JPH0232923B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明はフイルタプレスの過操作方法、特
にケークの含有水分を減少するための過操作方
法に関する。

（従来の技術） 多数の板を並列したフイルタプレスにおい
て、板に展張された布に多量のケークが付着
して過効率が低下すると、原液の供給を停止し
たのち板を離開して布に付着しているケーク
を落下除去し、必要に応じて目詰まりした布を
洗浄または取換えている。上記フイルタプレスの
操作において、ケークには多量の原液が含有され
ているので原液の損失やケークの後処理に色々の
問題があるため、過終了後にケークの含有原液
を減少するために、板と板との間に弾性板を
もつて空気室を形成し、この空気室に圧縮空気を
送入して弾性板の膨張によつてケークを圧縮して
水分を少なくする方法が行なわれている。

（発明が解決しようとする問題点） 上記弾性板をもつてケークを圧縮する方法は、
ケークの含有原液を少なくすることができるが、
弾性板を使用するものであるから、その設備が複
雑にして高価となり、また弾性板の損傷などがあ
つてその取扱いが厄介であつた。

（問題点を解決するための手段） この発明は板の端部に貫設した少なくとも一
つの通路が過面に開口する板Ａと、上記端部
より離れた位置の他方の端部に貫設した少なくと
も一つの通路が過面に開口する板Ｂとを交互
に配列したフイルタプレスにおいて、各板両面
に展張した相対する布間に原液を供給して布
で過された液が両板Ａ，Ｂのそれぞれの少
なくとも一つの通路より排出されると共にケーク
が布の表面に付着される過工程と、板Ｂの
少なくとも一つの通路より水を板Ｂ面とその
布裏面の間に供給して板Ｂの布表面のケーク
を板Ａ側に圧縮して両布表面に付着している
ケークを一体化すると共にケーク中の原液を過
して板Ａの少なくとも一つの通路より排出する
水流送工程と、板Ｂの一つの通路より低圧空気
を導入して板Ｂの面と布との間にある水を
板Ｂの他の通路から排出する排水工程と、上記
板Ｂの少なくとも一つの通路より高圧空気を供
給して板Ａ，Ｂ間に残留する水およびケーク中
の水分を板Ａの少なくとも一つの通路より排出
する脱水工程とを順次に操作したのち、板を離
開してケークを落下させることを特徴とするフイ
ルタプレスの過操作方法である。

この発明に適用されるフイルタプレスは、板
Ａに開口する通路と、板Ｂに開口する通路とが
離れた位置に設けられていることである。そして
各板に開口する通路は少なくとも一つであり、
板Ａに開口する通路が一つであれば、他の板
Ｂに開口する通路は二つであることが、上記各操
作を順次に切換えることが容易である。通常一般
に使用されている四角形の板の場合、上記通路
は板の上下左右の隅部に設けられるが、通路は
板の上下左右の中央部に設けたものでもよい。
また原液を供給する通路は、板の中央部または
隅部のいずれでもよい。

この発明は過工程に次いで、板Ｂの通路よ
り水を板Ｂとその布裏面の間に供給して板
Ｂの布および該布表面のケークを板Ａ側に
押圧して両布の表面に付着しているケークを一
体化すると共にケーク中の原液を過して液を
板Ａの通路より排出し、原液の損失を少なくす
る。次いで板Ｂの通路より低圧の空気を導入
し、板Ｂとその布裏面との間の空所に溜まつ
ている水を同じ板Ｂの他の通路から排水し、し
かるのち上記板Ｂの通路より高圧空気を供給し
て板Ａ，Ｂ間に存在する水およびケーク中の水
分を板Ａの通路より排出することによつてケー
クを脱水する。すなわち、この発明では、第２工
程の水流送工程でケーク中の残存原液を過し水
と置換したのち、第３工程の排水工程において、
板Ｂとその布裏面との間の空所に低圧空気を
導入することにより、板Ｂの布を面に対し
平行な離隔状態に保つて板Ａ側に圧縮されてい
るケークをそのままにした状態で上記空所に溜ま
つている水を迅速に排水し、これによつて第４工
程の高圧空気による脱水工程が円滑に行われる。

