JPH0230008B2 - Kankoseiharogenkaginnyuzai - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は感光性ハロゲン化銀乳剤に関し、更に
詳しくは、該乳剤の感度、カバリングパワー等の
改良に関する。 写真用のハロゲン化銀乳剤に対する要請は甚だ
厳しく、写真性能としては、高感度、優れた粒状
性、鮮鋭度、豊かなラチチユード、充分、高い光
学濃度、更に低いカブリ濃度が要求され、また処
理性としては、迅速効率的な現像、定着および水
洗工程或いは耐処理物性が要求され、且つこれら
写真性能よび処理性は永く市場にあつても変らぬ
保存性が要求される。しかも生産性の面からは品
質の再現、信頼性および低原価が求められる。 これらの要請に対して、従来から塩化銀、臭化
銀あるいは沃化銀を用いた二元または三元乳剤が
ハロゲン化銀組成面からも検討され、これらを調
製する溶液状態としてアンモニア法、酸性法およ
び中性法がPH、pAgを考慮しながら検討され、ま
たこれらの溶液の混合方法として１回または多数
回のシングルジエツト或いはダブルジエツトまた
はそれらの組合せで、乳剤粒子の単分散性、多分
散性の粒度分布の影響が調べられ、また結晶系、
結晶面および晶癖、更に詳しくハロゲン化銀粒子
内での塩、臭および沃化銀の固溶体、混晶状態、
またはそれらの均一分散か偏在かの効果が実験的
に或は固体物性論、転立論等の理論面から問われ
てきた。 また、結晶成長の機構を明確に分離した方法が
検討された。即ち１つは溶解度積の大きな先行ハ
ロゲン化銀沈澱の一部または全部を溶解度積の小
さなハロゲン化銀に置換転化（コンバージヨン）
する転化法であり、他は先行ハロゲン化銀を結晶
核として利用し、この上に次期沈澱を遂次積層
し、各沈澱の組成或は経過環境を意図的に制御す
る積層（コア／シエル）法である。 以上述べたように写真用のハロゲン化銀乳剤の
写真性能、処理性、保存性及び生産性に対する厳
しい要請に対して精緻なまでの対策がなされてき
たが、このような考慮の下に調製されたハロゲン
化銀乳剤は、その形而下的類似にも拘らず、それ
自身で或はドーピング、化学増感、色素増感ある
いは各種添加剤添加効果の相乗作用によつて写真
性能、処理性、保存性に驚くべき差異を示すこと
があり、或は逆に形而下的差異にも拘らず有意義
な差を生じないことがあつて各種性能判断は単な
る予測からは困難であり実験的実証が必要であ
る。 一方写真性能、処理性、保存性に含まれる小項
目の各種性能間には、互に排他的あるいは相反的
関係にあるものが多く、差別化した性能グループ
に括つて製品設計しているのが実情である。 しかし、ハロゲン化銀以外の感光材料に対して
ハロゲン化銀の絶対的強みは感度であり、また粒
状性および鮮鋭度であるのでこれを活し処理の迅
速性も少くとも同等以上とし、また近年の銀質源
事情からは低銀量でしかも高光学濃度が得られる
即ち高カバリングパワーを有する乳剤が求められ
ている。 本発明の目的は、高感度ですぐれた粒状性、鮮
鋭度を有すると同時に迅速処理性および高カバリ
ングパワーを有する感光性ハロゲン化銀乳剤を提
供することにある。本発明のその他の目的は明細
書から明らかとなろう。なお、カバリングパワー
とは現像銀によつて生成する光学濃度と単位面積
たりの現像銀量の比として定義される。 本発明の目的は、ハロゲン化銀粒子の成長中に
還元増感されたハロゲン化銀粒子を含有する0.5
〜10モル％の沃化銀を含むハロゲン化銀乳剤であ
つて、該ハロゲン化銀粒子が沃化銀を含むハロゲ
