JPH0238048Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はデイーゼルエンジン用燃料噴射ポンプ
の噴射時期制御装置に関し、特に加速制御性改善
を図つたものに関する。

この種の噴射時期制御装置の一例を第１図〜第
４図に基づいて説明する。第１図は分配型燃料噴
射ポンプの噴射時期制御装置に係る部分を示す。
図において、タイマーピストン１は燃料噴射用プ
ランジヤと一体のカムデイスクに接するローラホ
ルダー（いずれも図示せず）に係合している。こ
のタイマーピストン１の一端面側には高圧燃料が
導かれる高圧室２、他端面側には低圧燃料源に連
通し、かつタイマーピストン１を高圧室２側に付
勢するスプリング３を内装した低圧室４が形成さ
れ、これら高圧室２と低圧室４とが電磁式のタイ
ミングコントロールバルブ（以下TCVという）
５を介装したバイパス通路６によつて接続されて
いる。そして前記TCV５の通電時間、即ち、開
時間（以下iTデユーテイという）を制御するこ
とにより、高圧室２からバイパス通路６を介して
低圧室４へバイパスされる燃料量を調節し、もつ
て両室の燃料圧力を制御してタイマーピストン１
の位置つまり燃料噴射時期（開始時期）を制御す
るようになつている。ここで、タイマーピストン
１が低圧室４側へ移動する程、即ち、TCV５の
iTデユーテイを小さくしてバイパス燃料量を減
らし、高圧室２の燃料圧力を高める程噴射時期が
進角するようになつている。

次に、かかる装置における従来の一般的な噴射
時期制御方法、つまりTCV５のデユーテイ制御
方法について説明する。

第２図はその制御回路の構成を示し、コントロ
ールユニツト７にはエンジン各気筒の上死点位置
を検出するTDCセンサからのTDC信号、燃料噴
射弁の実際の噴射開始時期を弁リフトによつて検
出するリフトセンサからのリフト信号及び燃料噴
射ポンプのガバナコントロールレバーの開度（エ
ンジン負荷）を検出するレバー開度センサからの
レバー開度信号等が入力される。コントロールユ
ニツト７はこれら信号に基づいて、第３図のフロ
ーチヤートに示すようにTCV５のiTデユーテイ
を制御する。まず、コントロールレバー開度αの
変化率及びTDC信号の周期の逆数として求めら
れるエンジン回転数Ｎの変化率が夫々設定値より
大の時は加速時、それ以外の時は非加速時である
として加速判定を行い（S1）、非加速時と判定さ
れた時は、予めコントロールユニツト７のROM
に記憶された目標噴射時期（以下目標iTという）
とリフト信号入力後TDC信号を入力するまでの
間隔によつて求められる実際の噴射時期（以下実
iTという）との進角量の大小を比較する（S4）。
そして実iTが目標iTより大でその差が設定値よ
りも大である時にはその判定回数を調べて
（S5）、第１回目にはTCV５のiTデユーテイに遅
角方向の比例分＋PiTPを与えて噴射時期を遅角
方向へ制御する（S6）。又、S5における判定回数
の２回目以降はiTデユーテイを少量ずつ増大し
て噴射時期を遅角方向にＩ（積分）制御する
（S7）。

一方、S4で目標iTが実iTより大きくその差が
設定値より大である時には、前記同様その判定回
数を調べて（S8）、第１回目の場合は後述するよ
うに加速判定１回目でセツトされるフラグＦのセ
ツトの有無を判定するが（S81）、非加速時はリ
セツトされており、その場合はにはTCV５のiT
デユーテイに進角方向の比例分−PiTMを与えて
噴射時期を進角方向へ制御し（S9）、２回目以降
は進角方向にＩ（積分）制御する（S10）。

又、S4で実iTが目標iTから設定値以内の範囲
（以下目標iTの不感ゾーンという）にあると判定
された時には、TCV５のiTデユーテイ即ち噴射
時期は現状に維持される。

次に、S1で加速時と判定されたときは、その
判定回数を調べ（S2）、第１回目において、TVC
５のiTデユーテイに進角方向の比例分−iTACC
を与えて噴射時期を進角方向へ大きく制御する
（S3）。次いで、フラグＦを１にセツトする
（S31）。

