JP7511427B2 - 電極用触媒の製造システムおよび製造方法 - Google Patents

電極用触媒の製造システムおよび製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7511427B2
JP7511427B2 JP2020161816A JP2020161816A JP7511427B2 JP 7511427 B2 JP7511427 B2 JP 7511427B2 JP 2020161816 A JP2020161816 A JP 2020161816A JP 2020161816 A JP2020161816 A JP 2020161816A JP 7511427 B2 JP7511427 B2 JP 7511427B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode catalyst
catalyst precursor
container body
drying
stirring
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020161816A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021153042A (ja
Inventor
博紀 椎名
安宏 関
明伸 竹野谷
誠 西別当
寛 五十嵐
聖崇 永森
美絵 田村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NE Chemcat Corp
Original Assignee
NE Chemcat Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NE Chemcat Corp filed Critical NE Chemcat Corp
Publication of JP2021153042A publication Critical patent/JP2021153042A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7511427B2 publication Critical patent/JP7511427B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Drying Of Solid Materials (AREA)
  • Catalysts (AREA)
  • Inert Electrodes (AREA)
  • Fuel Cell (AREA)

Description

本発明は、電極用触媒の製造システムおよび製造方法に関する。
いわゆる固体高分子形燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell:以下、必要に応じて「PEFC」という)は、作動温度が室温から80℃程度である。また、PEFCは、燃料電池本体を構成する部材に安価な汎用プラスチック等を採用することができるので、軽量化が可能となる。さらに、PEFCは、固体高分子電解質膜の薄膜化が可能であり、電気抵抗を小さくすることができ、発電ロスを比較的容易に少なくすることができる。このようにPEFCは、多くの利点を有しているので、燃料電池自動車、家庭用コジェネレーションシステム等への応用が可能となっている。
PEFC用の電極用触媒としては、例えば担体であるカーボンに電極用触媒成分である白金(Pt)又は白金(Pt)合金が担持された電極用触媒が知られている。こうした電極用触媒を燃料電池用の電極用触媒として使用する場合、電極用触媒に、その原料に由来する不純物やその製造設備から混入する不純物の含有量が多いと、十分な触媒活性を得ることができなかったり、触媒層の腐食が発生し、燃料電池の寿命が短縮してしまったりする。そのため、電極用触媒の不純物の含有量、特に塩素含有量を低く抑えることが好ましい。ここで、不純物としては、ハロゲンに属する化学種(イオンやその塩など)、有機物(有機酸、その塩、有機酸の縮合物)などが挙げられる。
こうした理由から、電極用触媒の原料である電極用触媒前駆体の製造後に、塩素を除去する工程が行われる場合があり、その場合は、洗浄工程後の電極用触媒前駆体を乾燥する工程が行われる。例えば、特許文献1および2には、洗浄後の乾燥方法に関して、棚式乾燥機、回転乾燥機、気流乾燥機、噴霧乾燥機 撹拌乾燥機、凍結乾燥機などを使用することができると記載されている。
特開2013-158674号公報 特開2014-42910号公報
例えば、棚式乾燥機を用いて電極用触媒前駆体を乾燥する場合は、乾燥を効率的に行うために、湿った電極用触媒前駆体の塊を細かく解砕してから棚式乾燥機に入れて乾燥し、乾燥後も、乾燥した電極用触媒前駆体の塊を細かく粉砕する工程が行われることがあった。この従来の電極用触媒前駆体の乾燥方法では、洗浄後の湿った電極用触媒前駆体を解砕する専用の解砕機と、乾燥させた電極用触媒前駆体を粉砕するハンマーミルとを必要とし、解砕機から乾燥機、乾燥機からハンマーミルへと、電極用触媒前駆体を移すための作業が必要とされていた。しかし電極用触媒前駆体を構成する白金は高い活性を有し、急激に空気中の酸素に触れると燃焼する恐れがあるため、慎重な作業が要求されていた。また棚式乾燥機で電極用触媒前駆体を乾燥する方法では、電極用触媒前駆体を静置して輻射伝熱により乾燥する方式のため乾燥速度が遅く長時間を費やしてしまうという問題もあった。特許文献1および2では、燃料電池用触媒の乾燥に撹拌乾燥機を用いることができることが記載されているが、撹拌乾燥機の具体的構成、運転条件の記載はない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、作業者による電極用触媒前駆体を移すための作業をなくし、且つ、電極用触媒前駆体の乾燥時間を短縮することで、電極用触媒を製造するための手間と時間を大幅に低減することができる電極用触媒の製造システムおよび製造方法を提供する。
本発明はかかる課題を解決するため、
電極用触媒の原料である電極用触媒前駆体を製造する電極用触媒前駆体製造装置と、
前記電極用触媒前駆体を洗浄する洗浄装置と、
前記洗浄装置により洗浄された前記電極用触媒前駆体を、不連続な傾斜パドル翼を有する攪拌羽根を備えた攪拌処理装置により乾燥する乾燥装置とを有する、電極用触媒を製造するための製造システムであって、
前記乾燥装置は、
前記電極用触媒前駆体を前記攪拌処理装置の容器本体に導入する導入工程と、
前記容器本体を加熱すると共に減圧し、前記容器本体内の前記電極用触媒前駆体を前記攪拌羽根により攪拌混合することにより、前記電極用触媒前駆体を乾燥させる乾燥工程と、
前記容器本体を冷却すると共に減圧し、前記容器本体内の前記電極用触媒前駆体を前記攪拌羽根により攪拌混合することにより、前記電極用触媒前駆体を冷却させる冷却工程と、
前記容器本体内に空気を供給し、前記電極用触媒前駆体を徐酸化処理する徐酸化工程と、
前記容器本体内の前記電極用触媒前駆体を取り出す取出し工程とを実行する手段を備える電極用触媒の製造システムを提供する。
前記電極用触媒の製造システムは、
前記攪拌羽根は、駆動装置により回転することで当該攪拌羽根を回転させる回転主軸と、前記容器本体内で前記電極用触媒前駆体を攪拌混合する前記傾斜パドル翼と、前記回転主軸および前記傾斜パドル翼を接続する回転翼支柱とを備え、
前記回転主軸および前記回転翼支柱は中空の管状に形成され、
前記回転翼支柱は、先端部の下側にガス噴出孔が設けられ、
前記回転主軸は、ガスの流路に接続される場合がある。
また、本発明は、
電極用触媒の原料である電極用触媒前駆体を製造する電極用触媒前駆体製造ステップと、
前記電極用触媒前駆体を洗浄する洗浄ステップと、
前記洗浄ステップで洗浄された洗浄後の前記電極用触媒前駆体を、不連続な傾斜パドル翼を有する攪拌羽根を備えた攪拌処理装置により乾燥する乾燥ステップとを含む、電極用触媒を製造するための製造方法であって、
前記乾燥ステップは、
前記攪拌処理装置の容器本体を加熱すると共に減圧し、前記容器本体内の前記電極用触媒前駆体を前記攪拌羽根により攪拌混合することにより、前記電極用触媒前駆体を乾燥させる乾燥工程と、
前記容器本体を冷却すると共に減圧し、前記容器本体内の前記電極用触媒前駆体を前記攪拌羽根により攪拌混合することにより、前記電極用触媒前駆体を冷却させる冷却工程と、
前記容器本体内に空気を供給し、前記電極用触媒前駆体を徐酸化処理する徐酸化工程とを含む電極用触媒の製造方法を提供する。
前記電極用触媒の製造方法において、
前記容器本体内の前記電極用触媒前駆体を取り出す取出し工程を更に含み、
前記電極用触媒の製造方法において、前記取出し工程は、前記傾斜パドル翼を支持する回転翼支柱の先端に設けられたガス噴出孔から下向きにガスを噴出させるスクレーパー工程を含む場合がある。
前記電極用触媒の製造方法において、
前記乾燥ステップを経て得られる前記電極用触媒前駆体の物性分析を実施する第1分析工程と、
前記乾燥ステップを経て得られる前記電極用触媒前駆体とイオン交換水とを混合して再びスラリーを調製するリスラリーステップと、
前記リスラリーステップを経て得られる前記スラリーを乾燥させ、所定の範囲の含水率に調節された複数の固体状の触媒ケーキを調製する触媒ケーキ調製ステップと、
を更に含む場合がある。
前記電極用触媒の製造方法において、前記触媒ケーキ調製ステップにおいて使用する撹拌式乾燥装置が、前記攪拌処理装置である場合がある。
前記電極用触媒の製造方法において、前記リスラリーステップにおいて撹拌装置を具備する反応器を使用する場合がある。
前記電極用触媒の製造方法において、前記反応器が前記攪拌処理装置である場合がある。
前記電極用触媒の製造方法において、前記触媒ケーキの含水率が80wt%未満である場合がある。
前記電極用触媒の製造方法において、前記触媒ケーキ調製ステップを経て得られる前記触媒ケーキの含水率を測定する第2分析工程を更に含む場合がある。