ン化銀から実質的に成るコアと、該コアを被覆す
る臭化銀、塩化銀または塩臭化銀から実質的に成
るシエルとから成り、且つ該シエルの厚さが
0.01μ以上であるハロゲン化銀粒子である感光性
ハロゲン化銀乳剤によつて達せられる。 また、上記感光性ハロゲン化銀乳剤の好ましい
実施態様は、該コアのハロゲン化銀組成が沃化銀
を0.5〜10モル％含むハロゲン化銀であり、該シ
エルは実質的に臭化銀からなることである。 更に他の好ましい実施態様は、該コアが単分散
性のハロゲン化銀粒子であり、該シエルの厚さが
0.01〜0.06μであることである。 更に好ましい実施態様は、該コアが沃化銀を
0.5〜10モル％含む単分散性ハロゲン化銀粒子で
あり、該シエルが厚み0.01〜0.06μの実質的に臭
化銀からなることである。 更に他の好ましい実施態様は、コアの内部に還
元増感が行なわれような還元増感を行うことであ
る。 ハロゲン化銀粒子自体に関する高感度化の方法
としては、塩化銀に対しては臭化銀を、臭化銀ま
たは塩臭化銀に対しては沃化銀を固溶体または或
程度の混晶を生成する範囲まで混在させる方法が
知られている。たとえば、フオトグラフイツク・
ジヤーナル第79巻（1939）第463頁以降に記載の
A.P.H.トリペリ及びW.F.スミスによる文献から、
ある含有量までは臭化銀に沃化銀を含有せしめる
と感度はその沃化銀含有量に従つて上昇すること
が示されている。また他の方法としては、ハロゲ
ン化銀粒子を大きくすることによつて各粒子の受
光量を多くし、粒子の現像可能性を高める方法が
とられる。 しかし、粒子を粗大化して高感度化を図ること
は粒状性、鮮鋭度等の画質写真性能を損うこと大
であり、且つカバリングパワーの低下を招く。 また、化学増感による高感度化の方法としては
硫黄増感、貴金属増感（例えば金増感、パラジウ
ム増感、プラチナ増感、イリジウム増感、セレン
増感）、還元増感等の単独あるいは２種以上の併
用による化学増感が知られている。 還元増感の方法として、ハロゲン化銀粒子表面
に施すものやハロゲン化銀粒子の成長中に施こす
方法が知られている。粒子表面に施こす方法は他
の増感法（例えば金化合物、イオウ化合物）と併
用すると感度の増加とともに好ましくないかぶり
の増加がみられ不都合である。それに比べハロゲ
ン化銀成長中に還元増感を施こす方法は、他の増
感法と併用しても上記のような欠点はない。例え
ばこのような方法は特開昭48−87825号公報に記
載されている。 本発明者等は、高感度ハロゲン化銀乳剤を得る
べくこの還元増感を追究する事により、本発明の
方法のようにコア／シエル乳剤に上記の還元増感
を併用すると驚くべき、相乗効果がみられること
を見出した。 すなわち、通常製造されている0.5〜10モル％
の沃化銀を含む高感度ハロゲン化銀乳剤に上記の
還元増感を施したものに比べ、本発明のようにハ
ロゲン化銀粒子の成長中に還元増感された上記沃
化銀組成のコア／シエル乳剤は極めて高感度で且
つ優れた写真性能を有することがわかつた。 これはハロゲン化銀粒子の成長中の還元増感と
コア／シエル乳剤の相乗効果であり、この２者が
組み合わされて初めて本発明の目的が達成され
る。 本発明において、「ハロゲン化銀粒子の成長中
に還元増感された」とは、ハロゲン化銀粒子が成
長しつゝある状態で還元増感される製造方法だけ
でなく、ハロゲン化銀粒子が成長していない状態
で還元増感されても、該還元増感されたハロゲン
化銀粒子が該還元増感の後に成長する製造方法を
含有することを意味する。即ち、還元増感された
ハロゲン化銀粒子が成長する製造方法を含む製造
