JPH0124115B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はラツクピニオン式動力舵取装置に関
し、詳しくは、ギヤハウジングにバルブハウジン
グを液密的に組付けて形成したハウジングの内部
に操舵軸の回転により相対変位する一対の弁部材
を収容してなり、かつ前記ハウジングの内部にラ
ツク軸に噛合するピニオン軸の一端を液密的かつ
回転可能に軸支して収容してなり、前記両弁部材
の相対変位により前記バルブハウジング内を流通
する圧力流体のパワーシリンダに対する給排を制
御して、前記操舵軸の操作力を軽減するようにし
たラツクピニオン式動力舵取装置に関する。

一般に、この種動力舵取装置においては、ギヤ
ハウジングに装着した一対の軸受を介してピニオ
ン軸の両端がギヤハウジングに回転可能に軸支さ
れ、かつギヤハウジングの開口部に装着したシー
ル部材によりシールされていて、このピニオン軸
に操舵軸および両弁部材を連結した状態にてバル
ブハウジングがギヤハウジングに組付けられてい
る。このため、バルブハウジング内の圧力流体の
ギヤハウジング内への漏洩を防止するシール部材
のシール機能は、バルブハウジングをギヤハウジ
ングに組付けた状態でしかチエツクすることがで
きず、しかもバルブハウジング内からのギヤハウ
ジング内への圧力流体の漏洩は外部から目視する
ことができないため、シール部材自体の不良、シ
ール部材および／またはピニオン軸の組付不良に
起因する圧力流体の漏洩をチエツクすることは困
難であつた。

本発明は、この種動力舵取装置におけるこのよ
うな問題に着目してなされたもので、その主たる
目的は、バルブハウジング内のギヤハウジング内
への圧力流体の漏洩を阻止するシール部材のシー
ル機能をギヤハウジングにバルブハウジングを組
付ける前にチエツクでき、かつこの圧力流体の漏
洩を外部から目視できるようにすることにある。

以下、本発明を図面に基づいて説明するに、第
１図には本発明に係るラツクピニオン式動力舵取
装置の一例が示されている。この動力舵取装置は
ロータリ式制御弁機構を備えた動力舵取装置で、
この動力舵取装置においては、ギヤハウジング１
１にバルブハウジング１２を液密的に組付けて形
成してなるハウジングの内部に、制御弁機構２０
とピニオン軸３１が収容されている。

制御弁機構２０は、操舵軸３２に一体的に形成
されたロータ弁部材２１と、ロータ弁部材２１の
外周に同心的かつ相対回転可能に嵌合されたスリ
ーブ弁部材２２を主要構成部材としていて、ロー
タ弁部材２１の外周およびスリーブ弁部材２２の
内周には、等間隔にて軸方向へ延びる複数の公知
のランド部とこれに対向する溝部がそれぞれ形成
されている。このロータ弁部材２１は、これと一
体の操舵軸３２に一端を固定しかつ他端をピニオ
ン軸３１に固定したトーシヨンバー３３によりピ
ニオン軸３１に連結されており、またスリーブ弁
部材２２は連結ピン２３によりピニオン軸３１に
連結されている。一方、ピニオン軸３１は上記し
たように操舵軸３２および両弁部材２１，２２に
連結しているとともに、ギヤハウジング１１内の
ラツク軸３４の一部に噛合している。なお、ラツ
ク軸３４は図示しないパワーシリンダ内を摺動す
るピストンを備えいて、このパワーシリンダおよ
びギヤハウジング１１内を挿通されてその両端が
操縦リンク機構を介して操行車輪に連結されてい
る。

この動力舵取装置においては、第１図および第
２図に示すように、中立時流体ポンプ４１から第
１配管４２ａおよび供給ポート１２ａを通してバ
ルブハウジング１２内に流入される圧力流体が排
出ポート１２ｂおよび第２配管４２ｂを通してリ
ザーバ４３へ還流され、また操舵時には操舵軸３
２の回転によりロータ弁部材２１がスリーブ弁部
材２２に対してわずかに相対回転して、バルブハ
ウジング１２内に流入される圧力流体がバルブハ
ウジング１２の図示しない一方の分配ポートおよ
び第３配管４２ｃを通して図示しないパワーシリ
ンダの一方の流体室内へ供給され、同時にパワー
シリンダの他方の流体室内の圧力流体が第４配管
４２ｄ、他方の分配ポート、排出ポート１２ｂお
よび第２配管４２ｂを通してリザーバ４３へ還流
される。これにより、操舵時における操舵軸３２
の操作力が軽減される。