本発明の電極用触媒の製造システムおよび製造方法によれば、作業者による電極用触媒前駆体を移すための作業をなくし、且つ、電極用触媒前駆体の乾燥時間を短縮することで、ハロゲン含有量、特に塩素含有量を低く抑えた電極用触媒を製造するための手間と時間を大幅に低減することができる。
本発明の電極用触媒の製造システムの好適な一実施形態を示すブロック図である。 本発明の電極用触媒の製造システムおよび製造方法の乾燥装置の好適な一実施形態を示す概略図である。 本発明の電極用触媒の製造システムおよび製造方法の乾燥装置の攪拌羽根の好適な一実施形態を示す概略図である。 本発明の電極用触媒の製造システムおよび製造方法の乾燥ステップにおける乾燥装置の動作状態の好適な一実施形態を示す概略図である。 本発明の電極用触媒の製造システムおよび製造方法で製造できる電極用触媒(コア・シェル触媒)の構造の一例を示す模式断面図である。 本発明の電極用触媒の製造システムおよび製造方法で製造できる電極用触媒(コア・シェル触媒)の構造の別の一例を示す模式断面図である。 本発明の電極用触媒の製造システムおよび製造方法で製造できる電極用触媒(コア・シェル触媒)の構造の別の一例を示す模式断面図である。 本発明の電極用触媒の製造システムおよび製造方法で製造できる電極用触媒(コア・シェル触媒)の構造の別の一例を示す模式断面図である。 本発明の電極用触媒の製造方法の流れの好適な一実施形態を示すフロー図である。 本発明の電極用触媒の製造方法の乾燥ステップの流れの好適な一実施形態を示すフロー図である。 本発明の電極用触媒の製造システムの好適なさらなる実施形態を示すブロック図である。 本発明の電極用触媒の製造方法のリスラリーステップの流れの好適な一実施形態を示すフロー図である。
以下、図面を参照して、本発明の電極用触媒の製造システムおよび製造方法の好ましい実施形態について説明する。
<電極用触媒の製造システム>
図1は、第1の実施形態に係る電極用触媒の製造システムの概略を示すブロック図である。電極用触媒の製造システム10は、電極用触媒1(図5を参照)の原料である電極用触媒前駆体を製造する電極用触媒前駆体製造装置12と、電極用触媒前駆体を洗浄する洗浄装置13と、洗浄装置13により洗浄された洗浄後の電極用触媒前駆体41(図10を参照)を、不連続な傾斜パドル翼を有する攪拌羽根を備えた攪拌処理装置により乾燥する乾燥装置14とを有する。
(電極用触媒前駆体製造装置)
電極用触媒前駆体製造装置12は、電極用触媒1の原料である電極用触媒前駆体を製造する。電極用触媒前駆体製造装置12は、電極用触媒前駆体を製造するための反応工程を実行する反応工程実行手段21を含む。反応工程では、電極用触媒1の原料である電極用触媒前駆体が、電極用触媒1の触媒成分(コア部4、シェル部5)を担体2に担持させることにより製造される(図5を参照)。電極用触媒前駆体の製造方法は、担体2に電極用触媒1の触媒成分を担持させることができる方法であれば、特に制限されるものではない。例えば、担体2に電極用触媒1の触媒成分を含有する溶液を接触させ、担体2に触媒成分を含浸させる含浸法、電極用触媒1の触媒成分を含有する溶液に還元剤を投入して行う液相還元法、アンダーポテンシャル析出(UPD)法等の電気化学的析出法、化学還元法、吸着水素による還元析出法、合金触媒の表面浸出法、置換めっき法、スパッタリング法、真空蒸着法等を採用した製造方法を例示することができる。
(洗浄装置)
洗浄装置13は、上記の電極用前駆体製造装置12で製造された電極用触媒前駆体を洗浄する。洗浄装置13では、電極用前駆体製造装置で製造された電極用触媒前駆体を洗浄およびろ過するための洗浄工程を実行する洗浄工程実行手段22を含む。洗浄工程における洗浄方法およびろ過方法としては、従来の遠心分離機(図示せず)等の他、フィルタープレス(図示せず)を使用した洗浄方法およびろ過方法を採用することができる。
(乾燥装置)
図2は本発明に係る乾燥装置14の概略構成を示している。乾燥装置14は、上記の洗浄装置13で洗浄された電極用触媒前駆体を、攪拌羽根104を備えた攪拌処理装置101により乾燥する。乾燥装置としての攪拌処理装置101は、逆円錐形の中空容器状の容器本体102と、容器本体102の内部を減圧する減圧機構103と、攪拌羽根104と、を主に備えている。容器本体102は、上部が、容器本体102に着脱可能に設けられる蓋105で覆われており、周壁には、容器本体102の内部を加熱する加熱媒体としてのスチームSを流すジャケット106が設けられ、外側面に容器本体102を支持する支持部110,110が設けられている。支持部110,110の下面には重量変化が確認可能なロードセル112,112が設けられており、ロードセル112,112を介して支持部110,110を設置場所に設置することで、容器本体102が設置場所に吊設されるようになっている。また容器本体102の内部を攪拌するように攪拌羽根104が設けられ、攪拌羽根104の駆動装置107が容器本体102上部の蓋105に設けられ、容器本体102の下端である円錐頂部に、容器本体102内の電極用触媒前駆体を取り出す開口部108が形成される。この開口部108には取出バルブ109が設けられ、当該取出バルブ109を操作して開口することにより容器本体102内の電極用触媒前駆体を取り出す構成となっている。そして、供給口111が容器本体102上部の蓋105に設けられ、この供給口111に投入口としてのマンホール115が設けられて、当該マンホール115を操作して開口することにより電極用触媒前駆体を容器本体102に供給するようになっている。またジャケット106には、スチームSを注入する加熱媒体注入口113と、スチームSを排出する加熱媒体排出口114とが設けられている。そして容器本体102には、温度指示調節計116が設けられており、これにより容器本体102内の電極用触媒前駆体の温度の監視を行ない、加熱媒体注入口113に供給されるスチームSの量と加熱媒体排出口114から排出されるスチームSの量とを調節することにより、容器本体102内の電極用触媒前駆体の温度を調節できるようになっている。また、加熱媒体注入口113は加熱媒体に加えて冷却媒体Cも注入できるように構成されており、加熱媒体排出口114は加熱媒体に加えて冷却媒体Cも排出できるように構成されている。
図3Aは攪拌羽根104の概略図を示している。攪拌羽根104は、蓋105の中心を貫通して延びている回転主軸122と、この回転主軸122に多段に配置されるように接続され、回転主軸122と共に回転する複数の攪拌翼123および複数の補助翼124と、リボン翼125と、を備えており、回転主軸122、攪拌翼123、複数の補助翼124およびリボン翼125が一体に構成されている。
回転主軸122は、シールユニット121(図2参照)を介して駆動装置107に組み込まれており、この駆動装置107を駆動させることにより回転主軸122が回転し、それに伴い、回転主軸122と一体に構成された攪拌翼123、補助翼124およびリボン翼125を回転させる。したがって駆動装置107により回転主軸122が回転することで、回転主軸122が攪拌羽根104を回転させる構成となっている。また回転主軸122は中空の管状に形成されており、同じく中空の管状に形成された、後述するアーム128と流通可能に連結されている。そして回転主軸122の駆動装置107側の端部が、スクレーパー用の気体Gの流路、例えば窒素ガス、常圧空気、窒素ガスと酸素ガスとを任意の割合で混合し酸素ガス濃度を調製した混合ガス、窒素ガスと空気とを任意の割合で混合し酸素ガス濃度を調製した混合ガス、高圧空気の流路に流通可能に接続され、例えば後述する徐酸化工程実行手段34や取出し工程実行手段35により、当該気体Gを回転主軸122に注入するように構成されている。
図2を参照すると、駆動装置107はギアドモータ等を使用しており、回転数を所定の値に調整して攪拌羽根104を回転させるようになっている。また駆動装置107は攪拌羽根104の回転及び位置を検出する位置検出装置(図示せず)を備えている。シールユニット121は、例えばドライシールおよびメカニカルシールを装着しており、容器本体102内が高真空または高圧の時でも処理の対応ができるように構成されている。
図3Aに戻って説明すると、攪拌翼123は、不連続な傾斜パドル翼としての羽根板127と、この羽根板127および回転主軸122を接続する回転翼支柱としてのアーム128とから構成される。アーム128は、回転主軸122の軸方向の上方から下方に行くにつれて、徐々にその長さが短くなるように形成されており、容器本体102に攪拌羽根104が配置されたときに、各羽根板127が円錐形状の容器本体102の内壁面に沿って、僅かなクリアランスを保って配置されるように構成されている。また図3Bに示されるように、それぞれのアーム128は、上下のアーム128に対して均等な角度αをなした位置に設けられている。本実施例では、前記均等な角度αは120°を採用しているが、他の角度を採用してもよい。また各アーム128の先端部の下側にはスクレーパー用のガス噴出孔129が設けられており、上述した気体Gの流路から気体Gが回転主軸122に注入されると、回転主軸122内および各アーム128内を通って各ガス噴出孔129から気体Gが噴射するように構成されており、後述する取出し工程S35のときに電極用触媒前駆体の滞留を防止するようになっている。
羽根板127はパドル形状であり、一定幅を有する短辺と、容器本体102の内壁面に対して平行な曲線からなる長辺とで形成される平板形状で構成されている。各羽根板127は、所定の傾きを有して各アーム128に接続され、図3Aにおいて、容器本体102内で各羽根板127が矢印の方向Aに回転することで、電極用触媒前駆体が容器本体102の内壁面に沿って上昇するように構成されている。前記所定の傾きは、15°~45°とすることが好ましい。
