JPH0141673Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は車両のパワーユニツト装置に関する。

従来この種装置として、特開昭57−118968号公
報により車体に緩衝器を介して懸架されるスイン
グアーム上にエンジンと駆動輪の車軸を備える伝
動ケースとを一体的に組付けたパワーユニツトを
クツシヨン材を介して取り付けるものは知られ、
この場合該ユニツトはその前部とその後部の車軸
とで夫々筒状のクツシヨン材を介して該スイング
アームに取り付けられるを一般としたもので、こ
れによれば車両の加減速時における水平方向振動
や路面の凹凸を乗り越える際の衝撃の水平方向分
力に対してある程度の緩衝作用は得られるが、十
分な緩衝作用を得るためには該筒状のクツシヨン
材を軟質で肉厚のものにする必要があり、これに
よれば該ユニツトの自由度が大きくなる不都合が
ある。

本考案はそのような不都合を解消した装置を提
供することをその目的とするもので、車体に緩衝
器を介して懸架されるスイングアーム上にパワー
ユニツトをその車軸の略直下に位置させた支軸で
回動自在に支持させると共に、該ユニツトを該ス
イングアームに該支軸を中心とする円の接線方向
に伸縮自在のクツシヨン材を介して支持させ、該
クツシヨン材の伸縮方向に該ユニツトのエンジン
の主加振力方向を略一致させるようにしたことを
特徴とする。

以下本考案を図示の実施例に付き説明する。

図面で１は前輪２と駆動輪である左右１対の後
輪３，３とを備える三輪車の車体を示し、該車体
１は前部車体１ａと後部車体１ｂとに分離構成さ
れ、該両車体１ａ，１ｂをローリングジヨイント
１ｃを介して連結し、該後部車体１ｂに緩衝器４
を介して懸架されるスイングアーム５を設け、該
スイングアーム５上にエンジン６と該後輪３，３
の車軸７を備える伝動ケース８とを一体的に組付
けたパワーユニツトをクツシヨン材１０を介して
取り付けて、全体としてバンク式三輪車に構成し
た。

ここで該スイングアーム５は、該車体１の後方
にのびる略平行の左右一対のアーム部材５ａ，５
ａと、該両アーム部材５ａ，５ａを連結する前後
一対のクロスメンバ５ｂ，５ｂとから成り、該ス
イングアーム５を該両アーム部材５ａ，５ａの前
端のヒンジ部５ｃ，５ｃにより前記後部車体１ｂ
に枢着し、該両アーム部材５ａ，５ａの略中間部
で該車体１ｂに夫々緩衝器４，４を介して懸架す
るようにした。又、前記パワーユニツト９は、そ
の前部のエンジン６と、該エンジン６の下部から
後方にのびる伝動ケース８とから成り、該伝動ケ
ース８の後端部に前記車軸７を挿設すると共に、
該ケース８の上部にエアークリーナー１１とその
後方にマフラー１２とを配置するものに構成され
る。

以上は従来のものと特に異ならないが、本考案
によれば該スイングアーム５に該ユニツト９を該
車軸７の略直下に位置させた支軸１３で回動自在
に支持させると共に、該ユニツト９を該スイング
アーム５に該支軸１３を中心とする円の接線方向
に伸縮自在のクツシヨン材１０を介して支持さ
せ、該クツシヨン材１０の伸縮方向に該ユニツト
９のエンジン６の主加振力方向Ｆを略一致させる
ようにしたもので、これを図示のものに付き詳述
するに、該ユニツト９は該車軸７の略直下方向に
のびるブラケツト１４を左右１対に備え該ブラケ
ツト１４，１４に設けた取り付け穴１４ａ，１４
ａで該スイングアーム５の両アーム部材５ａ，５
ａに夫々ボルトから成る支軸１３により回動自在
に支持させるものとし、更に該ユニツト９の前部
下面に該エンジン６の主加振力方向Ｆと略一致し
且つ該支軸１３を中心とする円の接線方向にのび
るガイドロツド１５を固設すると共に、該スイン
グアーム５の前記クロスメンバ５ｂに該ロツド１
５の軸線方向に直交する受座１６を固設して、該
受座１６に該ロツド１５を挿通し、該ロツド１５
に該受座１６を該ロツド１５の軸線方向上下から
把持するように前記クツシヨン材１０を施して、
該クツシヨン材１０に該接線方向の伸縮動作が与
えられるようにし、且つこの伸縮方向と該エンジ
ン６の主加振力方向Ｆとが略一致されるようにし
た。

