JP7500588B2 - インプリントモールドの製造方法、インプリントモールド、モールドブランク、及び光学素子の製造方法 - Google Patents

インプリントモールドの製造方法、インプリントモールド、モールドブランク、及び光学素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光学素子などの微細パターンをインプリントによって形成するためのインプリントモールドに関し、特に、微細な立体的転写パターンを、光インプリントによって、樹脂などの材料に転写することに好適なインプリントモールド、その製造方法、モールドブランクに関する。
インプリント技術は、超微細加工技術として、半導体、バイオ、メディカル等の様々な分野で、期待される手法である。
特許文献1には、基板とその表面に積層された複数の2層膜を有し、各2層膜が、2種類のエッチングガスの一方のエッチングガスに対して高い反応性を有し他方のエッチングガスに対して低い反応性を有する第1の薄膜と、前記一方のエッチングガスに対して低い反応性を有し前記他方のエッチングガスに対して高い反応性を有する第2の薄膜からなる、ブレーズド回折格子製作用成形型が記載されている。
特開平6-258510号公報
例えば、ガラスや金属、Siなどの基板の表面に所望の3次元パターンを形成してなる構造物は、回折格子のような光学素子として使用される。これらの製品に対して微細パターンを形成する際、上記パターンを有するモールド(テンプレート、スタンパ、金型、鋳型、原版とも呼ばれる)を用いたインプリントモールド法が適用されることがある。以降、インプリントモールド法を単にインプリント法又はインプリントとも称する。
インプリント法では、例えば、基板上に塗布した光硬化性あるいは熱硬化性の樹脂からなる層にモールドの3次元パターンを押し当てた状態で、樹脂に光照射(光インプリント)あるいは加熱(熱インプリント)を行ない、樹脂を硬化させる。これにより、樹脂の層にモールドの形状が転写され、パターンが形成される。
上記のとおり、インプリント法は、基板等の上に塗布された樹脂などに、モールドを直接押し付けてパターンを転写する方式である。このため、モールドがもつパターンの寸法及びその深さが、作製される微細パターンの形状に直接影響する。
より高精度な光学素子に対する需要の高まりにともない、インプリントモールドの精度も、より高いものが望まれている。特に、インプリントモールドのモールドパターン(以下、転写用パターンともいう)は、等倍で転写されるものであり、縮小露光を適用する半導体用のフォトマスクと異なるため、インプリントモールドに求められるパターン精度が、最終製品である光学素子が有するパターンに要求される精度に直接反映される。従って、インプリントモールドの微細な転写用パターンは、非常に高い精度で形成されていることが望まれる。しかしながら、1μmを下回る幅や深さをもつ転写用パターンの立体形状を精緻に形成することは容易ではない。
特許文献1には、上記にて触れたとおり、ブレーズド回折格子をレプリカ法によって、安価に製作するための回折格子製作用成形型が記載されている。この成形型は、底面、及び2つの段差からなる、階段状のモールド形状をもつことから、この階段形状が、得ようとするレプリカにおいて、ブレーズド回折格子の傾斜面に対応する部分を形成すると考えられる。そして、特許文献1は、この回折格子転写用の凹部底面及び段差の深さ精度やその均一性が向上できるとしている。
一方、複数の凹部(掘り込み部)をもつ転写用パターンをもつモールドにおいては、その深さ精度のみではなく、個々の凹部の位置精度を高く維持することが求められる。すなわち、最終製品の性能を向上するために、モールドのもつ3次元形状の精度を向上することが肝要であることに、本発明者は着目した。
本発明の目的は、凹部(掘り込み部)を複数もつ、3次元形状の転写用パターンにおいて、その形成精度が高い、インプリントモールド及びその製造方法を提供することである。
本発明の第1の態様は、
所定のモールドパターンを構成する複数の凹部を有する、インプリントモールドの製造方法において、
基板上に、複数のモールド基材層と、該モールド基材層の間に介在するエッチングストッパ層とを含む積層体が形成され、該積層体上にハードマスク層が形成された、モールドブランクを用意する工程と、
前記モールドパターンのデザインに基づいて、前記ハードマスク層をエッチングし、ハードマスクパターンを形成する、ハードマスクパターニング工程と、
前記ハードマスクパターンが設けられた前記積層体上に形成された所定のレジストパターン及び前記ハードマスクパターンをマスクとして前記モールド基材層、又はエッチングストッパ層及び前記モールド基材層をエッチングするモールド掘り込みエッチングをN回(但しNは2以上の整数)施すことにより、互いに深さの異なる前記複数の凹部を形成する、凹部形成工程と、
前記ハードマスクパターンを除去する工程と、
を有し、
前記モールド基材層と、前記エッチングストッパ層は、互いにエッチング選択性のある材料からなり、
形成された前記複数の凹部のそれぞれが、前記エッチングストッパ層が露出してなる底面を有する、インプリントモールドの製造方法である。
本発明の第2の態様は、
前記モールド掘り込みエッチングの回数Nを、2≦N≦5とする、第1の態様に記載のインプリントモールドの製造方法である。
本発明の第3の態様は、
前記積層体が、互いに厚さの異なる前記複数のモールド基材層を含む、第1又は第2のいずれかの態様に記載のインプリントモールドの製造方法である。
本発明の第4の態様は、
互いに深さの異なる前記複数の凹部のそれぞれが、モールド面から個々に独立して垂直に掘り下げられた凹部である、第1から第3のいずれかの態様に記載のインプリントモールドの製造方法である。
本発明の第5の態様は、
前記基板に最も近い前記モールド基材層と前記基板との間にエッチングストッパ層が配置されている、第1から第4のいずれかの態様に記載のインプリントモールドの製造方法である。
本発明の第6の態様は、
所定のモールドパターンを構成する複数の凹部を有するインプリントモールドであって、
基板上に、複数のモールド基材層と、該モールド基材層の間に介在するエッチングストッパ層とを含む積層体を有し、
前記積層体は、互いに深さの異なる前記複数の凹部を有し、
前記モールド基材層と、前記エッチングストッパ層は、互いにエッチング選択性のある材料からなり、
前記複数の凹部のそれぞれは、前記エッチングストッパ層が露出してなる底面を有する、インプリントモールドである。
本発明の第7の態様は、
互いに深さの異なる前記複数の凹部のそれぞれが、モールド面から個々に独立して垂直に掘り下げられた凹部である、第6の態様に記載のインプリントモールドである。
本発明の第8の態様は、
前記積層体が、互いに厚さの異なる前記複数のモールド基材層を含む、第6又は第7の態様に記載のインプリントモールドである。
本発明の第9の態様は、
前記モールド基材層と前記エッチングストッパ層が、同一厚さとしたときの紫外線の透過率が1:0.8~1:0.95である、第6から第8のいずれかの態様に記載のインプリントモールドである。
本発明の第10の態様は、
前記モールド基材層の厚さが、前記エッチングストッパ層の厚さに対し、3倍以上25倍以下である、第6から第9のいずれかの態様に記載のインプリントモールドである。
本発明の第11の態様は、
前記複数の凹部が、それぞれ2層以上5層以下の範囲であって、互いに異なる数のモールド基材層がエッチング除去されて形成されたものである、第6~第10のいずれかの態様に記載のインプリントモールドである。
本発明の第12の態様は、
