JP7496222B2 - インクジェット塗布装置、及びインクジェット塗布方法 - Google Patents

インクジェット塗布装置、及びインクジェット塗布方法 Download PDF

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Description

本発明はインクジェット塗布装置、及びインクジェット塗布方法に関し、より詳細には、互いに混ざり合わない2種以上の液滴を基材に吐出して塗布パターンを形成することのできるインクジェット塗布装置、及びインクジェット塗布方法に関する。
近年、相反する極性を有する2種類のインクをインクジェットヘッドから基材に吐出し、これらインクの極性反発を利用して前記基材に電極や薄膜を形成する技術が提案されている。
例えば、下記の非特許文献1には、研究開発用の小型インクジェット装置を用いて、親水性の銀ナノ粒子インクと、疎水性の銀ナノ粒子インクとを隣り合うように基板上に吐出し、これらインクの極性反発とピンニング現象を利用して、チャネル長が1μm以下のソース・ドメイン電極(SD電極)を有する有機トランジスタを形成する技術が開示されている。
また、下記の非特許文献2には、結晶化インク(貧溶媒)と有機半導体を含む半導体インクの2種類のインクを2基のインクジェットヘッドからそれぞれ吐出するダブルショットインクジェット印刷法により半導体結晶薄膜を形成する技術が開示されている。
非特許文献2記載の方法は、1基目のインクジェットヘッドから結晶化インクを基板上に吐出し、続いて2基目のインクジェットヘッドから半導体インクを結晶化インク上に重ねて塗布し、基材上にミクロな混合液滴を形成する。この混合液滴の内部では、有機半導体が直ちに過飽和状態になるとともに、インクどうしの極性反発によりインクが流動し、液滴表面において半導体結晶の成長が促進される。最終的に半導体結晶が液滴表面全体を覆い、溶媒蒸発後に有機半導体の単結晶薄膜が形成される。
[発明が解決しようとする課題]
非特許文献1、2には、互いに混ざり合わない、相反する極性を有する2種類のインクの極性反発を利用して、基材に塗布パターンを形成する技術が記載されている。しかしながら、これらは、いずれも実験室レベルでの小規模な検討結果であり、工業的に実施できるようにするためには、大面積化された基材に多くの塗布パターンを面内で均一に形成するための技術や生産性を高めるための技術が必要になるという課題があった。
ピーターマックグラブ(Peter Mack Grubb),外4名,「化学作用で形成されたミクロンオーダーのギャップを有する高性能トランジスタのインクジェット印刷(Inkjet Printing of High Performance Transistors with Micron Order Chemically Set Gaps)」,2017年4月26日,サイエンティフィック リポーツ(Scientific Reports),7,1202(2017),インターネット<URL: https://doi.org/10.1038/s41598-017-01391-2> 峯廻 洋美(Hiromi Minemawari),外7名,「単結晶薄膜のインクジェット印刷(Inkjet printing of single-crystal films)」,2011年7月13日,ネイチャー(Nature)475,p.364-367, 2011,インターネット<URL:http://doi.org/10.1038/nature10313>
課題を解決するための手段及びその効果
本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、互いに混ざり合わない2種以上の液滴の特性を利用した高精細な塗布パターンを大面積でも均一に形成することができるインクジェット塗布装置、及びインクジェット塗布方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために本発明に係るインクジェット塗布装置(1)は、
基材に塗布パターンを形成するインクジェット塗布装置であって、
前記塗布パターンを形成するための第1液滴を吐出する複数のノズルを有する第1ヘッド部と、
前記第1液滴とは互いに混ざり合わない性質を有し、前記塗布パターンを形成するための第2液滴を吐出する複数のノズルを有する第2ヘッド部と、
前記第1ヘッド部と前記第2ヘッド部とを前記基材に対して相対走査させる走査部と、
前記相対走査の中で、前記第1ヘッド部の複数のノズルの中から前記第1液滴を吐出する制御と前記第2ヘッド部の複数のノズルの中から前記第2液滴を吐出する制御とを行う制御部とを備え、
該制御部が、
前記相対走査の速度と前記第1ヘッド部及び前記第2ヘッド部の配置間隔とに応じた吐出タイムラグで、前記第1液滴と前記第2液滴とを隣接又は少なくとも一部が重なり合う位置に吐出制御可能に構成されていることを特徴としている。
上記インクジェット塗布装置(1)によれば、前記相対走査の中で、前記第1ヘッド部と前記第2ヘッド部とから、互いに混ざり合わない前記第1液滴と前記第2液滴とが、前記隣接又は少なくとも一部が重なり合う位置に前記吐出タイムラグで吐出される。
したがって、前記第1ヘッド部と前記第2ヘッド部とが通過する前記基材の面内において、前記吐出タイムラグを一定に保ちつつ、前記第1液滴と前記第2液滴とを液体の状態で確実に接触させることが可能となり、前記第1液滴と前記第2液滴との特性、すなわち、非相溶性を利用した高精細なパターンを形成することが可能となる。これにより、前記基材を大面積化した場合であっても、前記非相溶性を利用して形成される前記塗布パターンを面内で均一に形成することができる。