しかして、ピニオン軸３１の一端は、バルブハ
ウジング１２の取付側開口部の内側に組付けたボ
ールベアリング１３とシール部材１４を介してバ
ルブハウジング１２に液密的かつ回転可能に軸支
され、またピニオン軸３１の他端はギヤハウジン
グ１１の底部に組付けたニードルベアリング１５
を介してギヤハウジング１１に回転可能に軸支さ
れている。

ギヤハウジング１１の取付側開口部は区柱状の
嵌合凹所１１ａに形成されており、またバルブハ
ウジング１２の取付側開口部には、ギヤハウジン
グ１１の嵌合凹所１１ａに嵌合可能な筒状突起部
１２ｃが形成されている。ボールベアリング１３
は、筒状突起部１２ｃの内孔内に嵌合されてその
底部に位置し、ピニオン軸３１の一端部上にカシ
メ止めされたリング状の締付部材１６と後述する
プラグ１７により固定されている。一方、シール
部材１４はピニオン軸２１の外周に密接するリン
グ状を呈していて、筒状突起部１２ｃの開口端部
に液密的に螺着されるプラグ１７の内孔内に支持
されている。このシール部材１４は、プラグ１７
を筒状突起部１２ｃの開口端部に螺着することに
より、その内側に組付けられている。これによ
り、ボールベアリング１３においては、締付部材
１６によりインナレースのガタが除かれかつプラ
グ１７によりアウタレースのガタが除かれた状態
にて筒状突起部１２ｃの内側に組付けられ、シー
ル部材１４とともにピニオン軸３１の一端を液密
的かつ回転可能に軸支している。

かかる動力舵取装置においては、次の手順で組
付けられる。すなわち、ボールベアリング１３を
ピニオン軸３１の外周に嵌合させて締付部材１６
によりインナレースを固定し、ピニオン軸３１と
操舵軸３２をトーシヨンバー３３により連結する
ともに、操舵軸３２と一体のロータ弁部材２１の
外周に嵌合したスリーブ弁部材２２とピニオン軸
３１を連結ピン２３により連結して、シール部材
１８およびニードルベアリング１９等を介してバ
ルブハウジング１２内に挿入し、かつボールベア
リング１３をピニオン軸３１の他端側からバルブ
ハウジング１２の筒状突起部１２ｃ内に嵌合させ
る。次いで、シール部材１４と一体のプラグ１７
をピニオン軸３１の他端側からバルブハウジング
１２の筒状突起部１２ｃの開口端部に液密的に螺
着し、ボールベアリング１３のアウタレースを固
定する。これにより形成された組付体（以下バル
ブ組付体という）は、第１図の左方部および第２
図に示すように、両弁部材２１，２２がバルブハ
ウジング１２内の所定の位置に収容され、また操
舵軸３２がバルブハウジング１２に液密的かつ回
転可能に軸支されてバルブハウジング１２内から
延出し、かつピニオン軸３１がバルブハウジング
１２の筒状突起部１２ｃ内に液密的かつ回転可能
に軸支されてバルブハウジング１２内から延出し
ている。最後に、このバルブ組付体におけるバル
ブハウジング１２の筒状突起部１２ｃをギヤハウ
ジング１１の嵌合凹所１１ａ内に液密的に嵌合し
て、バルブ組付体を両ハウジング１１，１２の接
合端面にて複数のボルトによりギヤハウジング１
１に組付ける。

このように構成した動力舵取装置においては、
第２図に示すように、バルブ組付体の状態でバル
ブハウジング１２内の圧力流体の漏洩をチエツク
することができる。第２図において、符号Ａは動
力舵取装置のパワーシリンダに対応するアクチユ
エータであつて、このアクチユエータＡの一方の
流体室R₁にはバルブハウジングの一方の分配ポ
ートに接続した第３配管４２ｃが接続され、また
アクチユエータＡの他方の流体室R₂にはバルブ
ハウジングの他方の分配ポートに接続した第４配
管４２ｄが接続される。これにより、バルブ組付
体の内部に、動力舵取装置の中立時および操舵時
における圧力流体の流れと全く同じ流れを生じさ
せることができて、バルブハウジング１２内から
圧力流体の漏洩をギヤハウジング１１に組付ける
前にチエツクすることができ、また圧力流体の漏
洩を外部から目視しえてシール部材１４自体の不
良、シール部材１４および／またはピニオン軸３
１の組付不良を容量にチエツクすることができ
る。

