JPH021352B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は進歩したインライン電子銃を有する
カラー映像管に関し、特に球面収差を減ずるため
の進歩した拡大集束レンズを有するその電子銃に
関する。

インライン電子銃は好ましくは３本の電子ビー
ムを共通平面内で発生してこれを集中径路に沿つ
て表示面近傍の１点または微小集中領域に向け放
射するものである。米国特許第3873879号明細書
開示の形式のインライン電子銃では、第１および
第２の加速集束電極と呼ぶ２つの電極の間に電子
ビームを集束する主静電集束レンズが形成され
る。この電極は底部が互いに対面する２つのカツ
プ型部材を含み、各カツプの底面に３つの開孔が
あつて、３本の電子ビームを通すと共に各ビーム
について１つずつ３つの個別主集束レンズを形成
している。推奨実施例では電子銃が内径29mmの管
球ネツク部に適合するようにその全直径が定めら
れている。この寸法条件のため３個の集束レンズ
が互いに極めて接近するため、集束レンズの設計
は厳しい制限を受けるが、集束レンズの直径が大
きいほど集束品質を制限する球面収差が減ること
は当業者に公知である。

この集束レンズ径の外に集束レンズの両電極面
の間隔も重要で、これが大きいほどレンズ内の電
圧傾度が緩慢になり、球面収差が減る。しかしこ
の電極間に侵入するネツク部のガラス上の静電荷
により電子ビームが曲つて集束不良を生ずるた
め、その間隔を大きくするには一定の限度（一般
に1.27mm）がある。

特願昭第56−173670号明細書（特開昭57−
103246号）には主集束レンズが互いに離間する２
つの電極で構成された電子銃が記載されている。
各電極は電子ビームと同数の複数個の開孔と共に
周辺の突縁部を有し、この２つの電極の突縁が互
いに対面するようになつている。各電極の開孔部
はその突縁から後退した凹陥部内にある。この主
集束レンズの効果は球面収差を減ずるために必要
な緩漫な電圧傾度を与えることである。２つの電
極の周辺の突縁の形状が非対称のため、水平垂直
の集束電圧成分が電子銃の内外で同じにならず、
垂直方向では中央ビームが両側のビームより強い
集束作用を受け、集束形状が一部円弧で拘束され
る。これは円形の周辺におけるより突縁により形
成された凹陥部の中への方が垂直電界の侵入が大
きいためである。同様に凹陥部の中央より周辺の
突縁が側方で水平電界が急速に低下するため、中
央ビームより両側ビームに対し水平集束成分が強
く作用する。それ故、電子ビームに作用する集束
電界の平衡をとるために、周辺の突縁の形状を変
形する必要がある。

この発明による改良型カラー映像管は中央ビー
ムと２本の両側ビームを発生してこれを同一平面
上の径路に沿い表示面に向けて放射するインライ
ン電子銃を有する。この電子銃はそれぞれ３個の
個別インライン開孔を持ち、互いに離間する２つ
の電極で形成されて電子ビームを集束する主集束
レンズを含み、各電極はまたその周辺に突縁を有
する。この２つの電極の周辺の突縁は互いに対面
している。各電極の開孔部はこの突縁から後退し
た凹陥部内にあり、この電極の少なくとも一方の
突縁部の電子ビーム径路を含む平面に垂直方向に
測定した幅は、中央ビーム径路におけるより両側
ビーム径路において小さい。

第１図は矩形フエースプレートパネルまたはキ
ヤツプ１２、管状ネツク部１４および両者を連結
する矩形フアンネル部１６を有するガラス外囲器
１０を持つ矩形カラー映像管の平面図である。パ
ネル１２は表示用フエースプレート１８とフアン
ネル部１６に封着された周辺フランジまたは側壁
２０を有し、フエースプレート１８の内面には３
色モザイク蛍光表示面２２がある。この表示面は
映像管の高周波数ラスタ走査線に実質的に垂直
（すなわち第１図の紙面に垂直）な縞状蛍光体よ
り成る線状表示面であることが好ましい。表示面
２２と所定間隔関係で多孔選色電極すなわちシヤ
ドーマスク２４が通常の手段により着脱自在に取
付けられ、また第１図に点線で略示するようにネ
ツク部１４の内部中心にこの発明のインライン電
子銃２６が取付けられて３本の電子銃を発生しこ
れを同一平面上の集中径路に沿いマスク２４を通
つて表示面２２に射出するようになつている。