また本発明に係るインクジェット塗布装置(2)は、上記インクジェット塗布装置(1)において、
前記第1ヘッド部の複数のノズルの中から前記第1液滴を吐出するノズルと、前記第2ヘッド部の複数のノズルの中から前記第2液滴を吐出するノズルとの組み合わせを選定する選定部を備えていることを特徴としている。
上記インクジェット塗布装置(2)によれば、前記第1ヘッド部及び前記第2ヘッド部の何れのノズルから前記第1液滴と前記第2液滴とを前記隣接又は少なくとも一部が重なり合う位置に吐出する場合であっても、その吐出時間間隔が、前記吐出タイムラグから極力ばらつかないように、前記第1ヘッド部のノズルと前記第2ヘッド部のノズルとの組み合わせを選定することができる。したがって、前記第1ヘッド部及び前記第2ヘッド部のノズル構成の違いに柔軟に対応させることができ、前記第1液滴と前記第2液滴とが互いに混ざり合わない性質を利用した高精細なパターンを面内で均一に、かつ安定的に形成することができる。
また本発明に係るインクジェット塗布装置(3)は、上記インクジェット塗布装置(2)において、
前記第1ヘッド部から吐出される前記第1液滴と前記第2ヘッド部から吐出される前記第2液滴との着弾状態を検査する検査部を備え、
前記選定部が、
前記検査部での検査によって得られる前記着弾状態の検査データを考慮して、前記第1ヘッド部の複数のノズルの中から前記第1液滴を吐出するノズルと、前記第2ヘッド部の複数のノズルの中から前記第2液滴を吐出するノズルとの組み合わせを選定するものであることを特徴としている。
上記インクジェット塗布装置(3)によれば、前記第1ヘッド部から吐出される前記第1液滴と前記第2ヘッド部から吐出される前記第2液滴との着弾状態が検査され、該着弾状態の検査データを考慮して、隣接又は少なくとも一部が重なり合う一対の液滴を吐出する前記第1ヘッド部のノズルと前記第2ヘッド部のノズルとの組み合わせが選定される。なお、前記着弾状態には、例えば、着弾位置、着弾面積、又は不吐出の有無などの状態が含まれる。
これにより、前記第1ヘッド部のノズル又は前記第2ヘッド部のノズルの中から、液滴の吐出に不適なノズルが検出された場合であっても、液滴の吐出に適した(前記吐出タイムラグからのずれが小さい)ノズルの組み合わせが選定され、前記第1液滴と前記第2液滴とを前記隣接又は少なくとも一部が重なり合う位置に吐出させることが可能となる。
また本発明に係るインクジェット塗布装置(4)は、上記インクジェット塗布装置(2)又は(3)において、
前記第1ヘッド部及び前記第2ヘッド部のうちの少なくともいずれかを鉛直軸方向に回転させる回転機構、及び/又は前記第1ヘッド部及び前記第2ヘッド部のうちの少なくともいずれかを前記相対走査の方向に対して直交する方向に移動させるシフト移動機構と、
前記回転機構及び前記シフト移動機構のうちの少なくともいずれかを動作させて、前記第1ヘッド部及び前記第2ヘッド部のうちの少なくともいずれかのノズル位置調整を行う位置調整部とをさらに備え、
該位置調整部が、
前記選定部によりノズルの組み合わせが選定できない箇所がある場合、前記第1液滴と前記第2液滴とを前記隣接又は少なくとも一部が重なり合う位置に吐出可能なノズルの組み合わせが選定できるように、前記ノズル位置調整を行うことを特徴としている。
上記インクジェット塗布装置(4)によれば、前記選定部によりノズルの組み合わせが選定できない箇所がある場合であっても、前記位置調整部が、前記回転機構及び前記シフト移動機構のうちの少なくともいずれかを動作させて、前記第1ヘッド部及び前記第2ヘッド部のうちの少なくともいずれかのノズル位置調整を行うことが可能となる。これにより、前記隣接又は少なくとも一部が重なり合う位置に前記第1液滴と前記第2液滴とを吐出可能なノズルの組み合わせを選定することが可能となり、前記第1液滴と前記第2液滴とを前記隣接又は少なくとも一部が重なり合う位置に正確に吐出することが可能となる。このように、前記回転機構、及び/又は前記シフト移動機構と、前記位置調整部とにより、前記選定部によりノズルの組み合わせが選定できない箇所がある場合の適応性を高めることができる。
また本発明に係るインクジェット塗布装置(5)は、上記インクジェット塗布装置(3)~(5)のいずれかにおいて、
前記第1ヘッド部が、複数行のノズル列を含んで構成され、
前記第2ヘッド部が、複数行のノズル列を含んで構成され、
前記選定部が、
前記第1ヘッド部の前記複数行のノズル列の中から前記第1液滴を吐出するノズルと、前記第2ヘッド部の前記複数行のノズル列の中から前記第2液滴を吐出するノズルとの組み合わせを選定する場合に、互いに対応する行のノズルを選定するものであることを特徴としている。
上記インクジェット塗布装置(5)によれば、前記第1ヘッド部と前記第2ヘッド部とがそれぞれ前記複数行のノズル列を含んで構成されて、大型化された場合であっても、前記第1ヘッド部と前記第2ヘッド部とのそれぞれの前記複数行のノズル列の中から互いに対応する行のノズルを選定して、前記第1液滴と前記第2液滴との吐出を適切に制御することができる。
したがって、前記第1液滴と前記第2液滴との吐出間隔が、前記吐出タイムラグから極力ばらつかないようにすることができ、前記第1ヘッド部と前記第2ヘッド部とがそれぞれ前記複数行のノズル列を含んで構成されて、大型化された場合であっても、前記第1液滴と前記第2液滴との非相溶性を利用した高精細なパターンを面内で均一に、かつ安定的に形成することができる。
また本発明に係るインクジェット塗布装置(6)は、上記インクジェット塗布装置(1)~(5)のいずれかにおいて、
