JPH0139099Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、内燃機関を点火する点火装置を駆動
する為に、機関に取付けられる磁石発電機の固定
子側に配置される内燃機関点火装置用発電子に関
するものであり、特に小形の汎用内燃機関に用い
るのに好適なものである。

［従来技術］ 内燃機関用点火装置として、機関の回転と同期
して電圧を発生するエキサイタコイルを電源とし
て該エキサイタコイルから点火コイルの１次側に
供給される電流を断続器または半導体スイツチに
より制御して点火動作を行わせるようにしたもの
が用いられている。小形の汎用内燃機関に用いる
点火装置では、スペースの節約と重量の軽減とを
図るためにエキサイタコイルと点火コイルとを磁
石発電機内に設ける所謂ウイザータイプの点火装
置が用いられている。従来広く用いられているこ
の種の点火装置では、コの字形の鉄心に点火コイ
ルの１次コイル及び２次コイルを巻回して構成し
た発電子と別の鉄心にエキサイタコイルを巻回し
て構成した発電子とを磁石発電機の固定子側に配
置していたが、この様な構造では点火コイルの鉄
心とエキサイタコイルの鉄心とを別個に必要とす
るため鉄心及びボビン等の部品点数が多くなつて
組立て工数が多くなり、また両コイルの重量及び
両コイルが占めるスペースが大きくなつて小形軽
量化の要求に充分応えられない欠点があつた。そ
こで共通の鉄心に点火コイルとエキサイタコイル
とを巻回することが考えられた。この種の発電子
では、高電圧を発生する点火コイルは高圧コード
との接続を容易に行えるように磁石回転子から離
れた位置に配置され、出力電圧の低いエキサイタ
コイルは磁石回転子側に配置される。

［考案が解決しようとする課題］ 高電圧を発生する点火コイルとエキサイタコイ
ルとの間の絶縁を考慮すると、エキサイタコイル
のコイル端部と外部へ引き出す引出し線との接続
は、点火コイルからできる限り離れた磁石回転子
側のエキサイタコイルの端部付近で行なうことに
なる。そして発電子への外部コードの接続を容易
に行えるようにするためには、各コイルの接続部
は高圧コードが接続される点火コイル側の端部に
配置されるのが好ましい。そのため磁石回転子側
のエキサイタコイルの端部付近から、磁石回転子
に接触させることなく、しかも点火コイルからの
高電圧の影響を受けないようにして、エキサイタ
コイルからの引出し線を所定の引出部まで引回す
ためには、絶縁部材を介して引出し線をしつかり
と固定するための面倒なクランプ処理が必要にな
る。

面倒なクランプ処理を避け、しかも磁石回転子
と引出し線との接触を確実に防止するために、エ
キサイタコイルからの引出し線を点火コイルに接
続される高圧コードが接続される側に延ばした状
態で、引出し線を含めて発電子をケース内に収納
するか、またはモールド処理を施すことが考えら
る。しかしながら、引出し線を含めて発電子をケ
ース内に収納するためには、点火コイルの高電圧
から引出し線を絶縁するためにケース内に絶縁隔
壁を設ける必要が生じ、発電子が大型化する問題
がある。また注型モールドやケースモールドを行
う場合には、点火コイルからの絶縁のためにエキ
サイタコイルからの引出し線を点火コイルから引
離した状態でモールドを施す必要があり、そのた
めにモールド型やモールド・ケースに複雑な工夫
を要する。

本考案の目的は、エキサイタコイルと点火コイ
ルとを共通の鉄心に巻装してしかも簡単な構造で
エキサイタコイルからの端子の導出を行つた内燃
機関点火装置用発電子を提供することにある。

