JP7501416B2 - 車両の照明制御装置 - Google Patents

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Description

ここに開示された技術は、車両の照明制御装置に関する技術分野に属する。
従来より、夜間雨天時などのように、車両のドライバの視認性が悪化するような環境において、ドライバが道路状況を認識できるようにする技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、車両の旋回走行時に、車速と横G想定値とからドライバ注視点角度を算出するとともに、このドライバ注視点角度に対応した角度を目標スイブル角として設定し、この目標スイブル角まで灯具ユニットを傾動させる車両用前照灯装置が開示されている。
特開2005-138622号公報
D.Zevagno, Some new luminance gradient effect, Perception, 1999
ところで、本願発明者が鋭意研究したところ、夜間などに車両前方の道路状況の視認性が悪化する原因の1つは、ドライバの瞳孔が縮瞳して小さくなることにあることが分かった。すなわち、夜間には、対向車のヘッドライトの光等からなる環境光がドライバの瞳に入射されるため、ドライバの瞳孔が小さくなる。瞳孔が小さくなると、道路そのものからの反射光が入射されにくくなるため、ドライバの道路状況の視認能力が悪化して、車両前方の道路状況の視認性が悪化する。特に、夜間雨天時には、対向車のヘッドライトの光が路面で反射してドライバに入力されやすくなるため、ドライバの視認能力が悪化しやすい。
特許文献1に記載のような照射方向を変更可能な灯具ユニットは、旋回走行時における視認性の向上は期待できる。しかし、ドライバの視認能力自体は変わらないため、雨天時等における視認性の向上は期待し難い。
ここに開示された技術は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ドライバの視認能力を改善して、車両前方の道路状況の視認性が悪化するのを抑制することにある。
前記課題を解決するために、ここに開示された技術では、ドライバの前方に位置しかつ虚像による画像を表示するディスプレイを有する、車両の照明制御装置を対象として、前記車両のヘッドライトにより照射された路面の輝度を検知する路面輝度検知器と、前記車両のドライバの視野領域を検知する視野領域検知部と、前記ヘッドライトの光により形成される輝度勾配を算出する輝度勾配演算部と、前記ディスプレイを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記ドライバの注視点を中心とする放射方向の所定角度範囲にある円環状領域において、該円環状領域の外縁位置から内縁位置に放射方向に向かう輝度勾配が特定の割合で減少する所定勾配である所定勾配領域の割合が、所定割合未満であるときには、前記ディスプレイにおける前記円環状領域と重複する部分に、輝度勾配が前記所定勾配となる画像を表示する、という構成とした。
すなわち、本願発明者が鋭意研究したところ、ドライバの注視点周囲において、該ドライバが視認可能な円環状領域の中に、輝度勾配が所定勾配となる所定勾配領域が存在すると散瞳効果が得られてドライバの瞳孔が拡大することが分かった。そこで、円環状領域の中に所定勾配領域が存在するようにした。具体的には、ヘッドライトにより所定勾配の輝度勾配を実現しつつ、ディスプレイにより輝度勾配が所定勾配となる画像を表示することで、円環状領域に所定勾配領域を形成するようにした。これにより、適切に散瞳効果を得て、ドライバの瞳孔を拡大することができる。この結果、ドライバの視認能力を改善して、車両前方の道路状況の視認性が悪化するのを抑制することができる。
前記車両の照明制御装置において、前記制御部は、前記円環状領域における前記所定勾配領域の割合が前記所定割合となるように、前記ディスプレイにおける前記円環状領域と重複する部分に、輝度勾配が前記所定勾配となる画像を表示する、という構成でもよい。
本願発明者がさらに研究したところ、所定勾配領域が狭すぎると、十分な散瞳効果が得られず、一方で所定勾配領域が広すぎると、ドライバの眼に入る光量が大きくなって、逆に瞳孔が縮瞳してしまうことが分かった。そこで、ディスプレイにより輝度勾配が所定勾配となる画像を表示することで、円環状領域に所定勾配領域を所定割合だけ形成するようにした。これにより、ドライバの視認能力を改善して、車両前方の道路状況の視認性が悪化するのをより効果的に抑制することができる。
前記車両の照明制御装置において、前記視野領域検知部は、前記ドライバを撮影するドライバモニタカメラ及び前記車両の前方を撮影するフロントカメラからの入力信号に基づいて前記視野領域を検知する、という構成でもよい。
この構成によると、ドライバの注視点を精度良く検出できる結果、散瞳効果の得られる円環状領域を精度良く設定することができる。これにより、ドライバの視認能力をより効果的に改善することができる。
前記車両の照明制御装置において、前記円環状領域の外縁位置は、前記ドライバの注視点を中心とする放射方向の10°~25°の間に設定されている、という構成でもよい。
すなわち、本願発明者が視細胞の密度分布に基づいて鋭意研究を行った結果、円環状領域の外縁位置が、ドライバの注視点を中心とする放射方向の10°~25°の間に設定されていると散瞳効果が顕著に得られることが分かった。このため、前記構成によると、ドライバの視認能力をより効果的に改善することができる。
前記車両の照明制御装置において、前記所定角度範囲の幅は、1°~4°に設定されている、という構成でもよい。
すなわち、所定角度範囲の幅が狭すぎると、光量が不足して十分な散瞳効果が得られず、逆に所定角度範囲の幅が広すぎると、光量が多すぎて縮瞳してしまう。本願発明者が鋭意研究を行った結果、所定角度範囲の幅が1°~4°であれば、縮瞳を抑えつつ十分な散瞳効果が得られることが分かった。このため、前記構成によると、ドライバの視認能力をより効果的に改善することができる。
前記車両の照明制御装置において、前記所定割合は、8%~12%に設定されている、という構成でもよい。
