JPH02324B2

JPH02324B2 -

Info

Publication number: JPH02324B2
Application number: JP18025282A
Authority: JP
Inventors: Yasuteru Eguchi; Hidenori Yorozu; Eiji Iijima
Original assignee: Kao Corp
Current assignee: Kao Corp
Priority date: 1982-10-14
Filing date: 1982-10-14
Publication date: 1990-01-08
Also published as: JPS5970609A

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は新規な弱酸性入浴剤、更に詳細には、
炭酸水素ナトリウムとコハク酸又はコハク酸―ナ
トリウムを含有し、浴湯に投入すると速やかに反
応して炭酸ガスを発生して、これを溶存させて血
流増進効果を奏し、しかも風呂釡、浴槽をいため
ることのない弱酸性入浴剤に関する。入浴剤は一般に芒硝、硼砂、イオウ、食塩、炭
酸塩等の無機塩類混合物に香料、着色料、植物エ
キス、有機酸等を配合したもので、浴湯に香り、
色調を与えたり、皮膚面に適度な刺激を与えるこ
とにより血液の循環を活発にし、疲労回復、新陳
代謝を増進させるものである。これらの入浴剤の
中で、炭酸塩と酸を組合せた発泡性入浴剤があ
り、これは浴湯中に炭酸ガスの気泡を発生させ
て、リラツクス感や爽快感を高め、入浴を楽しく
する効果を有する。しかし、従来家庭において汎用されている入浴
剤は、芒硝、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウ
ム等の無機塩を主成分とした中性乃至弱アルカリ
性のものであり、酸性乃至は弱酸性の入浴剤は風
呂釡あるいは浴槽をいためるとされていて、未だ
実用化されていない。しかしながら、本発明者は、人の肌のPHは弱酸
性であるので、弱酸性の入浴剤は肌に対して好ま
しい影響を与えることに鑑み、鋭意研究を行つた
結果、酸として従来汎用されているクエン酸、酒
石酸に代えてフマル酸、コハク酸、リン酸又はこ
れらの塩を使用して弱酸性入浴剤とすると、従来
危惧されていた風呂釡及び浴槽の腐食がほとんど
ないこと、特に炭酸水素ナトリウムとコハク酸又
はコハク酸―ナトリウムを組合せた発泡性入浴剤
は、これを浴湯に投入すると速やかに反応して炭
酸ガスを発生し、これがCO₂分子として浴湯中に
溶存されることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、(a)炭酸水素ナトリウム、
(b)炭酸水素ナトリウムの0.2〜1.5重量倍のコハク
酸及び炭酸水素ナトリウムの0.4〜３重量倍のコ
ハク酸―ナトリウムから選ばれる酸、並びに(c)該
酸の0.3〜５重量倍の硫酸塩及び／又は塩酸塩を
含有し、浴湯に溶解したときのPHが５〜７（0.01
重量％水溶液）になるようにしたことを特徴とす
る弱酸性入浴剤を提供するものである。酸と炭酸水素ナトリウムの配合量は、入浴剤を
浴湯に加えたとき浴湯が弱酸性を呈するような比
率、すなわち入浴剤の0.01重量％水溶液がPH５〜
７になるようにすることが必要である。PHを上記
範囲に調整する理由は、PHが酸性の場合には炭酸
ガスはCO₂分子として存在して血流促進作用を示
すが、PHがアルカリ性側では炭酸ガスはCO₃ ^2-イ
オンいあるいはHCO₃ ^-イオンとして存在するた
め当該効果は全く見られないこと、またPHが５よ
り低いと肌への刺激が強いと共に風呂釡等をいた
める惧れがあるためである。本発明においては、炭酸水素ナトリウムを必須
成分として含有するが、本発明の効果を損わない
範囲で炭酸ナトリウムやセスキ炭酸ナトリウムを
含んでも良い。このときは製品を浴湯中に溶解し
たときのPHが５〜７（0.01重量％水溶液）の範囲
内におさまるようにすることが必要である。また、本発明入浴剤には、上記必須成分のほか
に、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜
鉛等の硫酸塩あるいは塩化ナトリウム等の塩酸塩
等を配合することができる。これらの配合量は酸
に対し30〜500重量％、特に50〜300重量％が好ま
しい。更に、本発明入浴剤には、一般に配合されてい
る。香料、色素、あるいはビタミン類、温泉の有
効成分、蛋白分解酵素、海草エキス、アルギン酸
ナトリウム、ラノリン、シリコン、両性界面活性
剤、生薬あるいはその抽出エキス等を配合して、
効果を一層高めることができる。本発明の入浴剤は、粉末、顆粒、結晶、錠剤等
の形にすることができ、これらの製剤化のため
に、必要に応じて賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢
剤等を添加することもできる。叙上のような本発明入浴剤は弱酸性でありなが
ら風呂釡、浴槽をいためることがなく、PHが人の
肌と大略同一であるので肌に好影響を与える。し
かも浴湯に投ずるとき発生する炭酸ガスは、アル
カリ性ではイオンとして存在するため血流促進効
果はないが、本発明の如く酸性領域ではCO₂分子
として存在して肌の血行を促進する優れた効果を
奏する。次に実施例を挙げて説明する。実施例１表―１に示す組成の入浴剤を調製し、このもの
の銅製風呂釡及びホーロー製浴槽への影響を調べ
た。結果は表―２のとおりである。 (1) 銅製風呂釡に対する影響銅粉よりのCu²⁺の溶出各入浴剤の0.2％水溶液25mlに銅粉末100mg
を加え、約80℃の温浴中で一昼夜処理し、液
中に溶出したCu²⁺を原子吸光度で定量した。銅製風呂釡よりのCu²⁺の溶出銅製風呂釡（金剛燃器製作所製）の浴槽に
各入浴剤の0.2％水溶液180を入れ、60℃に
なるまで加熱し、一昼夜放置した。２日目も
同様な操作を行い、３日目（48時間後）の風
呂水についてCu²⁺を定量した。 (2) ホーロー浴槽への影響テストプラスター（クローズドパツチテスト用
絆創膏）に各入浴剤の0.2％水溶液を含浸させ、
ホーローテストピース（日本琺瑯工業会より入
手）上に貼付し、室温に放置した。48時間後にテ
ストプラスターをはがし、ホーロー面に対する影
響を次の項目、評点にて評価した。光沢の変化〇：変化なし △：やや変化 ×：変化あり変退色〇：変化なし △：やや変化 ×：変化あり

