JPH0111363Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は旋削工作機械特にNC旋盤の刃物台で
複数のツールを固定又は回転させて、ワークに外
径加工、端面加工あるいはエンドミルキー溝加工
等を行う際、複数の該ツールをタレツトにワンタ
ツチで着脱可能に交換し得る為の旋削工作機械の
ツールロツク装置に関する。

〔従来の技術〕

従来、旋削工作機械特にNC旋盤刃物台に取付
けたタレツトで、丸物のワークに外径加工、端面
加工あるいはエンドミルキー溝加工を施してい
る。これらの諸加工を施す際タレツトに前もつて
所定のツールを取付ける必要がある。このツール
取付けは人手により手動で行なわれている。

〔考案が解決しようとする課題〕

従来の手動によるツール取付けでは、かなりの
取付け時間を要し問題がある。そのため、タレツ
トヘツドのツール取付けをワンタツチで着脱可能
に交換し得る手段として、マシニングセンタ等で
使用されているツールすなわち、テーパーシヤン
ク形状のプルスタツド付きの工具ホルダを採用し
ようと試みた。しかし、このテーパーシヤンク形
状のプルスタツド付きの工具ホルダであると、テ
ーパーシヤンク部のストロークが長い為、従来の
タレツトには入らない。従つて、テーパー形状の
プルスタツド付きの工具ホルダを採用しようとす
ると、タレツト自体を根本的に改良し、大型にし
なければならないという問題がある。

本考案は、上記事情に鑑みこれらの問題を解決
するために提案されたものであつて、その目的
は、複数の工具の装着が可能な旋削工作機械のタ
レツトに、従来の刃物台の大きさを変更すること
なく固定工具、回転工具とも自動的に、しかもワ
ンタツチで簡単に交換し得る旋削工作機械のツー
ルロツク装置を提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は上記問題点を解決するために、タレツ
トに複数の工具を取付けこのタレツトを割り出し
して工作物を加工する旋削工作機械の刃物台にお
いて、タレツト割り出し中心軸上に割出し軸と平
行に移動自在に設けられたカムと、前記刃物台後
部に設けられ前記カムを駆動する駆動体と、タレ
ツト外周部に外方に向つて縮小するテーパ部を突
設して設けられ工具を該テーパ部で支持する工具
支持部材と、該工具支持部材を貫通してタレツト
割出軸線に直角な方向に移動自在に設けられ前記
工具支持部材のテーパと向きの違うテーパ面を構
成して工具に係合するコレツトと、該コレツトの
端部に結合し該コレツトと同方向に移動自在にタ
レツト内に設けられ円筒形状の空間を有してシリ
ンダ体をなす中空円筒部材と、該中空円筒部材と
前記工具支持部材間に設けられ前記中空円筒部材
をタレツト中心側に付勢するばね材と、前記中空
円筒部材と結合し該中空円筒部材内に密封室を構
成するとともに前記カムと係合し該カムの移動方
向と直交する方向に移動可能なカム係合部材と、
前記中空円筒部材の密封室内にあり外部から供給
される流体によりタレツト外方へ移動可能なピス
トンと、該ピストンの一端に結合され他端は前記
コレツトを貫通して設けられ移動動作によりコレ
ツトの開閉動作を行わしめる芯金と、からなり前
記カムの進退動作でコレツトを開閉し工具を締結
するようにしたことを特徴とする旋削工作機械の
ツールロツク装置としたものである。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施態様について図面を基に
して詳細に説明する。

第３図は、本考案の旋削工作機械のツールロツ
ク装置を装着したスラント型NC旋盤の正面図で
ある。

第３図において、ベツド１０１上の左側にはヘ
ツドストツク１０２が載置され、該ヘツドストツ
ク１０２に回転支持された主軸１０３の先端部に
はチヤツク１０３Ａが取付けられ、ワークＷが把
持される。一方、ベツド１０１上の右側にはテー
ルストツク１０４が載置され、該テールストツク
１０４の先端部である心押し軸１０５でワークＷ
の一端を押し付け支えている。

テールストツク１０４の後方には、スラント型
で図中Ｚ軸方向に摺動可能なサドル１０６が載置
され、該サドル１０６上には、Ｘ軸方向に摺動可
能なクロススライド１０７が載置されている。

