JPH0367929B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、積層状態にある板材を一枚づつ上方
に持ち上げてその側方の洗浄装置やプレス装置等
に送出す積層板材の送出し装置に関する。

（従来技術） 例えば自動車生産工場において鋼板製板材をプ
レス加工する場合には、所定位置に積層された板
材を一枚づつ上方に持ち上げてその側方のプレス
装置（プレス加工の前に板材を洗浄する必要があ
る場合には洗浄装置）に送出す積層板材の送出し
装置が用いられる。この種の装置は、従来、例え
ばバキユームパツド等でなる吸着昇降機構と、裏
面側に板材保持用の磁石が設けられたエンドレス
コンベア等でなる搬送機構とを有し、下方に積層
された板材を一枚づつ吸着昇降機構によつて吸着
して上方に持ち上げると共に、その持ち上げられ
た板材を上記磁石によつて保持した状態で搬送機
構によつて側方に送出すように構成されている。

然るに、このような構成においては、上記搬送
機構に板材を保持させる手段が磁石だけであつた
ため、該板材の材質がアルミニウミ等の非磁性体
である場合には、上方に持ち上げられた板材を搬
送機構に有効に保持させることができず、従つて
非磁性体でなる板材に対しては当該送出し装置を
用いることができなかつたのである。そのため、
従来においては、非磁性体板材専用の装置を別途
備える必要があり、しかもその場合に往々にして
該板材の送り効率が低下するという問題があつ
た。

尚、このような問題に対処するには、板材の材
質とは無関係にこれをエアの吸引力によつて保持
し得る多数の吸盤を有する吸盤付コンベアを搬送
機構に採用すればよいが、これを既存の設備を改
造して行おうとすると、該搬送機構の構成が著し
く複雑であるため改造コストが高く付くと共に、
たとえ改造できたとしても該機構は大きな騒音を
発生するため防音対策が別途必要になるという問
題がある。

（発明の目的） 本発明は、プレス装置等に板材を一枚づつ供給
する装置として用いられる積層板材の送出し装置
に関する上記のような実情に対処するもので、既
存の送出し装置を改良することにより、積層板材
が鋼板等の磁性体である場合は勿論のこと、該板
材がアルミニウム等の非磁性体である場合におい
ても、該板材を一枚づつ上方に持ち上げた上で送
り効率を低下させることなく側方に送出すことが
できる比較的簡素な構成の送出し装置を提供する
ことを目的とする。

（発明の構成） 上記目的達成のため本発明に係る積層板材の送
出し装置は、次のように構成したことを特徴とす
る。

即ち、積層された板材を一枚ずつ吸着して上方
に持ち上げる吸着昇降機構と、この吸着昇降機構
によつて上方に持ち上げられた板材をベルトの下
面に保持して一側方に送出すエンドレスベルトコ
ンベアとを有する構成において、上記コンベアに
おけるベルトの裏面側に板材保持用の磁石を配置
すると共に、該コンベアによる板材送出し方向の
反対側に、受けローラ及びラツクを夫々有する移
動フレームを該コンベア沿いに進退自在に且つ揺
動可能に設ける。そして、この移動フレームにお
けるラツクに噛み合わされて駆動装置によつて駆
動されることにより該フレームを進退動させるピ
ニオンと、上記駆動装置による移動フレームの前
進後に上記ピニオンを支点として移動フレームを
揺動させて上記吸着機構によつて持ち上げられた
板材を上記コンベアにおけるベルトの下面側に圧
着させる揺動機構とを備えたことを特徴とする。

このような構成によれば、積層された板材が吸
着昇降機構によつて一枚づつ上方に持ち上げられ
た上でエンドレスベルトコンベアのベルトの下面
に保持されて一側方に送られることになるが、そ
の場合、上記板材が鋼板等の磁性体でなる時は、
上記コンベアにおけるベルトの裏面側に配置され
た磁石によつて該板材がコンベアのベルトの下面
側に保持された状態で側方に送出される。また、
上記板材がアルミ等の非磁性体でなる場合は、該
板材が上記のようにして持ち上げられた状態で移
動フレームが上記コンベアによる送出し方向に前
進して該板材の下方に位置し、然る後、該フレー
ムが揺動機構によつて揺動されることにより、受
けローラを介して該板材をコンベアにおけるベル
トの下面側に圧着させる。そして、この状態で該
コンベアが駆動されることにより、板材が速かに
側方に送出される。

