JPH0313550Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、デイーゼルエンジンにおけるシリン
ダヘツドのように、吸気ポートと排気ポートとに
近接する渦室式の副燃焼室を備えると共に、これ
ら吸気ポート、排気ポート及び副燃焼室を囲う冷
却水室を備えて成るシリンダヘツドの改良に関す
るものである。

〔従来の技術〕

一般に、デイーゼルエンジンにおける渦室式の
副燃焼室は、噴射燃料の気化促進を目的として高
温に保持することが必要であるために、この副燃
焼室の冷却水室に対する肉厚さは相当厚いものに
構成される。しかし、この副燃焼室は吸気ポート
及び排気ポートに近接した位置に形成されること
から、副燃焼室を構成する肉厚部分と、吸気ポー
ト及び排気ポートを構成する肉厚部分とが、シリ
ンダヘツドの鋳造に際して一体化して、吸気ポー
トと排気ポートとの間の弁間部分に対する冷却性
が著しく低下し、弁間部分に熱によつて亀裂が発
生することになる。

そこで先行技術としての実開昭51−68941号公
報は、シリンダヘツドの鋳造後において、吸気ポ
ート及び排気ポートと副燃焼室との間の部分に、
シリンダヘツドの側面からのドリル加工によつて
冷却水通路を形成することにより、弁間部分の亀
裂を防止することを提案している。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし、このように吸気ポート及び排気ポート
と副燃焼室との間の部分に、シリンダヘツドの側
面からのドリル加工によつて冷却水通路を形成す
ることは、その加工に多大の手数を要して著しく
コスト高になる問題がある。

本考案は、この問題を、副燃焼室の冷却水室に
対する肉厚を前記冷却水室内における冷却水の流
れを損なうことのないようにして部分的に薄く構
成することによつて解消するものである。

〔課題を解決するための手段〕

この目的を達成するため本考案は、吸気ポート
と排気ポートとに近接する部位に、内部に渦室式
副燃焼室を備えた副燃焼室用ボス部を一体的に造
形する一方、冷却水室を、前記吸気ポート、排気
ポート及び副燃焼室用ボス部の外側を囲うように
形成して成るシリンダヘツドにおいて、前記副燃
焼室用ボス部の外周面のうち前記吸気ポート及び
排気ポート側の外周面を、平面視において当該副
燃焼室用ボス部内における副燃焼室の中心より前
記吸気ポート及び排気ポートから離れる方向にず
らせた点を中心とする球形面に形成した。

〔考案の作用・効果〕

このように、副燃焼室用ボス部の外周面のうち
前記吸気ポート及び排気ポート側の外周面を、平
面視において当該副燃焼室用ボス部内における副
燃焼室の中心より前記吸気ポート及び排気ポート
から離れる方向にずらせた点を中心とする球形面
に形成したことにより、シリンダヘツドの鋳造時
に際して、副燃焼室用ボス部と、吸気ポート及び
排気ポートを構成する肉厚部分とが一体化するの
を回避できて、その間にシリンダヘツドにおける
冷却水室に連通する水路を、鋳造時において形成
することができるから、副燃焼室用ボス部と吸気
ポート及び排気ポートとの間、及び吸気ポートと
排気ポートとの間に対する冷却性を確保できる一
方、副燃焼室用ボスの肉厚さは、部分的にのみ薄
くなることになるから、当該副燃焼室用ボス部内
における副燃焼室の温度を、確実に高温に保つこ
とができるのである。

また、前記のように、副燃焼室用ボス部の外周
面のうち前記吸気ポート及び排気ポート側の外周
面を、平面視において当該副燃焼室用ボス部内に
おける副燃焼室の中心より前記吸気ポート及び排
気ポートから離れる方向にずらせた点を中心とす
る球形面に形成したことにより、この副燃焼室用
ボス部における肉厚さは、急激に変化することな
く、滑らかに変化し、この副燃焼室用ボス部にお
ける温度分布を平均化できるから、当該副燃焼室
用ボス部に亀裂が発生することを防止できるので
あり、更にまた、前記の構成にしたことにより、
副燃焼室用ボス部と吸気ポート及び排気ポートと
の間に形成される水路が、滑らかな形状になるか
ら、前記副燃焼室と吸気ポート及び排気ポートの
間、及び吸気ポートと排気ポートとの間における
冷却水性を、より向上できる。