図3Aおよび図3Bに示されるように、補助翼124は矩形状の平板であり、回転主軸122において回転軸に沿って攪拌翼123の上方もしくは下方に設けられている。そのため攪拌翼123と同様に、それぞれの補助翼124は上下の補助翼124に対して均等な角度αをなした位置に設けられる。図3Aにおいて、容器本体102内で補助翼124が矢印の方向Aに回転することで、容器本体102中心部の混合不良を解消すると共に、回転主軸122やアーム128に電極用触媒前駆体が付着することを抑制する。
リボン翼125は、回転主軸122の下方に設けられ、アーム141により回転主軸122に確実に固定されている。このリボン翼125は螺旋状に形成されており、この螺旋の内側にセンターシャフトを設ける代わりに、補強部142,143により螺旋同士を補強している。このように構成することで、回転主軸122が容器本体102の中心を貫通している構成と比較して、密な構成を緩和させることができるため、取出し工程で開口部108から容器本体102内の電極用触媒前駆体を取り出すときに、電極用触媒前駆体がリボン翼125の中央を通り抜けることができ、取り出すときの抵抗を少なくして取出し時間を短縮させることができ、また、容器本体102の下部における電極用触媒前駆体の付着も抑制することができる。図3Aにおいて、容器本体102内でリボン翼125が矢印の方向Aに回転することで、電極用触媒前駆体が容器本体102の内壁面に沿って上昇するように構成され、容器本体102の下部における電極用触媒前駆体の攪拌を促進させる。
図2に戻って、減圧機構103について説明すると、131はバグフィルタであり、蓋105の排気孔132に設けられ、このバグフィルタ131を介して、容器本体102内で電極用触媒前駆体から蒸発した液体や気体が排出される。また133は凝縮器であるコンデンサであり、バグフィルタ131から流れてきた液体を凝縮するものである。このコンデンサ133と蓋105の排気孔132とは、バグフィルタ131を介して接続配管135により接続される。そして134は真空ポンプであり、吸引配管136によりコンデンサ133と接続しており、この真空ポンプ134を駆動することにより、容器本体102内からバグフィルタ131およびコンデンサ133に、電極用触媒前駆体から蒸発した液体や気体が流れるように構成されている。また接続配管135には、減圧乾燥を行なう場合に容器本体102内の圧力を調節するように、圧力指示調節計137が設けられている。圧力指示調節計137の調節信号により、吸引配管136に設けられた調節弁138を調節し、真空ポンプ134で吸引する真空度を調節するようになっている。なお接続配管135によりバグフィルタ131から流れてきた気体および蒸気はコンデンサ133で凝縮処理され、凝縮しやすい成分は凝縮液として気体と分離される。分離された気体が吸引配管136により真空ポンプ134に吸気されて、この真空ポンプ134から排気される。なお、容器本体102下部にエアブローノズル(図示せず)を設け、このエアブローノズルにより不活性ガスや空気を入れることにより、容器本体102を減圧状態から常圧状態に戻すように構成してもよい。
乾燥装置14は、図1のブロック図および図10のフローチャートに示すように、導入工程S31と、乾燥工程S32と、冷却工程S33と、徐酸化工程S34と、取出し工程S35とをそれぞれ実行する手段である、導入工程実行手段31と、乾燥工程実行手段32と、冷却工程実行手段33と、徐酸化工程実行手段34と、取出し工程実行手段35とを備えている。各工程S31~S35について以下に説明する。
[導入工程]
導入工程S31は、洗浄された電極用触媒前駆体を乾燥装置14内に導入する工程であり、導入工程実行手段31により実行される。図4Aを参照して説明すると、導入工程実行手段31は、攪拌処理装置101のマンホール115を操作して開口させ、所定の含水率の電極用触媒前駆体を供給口111から容器本体102に導入する。電極用触媒前駆体の前記含水率は事前に計測されていることが好ましい。この電極用触媒前駆体を導入する方法は、図4Aに示すように、漏斗などを用いて人の手による作業で導入されてもよく、電極用触媒前駆体が移送される管やベルトコンベア等から、人の手を介さずに直接導入されてもよい。ここで、導入された電極用触媒前駆体の重量がロードセル112,112により計測される。なお、この導入工程S31の前に、ジャケット106にスチームSを注入して容器本体102内を所定の温度に予熱する予熱工程が行なわれてもよい。その後、導入工程実行手段31は、マンホール115を操作して閉口させて容器本体102を密閉し、導入工程S31が完了する。
[乾燥工程]
乾燥工程S32は、容器本体102内に導入された電極用触媒前駆体を乾燥させる工程(いわゆる真空乾燥を実施する工程)であり、乾燥工程実行手段32により実行される。図4Bに図2等を併せて参照して説明すると、乾燥工程実行手段32は、駆動装置107を駆動させて攪拌羽根104を回転させると共に、真空ポンプ134を駆動させて容器本体102内を排気及び減圧し、圧力指示調節計137により操作圧力を所定の圧力に調整して電極用触媒前駆体を攪拌混合する。前記攪拌羽根104の回転速度は、毎分50~100回転とすることが好ましく、また前記操作圧力は、5~20kPa(ゲージ圧)とすることが好ましい。また乾燥工程実行手段32は、温度指示調節計116により加熱媒体注入口113からジャケット106にスチームSを注入し、当該スチームSの伝導伝熱により容器本体102を加熱することで容器本体102内の電極用触媒前駆体を所定の温度(乾燥温度)に調節して乾燥させる。前記乾燥温度は、50~150℃の範囲から選択される値とすることが好ましい。なお、操作圧力及び加熱温度は、電極用触媒前駆体の温度(品温)を測定し当該品温の変化の度合いをみて乾燥時間の調節のために乾燥工程の最中に変更してもよい。
乾燥工程S32における容器本体102内の電極用触媒前駆体の循環流について、さらに詳細に説明すると、攪拌羽根104が回転することで、リボン翼125により、電極用触媒前駆体が容器本体102下部の内側壁面に沿って上昇し、羽根板127により電極用触媒前駆体が容器本体102の内側壁面に沿ってさらに上昇する。このとき、多段に配置され、不連続な傾斜パドル翼である羽根板127の先端部が電極用触媒前駆体にせん断力を与え、電極用触媒前駆体を分散混合して凝集物の発生を抑制する。また羽根板127は翼が連続していないため、電極用触媒前駆体の転動作用を小さくすることができ、凝集物の発生を抑制することができる。
そして、電極用触媒前駆体が容器本体102周辺で高い位置までかき上げられる一方で、容器本体102中心部分で深く落ち込むような現象である「ボルテックス」の発生を、不連続な傾斜パドル翼である羽根板127は少なくすることができ、偏析の発生を抑制することができる。その後、電極用触媒前駆体は、容器本体102の上部で折り返して回転主軸122の回転軸中心部に吸い込まれて下方に移動する流れを形成するが、回転軸中心部では、補助翼124により電極用触媒前駆体へ攪拌作用が付加され、回転主軸122周辺の電極用触媒前駆体を流動化させて、回転主軸122やアーム128に電極用触媒前駆体が付着することが抑制される。
また電極用触媒前駆体から蒸発した蒸気や気体は真空ポンプ134により吸引され、バグフィルタ131により粉塵が濾過捕集される。その後、接続配管135を通ってコンデンサ133に流れ、コンデンサ133により冷却され凝縮液化されて凝縮液が回収されると共に、真空ポンプ134により気体が排気される。このようにして電極用触媒前駆体から蒸気や気体が蒸発することで、電極用触媒前駆体の重量が変化する。このときの容器本体102内の電極用触媒前駆体の重量はロードセル112,112により計測されており、導入時の電極用触媒前駆体の重量及び含水率、および現在の電極用触媒前駆体の重量から、現在の電極用触媒前駆体の含水率が算出される。容器本体102内の電極用触媒前駆体が所定の含水率以下になったときに乾燥工程S32が完了する。前記所定の含水率は3wt%とすることが好ましい。
[冷却工程]
冷却工程S33は、容器本体102内で乾燥させた電極用触媒前駆体を冷却させる工程であり、冷却工程実行手段33により実行される。図4Cに図2等を併せて参照して説明すると、冷却工程実行手段33は温度指示調節計116により加熱媒体排出口114からジャケット106内のスチームSを排出する。ここで冷却工程実行手段33は駆動装置107および真空ポンプ134の駆動を継続させ、攪拌羽根104を回転させると共に容器本体102内を排気及び減圧して、電極用触媒前駆体の攪拌混合を継続する。この時の前記攪拌羽根104の回転速度は、毎分50~100回転とすることが好ましく、また前記減圧時の圧力は、大気圧とすることが好ましい。また冷却工程実行手段33は、温度指示調節計116により加熱媒体注入口113からジャケット106へ冷却媒体Cを注入させ、冷却媒体の伝導伝熱により容器本体102を冷却することで容器本体102内の電極用触媒前駆体を所定の温度に冷却する。冷却媒体Cの温度は10~30℃とすることが好ましく、前記所定の温度は、40℃以下、好ましくは10~40℃の範囲から選択される値とすることが好ましい。冷却工程実行手段33が温度指示調節計116により、電極用触媒前駆体が前記所定の温度になったことを検出したときに冷却工程が完了する。
[徐酸化工程]
徐酸化工程S34は、容器本体102内で冷却された電極用触媒前駆体を徐酸化処理する工程であり、徐酸化工程実行手段34により実行される。徐酸化工程実行手段34は、加熱媒体排出口114からジャケット106内の冷却媒体Cを排出し、駆動装置107および真空ポンプ134を停止し、マンホール115を操作して容器本体102内の圧力を少しずつ常圧に戻すことにより、乾燥した電極用触媒前駆体の徐酸化を行なう。なお、スクレーパー用の気体Gが高圧空気の場合は、徐酸化工程実行手段34が高圧空気をスクレーパー用の気体Gの流路から回転主軸122に注入し、各ガス噴出孔126から高圧空気を噴射させることにより容器本体102内の圧力を少しずつ常圧に戻すように構成してもよい。また容器本体102下部にエアブローノズルが設けられている場合は、徐酸化工程実行手段34が当該エアブローノズルにより容器本体102内の圧力を少しずつ常圧に戻すように構成してもよい。容器本体102内の電極用触媒前駆体の徐酸化処理が完了したときに徐酸化工程が完了する。