（発明の効果） 上記の構成によれば、積層板材が鋼板等の磁性
体である場合は勿論のこと、該板材がアルミ等の
非磁性体である場合においても、該板材を一枚づ
つ上方に持ち上げた上で速かに、従つて送り効率
を低下させることになく側方に送出すことができ
るようになる。その場合、非磁性体の板材をベル
トコンベアに圧着状態で保持する移動フレームが
ラツクに噛合されたピニオンによつて進退動さ
れ、その前進後に該ピニオンを支点として揺動し
て板材をコンベアのベルト下面側に圧着させるの
で、該移動フレームと吸着昇降機構に保持された
板材との干渉による該板材の位置ずれや落下等が
防止されると共に、上記ピニオンが移動フレーム
の進退と揺動とに兼用されるので、該フレームの
駆動機構が簡素に構成され、しかもこれを付加す
るだけで既存の送出し装置をそのまま利用するこ
とができるという利点がある。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図に示すように、積層板材の送出し装置１
は、主フレーム２の上部に配設された吸着昇降機
構３と、同じく主フレーム２の上部から吊設され
て水平方向に平行に配置された複数のエンドレス
ベルトコンベア４…４とを有する。

上記吸着昇降機構３は、主フレーム２の上部に
立設されてピストンロツド５ａが下方に向けて出
退自在に嵌装されたエアシリンダ５と、そのピス
トンロツド５ａの下端に吊下げ状に取付けられた
昇降フレーム６と、このフレーム６に横方向のガ
イド部材６ａを介して水平方向移動可能に取付け
られて多数のバキユームパツド７…７が設けられ
たパツド保持フレーム８とを有し、このパツド保
持フレーム８と昇降フレーム６とが上記エアシリ
ンダ５によつて一体的に昇降されるようになつて
いる。また、第２図にも示すように上記各バキユ
ームパツド７…７には吸引ホース９…９が夫々接
続されており、上記パツド保持フレーム８等が下
降して第１図に鎖線で示すように該パツド７…７
がその下方における積層板材ａ…ａに当接した時
に、別途備えられた吸引装置（図示せず）によつ
て該パツド７…７内の空気が吸引されることによ
り、積層板材ａ…ａのうち最上部にある板材ａが
該パツド７に吸着されるように構成されている。
尚、上記パツド保持フレーム８には、板材ａの寸
法に応じて該フレーム８、つまりバキユームパツ
ド７…７の水平方向の位置を調整するための操作
部材８ａと、該パツド７…７が板材ａに当接した
ことを検出するリミツトスイツチ１０が夫々取付
けられている。また、上記昇降フレーム６の上部
には、該フレーム６を上下方向に案内するガイド
ロツド１１，１１が立設され、更に上記パツド７
…７がパツド保持フレーム８に対し必要に応じて
上下方向に若干変位し得るように複数のバネ１２
…１２が夫々備えられている。

一方、第１，２図に示すように上記エンドレス
ベルトコンベア４…４は、夫々、水平方向に延び
る一対の支持フレーム１３，１３を有し、該フレ
ーム１３，１３の両端に軸支されたローラ１４，
１４′間に環状のエンドレスベルト１５が巻装さ
れていると共に、該ベルト１５の裏面側に板材保
持用の磁石１６…１６が配置された構成とされて
いる。ここで、上記両ローラ１４，１４′におけ
る駆動側ローラ１４の枢支軸１７の一端には、ス
プロケツト１８が固設され、主フレーム２に別途
設けられたモータ１９との間にチエーン２０が巻
装されている。そして、板材ａが上記吸着昇降機
構３によつて該コンベア４…４の位置まで持ち上
げられた時に、駆動側ローラ１４がチエーン２０
を介してモータ１９によつて回転駆動されること
により、上記ベルト１５の下方部１５ａが第１図
に示すＡ方向に進行するようになつている。その
場合、板材ａが鋼板等の磁性体である時は、該板
材ａが上記磁石１６…１６の吸引作用によつてベ
ルト下方部１５ａに保持され、この状態で該ベル
ト１５が上記のように駆動されることにより、該
板材ａが同じくＡ方向に送出されるようになつて
いる。尚、上記支持フレーム１３には板材ａがコ
ンベア４の位置に達したことを検出する近接スイ
ツチ２１が設けられている。また、この実施例に
おいては、上記板材ａの送り方向に対応させて送
出し装置１の−側方に洗浄装置２２が別途設置さ
れており、上記のようにしてＡ方向に送出された
板材ａが該洗浄装置２２内のローラ２３，２３間
から洗浄ブラシ２４，２４間を通つて洗浄される
ようになつている。