本願発明者が鋭意研究を行った結果、円環状領域における所定勾配領域の割合が8%~12%であれば、縮瞳を抑えつつ十分な散瞳効果が得られることが分かった。このため、前記構成によると、ドライバの視認能力をより効果的に改善することができる。
前記車両の照明制御装置の一実施形態では、前記輝度勾配演算部は、前記円環状領域の周方向に延びかつ前記円環状領域全体のうち前記所定割合分だけ設定された特定領域の輝度勾配を算出し、前記制御部は、前記特定領域の一部が前記所定勾配領域であり、該特定領域の残部が前記所定勾配領域でないときには、前記ディスプレイおける前記特定領域の残部と重複する部分にのみ、輝度勾配が前記所定勾配となる画像を表示する。
この構成によると、予め特定領域を設定するため、所定勾配領域を適切な割合だけ円環状領域に形成することができる。また、特定領域をドライバの注視点に応じて散瞳効果が得やすい領域に設定すれば、所定勾配領域を形成することで散瞳効果を適切に得ることができる。これにより、ドライバの視認能力をより効果的に改善することができる。
前記一実施形態において、前記特定領域は、左右に均等な割合で設定されている、という構成でもよい。
この構成によると、ドライバの左右の瞳孔に対して適切に刺激を与えることができ、左右両方の瞳に対して散瞳効果を適切に得ることができる。これにより、ドライバの視認能力をより効果的に改善することができる。
以上説明したように、ここに開示された技術によると、散瞳効果によりドライバの瞳孔径を大きくすることができる。これにより、ドライバの視認能力を改善して、車両前方の道路状況の視認性が悪化するのを抑制することができる。
図1は、例示的な実施形態1に係る照明制御装置を備える車両を示す概略図である。 図2は、車両の車室内の構成を示す概略図である。 図3は、車両の正面図である。 図4は、ヘッドライトの構成を示す概略図である。 図5は、ロービームユニットのLED配列を示す模式図である。 図6は、制御部の構成を示すブロック図である。 図7は、輝度勾配とドライバの視認能力との関係を実験する際の実験条件を示す図である。 図8は、輝度勾配の定義を説明するための図である。 図9は、輝度勾配割合と被験者の瞳孔径変化量との関係を示すグラフである。 図10は、円環状領域の外縁位置と被験者の瞳孔径変化量との関係を示すグラフである。 図11は、円環状領域の幅と被験者の瞳孔径変化量との関係を示すグラフである。 図12は、輝度勾配と被験者の瞳孔径変化量との関係を示すグラフである。 図13は、照明制御装置の制御部が実行する配光制御を説明する図であり、車両が直進路を走行中である場合を示す。 図14は、照明制御装置の制御部が実行する配光制御を説明する図であり、車両が左カーブを走行中である場合を示す。 図15は、ECUが実行する配光制御の処理動作を示すフローチャートである。 図16は、実施形態2に係る照明制御装置のECUが実行する配光制御を説明する図である。 図17は、実施形態2に係る照明制御装置のECUが実行する配光制御の処理動作を示すフローチャートである。 図18は、実施形態3に係る照明制御装置のECUが実行する配光制御の処理動作を示すフローチャートである。
以下、例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明では、車両のドライバから見た前、後、左、右、上及び下を、それぞれ単に前、後、左、右、上及び下という。これら前後方向、左右方向、及び上下方向は、説明を簡単にするために便宜上特定しているだけであり、実際の使用状態を限定するものではない。
(実施形態1)
〈車両構成〉
図1は、本実施形態1に係る照明制御装置を有する車両Vを示す。車両Vは四輪の自動車であり、不図示の駆動装置により、4つの車輪のうち左右対称状に位置する2輪(例えば前輪)を駆動する。これにより、車両Vは移動(走行)する。
図2に示すように、車両Vは、右ハンドル式の車両であって、右側にステアリングホイール8が配置されている。車室内において、運転席から見て車両前側にはフロントウィンドウガラス1が配置されている。フロントウィンドウガラス1は、車室内側から見て、複数の車両構成部材により区画されている。具体的には、フロントウィンドウガラス1は、左右のフロントピラートリム2と、ルーフトリム3と、インストルメントパネル4とによって区画されている。
左右のフロントピラートリム2は、フロントウィンドウガラス1の車幅方向外側の境界をそれぞれ構成している。各フロントピラートリム2は、各フロントピラーに沿って配置されている。各フロントピラートリム2は、図2に示すように、上側に向かって互いに離間するように斜めに傾斜してそれぞれ配置されている。
ルーフトリム3は、フロントウィンドウガラス1の上側の境界を構成している。ルーフトリム3は、車両のルーフパネルの車室内側を覆っている。フロントウィンドウガラス1の車幅方向の中央でかつルーフトリム3のやや下側の部分には、バックミラー5が取り付けられている。
インストルメントパネル4は、フロントウィンドウガラス1の下側の境界を構成している。インストルメントパネル4には、メーターボックスやセンターディスプレイ7が設けられている。センターディスプレイ7の近傍部分には、車室内、特に、ドライバの顔面を撮影するドライバモニタカメラ102(図6参照)が設けられている。センターディスプレイ7の近傍部分にドライバモニタカメラ102を配置することで、ドライバの前髪やまつげに妨げられることなく、ドライバの眼を撮影することができる。
また、前記車両は、ドライバの前方の視界領域に画像を表示する表示装置としてのヘッドアップディスプレイ10(以下、HUD10という)を有する。具体的には、HUD10は、フロントウィンドウガラス1に虚像による画像を表示する。HUD10は、フロントウィンドウガラス1に下側から画像を投影することにより、フロントウィンドウガラス1上の所定領域に該画像の虚像を表示する。本実施形態1において、HUD10の表示範囲は、フロントウィンドウガラス1の全体に設定されている。フロントウィンドウガラス1及びHUD10は、ドライバの前方に位置しかつ虚像による画像を表示するディスプレイの一例である。