（実施例） この発明のフイルタプレスの板の構造の一例
を第１図、第２図によつて説明する。板Ａ，Ｂ
の中央部に原液通路１ａ，１ｂが、下端部の左右
耳部２，３に左下通路２ａ，２ｂおよび右下通路
３ａ，３ｂが、上端部の左耳部４に左上通路４
ａ，４ｂがそれぞれ貫設され、これら各通路は
板を密接したとき連通される。板Ａの左下通路
２ａは板Ａの表裏過面に左下開口部５ａを有
し、板Ｂの右下通路３ｂおよび左上通路４ｂは
板Ｂの表裏過面に右下開口部５ｂおよび左上
開口部６ｂをそれぞれ有している。そして板
Ａ，Ｂは第２図に示すように交互に配列される。

上記原液通路１ａ，１ｂは、フイルタプレスの
固定端板Ｃに取付けた原液供給管７に連結し、左
下通路２ａ，２ｂは左液排出管８に、右下通路
３ａ，３ｂは右液排出管９に、左上通路４ａ，
４ｂは高圧給気管１０にそれぞれ連結し、上記左
液排出管８には排気管１１が、右液排出管９
には水供給管１２および排水管１３が、高圧給気
管１０には給気管１０ａがそれぞれ分岐して切換
可能に接続されている。上記の各管を切換操作す
ることによつて、過工程、水流送工程、排水工
程、および脱水工程を順次行ない。しかるのち
板を離開して布からケークを剥離、落下させる
ものである。

第１の過工程は第３図に示され、原液供給管
７から板Ａ，Ｂの原液通路１ａ，１ｂに圧送さ
れた原液は、板Ａ，Ｂにて形成される室１４
に流入し、板Ａ，Ｂに展張されて対面する布
１５ａ，１５ｂによつて過され、布表面にケ
ーク１６ａ，１６ｂが付着され、ケーク１６ａ，
１６ｂの厚みが増加すると原液はケーク１６ａ，
１６ｂによつていわゆるケーク過が行なわれ
る。そして布１５ａにて過された液は板
Ａの左下開口部５ａ、左下通路２ａを経て左液
排出管８より排出され、また布１５ｂにて過
された液は板Ｂの右下開口部５ｂ、右下通路
３ｂを経て右液排出管９より排出される。なお
この工程では、高圧給気管１０、給気管１０ａ、
排気管１１、水供給管１２および排水管１３はい
ずれも閉じられている。

第２の水流送工程は第４図に示され、上記過
工程においてケークの厚みが増大して液の排出
量が減少して過効率が低下すると、原液供給管
７からの原液の供給を停止すると共に右液排出
管９を閉じ、水供給管１２を開いて右下通路３
ａ，３ｂに水を供給し、水は板Ｂの右下開口部
５ｂから板Ｂの面と布１５ｂの間に流入
し、水圧によつて布１５ｂを板Ａの布１５
ａ側に移動させることによつてケーク１６ａ，１
６ｂは一体となつて新しいケーク層１６を形成す
ると共に圧縮される。上記の圧縮により、ケーク
層１６に残存せる原液は布１５ａにて過さ
れ、液は板Ａの左下開口部５ａ、左下通路２
ａおよび左液排出管８を通つて排出される。な
おこの水流送工程は流入された水の少量が布１
５ａを通つて液と同様に左液排出管８より排
出されることもある。

第３の排水工程は第５図に示され、上記水流工
程においてケーク中の原液が排出されたのち、左
液排出管８および水供給管１２を閉じると共
に、給気管１０ａおよび排水管１３を開いて、給
気管１０ａより通気された低圧空気は板Ｂの左
上開口部６ｂから板Ｂの面と布１５ｂの間
にある水を押し出し、水は板Ｂの右下開口部５
ｂより右下通路３ａ，３ｂを通り排水管１３より
排出される。

第４の脱水工程は第６図に示され、上記排水工
程が終つたのち、排水管１３を閉じ排気管１１を
開き、高圧給気管１０より高圧空気を通気する
と、高圧空気は板Ｂの左上開口部６ｂから布
１５ｂを介してケーク１６を圧搾してケーク中の
水分を布１５ａ、左下開口部５ａ、左下通路２
ａを通つて排気管１１より排出してケーク１６は
脱水される。