【表】

【表】実施例２表―３に示す組成の入浴剤を調製し、通常の入
浴剤と同様にして（浴湯に約0.01％加える）３ケ
月間使用した。その結果、風呂釡、浴槽には何の
いたみも変色もなかつた。

【表】実施例３表―４に示す組成の入浴剤（直径４cm、１錠20
ｇ）を40℃、200の湯に溶かした。PH、浴水中
の炭酸ガス濃度が最大に達するまでの時間、溶け
残りの有無について検討した。炭酸ナトリウムと
コハク酸の組合せ(B)では、炭酸ガスの発生及び溶
解が遅く炭酸ナトリウムが底に溶け残る。炭酸水
素ナトリウムとフマル酸の組合せ(C)では、炭酸ガ
スの発生及び溶解が遅く浴湯上にフマル酸が溶け
残る。炭酸ナトリウムとフマル酸の組合せ(D)で
は、炭酸ガスの発生及び溶解が遅く浴湯上にフマ
ル酸、底に炭酸ナトリウムが溶け残る。

【表】実施例４表―５に示す組成の入浴剤を40℃の湯に0.01％
の割合で溶かした溶液中に、一般消費者宅の残り
湯から分離されたH₂S生産菌（硫酸還元菌）及び
FeSO₄、亜硫酸ソーダを添加した。翌日の湯の臭
い、色の変化について観察した。

【表】

Claims

【特許請求の範囲】

１ (a)炭酸水素ナトリウム、(b)炭酸水素ナトリウ
ムの0.2〜1.5重量倍のコハク酸及び炭酸水素ナト
リウムの0.4〜３重量倍のコハク酸―ナトリウム
から選ばれる酸、並びに(c)該酸の0.3〜５重量倍
の硫酸塩及び／又は塩酸塩を含有し、浴湯に溶解
したときのPHが５〜７（0.01重量％水溶液）にな
るようにしたことを特徴とする弱酸性入浴剤。