また、前記車両は、左右のフロントピラーよりも車幅方向外側に、サイドミラー6をそれぞれ有している。各サイドミラー6は、運転席に着座したドライバがサイドドアのウィンドウ越しに見ることが出来るように配置されている。
車両Vは、図3に示すように、外部環境を撮影するための複数のカメラが設けられている(図3では、フロントカメラ100のみを示す)。例えば、車両前側の外部環境を撮影するフロントカメラ100は、車両の前側端部であって、車両のボンネット9よりもやや下側に配置されている。複数のカメラは、車両の周囲を水平方向に360°撮影できるように、車両の両側部及び車両後部にも設けられている。
車両は、前側かつ左右両側の部分に一対のヘッドライト20を有する。ヘッドライト20は、車両Vの前方を照射する。各ヘッドライト20は、車両Vのフロントフェンダに連続するようにそれぞれ配置されている。ヘッドライト20は、図1に示すように、バッテリBと電気的に接続されている。ヘッドライト20は、バッテリBから供給される電力により点灯する。
図4に示すように、ヘッドライト20は、ロービームユニット21と、ハイビームユニット22とを備えている。ロービームユニット21は、車両前方のやや下方に指向するロービームを発する。ロービームは、ヘッドライト20が照射する光のうち車両近傍側の部分の光を形成する。ハイビームユニット22は、車両前方にほぼ水平方向に指向するハイビームを発する。ハイビームは、ヘッドライト20が照射する光のうち車両遠方側の部分の光を形成する。
ロービームユニット21は、ロービームを発する複数のLED光源23aからなるLEDアレイ23及び反射鏡を備えている。LEDアレイ23は、図5に示すように、上下方向に複数個並んだLED光源23aの列が、横方向(車幅方向)に複数列に並んで形成されている。各LED光源23aは、それぞれ独立して輝度を調整することができるように構成されている。尚、LED光源23aの列数は特に制限されない。また、2個以上のLED光源23aがあれば、各列のLED光源23aの数は特に限定されない。特に、各列においてLED光源23aの個数が異なっていてもよい。
ハイビームユニット22も、ロービームユニット21と同様に複数のLED光源からなるLEDアレイ24を有する。LEDアレイ24における複数のLED光源の配列は、ロービームユニット21aのLED光源23aの配列と同じでも良いし、異なってよい。
ヘッドライト20は、ECU30(Electrical Control Unit)により制御される。ECU30は、プロセッサと、複数のモジュールを有するメモリ等から構成されるコンピュータハードウェアである。ECU30は、ヘッドライト20の制御の他に、HUD10の制御を行う。
〈制御系の構成〉
図6に示すように、ECU30は、複数のセンサや外部端末からの入力された情報に基づいて、HUD10及びヘッドライト20への制御信号を生成する。ECU30には、車両Vの前方を撮影する複数のフロントカメラ100からの情報と、外部サーバから送信される地図データ101と、ドライバの顔面含む領域を撮影するドライバモニタカメラ102からの情報と、車外が雨天であるか否かを検知するレインセンサ103と、フロントウィンドウガラス1を拭き取るワイパ作動させるワイパスイッチ104からの信号と、ヘッドライト20の点灯要求を受けるヘッドライトスイッチ105からの信号と、が入力される。ここで示すものは、ECU30が受信する情報の一例を示し、ECU30には、その他の情報が入力されてもよい。
フロントカメラ100は、車両Vのヘッドライト20により照射された路面を含む画像を取得する。フロントカメラ100により取得された画像の情報には、車両Vのヘッドライト20により照射された路面の輝度が含まれている。このことから、フロントカメラ100は、路面輝度検知器を構成する。
ヘッドライトスイッチ105は、例えば、ウィンカーレバーに設けられている。ヘッドライトスイッチ105がオンになったときには、後述するヘッドライト制御部35によりヘッドライト20が作動して、車両Vの前方に光が照射される。
ECU30は、一対のヘッドライト20の光により形成される輝度勾配を算出する輝度勾配演算部31と、車両Vの前方の道路形状を演算する道路形状演算部32と、ドライバの視野領域を演算する視野領域演算部33とを有する。
輝度勾配演算部31は、フロントカメラ100により撮影された画像から、ヘッドライト20が路面に照射する光のうち、ドライバの視野領域に含まれる光の輝度勾配を演算する。輝度勾配演算部31の動作の詳細については後述する。
道路形状演算部32は、フロントカメラ100からの情報と地図データ101とに基づいて、車両Vの前方の道路形状を演算する。道路形状演算部32は、車両Vの前方の道路形状について、直進、左カーブ、右カーブ、上り坂、及び下り坂であるかを検知する。また、道路形状演算部32は、道路の途中や左右に障害物があるか否かについても演算する。
視野領域演算部33は、フロントカメラ100からの情報とドライバモニタカメラ102からの情報とに基づいて、ドライバの視野領域を演算する。具体的には、視野領域演算部33は、ドライバモニタカメラ102からドライバの視線を検知する。視野領域演算部33は、検知したドライバの視線を、フロントカメラ100が撮影した画像に当てはめて、ドライバの注視点FP(図13,図14を参照)を検知する。また、詳しくは後述するが、視野領域演算部33は、ドライバの注視点FPを中心とする放射方向の所定角度範囲にある円環状領域CAを算出する。これらのことから、フロントカメラ100、ドライバモニタカメラ102、及び視野領域演算部33は、視野領域検知部を構成する。
ECU30は、ドライバの視野領域における配光を制御するための配光制御部34を有する。配光制御部34の動作の詳細については後述する。
ECU30は、配光制御部34からの信号により各ヘッドライト20をそれぞれ制御するヘッドライト制御部35を有する。また、ECU30は、配光制御部34からの信号によりHUD10を制御するディスプレイ制御部36を有する。
〈輝度勾配と視認性との関係〉
ここで、夜間には、対向車のヘッドライトの光等からなる環境光がドライバの瞳に入射されるため、ドライバの瞳孔が小さくなる。瞳孔が小さくなると、道路そのものからの反射光が入射されにくくなるため、ドライバの道路状況の視認能力が悪化して、車両前方の道路状況の視認性が悪化する。特に、夜間雨天時には、対向車のヘッドライトの光が路面で反射してドライバに入力されやすくなるため、ドライバの視認能力が悪化しやすい。
