JPH0240369Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、自動車用ワイヤハーネスを車体要所
に固定して配設するために、ワイヤハーネスへ装
着するクランプに関するものである。

「従来の技術」 従来の前記のクランプは、弾性逆止片つき係止
頭を突設した板状の取付部を有する形状、または
弾性逆止片つき係止頭の基部に取付バンド部を有
する形状から成り、それ等のクランプは、ワイヤ
ハーネスの電線群が結束され、テープ巻きが施さ
れたのち、その外周の所要位置に、取付治具を用
いて相互の取付間隔と取付方向を規制し、該取付
部を粘着テープ等によつて手作業で数回テープ巻
きして固定したり、該取付バンド部をワイヤハー
ネス外周に締め付け、それぞれ装着されている。

そして、それ等のクランプの弾性係止片つき係
止頭を、車体要所の取着孔に嵌着し、当該ワイヤ
ハーネスを車体に配設保持するようになつてい
る。

「考案が解決しようとする課題」 以上の従来のクランプは、ワイヤハーネスの配
設保持上要求される保持力に対し、ワイヤハーネ
スへの取着力が充分とは言い難く、その上前記取
付部の取付不備を生ずることがあるので、クラン
プの取付が弛緩したり、ワイヤハーネス外周から
外れたり、或は取付方向が乱れてクランプ機能を
損なう難点がある。

さらに、クランプを手作業によつてワイヤハー
ネスの電線束に後付けする為、その作業は煩雑に
して手数がかかり、作業性が好ましくない。

本考案は、以上の従来技術の不具合を解消する
新規のクランプを提供するのが目的である。

「問題点を解決するための手段」 以上の目的を達成する本考案のワイヤハーネス
用クランプは「弾性逆止片つき係止頭と電線束挿
着脚から成り、該電線束挿着脚は、下端から上方
に伸びる割れ目部を介して対向し、該係止頭から
下方に伸びる一対の片持梁状弾性片によつて形成
され、該弾性片の対向縁部に、電線挟着溝部が多
段に形成された構造」から成つており、その電線
束装着脚がワイヤハーネスの電線束に埋め込み装
着されると共に、その電線挟着溝部に、電線束内
の電線を挟着し、係止頭のみを電線束から突き出
してワイヤハーネスに装着されるクランプになつ
ている。

「作用」 以上の本考案のクランプは、電線束挿着脚がワ
イヤハーネスの電線束に埋め込まれると共に、そ
の電線束はテープ巻き等によつて結束（ワイヤハ
ーネスにおける通常の結束）がなされるので、電
線束装着脚の弾性片は、その結束力によつて内側
へ変位し、電線挟着溝部内の電線を強く挟着して
固定されるので、クランプのワイヤハーネスへの
固定力は、従来物より物理的に極めて安定向上す
る。そして、その電線束挿着脚は必然的にワイヤ
ハーネスの布線時になされるので、従来物のクラ
ンプ後付け作業が省略される。

「実施例」 以下、実施例に基づいて詳しく説明する。ま
ず、その一実施例を示す第１，２図において、本
考案のクランプ１は板状の電線束装着脚３の上
に、弾性逆止片４Ａ４Ｂを有する係止頭２が設け
てあり、電線束挿着脚３は下端から上方に伸びる
割れ目部６を介して対向し、係止頭２を基部とし
て下方に伸びる一対の片持梁状の弾性片５Ａ５Ｂ
から成つており、弾性片５Ａ５Ｂの対向縁部に
は、割れ目部６の終端から入口方向に向つて３個
の電線挟着溝部７Ａ７Ｂ７Ｃが多段状に形成して
ある。即ち、弾性片５Ａ５Ｂは電線束挿着脚３の
基部８を固定端とする板状の片持梁になつてお
り、図示矢印の様に割れ目部６を開閉する方向に
弾性変形できる。そして電線挟着溝部７Ａ〜７Ｃ
は、後述する布線電線の単線を個別に挟着できる
ように弾性片５Ａ５Ｂにそれぞれ対向して凹設し
た半円溝からなり、その両側の半円溝が向き合つ
て挟着する電線径に概ね等しくなつている。な
お、弾性逆止片４Ａ４Ｂを有する係止頭２は従来
のものと同一である。

