JPH0226568Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、カツタ本体のチツプ取付け面に、サ
ポータを介して切刃チツプを固定する形式の正面
フライス、サイドカツタ、ボーリングカツタ等の
スローアウエイ式転削工具に関するものである。

「従来の技術」 スローアウエイ式転削工具の中に、切刃チツプ
を直接カツタ本体のチツプ取付面に固定せずに、
チツプとカツタ本体との間に硬質材料からなるサ
ポータを介在させて固定したものがある。この種
のスローアウエイ式転削工具は、例えば第２１図
に示すような構造である。すなわち、これは、カ
ツタ本体１の先端部にその周方向に適宜離間した
状態で複数の切刃チツプ２がサポータ３を介して
着脱自在に装着されたものであり、また前記サポ
ータ３は、ねじ４，５で固定される交換式のアン
ビル（敷板）６とアキシヤル方向受け台７および
カツタ本体１にロー付けされたラジアル方向受け
台８とから構成されている。そして、このような
構成の工具では、前記アンビル６および受け台
７，８が全て超硬合金より構成されており、カツ
タ本体１に摩耗やダレが及ぶことがないため、長
寿命で、高精度を維持することができる利点を有
している。また、この形式の工具では、万一切刃
チツプ２が欠損してもカツタ本体１を傷めること
がなく、しかもアンビル６とアキシヤル方向受け
台７については簡単な部品交換で復元できるとい
つた利点もある。

「考案が解決しようとする問題点」 ところで、カツタ本体１を長寿命にするために
は、前記した工具のように、切刃チツプ２を別部
材（サポータ３）でサポートすることが大切であ
るが、さらに本体取付部の摩耗を少なくするこ
と、および切り屑による擦過、取り扱い中の傷を
少なくすることも重要な要素の一つである。この
ような要求に応えるためには、カツタ本体１全体
を熱処理によつて硬くすることを要求されるが、
工具の加工コストの面から見ると、カツタ本体１
の加工はできるだけ簡単なもの程好ましい。

ところが、前記した工具にあつては、ラジアル
方向受け台８が超硬合金をロー付けしているた
め、外周振れ出しには研削仕上げが必要でコスト
高になりやすく、また、万一これが欠損した場
合、交換ができないといつた問題点があつた。ま
た、アンビル６及び受け台７をねじ固定している
ため、ねじ穴により剛性が低下して割れなどを誘
発しやすいこと、ねじ穴加工の位置や寸法精度が
厳密であることが要求され、精密な外周振れ出し
の設定が困難であること、切刃チツプとともにア
キシヤルサポート部材の大きさを変えることがで
きないなどの不具合があつた。しかも、切刃溝部
の研削仕上げは、特に段取り角度が複雑であり、
加工コストが高いといつた不満がある上、カツタ
本体１全体を熱処理する場合は、ロー付け部の変
形や焼きなましなどに起因して、硬さが不十分と
なるなどの問題点がある。

「問題点を解決するための手段」 本考案は、前記した問題点を有効に解決するも
のであつて、サポータを、カツタ本体のチツプ取
付面と切刃チツプの着座面との間に介在されかつ
切刃チツプの一側面が当接されるチツプ位置決め
壁を備えたシート部材と、このシート部材面上に
切刃チツプの他の側面に当接して載置されたアキ
シヤルサポート部材とから構成し、固定手段を、
シート部材及び切刃チツプのそれぞれの上面と切
刃収納用溝内面との間に挿入されてシート部材と
切刃チツプを固定する２つのくさびとこのくさび
を切刃チツプ収納用溝の奥面に向けて押込むボル
トから構成し、これらシート部材及びアキシヤル
サポート部材を超硬合金もしくはサーメツト、セ
ラミツクス等の粉末焼結合金より形成したことを
特徴としている。

「実施例」 以下、本考案の実施例を図面を参照して説明す
る。

まず第１図ないし第１２図を参照しながら第１
の実施例について説明すると、この工具は、第１
図ないしは第５図に示すように、カツタ本体１の
先端部に形成された切刃収納用溝１０に、切刃チ
ツプ１１が本考案の最大の特徴であるサポータ１
２を介して載置されるとともに、固定手段１３に
より固定された基本構成となつている。前記切刃
収納用溝１０には奥に向かうに従い狭くなるよう
にテーパが付されている。

