法が小さい場合には、着脱操作
用５を必要なだけ上昇させると、掛止腕７の長さ
が余り過ぎないようになる。よつて鉄骨梁１０の
サイズの大小には広範に自在に対応することがで
きる。

実施例 次に、図面の第１図〜第３図に示したこの考案
の実施例を説明する。

第１において、鉄骨梁１０の幅寸法よりも若干
細幅（130×150mm位）で平面略長方形の平板状を
なす台座２の中央部に、高さが約200mm、外径が
φ26位の芯棒ボルト３の下端を溶接して一体的に
固定し直立せしめている。

芯棒ボルト５には、まずロツクナツト１３がね
じ込まれ、つづいて全長が70mm位の筒状をなす着
脱操作用ナツト５がねじ込まれている。該着脱操
作用ナツト５の上部外周には、棒状のハンドル４
が左右対称的な配置で水平に取付けられている。
即ち、着脱操作用ナツト５はハンドル４で回さ
れ、ねじ運動により芯棒ボルト３に沿つて上下移
動する構成とされている。着脱操作用ナツト５の
位置が決まつたあと、ロツクナツト１３を回して
ナツト５の下端に当接させ締付けることにより、
着脱操作用ナツト５の位置は決してゆるまないよ
うに固定することができる。

着脱操作用ナツト５の下端部外周には鍔形状の
ストツパ１７を突設してあり、該ナツト５の外周
部であつて前記ストツパ１７より上の部分に、長
さが35mm位の管状をなすスリツプリング１４が回
転自在にはめられている。スリツプリング１４の
外周には、長さが35mm位の板状をなすブラケツト
１５，１５を左右対称的配置で突設し、このブラ
ケツト１５，１５の先端部に、左右一対をなす掛
止腕７，７の上端部がそれぞれ関節軸たるボルト
１６により第１図の左右方向への開閉揺動が可能
に取付けられている。

掛止腕７は、長さが13cm、幅が25mm位の帯板状
をなし、その下端部には外径がφ60、長さが30mm
位の円管の一部を切欠いてＣ字形状としたフラン
ジホルダ６が溶接で取付けられている。

従つて、第１図のように左右の掛止腕７，７の
フランジホルダ６，６をフランジ１０ａの両側縁
部に掛止め、ハンドル４で着脱操作用ナツト５を
回し芯棒ナツト３に沿つて上方へ移動させてゆく
と、この万能型束立１はフランジ１０ａ上に強固
に据付け固定できる。勿論、ハンドル４を逆に回
し着脱操作用ナツト５を下降させると、掛止腕７
の緊張はゆるみ、そのフランジホルダ６をフラン
ジ１０ａの側縁から外して容易に撤去することが
できるのである。

芯棒ナツト３の上端部には、まず平板状の天端
プレート１８を溶接で水平に固定し、さらにこの
天端プレート１８の上に、第１図に示したように
上向きに開口した溝形をなすバタ角受け８が、ボ
ルト１９で締付け固定して取付けられている。な
お、ボルト１９の頭がバタ角材１２に当る不都合
を避けるため、バタ角受け８の底部には角材３０
が取付られている。

このバタ角受け８の前記角材３０上に、バタ角
材１２（又は角パイプ）がずり落ることがないよ
うに受け止められるのである。

バタ角受け８の側部には水平方向にねじ込まれ
た締付ボルト９を設け、この締付ボルト９により
バタ角受け８に受止めたバタ角材１２を締付け固
定するものとしている。

なお、締付ボルト９を抜いてそのねじ孔を釘孔
とするか、又は別位置に所要数の釘孔を設け、こ
のに打込んだ釘でバタ角材１２を固定することも
行なわれる。

第２図は、上記構成の万能型束立１を使用して
鉄骨梁１０上に組立て架設した安全道路を示して
いる。

即ち、鉄骨１０のフランジ１０ａ上に取付け固
定した左右の束立１，１にてバタ角材１２を支持
せしめ、このバタ角材１２の上にＨ形鋼２０，２
０を架け渡し、これをなぎ材２１で連結した上で
通路ユニツトが組上げられている。図中２２は鋼
製布板、２３は幅木、２４は安全通路枠である。

また、第３図は、上記構成の万能型束立１を使
用して鉄骨梁１０上に組立て架したステージを示
している。

即ち、鉄骨梁１０のフランジ１０ａ上に取付け
固定した多数の束立１……にて角バタ材１２を支
持せしめ、該角バタ材１２上に合計４本のＨ形鋼
（大引）２５……を架け渡し、その上にステージ
ユニツトが組上げられている。図中２６は根太角
パイプ、２７は足場板、２８は角パイプ、２９は
幅木、３０はステージ枠である。

本考案が奏する効果 以上に実施例と併せて詳述したとおりであつ
て、この考案の万能型束立１は、建物の鉄骨梁１
０上に安全通路又はステージなどを架設する用途
に広く便利に使用できる。また、鉄骨梁１０のサ
イズの大小に対する適用性にも優れ、実用性が高
い。

しかも、鉄骨梁１０に対する取付け取外しが簡
単であり、その上取付け位置を自由に選べる融通
性があるし、その際に溶接や切断等の熱を一切使
用しないので、鉄骨梁１０の強度に悪影響を及ぼ
さいで済む。そして、くり返し転用が可能であ
り、転用回数を多くすることにより経済性を高め
ることができるのである。

さらに、この万能型束立１は、鉄骨梁１０に対
する取付け固定の安定性に優れ、ひいてはこの万
能型束立１を使用して組立てた安全通路（第２
図）あるいはステージ（第３図）の使用上の安全
性を高めることができるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る万能型束立を使用状態
で示した立面図、第２図と第３図は前記万能型束
立を使用して組立てた安全通路及びステージの断
面図である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 【１】 鉄骨１０のフランジ幅よりも細幅の台座
   ２に所定高さの芯棒ボルト３を直立させ、該芯
   棒ボルト３にハンドル４付きの着脱操作用ナツ
   ト５をねじ込んであり、前記着脱操作用ナツト
   ５の外周部には下方へ移動を阻止されたスリツ
   プリング１４を回転自在に設け、このスリツプ
   リング１４には鉄骨１０のフランジ１０ａに掛
   止めるフランジホルダ６を設けた掛止腕７，７
   を左右対称な配置で少なくとも一対開閉揺動が
   可能に取付けてあり、前記芯棒ボルト３の上端
   部には上向きに開口した溝形のバタ角受け８を
   設けていることを特徴とする万能型束立。 【２】 実用新案登録請求の範囲第１項に記載し
   たバタ角受け８は、その側部に、受入れたバタ
   角材１２を固定する締付ボルト９又は釘打ち用
   の釘孔を有することを特徴とする万能型束立。 【３】 実用新案登録請求の範囲第１項に記載し
   た芯棒ボルト３には、着脱操作用ナツト５のロ
   ツクナツト１３がねじ込まれていることを特徴
   とする万能型束立。 【４】 実用新案登録請求の範囲第１項に記載し
   た掛止腕７は、着脱操作用ナツト５の外周部で
   あつてその下端外周に鍔状に突設したストツパ
   １７より上の部分に回転自在にはめたスリツプ
   リング１４にブラケツト１５，１５を突出さ
   せ、このブラケツト１５，１５に関節軸１６で
   開閉揺動が可能に取付けられていることを特徴
   とする万能型束立。