JPH0129199Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、高速艇として好適の水ジエツト推進
船に関する。

従来の水ジエツト推進船としては第１〜３図に
示すようなものがあり、第１図はその航走状態を
示す縦断面図、第２図はその高速航走状態を示す
縦断面図、第３図はその波浪中の航走状態を示す
縦断面図である。

第１図に示すように、この水ジエツト推進船で
は、船底に開口している外水吸入口１より海水が
吸入され、ダクト１ａ内に装着されたインペラ３
へ導かれる。

そして、インペラ３で駆動された海水は、船尾
に設けられた水ジエツト推進用ノズル１ｂよりジ
エツト水として後方へ噴出され、これによりこの
水ジエツト推進船の推進が行なわれる。

なお、図中の符号２は水面を示し、４はインペ
ラ３を作動させる主機関を示している。

このような水ジエツト推進船は、水面２がおだ
やかな場合、第２図に示すような高速航走状態に
なり、その際船体は水面２から上向きの力を受け
て浮上する。このように船体が浮上すると、水か
ら受ける船体の抵抗は減少するので、主機関４の
所要馬力の低減を図ることができる。

しかしながら上述のごとき従来の水ジエツト推
進船では、高速航走時に船体の浮上に伴い外水吸
入口１から水面２の上方の空気を吸込む恐れがあ
る。このような空気の吸込み現象を起こすと、イ
ンペラ３の効率低下を生じたり、主機関４の負荷
変動や過回転を招いたりするという問題がある。

また、第３図に示すように、この水ジエツト推
進船が波浪中を高速で航走する場合は、波による
船体運動と水面２の上下運動とが重なつて、外水
吸入口１が水面２の上方へ出ることがある。この
状態ではダクト１ａ内への水の吸入が止まるの
で、高速航走は行なえなくなり、減速を余儀なく
される。

本考案は、上述のような問題点の解決をはかろ
うとするもので、外水吸入口からの空気の吸込み
を防止しながら、船底下方から外水の吸入を積極
的に行なえるようにして、波浪中でも十分に高速
航走を行なえるようにした、水ジエツト推進船を
提供することを目的とする。

このため、本考案の水ジエツト推進船は、船底
に設けられた外水吸入部と、同外水吸入部から船
内を通り船尾部へ至るダクトと、同ダクトの後端
に接続された水ジエツト推進用ノズルと、上記ダ
クト内に装着された水駆動用インペラとをそな
え、上記外水吸入部が、船底面に開口する水吸込
み口と、同水吸込み口の左右の外側縁に沿いそれ
ぞれ下方へ突設された空気吸込み防止用フイン
と、これら左右のフインを相互に連結して配設さ
れた案内翼とで構成されていることを特徴として
いる。

以下、図面により本考案の一実施例としての水
ジエツト推進船について説明すると、第４図はそ
の要部を示す縦断面図、第５図はその横断面図、
第６図は第５図に対応させてその変形例を示す横
断面図である。

第４，５図に示すように、本考案の水ジエツト
推進船は、船底面に水吸込み口１１ａを形成され
ており、この水吸込み口１１ａの左右の外側縁に
沿い下方へ突設された空気吸込み防止用フイン
５，５がそなえられている。

そして、これら左右のフイン５，５を相互に連
結するように、案内翼６が配設されている。

このようにして、水吸込み口１１ａと、フイン
５，５および案内翼６とで、外水吸入部１１が構
成されている。

また外水吸入部１１から船内を通り船尾部へ至
るダクト１ａと、同ダクト１ａの後端に接続され
た水ジエツト推進用ノズル１ｂと、上記ダクト１
ａ内に装着された水駆動用インペラ３とがそなえ
られている。

ところで、インペラ３が作動しているときは、
水吸込み口１１ａ付近の圧力が周囲の圧力と比べ
非常に低いので、フイン５，５が設けられていな
ければ、たとえ水吸込み口１１ａが水面２の下方
にあつても、水吸込み口１１ａの没水深度が浅い
場合は、ダクト１ａ内へ水面２の上方から空気を
吸入する恐れがある。