第１図の映像管は図示のようにネツク部１４と
フアンネル部１２をその接合部近傍で包囲するヨ
ーク３０のような外部磁気偏向ヨークを使用する
ように設計されている。ヨーク３０は付勢時に３
本のビーム２８を磁界により水平垂直に偏向して
表示面２２に矩形のラスタを形成させる。この偏
向開始面（零偏向における）を第１図のヨーク３
０の中央の線Ｐ−Ｐで示す。しかし映像管の偏向
帯域はフリンジ磁界のためヨーク３０から電子銃
２６の領域外へ軸方向に延びている。簡単のた
め、ビームの偏向径路の実際の曲率は第１図に示
されていない。

第２図ないし第５図に電子銃２６の１実施例の
細部を示す。電子銃は各種電極を取付けた２本の
ガラス支柱３２を有する。この電極には同一平面
上に等間隔で配置された３個（各ビームに１個）
の陰極３４と、制御グリツド電極（G1）３６と、
遮蔽グリツド電極（G2）３８と、第１加速集束
電極（G3）４０と、第２加速集束電極（G4）４
２があり、この順序でガラス支柱３２に所定間隔
で支持されている。電極G1ないしG4は３本の共
面電子ビームが通過し得る３個のインライン開孔
をそれぞれ有し、G3電極４０とＧ４電極４２の
間に電子銃２６の主静電集束レンズが形成され
る。G3電極４０は４個のカツプ型素子４４，４
６，４８，５０から成り、その２個４４，４６の
開放端部と他の２個４８，５０の開放端部がぞれ
ぞれ互いに接合され、第２および第３の素子４
６，４８の各閉端部が互いに接合されている。
G3電極４０は４分割構体として図示されている
が、同じ長さの単一素子を含む任意数の素子で形
成することができる。G4電極４２もカツプ型で
あるが、その開放端は有孔板５２で閉塞されてい
る。

G3電極４０とG4電極４２の対面する閉端部に
はそれぞれ大きな凹陥部５４，５６がある。凹陥
部５４，５６はG4電極４２の閉端部の３開孔６
４，６６，６８を持つ部分からG3電極４０の閉
端部の３開孔５８，６０，６２を持つ部分を後退
させ、両電極４０，４２の閉端部の残りの部分に
各凹陥部５４，５６の周辺を包囲する突縁部７
０，７２をそれぞれ形成している。この突縁部７
０，７２は２電極４０，４２の最接近部である。
中央ビームに対する垂直集束作用は、凹陥部５
４，５６内およびその間に形成された静電レンズ
の拡散側のG4電極４２の突縁７２の幅を減ずる
ことにより低減し得ることが判つた。第４図に示
すように、G4電極４２の凹陥部５６の電子ビー
ム径路を含む平面に垂直方向に測つた幅は、中央
ビーム径路におけるより両側ビーム径路において
大きくなつている。２本の両側ビームに対する水
平集束作用もG4電極４２の凹陥部５６の長さを
減ずることにより低減し得ることが判つている。

第２図の電子銃２６の主集束レンズは前記従来
法の電子銃のそれに比して球面収差が実質的に少
ないが、この球面収差の減少は主集束レンズの寸
法の増大による。このレンズ寸法の増大は電極開
孔の陥没の結果である。最も以前のインライン電
子銃では、静電界の最強等電位線が対向する各開
孔対で集中されるが、第２図の電子銃２６では最
強等電位線が突縁７０，７２の間から連続的に延
びて主集束レンズの過半部が３本の電子ビーム径
路全体に拡がる単一の大レンズのようになり、そ
の残部が電極の開孔に位置する弱い等電位線によ
つて形成される。電子銃２６と同様の電子銃の性
能と利点は前記特願昭56−173670号明細書（特開
昭57−103246号）に論じられている。

垂直集束電界が凹陥部の開放領域を通るため、
主集束レンズは細隙効果による非点収差を呈す
る。この効果は水平等電位線より垂直等電位線の
方が圧縮されていることにより生ずる。この電界
の侵入により集束レンズは水平レンズ効果よりも
垂直レンズ効果を大きくする。第２図の電子銃２
６ではG4電極４２の出口に水平スロツト状開口
部を設けることによりこの非点収差を補正してい
る。１実施例ではこのスロツトは幅がレンズ直径
の1/2で、G4電極の反対面からレンズ直径の86％
隔つている。このスロツトは第２図および第５図
に示すようにG4電極４２の有孔板５２の３つの
開孔に跨るようにその板５２に熔接された２枚の
帯金９６，９８で形成される。

