JPH0253215B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明はサーボモータを射出駆動源とするイ
ンラインスクリユ式電動射出装置に関するもので
ある。

［従来の技術］ 電動機を射出駆動源とする射出装置は実公昭39
−10424号により公知となつている。

この射出装置は一対のタイバーに摺動板を支持
させ、その摺動板の前部にプランジヤを、後部に
キー溝を軸方向に有するねじ軸を連結し、そのね
じ軸に定位置にて回転するプーリーを螺合すると
ともに、キー溝と嵌合するキーを備えたウオーム
ホイールを設け、このウオームホイールとプーリ
及びねじ軸とにより電動機による回転力を、プラ
ンジヤの推力に変換している。

［発明が解決しようとする課題］ このプランジヤ式射出装置では、ねじ軸ととも
にプランジヤが直線運動して射出を行うため、ね
じ軸の回転を阻止するキー等の部材や抵抗機等が
必要となり、簡単であるべき伝動機構が油圧駆動
の場合に比べて複雑となる欠点があつた。

またプランジヤとねじ軸が同一軸線上に連なつ
て位置することから、装置が必要以上に長く構成
され、ねじ軸の支持も不完全で伝動効率にも問題
がある等の点から、インラインスクリユ式射出装
置に応用するには、さらに改良が必要とされてい
る。

この発明の目的は、サーボモータを射出駆動源
として用いることができ、回転力を直線運動に変
換するねじ軸を備えた伝動機構もコンパクトに構
成されて伝動効率が良く、応答性も高速で、トル
ク制御も容易なインラインスクリユ式電動射出装
置を提供することにある。

［課題を解決するための手段］ 上記目的によるこの発明の特徴は、射出加熱筒
内のスクリユを後端の延長軸を介して回転自在に
保持し、かつ両端部にねじ受部材を設けたスクリ
ユ保持部材と、そのスクリユ保持部材の両側に上
記スクリユと平行にして回転自在に架設され、上
記ねじ受部材とボールを介し螺合してスクリユ保
持部材を支持するとともに、回転によりスクリユ
保持部材を上記スクリユと共に進退移動させる定
位置の一対のねじ軸とそのねじ軸を回転伝動部材
を介して回転するサーボモータとからなることに
ある。

［作用］ 上記構成では、サーボモータが回転作動する
と、一対のねじ軸が同時に回転する。このねじ軸
は回転により移動することはないので、ねじ軸と
螺合したスクリユ保持部材側がねじ軸を案内とし
て前進移動する。これによりスクリユも射出加熱
筒内を前進移動して射出を行う。

また射出加熱筒内の材料の送り圧によりスクリ
ユに後退力が作用したときには、その後退力によ
りねじ軸が回転して、スクリユと共にスクリユ保
持部材が後退移動するのを許容する。

以下この発明を図面に示す実施例により詳細に
説明する。

図中１は型締装置、２は射出装置を示す。

型締装置１は、機台３上の一対の固定盤１０，
１１に架設したタイバー１２と、該タイバー１２
に移動自在に取付けた可動盤１３とを有する。

上記一方の固定盤１１と可動盤１３との対向面
には、それぞれ金型１４，１４が設けてあり、ま
た可動盤１３の反対面にはねじ軸１５が突設して
ある。このねじ軸１５は、他方の固定盤１０に回
動自在に装着した回転盤１６にボールを介してね
じ込まれ、かつ回転盤１６には歯車１７が取着し
てあつて、その歯車１７と共に上記回転盤１６が
回転したとき、ねじリードによつてねじ軸１５が
可動盤１３と一緒に移動するようになつている。

射出装置２は、スクリユ２０を内装した射出加
熱筒２１と、射出加熱筒２１の保持を兼ねる機台
上のハウジング２２とを有する。該ハウジング２
２の内部にはスクリユ２０の後端部と、そのスク
リユと平行して両側に架設した一対のねじ軸２
４，２４があり、このねじ軸２４，２４にスクリ
ユ保持部材２５が前後方向に摺動自在に取付けて
ある。