前記基板に最も近い前記モールド基材層と前記基板との間にエッチングストッパ層が配置されている、第6から第11のいずれかの態様に記載のインプリントモールドである。
本発明の第13の態様は、
紫外線を用いた光インプリントに適用するための、第6から第12のいずれかの態様に記載のインプリントモールドである。
本発明の第14の態様は、
互いに深さの異なる複数の凹部を含むモールドパターンを有する、インプリントモールドを製造するためのモールドブランクであって、
モールド面からそれぞれ深さD1及びD2(但しD1≠D2)の凹部をもつ、前記インプリントモールドを得るためのモールドブランクにおいて、
基板表面上に、複数のモールド基材層が積層され、更にその表面側に、ハードマスク層が形成され、
かつ、該複数のモールド基材層の各々の間には、前記モールド基材層に対し、エッチング選択性をもつ材料からなる厚さWのエッチングストッパ層が介在し、
前記積層のうち、前記基板から最も遠いモールド基材層の厚さをK1、上から第2位にあるモールド基材層の厚さをK2とするとき、
K1=D1、
K2=D2-(D1+W)、
となるように、前記複数のモールド基材層の厚さが設定された、
モールドブランクである。
本発明の第15の態様は、
モールド面からそれぞれ深さD1、D2、・・・Dn(但し、nは3以上の整数、D1、D2・・・Dnは互いに異なる)の凹部をもつインプリントモールドを得るためのモールドブランクにおいて、
基板表面上に、複数のモールド基材層が積層され、更にその表面側に、ハードマスク層が形成され、
かつ、該複数のモールド基材層の各々の間には、前記モールド基材層に対し、エッチング選択性をもつ材料からなる厚さWのエッチングストッパ層が介在し、
前記積層のうち、前記基板から最も遠いモールド基材層の厚さをK1、上から第2位にあるモールド基材層の厚さをK2、上から第n位にあるモールド基材層の厚さをKnとするとき、
K1=D1、
K2=D2-(D1+W)

Kn=Dn-(D1+D2+… (n-1)W)
となるように、前記複数のモールド基材層の厚さが設定された、
モールドブランクである。
本発明の第16の態様は、
前記モールド基材層は、ケイ素及び酸素を含有し、前記エッチングストッパ層は、ケイ素、アルミニウム及び酸素を含有することを特徴とする第14又は第15の態様に記載のモールドブランクである。
本発明の第17の態様は、
前記エッチングストッパ層は、波長365nmの光に対する屈折率nが2.2以下であることを特徴とする第14から第16のいずれかの態様に記載のモールドブランクである。
本発明の第18の態様は、
前記エッチングストッパ層は、波長365nmの光に対する消衰係数kが0.01以下であることを特徴とする第14から第17のいずれかの態様に記載のモールドブランクである。
本発明の第19の態様は、
第6から第13の態様のいずれかに記載のインプリントモールドを用意する工程と、
樹脂材を含む被転写体に対して、前記インプリントモールドのモールド面を直接又は間接に押し当て、前記モールドパターンを被転写体に転写する工程と、
を含む、光学素子の製造方法である。
本発明によれば、凹部を複数もつ、3次元形状の転写用パターンにおいて、その形成精度が高い、インプリントモールド及びその製造方法を提供できる。
図1は、本実施形態に係るインプリントモールドの構造の一例を示す概略断面図である。 図2Aは、本実施形態に係るインプリントモールドの製造方法の一例を示す概略断面図(その1)である。 図2Bは、本実施形態に係るインプリントモールドの製造方法の一例を示す概略断面図(その2)である。 図3は、本実施形態のインプリントモールドを用いた光インプリントによるパターン転写の概要を示す概略断面図である。
本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。図面は、説明のために例示するものであり、これに限定されない。また、図面は、模式的なものであり、各部分の寸法の比率、各部分の配置の順番、及び、各部分の数は、現実のものと一致するとは限らない。
<インプリントモールド1>
本実施形態に係るインプリントモールド1は、インプリント法に用いるモールドとして、好適に用いることができる。以降、インプリントモールド1のことを単にモールド1ともいう。具体的には、本実施形態に係るモールド1が有するモールドパターンを、樹脂などの被転写体に転写し、得られた光学素子などの形成物(又はこれをレプリカとして、更に別に用意した材料に転写して得た形成物)を様々な用途に用いることができる。
例えば、本実施形態に係るモールド1は、半導体、MEMS部材、バイオ関連部材、医療関連部材、及び、光学素子(回折格子など)用として、有利に用いることができる。光学素子としては、表示装置用などに用いることができる。
図1は、本実施形態に係るモールド1の構造の一例を示す概略断面図である。
図1に示すとおり、本実施形態のモールド1は、基板2上に、複数のモールド基材層4を有し、該複数のモールド基材層4同士の間には、エッチングストッパ層3が介在して構成された、積層体を有する。また、本形態では、最下位に位置する(基板2に最も近い位置にある)モールド基材層4と基板2の間にも、エッチングストッパ層3が設けられている。
尚、本明細書においては、基板2を備えたインプリントモールド1においてモールドパターンが形成される側の基板2の面を基板主表面(又は単に基板表面)とし、主表面側を上方、主表面の裏面側を下方とする。
このモールド1は、所定のモールドパターンを構成するための複数の凹部1cを有する。
本形態のモールド1は、モールド面1sから個々に独立して垂直に掘り下げて形成された、互いに異なるN通り(ここでは3通り)の深さの凹部1c(掘り込み部)をもつモールドパターンを備える。それぞれの深さが、モールド面1sからD1,D2,D3であり、図1は、D1<D2<D3である場合を例示する。このように、本形態のモールド1は、互いに深さの異なる複数の凹部1cを有する。もちろん、いずれかの深さであって、同一の深さの凹部1cが、複数含まれていても良い(図1ではそれぞれの深さの凹部1cが2個、合計6個)。こうしたモールドパターンの立体形状が、樹脂材料などからなる被転写体に転写され、被転写体上に反転したパターンが形成される。つまり、被転写体上に形成しようとする立体形状を反転したものが、本形態のモールド1のモールドパターンである。
凹部1c(掘り込み部)の深さは、用途に応じて決定される。例えば、光学素子であれば、適用する光に応じて、10~500nmとすることができ、より具体的には、10~300nm程度が例示される。また、凹部1cの深さがこのような範囲にあるとき、発明の効果が顕著である。後述の製造方法によって、微細パターンにおける、凹部1cの微細な深さを、精緻に制御できるためである。
本形態のモールド1が有するモールドパターンは、用途に応じてデザインされる。例えば、本願発明によれば、N通りの深さ(例えば2≦N≦5)の凹部1cを有することができる。
凹部1cの深さ制御は、本形態のモールド1を得るため用意する、モールドブランク10の設計によって正確に行うことができる。この点については更に後述する。
モールド面1sは、該モールド1の最上位に位置する平面(基板2から最も遠い位置にある平面)である。本実施形態のモールド1を用いて、樹脂などからなる被転写体にモールドパターンを転写する際には、モールド面1sが、被転写体のパターン形成面に、直接又は間接的に接触し、押し当てられる。間接的に押し当てられる場合としては、離型材などの機能層や、付加的な層がモールド面1sの表面に形成されたり、介在する場合が挙げられる。