従つて、本考案によると、前記先行技術のよう
にシリンダヘツドの鋳造後においてドリル加工に
よつて冷却水通路を形成することなく、副燃焼室
を高温に保つた状態で、当該副燃焼室に亀裂が発
生すること、及び弁間部分に亀裂が発生すること
を、確実に防止することができると共に、シリン
ダヘツドの製造コストを大幅に低減できる効果を
有する。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面について説明する
と、図において、符号１は、冷却水ジヤケツト７
付きのシリンダブロツクを、符号２は、該シリン
ダブロツク１の上面にガスケツト３を介して締結
されたシリンダヘツドを各々示し、該シリンダヘ
ツド２には、吸気ポート４と排気ポート５とが隣
接して形成されると共に、内部に略球形状の渦室
式副燃焼室６ａを備えた副燃料室用ボス部６が一
体的に造形されている。

前記シリンダヘツド２には、前記シリンダブロ
ツク１における冷却水ジヤケツト７に連通する冷
却水室８が、前記吸気ポート４、排気ポート５及
び副燃焼室用ボス部６の外周を囲うように形成さ
れている。

そして、前記副燃焼室用ボス部６の外周面のう
ち前記吸気ポート４及び排気ポート５側の外周面
を、平面視において当該副燃焼室用ボス部６内に
おける副燃焼室６ａの中心Ｏより前記吸気ポート
４及び排気ポート５から離れる方向にずらせた点
を中心O′とする半径Ｒの球形面に形成すること
により、副燃焼室６ａの冷却水室８に対する肉厚
さを、副燃焼室６の全周囲において一様な肉厚さ
寸法（Ｔ）にすることなく、前記吸気ポート４及
び排気ポート５に隣接する個所において部分的に
薄くなるように構成する。

すなわち、副燃焼室６ａの冷却水室８に対する
肉厚さを、副燃焼室６ａの全周囲において一様な
肉厚さ寸法（Ｔ）にした場合には、図面に二点鎖
線で示すように、副燃焼室６ａを構成する肉厚部
分が、吸気ポート４及び排気ポート５を構成する
肉厚部分に近接することより、シリンダヘツド２
の鋳造時において副燃焼室６を構成する肉厚部分
と吸気ポート４及び排気ポート５を構成する肉厚
部分とが一体化することになる。

これに対して、前記のように、副燃焼室用ボス
部６の外周面のうち前記吸気ポート４及び排気ポ
ート５側の外周面を、平面視において当該副燃焼
室用ボス部６内における副燃焼室６ａの中心Ｏよ
り前記吸気ポート４及び排気ポート５から離れる
方向にずらせた点を中心O′とする半径Ｒの球形
面に形成すると、図面に実線で示すように、内部
に副燃焼室６ａを備えた副燃焼室用ボス部６と、
吸気ポート４及び排気ポート５を構成する肉厚部
分との間に、冷却水室８に対して滑らかに連通す
る水路９を、シリンダヘツド２の鋳造時において
形成することが可能となるのである。

また、前記のように構成したことにより、吸気
ポート４及び排気ポート５との間の水路９は滑ら
かな形状になるから、冷却水の流れが良くなる一
方、副燃焼室用ボス部６における肉厚さの急激な
変化がないから、副燃焼室６ａ内の温度分布が平
均化されると共に、副燃焼室用ボス部６に亀裂が
発生することを防止できる利点を有する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は内燃機
関の要部の縦断正面図、第２図は第１図の−
視断面図である。 １……シリンダブロツク、２……シリンダヘツ
ド、４……吸気ポート、５……排気ポート、６…
…副燃焼室用ボス部、６ａ……副燃焼室、７……
冷却水ジヤケツト、８……冷却水室、９……水
路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 吸気ポートと排気ポートとに近接する部位に、
   内部に渦室式副燃焼室を備えた副燃焼室用ボス部
   を一体的に造形する一方、冷却水室を、前記吸気
   ポート、排気ポート及び副燃焼室用ボス部の外側
   を囲うように形成して成るシリンダヘツドにおい
   て、前記副燃焼室用ボス部の外周面のうち前記吸
   気ポート及び排気ポート側の外周面を、平面視に
   おいて当該副燃焼室用ボス部内における副燃焼室
   の中心より前記吸気ポート及び排気ポートから離
   れる方向にずらせた点を中心とする球形面に形成
   したことを特徴とする内燃機関におけるシリンダ
   ヘツド。