次に、S2における加速判定回数の２回目以降
はS4以降に進むが、加速直後はS8〜S81に至り、
S81におけるフラグＦの判定でフラグＦが１にセ
ツトされている。この場合は、フラグＦを０にリ
セツトした後（S82）、進角方向にＩ（積分）制御
する（S10）。即ち、加速判定回数第２回目では、
加速検出直後S3で加速用の比例分−iTACC（この
値は十分大きい値に設定されている）を与えてい
るのでS9で再度比例分を与えることなく直ちに
積分制御に移行する。

以降の制御は、非加速時の場合と同様に行われ
る。

このようにTCV５のiTデユーテイに加速当初
及び実iTが目標iTの不感ゾーンから外れる瞬間
に比例分を与えることにより実iTを目標iTに近
づけるように制御している。

しかしながらかかる従来の噴射時期制御におい
ては、実iTが目標iTの不感ゾーンから外れる時
に与えるTCVのiTデユーテイの比例分を噴射時
期特性の定常時、過渡時に拘わらず同一の値に設
定しており、具体的には定常時において噴射時期
がハンチングを生じない程度の大きさとしていた
ため、加速時において不感ゾーンから外れる時に
与える比例分（絶対値）が小さ過ぎて、第４図に
示すように比例分を与えた後目標iT付近に落ち
着くまでの時間が長引いて加速性に劣るという問
題点があつた。

本考案はこのような従来の問題点に鑑みなされ
たもので、加速検出後一定時間は実iTが目標iT
の不感ゾーンから外れる時に与えるiTデユーテ
イの比例分を前記一定時間経過後の定常時に与え
る比例分に比べて大きく設定する比例分設定手段
を設けた構成として、噴射時期の整定性を改善
し、もつて加速性を向上させたデイーゼルエンジ
ン用燃料噴射ポンプの噴射時期制御装置を提供す
ることを目的とする。

以下に本考案を図示実施例に基づいて説明す
る。但し、タイマーピストン及びTCV等機械的
な構成部分については従来と同様であるため、第
１図を併用して説明する。

第５図は本考案の一実施例を示し、コントロー
ルユニツト１１には従来同様TDC信号、リフト
信号、レバー開度信号が入力される。又、コント
ロールユニツト１１は、TDC信号によりエンジ
ン回転数Ｎを演算する回路１１Ａ、このエンジン
回転数Ｎとコントロールレバー開度αとに対応す
る目標iTを定めたマツプを記憶したROM11B、
TDC信号とリフト信号とから実iTを演算する回
路１１Ｃ、コントロールレバー開度α及びエンジ
ン回転数の変化率により加速判定を行う回路１１
Ｄ、加速時の判定回数を計数するカウンタ１１
Ｅ、実iTと目標iTとを比較する回路１１Ｆ、該
実iT、目標iT比較回路１１Ｆにより実iTが目標
iTの不感ゾーンから外れた後のフロー回数を計
数するカウンタ１１Ｇ、これら回路からの信号を
入力してTCV５をPI制御する回路１１Ｈとを備
えて構成される。

次にかかる構成の作動を第６図のフローチヤー
トをも参照して説明する。まず、加速判定回路１
１Ｄにより加速判定を行い（S11）、非加速時と
判定された時には実iTと目標iTとを実iT・目標
iT比較回路１１Ｆにおいて比較し（S14）、前者
が後者より大きくその差が設定値より大である時
には、その判定回数を調べ（S15）第１回目にお
いてはさらに最後に加速時と判定されてからの経
過時間を調べる（S16）。そして、加速時判定後
経過時間が設定値より小の時、即ち加速終了後間
もない非加速状態で未だ定常状態に達していない
時には、TCV５のiTデユーテイに与える比例分
を通常時のPiTPにPACCを加算した値として噴
射時期を遅角方向へ大きく制御する（S17）。又、
S16において加速時判定後の経過時間が設定値以
上の時には、通常時の比例分PiTPだけを与える
（S18）。S15における判定回数の２回目以降は
TCV５のiTデユーテイを少量ずつ増大して、噴
射時期を遅角方向へＩ制御する（S19）。