本形態では、凹部1cがそれぞれ独立に、モールド面1sから掘り下げられている。従ってモールド面1s側からみた、モールドパターンの形状(モールドパターンの平面視)では、各凹部1cが、モールド面1sに挟まれ、又は囲まれて配置される。このことは、モールドパターンを被転写体へ転写する際の角度調整や位置決めを正確に行なう際に有利である。
また、このようなデザインのモールドパターンにおいて、凹部1cの幅や位置、深さを精緻に制御可能とする、本願発明の効果が顕著に生じ、これを適用して、光学素子などの製品に対する広範な応用が行える。
例えば、モールドパターン(平面視)は、ライン状に残存したモールド面1sが、ライン状の凹部1cを介して、規則的に配列したライン状パターンであってもよく、又は、所定の径をもつ複数の凹部1cがモールド面1sに形成された、ホール配列パターンであってもよく、更に他のデザインであってもよい。
モールドパターンが上記したライン状の配列パターンの場合、そのピッチ(周期)は50~1000nmの範囲内とし、或いはより具体的に、70~500nmとすることができる。もちろん、各々の凹部1c(掘り込み部)のパターンの幅(CDともいう)及びピッチのいずれにおいても、同一寸法のものが繰り返し配列する場合のほか、位置によって寸法が変化するパターンであってもよい。
モールドパターンがホールパターンである場合においても、個々のホールの形状には特に限定は無く、正方形、長方形、円形などのデザインが可能である。その径(ホール形状の内接円の直径とする)は50~1000nmとすることができ、更には、70~500nmの範囲としても良い。
また、凹部1cのパターンアスペクト比(すなわち(凹部1cの深さ)/(凹部1cの底幅))は、例えば、0.1~5とすることができる。
本形態のモールド1は、各凹部1c内に階段状の段差を有しない。つまり、各凹部1cは、単一の深さをもつ。各凹部1cの側壁は、図1に示す通り、モールド基材層4とエッチングストッパ層3が交互に積層した構造が露出している。後述の通り、各凹部1cはモールド基材層4とエッチングストッパ層3を互いに異なるエッチャントによってパターニングすることで形成される。このため、側壁のモールド基材層4とエッチングストッパ層3との間でわずかな段差が生じることは避けがたい。ただし、このような段差は、側壁のモールド基材層4の部分に対して、側壁のエッチングストッパ層3の部分がわずかに出っ張る、あるいは、側壁のモールド基材層4の部分に対して、側壁のエッチングストッパ層3の部分がわずかに凹むようなものである。このような側壁の段差は、いずれも数nm程度であり、一般にこれを階段状の段差とはいわない。
各凹部1cの底面は、後述のとおりエッチングストッパ層3が露出している。つまり、各凹部1cの形成は、モールド面1sから掘り下げられ、複数のエッチングストッパ層3のいずれかの表面の位置までの深さをもつ。そして、エッチングストッパ層3が除去されずに残存している。各凹部1cは、モールド基材層4とエッチングストッパ層3とからなる側壁と、エッチングストッパ層3からなる底面によって構成される。
「モールドパターンを構成する複数の凹部1c」とは、モールド面1sから凹んだ部分が複数形成されたことを意味する。凹部1cの数には特に限定は無いが、例えば一辺が100mmの矩形領域内に100~2000箇所であってもよい。上記のとおり、複数の凹部1cは、互いに深さが異なることができるが、一部の凹部1cは、互いに同じ深さを有してもよい。
各々の凹部1c(掘り込み部)のCDについても、同様に用途に応じて決定される。例えば、50~1000nm、好ましくは、70~500nm程度の幅をもつ掘り込み部を、垂直に掘り下げて形成することができる。各凹部1cの側壁の形状は、垂直であることが好ましい。具体的には、凹部1cの側壁は、その底面に垂直な仮想面に対し、±10度の範囲内(底面に対し80度以上100度以下の範囲内。)であることが好ましく、±5度の範囲内(底面に対し85度以上95度以下の範囲内。)であることがより好ましい。
換言すれば、このような微細な深さ/CDが精緻に制御されたモールドを、本実施形態のモールド1として提供可能である。
(基板2)
基板2は、掘り込みパターンが形成された上記積層体を支持するものである。
基板2の材料には特に限定は無い。但し、光透過性を備えるものが好ましい。この場合、光インプリントに適用する際に有利である。例えば、基板2上に光硬化性の樹脂層を形成した被転写体に上記モールド1のモールド面1sを押し当てた状態で、樹脂に光照射を行なう際、基板2の裏面側からの光照射を行なうことが可能となる。つまり、上記「光透過性」とは、基板2を介して照射した光により光硬化性樹脂を硬化させることができる程度に光を透過することを指す。光透過性を有することを「透明」とも称する。
尚、光インプリントにおいて、紫外線による樹脂硬化が好適に採用される。例えば、基板2の厚み方向における紫外線の透過率は70%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。ここでの紫外線は、波長が10~400nmの範囲内にある光であり、好ましくは、200~380nmである。例えば、365nmを参照波長として上記の紫外線の透過率を設定してもよい。以降にて挙げる紫外線は同様の設定を採用するものとする。
基板2の形状には特に限定は無く、例えば、円盤状でもよいし矩形平板状でもよい。基板2のサイズとしては、例えば光学素子用のインプリントモールド1の場合、一辺の長さを10~300mmとすることができる。基板2の厚みは、特に限定されないが、先に挙げた紫外線の透過率のことを考慮すると、例えば光学素子用のインプリントモールド1の場合、5~15mm程度が挙げられる。
基板2を構成する具体的な材料としては、例えば、ケイ素と酸素を含有する材料(石英ガラス、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス等)、ケイ素と酸素とチタンを含有する材料(SiO-TiO低熱膨張ガラス等)、アルミニウムと酸素を含有する材料(サファイア等)が例示される。本実施形態では、基板2として、石英基板を用いる例について説明する。石英基板は、光インプリントにおける照射光に対して透明性が得られる上、平坦及び平滑に加工することが可能であるため、例えばインプリント用モールドとして用いて高精度の転写を行える。
(積層体)
図1から理解されるとおり、本実施形態のモールド1は、複数のモールド基材層4と、それらの間に介在するエッチングストッパ層3を有する。すなわち、本実施形態のモールドは、互いに厚さの異なる複数のモールド層を含む積層体を有する。
モールド基材層4は、モールド1を構成する主たる基材である。モールド基材層4は、光インプリントの照射光に対して、透明な材料からなることが好ましい。モールド基材層4は、例えば二酸化ケイ素など、ケイ素を含有する材料を選択することができる。また、モールド基材層4は、ケイ素に、酸素及び窒素から選ばれる1以上の元素を含有する材料を用いるとより好ましく、ケイ素及び酸素を含有する材料を用いると更に好ましい。具体的には、二酸化ケイ素(SiO)のほか、Si、SiONなどを含められる。一方、ハフニウム酸化物など、ハフニウムを含有する材料を選択してもよい。
エッチングストッパ層3の参照波長(波長365nm)の紫外線に対する屈折率nは、1.7以下であることが好ましく、1.6以下であるとより好ましく、1.5以下であると更に好ましい。エッチングストッパ層3の参照波長(波長365nm)の紫外線に対する消衰係数kは、0.003以下であることが好ましく、0.001以下であるとより好ましい。尚、複数のモールド基材層4の材料は必ずしも同一であるとは限らず、後述する特徴を有するものを、1種又は複数種用いてもよい。
