JPH0231126B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は風合のよい異繊度異断面混繊糸を安価
に製造する方法に関するものである。 従来から芯部に単糸繊度の大きい糸条を、表層
部に単糸繊度の小さい糸条を交絡した混繊糸を使
用して表面タツチの優れた腰のある編織物を製造
することは公知のところである。 かかる編織物は通常単糸繊度の大きい糸条の収
縮率を単糸繊度の小さい糸条の収縮率よりも大き
くした混繊糸を製編織して収縮処理することによ
り得ている。 しかしながらこの方法では単糸繊度の異なる糸
条を別々に製造する必要があり生産性が低くコス
ト高になると共に、別々に紡糸又は延伸した糸条
を加工中に均一に混繊させることは難しく、風合
も充分満足するまでには至つていない。 又、ポリエステルの紡糸工程において、紡糸孔
径の異なる或いは紡糸孔数の異なる２種以上の紡
糸孔群から溶融吐出し、閣糸条群を合糸して捲取
る方法が提案されており、この方法によれば紡思
工程だけで単糸繊度の異なる異配向の糸条を均一
に混繊された異繊度混繊糸を製造することが出
来、生産性を増し、コスト的に有利である。 しかしながらこの方法では単糸繊度の大きい糸
条が低配向となり、単糸繊度の小さい糸条が高配
向となるために後加工により単糸繊度の小さい糸
条が芯部に存在し、単糸繊度の大きい糸条が表層
部に位置するため風合的に良好なものが得られな
い。 本発明は、かかる従来方法の問題点を解消すべ
く研究を重ねた結果、同時紡糸を採用する場合で
も各紡糸孔群ごとに形成される糸条の単糸繊度に
差をつけると共に、一方の紡糸孔群から形成され
る糸条を異形断面とし、各紡糸孔群より吐出され
た糸条に伸度差を与えるならば、芯部に単糸繊度
の大きい糸条を、又表層部に単糸繊度の小さい糸
条を位置させ得ることを見出し本発明に到達した
ものである。 すなわち本発明の要旨とするところは、単糸繊
度の異なる２種の糸条を同時に溶融紡糸して異繊
度混繊糸を形成する際、太単糸繊度糸を異形断面
糸とし、且つ太単糸繊度糸の単糸繊度が細単糸繊
度糸の単糸繊度の1.1〜5.0倍となるように紡糸す
ることにより、太単糸繊度糸の残留伸度を細単糸
繊度糸の残留伸度より小さくして太単糸繊度糸を
芯部に、細単糸繊度糸を表層部に配置せしめるこ
とを特徴とする異繊度異断面混繊糸の製法にあ
る。 本発明における糸条としては、ポリエステル、
ポリアミド、及びポリプロピレン等の糸条があげ
られるが、ポリエステル糸条が最も好ましく用い
られる。 又本発明における同時紡糸法としては、別個の
紡糸口金から同時に紡糸する方法及び同一紡糸口
金の異なる紡糸孔から同時に紡糸する方法のいず
れでもよく、又異繊度繊維の紡糸法としては紡糸
孔群ごとに紡糸孔当りの吐出量を異ならしめる方
法、紡糸孔数を異ならしめる方法、及び紡糸孔径
を異ならしめる方法等公知のいかなる方法でもよ
い。 更に本発明でいう異形断面とは偏平、多角形の
いずれでもよいが相手紡糸孔群からの紡出糸条よ
りも冷却時の急冷効果が大きく、且つ紡糸孔１孔
当りの孔面積が大である断面が好ましく、特に偏
平断面を使用すると最良の結果が得られる。 紡糸孔群間の１孔当りの吐出量の差を設ける場
合は、その差は小さくてもそれなりの効果は得ら
れる。又各紡糸孔群からの糸条の単糸繊度の差と
しては、単糸繊度の大きい糸条の単糸繊度が単糸
繊度の小さい糸条の単糸繊度の1.1〜５倍とする
のが好ましく、1.1倍未満では異繊度効果が得ら
れず、逆に5.0倍を越えると太単糸繊度糸の繊度
が大きくなりすぎて、冷却時の急冷効果が不充分
となり、太単糸繊度糸の残留伸度を細単糸繊度糸
の残留伸度より小さくすることが困難となる。 以下本発明を図面に従つて詳細に説明する。 第１図は本発明の実施に使用する紡糸装置の正