前記第1ヘッド部及び前記第2ヘッド部が、
前記相対走査の方向への1回の走査で前記基材の塗布領域全体に前記塗布パターンを形成できる数のノズルを備えていることを特徴としている。
上記インクジェット塗布装置(6)によれば、前記相対走査の方向への1回の走査で前記基材の塗布領域全体に前記塗布パターンを形成することができ、塗布工程の生産性を高めることができる。また、前記相対走査の方向へ複数回の走査を行って、前記基材の塗布領域全体に前記塗布パターンを形成する場合と比較して、複数回の走査に起因する帯状の塗布ムラや、液滴の乾燥状態が面内でばらつくことに起因する乾燥ムラが少ない、より均一性が高い塗布パターンを形成することができる。
また本発明に係るインクジェット塗布装置(7)は、上記インクジェット塗布装置(1)~(6)のいずれかにおいて、
前記第1液滴及び前記第2液滴のうち、前記基材に対する撥液性が相対的に高い方が先に吐出され、前記基材に対する撥液性が相対的に低い方が後に吐出されるように、前記第1ヘッド部と前記第2ヘッド部とが配置されていることを特徴としている。
上記インクジェット塗布装置(7)によれば、前記隣接又は少なくとも一部が重なり合う位置に吐出される前記第1液滴及び前記第2液滴のうち、前記基材に対する撥液性が相対的に高い方が先に吐出され、前記基材に対する撥液性が相対的に低い方が後に吐出される。これにより、前記第1液滴と前記第2液滴とを吐出すべき位置、及び前記基材上に吐出された前記第1液滴と前記第2液滴との境界をより正確に画定することができ、高精細な塗布パターンを形成することができる。
また本発明に係るインクジェット塗布方法(1)は、基材に塗布パターンを形成するインクジェット塗布方法であって、
前記塗布パターンを形成するための第1液滴を吐出する第1ヘッド部と、前記第1液滴とは互いに混ざり合わない性質を有し、前記塗布パターンを形成するための第2液滴を吐出する第2ヘッド部とを前記基材に対して相対走査させつつ、前記第1ヘッド部の複数のノズルの中から前記第1液滴を吐出し、該第1液滴が吐出される前記基材上の着弾位置に対して、隣接又は少なくとも一部が重なり合う位置に、前記第2ヘッド部の複数のノズルの中から前記第2液滴を、前記相対走査の速度と前記第1ヘッド部及び前記第2ヘッド部の配置間隔とに応じた吐出タイムラグで吐出することを特徴としている。
上記インクジェット塗布方法(1)によれば、前記相対走査の中で、前記第1ヘッド部と前記第2ヘッド部とから、互いに混ざり合わない前記第1液滴と前記第2液滴とを、前記隣接又は少なくとも一部が重なり合う位置に前記吐出タイムラグで吐出することができる。したがって、前記第1ヘッド部と前記第2ヘッド部とが通過する前記基材の面内において、前記吐出タイムラグを一定に保ちつつ、前記第1液滴と前記第2液滴とを液体の状態で確実に接触させることが可能となり、前記第1液滴と前記第2液滴との特性、すなわち、非相溶性を利用した高精細なパターンを形成することが可能となる。これにより、前記基材を大面積化した場合であっても、前記非相溶性を利用して形成される前記塗布パターンを面内で均一に形成することができる。
また本発明に係るインクジェット塗布方法(2)は、上記インクジェット塗布方法(1)において、
前記第1液滴と前記第2液滴とが前記隣接又は少なくとも一部が重なり合う位置に吐出されるように、前記第1ヘッド部の複数のノズルの中から前記第1液滴を吐出するノズルと、前記第2ヘッド部の複数のノズルの中から前記第2液滴を吐出するノズルとの組み合わせを選定することを特徴としている。
上記インクジェット塗布方法(2)によれば、前記第1ヘッド部及び前記第2ヘッド部の何れのノズルから前記第1液滴と前記第2液滴とを前記隣接又は少なくとも一部が重なり合う位置に吐出する場合であっても、その吐出間隔が、前記吐出タイムラグから極力ばらつかないように、前記第1ヘッド部のノズルと前記第2ヘッド部のノズルとの組み合わせを選定することができる。したがって、前記第1ヘッド部及び前記第2ヘッド部のノズル構成の違いに柔軟に対応させることができ、前記第1液滴と前記第2液滴とが互いに混ざり合わない性質を利用した高精細なパターンを面内で均一に、かつ安定的に形成することができる。
また本発明に係るインクジェット塗布方法(3)は、上記インクジェット塗布方法(1)又は(2)において、
前記第1ヘッド部及び前記第2ヘッド部が、前記相対走査の方向への1回の走査で前記基材の塗布領域全体を塗布できる数のノズルを備えているものであり、
前記基材の塗布領域周囲にダミー塗装を行った後、
前記第1ヘッド部及び前記第2ヘッド部により、前記相対走査の方向への1回の走査で前記基材の塗布領域全体を塗布することを特徴としている。
上記インクジェット塗布方法(3)によれば、前記相対走査の方向への1回の走査で前記基材の塗布領域全体に前記塗布パターンを形成することができ、塗布工程の生産性を高めることができる。また、前記基材の塗布領域周囲にダミー塗装を行うので、前記基材が大面積のものであっても、前記基材の中央部分と周縁部分とで、液滴の溶剤蒸気濃度の違いに起因する乾燥ムラを抑制することができ、より均一性が高い塗布パターンを形成することができる。
また本発明に係るインクジェット塗布方法(4)は、上記インクジェット塗布方法(1)~(3)のいずれかにおいて、
前記第1液滴及び前記第2液滴のうち、前記基材に対する撥液性が相対的に高い方を先に吐出し、前記基材に対する撥液性が相対的に低い方が後に吐出することを特徴としている。
