JPH0470730B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この発明は陰極線管、特に家庭用テレビジヨン
受像機やカラー表示器に有用な型のカラー陰極線
管と、電子ビームの偏向に起因する集束不良に対
する不感度の高いインライン型電子銃に関する。

〈従来技術および発明の背景〉 インライン型電子銃は、少なくとも２本、好ま
しくは３本の電子ビームを同一平面内に発生し、
これを集束径路に沿つてスクリーン上の微小光点
に導くように設計されたものである。米国特許第
3772554号明細書開示のような形式のインライン
型電子銃では、電子ビーム集束用の主静電集束レ
ンズが、第１および第２の加速集束電極と呼ばれ
る２つの電極間に形成される。これらの電極は底
面が対向する２つのコツプ状部材から成り、その
各底面には各３個の開孔があつて３本の電子ビー
ムを通すと共に、その各電子ビームに対して１個
づつ計３個の独立の主集束レンズを形成する。こ
のような電子銃では、中心ビームに対する外側ビ
ームの静的集中を、普通第１集束電極の外側開孔
に対して第２集束電極の外側電極を変位させるこ
とによつて得ている。

２つの静電集束レンズを用いて著しく大きな主
集束レンズを形成するインライン型電子銃が1983
年４月18日付米国特許出願第485860号明細書に開
示されている。この出願では、陰極から数えて第
３番目と第５番目の電極が互いに電気的に接続さ
れ、第４番目と第６番目の電極が互いに電気的に
接続されている。第５番目と第６番目の電極の対
向部分にはそれぞれ周回突縁部とその内側に引込
んで設けられた各別の３つのインライン開孔があ
り、その周回突縁部は、インライン開孔のインラ
イン方向に長くなつて非点収差集束電界を形成す
る。この電界は、陰極から数えて第１番目と第２
番目の電極によつて形成される非点収差ビーム形
成領域と整合させることもできる。

上述の電子銃を有するカラー映像管の外側電子
ビームの水平ビーム入射位置は、電子銃に印加さ
れる集束電圧の変化に従つて変化することが知ら
れているから、このようなインライン型電子銃は
この集束電圧に対する水平集中の感度をなくする
か少なくとも小さくするように改良することが望
ましい。

1983年１月27日付米国特許願第461584号（特願
昭59−10921号、特開昭59−143241号に対応）明
細書には、インライン型電子銃の集束電圧変化に
対する水平集中感度を低減するための遮蔽グリツ
ド構体が示されている（その第３図）。この遮蔽
グリツド構体では、遮蔽グリツド電極の第１加速
集束電極側に１対の再集中溝孔が形成されてい
る。この再集中溝孔はその遮蔽グリツド電極の２
つの外側開孔の内側にこれに接近して形成され、
その遮蔽グリツド電極と第１加速集束電極の間の
静的ビーム径路を屈折させて、電子銃の主レンズ
内の偏倚屈折を補償する。

1983年５月３日付米国特許願第492044号（特願
昭59−90093号、特開昭59−211947号に対応）明
細書には、集束電圧の変化に対するインライン型
電子銃の感度低域用の他の遮蔽グリツド構体が示
されている。この遮蔽グリツド構体では遮蔽グリ
ツド電極の第１加速集束電極側の外側開孔の周囲
に非対称の凹陥部が形成され、１実施例ではこの
凹陥部が横向きの溝孔になつていて、これが映像
管のスクリーン上に電子ビームの所要強度の中心
部から延びる無用の低強度の尾部すなわちにじみ
として現われる垂直フレアをも低減する。このフ
レアは90°以上の偏向角の映像管では普通である。

後者の２つの特許願明細書に開示された遮蔽グ
リツド構体は、集束電圧の変化に対する外側ビー
ムの水平感度を低減するには充分であるが、容易
かつ安価に製造できるさらに簡単な構造が望まし
い。