なお、徐酸化工程S34では、容器本体102内の圧力を少しずつ常圧に戻し、容器本体102内を最終的に常圧の空気の雰囲気に戻す際に、各ガス噴出孔126から窒素ガスと酸素ガスとを任意の割合で混合し酸素ガス濃度を調製した混合ガス、又は、窒素ガスと空気とを任意の割合で混合し酸素ガス濃度を調製した混合ガスを噴出させ、容器本体102内の酸素ガス濃度を本工程中で電極用触媒前駆体が発火しないよう予め実験的に求められた数値範囲に制御しながら経時的に増加させ、最終的に空気と同じ酸素濃度にすることが好ましい。
[取出し工程]
取出し工程S35は、容器本体102内で冷却された電極用触媒前駆体を取出す工程であり、取出し工程実行手段35により実行される。図4Dに図2等を併せて参照して説明すると、取出し工程実行手段35は、取出バルブ109を操作して開口することにより、開口部108から容器本体102内の電極用触媒前駆体を取り出す。攪拌処理装置101は容器本体102の内部構造がシンプルであり、また螺旋状に形成されたリボン翼125はセンターシャフトを有しない構成であるため、取出し工程S35のときに電極用触媒前駆体の残粉を少なくすることができる。また、このとき取出し工程実行手段35は、スクレーパー用の気体Gの流路から気体Gを回転主軸122に注入させ、各ガス噴出孔126から気体Gを下向きに噴射させるスクレーパー工程を実施することにより、容器本体102内壁や攪拌羽根104に付着した電極用触媒前駆体を下方に吹き飛ばし、電極用触媒前駆体の回収率を高める。容器本体102内の電極用触媒前駆体を全て取り出したときに取出し工程が完了する。
<電極用触媒>
本実施形態で製造する電極用触媒の構造は特に限定されず、導電性担体(導電性カーボン担体、導電性金属酸化物担体など)の担体に貴金属触媒粒子が担持された構造を有していればよい。例えば、いわゆるPt触媒、Pt合金触媒(PtCo触媒、PtNi触媒など)及びコア・シェル構造を有するいわゆるコア・シェル触媒であってもよい。
例えば、コア部4の構成元素としてパラジウム、シェル部5の構成元素として白金を採用した構成のコア・シェル触媒は、白金(Pt)の塩化物塩、パラジウム(Pd)の塩化物塩などの塩素(Cl)種を含む材料が原料として使用される場合が多い。本実施形態に係る電極用触媒の製造システムおよび製造方法によれば、これらの塩素(Cl)種の含有量を低減した電極用触媒を製造することができる。
電極用触媒の構造の一例について図を参照してより詳しく説明すると、コア・シェル構造を有する電極用触媒1は、図5に示すように、担体2と、当該担体2上に担持された触媒粒子3とを含む。触媒粒子3は、コア部4と、コア部4の少なくとも一部を被覆するように形成されたシェル部5とを備える。触媒粒子3はコア部4とコア部4上に形成されるシェル部5とを含むいわゆるコア・シェル構造を有する。
すなわち、電極用触媒1は、担体2に担持された触媒粒子3を有しており、この触媒粒子3は、コア部4を核(コア)とし、シェル部5がシェルとなってコア部4の表面を被覆する構造を備える。また、コア部4の構成元素(化学組成)と、シェル部5の構成元素(化学組成)は異なる構成となっている。
コア・シェル構造の具体例をさらに例示すると、図6では、電極用触媒1Aが、コア部4と、コア部4の表面の一部を被覆するシェル部5aおよびコア部4の他の表面の一部を被覆するシェル部5bから構成される触媒粒子3aを有する。また図7では、電極用触媒1Bが、コア部4と、コア部4の表面の略全域を被覆するシェル部5から構成される触媒粒子3を有し、シェル部5が第1シェル部6と第2シェル部7とを備えた二層構造である。さらに図8では、電極用触媒1Cが、コア部4と、コア部4の表面の一部を被覆するシェル部5a、およびコア部4の他の表面の一部を被覆するシェル部5bから構成される触媒粒子3aを有し、シェル部5aが第1シェル部6aと第2シェル部7aとを備えた二層構造であり、シェル部5bが第1シェル部6bと第2シェル部7bとを備えた二層構造である。
本実施形態において、塩素(Cl)種とは、構成成分元素として塩素を含む化学種をいう。具体的には、塩素を含む化学種には、塩素原子(Cl)、塩素分子(Cl)、塩素化物イオン(Cl)、塩素ラジカル(Cl・)、多原子塩素イオン、塩素化合物(X-Cl等、ここで、Xは対イオン)が含まれる。
本実施形態において、臭素(Br)種とは、構成成分元素として臭素を含む化学種をいう。具体的には、臭素を含む化学種には、臭素原子(Br)、臭素分子(Br)、臭素化物イオン(Br)、臭素ラジカル(Br・)、多原子臭素イオン、臭素化合物(X-Br等、ここで、Xは対イオン)が含まれる。
<電極用触媒の製造方法>
図9に示すように、本実施形態に係る電極用触媒の製造方法は、電極用触媒の原料である電極用触媒前駆体を製造する電極用触媒前駆体製造ステップS1と、電極用触媒前駆体製造ステップS1で製造された電極用触媒前駆体を洗浄する洗浄ステップS2と、洗浄ステップS2で洗浄された電極用触媒前駆体を、羽根板127を有する攪拌羽根104を備えた攪拌処理装置101により乾燥する乾燥ステップS3とを含む。各ステップS1,S2,S3は、上述の電極用触媒の製造システム10の電極用触媒前駆体製造装置12、洗浄装置13、および、攪拌処理装置101でそれぞれ実行されることができる。
乾燥ステップS3は、図10に示すように、導入工程S31と、乾燥工程S32と、冷却工程S33と、徐酸化工程S34と、取出し工程S35とを含む。乾燥ステップS3では、洗浄ステップS1で洗浄された電極用触媒前駆体を乾燥することにより、乾燥後の電極用触媒前駆体41を得ることができる。各工程S31~S35の構成は上述の<電極用触媒の製造システム>(乾燥装置)で説明した通りである。
ここに記述される実施例は本発明の実施形態を例示するものであり、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
<電極用触媒前駆体の製造(反応工程、電極用触媒前駆体製造ステップ)>
(製造例1)
[電極用触媒前駆体を含む液(原液)の調製]
電極用触媒として、Pt粒子担持カーボン触媒(以下、「Pt/C触媒」という。N.E.CHEMCAT社製、Pt担持率50wt%、商品名:「SA50BK」)を使用した。まずその前駆体を含む液を調製した。
この前駆体の担体には、市販の導電性中空カーボン担体{ライオン株式会社製、商品名「カーボンECP」(登録商標)(ケッチェンブラックEC300J)、比表面積750~800m/g}を使用した。
この担体と水溶性Pt塩とを水中に分散させた。次に、担体と水溶性Pt塩を含む分散液に水溶性還元剤を添加し所定の温度でPt成分の還元反応を進行させた。これにより、本実施形態で使用する電極用触媒前駆体を含む液を調製した。
上述のようにして得られた電極用触媒前駆体の粉体を乾燥させずにケトルに分散させて、洗浄装置で処理する原液として使用した。
<電極用触媒の製造>
(実施例1)
[洗浄装置による処理(洗浄ステップ)]
製造例1で得られた電極用触媒前駆体を含む液を洗浄装置に導入して洗浄処理を行い、電極用触媒前駆体を含むケーキを得た。
(実施例1)
[乾燥装置による処理(乾燥ステップ)]
洗浄装置による処理後に得られた電極用触媒前駆体を含むケーキを乾燥装置としての攪拌処理装置101に導入し、乾燥ステップS3を行った。
なお、本実施例1では、撹拌機構を有する攪拌処理装置101を使用した電極用触媒前駆体を含むケーキの乾燥を実施するため、後述の比較例1で実施する電極用触媒前駆体を含むケーキの解砕(棚段真空乾燥機に導入する前のケーキの粗粉砕)は不要である。即ち、後述の比較例1における解砕工程は不要になる。
攪拌処理装置101における各工程の処理時間を表1に示す。
導入工程S31においてケーキ52kgを仕込むときの攪拌処理装置101の容器本体102内の粉面高さを基に攪拌処理装置101の容量を選定し、容器本体102の有効容量が100Lで羽根板127が不連続な傾斜パドル翼の攪拌処理装置101を採用した。
まず導入工程S31で含水率が約82のケーキ52kgを容器本体102内に仕込むケーキ仕込を行なった。
その後、乾燥工程S32、冷却工程S33、徐酸化工程S34と順に行ない、取出し工程S35でケーキの取出しを行ない、含水率が3wt%以下の電極用触媒を得るために必要とする時間を測定した。
また、攪拌乾燥に伴う「摩擦」が製品に影響を与えないか確認するために、冷却工程S33では攪拌羽根104を回転させると共に、加熱媒体注入口113からジャケット106へ冷却媒体Cを注入し、冷却しながら電極用触媒前駆体での攪拌試験を実施した。
Figure 0007511427000001
(比較例1)
洗浄装置による処理後に得られた電極用触媒前駆体を含むケーキについて、専用の解砕機、棚段真空乾燥機およびハンマーミルを用いて、乾燥ステップを行った。
まずケーキを専用の解砕機で解砕する解砕工程で、含水率が約80~82%の電極用触媒前駆体52kgを得た。
この解砕工程では、ケーキを洗浄装置から取出し、電極用触媒前駆体を含むケーキの解砕(棚段真空乾燥機に導入する前のケーキの粗粉砕)を行う。実施例1の攪拌処理装置101と異なり、本比較例1で使用する棚段真空乾燥機には撹拌機構が装備されていないので解砕機を使用して棚段真空乾燥機に導入する前のケーキの粗粉砕を行い、棚にケーキの解砕物を略均等に配分して配置する必要がある。
その後の導入工程で、この電極用触媒前駆体を、幅600mm、長さ780mm、高さ20mmのパット20枚に配膳するケーキ配膳を行ない、電極用触媒前駆体が配膳されたパットを棚段真空乾燥機に設置して扉を閉め、減圧下で電極用触媒前駆体を乾燥させる乾燥工程、および減圧下で電極用触媒前駆体を冷却させる冷却工程を行なった。
