JPH0241653B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は２列に配列されるころがり部材を備
え、外形寸法を変えることなく負荷能力を増大可
能な複式玉軸受に関する。本発明によれば、２列
に配列されるころがり部材に対し斜め方向且互い
に接近する方向に負荷が加わるように構成され、
いわば「０」形に２列のころがり部材が配列され
てなる玉軸受が提供される。

特に自動車両の車輪の取付の際に使用されるこ
の種の玉軸受はフランス国特許第2372988号に開
示されており、この場合軸方向に分割された外側
レースに対し２列のころがり部材が配列されてい
る。このように外側レースを分割することにより
組立の際２列のころがり部材の一方の列のころが
り部材の個数を多く組込むことが可能であり、又
外側レースを構成する２半体の他方の半体を取り
付ける際に一方の列のころがり部材の組込みを完
了できる利点がある。一方、他方の列のころがり
部材は外側レースの約半分のみに対し挿入でき、
ころがり部材の挿入作業は内側レースに対し外側
レースを偏心して回転させつゝ行なわれる。

このようにして組み立てられた環形の軸受は２
列に配列されたころがり部材を有するが、一方の
列のころがり部材の個数は他の列のころがり部材
の個数よりも少ない。このための軸受においては
ころがり抵抗が非対称となり好ましくなかつた。

一方米国特許第1884925号には、２列に配列さ
れたテーパ付ローラを具備し一方の列のテーパ付
ローラを容易に組込可能な分割された外側レース
を備えた軸受が開示されており、分割されたリン
グが外側レースの２半体間に付設されて組立作業
が完了する。この場合２列に配列されたころがり
部材の数は同一にできるが、軸受に対し必要とさ
れる所定の遊びを正確に与えるため、分割された
リングのみならず外側レースの各半体の互いに整
合するすべての面を高精度で加工する必要があ
り、製造が煩雑になつていた。更に分割されたリ
ングを他の外部装置を介し適所に保持する必要が
あり、部品点数が多くなる欠点があつた。

本発明の主目的は２列に配列されたころがり部
材を備え、スペーサ等の別途の部材を用いること
なく各列に同数のころがり部材を配列し得ると共
に加工作業を大巾に簡略化しうる複式玉軸受を提
供することにある。

本発明による２列のころがり部材を有した軸受
は、２半体から成り接合面が当接された状態で保
持される分割された外側レースを備えている。本
発明によれば、外側レースの２半体の各接合面に
は基準面をなすような高精度で加工され少なくと
も２つの軸方向に突出する突起部が設けられる。
２突起部間には接合面レースの２半体において相
対向する半体に設けられた前記突起部を嵌入可能
なくぼみ部が形成される。この構成により外側レ
ースの２半体を相対的に回動しつゝ同一個数のこ
ろがり部材を２列に配列することができる。更に
本発明による軸受には、外側レースの２半体の突
起部が相互に接合した時、２半体の互いに対向す
るくぼみ部により区画される間隙を密封するた
め、分割された外側レースと被設可能な環形の密
封部材が具備される。この構成により各くぼみ部
により区画される間隙を介し塵埃、不純物等の異
物の進入が防止される。

外側レースの２半体を組立作業中容易に回転し
得るよう、２半体の接合面に設けた各突起部が傾
斜面を介し各突起部と隣接するくぼみ部に連接さ
れることが好ましい。

外側レースの２半体の組立後に２半体に形成さ
れた突起部が正確に当接するよう、少なくとも２
の軸方向に延びるピンを介し外側レースの２半体
が位置決めされ固定されることが望ましい。

特に分割された外側レースを備える本発明の好
ましい実施例によれば、密封部材はゴムのような
弾性材で形成された環状部材であり、外側レース
の２半体の接合面の外周部を緊密に密封すべく外
側レースを囲繞するように被着される。

又密封部材には互いに整合する２くぼみ部間に
区画される間隙に嵌入可能な少なくとも一の固定
ブロツクが具備されることが好ましい。密封部材
が弾性材で形成された環形部材である場合、固定
ブロツクは半径方向内向きの突出体として密封部
材と一体に構成しうる。密封部材は又接合面レー
スを構成する２半体においてスナツプフイツトす
るようにプラスチツク材でなる分割された環状部
材としても構成しうる。

無論、本発明は負荷を受けたとき外側レースの
２半体が分離されることを防ぐように２列に且い
わば０形に配列されたころがり部材を具備する軸
受にのみ適用できる。

本発明による玉軸受は以下の如く組み立てられ
る。

まず第１の列をなすころがり部材を軸受に導入
した後、第１の列のころがり部材と協働する外側
レースの第１の半体を適所に装着する。

次に外側レースの第２の半体を回動しつゝ各半
体の突起部を前記突起部と対向するくぼみ部に嵌
入させ、第１の列と同数のころがり部材を第２の
列として組込む。

最終的に、外側レースの第２の半体を、突起部
をくぼみ部に嵌入した時と反対方向に、２半体の
高精度に加工された突起部端面が互いに当接する
まで回動する。

以下本発明を好ましい実施例に沿つて説明す
る。

第１図に、自動車の車輪の取付装置をなす本発
明の１実施例としての複式玉軸受を示す。車輪の
ハブおよびブレーキ板（図示せず）は内側レース
と固設されているフランジに装着可能である。