上記インクジェット塗布方法(4)によれば、前記隣接又は少なくとも一部が重なり合う位置に吐出される前記第1液滴及び前記第2液滴のうち、前記基材に対する撥液性が相対的に高い方を先に吐出し、前記基材に対する撥液性が相対的に低い方を後に吐出するので、前記第1液滴と前記第2液滴とを吐出すべき位置、及び前記基材上に吐出される前記第1液滴と前記第2液滴との境界をより正確に画定することができ、高精細な塗布パターンを形成することができる。
本発明の実施の形態(1)に係るインクジェット塗布装置を概略的に示す側面図である。 実施の形態(1)に係るインクジェット塗布装置を概略的に示す平面図である。 基材上に第1液滴を走査方向に塗布している経過状況を説明するための部分拡大図である。 基材上の第1液滴に隣接する位置に第2液滴を走査方向に塗布している経過状況を説明するための部分拡大図である。 基材上に第1液滴と第2液滴とを走査方向に対して直交する方向に塗布している経過状況を説明するための部分拡大図である。 実施の形態(1)に係るインクジェット塗布装置が行う塗布動作の一例を示すフローチャートである。 実施の形態(2)に係るインクジェット塗布装置を概略的に示す側面図である。 実施の形態(2)に係るインクジェット塗布装置を構成する第1ヘッド部と第2ヘッド部との動作機構を説明するための部分拡大図である。 実施の形態(2)に係るインクジェット塗布装置が行う塗布動作の一例を示すフローチャートである。
以下、本発明に係るインクジェット塗布装置、及びインクジェット塗布方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、実施の形態(1)に係るインクジェット塗布装置を概略的に示す側面図である。図2は、実施の形態(1)に係るインクジェット塗布装置を概略的に示す平面図である。
図1、2に示すように、インクジェット塗布装置1は、第1塗布ユニット10、第2塗布ユニット20、走査部30、塗布ステージ40、及び制御装置50を備えている。
インクジェット塗布装置1では、走査部30が駆動されて、第1塗布ユニット10と第2塗布ユニット20とが塗布ステージ40に載置された基材Wの上方を移動しつつ、第1塗布ユニット10と第2塗布ユニット20とから相反する極性を有する液滴が基材W上の隣接又は少なくとも一部が重なり合う位置に吐出されるように構成されている。そして、基材W上の複数箇所に、前記液滴の極性反発を利用した塗布パターンが形成される。前記相反する極性を有する液滴が、互いに混ざり合わない性質を有する液滴の一例である。
なお、以下の説明では、第1塗布ユニット10と第2塗布ユニット20とが移動(走査)する方向をX軸方向、X軸方向と水平面上で直交する方向をY軸方向、X軸方向およびY軸方向の双方に直交する方向をZ軸方向として説明する。
基材Wに形成される塗布パターンは、例えば、有機トランジスタ回路を構成する電極薄膜(SD電極など)、半導体薄膜、又は絶縁膜などの各種の回路パターンである。また、塗布パターンは、液晶パネルや有機ELパネルなどのカラーフィルターの画素パターン、高分子LEDなどの発光デバイス用途の他、微小幅(例えば、ミクロン(μm)オーダー、サブミクロンオーダー)のギャップを有する各種パターンなどでもよい。但し、本発明の対象となる塗布パターンは、これらに限定されない。
塗布ステージ40は、基材Wを載置するステージ装置であり、基材Wが水平な姿勢を維持した状態で載置される構成になっている。なお、塗布ステージ40は、基材Wが水平な姿勢でステージ表面に吸着保持できるように吸着機構を含んで構成されてもよい。基材Wは、例えば、ガラス基板、樹脂基板、樹脂フィルムなどのフレキシブル基板、又はシリコンウェハなどである。但し、本発明の対象となる基材Wは、これらに限定されない。
第1塗布ユニット10は、第1ヘッド部11と、第1ヘッド部11を支持する第1ガントリ部14とを備えている。
第1ヘッド部11は、Y軸方向を長手方向とする略直方体の形状を有し、ピエゾ素子を駆動させて第1液滴を吐出する第1ヘッドモジュール12、13が組み込まれている。本実施の形態では、第1ヘッドモジュール12、13が、Y軸方向に複数列組み込まれているとともに、X軸方向に隣接して組み込まれている。すなわち、第1ヘッド部11が、複数行のノズル列を含んで構成されている。
第1ヘッドモジュール12、13は、第1液滴を吐出する複数のノズル12a、13aを備え、第1ヘッド部11の下面に複数のノズル12a、13aがY軸方向に所定のノズルピッチPで配列されている。
第1ヘッド部11では、第1ヘッドモジュール12の複数のノズル12aと、第1ヘッドモジュール13の複数のノズル13aとが、P/2のピッチだけ平行にずらして配置されている。この配置により、第1ヘッド部11の移動方向(X軸方向)と直交する方向(Y軸方向)のノズル12a、13aの並びがP/2のピッチのノズルに相当するノズル密度を有するインクジェットヘッドが形成されている。
また、第1ヘッド部11は、第1塗布ユニット10及び第2塗布ユニット20と、塗布ステージ40との相対走査の方向(X軸方向)への1回の走査で基材Wの塗布領域全体に塗布パターンを形成できる数のノズル12a、13aを備えている。換言すれば、第1ヘッド部11のY軸方向のノズル列幅が、基材W上の塗布領域幅よりも大きくなるように、第1ヘッド部11が構成されている。
なお、図1、2に示す第1ヘッド部11には、第1ヘッドモジュール12、13がX軸方向に隣接して2行組み込まれているが、別の構成例では、第1ヘッドモジュール12のみ、すなわち、X軸方向に1行だけ組み込まれている構成でもよいし、X軸方向に等間隔に3行以上組み込まれている構成でもよい。3行以上のn行のノズル列が、P/nのピッチだけ平行にずらして配置されることにより、P/nのピッチのノズルに相当するノズル密度を有するインクジェットヘッドが形成できる。