方法で製造されたことを意味する。 本発明で行なわれる還元増感は、ハロゲン化銀
乳剤のハロゲン化銀粒子の成長中に行われるよう
にハロゲン化銀乳剤に還元剤および／または水溶
性銀塩を添加することにより行なわれる。 還元剤として、好ましいものとして二酸化チオ
尿素及び塩化第一錫が挙げられ、二酸化チオ尿素
はハロゲン化銀１モル当り約0.01mg〜約２mg、塩
化第一錫は約0.01mg〜約３mgを用いるのが適当で
ある。別の適当な還元剤としてはヒドラジン、ジ
エチレントリアミンの如きポリアミン類、亜硫酸
塩等が包含される。 水溶性銀塩としては、硝酸銀が好ましく、水溶
性銀塩の添加により還元増感に含まれる所謂銀熟
成が行なわれる銀熟成時のpAgは１〜６が適当で
あり、好ましくは２〜４である。（ここでpAg値
はAg⁺濃度の逆数の常用対数である。） 還元増感の条件としては、温度は約30゜〜80℃、
時間は約10分間〜200分間、PHは約５〜11、pAg
は約１〜10の範囲が好ましい。 本発明においてコアのハロゲン化銀粒子中の沃
化銀含有量は0.1〜20モル％の固溶体から混晶に
到る範囲が用いられるが好ましくは0.5〜10モル
％である。また含有沃化銀のコア内での分布は偏
在、均一いずれの分布状態でもよいが、好ましく
は均一分布である。 本発明に係るハロゲン化銀粒子は晶癖に特に制
限はなく、立方体、八面体、十四面体等のいずれ
でもよく、また、正常晶、双晶のいずれでもよい
が、正常晶が好ましい。 本発明の特定の厚さのシエルを持つハロゲン化
銀粒子を有するハロゲン化銀乳剤は、単分散乳剤
に含まれるハロゲン化銀粒子をコアとしてこれに
シエルを被覆することによつて製造することがで
きる。 コアを単分散性ハロゲン化銀粒子とするには、
pAgを一定に保ちながらダブルジエツト法により
所望の大きさの粒子を得ることができる。また高
度の単分散性のハロゲン化銀乳剤は特開昭54−
48521号公報に記載されている方法を適用するこ
とができる。その方法の中好ましい実施態様とし
ては沃臭化カリウム−ゼラチン水溶液とアンモニ
ア性硝酸銀水溶液とをハロゲン化銀種粒子を含む
ゼラチン水溶液中に、添加速度を時間の関数とし
て変化させて添加する方法によつて製造する。こ
の際、添加速度の時間関数、PH、pAg、温度等を
適宜に選択することにより、高度の単分散性ハロ
ゲン化銀乳剤を得ることができる。 本発明に係るハロゲン化銀粒子において、シエ
ルの厚さが0.01μより薄いと、コアの沃化銀を含
む素地が裸出する部分が生じ、表面にシエルを被
覆する効果、即ち化学増感効果、迅速現像及び定
着性が失われる傾向が大きくなる。一方シエルの
厚さが厚すぎると写真性能的にカブリ易くなる傾
向が見られる。 本発明の感光性ハロゲン化銀乳剤は、コアおよ
びシエルのハロゲン化銀沈澱生成中、粒子成長時
あるいは生長終了後において各種金属塩あるいは
金属錯塩によつてドーピングを施してもよい。例
えば金、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウ
ム、ビスマス、カドミウム、銅等の金属塩または
錯塩よびそれらの組合わせを適用できる。 また本発明の乳剤の調製時に生ずる過剰ハロゲ
ン化合物あるいは副生するまたは不要となつた硝
酸塩、アンモニア等の塩類、化合物類は除去され
てもよい。除去の方法は一般乳剤において常用さ
れるヌーデル水洗法、透析法あるいは凝析沈澱法
等を適宜用いることができる。 また本発明の乳剤は一般乳剤に対して施される
各種の化学増感法を施すことができる。すなわち
活性ゼラチン、水溶性金塩、水溶性白金塩、水溶