［課題を解決するための手段］ 本考案は、磁石回転子に対向する磁極部を有す
る鉄心と、エキサイタコイル巻回部と該エキサイ
タコイル巻回部に隣接する点火コイル巻回部とを
一体に有する胴部と該胴部のエキサイタコイル巻
回部側の一端に配設された第１の鍔部と前記点火
コイル巻回部の前記エキサイタコイル巻回部側の
一端に該点火コイル巻回部とエキサイタコイル巻
回部との間を仕切るように設けられた第２の鍔部
とを一体に有して前記エキサイタコイル巻回部を
前記磁石回転子側に向けて前記胴部が前記鉄心に
嵌着されているボビンと、前記ボビンの前記エキ
サイタコイル巻回部に巻回されたエキサイタコイ
ルと、前記点火コイル巻回部に巻装された点火コ
イルとを備えた内燃機関点火装置用発電子を対象
とする。本考案においては、前記ボビンの胴部内
及び前記第１の鍔部内に埋設されて該胴部内を軸
線方向に伸び一端が前記第１の鍔部から外部に突
出し他端が前記点火コイル巻回部の前記第２の鍔
部が設けられた端部とは反対側の端部側から外部
に突出しているエキサイタコイル用外部導出端子
導体が設けられている。

［実施例］ 以下添附図面を参照して本考案の実施例を説明
する。

第１図乃至第９図は本考案の一実施例を示した
もので、第１図において１は内燃機関の出力軸に
取付けられた回転体１ａに永久磁石１ｂを取付け
た公知の磁石回転子であり、この回転子の外周部
には周方向に所定の間隔をあけて交互に異なる極
性の磁極が現れている。２は本考案の発電子で、
この発電子は略Ｕの字形に形成された鉄心３と、
該鉄心３の一方の脚部３ａに嵌装されたコイルユ
ニツト４とからなつている。鉄心３はその両端に
磁極部３Ａ及び３Ｂを有し、これらの磁極部が磁
石回転子１の磁極に所定のギヤツプを介して対向
するように位置決めされて図示しない機関のケー
ス等に設けられた固定子取付け部にボルト止めさ
れている。

第２図乃至第４図に示すように、本実施例のコ
イルユニツト４は、ボビン５と、該ボビンに巻回
されたエキサイタコイル６及び点火コイル７と、
ボビン５に取付けられる側板８と、エキサイタコ
イル６の始端部及び終端部が接続される１対の端
子導体９及び１０とを備えている。更に詳細に説
明すると、ボビン５は第５図に示したようにエキ
サイタコイル巻回部５ａと、該エキサイタコイル
巻回部に隣接する点火コイル巻回部５ｂと側板取
付け部５ｄ、胴部５Ａの一端に設けられた第１の
鍔部５Ｂと、点火コイル巻回部５ｂのエキサイタ
コイル巻回部５ａ側の一端に両コイル巻回部間を
仕切るように設けられた第２の鍔部５Ｃとを一体
に有している。このボビンの胴部５Ａの肉厚部内
及び第１の鍔部５Ｂの肉厚部内には、略コの字形
に形成されたエキサイタコイル用外部導出端子導
体９及び１０が埋設されている。これらの端子導
体９及び１０は、ボビンの周方向に180度の角度
間隔をおいて配置されている。両端子導体９及び
１０は胴部５Ａ内を軸線方向に伸びていてそれぞ
れの一端９ａ及び１０ａが第１の鍔部５Ｂの外側
から外部に突出し、他端９ｂ及び１０ｂは点火コ
イル巻回部５ｂの他端付近から外部に突出してい
る。

第６図に示すようにボビン５の第２の鍔部５Ｃ
は対称位置に三角状部５C₁を有し、該三角状部
の先端に後記する側板の係止腕部を弾発的に嵌合
させる溝５C₂が形成されている。

ボビン５の側板取付け部５ｄに取付けられる側
板８は第７図乃至第９図に示したように、ボビン
の胴部の側板取付け部５ｄの外周に嵌合する環状
の基部８ａを有し、該基部８ａに連続して鍔部８
ｂ，８ｃが形成されている。鍔部８ｂの両端の対
称位置には点火コイルの１次コイルの巻き始めに
接続されたリード状の端子導体を外部に導出する
ための溝８ｄ，８ｅが形成されている。また基部
８ａの上記溝８ｄ，８ｅに対して90度の角度間隔
を有する位置を貫通させて、エキサイタコイルの
両端に接続されたリード状のエキサイタコイル用
外部導出端子導体９，１０を外部に導出するため
の孔８ｆ，８ｇが形成されている。鍔部８ｃの一
端には筒状の高圧ケーブル接続部８ｈが設けら
れ、該接続部８ｈ内に点火コイルの２次コイルの
巻き終り端部に接続される端子金具が取付けら
れ、接続部８ｈの開口端から図示しない高圧ケー
ブルの端部が該接続部内に圧入されて該高圧ケー
ブルの心線が端子金具に接続されるようになつて
いる。