第1ガントリ部14は、略門型形状に形成され、塗布ステージ40のY軸方向両外側に配置される脚部14aと、これら脚部14aを連結しY軸方向に延びるビーム部材14bとを備え、ビーム部材14bに第1ヘッド部11が取付けられている。
第1ガントリ部14は、塗布ステージ40をY軸方向に跨いだ状態で走査部30に取り付けられ、走査部30によりX軸方向に走査できるように構成されている。したがって、第1ガントリ部14がX軸方向に移動又は停止すると、第1ヘッド部11もそれに付随してX軸方向に移動又は停止する。また、第1ガントリ部14の走査量を調節することにより、第1ヘッド部11のX軸方向の位置が調節される。これらの構成により、第1ヘッド部11が基材W上を移動しつつ、基材W上の所定の着弾位置に第1ヘッド部11から第1液滴が吐出できるようになっている。
第2塗布ユニット20は、第2ヘッド部21と、第2ヘッド部21を支持する第2ガントリ部24とを備えている。
第2ヘッド部21は、Y軸方向を長手方向とする略直方体の形状を有し、ピエゾ素子を駆動させて、第1液滴とは相反する極性を有する第2液滴を吐出する第2ヘッドモジュール22、23が組み込まれている。本実施形態では、第2ヘッドモジュール22、23が、Y軸方向に複数列組み込まれているとともに、X軸方向に隣接して組み込まれている。すなわち、第2ヘッド部21が、複数行のノズル列を含んで構成されている。
第2ヘッドモジュール22、23は、第2液滴を吐出する複数のノズル22a、23aを備え、第2ヘッド部21の下面に複数のノズル22a、23aがY軸方向に所定のノズルピッチPで配列されている。
第2ヘッド部21では、第2ヘッドモジュール22の複数のノズル22aと、第2ヘッドモジュール23の複数のノズル23aとが、P/2のピッチだけ平行にずらして配置されている。この配置により、第2ヘッド部21の移動方向(X軸方向)と直交する方向(Y軸方向)のノズル22a、23aの並びがP/2のピッチのノズルに相当するノズル密度を有するインクジェットヘッドが形成されている。
また、第2ヘッド部21は、前記相対走査の方向への1回の走査で基材Wの塗布領域全体に塗布パターンを形成できる数のノズル22a、23aを備えている。換言すれば、第2ヘッド部21のY軸方向のノズル列幅が、基材W上の塗布領域幅よりも大きくなるように、第2ヘッド部21が構成されている。
なお、図1、2に示す第2ヘッド部21には、第2ヘッドモジュール22、23がX軸方向に隣接して2行組み込まれているが、別の構成例では、第2ヘッドモジュール22のみ、すなわち、X軸方向に1行だけ組み込まれている構成でもよいし、X軸方向に等間隔で3行以上組み込まれている構成でもよい。
第2ガントリ部24は、略門型形状に形成され、塗布ステージ40のY軸方向両外側に配置される脚部24aと、これら脚部24aを連結しY軸方向に延びるビーム部材24bとを備え、ビーム部材24bに第2ヘッド部21が取付けられている。
第2ガントリ部24は、塗布ステージ40をY軸方向に跨いだ状態で走査部30に取り付けられ、走査部30によりX軸方向に走査できるように構成されている。したがって、第2ガントリ部24がX軸方向に移動又は停止すると、第2ヘッド部21もそれに付随してX軸方向に移動又は停止する。また、第2ガントリ部24の走査量を調節することにより、第2ヘッド部21のX軸方向の位置が調節される。これらの構成により、第2ヘッド部21が基材W上を移動しつつ、基材W上に先に吐出されている第1液滴の着弾位置(吐出位置ともいう)に隣接又は一部が重なり合うように第2ヘッド部21から第2液滴が吐出できるようになっている。
走査部30は、第1塗布ユニット10と第2塗布ユニット20とを塗布ステージ40に対してX軸方向(走査方向)に走査させるための装置である。走査部30は、例えば、リニアステージなどの直動機構を含んで構成されて、制御装置50により駆動制御される。走査部30は、走査方向に所定間隔を設けて配置された第1塗布ユニット10と第2塗布ユニット20とを一体的に同じ方向、同じ速度で走査させるように構成されている。また、走査部30は、第1塗布ユニット10と第2塗布ユニット20とを個別に同じ方向、同じ速度で走査させるように構成されてもよい。なお、別の構成例では、第1塗布ユニット10と第2塗布ユニット20とが走査方向に所定間隔を設けて基台に固定され、該基台に配設された塗布ステージ40をX軸方向(走査方向)に移動させる走査部を備えた構成としてもよい。
図1、2に示す構成例では、第1ヘッド部11が、第2ヘッド部21に対して走査方向の前側に配置されている。したがって、第1ヘッド部11と第2ヘッド部21とを走査方向(X軸方向)に同じ速度で移動させて、基材W上に液滴を吐出する際、第1ヘッド部11が先に基材W上の所定の吐出位置に到達し、第2ヘッド部21は、所定の吐出タイムラグの経過後、基材W上の所定の吐出位置に到達するようになっている。
前記吐出タイムラグは、走査部30による第1ヘッド部11及び第2ヘッド部21の走査速度(Vmm/sec)と、第1ヘッド部11及び第2ヘッド部21の配置間隔(Xmm)とに応じた遅延時間(X/V(sec))である。前記走査速度は、例えば、30~50mm/secに設定され得るが、この範囲に限定されない。また、前記配置間隔は、例えば、300mm~1000mmに設定され得るが、この範囲に限定されない。なお、前記吐出タイムラグを短くするために、第1ヘッド部11と第2ヘッド部21とは、走査方向に対して可能な限り近接して配置されることが好ましい。