クロススライド１０７上には刃物台１０８が載
置され、さらに刃物台１０８の先端には、タレツ
ト１０９が回転可能に軸支されている。タレツト
１０９は10面割出し用を使用しているが、本考案
の場合には、この割出し面数は特に限定されるも
のではない。このようなタレツト１０９の一面先
端部に、本考案の旋削工作機械のツールロツク装
置（後述詳細）により工具１１０をワンタツチで
挿着し、主軸１０３と心押し台１０５とで把持さ
れたワークＷに、外径加工、端面加工あるいはキ
ー溝加工等を施すものである。

次に、本考案の主要部構成について説明する。
第１図は第３図の刃物台の一部拡大断面図であ
り、回転工具を取付けた状態のものである。

まず、回転工具の回転駆動について説明する。

第１図において、回転工具１の駆動源はモータ
２であり、該モータ２から駆動シヤフトを介して
一対のギヤへ、さらにギヤに嵌着された回転工具
用ドライブシヤフト３に伝達される。回転工具用
ドライブシヤフト３の先端部３ａとシヤフト４の
後端部４ａとはクラツチ５，６で接合したり、切
り離したりするようになつていて、回転工具用ド
ライブシヤフト３をモータ２によりわずかに駆動
させるとクラツチ５，６が接合し、停止すると切
離されるようになつている。

シヤフト４には、先端がベベルギヤ７となつて
いる軸部材８が嵌着され、該軸部材８は２個のベ
アリング９で抑えられ回転自在になつている。シ
ヤフト１０は２個のベアリング１１で抑えられ、
垂直に載置し、回軸自在になつている。シヤフト
１０の上方には、先端部がベベルギヤ１２となつ
ている軸部材１３を嵌着してある。そしてシヤフ
ト４のベベルギヤ７とこのベベルギヤ１２とが噛
合し、シヤフト４の回転をシヤフト１０へ伝達し
ている。さらに、軸部材１３の軸部にはギヤ１４
が嵌着してある。

タレツト１０９のハウジング１０９ａ内には、
２個のベアリング１５を介して工具スピンドル１
６が嵌入されている。なお２個のベアリング１５
の垂直方向の間にはカラー１７が挿入されて、２
個のベアリング１５同士が移動しないように支え
ている。工具スピンドル１６内には、該工具スピ
ンドル１６の先端より上方へギヤ１８を有した中
空の円筒部材１９を嵌入し、該工具スピンドル１
６と中空の円筒部材１９とはキー２０で係合され
ている。

ギヤ１８がギヤ１４と噛合し、シヤフト１０の
回転を一対のギヤ１４，１８を介して、中空の円
筒部材１９に伝達し、さらに中空の円筒部材１９
と工具スピンドル１６とはキー２０で係合してい
るために、該中空の円筒部材１９に与えられた回
転が該工具スピンドル１６に伝達される。

次に、タレツトの割出し駆動について説明す
る。

刃物台１０８内の中心に、タレツトシヤフト２
１が嵌入されている。該タレツトシヤフト２１の
先端部すなわちＴ字部２１ａは、タレツト１０９
の後端部と刃物台１０８の前端部との間に配置さ
れ、ボルト２３で止められている。刃物台１０８
内のほぼ中央部で、該刃物台１０８の中心に嵌入
されているタレツトシヤフト２１の外周部には、
空洞部２２が穿孔してある。

空洞部２２の左端には、ピストン２４がタレツ
トシヤフト２１に嵌合されている。ピストン２４
が左右に摺動し得るシリンダ室２５が設けてあ
り、シリンダ室２５内をピストン２４が左右に摺
動する。

ピストン２４とタレツトシヤフト２１との間に
はギヤ２６の前部２６ａが嵌合し、しかもギヤ２
６はタレツトシヤフト２１にキー２７で結合して
いる。タレツトシヤフト２１の後端部２１ｂはプ
レート２８とネジで止められている。ギヤ２６
は、割り出しモータ３０からシヤフトを介して、
タレツトシヤフト２１に嵌着されているギヤ２９
と噛合している。ピストン２４は図略の油圧シリ
ンダによつて左右に摺動するものである。刃物台
１０８とタレツト１０９とは、歯付き接合部材３
１で接合したりあるいは切離したりするようにな
つている。

従つて、図略の油圧シリンダによりピストン２
４をシリンダ室２５内で左へ摺動させることよ
り、タレツトシヤフト２１を摺動させて、タレツ
ト１０９を刃物台１０８から歯付き接合部材３１
で切離し、次いで割出しモータ３０からギヤ２
６，２９を介してタレツトシヤフト２１を回転さ
せ、タレツトに所定の割出しを施すことになる。

