JPH0232857Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、Ｖ型エンジンの排気ガス還流装置に
関し、詳しくはサージタンクに対するEGR通路
の形成構造に関するものである。

（従来技術） 従来より、Ｖ型エンジンにおいては、その吸気
装置にサージタンクを備え、各気筒にそれぞれ接
続した独立吸気通路を、一旦このサージタンクで
集合させるとともに、このサージタンクを各バン
クで実質的に独立して形成するようにしたものが
公知である（実開昭58−129063号参照）。

上記の如く構成されたサージタンクに対し、排
気ガスの還流を行う場合に、この排気ガスの還流
は各気筒に対して均等に分配性よく行う必要があ
る。しかるに、上記サージタンクの出力軸方向の
一端部に吸気導入口が開口された場合に、排気通
路等との関係からEGR通路をサージタンクの吸
気導入口と反対側から接続して排気ガスを供給す
るようにすると、吸気導入口から各気筒への吸気
の流れに対して、排気ガスはその下流側の部分に
供給されることになり、EGR通路の開口部近傍
の気筒に対してのみ排気ガスの還流が行なわれて
その分配性が悪く、充分なNOx抑制作用を得る
ことができないとともに、運転性に影響を与える
恐れがある。

また、上記理由のために、EGR通路をサージ
タンクの外部を迂回して吸気導入口側に接続開口
するように設けると、分配性は向上するが、この
EGR通路をパイピングするためのスペースを必
要とし、エンジン全体の各種機器等の配置におけ
るレイアウト上の困難性を伴うものである。特
に、Ｖ型エンジンでは、エンジン全高を低くする
要求があり、サージタンクの上部に（側部には独
立吸気通路が接続される）EGR通路を配置する
ことは好ましくなく、比較的スペースに余裕のあ
る部分はサージタンクの前方部分（吸気導入口と
反対側）であり、この部分に接続開口すると前記
のように分配性の問題があるものである。

（考案の目的） 本考案は上記事情に鑑み、排気ガス還流の分配
性を確保するとともに、EGR通路のパイピング
が外部に出ないようにし、スペースを有効利用し
てエンジン全体をコンパクトに形成するようにし
たＶ型エンジンの排気ガス還流装置を提供するこ
とを目的とするものである。

（考案の構成） 本考案の排気ガス還流装置は、サージタンク内
部を隔壁によつて左右の各バンクに対応する分離
室に形成したものにおいて、このサージタンクの
吸気導入口と反対側から壁に沿つて延びるEGR
通路を設けるとともに、このEGR通路を吸気導
入口近傍でサージタンク内の各分離室に開口させ
たことを特徴とするものである。

（考案の効果） 本考案によれば、EGR通路をサージタンクの
吸気導入口と反対側から、サージタンク内部の壁
に沿つて吸気導入口側に延びて形成し、この吸気
導入口近傍で各分離室に開口するように設けたこ
とにより、吸気の流れの上流側部分に排気ガスを
還流して各気筒に対する分配性を向上してエミツ
シヨン性を確保するとともに、EGR通路のパイ
ピングが外部に出ないために、そのレイアウトが
容易で簡易に形成でき、エンジン周辺のスペース
が限られているＶ型エンジンにおいてスペースを
有効に活用してコンパクトに性能の優れた排気ガ
ス還流装置を得ることができるものである。

（実施例） 以下、図面により本考案の実施例を説明する。
第１図はＶ型エンジンの要部縦断面正面図、第２
図は要部平面図で、第２図において左部がエンジ
ン前方で、右部が後方である。

６気筒Ｖ型エンジン１は、中央下部のシリンダ
ブロツク２上の左右にシリンダヘツド３，３がそ
れぞれ傾斜配設されて、互いに角度をもつて左バ
ンク１Ａと右バンク１Ｂとが形成されている。

上記両側の左右のバンク１Ａ，１Ｂの各気筒に
吸気を供給する吸気装置は、両側のバンク１Ａ，
１Ｂの間の上部に配設されたサージタンク６を備
えている。このサージタンク６と左右のバンク１
Ａ，１Ｂのシリンダヘツド３，３（吸気ポート）
とを接続する独立吸気通路７ａ，７ｂは、上記サ
ージタンク６の下側で交差している。すなわち、
左バンク１Ａに下流端が接続された第１の独立吸
気通路７ａの上流端はサージタンク６の右側部に
接続され、右バンク１Ｂに下流端が接続された第
２の独立吸気通路７ｂの上流端はサージタンク６
の左側部に接続されて構成されている。

