JPH022824Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、住宅等の上階床面からの衝撃音や上
下階間の透過音を緩和あるいは軽減する床下地構
造に関するものである。

床面の防音対策としては、遮音と防振との両者
を考慮する必要がある。

その方法として、弾力性と遮音性とを有するゴ
ムシートや発泡樹脂シートを床下地材の上面に敷
きつめればよいが、一枚のシートで大なる衝撃を
緩和するには厚さが大になり、シートが高価にな
るとともに、大面積のシートを敷きつめることは
作業性が極めて悪いという不具合が生じる。

また、ゴム脚等の弾性脚体を設けたパネルを下
地材上に並設して衝撃力を緩和することも考えら
れるが、このような床パネルは、床上を走り回る
程度の軽衝撃力の緩和には効果を発揮するが、床
上で跳びはねる際に生じる様な重衝撃力に対して
は、パネルが衝撃の反動であばれを生じ易くパネ
ル自体が振動してしまうという問題があつた。

本考案は前記の問題点に鑑みてなされたもの
で、床下地材の上面に、複数の弾性脚体を備えた
床パネルを並設するとともに、該床パネルの上面
に板状体を横架して固着してこの板状体の上面に
ゴム製マツトを並設することにより、前記脚体と
ゴム製マツトとで床上で発生する衝撃力ピークを
低下させ、またマツトの制振効果によつて床パネ
ルの振動を防ぎ、かつ、床パネル間を通過する透
過音をゴム製マツトで遮断するとともに、弾性脚
体によつて板状床下地材への振動伝播を防止し衝
撃力の反動によるパネルのおどりや浮き上りを板
状体の固着によつて防止するようにした床下地構
造を提供しようとするものである。

つぎに、本考案を実施例である図面にしたがつ
て説明する。

第１図は本考案にかかる床下地構造の第１実施
例を示し、根太１上に、合板あるいはパーテイク
ルボードからなる板状床下地材２を全面に横架さ
せ、この板状床下地材２の上面に、複数個の防振
ゴム等弾性体からなる弾性脚体４を下面に設けた
床パネル３を、前記弾性脚体４に接着剤を塗布し
て目すきあるいは突きつけで固定してある。

そして、前記床パネル３上に合板等である板状
体５を床パネル３の接合部を横架させて配し釘６
等で縫着したのち、該板状体５の上面にゴム製マ
ツト７を突き付けあるいは２〜３mmの目すき施工
する。なお、ゴム製マツト７の目地部分には、ゴ
ム性マツト７の気密性を高めるためにアクリル
系、シリコン系、ウレタン系、ブチルゴム系等の
弾性と粘着性を有するとともに、硬化後において
も前記ゴム製マツト７より軟質で変形し易い性質
の弾性コーキング剤８を充填してもよい。

また、前記ゴム製マツト７は厚さが５mm以上、
好ましくは、５〜30mmが施工性および遮音性の点
から好ましい。さらに、比重は1.4〜1.7が好まし
い。比重が1.4未満であるとマツトの厚みを大き
くしなければ十分な遮音性が得られず施工性が悪
く、1.7を越えると、マツトの弾性が低く防振性
が劣るとともに、マツトの重量が大きくなり施工
性が低下するからである。この場合、前記比重は
金属粉、酸化金属粉、無機質粉等の添加によりコ
ントロールすることができる。

なお、ゴム製マツト７の損失係数は、0.2以上
の粘性の高いものが、振動の吸収性が大きく好ま
しい。

前記のようにして、張設したゴム製マツト７の
上面に、カーペツト９をアンダークツシヨン材
（図示せず）を介して、あるいは介することなく
施工する。また、前記カーペツト９に代えて、第
２図に示すように、合板フロアー１０であつても
よい。

