JPH0232417B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、鉄骨建物の鉄骨柱を地中梁に固定す
る工法に関するものである。

従来、この種の工法としては第１図に示すよう
に、鉄骨柱１の下端面に設けたベースプレート７
を、地中梁５の基礎２に植設したアンカーボルト
３で締着固定する工法がある。

しかし、この工法は強度上ベースプレート７や
アンカーボルト３を大きくしなければならず、特
に最近改正された新耐震設計基準では層間変形量
の規定が設けられて、これを満足するためには更
に上記各部材３，７を大きくしなければならない
等の欠点があつた。

また、従来第２図に示すように鉄骨柱１を基礎
２上に建込んだ後に、根巻きコンクリート４にて
根巻きする工法があるが、この工法では根巻きコ
ンクリート４を打設する手間が余計にかかるだけ
でなく、該根巻きコンクリート４が土間コンクリ
ート１０（第７図参照）から露出して美観上好ま
しくない等の欠点があつた。

さらに、第３図に示すように前記基礎２に直接
アンカーする工法もあるが、鉄骨柱工作の段取り
がつけにくく、施工作業が複雑で時間がかかる等
の欠点があつた。

本発明は、上記のような各従来工法の欠点を解
消するためになされたもので、その目的とすると
ころは、ベースプレートやアンカーボルトが小さ
くて済み、コンクリートによる面倒な根巻きが不
要で外観的に優れ、作業工程に無理がなく鉄骨柱
を地中梁に完全一体化することが出来る新規な鉄
骨柱の固定工法を提供するにある。

以下、本発明の一実施例について図面を参照し
ながら説明する。

第４図において、５は鉄筋コンクリート製の地
中梁であつて、その建柱位置に埋込穴６を開設す
る。該埋込穴６はエキスパンドメタル（図示せ
ず）を使用することにより型枠撤去の必要なく開
設することが出来、後述のグラウト剤と馴染み易
い利点がある。

次に、上記埋込穴６内に鉄骨柱１の下端部を挿
入する。該鉄骨柱１の下方部にはベースプレート
７が両側に張出すように設けられており、一方、
上記埋込穴６の周囲の地中梁５にはアンカーボル
ト３が植設されその上端部が地中梁５の天端面か
ら上方に突出しているので、上記鉄骨柱１の下端
部を挿入すると、上記ベースプレート７に穿設し
た穴にアンカーボルト３の上記露出部が嵌挿さ
れ、これをナツトにて締付けて固定することがで
きる（第５図参照）。

続いて、第６図に示すように上記埋込穴６の壁
面と鉄骨柱１との間に出来た間隙Ｇ内にグラウト
材９を注入する。該グラウト材９は高強度（例え
ば500Kg／cm²）、高付着力（例えば鋼繊維、炭素繊
維、ガラス繊維等を混入）、無収縮のモルタルで
あつて、鉄骨柱１の曲げ変形荷重による圧壊を防
止したり、鉄骨柱１の抜け出しを防止する機能を
発揮する。

最後に、第７図に示すように土間コンクリート
１０を打設する。尚、この際上記ベースプレート
７は該土間コンクリート１０内に埋込むが、邪魔
な場合には第７図に示すように上記グラウト材９
が硬化した後ガス切断１１等で撤去してもよい。

尚、第５図に示すように、鉄骨柱１の下端部の
周囲には鉄筋を巻付けたり、肉盛溶接等で突起を
形成したりした簡易なシアコネクター８を設ける
ことにより、グラウト材との結合を強固にするこ
とができ、埋込穴６も小さくて済む。

本発明は硬化した基礎上に埋込穴用の型枠を単
にセツトするだけでよく、施工が極めて簡単であ
り、また、地中梁にあけた埋込穴内に鉄骨柱を挿
入し、これを高強度で無収縮のグラウト材で固定
するようにしたので、ベースプレートやアンカー
ボルトを小さくすることができると共に、該ベー
スプレートとアンカーボルトとの組合せにより鉄
骨柱を建込む際に高さ調整が容易に出来るだけで
なく鉄骨柱１の高さ調節が楽に出来、非常に安定
して固定することができると共に、コンクリート
による根巻きをする必要がなくて外観上見苦しく
なく、また地中梁のコンクリート打設後に鉄骨柱
を建込むので鉄骨柱の製作や施工作業を容易且つ
円滑に行なうことが出来、さらに鉄骨柱の周辺を
グラウト材の注入により圧壊から効果的に防止し
固定度を高めることにより鉄骨柱を地中梁に完全
に一体化することが出来る等の効果がある。

ａ） まず、基礎を構築するので、その上にエキ
スパンドメタルから成る型枠を安定してセツト
することができる。

ｂ） 型枠がエキスパンドメタル等の埋込み型か
ら構成されているので、埋込穴を迅速かつ容易
に確保することができるだけでなく、該型枠を
埋め殺しすることにより解体・撤去の手間を省
くことができ、また該型枠がグラウト材と馴染
んで鉄骨柱を地中梁中に強固に固定させること
ができる。

ｃ） 下端が基礎の上面付近にまで達するよう
に、鉄骨柱を上記地中梁の埋込穴内に挿入する
ので、鉄骨柱を安定して建て込むことができる

【図面の簡単な説明】

第１〜３図は従来の鉄骨柱の固定工法による固
定構造の説明断面図、第４図は地中梁に埋込穴を
あけた状態の平面図、第５図は鉄骨柱を埋込穴に
挿入してアンカーボルトにより締着した状態を示
す断面図、第６図はグラウチング作業状態を示す
断面図、第７図は土間コンクリートの打設並びに
ベースプレートのガス切断状態を示す断面図であ
る。 １…鉄骨柱、２…基礎、３…アンカーボルト、
４…根巻きコンクリート、５…地中梁、６…埋込
穴、７…ベースプレート、８…シアコネクター、
９…グラウト材、１０…土間コンクリート、１１
…ガス切断、Ｇ…間隙。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 基礎２を構築してから、該基礎２上にエキス
   パンドメタル等の埋込み型枠をセツトし、該型枠
   により埋込穴６を確保しながら地中梁５を構築
   し、続いて、下端が上記基礎２の上面付近にまで
   達するように鉄骨柱１を上記地中梁５の埋込穴６
   内に挿入し、該鉄骨柱１の下方部の両側に張出し
   て取付けられたベースプレートを、埋込穴６の周
   囲の地中梁５の天端面から上方に突出ように植設
   されているアンカーボルト３に固定し、上記埋込
   穴６と鉄骨柱１の間にグラウト材９を注入して固
   化させることを特徴とする鉄骨柱の固定工法。