JPH0118814Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、自動車用エンジン等に用いられる金
型鋳造製シリンダーヘツドの構造に関し、特にこ
のような金型鋳造製シリンダーヘツドの冷却構造
に関する。

従来より、エンジン用のシリンダーヘツドに
は、鋳型としての鋳物砂を用いこれに溶湯を鋳込
む砂型鋳造法によりつくられたもの（以下、「砂
型鋳造製シリンダーヘツド」という）やダイカス
トのように金型に溶湯を注入して鋳造する金型鋳
造法によりつくられたもの（以下「金型鋳造製シ
リンダーヘツド」という）がある。

ところで、砂型鋳造製シリンダーヘツドでは、
砂型中子を用いて、第１図に示すような冷却水通
路ａ，ｂ更にはこれらの通路をつなぐ通路のごと
き中空部なども極めて容易に作ることができるた
め、極めて優れた冷却効果が得られる半面、シリ
ンダーヘツドを１個つくるたびに砂型をばらす、
いわゆる型ばらし作業を行なわなければならない
ので、作業能率が悪く、大量生産には向かないと
いう問題点がある。

一方、金型鋳造製シリンダーヘツドでは、金型
を用いて、同型のものを大量に生産できるため、
作業能率をあげて、生産コストの低下をもたらす
ことができる半面、冷却水通路となるべき中央部
の形成が難しく、これにより十分な冷却効果が得
られないという問題点がある。

また、金型鋳造製シリンダーヘツドにおいて、
金属製中子を用いて第１図に符号ｂで示す冷却水
通路に対応する通路を形成することも考えられる
が、このような従来の金型鋳造製シリンダーヘツ
ドでも、依然としてバルブシート部や点火プラグ
部などの冷却性が悪く、しかもシリンダーヘツド
下面の凹みとこの冷却水通路とを連通する穴およ
びラジエーターへの穴をシリンダーヘツドの前後
にそれぞれ形成しなければらず、これによりシリ
ンダーブロツク長の増大を招くという問題点があ
る。

本考案は、このような二律背反的な問題点の解
決をはかろうとするもので、金型鋳造製シリンダ
ーヘツドにおいて、冷却水通路を容易にかつ簡便
に設けられるようにして、金型鋳造製シリンダー
ヘツドの利点とする製作容易性や大量生産性を維
持しながら、しかも冷却性能をも向上できるよう
にした、金型鋳造製シリンダーヘツドの冷却構造
を提供することを目的とする。

このため、本考案の金型鋳造製シリンダーヘツ
ドの冷却構造は、互いに列をなす複数のシリンダ
ーの上部を取り囲むように上記シリンダーヘツド
の下面側に連続的に配設された第１の冷却水通路
と、上記シリンダーヘツドの中央部にシリンダー
列方向に沿い配設された第２の冷却水通路とをそ
なえ、上記シリンダーヘツドにおける上記の複数
のシリンダーの相互間に対応する部分に、上記第
１の冷却水通路と上記第２の冷却水通路とを連通
させるほぼ直線状の第３の冷却水通路が設けられ
たことを特徴としている。

以下、図面により本考案の一実施例としての金
型鋳造製（ダイカスト製）シリンダーヘツドの冷
却構造について説明すると、第２図はその冷却水
通路の配置状態を上方から見た模式図、第３図は
第２図の−矢視断面図、第４図は第２図の
−矢視断面図である。

本実施例のシリンダーヘツドは、４気筒式エン
ジン用のもので、アルミダイカスト製のごとき金
型鋳造製である。

さて、この金型鋳造製のシリンダーヘツドＡで
は、第２〜４図に示すように、互いに列をなす４
つのシリンダーＣ（なお図では第４のシリンダー
は図示を省略されている）の上部を取り囲むよう
に、このシリンダーヘツドＡの下面側に、周方向
に連続した環状の凹所が形成されており、この凹
所が第１の冷却水通路１を構成している。

なお、この第１の冷却水通路１へはラジエータ
ー４からの冷却水が供給されるようになつてい
る。

またこのシリンダーヘツドＡの上部中央部に
は、そのシリンダー列の配設方向に沿い第２の冷
却水通路２が設けられている。

さらに、シリンダーヘツドＡにおける各シリン
ダーＣの相互間に対応する３つの部分には、それ
ぞれ第１の冷却水通路１と第２の冷却水通路２と
を連通すべく、ほぼ対称に配設された２つの第３
の冷却水通路３が、各シリンダーヘツドボルト穴
６ａ，６ａの内側で、しかもこのボルト穴６ａ，
６ａが形成されているボス部に干渉することな
く、ほぼ直線状に設けられている。

また、シリンダーヘツドＡの一端部（例えば後
端部）には、第１の冷却水通路１と第２の冷却水
通路２とを連通する通路が２つ又は１つ設けられ
ているが、この通路は、第３の冷却水通路３によ
り許容できる第１の冷却水通路１から第２の冷却
水通路２への水の通過分だけでは足りない分を補
えるだけの流量を流せる断面積を有しておれば十
分であり、これによりこの通路の断面積を、従来
の金型鋳造製シリンダーヘツドの端部に設けるこ
とが試みられていた第１の冷却水通路から第２の
冷却水通路への冷却水の流通を許容する穴の断面
積に比べ、極めて小さくすることができる。これ
により従来に比べシリンダーブロツクＢの長さを
短くすることができるのである。