さらに、第１図においては、木造住宅床に本考
案を適用したが、第２図に示すように、コンクリ
ート床スラブ１１にあつても全く同様である。

つぎに、本考案にかかる床下地構造の遮音性能
を比較例と比較したところ下記の結果を得た。

なお、比較試験は２階部分に床構造を構成し、
本考案としては、第１図に示すもの、比較例１は
床パネル３を設けることなく、板状床下地材２の
上にゴム製マツト７を介してカーペツトを敷いた
もの、比較例２としては本考案においてゴム製マ
ツト７を省略したものである。そして、一階部分
にマイクを設置する一方、前記各床面に衝撃を与
えて、その際に生じる衝撃音の強さ（dB）を測
定した。第３図は軽量衝撃源としてタツピングマ
シンにより衝撃を与えた場合、第４図は重量衝撃
源としてタイヤを落下させた場合の測定結果を
JISA1419建築物の遮音等級と対比させて表示し
たものであり、本考案のデータは◎印による曲線
ａ、比較例１のデータは□印による曲線ｂ、比較
例２のデータは×印による曲線ｃである。

第３図、第４図において、遮音等級のＬ値が低
いほど遮音性能が良好であることを意味してお
り、前記各図とも曲線ａは良好なる遮音性能を示
している。

なお、前記データを、日本建築学会基準の遮音
性能で比較すると、第３図の軽量床衝撃音のデー
タからは、曲線ｂが遮音等級Ｌ−65、曲線ｃがＬ
−70であるのに対して曲線ａはＬ−60となり、ま
た、第４図の重量床衝撃音のデータから曲線ｂが
遮音等級Ｌ−75、曲線ｃが遮音等級Ｌ−70である
のに対して曲線ａがＬ−65となり、本考案による
と床衝撃音が５〜10dB軽減された遮音性の高い
床面が形成される。

また、本考案において、第１図に示すように、
床パネル３の下面にガラスウール、フエルト、軟
質繊維板等のマツト１２を貼着し、下地材２と床
パネル３との間の空気層にもとずく共鳴現象を防
止することによりさらに遮音効果を高めることが
できる。

以上の説明で明らかなように、本考案の床下地
構造によれば、板状床下地材の上面に弾性脚体を
備えた床パネルを設け、その上面に板状体を釘等
で固着してパネル同志を結合し、該板状体の上面
に５〜30mmの厚さを有するゴム製マツトを並設し
たもので、弾性脚体とゴム製マツトとにより床上
での衝撃を弱めるとともに、衝撃によつて発生す
るパネルの振動は、ゴム製マツトの制振効果によ
つて吸収されるため、床パネルが衝撃力の反動で
振動を生じることがなく、弾性脚体の防振（振動
絶縁）効果が充分に発揮されて総合的に板状床下
地材への振動を効果的に防止して優れた床下地と
することができる。

さらに、各床パネルの上面を合板等の板状体で
結合したものであるので、衝撃力が一枚の床パネ
ルに集中することがなく、衝撃音の発生が少ない
とともに、床パネルの接合部を板状体とゴム性マ
ツトで二重に被覆しているので、該接合部からの
透過音を遮断して遮音性に優れた床下地とするこ
とができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図はいずれも本考案の床下地
構造を示す断面図、第３図および第４図は遮音特
性に関する比較試験結果を示すグラフである。 １……根太、２……板状床下地材、３……床パ
ネル、４……弾性脚体、５……板状体、７……ゴ
ム製マツト、９……カーペツト、１０……合板フ
ロアー、１１……コンクリート床スラブ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) コンクリート床スラブ上面もしくは根太上に
   横架した板状床下地材の上面に、複数個の弾性
   脚体を備えた床パネルを多数枚並設するととも
   に、前記床パネル上面に合板等の板状体を前記
   各パネルの接合部を横架して釘等により固着
   し、さらにその上面に厚さ５〜30mmのゴム製マ
   ツトを並設したことを特徴とする床下地構造。 (2) 前記ゴム製マツトが、比重1.4〜1.7であるこ
   とを特徴とする前記実用新案登録請求の範囲第
   １項に記載の床下地構造。