JPH0128976Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、プレス機械内搬送装置、特に例え
ばシヤープレス或いはブランキングプレスなどの
プレス機械で、コイル材を連続的に供給しつつ、
１ストローク２枚取りで切断するのに好適な搬送
装置に関する。

〔従来の技術〕

従来のプレス機械内搬送装置としては例えば第
３〜５図に示すようなものがある（特開昭56−
45233号公報）。図中１は下型、２は上型である。

下型１には、第１切断下刃３と第２切断下刃４
が設けられ、可動部である上型２には、前記の第
１、第２の各切断下刃３，４とそれぞれに対をな
す第１切断上刃５と第２切断上刃６が設けられて
いる。Ａは前記第１の下刃３と上刃５との対を形
成する第１切断刃、Ｂは前記第２の下刃４と上刃
６との対を形成する第２切断刃である。

Ｈは切断すべき鋼板素材Ｗを吸着保持する吸着
保持手段で、可動部である上型２に対して上下可
動に、第１切断刃Ａと第２切断刃Ｂの間に設けら
れており、ローラ保持部材７を介して支持される
永久磁石製のマグネツトローラ８を備えている。
９はノツクアウト部材で、マグネツトローラ８に
吸着保持されている鋼板素材Ｗを、上型２と連動
して強制的に下方に突き落すようになつている。
１０は下型１に設けられたストツパで、ローラ保
持部材７に設けられたストツパ部位７ａと当接す
ることにより、ローラ保持部材７の下動を停止さ
せる。第５図は吸着保持手段Ｈの支持構造を示す
もので、１３はスプリング、１４はローラ保持部
材７を取り付けたロツド、１５はこのロツド１４
を上下動自在に支持するブラケツトで、上型２に
固定されている。なお１６は押え部材、１７は保
持板、１８はコンベアである。

プレス機械内に、矢符号Ｃの方向から送り込ま
れてくる鋼板素材Ｗは、第１切断刃Ａを通過した
後、吸着保持手段Ｈのマグネツトローラ８に吸着
保持されながら第２切断刃Ｂを越え、所定送り長
さ分送られる。次に上型２が所定位置迄下降する
ことにより、第１・第２の各切断刃ＡとＢとで、
第４図に示されているようなシート鋼板Wa，
Wbの２枚に切断され、矢符号Ｄ及びＥ方向にそ
れぞれ搬出される。ところで吸着保持手段Ｈは、
第１切断下刃３と第２切断下刃４とを結ぶ切断レ
ベルより上位のレベルに、鋼板素材Ｗを保持して
いる。従つて切断に際しては、吸着保持を解除
し、切断レベルに、素材Ｗを下げて合わせる必要
がある。このレベル合わせは次のようにして行な
われる。上型２の降下途中に、ローラ保持部材７
のストツプ部位７ａが下型１に設けられているス
トツパ１０に当接する。さらに上型２が下降する
と、スプリング１３が圧縮されてローラ保持部材
７は停止したままとなり、一方ノツクアウト部材
９は降下して、切断下刃３，４上に鋼板素材Ｗを
強制的に突き落とす。

〔考案の解決すべき問題点〕

上記の吸着保持手段Ｈを設けた従来のプレス機
械内搬送装置によれば、プレス機械内に送り込ま
れる過程で、鋼板素材Ｗが第１切断刃Ａを通過し
た後に、自重により下方にたわんで落ち込み、第
２切断刃Ｂに到着できない（第３図に鎖線で示す
状態）という不都合は防止できる。

しかしながら、以下のような問題点があり、な
お改善の余地がある。

(イ) 吸着保持手段Ｈを、可動部である上型２に対
し、スプリング１３を介して上下動自在とした
ため、振動し易く、鋼板素材の吸着が安定しな
い。

(ロ) マグネツトローラ８が永久磁石製であり、吸
着保持の解除はノツクアウト部材９で強制的に
突き落とすものとしたため、鋼板素材Ｗに傷が
つき易い。

(ハ) 吸着保持手段Ｈの下降をストツパ１０により
当て止めするものとしたため、その都度、騒音
が発生する。

〔問題点を解決するための手段〕

上記問題点の解決を目的とするこの考案は、プ
レス機械の第１切断刃と第２切断刃の間で鋼板素
材を吸着保持する吸着保持手段をプレス機械内に
設けてなるプレス機械内搬送装置において、前記
吸着保持手段は、切断レベルにおいて上下不動に
配設されるとともに鋼板素材を着脱自在に電磁吸
引する電磁マグネツトキヤリアとその被吸引状態
の鋼板素材を転送するローラ列とを備えたプレス
機械内搬送装置である。