各モールド基材層4の材料は、使用する光(上記紫外線)に対して透明なものとすることが好ましい。例えば、各モールド基材層4における、厚み方向の紫外線の透過率は70%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。
各モールド基材層4の厚み(層厚)は、得ようとするモールドパターンの形状に基づいて決定することができる。すなわち、モールドパターンが有する各凹部1c(各掘り込み部)の設定深さに応じて決定することができる。例えば、モールド基材層4の厚みは、10~500nmの範囲で設定してもよく、30~200nmの範囲で設定してもよい。この範囲であるとき、均一な膜厚を得るための安定した成膜条件を選択することができる。
図1~3において、各モールド基材層4の厚みはほぼ同一に示されているが、本願発明のモールド1はこれに限定されず、互いに異なるものを含んでいても良い。本実施形態のモールドパターンを形成する際には、どの深さに配置されたモールド基材層4(又はエッチングストッパ層3とモールド基材層4)までをエッチングにより除去(掘り込み)するかを決定することにより、所望の深さをもつ凹部1cを得ることができる。言い換えれば、得ようとする凹部1cの深さの種類に応じて、モールド基材層4の各々の厚みと、積層順を予め決定する。この際、モールド基材層4同士の間に介在するエッチングストッパ層3の厚みを考慮する。この点については、更に後述する。
また、後掲の<インプリントモールド1の製造方法>にて説明するが、各モールド基材層4の間にはエッチングストッパ層3が介在し、モールド基材層4をエッチング除去する際に、その掘込深さが、モールド基材層4ごとにそれぞれ独立に制御され、設計どおりの凹部1cの深さが正確に得られる。
上記のようにエッチングストッパ層3を配置することにより、凹部1c(掘り込み部)の深さは、モールド面1sから掘り込む予定の部分における、予め所定の厚みに設定したモールド基材層4と、同じく予め所定の厚みに設定したエッチングストッパ層3との層厚の合計から容易に設定可能である。
上記エッチングストッパ層3は、各々の掘り込みを形成する際に、エッチングを正確に停止させる機能をもつ。オーバーエッチングタイムを適切に設けることができ、凹部1cの底部の形状を設計どおりに形成できる。
本実施形態に係るモールド1では、複数の凹部1cのそれぞれは、エッチングストッパ層3が露出してなる底面を有する。
本実施態様では、いずれの凹部1cの底面もエッチングストッパ層3が露出するので、モールド製品の検査(凹部1c深さの光学的検査・保証)に用いることも可能と考えられる。
積層体中のモールド基材層4の積層数は、モールド1の用途に応じて決定すればよく、特に限定は無い。例えば、形成しようとする凹部1cの深さ種類に応じて、2~5層とすることができ、3~4層がより好ましい。つまり、凹部1cの少なくともいずれかは、それぞれN層(但し2≦N≦5、好適には3≦N≦4)のモールド基材層4がエッチング除去(除去対象のモールド基材層4の間に介在するエッチングストッパ層3を含み)されて形成されたものであるのが好ましい。
この場合、光インプリントを採用した場合、モールド基材層4とエッチングストッパ層3との間の界面での光の反射又は散乱の影響によらず、被転写体は均一に硬化される。
エッチングストッパ層3は、モールド基材層4のエッチャント(例えばエッチングガス)に対して、エッチング耐性をもつ材料からなる。また、モールド基材層4は、エッチングストッパ層3のエッチャントに対して、エッチング耐性をもつ。モールド基材層4とエッチングストッパ層3とは、互いにエッチング選択性を有する材料からなる。
エッチングストッパ層3の材料の具体例としては、二酸化ケイ素(SiO)及びアルミニウム(Al)を含むもの(例えば、酸化アルミニウム(Al))、ハフニウム(Hf)を含むもの(例えば酸化ハフニウム(HfO))、クロム(Cr)を含むもの(例えば酸化クロム(CrO)、窒化クロム(CrN)、酸化窒化クロム(CrON)、これらに炭素が含有されるものの少なくともいずれか)等が挙げられる。
但し、エッチングストッパ層3の材料は、モールド基材層4の材料に対してエッチング選択性を有する材料であることから、モールド基材層4にSiOなどのSi含有材料を用いる場合には、エッチングストッパ層3に、アルミニウム又はクロムを含む材料を用いることが好ましい。エッチングストッパ層3は、ケイ素、アルミニウム及び酸素を含有する材料で形成されているとより好ましい。このようなエッチングストッパ層3は、モールド基材層4との間で高いエッチング選択性を有し、高い洗浄耐性を有し、光インプリント時に用いられる紫外線に対して高い透光性を有する。また、基板2とモールド基材層4がともにケイ素を含有する材料で形成されている場合、基板2とエッチングストッパ層3との密着性、モールド基材層4とエッチングストッパ層3との密着性がともに向上する。
エッチングストッパ層3の参照波長(波長365nm)の光(紫外線)に対する屈折率nは、2.2以下であることが好ましく、1.9以下であるとより好ましく、1.6以下であると更に好ましい。エッチングストッパ層3の参照波長(波長365nm)の光(紫外線)に対する消衰係数kは、0.01以下であることが好ましく、0.005以下であるとより好ましい。
本明細書における、モールド基材層4に対するエッチングストッパ層3のエッチング選択性とは、同一エッチャント使用時における、(エッチングストッパ層3のエッチング速度)/(モールド基材層4のエッチング速度)の式によって特定される。この式により特定されるエッチング選択性をエッチング選択比ともいう。
「モールド基材層4とエッチングストッパ層3との間でのエッチング選択性が高い」とは、所定のエッチャント使用時、上記定義式の値が著しく大きい又は著しくゼロに近いことを表す。例えば、モールド基材層4のエッチング時のエッチングストッパ層3のエッチング選択比すなわち(エッチングストッパ層3のエッチング速度)/(モールド基材層4のエッチング速度)は、1/2~1/1000であることが好ましい。
一例を挙げると、モールド基材層4をSiOで形成し、それに対するエッチャントに四フッ化炭素(CF)を適用し、エッチングストッパ層3をAlとSiOとからなる材料で形成し、それに対するエッチャントに四塩化炭素(CCl)を適用することが挙げられる。
上記例でいうと、エッチャントCFを使用する場合、Alからなるエッチングストッパ層3のエッチング速度は極めて低いので、(エッチングストッパ層3のエッチング速度)/(モールド基材層4のエッチング速度)の値はゼロに近づく。その一方、エッチャントCClを使用する場合、SiOからなるモールド基材層4のエッチング速度は極めて低いので、(エッチングストッパ層3のエッチング速度)/(モールド基材層4のエッチング速度)の値は、10以上である。
この複数のエッチングストッパ層3は、互いに同じ厚さとしてもよいし、厚さが互いに異なるものを含んでいてもよい。
尚、各エッチングストッパ層3の材料は1種でもよいし複数種でもよい。後述の紫外線の透過率や、エッチング条件の安定性を考慮すると、全てのエッチングストッパ層3が、同一の材料からなることが、好ましく、またその厚さも同一であることが好ましい。
光インプリントに本実施形態に係るモールド1を適用すべく、各エッチングストッパ層3の材料は、光インプリントに使用する光(特に紫外線)に対して透明性が高いものとすることが好ましい。例えば、各エッチングストッパ層3における、厚み方向の紫外線の透過率は70%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。