〈発明の概要〉 この発明による陰極線管は複数個の陰極と、こ
の陰極と整合するように順次配列されて複数本の
電子ビームをビーム径路に沿つてスクリーン上に
集束する制御グリツド、遮蔽グリツドおよび電子
レンズ手段を含むインライン型電子銃を有し、そ
の遮蔽グリツドが所定の厚さの有効グリツド領域
を有し、その有効グリツド領域内に凹陥部が形成
され、その凹陥部内に複数個の開孔が形成されて
いる。この凹陥部は外側開孔に接近した周回突縁
部によつて包囲されて、外側電子ビーム径路付近
の静電界に影響を与える。

〈発明の開示〉 第１図に矩形カラー陰極線管１０の平面図を示
す。この陰極線管１０は、矩形フエースプレート
パネルすなわちキヤツプ１２と、これに角型フア
ンネル部１６によつて接続された管状のネツク部
１４とを含むガラス製外囲器１１を有する。フエ
ースプレートパネル１２は、表示用フエースプレ
ート１８と、フアンネル部１６に封着される周縁
フランジすなわち側壁２０を有する。フエースプ
レート１８の内面にはモザイク３色蛍光スクリー
ン２２が支持されている。スクリーン２２は、陰
極線管の高周波ラスタ線走査に実質的に垂直な
（第１図の紙面に垂直な）蛍光体の棒縞を有する
線スクリーンであることが望ましいが、公知の点
スクリーンとすることもできる。スクリーン２２
には所定間隔で多数の開孔を有する選色電極すな
わちシヤドーマスク２４が通常の手段によつて着
脱自在に装着されている。ネツク部１４内には第
１図に点線で略示するようにこの発明のインライ
ン型電子銃２６がその中央に装着され、３本の電
子ビーム２８を発生してこれを同一平面上の各別
の集中径路に沿い、マスク２４を通つてスクリー
ン２２に導く。

第１図の陰極線管はそのネツク部１４とフアン
ネル部１６の接合部近傍においてこれを包囲する
ように略示されたヨーク３０のような外部磁気偏
向ヨークを用いるように設計されている。ヨーク
３０は、付勢されたとき、３本のビーム２８に垂
直水平の磁束を印加し、これを水平および垂直に
走査してスクリーン２２上に矩形のラスタを形成
する。零偏向の偏向開始面は第１図にヨーク３０
の中央付近の線Ｐ−Ｐで示されているが、簡単の
ため、偏向域における偏向ビーム径路の実際の曲
がりは示されていない。集束電圧をその最適値か
ら再調整すなわち移動すると、電子銃の集束電圧
対陽極電圧比が変化し、主静電集束レンズの相対
強度すなわち焦点距離が変化し、中央ビームに対
する外側ビームの集中不良を生じる。

この発明の電子銃２６の詳細を第２図に示す。
この電子銃２６は各種電極群が装着された２本の
ガラス支柱３２を含み、その電極群は、同一平面
上に等間隔に配置された３個の陰極（各ビームに
１個ずつ）３４と、ビーム形成域を含む（G1）
制御グリツド電極３６および（G2）遮蔽グリツ
ド電極３８と、主レンズ構体を形成する（G3）
第１集束電極４０、（G4）第２集束電極４２、
（G5）第３集束電極４４および（G6）第４集束
電極４６とをこの順序で含む。G6電極４６には
遮蔽カツプ４８が取付けられている。陰極以外の
全電極は、３本の共面電子ビームが通過する各３
個のインライン開孔を有する。G1グリツド電極
３６とG2グリツド電極３８は互いに平行な板状
部材で、補強と電子ビームへの効果のためのエン
ボスを含むことがある。G1グリツド電極３６は
３つのインライン開孔５０の他にそのG2グリツ
ド電極３８側に各開孔に重なる３つの溝孔５２を
設けることもできる。この溝孔５２の目的は後述
する。各溝孔５２は開孔のインライン配列方向に
対して垂直に長い。主レンズ構体の構成は、上述
の米国特許願第485860号明細書に開示されてい
る。