然して、上記送出し装置１には、エンドレスベ
ルトコンベア４…４による送出し方向（第１図Ａ
方向）の反対側、つまり上記洗浄装置２２の反対
側に移動フレーム２５…２５が備えられていると
共に、該移動フレーム２５…２５を上記コンベア
４…４沿いに進退動させるピニオン２６…２６
と、移動フレーム２５…２５が前進位置にある時
に該フレーム２５…２５を該ピニオン２６…２６
を支点として揺動させてコンベア４…４に圧着さ
せる揺動機構２７が夫々設けられている。上記各
移動フレーム２５…２５は第３図に示すように
夫々断面がコ字状とされ、その上部に複数のロー
ラ２８…２８が回転可能に配設されていると共
に、下面にラツク２９が固着され、該ラツク２９
が上記ピニオン２６に噛合された構成とされてい
る。また、上記各ピニオン２６…２６は、主フレ
ーム２におけるブラケツト２ａ，２ａ間に架設さ
れた回転軸３０に固設されている。そして、該回
転軸３０に取付けられたスプロケツト３１と別途
設けられたブレーキ付モータ３２との間にチエー
ン３３が巻装され、このチエーン３３を介して回
転軸３０がモータ３２によつて駆動されることに
より各ピニオン２６…２６が回転し、これにより
各移動フレーム２５…２５が前進又は後退される
ようになつている。ここで、主フレーム２には、
ブラケツト２ｂ，２ｂ間に架設された軸３４に複
数のバツクアツプローラ３５…３５が枢支されて
おり、該ローラ３５…３５と上記ピニオン２６…
２６とで移動フレーム２５を挾持するように構成
されている。また、この実施例においては、上記
回転軸３０にも移動フレーム保持用の補助ローラ
３５′…３５′が設けられている。

また、上記揺動機構２７は、第１，４図に示す
ように主フレーム２におけるブラケツト２ｃ，２
ｃに固定の一対のガイド部材２ｄ，２ｄに案内さ
れて上下方向にスライド可能とされた支持部材３
６，３６と、該支持部材３６，３６に両端が支持
された２本の平行な枢支軸３７，３８に夫々取付
けられて上記移動フレーム２５…２５を挾持する
複数のローラ３９…３９及び４０…４０と、上記
支持部材３６…３６と一体の連結部材４１にピス
トンロツド４２ａの上端が連結されたシリンダ４
２とで構成されている。そして、上記移動フレー
ム２５…２５が所定の前進位置にある時に、
夫々、各フレーム２５の後端部を各ローラ３９及
び４０間に挾持した状態で、シリンダ４２がピス
トンロツド４２ａを介して連結部材４１、支持部
材３６，３６を上下方向に移動させることによ
り、上記したように移動フレーム２５…２５をピ
ニオン２６…２６を支点として揺動させて、各フ
レーム２５…２５におけるローラ２８…２８を上
記コンベア４…４に圧着させるようになつてい
る。

次に、この実施例の作用を説明する。

先ず、移動フレーム２５…２５が所定位置に後
退された状態で、吸着昇降機構３がエアシリンダ
５によつて駆動されることにより、昇降フレーム
６及びパツド保持フレーム８が一体的に第１図に
示す上昇位置から下降する。そして、リミツトス
イツチ１０がその下方の積層版材ａに当接するこ
とにより、その下降端が検出されると、該吸着昇
降機構３の下動が停止されると共に、該機構３に
おけるバキユームパツド７…７によつて上記板材
ａ…ａのうち最上部にある板材ａが一枚だけ吸着
され、この状態で吸着昇降機構３が上動に転じて
上記の上昇位置に復帰する。