本願発明者は、グレア錯視の特性(非特許文献1を参照)に注目して、車両Vの前方の光量を出来る限り低下させることなく、散瞳効果を得られる方法を検討した。具体的には、ドライバの視野領域に含まれる光の輝度勾配を調整することで、ドライバの瞳孔を大きくすることを検討した。本願発明者は、上記の仮定を検討するために実験を行った。
図7及び図8は、本願発明者が行った実験条件を示す。尚、図7では、ディスプレイDの背景が白地で、ディスプレイDに表示する画像が黒色になっているが、実際には、ディスプレイDの背景が黒地であり、ディスプレイDには白色の光を表示している。
本実験では、図7に示すように、円環状領域CAを設定し、ディスプレイDに、円環状領域CAの外縁から内縁に向かって輝度が低下するような光を写し出した。被験者には円環状領域CAの中心Pを注視するように指示をした。そして、光を写しだす領域の割合(以下、輝度勾配割合という)、円環状領域CAの外縁位置、幅、及び輝度勾配を変更しながら、被験者の瞳孔の大きさを計測した。輝度勾配割合は、円環状領域CA全体に光を写しだした状態を100%とし、全く表示しない状態を0%とした。円環状領域CAの外縁位置は、被験者の瞳を中心とする注視点からの角度(つまり、視野角)で定義し、円環状領域CAの幅は、円環状領域の外縁位置と内縁位置との角度差で定義している。
図8は、本実験における輝度勾配の定義を示す。まず、図8(a)に示すように、円環状領域CAの放射方向(径方向と一致)における、円環状領域CAの外縁位置(図8(a)のA’の位置)から内縁位置(図8(a)のAの位置)まで白線輝度を算出する。次に、図8(b)に示すように、視野角を横軸、白線輝度を縦軸にしたグラフを作成し、輝度勾配曲線を算出する。そして、外縁位置A’から内縁位置Aまでの平均の勾配を算出して、算出した勾配を輝度勾配としている。
図9~図12は、実験結果をそれぞれ示している。図9は、輝度勾配割合と被験者の瞳孔径との関係を示し、図10は、円環状領域CAの外縁位置と被験者の瞳孔径との関係を示し、図11は、円環状領域の幅と被験者の瞳孔径との関係を示し、図12は、輝度勾配と被験者の瞳孔径との関係を示す。尚、各実験結果において、変数となるパラメータ以外は、任意の値に固定している。
図9に示すように、輝度勾配割合を変化させたときには、輝度勾配割合は8%~12%の範囲で散瞳効果が明確に得られることが分かった。具体的には、輝度勾配割合が10%付近のときに瞳孔径変化量が最大となり、輝度勾配割合が10%未満のときには輝度勾配割合が小さくなるにつれて瞳孔径変化量が減少し、輝度勾配割合が10%より大きいときには輝度勾配割合が大きくなるにつれて瞳孔径変化量が減少することが分かった。これは、輝度勾配割合が少ない場合は視細胞に対する刺激が小さ過ぎるためと考えられる。一方で、輝度勾配割合が大きい場合には、光量が大きくなり過ぎて逆に瞳孔径が小さくなるためと考えられる。この実験の結果から、輝度勾配割合は8%~12%に設定すると散瞳効果を得やすいことが分かった。
図10に示すように、円環状領域CAの外縁位置を変化させたときには、10°~25°の範囲で散瞳効果が明確に得られることが分かった。具体的には、外縁位置が15°付近のときに瞳孔径変化量が最大となり、外縁位置が15°未満のときには外縁位置が0°に近づくにつれて瞳孔径変化量が減少し、外縁位置が15°よりも大きいときには瞳孔径変化量がほぼ一定となることが分かった。これは、視細胞のうち暗所視を担う杆体細胞の密度が関係していると考えられる。多少の個人差はあるが、一般に、杆体細胞の密度は、左右方向においては視野角15°付近の領域が最大となっている。このため、円環状領域CAの外縁位置が15°であるときが最大の散瞳効果が得られたと考えられる。この実験結果から、円環状領域CAの外縁位置は、被験者の注視点を中心とする放射方向の10°~25°に設定すると散瞳効果を得やすいことが分かった。
図11に示すように、円環状領域CAの幅を変化させたときには、1°~4°の範囲で散瞳効果が明確に得られることが分かった。具体的には、幅が2°~3°の間のときに最大となり、幅が2°未満のときには幅が小さくなるにつれて減少し、幅が3°よりも大きいときには幅が大きくなるにつれて減少することが分かった。これは、幅が小さいときには、被験者が輝度勾配を知覚できなくなるためと考えられる。一方で、幅が大きいときには、光量が大きくなり過ぎて逆に瞳孔径が小さくなるためと考えられる。この実験結果から、円環状領域CAの幅は、1°~4°に設定すると散瞳効果を得やすいことが分かった。
図12に示すように、輝度勾配を変化させたときには、0.5(cd/m2/deg)~1.5(cd/m2/deg)の範囲で、散瞳効果が明確に得られることが分かった。具体的には、輝度勾配が1.0(cd/m2/deg)付近のときに瞳孔径変化量が最大となり、輝度勾配が1.0(cd/m2/deg)未満のときには輝度勾配が0(cd/m2/deg)に近づくにつれて瞳孔径変化量が減少し、輝度勾配が1.0(cd/m2/deg)よりも大きいときには輝度勾配が大きくなるにつれて瞳孔径変化量が減少することが分かった。これは、視野角15°付近における視力では、知覚可能な輝度勾配が1.0(cd/m2/deg)付近であるためと考えられる。この実験結果から輝度勾配は、0.5(cd/m2/deg.)~1.5(cd/m2/deg)に設定すると散瞳効果を得やすいことが分かった。
以上の実験結果から、本実施形態1では、ECU30は、ドライバの注視点FPを中心とする放射方向の所定角度範囲にある円環状領域CAにおいて、円環状領域の外縁位置から注視点FPに向かう輝度勾配が特定の割合で減少する所定勾配である所定勾配領域が所定割合だけ存在するように、各ヘッドライト20及びHUD10を制御するようにした。具体的に、所定角度範囲は、円環状領域CAの外縁位置が10°~25°となりかつ円環状領域CAの幅が1°~4°となる角度範囲であり、所定勾配は0.5(cd/m2/deg)~1.5(cd/m2/deg)の範囲であり、所定割合は8%~12%である。特に、好ましくは、ECU30は、外縁位置が15°でかつ幅が2°の円環状領域CAに対して、外縁位置から注視点FPに向かう輝度勾配が0.5(cd/m2/deg)~1.5(cd/m2/deg)の範囲である所定勾配領域が所定割合だけ存在するように、各ヘッドライト20及びHUD10を制御する。