また、前記吐出タイムラグは、第1ヘッド部11及び第2ヘッド部21に含まれるノズル列の配置間隔を考慮して設定してもよい。本構成例では、第1ヘッド部11の第1ヘッドモジュール12のノズル列(1行目のノズル列)と第2ヘッド部21の第2ヘッドモジュール22のノズル列(1行目のノズル列)との間隔、及び第1ヘッド部11の第1ヘッドモジュール13のノズル列(2行目のノズル列)と第2ヘッド部21の第2ヘッドモジュール23のノズル列(2行目のノズル列)との間隔が均等になっている。
このように、第1ヘッド部11及び第2ヘッド部21がともに複数行のノズル列を有し、これら行間隔が同じである場合、互いに対応するノズル列(同じ行どうしのノズル列)の間隔を前記配置間隔(Xmm)として前記吐出タイムラグを求めてもよい。
第1ヘッド部11から吐出される第1液滴と第2ヘッド部21から吐出される第2液滴とは、それぞれ相反する極性を有する溶媒、又は該溶媒を含むインクで構成されている。例えば、第1液滴が、極性溶媒のインクからなる場合、第2液滴には、無極性溶媒のインクが適用される。また、第1液滴が、無極性溶媒のインクからなる場合、第2液滴には、極性溶媒のインクが適用される。
極性溶媒は、例えば、ジメチルスルホキシド(Dimetylsulfoxid、略称DMSO)、又はN-メチルピロリドン(N-metylpyrrolidone、略称NMP)などの非プロトン性極性溶媒でもよいし、水、アルコール類などのプロトン性極性溶媒でもよい。
また、無極性溶媒(非極性溶媒)は、例えば、シクロヘキサン(cyclohexane)、キシレン(xylene)、シクロヘキシルベンゼン(Cyclohexylbenzene)、ヘキサン(hexane)、又はトルエン(toluene)などが採用され得るが、これらに限定されない。
極性溶媒と無極性溶媒との組み合わせ例としては、(1)ジメチルスルホキシド(DMSO)とシクロヘキサン(cyclohexane)、(2)ジメチルスルホキシド(DMSO)とキシレン(xylene)、(3)N-メチルピロリドン(NMP)とシクロヘキシルベンゼン(Cyclohexylbenzene)、(4)N-メチルピロリドン(NMP)とメトシキトルエン(Methoxytoluene)、(5)水とトルエン(toluene)などが挙げられる。
また、第1液滴や第2液滴を構成するインクには、上記溶媒の他に塗布用途に応じた各種の材料が含まれてもよい。例えば、導電性、半導体性、抵抗性、又は誘電性などの電子的又は電気的な機能を果たす機能性材料の他、界面活性剤、分散剤、保湿剤、着色剤、又は付着強化剤などの添加物などが含まれてもよい。
また、第1液滴は、第2液滴よりも基材Wに対する撥液性が相対的に高い溶媒を含んで構成されることが好ましい。本実施の形態では、第1液滴を吐出する第1ヘッド部11が、第2ヘッド部21に対して進行方向前側に配置されている。そのため、基材W上の所定の着弾位置に対して、基材Wに対する撥液性が相対的に高い第1液滴が第1ヘッド部11から先に吐出され、前記吐出タイムラグの後に、基材Wに対する撥液性が相対的に低い第2液滴が第2ヘッド部21から吐出される。係る構成により、先に吐出される第1液滴の基材W上での濡れ広がりが抑制され、第1液滴と第2液滴との極性反発作用により形成される塗布パターンの境界がより正確に画定されることとなる。
制御装置50は、コンピュータ装置、及び記憶装置(いずれも図示せず)などを含んで構成されている。制御装置50は、例えば、走査部30を駆動させる制御とともに、第1ヘッド部11及び第2ヘッド部21から液滴を吐出する制御を行うともに、塗布動作に必要な各種演算を行うように構成されている。制御装置50が、本発明に係るインクジェット塗布装置を構成する制御部、選定部として動作する機能を備えている。
前記記憶装置には、基材Wに塗布パターンを形成するための設計データの他、塗布動作を実行させるためのプログラムなどが記憶されている。前記設計データには、例えば、第1液滴と第2液滴とを吐出する基材W上の座標データ、各座標に対して第1液滴を吐出する第1ヘッド部11のノズル12a、13aと、第2液滴を吐出する第2ヘッド部21のノズル22a、23aとの組み合わせデータなどが含まれている。
制御装置50は、第1塗布ユニット10及び第2塗布ユニット20と、塗布ステージ40との相対走査の中で、第1ヘッド部11の複数のノズル12a、13aの中から第1液滴を吐出する制御と、第2ヘッド部21の複数のノズル22a、23aの中から第2液滴を吐出する制御とを行う。
上記吐出制御を行う際に、制御装置50は、前記相対走査の速度と第1ヘッド部11及び第2ヘッド部21の配置間隔とに応じた吐出タイムラグ(すなわち、一定の時間間隔)で、第1液滴と第2液滴とを隣接又は少なくとも一部が重なり合う位置に吐出する制御を行う。換言すれば、制御装置50は、第1ヘッド部11の複数のノズル12a、13aの中から吐出される第1液滴と、該第1液滴が吐出される基材W上の着弾位置に対して隣接又は少なくとも一部が重なり合う位置に、第2ヘッド部21の複数のノズル22a、23aの中から吐出される第2液滴との吐出タイムラグが揃うように、第1ヘッド部11と第2ヘッド部21とのノズルを組み合わせて吐出制御を行う。
制御装置50は、この吐出制御を行う際に、前記吐出タイムラグが揃うように、第1ヘッド部11の複数のノズル12a、13aの中から第1液滴を吐出するノズルと、第2ヘッド部21の複数のノズル22a、23aの中から第2液滴を吐出するノズルとの組み合わせを選定する処理を行う。
また、制御装置50は、第1ヘッドモジュール12、13で構成されている複数行のノズル列の中から第1液滴を吐出するノズルと、第2ヘッドモジュール22、23で構成されている複数行のノズル列の中から第2液滴を吐出するノズルとの組み合わせを選定する場合に、互いに対応する行のノズルを選定する処理を行う。