なお、本実施例においては、ピニオン軸３１の
一端を回転可能に軸支する軸受にボールベアリン
グ１３を用い、このボールベアリング１３をプラ
グ１７によりバルブハウジング１２の筒状突起部
１２ｃ内に組付けた例について示したが、本発明
においてはボールベアリング１３に換えて適宜の
軸受を用いて、この軸受を適宜の組付手段にてバ
ルブハウジングの組付側開口部の内側に組付けて
もよい。また、シール部材１４の組付手段につい
ても同様で、プラグ１７に換えて適宜の組付手段
を用いることができる。

さらに、本実施例においては、制御弁機構とし
てロータ弁部材２１およびスリーブ弁部材２２を
主要構成部材とし、両弁部材２１，２２の相対回
転により圧力流体を制御するロータリ式制御弁機
構を備えた動力舵取装置の例について示したが、
本発明はスプール弁部材およびスリーブ弁部材を
主要構成部材とし、両弁部材の軸方向への相対変
位により圧力流体を制御するスプール式制御弁機
構を備えた動力舵取装置にも実施できる。

要するに、本発明は、ギヤハウジングにバルブ
ハウジングを液密的に組付けて形成したハウジン
グの内部に操舵軸の回転により相対変位する一対
の弁部材を収容してなり、かつ前記ハウジングの
内部にラツク軸に噛合するピニオン軸の一端を液
密的かつ回転可能に軸支して収容してなり、前記
両弁部材の相対変変位により前記バルブハウジン
グ内を流通する圧力流体のパワーシリンダに対す
る給排を制御して、前記操舵軸の操作力を軽減す
るようにした各種形式のラツクピニオン式動力舵
取装置に実施しうる。

以上説明したように、本発明は上記した各種形
式のラツクピニオン式動力舵取装置において、前
記バルブハウジングの組付側開口部の内側に、前
記ピニオン軸の一端を軸支する軸受と前記ピニオ
ン軸の外周に密接するシール部材を組付けて、前
記ピニオン軸の一端を前記軸受およびシール部材
を介して前記バルブハウジングに軸支した状態に
て、このバルブハウジングを前記ギヤハウジング
に組付けたことにその構成上の特徴がある。従つ
て、本発明によれば、バルブハウジングをギヤハ
ウジングに組付ける前のバルブ組付体の状態でバ
ルブハウジング内からの圧力流体の漏洩をチエツ
クすることができ、また圧力流体の漏洩を外部か
ら目視しえてシール部材自体の不良、シール部材
および／またはピニオン軸の組付不良を容易にチ
エツクすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る動力舵取装置の一例を示
す縦断面図、第２図は圧力流体の漏洩のチエツク
状態を示すバルブ組付体の一部破断側面図であ
る。 符号の説明、１１…ギヤハウジング、１１ａ…
嵌合凹所、１２…バルブハウジング、１２ｃ…筒
状突起部、１３…ボールベアリング、１４…シー
ル部材、１６…締付部材、１７…プラグ、２１…
ロータ弁部材、２２…スリーブ弁部材、３１…ピ
ニオン軸、３２…操舵軸、３４…ラツク軸、Ａ…
アクチユエータ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ギヤハウジングにバルブハウジングを液密的
   に組付けて形成したハウジングの内部に操舵軸の
   回転により相対変位する一対の弁部材を収容して
   なり、かつ前記ハウジングの内部にラツク軸に噛
   合するピニオン軸の一端を液密的かつ回転可能に
   軸支して収容してなり、前記両弁部材の相対変位
   により前記バルブハウジング内を流通する圧力流
   体のパワーシリンダに対する給排を制御して、前
   記操舵軸の操作力を軽減するようにしたラツクピ
   ニオン式動力舵取装置において、前記バルブハウ
   ジングの組付側開口部の内側に、前記ピニオン軸
   の一端を軸支する軸受と前記ピニオン軸の外周に
   密接するシール部材を組付けて、前記ピニオン軸
   の一端を前記軸受およびシール部材を介して前記
   バルブハウジングに軸支した状態にて、このバル
   ブハウジングを前記ギヤハウジングに組付けたこ
   とを特徴とするラツクピニオン式動力舵取装置。