鍔部８ｂ，８ｃの端部からボビンの第２の鍔部
５Ｃ側に突出するように係止腕部８ｉ，８ｊが設
けられ、これらの係止腕部８ｉ，８ｊの先端部に
は、弾力性をもたせるように割を入れた截頭円錘
状の係止部８ｍ，８ｎが形成されている。

また第９図に示すように、側板８の基部側面の
溝８ｄ，８ｅの底部に略Ｔ字形の係止溝８ｐが設
けられ、ボビンの胴部の点火コイル巻回部５ｂの
端部に隣接する位置に設けられた略Ｔ字形の突起
５ｐが係止溝８ｐに弾発的に嵌合して側板８を係
止し得るようになつている。

上記側板８はその基部８ａをボビンの胴部の側
板取付け部５ｄの外周に嵌合させて突起５ｐを係
止溝８ｐに嵌合させるとともに、係止腕８ｉ，８
ｊの先端を第２の鍔部５Ｃの溝５C₂に弾発的に
嵌合させることにより、ボビン５に取付けられ
る。

ボビンの胴部のエキサイタコイル巻回部５ａに
はエキサイタコイル６が巻回され、該エキサイタ
コイルの始端部及び終端部はそれぞれ外部導出端
子導体９及び１０の端部９ａ及び１０ａに巻きつ
けられて接続されている。

点火コイルは１次コイル７ａと該１次コイルの
外周に同心的に巻回された２次コイル７ｂとから
なつているが、この点火コイルは別の円筒状のボ
ビンに１次コイルを内側にして予め巻回され、該
予め巻回された点火コイルは側板８を取付ける前
にボビン５の胴部５Ａの点火コイル巻回部５ｂに
嵌装される。このときエキサイタコイルコイル用
外部導出端子導体９及び１０の端部９ｂ及び１０
ｂは胴部５Ａの軸線方向に指向させておき、側板
８を取付けた際に両端子導体９及び１０の端部９
ｂ及び１０ｂが側板の孔８ｆ及び８ｇを貫通して
外部に導出されるようにしておく。点火コイルの
１次コイルの巻き始めはリード状の端子１２に接
続され、該リード状の端子１２は側板の溝８ｅま
たは８ｄ（本実施例では溝８ｅ）を通して外部に
導出される。また１次コイル７ａの巻き終り端部
は２次コイルの７ｂの巻き始めに接続され、２次
コイルの巻き終り端部７１は第２図に示すように
高圧ケーブル接続部８ｈに設けられた端子金具１
３に接続されている。

上記のようにボビン５に各コイルを巻装し、側
板８を取付けた後、第４図に鎖線で示したように
コイルユニツト４全体が絶縁性の樹脂１４により
モールドされる。そしてこのコイルユニツト４は
エキサイタコイル側の端部を磁石回転子側に向け
た状態で鉄心３をそのボビンの胴部５Ａの内側に
嵌合させることにより鉄心３に取付けられる。

上記実施例においては、ボビンの胴部の断面形
状を略正方形状としたが、この胴部は鉄心を嵌合
させ得る断面形状を有していればよく、断面が円
形の鉄心を用いる場合にはボビンの胴部を円筒状
に形成することができる。

上記の実施例ではエキサイタコイル用外部導出
端子導体を側板に設けた孔８ｆ，８ｇを通して外
部に導出しているが、これらの孔を溝で置換える
こともできる。

上記の実施例では、ボビンに点火コイルを嵌装
した後に該ボビンの端部に側板８を取付けるよう
にして、点火コイルを別工程で巻回し得るように
したが、ボビンに予め側板（鍔部）を一体に設け
ておいて、ボビンを巻線機にかけて該ボビンに直
接点火コイルを巻回するようにしてもよい。この
場合、エキサイタコイル用外部導出端子導体９，
１０の他端はボビンの点火コイル巻回部付近の他
端付近から外部に突出すればよいので、該エキサ
イタコイル用外部導出端子導体をボビンに一体に
設けた側板の内部にも埋設して該側板の端面から
外部に導出させるようにしてもよい。