図3、4は、実施の形態(1)に係るインクジェット塗布装置1を用いて、基材W上に第1液滴と第2液滴とを走査方向に塗布している経過状況を説明するための部分拡大図である。
図3は、基材W上に第1液滴を走査方向に塗布している経過状況を説明するための部分拡大図である。図4は、基材W上の第1液滴に隣接する位置に第2液滴を走査方向に塗布している経過状況を説明するための部分拡大図である。
図3、4では、便宜上、第1ヘッドモジュール12、13の一部と、第2ヘッドモジュール22、23の一部とを簡略化して記載しており、第1ヘッドモジュール12、13と、第2ヘッドモジュール22、23とが走査方向(X軸方向)に移動しながら、基材W上に第1液滴15と第2液滴25とを走査方向に塗布している経過状況を示している。
図3、4では、第1ヘッドモジュール12のノズル12a1と、第1ヘッドモジュール13のノズル13a1とから第1液滴15が連続的に吐出され、第2ヘッドモジュール22のノズル22a1と、第2ヘッドモジュール23のノズル23a1とから第2液滴25が連続的に吐出されている状況を示している。
図3(a)は、塗布開始前の状況を示しており、第1ヘッド部11と第2ヘッド部21とのノズルの組み合わせと、基材Wへ第1液滴15と第2液滴25とを吐出する設定位置とを示している。
図3、4に示す例では、図3(a)に示すように、第1液滴15を吐出する第1ヘッドモジュール12のノズル12a1と、第2液滴25を吐出する第2ヘッドモジュール22のノズル22a1との組み合わせが選定されている。また、第1液滴15を吐出する第1ヘッドモジュール13のノズル13a1と、第2液滴25を吐出する第2ヘッドモジュール23のノズル23a1との組み合わせが選定されている。また、前記吐出タイムラグが揃うようにするために、第1ヘッド部11の1行目のノズル12aと第2ヘッド部21の1行目のノズル22aとの間隔、及び第1ヘッド部11の2行目のノズル13aと第2ヘッド部21の2行目のノズル23aとの間隔が均等になっている。
このように、隣接する第1液滴15と第2液滴25との吐出時間間隔が、前記吐出タイムラグから極力ばらつかないようにするために、第1ヘッドモジュール12、13で構成されている複数行のノズル列の中から第1液滴15を吐出するノズルと、第2ヘッドモジュール22、23で構成されている複数行のノズル列の中から第2液滴25を吐出するノズルとの組み合わせを選定する場合に、互いに対応する行のノズルが選定されるようになっている。
換言すれば、隣接又は少なくとも一部が重なり合う一対の液滴を吐出する第1ヘッド部11のノズルと第2ヘッド部21のノズルとの間隔が均等となるように、ノズルの組み合わせが選定されている。また、本実施の形態のように、第1ヘッド部11及び第2ヘッド部21がともに複数行ずつのノズル列を有し、これらノズル列の行間隔が同じである場合、ともに同じ行(n行目)のノズルが選択されることとなる。
図3(b)に示すように、第1ヘッド部11と第2ヘッド部21とがX軸方向に同じ速度で走査されて、第1ヘッドモジュール12のノズル12a1から第1液滴15が吐出される。
次に、図3(c)に示すように、第1ヘッドモジュール12のノズル12a1から次の第1液滴15が吐出されるとともに、第1ヘッドモジュール13のノズル13a1から第1液滴15が吐出される。
その後、図3(d)~(f)に示すように、第1ヘッド部11と第2ヘッド部21とがX軸方向に同じ速度で走査されつつ、第1ヘッドモジュール12のノズル12a1から第1液滴15が連続的に吐出されるとともに、第1ヘッドモジュール13のノズル13a1から第1液滴15が連続的に吐出される。そして、図3(g)に示すように、第1液滴15による吐出パターンが基材W上に形成される。
引き続き、第1ヘッド部11と第2ヘッド部21とがX軸方向に同じ速度で走査され、図4(a)に示すように、第2ヘッドモジュール22が、第1液滴15による吐出パターン上に到達したタイミング(換言すれば、図3(b)の吐出タイミングから吐出タイムラグが経過したタイミング)で、第2ヘッドモジュール22のノズル22a1から第2液滴25が、第1液滴15に隣接又は少なくとも一部が重なる位置に吐出される。
次に、図4(b)に示すように、第2ヘッドモジュール22のノズル22a1から次の第2液滴25が吐出されるとともに、第2ヘッドモジュール23のノズル23a1から第2液滴25が、第1液滴15に隣接又は少なくとも一部が重なる位置に吐出される。
その後、図4(c)~(e)に示すように、第1ヘッド部11と第2ヘッド部21とがX軸方向に同じ速度で走査されつつ、第2ヘッドモジュール22のノズル22a1から第2液滴25が連続的に吐出されるとともに、第2ヘッドモジュール23のノズル23a1から第2液滴25が連続的に吐出される。
上記した吐出制御によって、基材W上の隣接又は少なくとも一部が重なり合う位置に吐出される1対の液滴(第1液滴と第2液滴)の吐出タイムラグが揃えられることとなる。これにより、2滴目(第2液滴)を吐出する際の1滴目(先に吐出された第1液滴)の乾燥具合を均一にできる。その結果、互いに極性が相違する第1液滴と第2液滴との2滴を隣接又は少なくとも一部が重なり合うように吐出することによる効果を精度良く得ることが可能となり、極性反発を利用した高精細なパターンを形成することが可能となる。
そして、図4(f)に示すように、第1液滴15と第2液滴25とが隣接又は少なくとも一部が重なり合う位置に吐出されたパターンが基材W上に形成される。この状態では、第1液滴15と第2液滴25ともに液体の状態(完全に乾燥する前の状態)であり、互いの極性の相違による極性反発力が作用し、境界部分に微小幅のギャップ(隙間)が形成され始める。