性パラジウム塩、水溶性ロジウム塩、水溶性イリ
ジウム塩等の貴金属増感剤；硫黄増感剤；セレン
増感剤；ポリアミン、塩化第一錫等の還元増感剤
等の化学増感剤等により単独にあるいは併用して
化学増感することができる。更にこのハロゲン化
銀は所望の波長域に光学的に増感することができ
る。本発明の乳剤の光学増感方法には特に制限は
なく、例えばゼロメチン色素、モノメチン色素、
ジメチン色素、トリメチン色素等のシアニン色素
あるいはメロシアニン色素等の光学増感剤を単独
あるいは併用して（例えば超色増感）光学的に増
感することができる。これらの技術については米
国特許2688545号、同2912329号、同3397060号、
同3615635号、同3628964号、英国特許1195302号、
同1242588号、同1293862号、***特許（OLS）
2030326号、同2121780号、特公昭43−4936号、同
44−14030号等にも記載されている。その選択は
増感すべき波長域、感度等、感光材料の目的、用
途に応じて任意に定めることが可能である。 本発明の乳剤は、さらに含まれるハロゲン化銀
粒子を生成するに当つて、コア粒子が単分散性の
ハロゲン化銀粒子であるハロゲン化銀乳剤を用
い、該コア粒子にシエルを被覆することにより、
シエルの厚さがほゞ均一な単分散性のハロゲン化
銀乳剤が得られるのであるが、このような単分散
性のハロゲン化銀乳剤は、その粒度分布のまゝ使
用に供しても、また平均粒径の異なる２種以上の
単分散性乳剤を粒子形成以後の任意の時期にブレ
ンドして所定の階調度を得るように調合して使用
に供してもよい。 本発明の乳剤は、分布の広さが20％以下の単分
散性のハロゲン化銀粒子の成長中に還元増感され
たコアにシエルを被覆させて得られる乳剤と同等
かそれ以上の割合で、乳剤中に含まれる全ハロゲ
ン化銀粒子に対して本発明のハロゲン化銀粒子を
含むものが望ましい。しかし、そのほか本発明の
効果を阻害しない範囲で本発明以外のハロゲン化
銀粒子を含むものを包含する。 本発明の乳剤において、該乳剤に含まれるハロ
ゲン化銀粒子は少なくとも65重量％が本発明のハ
ロゲン化銀粒子であることが好ましく、そのほと
んど全てが本発明のハロゲン化銀粒子であること
が望ましい。 本発明の乳剤は、目的に応じて通常用いられる
種々の添加剤を含むことができる。例えばアザイ
ンデン類、トリアゾール類、テトラゾール類、イ
ミダゾリウム塩、テトラゾリウム塩、ポリヒドロ
キシ化合物等の安定剤やカブリ防止剤；アルデヒ
ド系、アジリジン系、イノオキサゾール系、ビニ
ルスルホン系、アクリロイル系、アルポジイミド
系、マレイミド系、メタンスルホン酸エステル
系、トリアジン系等の硬膜剤；ベンジルアルコー
ル、ポリオキシエチレン系化合物等の現像促進
剤；クロマン系、クラマン系、ビスフエノール
系、亜リン酸エステル系の画像安定剤；ワツク
ス、高級脂肪酸のグリセライド、高級脂肪酸の高
級アルコールエステル等の潤滑剤等がある。ま
た、界面活性剤として塗布助剤、処理液等に対す
る浸透性の改良剤、消泡剤あるいは感光材料の
種々の物理的性質のコントロールのための素材と
して、アニオン型、カチオン型、非イオン型ある
いは両性の各種のものが使用できる。帯電防止剤
としてはジアセチルセルローズ、スチレンパーフ
ルオロアルキルリジウムマレエート共重合体、ス
チレン−無水マレイン酸共重合体とｐ−アミノベ
ンゼンスルホン酸との反応物のアルカリ塩等が有
効である。マツト剤としてはポリメタアクリル酸
メチル、ポリスチレンおよびアルカリ可溶性ポリ
マーなどが挙げられる。またさらにコロイド状酸