次に、本考案の主要部である旋削工作機械のツ
ールロツク装置について説明する。

工具スピンドル１６内には、中空の円筒部材１
９が嵌入されて、該中空の円筒部材１９の先端部
１９ａは細環状体となつている。工具スピンドル
１６と中空の円筒部材１９の先端部１９ａとの間
には皿バネ３２が挿入されている。中空の円筒部
材１９の中空部には上方から順にエアーピストン
３３、該エアーピストン３３に係合したＴ字形部
材３４、および該Ｔ字形部材３４内にてネジで止
められた心金３５が配置されている。

なお、中空の円筒部材１９とＴ字形部材３４と
の間にはスプリング３６が挿入されている。工具
スピンドル１６の先端部１６ａ内にはコレツト３
７が嵌入され、さらに該コレツト３７内には心金
３５が嵌入されている。工具ホルダ３８はこのコ
レツト３７の突張り力により把持される。中空の
円筒部材１９の一端（タレツト中心側）には、前
記カム４３と係合し、このカム４３の前後動を直
交する方向に交換するカム係合部材３９が設けら
れる。このカム係合部材３９は、カム３９Ａとカ
バー３９Ｂと固定支持部４１とで構成されてい
る。タレツト中心側にギヤ１８を有した中空の円
筒部材１９の上面に、カバー３９Ｂがボルトで止
められていて、円筒部材１９の回転と共にカバー
３９Ｂも回転する。カバー３９Ｂの上面にはエア
ー用パイプ４１ａの固定支持部材４１が固定され
ている。該固定支持部材４１の中央部には、前記
カム４３の傾斜面と係合する同一傾斜面をもつカ
ム３９Ａが嵌着されている。カバー３９Ｂの上面
と固定支持部材４１の下部との間にはボール３９
ｃが介在している。エアー用パイプ４１ａは固定
支持部材４１とカバー３９ｂの内部を貫通し、エ
アー室４０に連通され、エアー用パイプ４１ａか
らエアーが送られる。なお、カム３９Ａは回転せ
ず上下の往復運動のみである。

タレツトシヤフト２１内にはシヤフト４２が嵌
入されており、該シヤフト４２の一端には、カム
係合部材３９を押しさげるためのツールロツク・
アンロツク用カム４３がボルト４４で止められて
いる。シヤフト４２の他端には支持板４５を介し
て該シヤフト４２を左右に摺動させる為のシリン
ダ４６が取付けられている。

第２図は、タレツト１０９のハウジング１０９
ａ内で、ツールが回転しない旋削工具（固定工
具）を取付けた他実施例の断面図を示したもので
ある。本考案の装置そのものの構成は第１図と全
く同じであるから、詳細は省略する。要は固定工
具あるいは回転工具のどちらにも利用できるよう
にした旋削工作機械のツールロツ装置である。

次に、本考案装置の動作について説明する。

工具スピンドル１６に工具ホルダ３８がロツク
されていて、その工具ホルダ３８を工具スピンド
ル１６からアンロツクする場合を説明する。ま
ず、図略の駆動源よりパイプ４１ａにエアーを送
気させ、エアー室４０にエアーを供給する。エア
ーの力でエアーピストン３３を下方へ押し下げる
ことにより、スプリング３６を押圧すると共に、
Ｔ字型部材３４にネジで止められている心金３５
を下方へ押し出すことにより心金の先端部３５ａ
がコレツト３７からはずれる。次いで、シリンダ
４６を作動させてシヤフト４２を左へ摺動させる
と、該シヤフト４２の一端に止められているツー
ルロツク・アンロツク用カム４３が、カム係合部
材３９のカム３９Ａ面上に乗り上げて進む。そう
すると、該カム３９Ａが下方へ押し下げられ、カ
バー３９Ｂを介して中空の円筒部材１９が下方へ
押される。皿バネ３２に抗して中空の円筒部材１
９の先端部１９ａがコレツト３７を下方へ押すこ
とになり、アンロツク状態となる。工具ホルダ３
８を人手により下方へ引つ張張ると、簡単に工具
スピンドル１６から抜ける。

