JPH0235601B2 - Kinzokubannokyoseisochi - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 金属薄板、例えば薄鋼板の形状および反り不良
の効果的な矯正に関連してこの明細書で述べる技
術内容は、ローラ・レベラの属する技術の分野に
おける、一層の発展的、開発成果を提案しようと
するものである。

金属薄板なかでも圧延薄鋼板の平たん度不良
は、形状不良と反り不良とにほぼ二大別される。

（従来の技術） 一般に形状不良は材料の長手方向における伸び
の差に起因して、いわゆる耳波、腹波の形でとく
に薄鋼板に多々あらわれる。

従来、広く知られているローラ・レベラが、と
くに材料の長手方向の反りを、曲げ反覆による残
留応力の低減で修正するように、設計されている
ことから形状不良の少ない、比較的厚物の金属板
についての矯正には適しているが、張力が与えら
れないので形状不良の多い薄板に対しては有効で
ないばかりでなく、この場合とくに形状不良の矯
正に必要な塑性伸びを、耳波に対し腹部、また腹
波に対しては耳部で選択的に与えることができ
ず、形状不良薄板の矯正能力に乏しいのは巳むを
得ない。

またロールベンデイング装置を備えたローラ・
レベラも知られているけれども、薄鋼板、厚鋼板
共に矯正可能とするためロール径が規制される。
薄鋼板の矯正には、大きい曲げが必要なのに、ロ
ール径の如何によつて曲げの大きさが制限される
ため、形状不良薄鋼板の矯正能力は一般に充分と
は云い難い。

（発明が解決しようとする問題点） 以上のべた問題点つまり形状および反り不良を
含む薄鋼板などの圧延金属板に生じた平たん度不
良についての有効な修正に簡便な、金属板の矯正
装置を与えることがこの発明の目的である。

（問題点を解決するための手段） この発明は、複数本の平ロールを千鳥状配列と
した反り矯正機と、この反り矯正機へ向う通板径
路にてそれぞれ、複数本の凹ロールおよび凸ロー
ルをおのおの千鳥状配列としたひずみ矯正機とを
具備して成る金属板の矯正装置である。

ここにひずみ矯正機は、反り矯正機を挟む前後
の対設配備とすることが実施上、好適である。

この発明の構成において、複数本の凹ロールを
千鳥状配列とした第１のひずみ矯正機は、主とし
て腹波と呼ばれる形状不良に対して耳部の塑性伸
び、また同じく複数本の凸ロールを千鳥状配列と
した第２のひずみ矯正機は主に耳波と呼ばれる形
状不良につき、腹部の塑性伸びをそれぞれ強いる
ことで、形状不良を矯正するとともに、後続の反
り矯正機により反りの修正を行い、全体として薄
い金属板の平たん度不良を効果的に矯正すること
をはじめて可能ならしめるわけである。

第１図に、この発明の実施例を示し図中１，
１′は凹ロール、２，２′は凸ロール、３，３′は
平ロールであり、これらのロールは何れも複数本
を千鳥状配列として、図に矢印４で示した薄板材
料の導入方向に沿う通板径路に対して第１のひず
み矯正機１Ａ、第２のひずみ矯正機２Ａを反り矯
正機３Ａの前方に配列し、またこの例で第２のひ
ずみ矯正機２Ｂと第１のひずみ矯正機１Ｂを反り
矯正機３Ａの後に配列して薄板材料の導入方向４
が反転する場合にそなえさせる場合を示したが、
導入方向が一方だけに固定される場合にあつて
は、ひずみ矯正機列１Ａ−２Ａ又は１Ｂ−２Ｂの
一方を省略して反り矯正機３Ａの前方つまりそれ
に向う通板径路に配列すればよい。なおひずみ矯
正機列１Ａ−２Ａ又は１Ｂ−２Ｂは逆順としても
よい。

また各ロール、なかでも平ロール３はバツクア
ツプロールによつて撓みを補償することが板幅方
向一様の矯正条件とするためにのぞましく、そし
て凹ロール１，１′および凸ロール２，２′は薄鋼
板に強い曲げを与えるため平ロール３より小径に
し、かつひずみ矯正機列１Ａ−２Ａ，１Ｂ−２Ｂ
のロール間隔l₁は反り矯正機３Ａのロール間隔l₂
よりも狭い配列とすることが望ましい。