化珪素の使用も可能である。また膜物性を向上す
るために添加するラテツクスとしてはアクリル酸
エステル、ビニルエステル等と他のエチレン基を
持つ単量体との共重合体を挙げることができる。
ゼラチン可塑剤としてはグリセリン、グリコール
化合物等を挙げることができ、増粘剤としてはス
チレン−マレイン酸ゾーダ共重合体、アルキルビ
ニルエーテル−マレイン酸共重合体等が挙げられ
る。 上記のようにして調製された本発明の乳剤を用
いて作られる感光材料の支持体しては、例えば、
バライタ紙、ポリエチレン被覆紙、ポリプロピレ
ン合成紙、ガラス紙、セルロースアセチテート、
セルロースナイトレート、ポリビニルアセター
ル、ポリプロピレン、例えばポリエチレンテレフ
タレート等のポリエステルフイルム、ポリスチレ
ン等がありこれらの支持体はそれぞれのハロゲン
化銀写真感光材料の使用目的に応じて適宜選択さ
れる。 これらの支持体は必要に応じて下引加工が施さ
れる。 本発明の乳剤は、白黒一般用、Ｘレイ用、カラ
ー用、赤外用、マイクロ用、銀色素漂白法用、反
転用、拡散転写法用等の種々の用途の感光材料に
有効に適用することができる。 また本発明の乳剤をカラー用の感光材料に適用
するには、赤感性、緑感性および青感性に調整さ
れた本発明の乳剤にシアン、マゼンタおよびイエ
ローカプラーを組合せて含有せしめる等カラー用
感光材料に使用される手法及び素材を充当すれば
よい。 本発明の乳剤を用いて作られた感光材料は露光
後通常用いられる公知の方法により現像処理する
ことができる。 黒白現像液は、ヒドロキシベンゼン類、アミノ
フエノール類、アミノベンゼン類等の現像主薬を
含むアルカリ溶液であり、その他アルカリ金属塩
の亜硫酸塩、炭酸塩、重亜硫酸塩、臭化物及び沃
化物等を含むことができる。また該感光材料がカ
ラー用の場合には通常用いられる発色現像法で発
色現像することができる。反転法ではまず黒白ネ
ガ現像液で現像し、次いで白色露光を与えるか、
あるいはカブリ剤を含有する浴で処理し、さらに
発色現像主薬を含むアルカリ現像液で発色現像す
る。処理方法については特に制限はなくあらゆる
処理方法が適用できるが、例えばその代表的なも
のとしては、発色現像後、漂白定着処理を行ない
必要に応じてさらに水洗、安定処理を行なう方
式、あるいは発色現像後、漂白と定着を分離して
行ない必要に応じてさらに水洗、安定処理を行な
う方式によるものを挙げることができる。また過
酸化水素コバルト錯塩の如きアンプリフアイヤー
剤を用いて低ハロゲン化銀量の感光材量を処理す
ることも知られており、これらの方式を用いて処
理することもできる。またこれらの処理は迅速に
行なうため高温で行なわれる場合もあり、室温ま
たは特殊な場合にはそれ以下で行なわれることも
ある。高温迅速処理を行なう際には前硬膜処理も
行なうことができる。また用いられる処理剤の種
類に応じて、各種の中和浴など補助浴が必要にな
る場合もあり必要に応じ適宜これらの補助浴を用
いることができる。 次に、実施例をあげて本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらによつて限定されるもので
はない。 実施例 １ 沃化銀1.5モル％を含む沃臭化銀乳剤を60℃、
pAg＝４、PH＝2.0にコントロールしつゝ、ダブ
ルジエツト法で平均粒径0.5μの単分散立方晶乳剤
を得た。脱塩後、この乳剤を分割し、一方は硝酸
銀溶液を加えて50℃、pAg＝３、PH＝６で銀熟成
を行ない、一方は銀熟成を行なわず、さらにこれ
らの乳剤をダブルジエツト法により、沃化銀1.5
