JPH0237658Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動車のラツクピニオン式ステアリ
ングリンケージに用いるラツク軸の軸端にサイド
ロツド側ボールジヨイントを偏心して取り付ける
ラツク軸とボールジヨイントのオフセツト取付構
造に関する。

（従来技術） 従来のラツクピニオン式ステアリングリンケー
ジにおけるラツク軸の両端に対するサイドロツト
アツセンブリイ側のボールジヨイントの取付け
は、ラツク軸とボールジヨイントを同軸となるよ
うに行なつていたが、近年における前輪駆動車に
おいては、前輪のサスペンションジオメトリイの
関係からラツク軸の軸心線に対しボールジヨイン
トの軸心線を偏心させた所謂オフセツト取付構造
が要求されている（特開昭58−97561号など）。

一方、従来のラツク軸と同軸にボールジヨイン
トを取付ける構造では、ラツク軸の軸端にボール
ジヨイントをねじ込むことで固定しているが、オ
フセツト取付構造にあつては、ラツク軸に対する
ボールジヨイントのオフセツト方向が決つている
ため、ねじ込みによる締付け固定が終了した状態
で必ずしもボールジヨイントが所定のオフセツト
方向に位置決めできるとは限らず、調整用のワツ
シヤ等の介在により締付け固定時のオフセツト方
向を決めざるを得ず、組立て調整が煩雑になると
共に、車軸側から継続的に加える走行振動に対す
る回り止めや抜け止めが充分にできない恐れがあ
つた。

（考案の目的） 本考案は、このような問題点に鑑みてなされた
もので、ラツク軸に対するボールジヨイントのオ
フセツト位置決めが簡単にでき且つラツク軸に対
するボールジヨイントの回り止め及び抜け止めが
確実にできるようにしたラツク軸とボールジヨイ
ントのオフセツト取付構造を提供することを目的
とする。

（考案の構成） この目的を達成するため本考案は、ステアリン
グ操作に応じて軸方向に移動されるラツク軸と、
一端に形成された取付部に対し他端の取付部を偏
心して形成した中間部材と、サイドロツドアツセ
ンブリイ側を連結するボールジヨイントとを有
し、前記中間部材の一端の取付部に前記ラツク軸
の軸端を回り止め且つ抜止め構造にて連結固定す
ると共に、前記中間部材の他端の取付部のネジ穴
に前記ボールジヨイントのソケツトと一体に形成
したネジ部を螺合して回り止め固定することによ
りラツク軸軸心線とボールジヨイント軸心線を所
定方向に偏心させたことを特徴とするラツク軸と
ボールジヨイントソケツトのオフセツト取付構造
としたものである。

（実施例） 第１図は本考案の一実施例を示した断面説明図
である。

まず構成を説明すると、本考案のオフセツト取
付構造は、ラツクピニオン装置のラツク軸１と、
中間部材としての中間ブラケツト２と、サイドロ
ツドアツセンブリイ側のボールジヨイント３とで
構成され、ラツク軸軸心線４とボールジヨイント
軸心線５を中間ブラケツト２の構造により所定寸
法ｌ分だけ偏心させて取り付けている。

このように、ラツク軸軸心線４とボールジヨイ
ント軸心線５は、偏心したオフセツト取付構造を
実現するため、中間ブラケツト２のラツク軸内側
にはラツク軸軸心線４を中心とした嵌合穴６が形
成され、この嵌合穴６は穴底の部分に内径を広げ
た環状の嵌合溝７を形成している。一方、ラツク
軸１の軸端には中間ブラケツト２の嵌合穴６に嵌
め込まれる嵌合軸部８が一体に形成され、嵌合軸
部８は先端外周に嵌合穴６の嵌合溝７に嵌り合う
嵌合フランジ９を備え、且つ軸端にテーパ穴１０
を開口している。

このようなラツク軸１の嵌合軸部８による中間
ブラケツト２の嵌合穴６に対する嵌合固定は、挿
入前の状態において嵌合軸部８の先端に形成した
嵌合フランジ９は中間ブラケツト２の嵌合穴６に
嵌り合う外径を有するが、嵌合に際して嵌合軸部
８のテーパ穴１０に２段円錐形状をもつた２段テ
ーパスペーサ１１を入れて嵌め入れ、嵌め入れ後
に中間ブラケツト２をラツク軸１側に打ち込むと
２段テーパスペーサ１１が嵌合軸部８のテーパ穴
１０に押し込まれ、２段テーパスペーサ１１の押
し込みによるテーパ穴１０の内側からの押し広げ
で嵌合軸部８の先端に形成した嵌合フランジ９が
嵌合穴６の嵌合溝７に押し込まれ、ラツク軸１と
中間ブラケツト２の抜け止め及び回り止めでなる
固定構造が実現される。