そして、この実施例のクランプ１は以下の様に
してワイヤハーネスへ挿着される。即ち、その装
着方法を示す第２，３図において、当該ワイヤハ
ーネスの布線成形に用いる公知の布線図板（ワイ
ヤハーネスの布線形状に沿つて布線治具（図示し
ない）と組み合せてクランプ治具９を立設し、ク
ランプ１を逆さにしてその係止頭２を、クランプ
治具９の係止孔１１に嵌着させて仮止めし、クラ
ンプ治具９上に立設させる。そして、布線すべき
単線電線１０を弾性片５Ａ５Ｂ間の割れ目部６に
順次挿入し、電線挟着溝部７Ａ〜７Ｃに挿着す
る。なお、このとき弾性片５Ａ５Ｂはその挿入抵
抗によつて外方へ弾性変形して電線１０の挿入を
許容し、挿入後はそれ等の電線を軽く弾圧挟着す
る。なお、図中の１２は布線ガードである。

つづいて、第３図Ｂの様に、クランプ１の周辺
を埋め込むように布線すべき電線群１０を順次積
み重ねて電線束となし、しかるのち、該電線束の
外周所要位置に、ワイヤハーネスとして通常施す
結束用のテープ巻き１５を施して締め付け結束
し、クランプ１は第４図の様に係止頭２のみを残
してワイヤハーネス１４に組み込み装着されて固
定される。

以上の実施例のクランプ１は、前記の作用があ
りワイヤハーネス１４への固定力が向上するの
で、係止頭２を車体に取付けたワイヤハーネス１
４に外力が加わつても、クランプ１が電線束から
外れたり、取付姿勢が崩れたりするおそれがな
く、クランプ機能が良好に安定する。

そして、クランプ１は電線束挿着脚３を有する
ことから、前記例示のようにワイヤハーネス１４
の電線束布線時に挿着されると共に、ワイヤハー
ネス１４の電線束結束のテープ巻きを利用して、
その挿着姿勢が固定されるので、従来構造のよう
に、煩雑なクランプ後付け作業と、クランプ固定
のためのテープ巻きが省略され、ワイヤハーネス
１４へのクランプの取付作業が簡素化し、ワイヤ
ハーネス全体の成形作業性が向上する。

つぎに、第５，６図は本考案の他の実施例のク
ランプを示したもので、第５図は電線束挿着脚３
の片持梁状の弾性片５Ａ５Ｂの対向縁部にそれぞ
れラチエツト溝状の電線挟着溝部７Ａ〜７Ｄを設
けたもので、対向する該ラチエツト溝に電線１０
が逆止め挟着される。また、第６図のものは、第
５図実施例と同様な電線挟着溝部７Ａ〜７Ｄを有
する片持梁状の弾性片５Ａ５Ｂが、基部８方向に
向つて細くなる形状になつている。この第６図示
の電線束挿着脚３はクランプ１に抜け荷重が加わ
つたとき、電線群と接する弾性片５Ａ５Ｂの逆テ
ーパーによつて抜け抗力が一段と大きくなる利点
がある。

「発明の効果」 以上の様に、本考案のクランプは、ワイヤハー
ネスへの固定力が向上してクランプ機能を良好に
安定すると共に、ワイヤハーネスへのクランプ取
付け作業を簡素化してワイヤハーネスの成形作業
性を向上する効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図：本考案一実施例のクランプを示す正面
図Ａとその側面図Ｂ、第２図：第１図示クランプ
の使用方法を示す斜視図、第３図Ａ，Ｂ：第１図
示クランプの電線挟着状態を示す正面図、第４
図：ワイヤハーネスへの装着状態を示す斜視図、
第５，６図：本考案の他の実施例のクランプを示
す正面図。 主な符号、１：クランプ、２：係止頭、３：電
線束挿着脚、４Ａ４Ｂ：弾性逆止弁、５Ａ５Ｂ：
片持梁状弾性片、６：割れ目部、７Ａ〜７Ｄ：電
線挟着溝部、９：クランプ治具、１０：電線、１
４：ワイヤハーネス。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 弾性逆止片つき係止頭と電線束挿着脚から成
   り、前記電線束挿着脚は、下端から上方に伸びる
   割れ目部を介して対向し、かつ該係止頭から下方
   に伸びる一対の片持梁状弾性片からなり、該片持
   梁状弾性片の対向縁部に、電線挟着溝部が多段に
   形成された構造を特徴とするワイヤハーネス用ク
   ランプ。