中央ビームに対して両側の２ビームを静電集中
するため、G4電極４２の凹陥部５６の長さＥは
G3電極４０（第３図）の凹陥部５４の長さＦよ
り僅かに大きくなつている。このG4電極４２の
凹陥部の長さを大きくした効果は米国特許第
3772554号の偏倚開孔について述べられたものと
同様である。

第２図の電子銃２６のような電子銃に対する代
表的寸法を次に掲げるが、これは帯金９６，９８
によつて形成されたスロツトがない場合である。

管球ネツク部外径 29.00mm 〃 〃 内径 24.00mm G3、G4電極４０，４２間隔 1.27mm G3電極４０の隣接開孔中心間隔（第３図Ａ）
6.6mm G3電極４０開孔５８，６０，６２内径（第３図
Ｂ） 5.4mm G4電極４２凹陥部５６の幅 中央ビーム径路（第４図Ｃ） 6.30mm 両側ビーム径路（ 〃 Ｄ） 7.02mm G4電極４２凹陥部５６の長さ（第３図Ｅ）
20.7mm G3電極４０凹陥部５４の長さ（第３図Ｆ）
20.2mm 電極４０，４２の凹陥部深さ（第３図Ｇ）1.65mm 電極G3の幅 6.99mm その他種々のインライン電子銃の実施例におい
て、電極４０，４２の凹陥部の深さＧは1.30〜
2.80mmの範囲で互いに変えることができる。

第２図ないし第５図の電子銃２６の実施例の
G4電極４２は単一のカツプ型素子として示した
が、例えば２素子から作ることもできる。第６図
および第７図は第１図の電子銃２６の他の実施例
のG4電極１００を示す。このG4電極１００は３
個の開孔１０４，１０６，１０８を持つ板状の第
１の素子１０２とこの第１素子１０２に取付けら
れた管状の第２の素子１１０を含み、第２素子１
１０は突縁１１４で形成されて電子銃のG3電極
（図示せず）に対向する開口部１１２を有する。
第４図のG4電極４２の突縁７２と同様に第７図
のG4電極１００の突縁１１４も中央ビーム径路
より両側ビーム径路において幅が狭い。第２素子
１１０も突縁１１４と共にG4電極１００に大き
な凹陥部１１８を形成する周壁１１６を有する。
この凹陥部１１８は３個の開孔１０４，１０６，
１０８を持つG4電極１００の部分をG3電極の開
孔を持つ部分から後退させる働らきをする。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明によるシヤドーマスク型カラ
ー映像管の部分断面平面図、第２図は第１図の破
線で示す電子銃の１実施例の部分断面側面図、第
３図は第２図の電子銃のG3およびG4電極の断面
平面図、第４図は第３図の線４−４から見たG4
電極の正面図、第５図は第２図の線５−５から見
たG4電極の背面図、第６図は第１図の破線で示
す電子銃の他の実施例のG4電極の軸方向断面図、
第７図は第６図のG4電極の正面図である。 ２２……表示面、２６……電子銃、２８……電
子ビーム、４０，４２，１００……２つの電極、
５４，５６……凹陥部、５８，６０，６２，６
４，６６，６８，１０４，１０６，１０８……イ
ンライン開孔、７０，７２，１１４……周辺突
縁。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 中央ビームと両側の２本のビームから成る３
   本の電子ビームを発生し、これを同一平面上の径
   路に沿い表示面に向つて射出するインライン電子
   銃を有し、その電子銃は、それぞれ分離した３個
   のインライン開孔を有し、互いに離間する２個の
   電極により形成された主集束レンズを含み、上記
   各電極は、また周辺に突縁を有し、２個の電極の
   突縁が互いに対面し、各電極の開孔部が上記突縁
   から後退した凹陥部内にあり、上記電極の少なく
   とも一方の突縁の上記電子ビーム径路を含む平面
   に垂直に測定した幅が、中央ビームの径路におけ
   るより両側ビームの径路において狭いことを特徴
   とするカラー映像管。