またスクリユ２０の後端には、歯車２６を有す
る延長軸２７が連設してあり、かつ延長軸２７の
端部は上記スクリユ保持部材２５に回動自在に連
結してある。

上記ねじ軸２４，２４は中程がねじ部２４ａ，
２４ａに形成され、またスクリユ保持部材２５の
両端部にはねじ受部材２８，２８が横に嵌め込ん
で一体に設けてあり、それらねじ部２４ａとねじ
受部材２８は互いにボールを介して螺合してい
る。

更にまたねじ軸２４，２４には、後記する歯車
２９と噛合する歯車２９ａ，２９ａが取付けてあ
り、歯車２９の回転を歯車２９ａ，２９ａを介し
てねじ軸２４，２４に伝達し、ねじリードにより
スクリユ保持部材２５がスクリユ２０と共に進退
移動するようにしてある。

またスクリユ保持部材２５の後部中央には、上
記延長軸２７と同一軸線上に位置する回転軸３０
が、一端をハウジング壁部２２ａに回転自在に軸
承して設けてあり、その回転軸に上記歯車２９ａ
と噛合する回転伝動用の大歯車２９が取付けてあ
り、更に軸端には、ハウジング壁部２２ａに固定
したブレーキ装置３１が連結してある。このブレ
ーキ装置３１は内部にヒステリシスブレーキを具
備する。

このヒステリシスブレーキは、フイールドとロ
ータ及びカツプの３つの部分から構成され、励磁
コイルを内蔵するフイールドが通電により磁化さ
れ、ロータの内外両磁極間に磁場が発生したと
き、磁場におかれたカツプも磁化され、ロータと
カツプが磁気的に連結される構造のもので、通常
に市販されているものである。

３２は上記型締装置側の伝動軸、３３は射出装
置側の伝動軸で、伝動軸３２は第１図に示すよう
に、上記固定盤１０，１１の下部に回動自在に軸
承され、かつ固定盤１０に近接して上記歯車１７
と噛合した伝動歯車３５を有する。また伝動軸３
２はスプラインを有するジヨイント３６ａを介し
て伝動軸３６と接続されており、伝動軸３６は伝
動軸３３と電磁作動のクラツチ機構３４を介して
接離自在に連設してある。

また伝動軸３３は上記ハウジング２２の下部内
に他の伝動軸３７と共に回転自在に軸承され、そ
の伝動軸３３，３７上に上記歯車２６及び２９と
それぞれ噛合する伝動歯車３８，３９と、該歯車
の回転及び停止を行う電磁作動の複数のクラツチ
機構４０，４１とが設けてあり、さらに伝動軸３
７にハウジング２２に固定してサーボモータ４２
を駆動ベルト４３を介して連絡させてある。

なお４４，４５は伝動軸３３，３７に設けた駆
動用の歯車、４６はノズルタツチ用のねじ軸、４
７はねじ軸４６のクラツチである。

次に射出成形行程について説明する。

クラツチ機構３４により伝動軸３２，３３を接
続した状態にて、サーボモータ４２を正回転させ
る。この際、射出装置２側ではクラツチ機構４
０，４１の作動により伝動歯車３８，３９を自由
状態にして置く。

伝動軸３２と伝動歯車３５及び歯車１７とによ
つて回転盤１６が回転し、ねじ軸１５が送り出さ
れる。この結果、可動盤１３が前進移動して金型
１４，１４が閉じ、更に強力型締が行われる。型
締圧が所定圧に達したならばブレーキ４８を作動
して伝動軸３２を固定し、さらにクラツチ機構３
４を作動して伝動軸３３との接続を断つ。

また射出装置側では指令によつてクラツチ機構
４１が作動し、伝動歯車３９を伝動軸３３と共に
回転させる。これにより歯車２９と噛合した歯車
２９ａを介して両方のねじ軸２４が回転し、ねじ
受部材２８のねじとの螺合によるねじリードによ
り、その回転力が直線方向への推力に変換され
て、スクリユ保持部材２５はねじ軸２４に案内さ
つつ前進する。このスクリユ保持部材２５には、
スクリユ後端の延長軸２７が軸承してあるから、
スクリユ２０も共に前進して射出を行う。