さらに、シリンダーヘツドＡの他端部（例えば
前端部）には、ラジエーター４に連通すべき通路
が従来と同様に設けられている。

なお、このシリンダーヘツドＡには、各シリン
ダーの燃焼室の一部を形成する４つの凹所１２、
各シリンダー用の吸気ポート７および排気ポート
８ならびに各シリンダー用の吸気弁ガイド孔１３
および排気弁ガイド孔１４が形成されている。

また、第２〜４図中、符号５は点火プラグ、６
はシリンダーヘツドＡをシリンダーブロツクに取
付けるためのシリンダーヘツドボルト、９はカム
軸受部、１０はバルブシート、１１はウオーター
ジヤケツトを示している。

本考案のシリンダーヘツド冷却構造は上述のご
とく構成されているので、金型鋳造法によつても
容易且つ確実に第３の冷却水通路３を形成するこ
とができ、これにより冷却性能が大幅に向上す
る。すなわちラジエーター４からの冷却水は、シ
リンダーブロツクＢの外側周囲にあるウオーター
ジヤケツト１１と連通する第１の冷却水通路１か
ら第３の冷却水通路３を通じ、更には第２の冷却
水通路２を通じてラジエーター４へ戻されるよう
になつているので、バルブシート部や点火プラグ
部も含めて隅なくシリンダーヘツド各所の冷却を
行なうことができるのである。

そして、エンジンの冷却により熱くなつた水
は、ラジエーター４で車の走行による風や冷却フ
アンの風で冷やしてから、再び第１の冷却水通路
１に戻すのである。

このようにして、金型鋳造製シリンダーヘツド
においても、従来の砂型鋳造製シリンダーヘツド
と同様の極めて良好な冷却性を得ることができ
る。

なお、第３の冷却水通路３は、ほぼ直線状で、
しかもボルト穴６ａが形成されているボス部と金
属材で作られたほぼ直線状の中子とが干渉するこ
とがないような位置に形成されるので、この第３
の冷却水通路３を上記金属製直線状中子を用いて
容易に製作することができ、これにより上記のよ
うな位置に配設される第３の冷却水通路３を簡単
につくることができるのであつて、作業能率の低
下を招くことなく、冷却性能の大幅な向上を達成
できるのである。

さらに、冷却水通路１〜３は互いに連通してい
るため冷却水が通路１〜３間を循環することが必
要であるが、第３の冷却水通路３を設けたことに
より、シリンダーヘツド端部に形成される第１の
冷却水通路１からの冷却水連通のための通路の径
を大きくする必要がなくなり、これによりシリン
ダーブロツク長の増大を招くことがない利点もあ
る。

なお、エンジンは冷却しすぎても不調をきたす
ので、図示しないサーモスタツトによつてラジエ
ーター４へ流れる水の量を自動的にコントロール
している。

また、温度が上昇した冷却水は、その一部を利
用してルームヒーターに利用される。

さらに、シリンダーヘツドＡとシリンダーブロ
ツクＢとは、シリンダーヘツドボルト６で結合さ
れることになるが、接合面からガスが漏れないよ
うに図示しないガスケツトを入れて締めつけるこ
とになる。

以上詳述したように、本考案の金型鋳造製シリ
ンダーヘツドの冷却構造によれば、互いに列をな
す複数のシリンダーの上部を取り囲むように上記
シリンダーヘツドの下面側に連続的に配設された
第１の冷却水通路と、上記シリンダーヘツドの中
央部にシリンダー列方向に沿い配設された第２の
冷却水通路とをそなえ、上記シリンダーヘツドに
おける上記の複数のシリンダーの相互間に対応す
る部分に、上記第１の冷却水通路と上記第２の冷
却水通路とを連通させるほぼ直線状の第３の冷却
水通路が設けられるという簡素な構成で、金型鋳
造によるシリンダーヘツド製作の容易性や大量生
産性という利点を維持すると同時に、エンジンの
冷却性能の大幅な向上に寄与しうるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の砂型鋳造製シリンダーヘツドの
冷却構造を説明するためにエンジンの一部を示す
断面図であり、第２〜４図は本考案の一実施例と
しての金型鋳造製シリンダーヘツドの冷却構造を
示すもので、第２図はその冷却水通路の配置状態
を上方から見た模式図、第３図は第２図の−
矢視断面図、第４図は第２図の−矢視断面図
である。 １……第１の冷却水通路、２……第２の冷却水
通路、３……第３の冷却水通路、４……ラジエー
ター、５……点火プラグ、６……シリンダーヘツ
ドボルト、６ａ……シリンダーヘツドボルト穴、
７……吸気ポート、８……排気ポート、９……カ
ム軸受部、１０……バルブシート、１１……ウオ
ータージヤケツト、１２……燃焼室形成用凹所、
１３……吸気弁ガイド孔、１４……排気弁ガイド
孔、Ａ……シリンダーヘツド、Ｂ……シリンダー
ブロツク、Ｃ……シリンダー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 金型鋳造製のシリンダーヘツドにおいて、互い
   に列をなす複数のシリンダーの上部を取り囲むよ
   うに上記シリンダーヘツドの下面側に連続的に配
   設された第１の冷却水通路と、上記シリンダーヘ
   ツドの中央部にシリンダー列方向に沿い配設され
   た第２の冷却水通路とをそなえ、上記シリンダー
   ヘツドにおける上記の複数のシリンダーの相互間
   に対応する部分に、上記第１の冷却水通路と上記
   第２の冷却水通路とを連通させるほぼ直線状の第
   ３の冷却水通路が設けられたことを特徴とする、
   金型鋳造製シリンダーヘツドの冷却構造。