〈車両での配光制御〉
次に、実際に車両Vに搭載した際の配光制御について図13~図15を参照しながら説明する。
図13は、車両Vが夜間に直進路を走行している場合を示す。このとき、配光制御部34は、ヘッドライト制御部35にそれぞれ制御信号を送って、各ヘッドライト20を点灯させている。配光制御部34は、ヘッドライト20が路面に照射する光の輝度勾配が、車両近傍側から車両遠方側に向かって所定勾配で減少するようにヘッドライト20の配光を調整している。所定勾配は、0.5(cd/m2/deg)~1.5(cd/m2/deg)である。
車両Vに搭載した際の配光制御では、まず、視野領域演算部33により、ドライバの視野領域を算出する。視野領域演算部33は、フロントカメラ100が撮影した画像に対して、車両Vの走行時にドライバの視界領域に入る車両構成部材を示す画像を合成して、図13や図14に示すような画像を生成する。視野領域演算部33は、ドライバモニタカメラ102が撮影したドライバの画像からドライバの視線を算出して、ドライバの注視点FPを算出する。次に、視野領域演算部33は、注視点FPを中心とする円環状領域CAを設定する。ここでは、外縁位置が15°で幅が2°の円環状領域CAを設定している。
次に、配光制御部34は、視野領域演算部33が設定した円環状領域CAに対して、該円環状領域CAの周方向に延びる2つの特定領域SAを設定する。特定領域SAは、円環状領域CA全体に対する特定領域SA全体の割合が所定割合になりかつ左右に均等になるように設定される。ここでは、円環状領域CA全体に対する特定領域SA全体の割合が10%になるように、中心よりも右側に5%分、中心よりも左側に5%分の特定領域SAがそれぞれ設定されている。配光制御部34は、視野領域演算部33により合成された画像情報に基づいて、円環状領域CAのうち、ヘッドライト20の光が照射されている領域と重複する部分に各特定領域SAをそれぞれ設定する。左右の特定領域SAは、注視点FAを通り上下方向に延びる直線に対して対称に配置されていてもよいし、非対称に配置されていてもよい。
次いで、輝度勾配演算部31は、各特定領域SAにおける輝度勾配をそれぞれ算出する。輝度勾配演算部31は、前述の実験と同様にして、特定領域SAの外縁位置から内縁位置までの放射方向の輝度を算出する。輝度勾配演算部31は、該輝度の平均の勾配を算出して、算出した勾配を輝度勾配としている。
次に、配光制御部34は、輝度勾配演算部31の演算結果から、各特定領域SAの輝度勾配が所定勾配であるか、つまり、各特定領域SAが所定勾配領域であるか否かを判定する。図13のように、直進路は、ヘッドライト20の光路に障害物が存在しにくいため、車両Vが直進路を走行しているときには、特定領域SAの輝度勾配は所定勾配となることが多い。配光制御部34は、各特定領域SAが所定勾配領域であるときには、現在の状態を維持する。
図14は、車両Vが夜間に左カーブを走行している場合を示す。この場合でも、配光制御部34は、ヘッドライト20が路面に照射する光の輝度勾配が、車両近傍側から車両遠方側に向かって所定勾配で減少するようにヘッドライト20の配光を調整している。所定勾配は、0.5(cd/m2/deg)~1.5(cd/m2/deg)である。
図14に示すように、左カーブでは、車両前方かつ左側の領域に、斜面やガードレールなど、ヘッドライト20の光路上に障害物が存在することが多い。このときには、右側の特定領域SAについては、輝度勾配が所定勾配となりやすいが、左側の特定領域SAについては、左側のヘッドライト20の光が障害物に照射される結果、輝度勾配が所定勾配となりにくい。
配光制御部34は、右側の特定領域SAは所定勾配領域であるが、左側の特定領域SAが所定勾配領域でないと判定したときには、HUD10により、車室内側から見て、フロントウィンドウガラス1における左側の特定領域SAと重複する部分に、当該部分の輝度勾配が所定勾配となる画像を表示させる。配光制御部34は、左側の特定領域SAに前記画像を表示させるための制御信号をディスプレイ制御部36に送信する。ディスプレイ制御部36は、配光制御部34からの制御信号に基づいて、HUD10を制御する。例えば、ディスプレイ制御部36は、左側の特定領域SAの内縁位置が暗くなるような画像を表示して、左側の特定領域SAの輝度勾配が所定勾配となるようにする。これにより、左右の特定領域SAの両方を所定勾配領域とすることができる。このことから、配光制御部34及びディスプレイ制御部36は、制御部の一例となり得る。
図15は、ECU30による配光制御の動作処理を示すフローチャートである。
ステップS101において、ECU30は、各種センサ情報を取得する。
次に、ステップS102において、ECU30は、各ヘッドライト20がオン状態であるかを判定する。ECU30は、ヘッドライトスイッチ105からオン信号が送信されているか否かにより判定する。ECU30は、各ヘッドライト20がオン状態であるYESのときには、ステップS103に進む。一方で、ECU20は、各ヘッドライト20がオフ状態であるNOのときにはステップS101に戻る。
前記ステップS103では、ECU30は、ドライバの注視点FPを算出する。
次に、ステップS104において、ECU30は、前記ステップS103で算出した注視点FPを中心とする放射方向の所定角度範囲にある円環状領域CAを設定する。ECU30は、外縁位置が10°~25°でかつ幅が1°~4°の円環状領域CAを設定する。
次いで、ステップS105において、ECU30は、円環状領域CAに対して特定領域SAを設定する。ECU30は、円環状領域CA全体に対する特定領域SA全体の割合が所定割合になりかつ円環状領域CA全体に対する左右の特定領域SAの割合が均等になるように設定される。
次に、ステップS106において、ECU30は、各特定領域SAの輝度勾配をそれぞれ算出する。