モル％を含む沃臭化銀からなる平均粒径1.2μの下
記４種の単分散立方晶乳剤Ａ〜Ｄを作成した。

【表】 これらの乳剤を金増感及び硫黄増感をほどこ
し、熟成終了後４−ヒドロキシ−６−メチル−
１，３，3a，７−テトラザインデンを加えた後、
更にそれぞれ延展剤、増粘剤、硬膜剤等の一般的
な写真用添加剤を加えた後、下引きされたポリエ
チレンテレフタレートフイルムベース上にAg量
が50mg／100cm²となるように常法により塗布、乾
燥して試料No.１〜No.４を作成した。 これらの試料のセンシトメトリーを次のように
行つた。露光は色温度5400〓の光源を用い、光学
ウエツジを通して1/50秒間露光した。露光量は
3.2C.M.S.であつた。現像は下記の現像液−１で
35℃30秒間行つた。 現像液 １ 無水亜硫酸ナトリウム 70ｇ ハイドロキノン 10ｇ 無水硼酸 １ｇ 炭酸ナトリウム一水塩 20ｇ １−フエニル−３−ピラゾリドン 0.35ｇ 水酸化ナトリウム ５ｇ ５−メチル−ベンゾトリアゾール 0.05ｇ 臭化カリウム ５ｇ グルタルアルデヒド重亜硫酸塩 15ｇ 氷酢酸 ８ｇ 水を加えて１に仕上げる。 結果を表−１に示す。感度は試料No.１の感度を
100として相対感度で表した。表中、Ｓは感度、
Fogはカブリ濃度、CPはカバリングパワーを表
す。

【表】 以上の結果から明らかなように本発明による試
料１は粒子内部に銀熟成が施されていない試料２
よりも増感効果に優れ、且つカバリングパワーも
高い。すなわち、還元増感による増感効果が効果
的に発揮されている。また試料３は還元増感を粒
子内部に施しているにもかかわらず試料２よりも
感度が低い。 表−１の結果は、ハロゲン化銀粒子の成長中に
還元増感したコアにシエルを被覆させなければな
らないことを示している。 実施例 ２ 実施例−１に記載された方法でシエル厚を変化
させた下記３種の単分散立方晶乳剤Ｅ〜Ｈを作成
し、実施例−１に記載された方法に従つて処理
し、試料５〜８を得た。なお、比較には試料１を
用いた。

【表】 得られた結果を表−２に示す。

【表】 以上の結果から、試料７は純臭化銀のシエルで
被覆しているにもかかわらず、薄すぎるため他の
試料に比べ感度が低い。 つまり、シエル厚には最低限の厚さが存在する
ことを示している。その厚さは0.01μである。 またシエル厚を厚くした場合、カブリが高くな
る傾向が見られる。 実施例 ３ 実施例−１に記載された方法で作成された乳剤
Ａについて金増感及び硫黄増感を施した後、硝酸
銀溶液を加え、50℃、pAg＝4.5、PH＝６で銀熟
成を行つてから臭化カリウム溶液を加えた。この
乳剤を乳剤Ｉとし、実施例−１に記載された方法
に従つて処理した。その結果を表−３に示す。な
お、比較には試料１及び２を用いた。

【表】 以上の結果から、表面よりも、ハロゲン化銀粒
子内部に還元増感されたハロゲン化銀乳剤を使用
すれば、増感効果が大きいことがわかる。 実施例 ４ 臭化カリウムと沃化カリウムとゼラチンを含ん
だ溶液に硝酸銀溶液をpAgを一定に保ちながら60
分間で添加し、沃化銀1.5モル％を含む沃臭化銀
からなる平均粒径1.2μの単分散立方晶乳剤Ｊを作
成した。この際、この沈澱を始めてから実施例−
１の銀熟成に変えて、20分のところで二酸化チオ
尿素を0.1mg／Agxモル添加し、二酸化チオ尿素
を添加しない乳剤Ｋと実施例−１に記載された方
法で処理し、試料10，11を得た。ここで臭化銀の
シエル厚はどちらも0.03μである。なお、比較に
は試料１を用いた。結果を表−４に示す。

【表】 実施例 ５ 沃化銀2.0モル％を含む沃臭化銀乳剤を60℃、