その場合、上記パツド７…７に吸着された板材
ａが鋼板等の磁性体でなる版材である時は、該板
材ａがエンドレスベルトコンベア４の位置まで上
動された時に、それが該コンベア４における近接
スイツチ２１によつて検出されることによりバキ
ユームパツド７…７による吸着が解除されるので
あるが、この時、ベルト１５の裏面側には磁石１
６…１６が設けられているため、該板材ａは該磁
石１６…１６の吸引作用によつてベルト１５の下
方部１５ａ側に吸引保持されることになる。そし
て、この状態でモータ１９によつてコンベア４が
駆動されて該ベルト下方部１５ａがＡ方向に進行
することにより、上記板材ａが同じくＡ方向に送
られて洗浄装置２２に供給されることになる。

一方、上記積層板材ａがアルミ等の非磁性体で
なる板材である時は、該板材ａが上記のようにコ
ンベア４に近接しても磁石１６…１６による吸引
力が作用しないのであるが、その場合は、上記移
動フレーム２５…２５が該板材ａの下方位置まで
前進した上で該板材ａをベルト１５の下方部１５
ａに圧着する。即ち、板材ａがベルト下方部１５
ａに近接すると、モータ３２によつてピニオン２
６…２６が回転駆動され、その結果、移動フレー
ム２５…２５が第１図の後退位置からコンベア４
…４沿いに前進して、第５図に鎖線で示すように
水平から僅かながら傾斜した状態で上記コンベア
４…４の下方まで移動する。そして、この状態で
ローラ３９…３９及び４０…４０間に挾持された
各移動フレーム２５…２５の後端部２５ａ…２５
ａが揺動機構２７によつて第５図に示すＢ方向に
押し下げられることにより、上記ピニオン２６…
２６を支点として該フレーム前端部２５ｂ…２５
ｂがＣ方向に揺動され、その結果、上記板材ａが
該フレーム２５…２５における受けローラ２８…
２８によつて上記ベルト下方部１５ａに押し付け
られると共に、更に、この状態でコンベア４…４
が上記のように駆動されるのである。そのため、
該板材ａはベルト下方部１５ａに圧接された状態
で該ベルト１５によつてＡ方向に送出されて上記
洗浄装置２２に供給されることになる。

更に、このようにして板材ａを送出した後にお
いては移動フレーム２５…２５は当初の後退位置
に復帰され、以下同様の作業が順次反復される。
これにより、上記積層板材ａ…ａが鋼板等の磁性
体である場合は勿論のこと、アルミ等の非磁性体
である場合においても、該板材ａ…ａが一枚づつ
上方に持ち上げられて、速かに側方に送出される
ことになる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すもので、第１図は
該実施例に係る送出し装置の構成を示す全体正面
図、第２，３，４図は第１図−線、−線
及び−線で夫々切断した拡大縦断面図、第５
図は移動フレームが前進位置にある状態を示す第
１図と同様の全体正面図である。 １…送出し装置、３…吸着昇降機構、４…エン
ドレスベルトコンベア、１５…ベルト、１６…磁
石、２５…移動フレーム、２６…ピニオン、２７
…揺動機構、２８…受けローラ、２９…ラツク、
３２…駆動装置（ブレーキ付モータ）、ａ…板材。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 積層された板材を一枚ずつ吸着して上方に持
   ち上げる吸着昇降機構と、この吸着昇降機構によ
   つて上方に持ち上げられた板材をベルトの下面に
   保持して一側方に送出すエンドレスベルトコンベ
   アとが備えられた送出し装置であつて、上記コン
   ベアにおけるベルトの裏面側に板材保持用の磁石
   が配置されていると共に、該コンベアによる板材
   送出し方向の反対側に、受けローラ及びラツクを
   夫々有して該コンベア沿いに進退自在に且つ揺動
   可能に設けられた移動フレームと、この移動フレ
   ームにおけるランクに噛み合わされて駆動装置に
   よつて駆動されることにより該フレームを進退動
   させるピニオンと、上記駆動装置による移動フレ
   ームの前進後に上記ピニオンを支点として移動フ
   レームを揺動させて上記吸着機構によつて持ち上
   げられた板材を上記コンベアにおけるベルトの下
   面側に圧着させる揺動機構とが備えられているこ
   とを特徴とする積層板材の送出し装置。