また、モールド基材層4とエッチングストッパ層3のそれぞれに使用する材料の透過率は、同一厚さの試料で比較したとき、T1>T2(但し、T1:モールド基材層4材料試料、T2:エッチングストッパ材料試料)であることが好ましく、その相対的な比は、T1:T2=1:0.8~1:0.95とすることができる。
エッチングストッパ層3の厚みは、エッチングを停止する機能を満足に発揮しうる範囲において、小さい方が好ましい。大きすぎると、エッチング時間を増加させるのみならず、モールド1の光透過性が下がる不都合が生じる。エッチングストッパ層3の厚みは、例えば、3~30nmとすることができ、好ましくは、5~20nmであり、更に好ましくは8~20nmである。
前記モールド基材層4の厚さは、前記エッチングストッパ層3の厚さに対し、3~25倍であることが好ましく、3~20倍であることが更に好ましい。
尚、モールド基材層4の素材とエッチングストッパ層3の材料は、光インプリントに用いる照射光に対し、十分な透明性を備えるものを選択する。そして、上記にて列記した材料が好適に用いられる。特に、モールド基材層4は、エッチングストッパ層3より相対的に厚さが大きいため、より透明性の高いものを採用することが望まれる。
一方、エッチングストッパ層3がモールド基材層4のエッチャントによりエッチングされるエッチングレートRsは、モールド基材層4がエッチングストッパ層3のエッチャントによりエッチングされるエッチングレートRbよりも小さい、すなわちRb>Rsとなることが生じ得る。すなわち、エッチングストッパ層3が、モールド基材層4のエッチャントから受けるダメージは、モールド基材層4が、エッチングストッパ層3のエッチャントから受けるダメージより相対的に低い場合が生じることが明らかになった。従って、モールドパターンにおける凹部1cの深さを制御するにあたり、目標値に対して±5nm、更には±2nmといった精緻な掘込量のコントロールには、凹部1cの底面にエッチングストッパ層3を残存させることが有利であることが判明した。
(その他の層)
本実施形態に係るモールド1は、接着性や耐衝撃性を向上させるプライマー層、や、電子線描画のチャージアップを抑制する導電層等を、必要に応じて有していてもよい。各モールド基材層4、各エッチングストッパ層3、及び/又は後掲のハードマスク層5に導電性がある場合、チャージアップ抑制効果が得られる場合がある。
<インプリントモールド1の製造方法>
本実施形態によれば、以下の方法を適用して、上記に説明したインプリントモールド1を製造することができる。尚、以下に記載が無い内容は、<インプリントモールド1>にて説明したとおりとする。
本実施形態に係るインプリントモールド1の製造方法は、以下のとおりである。
(モールドブランク10)
本実施形態で製造するモールド1は、互いに深さの異なる複数の凹部1cを含むモールドパターンを有する、インプリントモールド1であって、図1に例示するように、少なくとも、モールド面1sからそれぞれ深さD1及びD2(但しD1≠D2)の凹部1cをもつモールド1である。
予め、得ようとするモールド1の設計に基づいて用意したモールドブランク10を用いて上記モールドを製造する。
このモールドブランク10は、該モールド1が有する、所望の掘り込み深さに基づいて、モールド基材層4及びエッチングストッパ層3それぞれの積層数、積層順、及び、各モールド基材層4及び各エッチングストッパ層3それぞれの厚みが、予め調整されている。これを用いて、互いに異なる位置に、互いに異なるN通りの深さで凹部1cが形成されることになる(凹部形成工程)。言い換えれば、個々に異なる所望深さのモールド掘り込みエッチングが、少なくとも、N回(すなわちN箇所に)行うことによって形成される。もちろん、付加的に、同じ又は異なる深さの凹部1cが更に形成されてもよい。
尚、モールド基材層4及びエッチングストッパ層3は、スパッタ法などの、公知の成膜手法を適用して形成することができる。
本実施形態で用いるモールドブランク10の断面の概要を、図2A(a)に示す。
本実施形態のモールドブランク10は、基板2表面上に、複数のモールド基材層4が積層され、その表面側に、ハードマスク層5が形成され、更にその上にレジスト層を有する。
該複数のモールド基材層4の各々の間には厚さWのエッチングストッパ層3が介在している。ここではすべてのエッチングストッパ層3が同一の厚さをもつ。
前記積層のうち、最上位にあるモールド基材層4の厚さをK1、上から第2位にあるモールド基材層4の厚さをK2とするとき、
K1=D1、
K2=D2-(D1+W)
である。
前記モールド基材層4と、前記エッチングストッパ層3は、互いにエッチング選択性のある材料からなる。
上記K1,K2の表現は、モールドブランク10に対して形成予定の凹部1cであって、凹部1cの深さが浅い方から2つの凹部1cについて規定した表現である。
また、D1、D2のいずれとも異なる、深さD3の凹部1cを更に形成する場合には、モールドブランク10は、更に厚さK3のモールド基材層4の積層を有し(図2(A)参照)、
K3=D3-(D1+D2+2W)
となる。すなわち、n種類の深さの凹部1cを有する場合には、モールドブランク10が有するべき積層、K1,K2,K3,・・Kn(これら同士の間にはエッチングストッパ層3が介在する)は、以下の関係を有する。
Kn=Dn-(D1+D2+… (n-1)W)
つまり、上記2つの凹部1cに加えて、更により深い凹部1cをもつモールド1を考慮すると、
モールド面1sからそれぞれ深さD1、D2、・・・Dn(但し、nは3以上の整数、D1、D2・・・Dnは互いに異なる)の凹部1cをもつ、前記インプリントモールド1を得るためのモールドブランク10において、
基板2表面上に、複数のモールド基材層4が積層され、更にその表面側に、ハードマスク層5が形成され、
かつ、該複数のモールド基材層4の各々の間には厚さWのエッチングストッパ層3が介在し、
前記積層のうち、最上位にあるモールド基材層4の厚さをK1、上から第2位にあるモールド基材層4の厚さをK2、上から第n位にあるモールド基材層4の厚さをKnとするとき、
K1=D1、
K2=D2-(D1+W)

Kn=Dn-(D1+D2+… (n-1)W)
と表現できる。
尚、本実施形態では、K1、K2、・・・Knのうち少なくとも一つのKは他のKと異なる値とすることができ、全部のKが互いに異なる値であってもよい。
(ハードマスク層5)
ハードマスク層5は、複数のモールド基材層4をエッチングするに先立ち、掘り込み位置すなわち形成予定の凹部1cの位置を予め画定する機能をもつ。形成される全ての掘り込み位置とそのパターンの平面視形状は、ハードマスクパターン5pによって決定される。
ハードマスク層5の材料としては、モールド基材層4及びエッチングストッパ層3のいずれのエッチャントに対しても、エッチング耐性をもつものである。
つまり、ハードマスク層5は、モールド基材層4に対してエッチング選択性を有し、且つ、エッチングストッパ層3に対してもエッチング選択性を有することが好ましい。
尚、すべての所望の掘り込み部が形成された後に、ハードマスク層5を除去すれば良い。
ハードマスク層5の材料は、例えば、クロム(Cr)を含むもの(例えば酸化クロム(CrO)、窒化クロム(CrN)、酸化窒化クロム(CrON)、これらに炭素が含有されるものの少なくともいずれか)が挙げられる。
ハードマスク層5は、小さな膜厚でモールド基材層4やエッチングストッパ層3のエッチングの際のマスク機能を発揮することにより、パターニング精度を確保する。この作用はドライエッチングを適用する際に顕著である。従って、その層厚は、例えば、3~30nmとすることが好ましい。
(レジスト膜)