冷却工程の後、扉をゆっくりと開く徐酸化工程を行ない、その後の取出し工程で、棚段真空乾燥機からパットを取り出して電極用触媒前駆体を取り出した。
その後、この取り出した電極用触媒前駆体をハンマーミルで粉砕する粉砕工程を行なって、含水率が3wt%以下の電極用触媒を得るために必要とする時間を測定した。
実施例1の攪拌処理装置101と異なり、本比較例1で使用する棚段真空乾燥機には撹拌機構が装備されていないので、ハンマーミルを使用した電極用触媒前駆体の粉体の塊を粉砕することが必要になる。また、ハンマーミルの粉砕前に棚段真空乾燥機から電極用触媒前駆体の粉体の塊を取り出す必要が生じる。
<評価結果>
表1に示すように、実施例1において、導入工程S31では電極用触媒前駆体を配膳する必要が無く、容器本体102に電極用触媒前駆体を仕込むだけなので、比較例1では2時間必要とするところを0.4時間まで短縮できた。
また実施例1において、乾燥工程S32および冷却工程S33では、高い混合能力とジャケット106からの伝熱により、棚段真空乾燥機と比較して乾燥速度が向上しており、比較例1では24時間必要とするところを6.3時間まで短縮できた。
ここで、得られた電極用触媒は比較例1と殆ど遜色なく、攪拌乾燥に伴う「摩擦」が製品品質に殆ど影響を与えないことが確認できた。更に、実施例1において、徐酸化工程S34、取出し工程S35では比較例1と比較して時間の短縮は確認できなかった一方で、実施例1では解砕工程および粉砕工程を省略できた。
したがって、本実施形態の電極用触媒の製造システムおよび製造方法によれば、乾燥装置14による処理(乾燥ステップS3)に要する時間を略1/4程度に大幅に短縮することができる。さらに、本実施形態に係る乾燥装置14としての攪拌処理装置101は乾燥工程S32、冷却工程S33、徐酸化工程S34および取出し工程S35を全て自動で行なうことができるため、手間も大幅に低減することができ、可能な限り人の手による作業を介さない電極用触媒の製造方法及び製造システムを提供することができる。
<電極用触媒の製造システム>
図11は、第2の実施形態に係る電極用触媒の製造システムの概略を示すブロック図である。電極用触媒の製造システム150は、第1の実施形態で説明した電極用触媒前駆体製造装置12、洗浄装置13および乾燥装置14に加えて、乾燥後の電極用触媒1や触媒ケーキ調製後のWET品を物性分析する分析装置151と、乾燥後の電極用触媒1にイオン交換水を混合させてリスラリー化する反応器152とをさらに有している。
従来、粉末状の電極用触媒の出荷時の梱包作業や、顧客による電極用触媒使用時の計量作業において、粉末状の触媒の発火、消失の懸念が課題となっており、この電極用触媒の発火、消失対策や将来的な梱包、納入形態において、電極用触媒の紛体を純水で濡らした状態であるWET品での供給が想定され、今後、需要が増大することが見込まれている。しかしながら、例えば重量比で電極用触媒:水を1:4にすると、WET品が固体状とならず液状になってしまう。電極用触媒は高価であるため可能な限り回収する必要があるが、装置や電極用触媒を収容する容器にWET品が粘着してしまま乾燥し容器内壁に付着してしまっていた。また第1の実施形態の乾燥工程S32で電極用触媒:水を所望の重量比のWET品にして取り出す方法も考案されるが、この場合、徐酸化工程S34を経ていない状態のWET品となり、電極用触媒の触媒粒子表面の酸化状態を大気中で十分に安定な状態とできなくなる恐れ、ひいては水素酸化反応、酸素還元反応に対する初期活性が異なる電極用触媒となってしまう恐れがある。またこの場合、洗浄ステップS2では電極用触媒前駆体を洗浄およびろ過するだけであるので、WET品の水分量の均一性にムラが出てしまう可能性があった。このような理由により、WET品での供給は製造元、顧客への供給先の双方で取扱い性、回収性に難があった。
そこで本実施形態では、洗浄後の電極用触媒前駆体を乾燥させ、電極用触媒の触媒粒子表面の酸化状態を大気中で十分に安定な状態とさせる。また、乾燥後の電極用触媒1にイオン交換水を混合させ、電極用触媒を含むスラリーの水分量を均一にしてから固体状(ペレット状、ケーキ状)とできる水準まで乾燥させる。これにより、狙いとなる数値範囲までWET品の水分量を調節して複数の固体状の触媒ケーキに調製しており、所望の重量比のWET品で供給することにより、粉末状の触媒の発火、消失の恐れを確実に防止し、また上記した製造元、顧客への供給先の双方で取扱い性、回収性を向上させている。なお固体状の触媒ケーキについては、触媒の合成プロセスの中で、その触媒担体の表面は、合成に使用される各試薬、各合成反応で生成する生成物、副生成物、不純物から様々な化学作用を受ける。その結果、触媒担体の表面官能基の種類、総量、単位面積当たりの存在量が異なってくる。これにより、触媒の種類(担体の種類)、採用する合成反応プロセスの種類により、触媒の水に対する親和性(濡れ性)は変化する。したがって、取扱い性・回収性に優れた固体状とできる含水率(含水率の範囲)は、各触媒毎に予め実験的に求められるものである。
(分析装置)
分析装置151は、第1の実施形態の乾燥ステップS3を経て得られる電極用触媒1を物性分析する。分析装置151では、第1の実施形態の取出し工程S35で取出された電極用触媒1の第1の物性分析ステップS36を実行する第1の物性分析実行手段153を含む。この第1の物性分析ステップS36では、少なくとも電極用触媒1の触媒担持量、含水率(wt%)、および触媒粒子径を分析することが好ましい。なお本実施形態では、取出し工程S35で取出された電極用触媒1の粉体の一部を抜き取り、分析装置151で物性分析する方法を採用しているが、他の分析方法でもよい。
(反応器)
反応器152は、第1の物性分析ステップS36の後に、上記の乾燥装置14で乾燥された電極用触媒1をリスラリー化する。本実施形態では反応器152を使用して電極用触媒1をリスラリー化しており、必要とする設備が1つ多くなる一方で、電極用触媒1のリスラリー化をより迅速、確実に実行している。反応器152では、取出し工程S35で取出された電極用触媒1をリスラリー化するためのリスラリーステップS40を実行するリスラリーステップ実行手段154を含む。リスラリーステップS40におけるリスラリー化の方法としては、撹拌装置を具備する反応器、例えば撹拌器の付いたケトルを使用したリスラリー化の方法を採用することができる。
リスラリーステップ実行手段154は、図11のブロック図および図12のフローチャートに示すように、導入工程S41と、混合工程S42と、取出し工程S43とをそれぞれ実行する手段である、導入工程実行手段156と、混合工程実行手段157と、取出し工程実行手段158とを備えている。本実施形態では、使用する電極用触媒の触媒粒子表面の酸化状態を大気中で安定な状態に保持するため、各工程S41~S43を常温、大気圧、大気中で実行しており、窒素などの特別なガス雰囲気としていない。各工程S41~S43について以下に説明する。
[導入工程]
導入工程S41は、乾燥装置14で乾燥された電極用触媒1と、混合用のイオン交換水とを反応器152内に導入する工程であり、導入工程実行手段156により実行される。電極用触媒1やイオン交換水を導入する方法は、導入工程S31と同様に、漏斗などを用いて人の手による作業で導入されてもよく、電極用触媒1やイオン交換水が移送される管やベルトコンベア等を反応器152に設けて、人の手を介さずに直接導入されてもよい。
イオン交換水については純水を使用することができ、「超純水」を使用することが好ましい。「超純水」は、
R=1/ρ・・・(1)
の式で表される比抵抗R(JIS規格試験法(JIS K0552)により測定される電気伝導率の逆数)が3.0MΩ・cm以上である水である。なお上記式(1)において、Rは比抵抗を表し、ρはJIS規格試験法(JIS K0552)により測定される電気伝導率を表す。また「超純水」は、JIS K0557「用水・排水の試験に用いる水」に規定されている「A3」のに相当する水質又はそれ以上の清浄な水質を有していることが好ましいが、この式(1)で表される関係を満たす電気伝導率を有している水であれば、特に限定されず、例えば、この「超純水」として、「Milli Qシリーズ」(メルク株式会社製)や「Elix UV シリーズ」(日本ミリポア株式会社製)の超純水製造装置を使用して 製造される超純水を使用してもよい。なおイオン交換水については、必ずしも純水でなくてもよく、例えばpH6~8であって、JIS規格試験法(JIS K0522)により測定される電気伝導率ρiが10μS/cm未満のイオン交換水等も使用することができる。
導入工程S41で導入される電極用触媒1とイオン交換水との重量比は、電極用触媒1とイオン交換水と混合物が液状のスラリーになるくらいの比率であることが好ましく、例えば重量比で電極用触媒:イオン交換水が1:2~1:3.5の範囲の中から触媒種に応じて実験的に最適な比率を定める。本実施形態では、物性分析工程で物性分析された電極用触媒1の触媒担持量や含水率などの結果と、導入される電極用触媒1の分量と、から導入されるイオン交換水の分量が算出され、決定される。なお導入される電極用触媒1の分量は、人の手による作業で計測してもよく、第1の実施形態の取出し工程S35の開始時および終了時において電極用触媒1の重量をロードセル112,112により計測し、その結果を使用して電極用触媒1の分量を算出してもよい。
[混合工程]
混合工程S42は、導入された電極用触媒1とイオン交換水とを反応器152内で混合する工程であり、混合工程実行手段157により実行される。混合工程実行手段157は、反応器152の撹拌装置を駆動させ、常温、大気圧で電極用触媒1とイオン交換水とを撹拌混合する。本実施形態では、電極用触媒1とイオン交換水と混合物が液状のスラリーになるくらいの比率であるため、常温、大気圧でも混合中に電極用触媒1が発火、消失する恐れがなく、また、より均一に前記混合物を撹拌混合することができる。電極用触媒1とイオン交換水が混合されて均一になり、電極用触媒を含むスラリー159が調製されたときに混合工程S42が完了する。なお撹拌装置の駆動時間や回転数については、反応器152の容量や種類、導入された電極用触媒1およびイオン交換水の分量等により異なるため、ここでは詳述しない。