第２図に示すように、G5電極４４とG6電極４
６との対面する閉塞端部は、それぞれ大型の凹陥
部５４，５６を有している。これら凹陥部５４，
５６はG5電極４４の閉塞端の３つの開孔５８を
含む部分とG6電極４６の閉塞端の３つの開孔６
０を含む部分とをその閉塞端から後退させ、G5
電極４４とG6電極４６の閉塞端の残部は、凹陥
部５４，５６を包囲する突縁部６２，６４をそれ
ぞれ形成している。この両突縁部６２，６４は両
集束電極４４，４６の最も接近した部分である。

第２図に示すようにG4電極４２はG6電極４６
に導線６６を介して電気的に接続され、G3電極
４０はG5電極４４に導線６８によつて電気的に
接続されている。またG3電極４０、G2電極３
８、G1電極３６、陰極３４および陰極ヒータは
各別の導線（図示せず）によつて管球１０のベー
ス１００（第１図参照）に接続され、それぞれ電
気的に励起し得るようになつている。G6電極の
電気的励起は遮蔽カツプ４８とフアンネル１６を
貫通する陽極ボタン（図示せず）に接続された内
部導電被覆との接触によつて得られる。

第２図ないし第５図に電子銃２６のビーム形成
域の一部の詳細を示す。G2電極３８は、G1電極
３６の開孔５０と整合する３つの開孔７２を有す
る有効グリツド領域７０を有する。この有効グリ
ツド領域７０の両側からG2電極３８をガラス支
柱３２に取付けるための１対の固定部材７４が突
出している。有効グリツド領域７０には内部に開
孔７２を形成した横向きの凹陥部７６があり、そ
の凹陥部７６とG2電極３８の有効グリツド領域
７０との間に延びる周回突縁部７８が開孔７２を
包囲している。凹陥部７６と周回突縁部７８とは
中心開孔７２に関して対称であるが、２つの外側
開孔７２に関して非対称である。

推奨実施例では、開孔７２は直径0.64mm、中心
間隔5.08mmで横に並んでいる。凹陥部７６は全長
約12.50mm、最大幅約3.81mmであるが、その最大
幅は中心開孔７２の両側から外側に約3.98mm拡が
つて実質的に矩形状の中心部を形成している。凹
陥部７６の端部は、水平線に対して約30°の角θ
をもつて実質的に３角形をなすが、その３角形の
頂点は外側開孔の中心から約1.168mmの半径の円
弧をなしている。G2電極３８は厚さ約0.71mm、
凹陥部７６は深さ約0.15mmで、周回突縁部７８は
電極の表面と約63°の角φをなしている。

第５図に示すように、電子銃２６のG2電極３
８とG3電極４０との間には静電等電位線８０が
延びている。G2電極３８の凹陥部７６の非対称
形状と深さ並びに外側開孔７２に対する周回突縁
部７８の接近のため、外側電子ビーム近傍の静電
界が影響されて凹陥部７６内の電位線８０が傾斜
し、これによつて外側電子ビームが中央開孔（図
示せず）を通る中央電子ビームに向つて水平に集
中する。凹陥部７６が垂直方向に対称で、開孔７
２と周回突縁部７８の垂直間隔が比較的大きいた
め、３本の電子ビームは垂直方向の攪乱を受けな
い。従つて、凹陥部７６は集束電圧の変化に対し
て外側電子ビームの水平集中にのみ影響する。上
記の影響の強さは、凹陥部の深さと３角形端部の
半径に支配され、その半径が大きいほど周回突縁
部７８が外側開孔７２から離れ、凹陥部が深いほ
ど電子ビームの径路に影響する筈である。偏向角
が90°以下の電子管では垂直フレヤは問題になら
ないが、偏向角が90°を超える電子管ではG1電極
３６の開孔５０のG2電極３８側に溝孔５２を重
畳することによつて垂直フレヤが減少する。この
ような構成は、上述の米国特許願第485860号に開
示されている。