〔実施例〕

第１図ないし第２図はこの考案の一実施例を示
す図である。なお従来と同一又は相当部分には同
一符号を付してある。

図中、ｈは第１切断刃Ａと第２切断刃Ｂの間
で、鋼板素材Ｗを吸着保持する吸着保持手段であ
る。この吸着保持手段ｈは、従来とは異なり、電
流により磁力の制御が可能な周知の電磁石を組み
込んだ電磁マグネツトキヤリア２０を備え、その
両側面沿いに転送用のローラ列２１が取り付けら
れている。しかも、可動部である上型２からは切
り離されており、送り込まれる鋼板素材Ｗを第１
切断下刃３と第２切断下刃４を結ぶ切断レベルに
合致させて保持するよう、上下不動に配設されて
いる。すなわち、図示の例では電磁マグネツトキ
ヤリア２０はブラケツト２２を介して搬送方向と
交わる方向に通したハリ２３により支持し、この
ハリ２３を、搬送方向に沿う方向に通したケタ２
４を介して支柱２５で支持している。したがつ
て、ローラ列２１の最下面２１ａは前記切断レベ
ルと一致している。

なお、２６は切断された鋼板素材Waを、横方
向（第４図のＤ方向）に送り出すコンベアであ
る。

次に作用を説明する。

上型２が開いている状態で、吸着保持手段ｈの
ローラ列２１は切断レベルに位置している。矢符
号Ｃ方向から送り込まれてくる鋼板素材Ｗは、第
１切断刃Ａの下刃３を通過すると、自重で下方に
たわむ前に、通電中の電磁マグネツトキヤリア２
０に吸引されつつローラ列２１の転動により円滑
に転送される。そして第２切断刃Ｂの下刃４（転
送される鋼板素材と同レベルにある）に自然に乗
り移り、更に所定長さ分送られる。この転送中、
吸着保持手段ｈは上下に振動することはなく、吸
着は極めて安定して行われる。送りが完了する
と、上型２を降下させて、切断作業がなされる。
この時、鋼板素材Ｗは切断レベルで保持されたま
まであり、従来のように、ノツクアウト部材で突
き落とす必要はない。切断後、単に電源を切るこ
とで、電磁マグネツトキヤリア２０の吸引力が消
失し、保持は解除される。これにより切断された
素材Waは自然にコンベア２６上に落下し、回収
される。一方、他の切断素材Wbは従来と同じく
コンベア１８により搬出回収される。

〔考案の効果〕

以上説明してきたように、この考案によれば、
吸着保持手段は、鋼板素材を切断レベルに電磁吸
引して保持するものとしたため、(イ)上下動が無
く、吸着が安定している。(ロ)ノツクアウトによる
吸着解除が不要であり、素材に損傷を与えない。
(ハ)可動部とは切り離し、ストツパを不要としたの
で、騒音が大幅に軽減される。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る一実施例の要部正面
図、第２図は第１図の−拡大断面図、第３図
は従来の搬送装置を組み込んだプレス機械の全体
正面図、第４図は鋼板切断加工の形状を示す平面
図、第５図は従来の吸着保持手段の取付構造詳細
図である。 １……下型、２……上型、Ａ……第１切断刃、
Ｂ……第２切断刃、Ｈ，ｈ……吸着保持手段、２
０……電磁マグネツトキヤリア、２１……ローラ
列。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. プレス機械の第１切断刃と第２切断刃の間で鋼
   板素材を吸着保持する吸着保持手段を設けてなる
   プレス機械内搬送装置において、前記吸着保持手
   段は、切断レベルにおいて上下不動に配設される
   とともに、鋼板素材を着脱自在に電磁吸引する電
   磁マグネツトキヤリアとその被吸引状態の鋼板素
   材を転送するローラ列とを備えたことを特徴とす
   るプレス機械内搬送装置。