[取出し工程]
取出し工程S43は、反応器152内で調製された電極用触媒を含むスラリー159を取出す工程であり、取出し工程実行手段158により実行される。その後、取出された電極用触媒を含むスラリー159は乾燥装置14に再度導入される。そのため、乾燥装置14に人の手による作業で導入される場合は、電極用触媒を含むスラリー159が一旦別の容器等に取出されてもよい。また乾燥装置14に人の手を介さずに直接導入される場合は、乾燥装置14に管等が連結され、この管等を介して反応器152から乾燥装置14に電極用触媒を含むスラリー159が移送されてもよい。反応器152内の電極用触媒を含むスラリー159を全て取り出したときに取出し工程S43が完了する。なお取出し工程実行手段158については、反応器152の種類等により異なるため、ここでは詳述しない。
(乾燥装置)
乾燥装置14は、リスラリーステップS40でリスラリー化された電極用触媒を含むスラリー159を、攪拌羽根104を備えた攪拌処理装置101で乾燥させ、複数の固体状の触媒ケーキを調製する。この工程で使用する乾燥装置14は、第1の実施形態の乾燥ステップS3で使用した乾燥装置14でもよく、他の乾燥装置14でもよい。乾燥装置としての攪拌処理装置101の構造については第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
固体状の触媒ケーキを調製する触媒ケーキ調製ステップS50は、第1の実施形態の乾燥ステップS3と同様に、導入工程S31’と、乾燥工程S32’と、冷却工程S33’と、冷却されたWET品を徐酸化処理する徐酸化工程S34’と、徐酸化処理されたWET品を取出す取出し工程S35’とを含む。各工程S31’~S35’の動作条件は第1の実施形態の乾燥ステップS3の各工程S31~S35と同様にしており、そのため各工程S31’~S35’の主な作用については、第1の実施形態の乾燥ステップS3の各工程S31~S35の主な作用と同様である。
乾燥工程S32’で、容器本体102内のスラリー159から蒸気や気体が蒸発することで、スラリー159の重量が変化する。このときの容器本体102内のスラリー159の重量はロードセル112,112により計測されており、導入時のスラリー159の重量及び導入工程S41で決定された電極用触媒1とイオン交換水との重量比、及び現在のスラリー159の重量から、現在のスラリー159の含水率が算出される。容器本体102内のスラリー159が所定の含水率以下になり、固体状(ペレット状、ケーキ状)のWET品となったときに乾燥工程S32’が完了する。このように、水分量が均一であるスラリー159を乾燥させて触媒ケーキのWET品を調製することにより、このWET品の水分量を均一にすることができる。ここで、前記所定の含水率は80wt%未満であることが好ましく、容器本体102や攪拌羽根104にWET品が粘着しない。
徐酸化工程S34’で、乾燥ステップS3の時と同様に、加熱媒体排出口114からジャケット106内の冷却媒体Cを排出し、駆動装置107および真空ポンプ134を停止し、供給バルブ115を操作して容器本体102内の圧力を少しずつ常圧に戻すことにより、触媒ケーキのWET品の徐酸化を行なう。そのため、従来の箱型棚式真空乾燥機と比較して、作業時間を大幅に短縮・自動化できる。さらに徐酸化工程S34’も自動化できるため、より確実に徐酸化工程を実施できる。容器本体102内の触媒ケーキのWET品の徐酸化処理が完了したときに徐酸化工程が完了する。
(分析装置)
分析装置151は、触媒ケーキ調製ステップS50を経て得られるWET品を物性分析する。分析装置151では、取出し工程S35’で取出されたWET品の第2の物性分析ステップS60を実行する第2の物性分析実行手段161を含む。この第2の物性分析ステップS60では、少なくともWET品の含水率(wt%)を分析することが好ましい。なお本実施形態では、取出し工程S35’で取出されたWET品の一部を抜き取り、分析装置151で物性分析する方法を採用しているが、他の分析方法でもよい。
[第1収容工程]
第1収容工程は、取出し工程S35’で取出された触媒ケーキのWET品を容器または袋に収容する工程である。この第1収容工程で使用する、収容する容器または袋はプラスチック製であり、内側に帯電防止剤が塗工されている。第2の物性分析工程の実行後、取出し工程S35’で取出されたWET品がこのプラスチック製の包装容器または包装袋に収容される。この第1収容工程は大気中で実行され、WET品を大気に慣らしながら包装容器または包装袋に収容している。この工程では、取出し工程S35’でプラスチック製の包装容器または包装袋を開口部108の下方に予め設置しておき、容器本体102内からこの包装容器内または包装袋内にWET品を落下させるように直接収容するように実行してもよく、取出し工程S35’で一旦取出してから、プラスチック製の包装容器または包装袋に収容するように実行してもよい。
その後、触媒ケーキのWET品を収容したプラスチック製の包装容器または包装袋をさらに容器に収容する。この時に使用する容器はステンレス製のUN缶(国際基準に伴い日本船用品検定協会が行う容器性能試験に合格した“UN検査証(UNマーク)”が表示されている容器:危険物運搬容器)であり、内側に帯電防止剤が塗工されている。このUN缶はSUS316製であることが好ましく、国連番号:3178、品名:その他の可燃性物質、国連分類:4.1に区分される物質を収容可能で、容器等級が2又は3であることが好ましい。第2収容工程の完了後に、このUN缶が移送され、顧客へと供給される。
[第2収容工程]
第2収容工程では、別の態様として、第1収容工程のプラスチック製の包装容器または包装袋の代わりに上記のUN缶を使用している。この場合、使用されるUN缶はWET品を密閉収容できるように構成される。
以上、本発明を実施形態および実施例に基づいて説明したが、本発明は種々の変形実施をすることができる。特に、電極用触媒前駆体製造装置12(反応工程、電極用触媒前駆体製造装置ステップS1)、および、洗浄装置13(洗浄ステップS2)については、特に限定されず、種々の変形例を採用することができる。
またリスラリーステップについては、反応器152を使用せずに乾燥装置14で実行してもよい。この場合、乾燥ステップS3の取出し工程S35およびリスラリーステップの取出し工程S43を省略することができるため、作業時間を大幅に短縮できる。また乾燥装置14の1ポットのみで乾燥工程、リスラリーステップS40および触媒ケーキ調製ステップS50を実行できるため、電極用触媒1や電極用触媒を含むスラリー159を移送する必要がないため、乾燥ステップS3、リスラリーステップS40および触媒ケーキ調製ステップS50を人の手による作業を介することなく自動化でき、より確実に各工程を実施できる。
リスラリーステップS50を乾燥装置14で実行する場合、乾燥ステップS3の徐酸化工程S34の完了後に物性分析工程に移行し、容器本体102内の電極用触媒1の一部を抜き取り、上記と同様に物性分析実行手段153によりこの電極用触媒1の物性分析を実行する。前記物性分析が完了したらリスラリーステップS40の導入工程S41に移行する。
導入工程S41では、導入工程実行手段156により混合用のイオン交換水を容器本体102内に導入する。本実施形態では、イオン交換水が移送される管などのイオン交換水供給ライン(図示せず)が乾燥装置14に設けられており、このイオン交換水供給ラインにより、イオン交換水が人の手を介さずに直接導入される。なおイオン交換水を導入する方法は、導入工程S31と同様に、漏斗などを用いて人の手による作業で導入されてもよい。
混合工程S42では、混合工程実行手段157により駆動装置107を駆動させ、攪拌羽根104を回転させて常温、大気圧で電極用触媒1とイオン交換水とを撹拌混合する。電極用触媒1とイオン交換水が混合されて均一になり、電極用触媒を含むスラリー159が調製されたときに混合工程S42が完了し、触媒ケーキ調製ステップの乾燥工程S32’に移行する。その後の工程は反応器152を使用した場合と同様である。
そして乾燥装置14においても、その構造は図2に示すものに限定されず、容器本体102の構造も図2~図4に示すものに限定されるものではなく、本実施形態に係る乾燥ステップS3の各工程S31~S35において同様の作用効果を得られる構造のものであれば、種々の変形例を採用することができる。
1 電極用触媒
2 担体
3 触媒粒子
4 コア部
5 シェル部
10 電極用触媒の製造システム
12 電極用触媒前駆体製造装置
13 洗浄装置
14 乾燥装置
101 攪拌処理装置
102 容器本体
104 攪拌羽根
122 回転主軸
127 羽根板(傾斜パドル翼)
128 アーム(回転翼支柱)
129 ガス噴出孔
152 反応器
S1 電極用触媒前駆体製造ステップ
S2 洗浄ステップ
S3 乾燥ステップ
S31 導入工程
S32 乾燥工程
S33 冷却工程
S34 徐酸化工程
S35 取出し工程
S36 第1の物性分析ステップ(第1分析工程)
S40 リスラリーステップ
S50 触媒ケーキ調製ステップ
S60 第2の物性分析ステップ(第2分析工程)
本発明の電極用触媒の製造システムおよび製造方法によれば、作業者による電極用触媒前駆体を移すための作業をなくし、且つ、電極用触媒前駆体の乾燥時間を短縮することで、ハロゲン含有量、特に塩素含有量を低く抑えた電極用触媒を製造するための手間と時間を大幅に低減することができる。
したがって、本発明は、燃料電池や燃料電池自動車、携帯モバイル等の電機機器産業のみならず、エネファームやコジェネレーションシステム等に適用することができる電極用触媒の製造システムおよび製造方法であり、エネルギー産業や環境技術関連の発達に寄与する。