そして、前記切刃チツプ１１は、実施例では平
面略正方形をなす平板状に形成されており、また
前記サポータ１２は、前記切刃収納用溝１０のチ
ツプ取付面１０ａと切刃チツプ１１の着座面１１
ａとの間に介在されるシート部材１４と、カツタ
本体１の軸方向（第２図Ｙ−Ｙ方向）の切刃チツ
プ側面１１ｂを支持するアキシヤルサポート部材
１５とを主体として構成され、これら各部材１
４，１５が組み立てられた状態において、これら
各部材により囲まれた部分に、第６図に示すよう
な四角形状の切刃チツプ着座部１６を構成するよ
うになつている。

また、前記サポータ１２を構成する各部材１
４，１５は、これらを同時に固定する固定手段す
なわち実施例では、サポータクランプ用くさび１
７およびねじ１８によりカツタ本体１に固定され
るようになつている。すなわち、カツタ本体１の
切刃収納用溝１０内には、前記シート部材１４
が、第１図に示すように、その側面を切刃収納用
溝１０の奥面に当接した状態で組み込まれ、また
このシート部材１４の上面におけるカツタ本体１
の軸方向基端側（第２図上側）にアキシヤルサポ
ート部材１５が載置され、このアキシヤルサポー
ト部材１５をチツプ取付面１０ａに押さえ付ける
サポータクランプ用くさび１７により、シート部
材１４とアキシヤルサポート１５とが共に切刃収
納用溝１０内に固定されるものである。

次いで、前記各部材１４，１５について詳しく
説明すると、前記シート部材１４は、超硬合金、
サーメツト、セラミツク等の粉末焼結合金からな
るものであつて、第７図ないしは第９図に示すよ
うに、一部がカツタ本体１の外形に対応した五角
形状をなしており、その上面に切刃チツプ１１の
側面すなわちカツタ本体１の中心軸線（第１図Ｘ
−Ｘ線）方向の側面１１ｃおよびアキシヤルサポ
ート部材１５の側面が当接する位置決め壁部１９
が設けられている。また、この位置決め壁部１９
よりも一段低められた上面の左側（第７図左側）
には、切刃チツプ１１の載置面１４ａが形成され
るとともに、この載置面１４ａよりも若干低めら
れたぬすみ部１４ｂが設けられ、さらにこの切刃
チツプ載置面１４ａとは同一平面内であつてシー
ト部材１４の上面右側には、アキシヤルサポート
部材１５の載置面１４ｃが設けられている。

なお、前記チツプ位置決め壁部１９には、切刃
チツプ１１およびアキシヤルサポート部材１５の
それぞれの側面が当接してこれらの位置決めをす
る傾斜面１９ａが設けられ、またこの傾斜面１９
ａを有する位置決め壁部１９と載置面１４ａ，１
４ｃとの間には研削ぬすみ１４ｄが設けられてい
る。また図中符号１４ｅはカツタ本体１のチツプ
取付面１０ａに当接する下面である。

一方、前記アキシヤルサポート部材１５は、第
１０図ないし第１２図で示すように、前述したシ
ート部材１４と同様に超硬合金、あるいはサーメ
ツト、セラミツク等の粉末焼結合金から構成され
ており、またその上面（第１１図上面）１５ａが
サポータクランプ用くさび１７の当接する面とさ
れ、この面１５ａとは反対側の面（下面）１５ｂ
が前記シート部材１４に当接する当接面とされて
いる。さらに、このアキシヤルサポート部材１５
には、切刃チツプ１１に接してこれを支持する位
置決め部１５ｃが設けられるとともに、ぬすみ部
１５ｄと面取部１５ｅとがそれぞれ設けられてい
る。また、これら位置決め部１５ｃなどが形成さ
れた面とは反対の面１５ｆは、カツタ本体１の切
刃収納用溝１０に当接するようになつており、ア
キシヤルサポート部材１５の軸方向の位置決めが
なされるようになつている。なお、このアキシヤ
ルサポート部材１５の中心軸線方向の位置決めに
ついては、アキシヤルサポート部材１５に形成さ
れた傾斜面１５ｇと、前記シート部材１４の位置
決め壁部１９に形成された傾斜面１９ａとを当接
させて行うようになつている。