尚、該クツシヨン材１０を該ユニツト９の支軸
１３に近ずけて配置させた場合、該クツシヨン材
１０を該支軸１３から遠ざけて配置させる場合に
比べ該クツシヨン材１０を比較的小形で硬質のも
のにすることができるので、該クツシヨン材１０
の取り付けスペースを小さくでき、又硬質とする
ことにより該クツシヨン材１０の耐久性向上に有
効である。

次にその作動を説明する。

車両の走行に際し、路面の凹凸等によりパワー
ユニツト９に車軸７を介して作用する衝撃の垂直
方向の分力は、スイングアーム５の緩衝器４，４
により吸収されるもので、この点は従来のものと
異ならないが、従来のものの場合その水平方向の
分力はパワーユニツトの水平方向の移動によるク
ツシヨン材の水平方向の伸縮動作で吸収せざるを
得ないもので上記した不都合を生ずる。

これに対し本考案によれば、水平方向の分力に
より該ユニツト９は、該ユニツト９に対し該車軸
７の略直下の支軸１３を中心とする回転運動を生
じ、この運動は該支軸１３を中心とする円の接線
方向に伸縮自在のクツシヨン材１０で受けられ、
かくて該水平方向の分力は該クツシヨン材１０に
より吸収される。更に該車両の加減速による水平
の振動も該クツシヨン材１０により吸収され、又
該ユニツト９のエンジン６の振動もその主加振力
方向Ｆと該クツシヨン材１０の伸縮方向とが略一
致することから該クツシヨン材１０により吸収さ
れる。

尚、図示のものでは該車軸１３を介しての該ス
イングアーム５へのエンジン振動の伝達を防止し
得るように該支軸１３をラバーブツシユ１７を介
して該スイングアーム５に支持させるようにし
た。ここで該ブツシユ１６は路面の凹凸等による
衝撃を直接吸収する必要がなく、該ブツシユ１６
を比較的硬質のものにすることができるので、該
ユニツト９の自由度が大きくなり車両の走行安定
性が悪化するようなことがない。

このように本考案によれば、車体に緩衝器を介
して懸架されるスイングアームにパワーユニツト
をその車軸の略直下に位置させた支軸で回動自在
に支持させると共に、該支軸を中心とする円の接
線方向に伸縮自在のクツシヨン材を介して支持さ
せ、該クツシヨン材の伸縮方向にエンジンの主加
振力方向を略一致させるようにしたもので、該エ
ンジンの振動や車両の走行時の衝撃を確実に吸収
することができるばかりでなく、該ユニツトの動
きは該支軸を中心とする回動方向の動きのみに規
制され有利である等の効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のユニツト装置を塔載した三輪
車の側面図、第２図はその背面図、第３図は要部
の分解斜視図、第４図は第２図の−線截断側
面図、第５図はその−線截拡大背面図であ
る。 １……車体、３，３……後輪（駆動輪）、４…
…緩衝器、５……スイングアーム、６……エンジ
ン、７……車輪、８……伝動ケース、９……パワ
ーユニツト装置、１０……クツシヨン材、１３…
…支軸、Ｆ……エンジンの主加振力方向。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車体に緩衝器を介して懸架されるスイングアー
   ム上に、エンジンと駆動輪の車軸を備える伝動ケ
   ースとを一体的に組付けたパワーユニツトをクツ
   シヨン材を介して取り付けるものにおいて、該ス
   イングアームに該ユニツトを該車軸の略直下に位
   置させた支軸で回動自在に支持させると共に、該
   ユニツトを該スイングアームに該支軸を中心とす
   る円の接線方向に伸縮自在のクツシヨン材を介し
   て支持させ、該クツシヨン材の伸縮方向に該ユニ
   ツトのエンジンの主加振力方向を略一致させるよ
   うにしたことを特徴とする車両のパワーユニツト
   装置。