JPH0217167Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、エンジンのシリンダヘツドバルブブ
リツジ構造に関するものである。

（従来の技術） 一般に、エンジンにおいて吸気充填効率および
掃気効率の面から吸気および排気バルブが大きく
してあるため、シリンダヘツド下面における吸気
バルブと排気バルブとの間は非常に狭い。したが
つて、シリンダヘツド下面の該間隔の狭い吸気バ
ルブと排気バルブとの間に燃焼による熱応力が集
中して加わると、クラツクが発生しやすい。この
ため、シリンダヘツド下面における吸気バルブと
排気バルブとの間に位置するバルブブリツジの中
央部に、吸気および排気バルブセンターを結ぶ方
向に直交する断面をほぼ円弧状とした凹部を設け
て、その面積を広くすることにより熱応力を分散
させている。

（考案が解決しようとする課題） しかるに、上記凹部を切削加工により形成した
場合、鋳肌面のままと比べて強度的に弱くなる。
さりとて、バルブブリツジの凹部全面を鋳肌面と
した場合、鋳造条件のばらつきにより凹部形状の
寸法精度にばらつきが生じ、燃焼室容積にばらつ
きが生じるとともに、吸気行程時の吸気流に影響
を与えてスムーズな吸気を行い得ないという問題
がある。

一方、実開昭55−78733号公報では、バルブブ
リツジを塑性加工して強度を上げているが、その
加工が煩雑になるという問題がある。

本考案は、かかる点に鑑み、かつ、鋳肌面が切
削加工面より組織が緻密で強度的に強いことに着
目してなされたものであり、上記凹部の鋳肌面と
切削加工面との組合わせによる簡単な構造によつ
て、寸法精度のばらつきによる燃焼室容積のばら
つきを防止しかつ吸気流のスムーズな流入を確保
しながら、バルブブリツジの強度を増してクラツ
クの発生を防止することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 上記の目的を達成するため、本考案の解決手段
は、ほぼ平担なシリンダヘツド下面における吸気
バルブと排気バルブとの間に位置するバルブブリ
ツジの中央部に、吸気および排気バルブセンター
を結ぶ方向に直交する断面をほぼ円弧状とした凹
部を形成したエンジンのシリンダヘツドバルブブ
リツジ構造を前提とする。そして、上記凹部の吸
気および排気バルブセンターを結ぶ最狭部近傍を
鋳肌面とし、シリンダヘツド下面に連設される上
記鋳肌面まわりの凹部を切削加工面とするもので
ある。

（作用） これにより、本考案では、熱応力が最も大きく
作用するバルブブリツジの最狭部近傍を凹部鋳肌
面としたことによつて、強度が増してクラツクの
発生が防止できる。

さらに、鋳肌面まわりの凹部を切削加工面とし
たことにより、寸法精度のばらつきによる燃焼室
容積のばらつきを防止し、かつ吸気流のスムーズ
な流入を確保できる。すなわち、バルブブリツジ
の凹部全面を鋳肌面とした場合、鋳造条件のばら
つきにより凹部形状の寸法精度にばらつきが生
じ、燃焼室容積にばらつきが生じるが、鋳肌面ま
わりの凹部を切削加工することで、上記ばらつき
を吸収することができる。また、切削加工面は鋳
肌面に比べて表面が平滑であるため、吸気行程時
の吸気流に影響を与えることなくスムーズな吸気
を行うことができる。

（考案の効果） したがつて、本考案は上記構成のように、バル
ブブリツジの中央部に形成した凹部の吸気および
排気バルブセンターを結ぶ最狭部近傍を鋳肌面と
し、該鋳肌面まわりの凹部を切削加工面としたこ
とにより、簡単な加工によつて、燃焼室容積のば
らつきを防止しかつ吸気流のスムーズな流入を確
保しながら、クラツクの発生を防止することがで
きる。

（実施例） 以下、本考案の実施例について図面に基づいて
説明する。第１図、第２図および第３図は本考案
の実施例を示しており、１は吸気バルブ、２は排
気バルブであつて、各バルブ１，２はシリンダヘ
ツド３の下面４とほぼ同一平面となるようにシリ
ンダヘツド３に挿入されている。該シリンダヘツ
ド下面４における吸気バルブ１と排気バルブ２と
の間に位置するバルブブリツジ５の中央部には吸
気バルブ１および排気バルブ２のセンターを結ぶ
方向に直交する断面が円弧状に形成された凹部６
が設けられている。該凹部６の中央部（つまり凹
部６の吸気および排気バルブ１，２のセンターを
結ぶ最狭部近傍）には上記断面が円弧状の凹部７
がさらに設けられている。該凹部７を鋳肌面と
し、該凹部７周辺の凹部６を切削加工面としてい
る。さらに、上記シリンダヘツド下面４には、オ
イル孔８が設けられているとともに第２図に示す
如くクロスドリルによつて形成された冷却水通路
９を介してウオータージヤケツト１０に連通する
冷却水孔１１が設けられている。なお、第２図に
示す１２は副燃焼室、１３はピストンヘツドで、
１４及び１５は各々グロープラグ装着用及び燃料
噴射ノズル装着用の孔である。

したがつて、上記のように、バルブブリツジ５
の中央部に設けた凹部６の中央部にさらに設けた
凹部７を鋳肌面とすることにより、切削加工面に
比べて組織が緻密で強度的に強いため、クラツク
の発生を防止することができる。また、上記のク
ラツク対策は、塑性加工等することなく、鋳造し
た後の鋳肌面を残すだけであるので簡単に行うこ
とができる。さらには、上記凹部７周辺の凹部６
は該凹部７に比べてクラツクは発生し難いが、ピ
ストンヘツド１３との干渉等が問題となるので、
凹部７周辺の凹部６を切削加工面とすることによ
り、寸法精度のばらつきによる燃焼室容積のばら
つきを防ぎ、かつ吸気流のスムーズな流入を確保
するとともに、ピストンヘツド１３との干渉を防
止している。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例におけるシリンダヘツド
を下方より見た図、第２図は第１図におけるＡ−
Ａ線断面図、第３図は第２図における要部拡大断
面図である。 １……吸気バルブ、２……排気バルブ、３……
シリンダヘツド、４……シリンダヘツド下面、５
……バルブブリツジ、６……凹部、７……凹部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ほぼ平坦なシリンダヘツド下面における吸気バ
   ルブと排気バルブとの間に位置するバルブブリツ
   ジの中央部に、吸気および排気バルブセンターを
   結ぶ方向に直交する断面をほぼ円弧状とした凹部
   を形成したエンジンのシリンダヘツドバルブブリ
   ツジ構造において、上記凹部の吸気および排気バ
   ルブセンターを結ぶ最狭部近傍を鋳肌面とし、シ
   リンダヘツド下面に連設される上記鋳肌面まわり
   の凹部を切削加工面とする構成を特徴とするエン
   ジンにシリンダヘツドバルブブリツジ構造。