この発明のG2電極の第２の実施例を第６図の
インライン型２電位電子銃１２６で示す。電子銃
１２６は電極群を装着した２本のガラス支柱１３
２（一方のみ図示）を有し、その電極群は３個の
等間隔の共面陰極構体１３４（各ビームに１個ず
つ）と、（G1）制御グリツド電極１３６と、
（G2）遮蔽グリツド電極１３８と、（G3）第１加
速集束電極１４０と、（G4）第２加速集束電極１
４２とをこの順序で含む。陰極以後の全電極は３
本の共面電子ビームの通る３つのインライン開孔
を有する。電子銃１２６の主静電集束レンズは
G3電極１４０とG4電極１４２の間に形成され
る。G3電極１４０は開口端を互いに接合した２
つのカツプ状素子１４４，１４６で形成され、
G4電極１４２もカツプ状であるが、その開口端
は遮蔽カツプ１４８で閉塞されている。G4電極
１４２のG3電極１４０と面する部分には３つの
インライン開孔１５０があり、その外側の２つ
は、G3電極１４０の対応する開孔１５２からわ
ずかに外側に偏倚している。この偏倚は中央電子
ビームに向つて外側電子ビームを集中するためで
あるが、G3電極１４０の集束電圧がヨーク（図
示せず）取付時に用いる最適集束電圧から著しく
変ると集中不良を生じる。G3電極１４０のG2電
極１３８側にはG1電極１３６の開孔１５６とG2
電極１３８の開孔１５８に一致する３つの開孔１
５４がある。

この電子銃１２６の第２の実施例では、G2電
極１３８の開孔１５８が直径約0.64mm、中心間隔
6.60mmで横に並んでいる。このG2電極１３８は、
凹陥部１７６の長さと幅をこの２電位電子銃１２
６の電子ビーム開孔の水平間隔の増大に対応して
大きくした以外、前述のG2電極３８と同様であ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明を実施したシヤドーマスク陰
極線管の部分破断平面図、第２図は第１図に点線
で示した電子銃の部分断面図、第３図はこの発明
による第２図の電子銃のG2電極の拡大平面図、
第４図は第３図の線４−４に沿う断面図、第５図
はこの発明による第２図の電子銃のG2電極とG3
電極の拡大断面図、第６図はこの発明のG2電極
を用いた電子銃の第２の実施例の部分破断図であ
る。 １０……陰極線管、２２……画像スクリーン、
２６……電子銃、２８……電子ビーム、３４……
陰極、３６……制御グリツド、３８……遮蔽グリ
ツド、４０，４２，４４，４６……電子レンズ手
段、５０，５８，５６……開孔、７０……有効グ
リツド領域、７２……開孔、７８……周回突縁
部、８０……静電界。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 画像スクリーンと、この画像スクリーンにビ
   ーム径路に沿つて３本の電子ビームを投射するイ
   ンライン型電子銃とを含み、 上記電子銃は、上記電子ビームを発生する３個
   の陰極と、この陰極と整列して順次配列されて上
   記電子ビームを集束する制御グリツド、遮蔽グリ
   ツドおよび電子レンズ電極とを含み、 上記制御グリツドおよび電子レンズ電極はそれ
   ぞれ上記電子ビームが通過する一平面内に配置さ
   れた開孔を有し、 上記遮蔽グリツドは所定の厚みをもつた有効グ
   リツド領域と、該有効グリツド領域内に上記制御
   グリツドの開孔と整列して形成された３個の開孔
   を有すると共に、上記有効グリツド領域内に横向
   きに配置された凹陥部を有し、 上記凹陥部内に上記３個の開孔が形成されてお
   り、またこの凹陥部はその形状と一致した形状の
   周回突縁部であつて、上記３個の開孔のうちの中
   央の開孔から比較的離れており、上記３個の開孔
   のうちの外側の開孔のすぐ近くにある上記周回突
   縁部によつて包囲されており、それによつて上記
   外側開孔を通過する電子ビームが中央電子ビーム
   に向けて集中するように上記凹陥部内の外側の電
   子ビーム径路近傍の静電位線を傾斜させることを
   特徴とする陰極線管。