Claims (10)

  1. 電極用触媒の原料である電極用触媒前駆体を製造する電極用触媒前駆体製造装置と、
    前記電極用触媒前駆体を洗浄する洗浄装置と、
    前記洗浄装置により洗浄された前記電極用触媒前駆体を、不連続な傾斜パドル翼を有する攪拌羽根を備えた攪拌処理装置により乾燥する乾燥装置とを有する、電極用触媒を製造するための製造システムであって、
    前記乾燥装置は、
    前記電極用触媒前駆体を前記攪拌処理装置の容器本体に導入する導入工程と、
    前記容器本体を加熱すると共に減圧し、前記容器本体内の前記電極用触媒前駆体を前記攪拌羽根により攪拌混合することにより、前記電極用触媒前駆体を乾燥させる乾燥工程と、
    前記容器本体を冷却すると共に減圧し、前記容器本体内の前記電極用触媒前駆体を前記攪拌羽根により攪拌混合することにより、前記電極用触媒前駆体を冷却させる冷却工程と、
    前記容器本体内に空気を供給し、前記電極用触媒前駆体を徐酸化処理する徐酸化工程と、
    前記容器本体内の前記電極用触媒前駆体を取り出す取出し工程とを実行する手段を備える電極用触媒の製造システム。
  2. 前記攪拌羽根は、駆動装置により回転することで当該攪拌羽根を回転させる回転主軸と、前記容器本体内で前記電極用触媒前駆体を攪拌混合する前記傾斜パドル翼と、前記回転主軸および前記傾斜パドル翼を接続する回転翼支柱とを備え、
    前記回転主軸および前記回転翼支柱は中空の管状に形成され、
    前記回転翼支柱は、先端部の下側にガス噴出孔が設けられ、
    前記回転主軸は、ガスの流路に接続されることを特徴とする請求項1に記載の電極用触媒の製造システム。
  3. 電極用触媒の原料である電極用触媒前駆体を製造する電極用触媒前駆体製造ステップと、
    前記電極用触媒前駆体を洗浄する洗浄ステップと、
    前記洗浄ステップで洗浄された洗浄後の前記電極用触媒前駆体を、不連続な傾斜パドル翼を有する攪拌羽根を備えた攪拌処理装置により乾燥する乾燥ステップとを含む、電極用触媒を製造するための製造方法であって、
    前記乾燥ステップは、
    前記攪拌処理装置の容器本体を加熱すると共に減圧し、前記容器本体内の前記電極用触媒前駆体を前記攪拌羽根により攪拌混合することにより、前記電極用触媒前駆体を乾燥させる乾燥工程と、
    前記容器本体を冷却すると共に減圧し、前記容器本体内の前記電極用触媒前駆体を前記攪拌羽根により攪拌混合することにより、前記電極用触媒前駆体を冷却させる冷却工程と、
    前記容器本体内に空気を供給し、前記電極用触媒前駆体を徐酸化処理する徐酸化工程とを含む電極用触媒の製造方法。
  4. 前記容器本体内の前記電極用触媒前駆体を取り出す取出し工程を更に含み、
    前記取出し工程は、前記傾斜パドル翼を支持する回転翼支柱の先端に設けられたガス噴出孔から下向きにガスを噴出させるスクレーパー工程を含む請求項3に記載の電極用触媒の製造方法。
  5. 前記乾燥ステップを経て得られる前記電極用触媒前駆体の物性分析を実施する第1分析工程と、
    前記乾燥ステップを経て得られる前記電極用触媒前駆体とイオン交換水とを混合して再びスラリーを調製するリスラリーステップと、
    前記リスラリーステップを経て得られる前記スラリーを乾燥させ、所定の範囲の含水率に調節された複数の固体状の触媒ケーキを調製する触媒ケーキ調製ステップと、
    を更に含む請求項3に記載の電極用触媒の製造方法。
  6. 前記触媒ケーキ調製ステップにおいて使用する撹拌式乾燥装置が、前記攪拌処理装置である請求項5に記載の電極用触媒の製造方法。
  7. 前記リスラリーステップにおいて撹拌装置を具備する反応器を使用する請求項5又は6に記載の電極用触媒の製造方法。
  8. 前記反応器が前記攪拌処理装置である請求項7に記載の電極用触媒の製造方法。
  9. 前記触媒ケーキの含水率が80wt%未満である請求項5~8の何れか1項に記載の電極用触媒の製造方法。
  10. 前記触媒ケーキ調製ステップを経て得られる前記触媒ケーキの含水率を測定する第2分析工程を更に含む請求項5~9の何れか1項に記載の電極用触媒の製造方法。
JP2020161816A 2020-03-23 2020-09-28 電極用触媒の製造システムおよび製造方法 Active JP7511427B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020050943 2020-03-23
JP2020050943 2020-03-23