続いて、ステップS107において、ECU30は、各特定領域SAの両方が、輝度勾配が所定勾配である所定勾配領域であるYESのときには、リターンする。一方で、ECU30は、各特定領域SAの少なくとも一方が、所定勾配領域でないNOのときには、ステップS108に進む。
前記ステップS108では、ECU30は、所定勾配領域でない特定領域SAに、輝度勾配が所定勾配となる画像を表示する。具体的には、ECU30は、HUD10により、車室内側から見て、フロントウィンドウガラス1における所定勾配領域でない特定領域SAと重複する部分に、当該部分の輝度勾配が所定勾配となる画像を表示する。ステップS108の後はリターンする。
したがって、本実施形態1では、車両Vのヘッドライト20により照射された路面の輝度を検知するフロントカメラ100と、車両Vのドライバの視野領域を検知する視野領域検知部(フロントカメラ100、ドライバモニタカメラ102、及び視野領域演算部33)と、ヘッドライト20の光により形成される輝度勾配を算出する輝度勾配演算部31と、HUD10を制御する配光制御部34及びディスプレイ制御部36と、を備え、配光制御部34は、ドライバの注視点FPを中心とする放射方向の所定角度範囲にある円環状領域CAにおいて、該円環状領域CAの外縁位置から内縁位置に放射方向に向かう輝度勾配が特定の割合で減少する所定勾配である所定勾配領域の割合が、所定割合未満であるときには、フロントウィンドウガラス1における円環状領域CAと重複する部分に、輝度勾配が所定勾配となる画像を表示するように、ディスプレイ制御部36に制御信号を出力する。これにより、適切に散瞳効果を得て、ドライバの瞳孔を拡大することができる。この結果、ドライバの視認能力を改善して、車両前方の道路状況の視認性が悪化するのを抑制することができる。
特に本実施形態1では、円環状領域CAの周方向に延びかつ円環状領域CA全体のうち所定割合分だけ設定された特定領域SAを予め設定し、輝度勾配演算部31は、特定領域SAの輝度勾配を算出し、配光制御部34は、特定領域SAの一部が所定勾配領域であり、該特定領域SAの残部が所定勾配領域でないときには、フロントウィンドウガラス1おける特定領域SAの残部と重複する部分にのみ、輝度勾配が所定勾配となる画像を表示するようにディスプレイ制御部36に制御信号を出力する。これにより、予め特定領域SAを設定するため、所定勾配領域を適切な割合だけ円環状領域CAに形成することができる。この結果、ドライバの視認能力をより効果的に改善することができる。
また、本実施形態1において、特定領域SAは、左右に均等な割合で設定される。ドライバの左右の瞳孔に対して適切に刺激を与えることができ、左右両方の瞳に対して散瞳効果を適切に得ることができる。これにより、ドライバの視認能力をより効果的に改善することができる。
また、本実施形態1において、視野領域演算部33は、ドライバを撮影するドライバモニタカメラ102及び車両Vの前方を撮影するフロントカメラ100からの入力信号に基づいてドライバの視野領域を検知する。これにより、ドライバの注視点FPを精度良く検出できる結果、散瞳効果の得られる円環状領域CAを精度良く設定することができる。これにより、ドライバの視認能力をより効果的に改善することができる。
〈実施形態2〉
以下、実施形態2について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明において前記実施形態1と共通の部分については、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
本実施形態2は、配光制御部34による配光制御が前記実施形態1とは異なる。本実施形態2における配光制御について、図16及び図17を参照しながら説明する。
図16は、車両Vが夜間に左カーブを走行している場合を示す。配光制御部34は、ヘッドライト20が路面に照射する光の輝度勾配が、車両近傍側から車両遠方側に向かって所定勾配で減少するようにヘッドライト20の配光を調整している。所定勾配は、0.5(cd/m2/deg)~1.5(cd/m2/deg)である。
本実施形態2において、配光制御部34は、特定領域SAを設定しない。本実施形態2において、輝度勾配演算部31は、配光制御部34が円環状領域CAを設定した後に、円環状領域CA全体の輝度勾配を算出する。尚、輝度勾配演算部31は、円環状領域CAのうち、フロントウィンドウガラス1と重複する部分(厳密には、視野領域演算部33が生成した合成画像のフロントウィンドウガラスと重複する部分)の輝度勾配のみを算出するようにしてもよい。
次に、配光制御部34は、輝度勾配演算部31の算出結果から、円環状領域CAに存在する所定勾配領域を特定する。ここでは、図16に示すように、円環状領域CAの右側部分にのみ所定勾配領域が特定されたとする。この所定勾配領域は、ヘッドライト20の光により形成される所定勾配領域である。
次いで、配光制御部34は、ヘッドライト20の光により形成される所定勾配領域が、円環状領域全体に対する割合を算出する。ここでは、ヘッドライト20の光により形成される所定勾配領域が、円環状領域全体に対して3%であると仮定する。
そして、配光制御部34は、所定勾配領域が円環状領域全体に対して占める割合が所定割合となるように、車室内側から見て、フロントウィンドウガラス1における円環状領域CAと重複する部分に、当該部分の輝度勾配が所定勾配となる画像を表示させる。より具体的には、配光制御部34は、例えば、所定割合が10%であるときには、ヘッドライト20の光により形成される所定勾配領域が既に3%あるため、円環状領域CAのうち周方向の7%分の領域(図16にハッチングで示す)に、輝度勾配が所定勾配となる画像を表示させる。配光制御部34は、前記画像を表示させるための制御信号をディスプレイ制御部36に送信する。ディスプレイ制御部36は、配光制御部34からの制御信号に基づいて、HUD10を制御する。これにより、円環状領域CAのうち所定勾配領域の割合が所定割合になる。
配光制御部34は、円環状領域CAのうち出来る限り下側の部分に、前記画像を表示させるようにディスプレイ制御部36に制御信号を送信する。ドライバの視野領域における路面と同程度の位置に画像を表示する方が、ドライバの運転に影響を与えにくいためである。
