JPH0247231Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は吸排気口の流体低抗を小さくした内燃
機関の燃焼室構造に関するものである。

［従来の技術］ セラミツクスによりシリンダヘツドがシリンダ
と一体に形成される内燃機関は、特開昭57−
59018号公報などに提案されているが、吸排気弁
の弁座の下側すなわち燃焼室側に開口する逃げ面
を仕上げる場合に、工具が邪魔になる。この点を
従来例に基づいて説明すると、第４，５図に示す
ように、シリンダ３を備える本体２のヘツド２ａ
に吸排気口６が備えられ、弁座７の下側からシリ
ンダ３の内方へラツパ状に広がる逃げ面８が形成
されるが、特にヘツド２ａが本体２と一体になつ
ている場合は、逃げ面８を成形するための工具が
シリンダ３の内周面に当たり、切欠９で示すよう
に内周面の一部が切り欠かれる。本体２の肉厚が
厚い場合は、上述の切欠９は強度上格別支障とな
らないが、多気筒機関では本体２の肉厚が厚い
と、シリンダブロツクが長大なものとなる。

そこで、本体２の肉厚を薄くするためには、第
６図に示すように弁座７の下側の逃げ面８の勾配
を急にして、工具がシリンダ３の内周面と干渉し
ないようにすることが考えられる。しかし、この
ような急勾配の逃げ面８では、吸排気弁の開弁時
の弁座７と吸排気弁との間の通路面積が狭まり、
吸排気効率が低下し、機関の性能に影響する。も
ちろん、ピストン冠面に窪みを設け、吸排気弁の
リフトを大きくすれば、通路面積を拡大できる
が、ピストンの形状が複雑になる。

実開昭58−137804号公報に開示される内燃機関
の燃焼室構造では、弁座に対して円錐形のカツタ
の軸をシリンダ中心側へ偏心させ、かつシリンダ
内周面側へ傾けて逃げ面を加工している。したが
つて、逃げ面の勾配はシリンダ内周面側で急であ
り、シリンダ中心側で緩かになつているだけであ
り、シリンダ周方向には格別に拡がりをもつてい
ないから、通路面積があまり広くならない。

特開昭58−74816号公報に開示される内燃機関
の燃焼室構造でも、円錐形でなく球面状のカツタ
を用いる点で上述のものと異なるだけで、逃げ面
が他の部分よりもシリンダ周方向に拡張されてい
るわけではないので、通路面積の拡張効果はあま
り期待できない。

［考案が解決しようとする問題点］ 本考案の目的は上述の問題に鑑み、ピストン冠
面に対策を施すことなく、吸排気口の通路面積を
広くできる、内燃機関の燃焼室構造を提供するこ
とにある。

［問題を解決するための手段］ 上記目的を達成するために、本考案の構成はシ
リンダヘツドの下面に、吸排気弁の弁座からシリ
ンダの内周面側で急傾斜し、他の部分で緩かに傾
斜し、かつ端縁がシリンダの周方向に拡がりをも
つ楕円形のラツパ状逃げ面を成形したものであ
る。

［作用］ 吸排気弁の弁座から燃焼室へ拡がる逃げ面につ
いてシリンダ内周面側で急傾斜させてあるから、
逃げ面の仕上げに際してシリンダ内周面との工具
の干渉が回避される。逃げ面の端縁をシリンダ周
方向に拡がりをもつ楕円形としたから、シリンダ
中心側における逃げ面の相互干渉を回避しつつ、
吸排気口の通路面積が大幅に拡張される。

［考案の実施例］ 第１図に示すように、本体２のヘツド２ａに吸
排気口６が設けられ、吸排気口６の上端部に大径
円筒部５が、下端側に円錐状の弁座７がそれぞれ
形成される。

本考案によれば、弁座７の下側に形成される逃
げ面８について、シリンダ内周面に接近する部分
を急な勾配をもつ逃げ面８ｂとし、シリンダ中心
側の部分は緩かな勾配をもつ逃げ面８ａとする。
第２図に示すように、吸排気口６と弁座７とは同
心に形成されるが、逃げ面８は全体としてシリン
ダ３の周方向に拡がりをもつ楕円形とする。つま
り、逃げ面８のシリンダ周方向部分の勾配を最も
緩かな逃げ面８ｃとする。

本考案は上述のように、シリンダ中心側に向う
逃げ面８ａを緩かな勾配としたこと、またシリン
ダ周方向に向かう逃げ面８ｃをより緩かな勾配と
したことにより、開弁時の吸排気弁と逃げ面８と
の間の通路面積が大幅に拡張され、吸排気効率が
向上される。また、シリンダ内周面に向う逃げ面
８ｂを急勾配としたから、逃げ面８の仕上げの際
に、工具とシリンダ内周面との干渉が避けられ、
したがつて、本体２の肉厚を薄くすることがで
き、多気筒シリンダブロツクの長大化が避けられ
る。

なお、本考案はシリンダとシリンダヘツドがセ
ラミツクスにより一体に構成される燃焼室に限ら
ず、一般的な金属製内燃機関の燃焼室にも適用用
できる。第３図に示す実施例では、シリンダ３を
備えるライナ１７にガスケツト１２を介しててシ
リンダヘツド１４が結合され、シリンダヘツド１
４の吸排気通路１６の端部に、弁座１５が嵌合支
持される。弁座１５を嵌合する穴１６ａの端部か
らシリンダヘツド１４の下面へ拡がる逃げ面１９
について、シリンダ内周面側よりもシリンダ中心
側の勾配を緩かにし、かつシリンダ周方向の勾配
を最も緩かにして、逃げ面の端縁がシリンダ周方
向に拡がりをもつ楕円形とすれば、開弁時の吸排
気弁１３と逃げ面１９との間の通路面積が大幅に
拡張される。

［考案の効果］ 本考案は上述のように、シリンダヘツドの下面
に、吸排気弁の弁座からシリンダの内周面側で急
傾斜し、他の部分で緩かに傾斜し、かつ端縁がシ
リンダの周方向に拡がりをもつ楕円形のラツパ状
逃げ面を成形したものであり、逃げ面がシリンダ
内周面側で急傾斜しているので、弁座の成形時シ
リンダ内周面を切り欠くことなく逃げ面を成形で
き、吸排気口の通路面積が広くなる。特にセラミ
ツクスによりシリンダヘツドとシリンダが一体の
燃焼室の場合に、シリンダ壁部の肉厚を薄くで
き、多気筒シリンダブロツクの長大化を回避でき
る。

逃げ面の端縁がシリンダの周方向に拡がりをも
つ楕円形をなすので、シリンダ中心側での逃げ面
の相互干渉を回避しつつ、開弁時の吸排気弁と逃
げ面との間の通路面積が大幅に拡張され、吸排気
効率が向上される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る内燃機関の燃焼室構造の
正面断面図、第２図は同底面図、第３図は本考案
の一部変更実施例に係る燃焼室構造の側面断面
図、第４図は従来の燃焼室構造の正面断面図、第
５図は同底面図、第６図は従来の他の燃焼室構造
を示す正面断面図である。 ２：本体、２ａ：ヘツド、３：シリンダ、６：
吸排気口、７：弁座、８ａ，８ｂ，８ｃ：逃げ
面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダヘツドの下面に、吸排気弁の弁座から
   シリンダの内周面側で急傾斜し、他の部分で緩か
   に傾斜し、かつ端縁がシリンダの周方向に拡がり
   をもつ楕円形のラツパ状逃げ面を成形したことを
   特徴とする内燃機関の燃焼室構造。