上記の実施例においては、エキサイタコイル用
外部導出端子導体を１対設けているが、エキサイ
タコイルの巻き始めまたは巻き終りを鉄心に接地
するような場合には、該エキサイタコイル用外部
導出端子導体を１個だけ設けて、該外部導出端子
導体の一端にエキサイタコイルの少なくとも一端
（例えば非接地側端部）を接続する。またエキサ
イタコイルにタツプを設けるような場合には、２
以上のエキサイタコイル用外部導出端子導体を設
けることができる。従つて本考案において、エキ
サイタコイル用外部導出端子導体の数は任意であ
る。

［考案の効果］ 以上のように、本考案によれば、エキサイタコ
イル用外部導出端子導体をボビンの胴部内及び第
１の鍔部内に埋設し、エキサイタコイル用外部導
出端子導体の一端を第１の鍔部から外部に突出さ
せてエキサイタコイルに接続し且つ他端を点火コ
イル巻回部の第２の鍔部が設けられた端部とは反
対側の端部側から外部に突出させるようにしたの
で、従来行われていたエキサイタコイルからの引
出し線と磁石回転子との接触防止及び点火コイル
からの絶縁を考慮した面倒なクランプ処理を必要
とせずに、エキサイタコイルへの電気的接続を行
なうための接続部を点火コイル側の端部に配置す
ることができる。また発電子をケースに収納する
場合でも、コイルの外部を引回される引出し線が
存在しないため、絶縁隔壁を備えた大型で複雑な
構成のケースを用いる必要がなく、小型の発電子
を提供することができる。さらにモールドを行な
う場合でも、モールド型等に特別な工夫を要する
ことなく、簡単にモールド処理を施すことができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第９図は本考案の一実施例を示した
もので、第１図は本考案の発電子を磁石回転子と
組合せた状態を示した正面図、第２図は同実施例
の発電子の要部の正面図、第３図は第２図の右側
面図、第４図は第３図の−線断面図、第５図
は同実施例で用いるボビンの断面図、第６図は同
ボビンの半部側面図、第７図及び第８図はそれぞ
れ同実施例で用いる側板の正面図及び左側面図、
第９図は同側板をボビンの胴部に取付けた状態を
示した右側面図である。 １……磁石回転子、２……内燃機関点火装置用
発電子、３……鉄心、４……コイルユニツト、５
……ボビン、５ａ……エキサイタコイル巻回部、
５ｂ……点火コイル巻回部、５ｄ……側板取付け
部、５Ａ……胴部、５Ｂ……第１の鍔部、５Ｃ…
…第２の鍔部、６……エキサイタコイル、７……
点火コイル、８……側板、８ｆ，８ｇ……端子導
体導出用の孔、９，１０……エキサイタコイル用
外部導出端子導体。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 磁石回転子に対向する磁極部を有する鉄心と、 エキサイタコイル巻回部と該エキサイタコイル
   巻回部に隣接する点火コイル巻回部とを一体に有
   する胴部と該胴部のエキサイタコイル巻回部側の
   一端に配設された第１の鍔部と前記点火コイル巻
   回部の前記エキサイタコイル巻回部側の一端に該
   点火コイル巻回部とエキサイタコイル巻回部との
   間を仕切るように設けられた第２の鍔部とを一体
   に有して前記エキサイタコイル巻回部を前記磁石
   回転子側に向けて前記胴部が前記鉄心に嵌着され
   ているボビンと、 前記ボビンの前記エキサイタコイル巻回部に巻
   回されたエキサイタコイルと、 前記点火コイル巻回部に巻装された点火コイル
   とを備えてなる内燃機関点火装置用発電子におい
   て、 前記ボビンの胴部内及び前記第１の鍔部内に埋
   設されて該胴部内を軸線方向に伸び、一端が前記
   第１の鍔部から外部に突出して前記エキサイタコ
   イルに接続され、他端が前記点火コイル巻回部の
   前記第２の鍔部が設けられた端部とは反対側の端
   部側から外部に突出しているエキサイタコイル用
   外部導出端子導体が設けられていることを特徴と
   する内燃機関点火装置用発電子。