なお、前記切刃チツプ１１を固定する固定手段
１３は、チツプクランプ用くさび２０と該くさび
２０をカツタ本体１に固定するねじ２１とから構
成されている。

次いで、以上のように構成された本実施例の作
用を説明する。

この工具を第１図などに示すように組み立てら
れた状態とするには、シート部材１４およびアキ
シヤルサポート部材１５などを個々に形成してお
き、まず、シート部材１４をカツタ本体１の切刃
収納用溝１０にはめ込み、次いでこの上にアキシ
ヤルサポート部材１５を載置して、これらをサポ
ータクランプ用くさび１７およびねじ１８により
止める。そして切刃チツプ１１を前記シート部材
１４およびアキシヤルサポート部材１５により構
成された切刃チツプ着座部１６に載置して、チツ
プクランプ用くさび２０とねじ２１により固定す
ると、第１図などに示した転削工具が完成する。

この組立は、３個の部材（シート部材１４、ア
キシヤルサポート部材１５および切刃チツプ１
１）を、単にねじ、くさび等によつて固定する単
純作業であり、組立作業に際し、特別の技術や設
備を必要とせず、また各部材は適宜の合金により
大量に成形することが可能であり、しかもカツタ
本体１の熱処理および溝の仕上げ加工（フライス
加工）が容易であるので、加工コストを低下する
ことができる。そして、シート部材１４、アキシ
ヤルサポート部材１５にはねじ穴が設けられてい
ないから、これらの部材の剛性が確保され、割れ
などを誘発することが少ない。また、ねじにより
直接固定していないので、厳密な寸法精度でねじ
穴を設ける必要がなく、外周振れ出しの設定が精
密になされる。さらに、切刃チツプを他の形状の
ものに変更するときには、アキシヤルサポート部
材をその切刃チツプに適合したものとすればよ
い。

また、これら各部材の取り替え作業も簡単に実
施することができるので、部材の欠損時などに、
特別の技術者を必要とせずに、その交換を容易に
実施することができる。

次ぎに本考案の第２の実施例について説明す
る。なお、以下の説明においては、前記第１の実
施例と同一名称部分には同一符号を付してその説
明を簡略化する。

第１３図ないし第２０図は、本考案の第２の実
施例を示すもので、本実施例では、シート部材１
４に設けた切刃チツプ１１の位置決め壁部１９を
短く構成し、この壁部１９の傾斜面１９ａに切刃
チツプ１１だけを当接させる構成とした点におい
て、先の実施例とは異なつている。そして、この
場合には、アキシヤルサポート部材１５の中心軸
方向の位置決めは、アキシヤルサポート部材１５
自身をカツタ本体１の切刃収納用溝１０に直接当
接させて実施する構成とされ、また壁部１９の形
成されていない部分は研削ぬすみ１４ｄとなつて
いる。なお、この部分は、サポータ載置面と面一
としても良いが、研削部を少なくするためには、
ぬすみとした方が望ましい。

また、前記アキシヤルサポート部材１５につい
て説明を補足しておくと、これは、シート部材１
４の位置決め壁部１９が切り欠かれた分長く形成
されており、また前記実施例では位置決め壁部１
９に当接する傾斜面１５ｇとされた面が、カツタ
本体１と当接する面とされ、該面が上面１５ａと
下面１５ｂとの両方に直交している。なお、その
他固定手段等の構成については前記第１の実施例
と同様である。

「考案の効果」 以上説明したように本考案によれば、次のよう
な優れた効果を奏する。

(a) 切刃チツプとカツタ本体間に粉末焼結合金製
のサポータを介在させているので、カツタ本体
の損傷が少なく、また高剛性である。

(b) サポータを構成する各部材（シート部材、ア
キシヤルサポート部材）がカツタ本体に対して
着脱自在に構成されているので、部材の欠損時
に容易に交換することができる。