図17は、本実施形態2における、ECU30による配光制御の動作処理を示すフローチャートである。
ステップS201において、ECU30は、各種センサ情報を取得する。
次に、ステップS202において、ECU30は、各ヘッドライト20がオン状態であるかを判定する。ECU30は、ヘッドライトスイッチ105からオン信号が送信されているか否かにより判定する。ECU30は、各ヘッドライト20がオン状態であるYESのときには、ステップS203に進む。一方で、ECU20は、各ヘッドライト20がオフ状態であるNOのときにはステップS201に戻る。
前記ステップS203では、ECU30は、ドライバの注視点FPを算出する。
次に、ステップS204において、ECU30は、前記ステップS203で算出した注視点FPを中心とする放射方向の所定角度範囲にある円環状領域CAを設定する。ECU30は、外縁位置が10°~25°でかつ幅が1°~4°の円環状領域CAを設定する。
次いで、ステップS205において、ECU30は、円環状領域CAの輝度勾配を算出する。
続いて、ステップS206において、ECU30は、円環状領域CAに、所定勾配領域が所定割合存在するか否かを判定する。ECU30は、円環状領域CAに、所定勾配領域が所定割合存在するYESのときには、リターンする。一方で、ECU30は、円環状領域CAに、所定勾配領域が所定割合存在しないNOのときには、ステップS207に進む。
前記ステップS207では、ECU30は、円環状領域CAに、所定勾配領域が所定割合存在するように、輝度勾配が所定勾配となる画像を表示する。具体的には、ECU30は、HUD10により、車室内側から見て、フロントウィンドウガラス1における円環状領域CAと重複する部分に、輝度勾配が所定勾配となる画像を表示する。ECU30は、ヘッドライト20で構成される所定勾配領域が円環状領域CA全体に占める割合を算出して、所定割合から当該割合を引いた割合に相当する領域だけ、上記画像を表示する。ステップS207の後はリターンする。
したがって、本実施形態2において、配光制御部34は、ドライバの注視点FPを中心とする放射方向の所定角度範囲にある円環状領域CAにおいて、該円環状領域CAの外縁位置から内縁位置に放射方向に向かう輝度勾配が特定の割合で減少する所定勾配である所定勾配領域の割合が、所定割合未満であるときには、円環状領域CAにおける所定勾配領域の割合が所定割合となるように、フロントウィンドウガラス1における円環状領域CAと重複する部分に、輝度勾配が所定勾配となる画像を表示するように、ディスプレイ制御部36に制御信号を出力する。これにより、適切に散瞳効果を得て、ドライバの瞳孔を拡大することができる。この結果、ドライバの視認能力を改善して、車両前方の道路状況の視認性が悪化するのを抑制することができる。
〈実施形態3〉
以下、実施形態3について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明において前記実施形態1及び2と共通の部分については、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
本実施形態3では、ECU30の配光制御の処理が、前述の実施形態1及び2とは異なる。具体的には、本実施形態3では、ECU30は、ヘッドライト20の光路上に障害物があるときにのみHUD10により、輝度勾配が所定勾配となる画像を表示するようにする。ECU30は、ヘッドライト20の光路上に障害物がないときには、ヘッドライト20を制御することで、円環状領域CA内に所定勾配領域が所定割合存在するようにする。
図18は、本実施形態3における、ECU30による配光制御の動作処理を示すフローチャートである。
ステップS301において、ECU30は、各種センサ情報を取得する。
次に、ステップS302において、ECU30は、各ヘッドライト20がオン状態であるかを判定する。ECU30は、ヘッドライトスイッチ105からオン信号が送信されているか否かにより判定する。ECU30は、各ヘッドライト20がオン状態であるYESのときには、ステップS303に進む。一方で、ECU20は、各ヘッドライト20がオフ状態であるNOのときにはステップS301に戻る。
前記ステップS303では、ECU30は、ドライバの注視点FPを算出する。
次に、ステップS304において、ECU30は、前記ステップS303で算出した注視点FPを中心とする放射方向の所定角度範囲にある円環状領域CAを設定する。ECU30は、外縁位置が10°~25°でかつ幅が1°~4°の円環状領域CAを設定する。
次いで、ステップS305において、ECU30は、円環状領域CAの輝度勾配を算出する。
続いて、ステップS306において、ECU30は、円環状領域CAに、所定勾配領域が所定割合存在するか否かを判定する。ECU30は、円環状領域CAに、所定勾配領域が所定割合存在するYESのときには、リターンする。一方で、ECU30は、円環状領域CAに、所定勾配領域が所定割合存在しないNOのときには、ステップS307に進む。
前記ステップS307では、ECU30は、車両Vが走行している道路形状を検知する。ここで検知する道路形状は、単に走行路の形状だけでなく、走行路上に存在する物標や、走行路の左右に存在する山の斜面、森、ガードレール、電柱等を含む道路形状である。
次のステップS308では、ECU30は、ヘッドライト20の光路上に障害物があるか否かを判定する。この障害物とは、ヘッドライト20の光を遮る障害物である。ECU30は、ヘッドライト20の光路上に障害物があるYESのときには、ステップS309に進む。一方で、ECU30は、ヘッドライト20の光路上に障害物が無いNOのときには、ステップS310に進む。
前記ステップS309では、ECU30は、円環状領域CAに、所定勾配領域が所定割合存在するように、輝度勾配が所定勾配となる画像を表示する。具体的には、ECU30は、HUD10により、車室内側から見て、フロントウィンドウガラス1における円環状領域CAと重複する部分に、輝度勾配が所定勾配となる画像を表示する。ECU30は、ヘッドライト20で構成される所定勾配領域が円環状領域CA全体に占める割合を算出して、所定割合から当該割合を引いた割合に相当する領域だけ、上記画像を表示する。ステップS309の後はリターンする。