第１図乃至第３図に示すように、内側レース１
には支承部２が具備され、支承部２が具備され、
支承部２の外面にはころがり接触が可能な２レー
ス面３，４が形成されている。半径方向に延びる
フランジ５には、互いに離間され内面にネジ山を
有した穴６が設けられる。前記フランジ５の穴６
を介しブレーキ板および車輪のハブ（図示せず）
が取付可能となる。

外側レース７は２半体８，９から成り、本実施
例の場合は実質的に同一かつ対称に構成されてい
る。外側レース７の半体８，９は周知な鍜造法、
打抜き法又は焼結法により製造される。外側レー
ス７の半体８，９の互いに対向し且整合する各側
面には半径方向に延びる少なくとも２つのくぼみ
部１１と半径方向に延びる少なくとも２つの突起
部１０とが交互に設けられている（特に第２図の
側面図参照）。半体８，９の各くぼみ部１１は対
向する半体の突起部１０を嵌入可能である。この
場合、くぼみ部１１の円周方向の長さは突起部１
０の円周方向の長さより大に設けられる。くぼみ
部１１と突起部１０とが嵌合できるように、くぼ
み部１１の軸方向の深さは突起部１０の高さより
大に形成される。

突起部１０の端面部は常に半体８，９の基準面
となるべく高精度に加工される。一方くぼみ部１
１は粗面の状態でもよい。

各くぼみ部１１の底面は傾斜面１２を介し隣接
する各突起部１０に連接され、２半体８，９の相
対的な回転動作が容易となるように設けられてい
る。

第１図を参照するに、図示の位置に半体８，９
を保持すべく軸方向に延びるピン（図示せず）が
具備される。第１図の位置にある場合、半体８，
９はその各突起部１０の端面が互いに当接されて
おり、貫通穴１３に前述のピンを挿入することに
より図示の位置に保持可能になる。本装置は半体
９のタツプ穴１４から半体８を貫通してネジを締
め付けることにより、例えば自動車両のリンク引
棒腕に取り付け得る。また、半体８，９の外径よ
り幾分小さい内径を有した弾を持つ環形の密封部
材１５（第２図には図示せず）が好ましくは両半
体８，９に設けられた比較的浅い溝に嵌入する。
前記密封部材１５により、両半体の接合面におい
てその外周部が囲繞され充分に密封され得る。例
えば密封部材１５はゴム材でなり、半体８，９の
くぼみ部１１により作られる間隙を緊密に密封で
きる。且２列の球１８，１９には支承軸線Ｘ―Ｘ
に対し斜交する方向且互いに接近する方向１６，
１７に沿つて負荷が加わるよう構成される。この
ように球１８，１９群をいわば「０」形に配列す
ることにより、軸受総体に加わる負荷によつて２
半体８，９が分離されることが防止される。

２半体８，９のころがり面は２半体８，９が上
述したビンを介し好適に組み立てられる際同時に
加工することもできる。

第１図および第２図に示す軸受は以下の方法で
組み立てられる（第３図参照）。セパレータ（図
示せず）を介し保持される第１の列の球１８群が
まず内側レース２に配設される。次に一方の半体
８、更に他方の半体９を適所に装着し、他方の半
体９を回してその突起部１０が一方の半部８のく
ぼみ部１１と噛み合いかつ一方の半体８の突起部
１０が他方の半体９のくぼみ部１１と嵌合する。
この結果、他方の半体９は第３図の軸方向左側へ
突起部１０の軸方向の巾に相応する距離だけ移動
される。このように他方の半体９が移動されるこ
とにより、第１の列の球１８群と同数の第２の列
の球１９群を支承部２と他方の半体９との間に支
障なく好適に挿入できる。この場合第２の列の球
１９群と第１の列の球１８群には同一の負荷が加
わることになる。

次に他方の半体９を頭初の旋回方向と逆に回転
する。これにより２半体８，９が互いに離間する
方向に移動され、２半体８，９の両突起部１０の
高精度の加工面が第１図および第２図に示すよう
に互いに当接されることになる。この動作は上述
の如く傾斜面１２が設けられているので容易に行
なわれ得る。次にピンを貫通穴１３に挿入して本
装置が作動可能な状態に固定される。

第４図および第５図は本発明の他の実施例を示
す。同図において、同一又は等価な構成部材に対
しては第１図乃至第３図と同一の符号を付してあ
る。第４図乃至第５図においては、外側レース７
を構成する２半体２０，２１がピンにより組み立
てられていない点のみが第１図乃至第３図の実施
例と異なる。本実施例の場合、２半体２０，２１
は弾性かつ環形の密封部材２３と一体をなす半径
方向内側に延びるブロツク２２により相対的に回
転しないように固定される。即ち本実施例におい
ては、好適なゴムコンパウンド材で形成される密
封部材２３の内周部がくさび部材の如く機能する
ブロツク２２をなしており、前記ブロツク２２は
第５図に示すように一対のくぼみ部１１により形
成される間隙の一に圧入可能な大きさに設けられ
ている。