射出が完了すると、指令によつてサーボモータ
４２が停止し、同時にクラツチ機構４１を作動し
て歯車３９と接続を断つ。

次にクラツチ機構４０が作動して伝動歯車３８
を伝動軸３７と共に回転するようにする。そして
再びサーボモータ４２が逆回転すると、スクリユ
２０が回転し、ホツパーから射出加熱筒２１内に
材料が送り込まれる。材料の送り圧によつてスク
リユ後退力が発生し、その後退力はスクリユ保持
部材２５を押圧し、ねじ軸２４にスクリユ前進時
と逆方向の回転力を発生させる。

同時にブレーキ装置３１を作動させ、ねじ軸２
４にブレーキ力を与えることにより、いわゆるス
クリユ背圧を発生しながら材料の計量が行われ
る。

計量が済むと型締機構側では、電磁ブレーキ４
８を解除するとともにクラツチ機構３４が作動
し、伝動軸３２を再び伝動軸３３に接続する。ま
たサーボモータ４２を逆回転することにより、ね
じ軸１５は逆回転して型開きが行われ、１サイク
ルの射出成形が完了する。

［発明の効果］ この発明は上述のように、射出加熱筒２１内の
スクリユ２０を後端の延長軸２７を介して回転自
在に保持し、かつ両端部にねじ受部材２８を設け
たスクリユ保持部材２５と、そのスクリユ保持部
材２５の両側に上記スクリユ２０と平行にして回
転自在に架設され、上記ねじ受部材２８とボール
を介し螺合してスクリユ保持部材２５を支持する
とともに、回転によりスクリユ保持部材２５を上
記スクリユ２０と共に前進移動させる定位置の一
対のねじ軸２４，２４と、そのねじ軸２４を回転
伝動部材を介して回転するサーボモータ４２とか
らインラインスクリユ式電動射出装置を構成して
なることから、従来のプランジヤ式電動射出装置
と異なつて、ねじ軸の回転を阻止する装置や部材
が不要となる。またねじ軸がスクリユ保持部材の
側部に位置するので、プランジヤとねじ軸とを同
一軸線上に位置させた場合よりも装置が短くコン
パクトにまとまり、機械全長寸法の縮小化を図る
ことができる。

さらにまた単一のねじ軸により回転力を直線運
動に変換する場合には、トルクの関係から大径の
ボールねじ軸が必要となるが、径が大きくなると
ねじ軸の慣性モーメントも大きくなり、高速応答
のサーボモータを使用してもその出力トルクに限
界があるため、結果として応答性の悪いものとな
つて、射出開始時の応答性能を重視する射出装置
として好ましいことではないが、一対のねじ軸に
よる場合には、その径を単一ねじ軸による場合よ
りも小径とすることができ、それに加えてボール
ねじにより回転力を直線運動に変換しているの
で、慣性モーメントはさらに小さくなり、伝動効
率も高いので、装置が大型化されても応答性能が
よく、駆動が電動式でありながら応答が高速で行
われ、トルク制御も容易で、高精度の速度制御も
実施できるなどの特長を有する。

【図面の簡単な説明】

図面はこの発明に係るインラインスクリユ式電
動射出装置の１実施例を示すもので、第１図は射
出成形機の側面図、第２図は射出装置の横断平面
図、第３図はハウジング部分における縦断面図、
第４図はハウジング下部における横断平面図であ
る。 １……型締装置、２……射出装置、２０……ス
クリユ、２１……射出加熱筒、２４……ねじ軸、
２４ａ……ねじ軸、２５……スクリユ保持部材、
２８……ねじ受部材、２９……歯車、２７……延
長軸、３１……ブレーキ装置、４２……サーボモ
ータ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 射出加熱筒内のスクリユを後端の延長軸を介
   して回転自在に保持し、かつ両端部にねじ受部材
   を設けたスクリユ保持部材と、そのスクリユ保持
   部材の両側に上記スクリユと平行にして回転自在
   に架設され、上記ねじ受部材とボールを介し螺合
   してスクリユ保持部材を支持するとともに、回転
   によりスクリユ保持部材を上記スクリユと共に前
   進移動させる定位置の一対のねじ軸と、そのねじ
   軸を回転伝動部材を介して回転するサーボモータ
   とからなることを特徴とするインラインスクリユ
   式電動射出装置。