一方、中間ブラケツト２のボールジヨイント３
側にはボールジヨイント軸心線５をもつてねじ穴
１２が形成され、このねじ穴１２にボールジヨイ
ント３におけるソケツト１３と一体に形成した連
結ボルト部１４が回り止めワツシヤ１５を間に介
して締付け固定される。

従つて、中間ブラケツト２に形成したラツク軸
１側の嵌合穴６とボールジヨイント３側のねじ穴
１２の位置によりラツク軸１に対するボールジヨ
イント３の偏心量を一義的に決めている。

また、ボールジヨイント３はソケツト１３の内
部にベアリング１６を介してボールスタツド１７
の球部を摺動自在に装着しており、ソケツト開口
部側は補強用のプレート１８を介してカシメ加工
によりボールスタツド１７の抜け止めを行なつて
いる。

次に、第１図の実施例の作用を説明する。

中間ブラケツト２に偏心して設けたラツク軸１
の嵌合穴６とボールジヨイント３のねじ穴１２に
よりラツク軸１に対しボールジヨイント３を偏心
して取り付けるオフセツト取付構造を簡単に実現
することができる。また、ラツク軸１に対する中
間ブラケツト２の固定は、２段テーパスペーサ１
１を使用した打ち込みによる嵌合固定であること
から、充分な取付け強度が得られ、また中間ブラ
ケツト２に対するボールジヨイント３側のねじ込
み固定には回り止めワツシヤ２５が使用されてい
るため、車両振動等が加わつても連結ボルト１４
がねじ部２２から緩んでしまうことがなく、中間
ブラケツト２を使用してもラツク軸１とボールジ
ヨイント３の確実な固定構造を実現している。

第２図は本考案の他の実施例を示した断面説明
図であり、この実施例はラツク軸１と中間ブラケ
ツト２の取付構造について、中間ブラケツト２の
ラツク軸１側に角錐嵌合部２０を一体に形成し、
この角錐嵌合部２０に対応してラツク軸１の軸端
に同じく角錐穴形状をもつ嵌合亭ーパ穴２１を設
け、嵌合テーパ穴２１の部分は角錐嵌合部２０を
嵌め入れることができるようにするため、割り構
造をもたせる。嵌合テーパ穴１の外側となるラツ
ク軸１の外周にはねじ部２２が形成され、中間ブ
ラケツト２の角錐嵌合部２０をラツク軸１の嵌合
テーパ穴２１に嵌め入れた状態でねじ部２２にね
じ込んでいたロツクナツト２３を中間ブラケツト
２側にねじ回してラツク軸１の軸端の割り溝部分
を絞り込み、中間ブラケツト２の角錐嵌合部２０
を締付け固定するようにしたことを特徴とする。
尚、ボールジヨイント２側の取付構造は第１図の
実施例と同じになる。

この第２図の実施例においては、ラツク軸１の
嵌合テーパ穴２１と中間ブラケツト２の角錐嵌合
部２０との嵌め合せで回り止めを行ない、且つロ
ツクナツト２３による締付けで抜け止めを行なつ
ている。

第３図は本考案の他の実施例を示した断面説明
図であり、この実施例はラツク軸１の軸端にボー
ルジヨイント３と同様に連結ボルト部２４を一体
に形成し、中間ブラケツト２のラツク軸１側に設
けたねじ穴２５にねじ込み、同時に連結ボルト部
２４に間に回り止めワツシヤ２６を介してロツク
ナツト２３を予めねじ込んでおき、中間ブラケツ
ト２に対するねじ込み後にロツクナツト２３を中
間ブラケツト２側にねじ回して回り止めワツシヤ
２６を締付け、中間ブラケツト２にねじ込んだラ
ツク軸１の連結ボルト部２４の回り止めを行なう
ようにしたことを特徴とする。尚、ボールジヨイ
ント３側の取付構造は第１図の実施例と同じにな
る。

第４図は本考案の実施例を示した断面説明図で
あり、この実施例はラツク軸１と中間ブラケツト
２の取付構造として、中間ブラケツト２のラツク
軸１側に偏平嵌合部２７を一体に形成し、一方、
ラツク軸１の軸端に第５図から明らかなように中
間ブラケツト２の偏平嵌合部２７が嵌り込む嵌合
割り溝２８を形成し、嵌合割り溝２８に中間ブラ
ケツト２の偏平嵌合部２７を嵌め入れた状態で横
方向よりボルト２９を通してナツト３０により締
付け固定するようにしたことを特徴とする。尚、
ボールジヨイント３側の取付構造は第１図の実施
例と同じになる。