レジスト膜としては、公知のフォトレジストを使用することができる。レジストには、ポジ型フォトレジストあるいはネガ型フォトレジストを用いることができる。尚、レジストパターンの形成のための露光を電子線描画にて行なう場合には、電子線用の化学増幅型レジストを用いてもよい。また、スリットコータ及びスピンコータのような公知の塗布装置によって、ハードマスク層5上にレジストを塗布することができる。
レジスト膜の膜厚は特に限定は無いが、ハードマスクパターン5pを形成するためのハードマスク層5に対するエッチング時間に耐える点、大きすぎると形成するパターン精度が下がることから、例えば50~300nmであることが好ましい。
図2(a)~(p)(すなわち図2Aにおける(a)~(i)及び図2Bにおける(j)~(p))は、本発明の本実施形態に係るモールド1の製造方法の一例を示す概略断面図である。
まず、図2(a)に示すようなモールドブランク10を用意する。ここでは、モールドブランク10は、3つのモールド基材層4が積層し、各々の間にエッチングストッパ層3が介在する。図2(a)では、基板2と最下位に位置するモールド基材層4の間にもエッチングストッパ層3が設けられている。また、エッチングストッパ層3は合計3層設けており、いずれも同じ厚さW(nm)を有する。尚、モールド基材層4は、図2ではいずれも同じ厚さで表現しているが、<インプリントモールド1>にて説明したように、互いに異なる厚さを有するモールド基材層4が含まれることが好ましい。
本実施形態に係るモールドブランク10は、更に、積層されたモールド基材層4上に形成されたハードマスク層5と、第1レジスト膜61と、を備える。尚、ここでのモールドブランク10は、モールド基材層4の一部が既にパターニングされたモールド中間体であってもよい。
図2(b)に示すように、用意したモールドブランク10上の第1レジスト膜61に対して描画(第1描画)及び現像を行ない、第1レジストパターン61pを形成する。第1レジストパターン61pは、形成しようとする掘り込み部に対応した開口を有する。
電子線にて描画を行ったとしても、ハードマスク層5が導電性を有している場合、チャージアップの発生を抑制でき、好適である。
図2(c)に示すように、第1レジストパターン61pをマスクとしてハードマスク層5をエッチングし、ハードマスクパターン5pを形成する(ハードマスクパターニング工程)。これにより、掘り込み部の幅及び位置を決定できる。
ハードマスク層5のエッチングには、ドライエッチングあるいはウエットエッチングを適用することができ、本実施形態では、ドライエッチングを用いる。ハードマスク層5の材料をCrOとしたとき、エッチャントとしてのエッチングガスとしては塩素(Cl)を含むガスなど公知のガスを用いることができる。
図2(d)に示すように、第1レジストパターン61pを剥離する。剥離は公知の手法を採用すればよく、例えば、硫酸と過酸化水素水の混合液からなるレジスト剥離剤を使用してもよい。以降、レジストパターンの剥離については同様とする。
図2(e)に示すように、ハードマスクパターン5pをマスクとして、最上位にあるモールド基材層4をエッチングする。これにより、第1掘り込みパターンが形成される。第1掘り込みパターンにおける凹部1cの掘り込み深さはD1(=K1)である。
最上位のモールド基材層4のエッチングには、ドライエッチングあるいはウエットエッチングを適用することができ、本実施形態では、ドライエッチングを用いる。エッチングガスとしては、公知のガス(例えば、モールド基材層4の材料としてSiOを使用する場合、フッ素を含むガス、好ましくはCF)を用いることができる。後述のモールド基材層4のエッチングについても、同様である。
図2(f)に示すように、ハードマスクパターン5pを含むモールドブランク10表面にレジストを塗布し、新たな第2レジスト膜62を形成する。この第2レジスト膜62の原料は、上記のレジストと同様のものを用いることができる。
図2(g)に示すように、第2レジスト膜62に対して描画(第2描画)及び現像を行ない、第2レジストパターン62pを形成する。第2レジストパターン62pは、形成された第1掘り込みパターンのうち一部を被覆し、他の一部を露出する。これは、最終的に得るべき掘り込み深さがD1である箇所をエッチングから保護することを意図している。描画装置としては、第1レジストパターン61pの形成に用いるものと同様のものを利用できる。
尚、第1描画と第2描画との間で位置ずれが生じる可能性があるため、第2描画の描画データには、予測される位置ずれ量をもとに決定した、アライメントマージン分だけ、描画寸法を加えて(サイジングを施して)もよい。すなわち、図示するように、ハードマスクパターン5pの一部を、第2レジストパターン62pの開口内に露出させることができる。この露出幅(サイジングの幅)は、5~200nmとすることができる。
図2(h)に示すように、第2レジストパターン62pとハードマスクパターン5pとをマスクとして、最上位にあるエッチングストッパ層3をエッチングする。
最上位のエッチングストッパ層3のエッチングには、ドライエッチングあるいはウエットエッチングを適用することができ、本実施形態では、ドライエッチングを用いる。エッチングガスとしては、公知のガス(例えば、エッチングストッパ層3の材料としてAlを使用する場合、CCl)を用いることができる。後述の中間のエッチングストッパ層3のエッチングについても、同様である。
図2(i)に示すように、第2レジストパターン62pとハードマスクパターン5pとをマスクとして、上から第2位にあるモールド基材層4をエッチングする。これにより、第2掘り込みパターンが形成される。第2掘り込みパターンの凹部1cの掘り込み深さは、モールド面1sからD2(=K1+K2+W)である。
図2(j)に示すように、第2レジストパターン62pを剥離する。
図2(k)に示すように、ハードマスクパターン5pを含むモールドブランク10表面にレジストを塗布する。この第3レジスト膜63の原料は、上記のレジストと同様のものを用いることができる。
図2(l)に示すように、第3レジスト膜63に対して描画(第3描画)及び現像を行ない、第3レジストパターン63pを形成する。第3レジストパターン63pは、形成された第1掘り込みパターンに加え、第2掘り込みパターンのうち一部を被覆し、他の一部を露出する。描画装置としては、第1レジストパターン61pの形成に用いるものと同様のものを利用できる。
尚、第1描画、第2描画、及び第3描画との間で位置ずれが生じる可能性があるため、第3描画の描画データには、上記第2描画の際と同様のサイジングを施しても良い。
図2(m)に示すように、第3レジストパターン63p及び第3レジストパターン63pの開口内に露出したハードマスクパターン5pをマスクとして、上から第2位のエッチングストッパ層3をエッチングする。
図2(n)に示すように、上から第3位にあるモールド基材層4をエッチングする。これにより、第3掘り込みパターンが形成される。第3掘り込みパターンの凹部1cの掘り込み深さは、モールド面1sからD3(=K1+K2+K3+2W)である。
図2(o)に示すように、第3レジストパターン63pを剥離する。
尚、モールド基材層4の積層数が3層より多い場合には、上記と同様の工程を繰り返すことにより、第N掘り込みパターンを形成することができる。この第N掘り込みパターンの凹部1cの掘り込み深さは、モールド面1sからDn(=K1+K2+・・・+Kn+(n-1)W)である。
個々の凹部1cの形成において、エッチングストッパ層3が露出して底面が形成された時点で、エッチングを終了する。前記複数の凹部1cの深さは、それぞれ、掘り込みによって除かれた、異なる数の前記モールド基材層4の厚みと、該除かれたモールド基材層4の間に介在したエッチングストッパ層3の厚みの合計となる。言い換えれば、あらかじめ、モールドブランク10の設計の段階において、所望の凹部1cの深さを決定し、その底部にエッチングストッパ層3が位置するように、各モールド基材層4及びエッチングストッパ層3の配置を定めておく。