また他の実施態様においては２半体２０，２１
は、双方の接合面部を囲繞する環形の密封部材と
別個のブロツクをくぼみ部１１に嵌入することに
より、同様に半体が相対的に回転しないよう固定
できる。前記ブロツク２２は２くぼみ部１１によ
り区画される間隙に所定の遊びを持たせて嵌入す
ることもでき、２半体間が僅かに相対的に回転さ
れても、突起部１０はその高精度に加工された端
面相互が当接されているので作動中球軸受内にお
いて、正常な遊びが損なわれることはない。

一方第４図および第５図の実施例の場合、単一
の部材から成る内側レース２４はほぼ円筒形をな
しており第１図の実施例の場合に比べ特に自動車
両の車輪に対する取付構成に相違があることが理
解されよう。

本発明においては突起部およびくぼみ部の個数
自体は重要ではない。また軸受のすべり部材、即
ちころがり部材としては図示のような球のみでく
テーパ付のローラも使用でき、この場合も２列に
配列されるすべり部材はいわば「０」形に配列し
うる。

又上述の実施例において２半体は特にその断面
が同一であるものとして説明したがこれに限定さ
れるものではない。

更に環形の密封部材は完全に液密にする必要が
ない場合にはプラスチツク材により複数個に分割
してなる環形部材として構成しうる。

第１および第２の、２列に配列されたころがり
部材と第１および第２の２半体からなる分割レー
スとを備え、前記２半体は高精度に加工された少
なくとも２つの突起部と前記突起部間に設けられ
たくぼみ部とを有する複式玉軸受において、前記
第１の列のころがり部材を適所に取り付けその後
前記第１の列のころがり部材と協働する前記分割
レースの前記第１の半体を取り付ける工程と、前
記第２の半体を適所に取り付け長手軸を中心に回
動して前記第１および第２の半体の突起部を相対
向する他方の半体のくぼみ部に嵌入させる嵌入工
程と、前記第１の列と同数の前記第２の列のころ
がり部材を適所に取り付ける工程と、前記嵌入工
程において前記第２の半体の回転方向と反対の方
向に前記第２の半体を回動して前記第１および第
２の半体を相対移動させかつ前記第１および第２
の半体上の突起部の高精度に加工された面を互い
に当接させる工程とを包有してなる前記複式玉軸
受を組み立てる方法。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の複式玉軸受の一実施例の軸方
向に切断した断面図、第２図は同側面図、第３図
は同組立工程の説明図、第４図は本発明の他の実
施例の軸方向に切断した断面図、第５図は第４図
の線―に沿つて切断した断面図である。 １……内側レース、２……支承部、３，４……
レース面、５……フランジ、６……穴、７……外
側レース、８，９……半体、１０……突起部、１
１……くぼみ部、１２……傾斜面、１３……貫通
穴、１４……タツプ穴、１５……密封部材、１
８，１９……球、２０，２１……半体、２２……
ブロツク、２３……密封部材、２４……内側レー
ス。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 第１および第２の、２列に配列されるころが
   り部材と、互いに当接可能な接合面を有した２半
   体から成る分割レースと、前記分割レースを囲繞
   する密封体とを備え、前記２半体は高精度に加工
   され且軸方向に突出し互いに当接可能な少なくと
   も２つの突起部を有し、前記突起部間に相対向す
   る他方の半体の突起部を受容可能なくぼみ部が設
   けられ、前記２半体を相対的に回転したとき前記
   第２の列のころがり部材が導入可能に設けられ、
   前記密封体は前記２半体の突起部が互いに当接さ
   れるとき前記２半体の、互いに整合する前記くぼ
   み部を密封可能に付設されてなる複式玉軸受。 ２ 各突起部が傾斜部を介し、前記傾斜部により
   分割レースの２半体の相対的な回転が可能となる
   ように、くぼみ部と連接されてなる特許請求の範
   囲第１項記載の複式玉軸受。 ３ 分割レースの２半体がピンを介し、前記ピン
   により突起部が所定の位置に位置決めされるよう
   に連結されてなる特許請求の範囲第１項記載の複
   式玉軸受。 ４ 分割レースが外側レースであり、密封体は前
   記外側レースの２半体間の接合面の外周部を囲繞
   する弾性を有した環形部材である特許請求の範囲
   第１項記載の複式玉軸受。 ５ 互いに整合する２くぼみ部により区画される
   間隙に挿入可能な少なくとも一の固定ブロツクを
   含有してなる特許請求の範囲第１項記載の複式玉
   軸受。 ６ 固定ブロツクが密封体と一体に形成されてな
   る特許請求の範囲第５項記載の複式玉軸受。 ７ 密封体が分割された環形部材である特許請求
   の範囲第１項記載の複式玉軸受。 ８ 分割レースの２半体のころがり面が突起部の
   当接面と関連付けて加工されてなる特許請求の範
   囲第１項記載の複式玉軸受。 ９ ２列のころがり部材がいわゆる「０」形に沿
   つて配列されてなる特許請求の範囲第１項記載の
   複式玉軸受。