また、上記サージタンク６の内部空間は、前後
方向（エンジン出力軸と平行方向）に延びる隔壁
８によつて左右に独立した第１分離室６ａと第２
分離室６ｂとに区画形成されている。右部の第１
分離室６ａには、右側面に開口した連通口６ｃを
介して左バンク１Ａに接続される第１の独立吸気
通路７ａが連通し、左部の第２分離室６ｂには、
左側面に開口した連通口６ｄを介して右バンク１
Ｂに接続される第２の独立吸気通路７ｂが連通し
ている。さらに、上記サージタンク６の後端部に
は各分離室６ａ，６ｂにそれぞれ吸気導入口９
ａ，９ｂが開口され、この吸気導入口９ａ，９ｂ
には上流側の吸気通路１０ａ，１０ｂが接続さ
れ、スロツトルバルブ１１ａ，１１ｂがそれぞれ
介設されている。

一方、排気系の排気ガスを吸気系に還流する排
気還流装置は、一方のバンク１Ｂに接続された排
気マニホールド１３にEGR通路１４の一端部が
接続されて排気ガスを取り出すものである。この
EGR通路１４は、途中に排気ガスの還流の開閉
もしくは計量を行うEGR弁を備えている。該
EGR弁１５はサージタンク６の前端部、すなわ
ち前記吸気導入口９ａ，９ｂと反対側に取付けら
れ、このEGR弁１５と排気マニホールド１３と
がEGRパイプ１６によつて接続されている。

このEGR弁１５を経たEGR通路１４は、サー
ジタンク６の出力軸の一端部から隔壁８の内部に
形成された内孔１７に連通し、この隔壁８に沿つ
て後端部の方向に延びて形成されている。そし
て、上記吸気導入口９ａ，９ｂの近傍において両
側に分岐して、サージタンク６内の両分離室６
ａ，６ｂにおいてそれぞれ吸気導入口９ａ，９ｂ
の開口部下方に設けられた供給口１８ａ，１８ｂ
に開口して構成されている。

その他、図において、１９は燃料噴射ノズル、
２０は冷却フアンをそれぞれ示している。

上記実施例の如き構成により、EGR弁１５が
開作動している時には、排気マニホールド１３か
らの排気ガスはEGR通路１４のEGRパイプ１６
によつてエンジンの側方からエンジン前方に導か
れ、サージタンク６前端部に設置されたEGR弁
１５を経て、隔壁８内の内孔１７に導入される。
その際、EGRパイプ１６およびEGR弁１５はエ
ンジン前方に位置する冷却フアン２０の回転に伴
う冷却風でもつて冷却され、EGR弁１５の保護
およびEGR通路１４の目詰り防止が図れる。

続いて、EGR弁１５を経た排気ガスは、サー
ジタンク６の隔壁８内の内孔１７によるEGR通
路１４を通つて、サージタンク６の後端部に進
み、ここで両側に分岐して各供給口１８ａ，１８
ｂから両側の分離室６ａ，６ｂに導入される。こ
の各分離室６ａ，６ｂ内に導入された排気ガス
は、吸気導入口９ａ，９ｂからの吸気の流れに混
合して流下し、各気筒に均等に分配性よく供給さ
れるものである。

なお、上記実施例ではEGR弁１５をサージタ
ンク６の前端部に設置しているが、サージタンク
６前方のスペースが少ない場合には、このサージ
タンク６の下方等の他のスペースに設置するもの
である。

また、前記サージタンク６に対するEGR通路
１４の形成は、隔壁８のほか吸気導入口の反対側
から吸気導入口に向かう壁に形成すればよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例におけるＶ型エンジ
ンの要部縦断面正面図、第２図はその要部平面図
である。 １……Ｖ型エンジン、１Ａ，１Ｂ……バンク、
６……サージタンク、６ａ，６ｂ……分離室、８
……隔壁、９ａ，９ｂ……吸気導入口、１３……
排気マニホールド、１４……EGR通路、１５…
…EGR弁、１６……EGRパイプ、１７……内孔、
１８ａ，１８ｂ……供給口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジンの出力軸方向に沿つてサージタンクが
   配設され、このサージタンク内部が隔壁によつて
   左右の各バンク毎に実質的に独立した分離室に形
   成されたＶ型エンジンにおいて、出力軸方向の一
   端部に吸気導入口が介設された上記サージタンク
   に対し、他端側から上記サージタンクの壁に沿つ
   て延びて吸気導入口近傍で該サージタンク内の各
   分離室に開口するEGR通路を設けたことを特徴
   とするＶ型エンジンの排気ガス還流装置。