上記のケークの脱水工程が終ると、高圧空気の
供給を停止し、室内が常圧になると各板を離
開して布に付着するケークを落下させる。

上記の例は板の中央部に原液通路を貫設した
ものであるが、原液通路は板Ａ，Ｂの右上通路
とし、各板Ａ，Ｂに右下開口部を設けたもので
もよい。また上記の例は左下通路より低圧空気お
よび高圧空気を切換えて通気するものであるが、
板Ａ，Ｂの右上通路に別の高圧給気管を連結
し、板Ｂの右上通路に右上開口部を設けたもの
であつてもよい。

上記の工程における原液供給圧は0.2〜1.5Kg／
cm²、水供給管１２より供給される水流送圧は１〜
８Kg／cm²、給気管１０より送気される低圧空気は
0.5〜1.5Kg／cm²、高圧空気圧は２〜８Kg／cm²であ
ることが好ましく、これらの圧力は、布の織目
密度、原液の粘度、ケークの性質などよつて適宜
に選定され、かつ上記の範囲を越えることがあ
る。

（発明の効果） この発明によれば、過終了後、ケーク中に含
有する原液が水に押し出されて過されるので、
原液の損失が少ない。また室内のケークは水の
流送による圧搾作用によつて一体化されるのでケ
ークの布からの剥離が容易となる。従つてこの
発明は、従来多量の空気を吹き込みまたは弾性板
による圧搾などによつてケークを一体化して剥離
する方法に比べて、その適用範囲が広く、かつ設
備費が小さくなる利点があり、しかも水流送工程
と高圧空気による脱水工程との間に低圧空気によ
る排水工程を介在させるので、板Ｂとその布
裏面との間の空所の水が完全に排水されてから上
記空所に高圧空気が供給され、そのため上記空所
に水が残つている状態で直ちに高圧空気を導入し
て脱水する場合に比べ、上記空所の水に高圧が加
わつて布が破れたり、ケークが割れたりするこ
とがなく、高圧空気によるケーク脱水が円滑に行
われる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の実施例に使用される板
Ａ，Ｂの平面図、第２図は固定端板における各種
の管の連結を示す斜視図、第３図は過工程、第
４図は水流送工程、第５図は排水工程、第６図は
脱水工程を示す板切断側面図である。 Ａ，Ｂ：板、１ａ，１ｂ：原液通路、２ａ，
２ｂ：左下通路、３ａ，３ｂ：右下通路、４ａ，
４ｂ：左上通路、５ａ：板Ａの左下開口部、５
ｂ：板Ｂの右下開口部、６ｂ：板Ｂの左上開
口部、７：原液供給管、８，９：液排出管、１
０：高圧給気管、１１：排気管、１２：水供給
管、１３：排水管、１４：室、１５ａ，１５
ｂ：布、１６：ケーク。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 板の端部に貫設した少なくとも一つの通路
   が過面に開口する板Ａと、上記端部より離れ
   た位置の他方の端部に貫設した少なくとも一つの
   通路が過面に開口する板Ｂとを交互に配列し
   たフイルタプレスにおいて、各板両面に展張し
   た相対する布間に原液を供給して布で過さ
   れた液が両板Ａ，Ｂのそれぞれの少なくとも
   一つの通路より排出されると共のケークが布の
   表面に付着される過工程と、板Ｂの少なくと
   も一つの通路より水を板Ｂ面とその布裏面の
   間に供給して板Ｂの布表面のケークを板Ａ
   側へ圧縮して両布表面に付着しているケークを
   一体化すると共にケーク中の原液を過して液
   を板Ａの少なくとも一つの通路より排出する水
   流送工程と、板Ｂの一つの通路より低圧空気を
   導入して板Ｂの面と布との間にある水を
   板Ｂの他の通路から排出する排水工程と、上記
   板Ｂの少なくとも一つの通路より高圧空気を供給
   して板Ａ，Ｂ間に残留する水およびケーク中の
   水分を板Ａの少なくとも一つの通路より排出す
   る脱水工程とを順次に操作したのち、板を離開
   してケークを落下させることを特徴とするフイル
   タプレスの過操作方法。 ２ 板Ａ，Ｂの中央部より板Ａ，Ｂ間に原液
   を供給する特許請求の範囲第１項記載のフイルタ
   プレスの過操作方法。 ３ 板Ａ，Ｂの他の端部の通路より板Ａ，Ｂ
   間に原液を供給する特許請求の範囲第１項記載の
   フイルタプレスの過操作方法。