一方で、前記ステップS309では、ECU30は、円環状領域CAに、所定勾配領域が所定割合存在するように、ヘッドライト20の配光を調整する。ステップS310の後はリターンする。
この実施形態3では、配光制御部34は、ドライバの注視点FPを中心とする放射方向の所定角度範囲にある円環状領域CAにおいて、該円環状領域CAの外縁位置から内縁位置に放射方向に向かう輝度勾配が特定の割合で減少する所定勾配である所定勾配領域の割合が所定割合となるように、フロントウィンドウガラス1における円環状領域CAと重複する部分に、輝度勾配が所定勾配となる画像を表示するように、ディスプレイ制御部36に制御信号を出力するか、ヘッドライト制御部35に制御信号を出力する。これにより、適切に散瞳効果を得て、ドライバの瞳孔を拡大することができる。この結果、ドライバの視認能力を改善して、車両前方の道路状況の視認性が悪化するのを抑制することができる。
(その他の実施形態)
ここに開示された技術は、前述の実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
前述の実施形態1では、特定領域SAを左右に均等に設定していたが、左右で特定領域の大きさが異なっていてもよい。特に、道路形状に応じて左右の特定領域の大きさを調整するようにしてもよい。
また、前述の実施形態1では、輝度勾配が所定勾配でない特定領域にのみ、輝度勾配が所定勾配となる画像を表示していた。これに限らず、輝度勾配が所定勾配でない特定領域があるときには、全ての特定領域に前記画像を表示するようにしてもよい。
また、前述の実施形態1と実施形態3をと組み合わせて、例えば、特定領域SAとヘッドライト20の光路上の障害物とが重複するときに、特定領域SAに、輝度勾配が所定勾配となる画像を表示するように、HUD10を制御してもよい。
また、前述の実施形態1~3において、ECU30による配光制御は、夜間雨天時にのみ行うようにしてもよい。雨天時であるか否かは、レインセンサ103及びワイパスイッチ104からの信号に基づいて判断することができる。
前述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本開示の範囲を限定的に解釈してはならない。本開示の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。
ここに開示された技術は、ドライバの前方に位置しかつ虚像による画像を表示するディスプレイを有する、車両の照明制御装置として有用である。
1 フロントウィンドウガラス(ディスプレイ)
10 ヘッドアップディスプレイ(ディスプレイ)
20 ヘッドライト
30 ECU(制御部)
31 輝度勾配演算部
33 視野領域演算部(視野領域検知部)
34 配光制御部(制御部)
36 ディスプレイ制御部(制御部)
100 フロントカメラ(路面輝度検知器、視野領域検知部)
102 ドライバモニタカメラ(視野領域検知部)
CA 円環状領域
SA 特定領域
FP 注視点
V 車両

Claims (8)

  1. ドライバの前方に位置しかつ虚像による画像を表示するディスプレイを有する、車両の照明制御装置であって、
    前記車両のヘッドライトにより照射された路面の輝度を検知する路面輝度検知器と、
    前記車両のドライバの視野領域を検知する視野領域検知部と、
    前記ヘッドライトの光により形成される輝度勾配を算出する輝度勾配演算部と、
    前記ディスプレイを制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記ドライバの注視点を中心とする放射方向の所定角度範囲にある円環状領域において、該円環状領域の外縁位置から内縁位置に放射方向に向かう輝度勾配が特定の割合で減少する所定勾配である所定勾配領域の割合が、所定割合未満であるときには、前記ディスプレイにおける前記円環状領域と重複する部分に、輝度勾配が前記所定勾配となる画像を表示することを特徴とする車両の照明制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両の照明制御装置において、
    前記制御部は、前記円環状領域における前記所定勾配領域の割合が前記所定割合となるように、前記ディスプレイにおける前記円環状領域と重複する部分に、輝度勾配が前記所定勾配となる画像を表示することを特徴とする車両の照明制御装置。
  3. 請求項1又は2に記載の車両の照明制御装置において、
    前記視野領域検知部は、前記ドライバを撮影するドライバモニタカメラ及び前記車両の前方を撮影するフロントカメラからの入力信号に基づいて前記視野領域を検知することを特徴とする車両の照明制御装置。
  4. 請求項1~3のいずれか1つに記載の車両の照明制御装置において、
    前記円環状領域の外縁位置は、前記ドライバの注視点を中心とする放射方向の10°~25°の間に設定されていることを特徴とする車両の照明制御装置。
  5. 請求項1~4のいずれか1つに記載の車両の照明制御装置において、
    前記所定角度範囲の幅は、1°~4°に設定されていることを特徴とする車両の照明制御装置。
  6. 請求項1~5のいずれか1つに記載の車両の照明制御装置において、
    前記所定割合は、8%~12%に設定されていることを特徴とする車両の照明制御装置。
  7. 請求項1~6のいずれか1つに記載の車両の照明制御装置において、
    前記輝度勾配演算部は、前記円環状領域の周方向に延びかつ前記円環状領域全体のうち前記所定割合分だけ設定された特定領域の輝度勾配を算出し、
    前記制御部は、前記特定領域の一部が前記所定勾配領域であり、該特定領域の残部が前記所定勾配領域でないときには、前記ディスプレイおける前記特定領域の残部と重複する部分にのみ、輝度勾配が前記所定勾配となる画像を表示することを特徴とする車両の照明制御装置。
  8. 請求項7に記載の車両の照明制御装置において、
    前記特定領域は、左右に均等な割合で設定されていることを特徴とする車両の照明制御装置。

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