必要なモールド基材層4のエッチングが終了したのち、図2(p)に示すように、ハードマスクパターン5pを剥離する。
以上により、本実施形態に係るモールド1が完成する。本実施形態は、以下のような効果を奏することができる。
本実施形態のモールド1は、複数の掘り込み部を有し、それらの各々について底面にはエッチングストッパ層3が露出する。すなわち、上記掘込エッチングの終点は、エッチングストッパ層3が露出した時点とし、該エッチングストッパ層3を残存させる。これによって、エッチング終点の決定が容易であるとともに、形成される掘り込み部底部の形状が設計どおりとなり、より精緻に凹部1cの深さを制御することができる。
すなわち、凹部1cの深さを、目標深さに対して±5nm、更には±2nmの範囲で精度管理することに大きな意義をもつ。
更に、該エッチングストッパ層3をエッチングする工程削減が可能であるというコスト上のメリットがあることは言うまでもない。
更に、本実施形態のモールド1の製造方法では、ハードマスクパターン5pが形成された時点で、それぞれの掘り込み部の位置と寸法が決定し、その後の工程で、描画を繰り返しても、各凹部1cの装置位置は設計値からずれを生じることがない。このことから、本実施形態のモールド1においては、そのパターン形成位置及び寸法が、高精度に目標値に一致する。
つまり、本発明の製造方法は、モールド基材層4及びエッチングストッパ層3それぞれの材料に対して最適な積層構成と、製造プロセスを適用することによって、パターニングの精度を得ることができ、特に、掘り込みの深さ制御に優れる。
更に、複数の深さの掘り込み部の掘り込み深さは、モールド基材層4及びエッチングストッパ層3の厚みによって決めることができる。ゆえに、モールドブランク10を設計する段階で、得るべき掘り込み深さに応じ、成膜条件を決定すればよい。
尚、図2の製造方法には表れていないが、製造方法によって、厚みの異なるモールド基材層4を同時にエッチングすることも可能である。その場合、相対的に厚みの小さいモールド基材層4のエッチングが終了した時点では、より厚みの大きいモールド基材層4のエッチングは終了していない。従って、より厚みの大きいモールド基材層4のエッチングを継続すると、相対的に厚みの小さいモールド基材層4において、エッチングにより露出したエッジ部分がダメージを受け、パターン幅が変化してしまうおそれがある。その一方、本実施形態に係るモールド1の製造方法によれば、互いに厚みの異なる各モールド基材層4のエッチング工程が、モールド基材層4ごとにそれぞれ独立に制御され、そのよう尚それを低減できる。
また、本実施形態によれば、基板2、エッチングストッパ層3、及びモールド基材層4を透明に設定できる。これにより、本実施形態に係るモールド1を用いてインプリントにより光学素子などを作製する場合、被転写体(光硬化性の樹脂など)にモールド1のパターン面を押し当てた状態で、モールド1を介して該樹脂に光を照射することができる。これにより、光学素子等の製品、又は、更なる転写を行うためのレプリカ等を製造することができる。
以上の結果、本実施形態によれば、モールドパターンの凹部1cの形状と深さの精度が極めて高い光学素子用のインプリントモールド1及びその製造方法を提供できる。
<ワーキングレプリカ及び/又は光学素子の製造方法>
本実施形態に係るモールド1により光学素子を製造する方法は、以下のとおりである。
すなわち、本実施形態に係るインプリントモールド1を用意する工程と、
樹脂材を含む被転写体に対して、インプリントモールド1の前記モールド面1sを直接又は間接に押し当て、前記モールドパターンを被転写体に転写する工程と、
を含む製造方法とする。
ここでは、被転写体に対して光インプリントによるパターン転写を行なう場合の手順について説明する。紫外線を用いた光インプリントの場合、室温(例えば10~30℃)でのインプリントプロセスが可能となる。このときの紫外線の好適な波長等は、<インプリントモールド1>に記載したものと同様とする。但し、本実施態様のモールド1を熱インプリントに適用しても良い。
図3は、本実施形態のインプリントモールド1を用いた光インプリントによるパターン転写の概要を示す概略断面図である。
光インプリントによるパターン転写を行なう場合には、先ず、被転写体を用意する。被転写体は、基板2(図示せず)の主表面上に、塗布された光硬化性樹脂とすることができる。
この光硬化性樹脂は、硬化前は液状であってもよい。液状の場合、上下反転したモールド1の凹部1cに速やかに光硬化性樹脂が入り込み、凹部1cの形状を正確に転写しやすくなる。そのため、硬化前の光硬化性樹脂の粘度が低いことが好ましく、10~1000mPa・s(25℃)程度が好ましい。
尚、光硬化性樹脂としては、エポキシ系、ウレタン系などのベース樹脂に光重合開始剤、ラジカル発生剤などを混合した樹脂溶液が例示される。また、紫外線以外の光により硬化する樹脂材を採用しても構わない。
そして、図1に例示する本実施形態に係るモールド1を上下反転させ、光硬化性樹脂7とモールド面1sとが対向するようモールド1を配置する(図3(a))。
そして、モールド1を光硬化性樹脂7に直接に押し当てることにより、モールド1と光硬化性樹脂7とを接触させる。その後、紫外線の露光により光硬化性樹脂7を硬化させ、樹脂パターンを形成する(図3(b))。紫外線は、例えば、モールド面1sの裏面側から、モールド1を介して、光硬化性樹脂7に照射することができる。
露光の形式には特に限定は無い。
そして、モールド1を離型することにより、モールドパターンが光硬化性樹脂7に転写される(図3(c))。この転写されたパターンを基に、硬化後の樹脂に対して更にエッチング等の加工を行ない、光学素子を製造してもよい。また、パターンが転写された硬化後の樹脂を、光学素子とするのではなく、ワーキングレプリカ8すなわちインプリントモールド1のコピーとし、このコピーを用いて光学素子を製造してもよい。尚、ワーキングレプリカ8は光学素子を製造するために用いられるものであり、広義にはワーキングレプリカ8も光学素子であると解釈することができる。
以上をまとめると、本実施形態のモールド1によれば、基板2、エッチングストッパ層3、及びモールド基材層4はそれぞれ、先に述べたように透明である。本実施形態に係るモールド1を用いてインプリントにより光学素子などを作製する場合、樹脂材である光硬化性樹脂にモールド1のパターン面を上から押し当てた状態で、モールド1を介して該樹脂に光を照射することにより、光学素子等の製品、又は、レプリカ等を製造することができる。
尚、モールド1を離型しやすくすべく、モールド1の最表面(すなわち雰囲気と接触する面であってモールド面1sのみならず凹部1cの底部及び側部を含む)に対し、離型層を形成してもよい。この場合、樹脂材を含む被転写体に対して、モールド1のモールド面1sを間接に押し当てることになる。
離型剤としては、公知のものが使用できる。例えば、直鎖パーフルオロポリエーテル構造を有する有機シリコーン化合物からなる表面改質剤、あるいは、未変性又は変性シリコーンオイル、トリメチルシロキシケイ酸を含有するポリシロキサン、シリコーン系アクリル樹脂等が例示される。また、特開2012-048772号公報に記載のように、分子鎖における主鎖には(C2mO)[mは整数かつ1≦m≦7であり、nは、(C2mO)の分子量が500以上かつ6000以下となる整数]が一種類又は複数種類含まれ、化合物は、モールド1に対して吸着可能な吸着官能基としてヒドロキシル基を少なくとも2個以上有し、分子鎖における両末端にヒドロキシル基が設けられた化合物を離型剤として使用してもよい。