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021153042A JP2021153042A (ja) 2021-09-30
JP7511427B2 true JP7511427B2 (ja) 2024-07-05

Family

ID=77886623

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020161816A Active JP7511427B2 (ja) 2020-03-23 2020-09-28 電極用触媒の製造システムおよび製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7511427B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7367240B1 (ja) * 2022-05-19 2023-10-23 株式会社神鋼環境ソリューション 粒子製造装置および凍結粒子の製造方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001141363A (ja) 1999-11-16 2001-05-25 Shinko Pantec Co Ltd 混合乾燥機
JP2003154249A (ja) 2001-11-21 2003-05-27 Shinko Pantec Co Ltd 混合乾燥機およびスラリー状被処理物の処理方法
JP2005337631A (ja) 2004-05-28 2005-12-08 Kyoritsu Kogyo Kk 乾燥装置と被乾燥物の乾燥方法
JP2012500720A (ja) 2008-08-26 2012-01-12 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 触媒の連続的な製造方法
JP2014192122A (ja) 2013-03-28 2014-10-06 Suzuki Motor Corp 燃料電池用電極触媒の製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001141363A (ja) 1999-11-16 2001-05-25 Shinko Pantec Co Ltd 混合乾燥機
JP2003154249A (ja) 2001-11-21 2003-05-27 Shinko Pantec Co Ltd 混合乾燥機およびスラリー状被処理物の処理方法
JP2005337631A (ja) 2004-05-28 2005-12-08 Kyoritsu Kogyo Kk 乾燥装置と被乾燥物の乾燥方法
JP2012500720A (ja) 2008-08-26 2012-01-12 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 触媒の連続的な製造方法
JP2014192122A (ja) 2013-03-28 2014-10-06 Suzuki Motor Corp 燃料電池用電極触媒の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021153042A (ja) 2021-09-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7511427B2 (ja) 電極用触媒の製造システムおよび製造方法
KR101440208B1 (ko) 종형 고액 향류 접촉 방법, 고체 입자의 세정 방법, 폴리아릴렌술피드의 제조 방법 및 장치
KR101777977B1 (ko) 2차전지 제조를 위한 금속분말의 건조장치 및 건조방법
EP2666749B1 (en) Method for manufacturing graphene powder
CN105498856B (zh) 一种催化剂连续浸渍装置
EP2437883A2 (en) Catalyst for electrochemical applications
KR101537875B1 (ko) 촉매의 제조 장치 및 제조 방법, 및 불포화 산 또는 불포화 니트릴의 제조 방법
WO2021193664A1 (ja) 電極用触媒の製造システムおよび製造方法
JP2003154249A (ja) 混合乾燥機およびスラリー状被処理物の処理方法
CN211216199U (zh) 一种室内装饰涂料用生产设备
JP2006248955A (ja) 酸処理方法及び装置
US6405952B1 (en) Superfine milling apparatus with pivotal milling chamber
US20220037673A1 (en) Method of treating a platinum-alloy catalyst, a treated platinum-alloy catalyst, and device for carrying out the method of treating a platinum-alloy catalyst
Dickey Powder blending equipment
CN215439687U (zh) 一种用于石墨烯生产的装置
JP5618789B2 (ja) 減圧乾燥機及び運転制御方法
CN210602474U (zh) 一种低汞触媒卧式干燥机
JP2009059694A (ja) 燃料電池用触媒インクとその製造方法およびそれを用いた燃料電池電極
JP4737849B2 (ja) アルカリ二次電池用正極活性物質の製造方法
KR100770166B1 (ko) 연료전지용 분리판 원재료 분말 제조 장치 및 이를 이용한연료전지용 분리판 원재료 분말 제조 방법
US6591515B2 (en) Mobile incline kinetic evaporator
JP2022165367A (ja) ろ過装置を用いた処理方法
JP4703126B2 (ja) 水素貯蔵材料の製造装置および水素貯蔵材料の製造方法
CN219043306U (zh) 一种均匀排出的反应液下料装置
JP4413271B1 (ja) 浮游拡散型乾燥装置

Legal Events

Date Code Title Description
AA64 Notification of invalidation of claim of internal priority (with term)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A241764

Effective date: 20201020

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201112

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230825

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20240325

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240423

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240528

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240604