これを防止するため、本考案ではフイン５，５
が設けられているのであり、これらのフイン５，
５は水面２から水吸込み口１１ａに吸込まれる空
気の通り道をさえぎるように十分な深さまで垂下
されている。また水吸込み口１１ａに吸込まれよ
うとする空気の通り道は、水吸込み口１１ａの両
側部からやや前方にかけて存在するので、フイン
５の長さも、その空気の流入を防止できるような
寸法を有している。

さらに、左右のフイン５，５を連結し、水を水
吸込み口１１ａへ案内するように、３枚の案内翼
６が所要の相互間隔をあけて配設されている。

第６図に示す本考案の水ジエツト推進船の変形
例では、案内翼６の横断面形状が、下方へ凸にな
るように、弯曲して形成されている。

本考案の水ジエツト推進船は上述のごとく構成
されているので、この水ジエツト推進船が高速航
走状態で船体が浮上する場合や、波浪中を高速航
走する場合においても、フイン５，５が空気の通
り道を遮断しているので、水吸込み口１１ａへの
空気の吸入を十分に防止することができる。

また、案内翼６の作用により、海水の流れを整
流して水吸込み口１１ａへ送り込ませ、インペラ
３の効率を向上させることができる。

さらに、案内翼６が左右のフイン５，５を連結
するように配設されているので、フイン５，５の
強度を増す効果もある。

以上詳述したように、本考案の水ジエツト推進
船によれば、船底に設けられた外水吸入部と、同
外水吸入部から船内を通り船尾部へ至るダクト
と、同ダクトの後端に接続された水ジエツト推進
用ノズルと、上記ダクト内に装着された水駆動用
インペラとをそなえ、上記外水吸入部が、船底面
に開口する水吸込み口と、同水吸込み口の左右の
外側縁に沿いそれぞれ下方へ突設された空気吸込
み防止用フインと、これら左右のフインを相互に
連結して配設された案内翼とで構成されるという
簡素な構造で、喫水が浅くなるような高速航走時
や波浪中の航走時においても、左右のフインによ
り水ジエツト推進用のダクト内への空気吸込みが
防止されて、インペラの空転による効率低下や主
機関への悪影響が回避されるのであり、さらに左
右のフイン相互を連結する案内翼により、インペ
ラへ向かう流れの整流効果が得られるほか、フイ
ンの強度向上にも寄与しうるのである。

【図面の簡単な説明】

第１〜３図は従来の水ジエツト推進船を示すも
ので、第１図はその航走状態を示す縦断面図、第
２図はその高速航走状態を示す縦断面図、第３図
はその波浪中の航走状態を示す縦断面図であり、
第４〜６図は本考案の一実施例としての水ジエツ
ト推進船を示すもので、第４図はその要部を示す
縦断面図、第５図はその横断面図、第６図は第５
図に対応させてその変形例を示す横断面図であ
る。 １……外水吸入口、１ａ……ダクト、１ｂ……
水ジエツト推進用ノズル、２……水面、３……イ
ンペラ、４……主機関、５……空気吸込み防止用
フイン、６……案内翼、１１……外水吸入部、１
１ａ……水吸込み口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 船底に設けられた外水吸入部と、同外水吸入部
   から船内を通り船尾部へ至るダクトと、同ダクト
   の後端に接続された水ジエツト推進用ノズルと、
   上記ダクト内に装着された水駆動用インペラとを
   そなえ、上記外水吸入部が、船底面に開口する水
   吸込み口と、同水吸込み口の左右の外側縁に沿い
   それぞれ下方へ突設された空気吸込み防止用フイ
   ンと、これら左右のフインを相互に連結して配設
   された案内翼とで構成されていることを特徴とす
   る、水ジエツト推進船。