1 (インプリント)モールド
1c 凹部
1s モールド面
2 基板
3 エッチングストッパ層
4 モールド基材層
5 ハードマスク層
5p ハードマスクパターン
61 第1レジスト膜
61p 第1レジストパターン
62 第2レジスト膜
62p 第2レジストパターン
63 第3レジスト膜
63p 第3レジストパターン
7 光硬化性樹脂
8 ワーキングレプリカ
10 モールドブランク

Claims (19)

  1. 所定のモールドパターンを構成する複数の凹部を有する、インプリントモールドの製造方法において、
    基板上に、複数のモールド基材層と、該モールド基材層の間に介在するエッチングストッパ層とを含む積層体が形成され、該積層体上にハードマスク層が形成された、モールドブランクを用意する工程と、
    前記モールドパターンのデザインに基づいて、前記ハードマスク層をエッチングし、ハードマスクパターンを形成する、ハードマスクパターニング工程と、
    前記ハードマスクパターンが設けられた前記積層体上に形成された所定のレジストパターン及び前記ハードマスクパターンをマスクとして前記モールド基材層、又はエッチングストッパ層及び前記モールド基材層をエッチングするモールド掘り込みエッチングをN回(但しNは2以上の整数)施すことにより、互いに深さの異なる前記複数の凹部を形成する、凹部形成工程と、
    前記ハードマスクパターンを除去する工程と、
    を有し、
    前記モールド基材層と、前記エッチングストッパ層は、互いにエッチング選択性のある材料からなり、
    形成された前記複数の凹部のそれぞれが、前記エッチングストッパ層が露出してなる底面を有することを特徴とするインプリントモールドの製造方法。
  2. 前記モールド掘り込みエッチングの回数Nを、2≦N≦5とすることを特徴とする請求項1に記載のインプリントモールドの製造方法。
  3. 前記積層体が、互いに厚さの異なる前記複数のモールド基材層を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のインプリントモールドの製造方法。
  4. 互いに深さの異なる前記複数の凹部のそれぞれが、モールド面から個々に独立して垂直に掘り下げられた凹部であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のインプリントモールドの製造方法。
  5. 前記基板に最も近い前記モールド基材層と前記基板との間にエッチングストッパ層が配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のインプリントモールドの製造方法。
  6. 所定のモールドパターンを構成する複数の凹部を有するインプリントモールドであって、
    基板上に、複数のモールド基材層と、該モールド基材層の間に介在するエッチングストッパ層とを含む積層体を有し、
    前記積層体は、互いに深さの異なる前記複数の凹部を有し、
    前記モールド基材層と、前記エッチングストッパ層は、互いにエッチング選択性のある材料からなり、
    前記複数の凹部のそれぞれは、前記エッチングストッパ層が露出してなる底面を有することを特徴とするインプリントモールド。
  7. 互いに深さの異なる前記複数の凹部のそれぞれが、モールド面から個々に独立して垂直に掘り下げられた凹部であることを特徴とする請求項6に記載のインプリントモールド。
  8. 前記積層体が、互いに厚さの異なる前記複数のモールド基材層を含むことを特徴とする請求項6又は7に記載のインプリントモールド。
  9. 前記モールド基材層と前記エッチングストッパ層が、同一厚さとしたときの紫外線の透過率が1:0.8~1:0.95であることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載のインプリントモールド。
  10. 前記モールド基材層の厚さが、前記エッチングストッパ層の厚さに対し、3~25倍であることを特徴とする請求項6から9のいずれかに記載のインプリントモールド。
  11. 前記複数の凹部が、それぞれ2層以上5層以下の範囲であって、互いに異なる数のモールド基材層がエッチング除去されて形成されたものであることを特徴とする請求項6から10のいずれかに記載のインプリントモールド。
  12. 前記基板に最も近い前記モールド基材層と前記基板との間にエッチングストッパ層が配置されていることを特徴とする請求項6から11のいずれかに記載のインプリントモールド。
  13. 紫外線を用いた光インプリントに適用するためのことを特徴とする請求項6から12のいずれかに記載のインプリントモールド。
  14. 互いに深さの異なる複数の凹部を含むモールドパターンを有する、インプリントモールドを製造するためのモールドブランクであって、
    モールド面からそれぞれ深さD1及びD2(但しD1≠D2)の凹部をもつ、前記インプリントモールドを得るためのモールドブランクにおいて、
    基板表面上に、複数のモールド基材層が積層され、更にその表面側に、ハードマスク層が形成され、
    かつ、該複数のモールド基材層の各々の間には、前記モールド基材層に対し、エッチング選択性をもつ材料からなる厚さWのエッチングストッパ層が介在し、
    前記積層のうち、前記基板から最も遠いモールド基材層の厚さをK1、上から第2位にあるモールド基材層の厚さをK2とするとき、
    K1=D1、
    K2=D2-(D1+W)、
    となるように、前記複数のモールド基材層の厚さが設定されたことを特徴とするモールドブランク。
  15. モールド面からそれぞれ深さD1、D2、・・・Dn(但し、nは3以上の整数、D1、D2・・・Dnは互いに異なる)の凹部をもつインプリントモールドを得るためのモールドブランクにおいて、
    基板表面上に、複数のモールド基材層が積層され、更にその表面側に、ハードマスク層が形成され、
    かつ、該複数のモールド基材層の各々の間には、前記モールド基材層に対し、エッチング選択性をもつ材料からなる厚さWのエッチングストッパ層が介在し、
    前記積層のうち、前記基板から最も遠いモールド基材層の厚さをK1、上から第2位にあるモールド基材層の厚さをK2、上から第n位にあるモールド基材層の厚さをKnとするとき、
    K1=D1、
    K2=D2-(D1+W)

    Kn=Dn-(D1+D2+… (n-1)W)
    となるように、前記複数のモールド基材層の厚さが設定されたことを特徴とするモールドブランク。
  16. 前記モールド基材層は、ケイ素及び酸素を含有し、前記エッチングストッパ層は、ケイ素、アルミニウム及び酸素を含有することを特徴とする請求項14又は15に記載のモールドブランク。
  17. 前記エッチングストッパ層は、波長365nmの光に対する屈折率nが2.2以下であることを特徴とする請求項14から16のいずれかに記載のモールドブランク。
  18. 前記エッチングストッパ層は、波長365nmの光に対する消衰係数kが0.01以下であることを特徴とする請求項14から17のいずれかに記載のモールドブランク。
  19. 請求項6から13のいずれかに記載のインプリントモールドを用意する工程と、
    樹脂材を含む被転写体に対して、前記インプリントモールドのモールド面を直接又は間接に押し当て、前記モールドパターンを被転写体に転写する工程と、
    を含む、光学素子の製造方法。
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