ひずみ矯正機１Ａ，１Ｂ，２Ａ，２Ｂ、そして
反り矯正機３Ａは何れも個別の圧下調整を可能と
し、また個別駆動とすることがのぞましいが、ひ
ずみ矯正機１Ａ，１Ｂ，２Ａおよび２Ｂは、非駆
動であつてもよく、ただこの場合材料は反り矯正
機３Ａにより引張られるが、先端部が反り矯正機
３Ａに噛み込むまで、ひずみ矯正機１Ａ，２Ａで
材料を圧下できないため先端部いは耳伸び又は腹
伸びが与えられない。そのため１度矯正したの
ち、再度逆方向に矯正する必要がある。

さて、まず腹波のある薄板の矯正を行うとき
は、ひずみ矯正機１Ａによる耳部の塑性伸びを生
じさせて形状不良の矯正を行い、このときひずみ
矯正機２Ａの上下ロール間隙は開放して非稼動と
して反り矯正機３Ａにより、反りの修正を加え
て、平たん度のよい製品を得る。

次に耳波のある薄板の矯正の際はひずみ矯正機
１Ａの上下ロール間隙を開放して非稼動とし、ひ
ずみ矯正機２Ａを稼動させて腹部の塑性伸びを生
じさせて形状不良を矯正しついで反り矯正機３Ａ
に通し、全体として平たん度不良の修正を加え
る。

また形状不良のない薄板いついてはひずみ矯正
機１Ａおよび２Ａを非稼動として、反り矯正機３
Ａのみの作動にて、平たん度不良のない製品を得
る。

通板方向が矢印４と反対のときは、ひずみ矯正
機列１Ｂ，２Ｂの方を上記に準じて作動させるわ
けである。

（実施例） この発明の実施例としてアルミニウム板による
矯正実験（モデル比１／10）の結果を以下に示す
が、ここに板寸法は実機換算にてあらわした。

ケース１ 第５図に示した複数本の平ロール５，５′の千
鳥状配列になる従来のローラレベラのみによつ
て、予め耳波をつけた板（10mm×3000mm×5000
mm）の矯正を行つた。矯正前の板形状は長手方向
の反りの高さが40mm、耳波については急峻度で２
％とした。

この矯正の結果長手方向の反り高さは５mmに減
少したが、耳波については矯正後も依然として急
峻度1.5％であり、耳波についてはほとんど矯正
されなかつた。

ケース２ この発明による第１図に示す矯正設備において
ひずみ矯正機列１Ａ，２Ａ側を稼動、同１Ｂ，２
Ｂ側は非稼動としてケース１と同様な耳波をつけ
た板の矯正を、小径凹ロール１，１′は開き、小
径凸ロール２，２′の使用にて行つた。

矯正前の板形状は長手方向の反りが高さが38
mm、耳波については急峻度で1.8％とした。

この矯正の結果、長手方向の反り高さは５mmま
で減少し、かつ耳波についても急峻度0.5％に大
幅の減少を達成した。

ケース３ 第５図に示した従来のローラレベラによつて、
腹波をつけた板（10mm×3000mm×5000mm）の矯正
を行つたところ、矯正前の板形状が長手方向の反
り高さ28mm、腹波の急峻度で１％のとき、矯正の
結果は長手方向の反り高さは３mmに減少したが、
腹波はまつたく矯正されなかつた。

ケース４ この発明による矯正設備をを用いて、ケース３
と同様に腹波をつけた板（10mm×3000mm×5000
mm）の矯正を第１図に示した小径凹ロール１，
１′の使用にて、小径凸ロール２，２′を開いて行
つた。

矯正前の板形状は長手方向の反り高さを30mm、
腹波の急峻度で1.2％としたが、上記の矯正の結
果長手方向の反り高さは3.5mmまで減少し、腹波
についても急峻度0.4％に著しく減少した。

（発明の効果） この発明によれば金属薄板の平たん度の不良
が、反り不良についてはもちろん、形状不良が、
耳波腹波の何れであつても、上記反り不良ととも
に、簡便かつ確実に大幅に軽減矯正される。

【図面の簡単な説明】

第１図は実施例の側面図、第２図〜第４図は第
１図のＡ−Ａ，Ｂ−ＢおよびＣ−Ｃ線上の断面図
であり、第５図は従来のローラ・レベラの側面図
である。 １，１′……凹ロール、２，２′……凸ロール、
３，３′……平ロール、１Ａ−２Ａ，１Ｂ−２Ｂ
……ひずみ矯正機、３Ａ……反り矯正機。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 複数本の平ロールを千鳥状配列とした反り矯
   正機と、この反り矯正機へ向う通板径路にてそれ
   ぞれ、複数本の凹ロールおよび凸ロールをおのお
   の千鳥状配列としたひずみ矯正機とを具備して成
   る、金属板の矯正装置。