第６図は本考案の他の実施例を示した断面説明
図であり、この実施例はラツク軸１と中間ブラケ
ツト２の取付構造として、ラツク軸１の軸端に四
角または六角の角柱嵌合部を一体に形成すると共
に、角柱嵌合部３１を嵌め込む四角または六角の
嵌合角穴３２を中間ブラケツト２に形成し、中間
ブラケツト２の嵌合角穴３２にラツク軸１の角柱
嵌合部３１を嵌め込んだ状態で横方向より抜け止
めボルト３３をねじ込んで抜け止め固定するよう
にしたことを特徴とする。尚、ボールジヨイント
３側の取付構造は第１図の実施例と同じになる。

第７図は本考案の他の実施例を示した断面説明
図であり、この実施例はラツク軸１と中間ブラケ
ツト２の取付構造について、ラツク軸１の軸端に
ねじ穴３４を設けると共に中間ブラケツト２にラ
ツク軸１のねじ穴３４にねじ込む連結ボルト部３
５を一体に形成し、ねじ穴３４に対する連結ボル
ト部３５のねじ込みに際し予めロツクナツト３６
及び回り止めワツシヤ３７を連結ボルト部３５に
入れておき、ラツク軸１のねじ穴３４に中間ブラ
ケツト２の連結ボルト部３５を所定量ねじ込んだ
状態でロツクナツト３６をラツク軸１側にねじ回
し、回り止めワツシヤ３７との係合及び押圧によ
りラツク軸１に対する中間ブラケツト２の回り止
めを行なうようにしたことを特徴とする。尚、ボ
ールジヨイント３側の取付構造は第１図の実施例
と同じになる。

（考案の効果） 以上説明してきたように本考案によれば、ステ
アリング操作に応じて軸方向に移動されるラツク
軸と、一端に形成された取付部に対し他端の取付
部を偏心して形成した中間部材と、サイドロツド
アツセンブリイ側を連結するボールジヨイントと
を有し、前記中間部材の一端の取付部に前記ラツ
ク軸の軸端を回り止め且つ抜止め構造にて連結固
定すると共に、前記中間部材の他端の取付部のネ
ジ穴に前記ボールジヨイントのソケツトと一体に
形成したネジ部を螺合して回り止め固定すること
によりラツク軸軸心線とボールジヨイント軸心線
を所定方向に偏心させるようにしたため、中間部
材に対するラツク軸とボールジヨイントの取付け
部の位置決めによりオフセツトさせる偏心量を適
宜に設定することができ、中間部材を間に使用す
ることからラツク軸及びボールジヨイントの大幅
な形状変更を行なうことなく、簡単にオフセツト
取付構造を実現することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示した断面説明
図、第２，３，４，５，６及び７図は本考案の他
の実施例を示した断面説明図である。 １：ラツク軸、２：中間ブラケツト、３：ボー
ルジヨイント、４：ラツク軸軸心線、５：ボール
ジヨイント軸心線、６：嵌合穴、７：嵌合溝、
８：嵌合軸部、９：嵌合フランジ、１０：テーパ
穴、１１：２段テーパスペーサ、１２，２２，２
５，３４：ねじ穴、１３：ソケツト、１４，２
４，３５：連結ボルト部、１５，２６，３７：回
り止めワツシヤ、１６：ベアリング、１７：ボー
ルスタツド、１８：プレート、２０：角錐嵌合
部、２１：嵌合テーパ穴、２２：ねじ部、２３，
３６：ロツクナツト、２７：偏平嵌合部、２８：
嵌合割り溝、２９：ボルト、３０：ナツト、３
１：角柱嵌合部、３２：嵌合角穴、３３：抜け止
めボルト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ステアリング操作に応じて軸方向に移動される
   ラツク軸と、一端に形成された取付部に対し他端
   の取付部を偏心して形成した中間部材と、サイド
   ロツドアツセンブリイ側を連結するボールジヨイ
   ントとを有し、前記中間部材の一端の取付部に前
   記ラツク軸の軸端を回り止め且つ抜止め構造にて
   連結固定すると共に、前記中間部材の他端の取付
   部のネジ穴に前記ボールジヨイントのソケツトと
   一体に形成したネジ部を螺合して回り止め固定す
   ることによりラツク軸軸心線とボールジヨイント
   軸心線を所定方向に偏心させたことを特徴とする
   ラツク軸とボールジヨイントソケツトのオフセツ
   ト取付構造。