工具ホルダ３８をロツクする動作は、アンロツ
ク動作と逆の動作を行なうことになるが、一応説
明する。工具ホルダ３８を工具スピンドル１６に
簡単に挿着しておき、シリンダ４６を作動させ
て、シヤフト４２を右へ摺動させることにより、
ツールロツク・アンロツク用カム４３がカム３９
Ａから滑べり下りてはずれる。カム３９Ａに止め
られている中空の円筒部材１９が皿バネ３２の復
帰力で押し上げられると共に、コレツト３７が上
方へ呼び込まれ、さらにパイプ４１ａからエアー
を抜くことによりエアーピストン３３が上方へ押
し上げる力と共にスプリング３６の復帰力で、Ｔ
字型部材３４にネジで止められている心金３５を
上方へ押し上げて、心金３５の先端部３５ａがコ
レツト３７に嵌合してロツクされることになる。

〔考案の効果〕

本考案は以上のように構成されているので、次
に記載する効果が生じる。

まず、複数の工具を装着するタレツト内に、タ
レツト割出し中心軸上を移動するカムを設け、そ
のカムと係合しそのカムの移動によつてカムの移
動と直交する方向、すなわち、タレツトの外方に
向つてコレツトが開閉して工具をロツクしたり、
アンロツクしたりしている。回転工具は回転駆動
機構と連結させればよく、回転工具および旋削工
具（固定工具）を問わず、簡単に、自動的にロツ
ク、アンロツクできる。従つて、複合加工を実施
する旋削工作機械のツール交換が短時間で行なえ
る。

また、従来の刃物台の大きさを変更することな
く、タレツトヘツドのインデツクス機構および回
転工具用駆動部とツールロツク機構が共存できる
構成となつている。すなわち、ツールロツク機構
を刃物台内に設けたため刃物台部が大型化し、そ
れに伴つて機械全体が大型化するような不経済な
ことがない。

さらに、工具支持部材の先端部が外部に突出し
ているので、コレツト部を大きくすことができ
る。このため、クランプ力が強くなるとともに、
コレツトまわりの清掃がし易くなると言うメリツ
トが生ずる。

また、コレツト部をタレツトの外部に設けてあ
るので相手工具をコンパクトにすることができ、
経済的である。工具の数の方が多いので、なるべ
くコンパクトにすればコスト減となるからであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の主要部を説明するもので、
第３図における刃物台の一部拡大断面図である。
第２図は本考案の他実施例を示す刃物台の一部拡
大断面図である。第３図は、本考案の装置を装着
したスラント型NC旋盤の正面図である。 図において、１…工具、３…回転工具ドライブ
シヤフト、１６…工具スピンドル（工具支持部
材）、１９…中空の円筒部材、３２…皿バネ、３
３…ピストン、３５…心金、３６…スプリング
（ばね材）、３７…コレツト、３８…工具ホルダ、
３９…カム係合部材、４３…ツールロツク・アン
ロツク用カム、４６…シリンダ（駆動体）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. タレツトに複数の工具を取付けこのタレツトを
   割り出しして工作物を加工する旋削工作機械の刃
   物台において、タレツト割り出し中心軸上に割出
   し軸と平行に移動自在に設けられたカムと、前記
   刃物台後部に設けられ前記カムを駆動する駆動体
   と、タレツト外周部に外方に向つて縮小するテー
   パ部を突設して設けられ工具を該テーパ部で支持
   する工具支持部材と、該工具支持部材を貫通して
   タレツト割出軸線に直角な方向に移動自在に設け
   られ前記工具支持部材のテーパと向きの違うテー
   パ面を構成して工具に係合するコレツトと、該コ
   レツトの端部に結合し該コレツトと同方向に移動
   自在にタレツト内に設けられ円筒形状の空間を有
   してシリンダ体をなす中空円筒部材と、該中空円
   筒部材と前記工具支持部材間に設けられ前記中空
   円筒部材をタレツト中心側に付勢するばね材と、
   前記中空円筒部材と結合し該中空円筒部材内に密
   封室を構成するとともに前記カムと係合し該カム
   の移動方向と直交する方向に移動可能なカム係合
   部材と、前記中空円筒部材の密封室内にあり外部
   から供給される流体によりタレツト外方へ移動可
   能なピストンと、該ピストンの一端に結合され他
   端は前記コレツトを貫通して設けられ移動動作に
   よりコレツトの開閉動作を行わしめる芯金と、か
   らなり前記カムの進退動作でコレツトを開閉し工
   具を締結するようにしたことを特徴とする旋削工
   作機械のツールロツク装置。