pAg＝8.3、PH＝2.0にコントロールしつゝ、ダブ
ルジエツト法で平均粒径0.5μの単分散八面体乳剤
を得た。脱塩後、この乳剤を分割し、一方は硝酸
銀溶液を加えて50℃、pAg＝３、PH＝６で銀熟成
を行ない、一方は銀熟成を行なわず、さらにこれ
らの乳剤をダブルジエツト法により、沃化銀1.5
モル％を含む沃臭化銀からなる平均粒径1.2μの下
記４種の単分散八面体乳剤Ｌ〜Ｏを作成した。

【表】 これらの乳剤を金増感及び硫黄増感をほどこ
し、熟成後、実施例−１と同様に添加剤をそれぞ
れに加え、塗布、乾燥して試料No.12〜15を作成し
た。 これらの試料のセンシトメトリーを実施例−１
と同様にして行なつた結果を表−５に示す。 感度は試料No.12の感度を100として相対感度で
表した。表中、Ｓは感度、Fogはカブリ濃度、
CPはカバリングパワーを表す。

【表】 表−５から明らかなように、本発明による試料
12は粒子内部に銀熟成が施されていない試料13よ
りも増感効果に優れ、且つカバリングパワーも高
い。すなわち、還元増感による増感効果が効果的
に発揮されている。また本発明のシエルを有しな
い試料14は還元増感を粒子内部に施しているにも
かかわらず試料13よりも感度が低い。 また表−１と表−５との比較から、本発明の効
果がコアの形態やシエリングが終了した後の粒子
形態とは無関係であることは明らかである。 実施例 ６ 沃化銀2.0モル％を含む沃臭化銀乳剤を60℃、
pAg＝8.3、PH＝2.0にコントロールしつゝ、ダブ
ルジエツト法で平均粒径0.5μの単分散十四面体乳
剤を得た。脱塩後、この乳剤を分割し、一方は硝
酸銀液を加えて50℃、pAg＝３、PH＝６で銀熟成
を行ない、一方は銀熟成を行なわず、さらにこれ
らの乳剤をダブルジエツト法により、沃化銀1.5
モル％を含む沃臭化銀からなる平均粒径1.2μの下
記４種の単分散十四面体乳剤Ｐ〜Ｓを作成した。

【表】 これらの乳剤を金増感及び硫黄増感をほどこ
し、熟成後、実施例−１と同様にして添加剤をそ
れぞれに加え、塗布、乾燥して試料No.16〜19を作
成した。 これらの試料のセンシトメトリーを実施例−１
と同様にして行なつた結果を表−６に示す。 感度は試料No.16の感度を100として相対感度で
表わした。表中、Ｓは感度、Fogはカブリ濃度、
CPはカバリングパワーを表す。

【表】 表−６から明らかなように、本発明による試料
16は粒子内部に銀熟成が施されていない試料17よ
りも増感効果に優れ、且つカバリングパワーも高
い。すなわち、還元増感による増感効果が効果的
に発揮されている。また本発明のシエルを有しな
い試料18は還元増感を粒子内部に施しているにも
かかわらず試料17よりも感度が低い。 また表−１と表−６との比較から、本発明の効
果がコアの形態やシエリングが終了した後の粒子
形態とは無関係であることは明らかである。 以上の結果から、銀熟成に代えて二酸化チオ尿
素で行つても同様な結果が得られることがわか
る。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ハロゲン化銀粒子の成長中に還元増感された
   ハロゲン化銀粒子を含有する0.5〜10モル％の沃
   化銀を含むハロゲン化銀乳剤であつて、該ハロゲ
   ン化銀粒子が沃化銀を含むハロゲン化銀から実質
   的に成るコアと、該コアを被覆する臭化銀、塩化
   銀または塩臭化銀から実質的に成るシエルとから
   成り、且つ該シエルの厚さが0.01μ以上であるこ
   とを特徴とする感光性ハロゲン化銀乳剤。