面図であつて、１及び１′は紡糸口金、２は冷却
風吹出部、３及び３′はそれぞれ単糸繊度の大き
い糸条（異形断面糸条）及び単糸繊度の小さい糸
条、４はオイリングローラ、５及び７はゴデツト
ローラ、６はインターレースノズル、８はトラバ
ースガイド、９はワインダー、１０はボビンを示
す。 同図において、紡糸口金１より吐出された単糸
繊度の大きい異形断面糸条３及び紡糸口金１′よ
り吐出された単糸繊度の小さい糸条３′は、冷却
風吹出部２から糸条と直交する方向に吹き出され
る冷却風によつて冷却される。 冷却された両糸条３及び３′はオイリングロー
ラ４にてオイリングされた後、ゴデツトローラ５
で引取られる。ゴデツトローラ５で引取られた糸
条３及び３′は、ゴデツトローラ７との間に設け
られたインターレースノズル６にて混繊交絡処理
され、ゴデツトローラ７を経てワインダー９によ
つてボビン１０に捲取られる。 以上の方法で得られた混繊糸は紡糸工程で一挙
に製造することができ、生産性が増すうえに単糸
繊度の小さい糸条は単糸繊度の大きい糸条よりも
残留伸度が大きいため編織物にした場合に表層部
に位置され、単糸繊度の大きい糸条すなわち異形
断面糸条は残留伸度が小さいため、芯部に位置さ
れ表面、風合の良好な腰、ボリユーム感に優れた
編織物が得られる。 第２図は本発明による単糸繊度の大きい糸条Ｂ
を偏平断面とし、単糸繊度の小さい糸条Ａを丸断
面とした場合の各糸条の応力、伸度曲線であり、
単糸繊度の大きい糸条Ｂすなわち編平断面糸の残
留伸度が単糸繊度の小さい糸条Ａすなわち丸断面
糸の残留伸度よりも小さい事が判る。 つぎに、本発明を実施例により更に具体的に説
明する。 実施例 相対粘度が1.625のポリエチレンテレフタレー
トを290℃で溶融したのち第１図に示す紡糸装置
を使用し、口金として細単糸繊度糸用0.25〓×
48^H、太単糸繊度糸用（0.1mm×2.0mm）×10^Hを用い
て吐出量29.0ｇ／分で溶融吐出した。 吐出した２種の糸条を25℃の空気中で冷却固化
し、油剤を給油したのち紡糸速度2000ｍ／分で捲
き取り261デニール、58フイラメントの混繊未延
伸糸を得た。 得られた糸条の各単一成分の応力、伸度曲線
は、第２図に示す如く、単糸繊度の大きい偏平断
面糸条の残留伸度が、単糸繊度の小さい糸条の残
留伸度より小さい結果が得られた。 すなわち単糸繊度の大きい糸条を異形断面とす
ることでドラフト差、吐出挙動差、冷却挙動差に
よつて残留伸度の異なる（太単糸側すなわち異形
断面糸条側の残留伸度が小さく細単糸側の残留伸
度が大きい）異繊度異断面混繊糸が得られた。 以下種々検討の結果を下表に示す。

【表】 (注) No.４は比較例

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施に使用する装置の一例を
示す正面図、第２図は本発明で得られた混繊糸の
太単糸繊度糸Ｂと細単糸繊度糸Ａとの応力−伸度
曲線で第１図において、１，１′は紡糸口金、２
は冷却風吹出部、３は太単糸繊度糸、３′は細単
糸繊度糸、４はオイリングローラ、５，７はゴデ
ツトローラ、６はインターレースノズル、８はト
ラバースガイド、９はワインダー、１０はボビン
である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 単糸繊度の異なる２種の糸条を同時に溶融紡
   糸して異繊度混繊糸を形成する際、太単糸繊度糸
   を異形断面糸とし、且つ太単糸繊度糸の単糸繊度
   が細単糸繊度糸の単糸繊度の1.1〜5.0倍となるよ
   うに紡糸することにより太単糸繊度糸の残留伸度
   を細単糸繊度系の残留伸度より小さくして太単糸
   繊度糸を芯部に、細単糸繊度糸を表層部に配置せ
   しめることを特徴とする異繊度異断面混繊糸の製
   法。