(c) カツタ本体の熱処理、溝仕上げ加工（フライ
ス加工）が容易で加工コストを低下することが
できる。

(d) サポータ部材の精度管理をすることによつ
て、工具の振れ精度を管理することができる。

(e) シート部材及びアキシヤルサポート部材には
ねじ穴が設けられていないから、これらの部材
の剛性が確保され、割れなどを誘発することが
少ない。

(f) ねじによる固定ではないので、厳密な寸法精
度のねじ穴を設ける必要がなく、外周振れ出し
の設定が精密になされる。

(g) 切刃チツプとアキシヤルサポート部材を組み
で変更することにより、切刃チツプを他のタイ
プのものに変えるこが容易となる。

(h) くさびによる固定の場合、切刃収納用溝の形
状を大きく変更することなくそのまま生かして
用いることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第１２図は本考案の第１実施例を
説明するための図であつて、第１図はサポータお
よび切刃チツプをカツタ本体に取り付けた状態を
示す斜視図、第２図はその断面図、第３図は第２
図のＡ矢視図、第４図は第３図のＢ矢視図、第５
図はチツプをサポータに組み付けた状態を示す平
面図、第６図はサポータを組み立てた状態を示す
サポータ全体の平面図、第７図はシート部材の平
面図、第８図は第７図のＣ矢視図、第９図は第８
図のＤ矢視図、第１０図はアキシヤルサポート部
材の平面図、第１１図は第１０図のＥ矢視図、第
１２図は第１１図のＦ矢視図である。また、第１
３図ないし第２０図は本考案の第２実施例を示す
もので、第１３図はサポータを組み立てた状態を
示す第６図と同様の平面図、第１４図はシート部
材の平面図、第１５図は第１４図のＧ矢視図、第
１６図は第１５図のＨ矢視図、第１７図はアキシ
ヤルサポート部材の平面図、第１８図は第１７図
のＩ矢視図、第１９図は第１８図のＪ矢視図、第
２０図はサポータおよび切刃チツプをカツタ本体
に取り付けた状態を示す断面図、第２１図は従来
のスローアウエイ式転削工具の構造例を示す斜視
図である。 １……カツタ本体、１０……切刃収納用溝、１
０ａ……チツプ取付面、１１……切刃チツプ、１
１ａ……切刃チツプの着座面、１１ｂ……カツタ
本体の軸方向の切刃チツプ側面、１１ｃ……カツ
タ本体の中心軸方向の切刃チツプ側面、１２……
サポータ、１３……固定手段、１４……シート部
材、１４ａ……載置面、１５……アキシヤルサポ
ート部材、１５ｃ……位置決め部、１６……切刃
チツプ着座面、１７……サポータクランプ用くさ
び、１８……ねじ、１９……チツプ位置決め壁
部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 カツタ本体の切刃収納用溝内のチツプ取付面に
   対し、サポータを介して多角形平板状の切刃チツ
   プを載置し、固定手段により切刃チツプを固定す
   るようにしたスローアウエイ式転削工具におい
   て、 前記サポータは、前記カツタ本体のチツプ取付
   面と切刃チツプの着座面との間に介在されかつ切
   刃チツプの一側面が当接されるチツプ位置決め壁
   を備えたシート部材と、このシート部材面上に上
   記切刃チツプの他の側面に当接して載置されたア
   キシヤルサポート部材とから構成され、 上記固定手段は、シート部材及び切刃チツプの
   それぞれの上面と切刃収納用溝内面との間に挿入
   されてシート部材と切刃チツプを固定する２つの
   くさびと、このくさびを切刃チツプ収納用溝の奥
   面に向けて押込むボルトから構成され、 これらシート部材及びアキシヤルサポート部材
   は超硬合金もしくはサーメツト、セラミツクス等
   の粉末焼結合金よりなることを特徴とするスロー
   アウエイ式転削工具。