一方、目標iTが実iTより大きくその差が設定
値より大の時も同様に行われる。即ち、その判定
回数を調べ（S20）、第１回目には従来同様フラ
グＦのセツトの有無を判定し（S201）、非加速時
はリセツトされているので、加速時と判定されて
からの経過時間を調べて（S21）、これが設定値
より小の時には、通常時の比例分−PiTPに−
PACCを加算して噴射時期を進角方向へ大きく制
御し（S22）、前記経過時間が設定値以上の時に
は、通常時の比例分−PiTPだけを与えて噴射時
期を進角方向へ制御する（S23）。又、S20におけ
る判定回数の２回目以降は、iTデユーテイを少
量ずつ減少させて噴射時期を進角方向へＩ制御す
る（S24）。 次に、S11で加速時と判定されたと
きは、その判定回数を調べ（S12）、カウンタ１
１Ｅにより計数された第１回目において、PI制
御回路１１ＨによりTVC５のiTデユーテイに加
速時用の進角方向の比例分−iTACCを与えて噴
射時期を進角方向へ大きく制御した後（S13）、
フラグＦを１にセツトする（S131）ことは従来
同様である。

次に、S12における加速判定回数の２回目以降
はS14以降に進み、加速直後はS20〜S201に至り、
S201におけるフラグＦの判定でフラグＦが１に
セツトされているので、S22又はS23における比
例分を与えることなく、フラグＦを０にリセツト
した後（S202）、進角方向にＩ（積分）制御する
（S24）。

以降は、加速判定後設定時間内に、与えられる
比例分（S17，S22）を、設定時間経過後に与え
られる比例分（S18，S23）より大きくした比例
積分制御が、非加速時の場合と同様に行われる。

かかる構成とすれば、加速時と判定されてから
設定時間内にあつて実iTが目標iTの不感ゾーン
から外れる時（第６図のS17〜S22）には、目標
iTに近づける方向のiTデユーテイの比例分を通
常の場合に比べてさらに一定量上乗せしたため、
第７図に示す如く噴射時期特性のオーバシユート
（又はアンダシユート）が可及的に抑制される結
果、整定性が改善され加速性が向上する。

以上説明したように本考案によれば、加速検出
後一定時間内は実iTが目標iTの不感ゾーンから
外れる時に与えるTCV開デユーテイの比例分を
通常時より大きく設定する構成としたため、加速
時における噴射時期特性の整定性が改善され、加
速性を向上できるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は一般的な電子制御式分配型燃料噴射ポ
ンプの噴射時期制御装置に係る部分を示す断面
図、第２図は従来の噴射制御装置の制御回路の構
成を示すブロツク図、第３図は同上装置の制御フ
ローを示すフローチヤート図、第４図は同上装置
における各種状態を示すタイムチヤート図、第５
図は本考案の一実施例に係る噴射時期制御装置の
制御回路の構成を示すブロツク図、第６図は同上
装置の制御フローを示すフローチヤート図、第７
図は同上装置における各種状態を示すタイムチヤ
ート図である。 １……タイマーピストン、２……高圧室、４…
…低圧室、５……タイミングコントロールバル
ブ、６……バイパス通路、１１……コントロール
ユニツト、１１Ａ……エンジン回転数演算回路、
１１Ｂ……ROM、１１Ｃ……実iT演算回路、１
１Ｄ……加速判定回路、１１Ｅ……カウンタ、１
１Ｆ……実iT・目標iT比較回路、１１Ｇ……カ
ウンタ、１１Ｈ……PI制御回路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. タイマーピストンの両側に画成され高圧燃料が
   導かれる高圧室と低圧燃料が導かれる低圧室とを
   電磁式タイミングコントロールバルブを介装した
   バイパス通路により接続し、前記タイマーピスト
   ン位置で定まるエンジンの燃料噴射時期をエンジ
   ン運転条件によつて求めた目標噴射時期と比較
   し、目標噴射時期の許容誤差範囲から外れた時、
   その外れた瞬間に前記タイミングコントロールバ
   ルブの開デユーテイに目標噴射時期へ接近する方
   向の比例分を与え、以後同方向の成分を少量ずつ
   積算して比例積分制御を行うことにより燃料噴射
   時期を目標噴射時期に近づけるように制御してな
   るデイーゼルエンジン用燃料噴射ポンプの噴射時
   期制御装置において、エンジンの加速運転を検出
   する手段と、前記比例分を前記加速運転検出手段
   による加速運転検出後設定時間内は設定時間経過
   後より大きな値に設定する比例分設定手段と、を
   設けて構成したことを特徴とするデイーゼルエン
   ジン用燃料噴射ポンプの噴射時期制御装置。