その後、第1液滴15と第2液滴25とが乾燥すると、図4(g)に示すように、第1液滴15と第2液滴25と境界部分に微小幅のギャップ(隙間)が形成された塗布パターンPTが形成される。
図5は、実施の形態(1)に係るインクジェット塗布装置1を用いて、基材W上に第1液滴と第2液滴とを走査方向に対して直交する方向に塗布している経過状況を説明するための部分拡大図である。
図5では、便宜上、第1ヘッドモジュール12、13の一部と、第2ヘッドモジュール22、23の一部とを簡略化して記載している。図5では、第1ヘッドモジュール12、13と、第2ヘッドモジュール22、23とが走査方向(X軸方向)に同じ速度で移動しながら、基材W上に第1液滴15と第2液滴25とを走査方向に対して直交する方向(Y軸方向)に塗布している経過状況を示している。
図5に示す例では、第1ヘッドモジュール12の複数のノズル12a2と、第1ヘッドモジュール13の複数のノズル13a2とから第1液滴15が1回ずつ吐出され、第2ヘッドモジュール22の複数のノズル22a2と、第2ヘッドモジュール23の複数のノズル23a2とから第2液滴25が1回ずつ吐出される状況を示している。
図5(a)は、塗布開始前の状況を示しており、第1液滴15が吐出される第1ヘッド部11のノズル12a2、13a2と、基材Wへ吐出される第1液滴15の設定位置とを示している。
図5に示す例では、図5(a)、(e)に示すように、第1液滴15を吐出する第1ヘッドモジュール12、13のノズル12a2、13a2と、第2液滴25を吐出する第2ヘッドモジュール22のノズル22a2、23a2との組み合わせが選定されている。なお、第1ヘッド部11の1行目のノズル12a2と第2ヘッド部21の1行目のノズル22a2との間隔、及び第1ヘッド部11の2行目のノズル13a2と第2ヘッド部21の2行目のノズル23a2の間隔が均等になっている。
このように、第1液滴15と第2液滴25との吐出時間間隔が、前記吐出タイムラグから極力ばらつかないようにするために、第1ヘッドモジュール12、13で構成されている複数行のノズル列の中から第1液滴15を吐出するノズルと、第2ヘッドモジュール22、23で構成されている複数行のノズル列の中から第2液滴25を吐出するノズルとの組み合わせを選定する場合に、互いに対応する行のノズルが選定されるようになっている。
換言すれば、隣接又は少なくとも一部が重なり合う一対の液滴を吐出する第1ヘッド部11のノズルと第2ヘッド部21のノズルとの間隔が均等となるように、ノズルの組み合わせが選定されている。また、本実施の形態のように、第1ヘッド部11及び第2ヘッド部21がともに複数行ずつのノズル列を有し、これらノズル列の行間隔が同じである場合、ともに同じ行(n行目)のノズルが選択されることとなる。
図5(b)に示すように、第1ヘッド部11と第2ヘッド部21とをX軸方向に同じ速度で走査させて、第1ヘッドモジュール12の複数のノズル12a2から第1液滴15が吐出される。次に、図5(c)に示すように、第1ヘッドモジュール13の複数のノズル13a2から第1液滴15が吐出されて、図5(d)に示すように、第1液滴15によるY軸方向の吐出パターンが基材W上に形成される。
引き続き、第1ヘッド部11と第2ヘッド部21とをX軸方向に同じ速度で走査させつつ、図5(f)に示すように、第2ヘッドモジュール22が、第1液滴15による吐出パターンの手前に到達したタイミングで、第2ヘッドモジュール22の複数のノズル22a2から第2液滴25が、第1液滴15に隣接又は少なくとも一部が重なる位置に吐出される。なお、本実施の形態では、第1ヘッドモジュール12の1行目のノズル12aと、第2ヘッドモジュール22の1行目のノズル22aとは、走査方向から見て、P/2のピッチだけずれて配置されている。したがって、第1ヘッドモジュール12のノズル12aから吐出される第1液滴と、第2ヘッドモジュール22のノズル22aから吐出される第2液滴とは、走査方向から見てP/2のピッチだけずれた位置に着弾することとなる。
次に、図5(g)に示すように、第2ヘッドモジュール23の複数のノズル23a2から第2液滴25が、第1液滴15に隣接又は少なくとも一部が重なる位置に吐出される。なお、本実施の形態では、第1ヘッドモジュール13の2行目のノズル13aと、第2ヘッドモジュール23の2行目のノズル23aとは、走査方向から見て、P/2のピッチだけずれて配置されている。したがって、第1ヘッドモジュール13のノズル13aから吐出される第1液滴と、第2ヘッドモジュール23のノズル23aから吐出される第2液滴とは、走査方向から見てP/2のピッチだけずれた位置に着弾することとなる。
そして、図5(h)に示すように、第1液滴15と第2液滴25とが隣接又は少なくとも一部が重なり合う位置に吐出されたパターンが基材W上に形成される。この状態では、第1液滴15と第2液滴ともに液体の状態(完全に乾燥する前の状態)であり、互いの極性の相違による極性反発力が作用し、境界部分に微小幅のギャップ(隙間)が形成され始める。
その後、第1液滴15と第2液滴25とが乾燥すると、図5(i)に示すように、第1液滴15と第2液滴25と境界部分に微小幅のギャップ(隙間)が形成された塗布パターンPTが形成される。
図6は、実施の形態(1)に係るインクジェット塗布装置1が行う塗布動作を示すフローチャートである。
ステップS1では、インクジェット塗布装置1の塗布ステージ40に基材Wが搬入される。例えば、図示しないロボットハンド等により基材Wが塗布ステージ40上に載置される。この際に、例えば、基材Wに設けられた位置決め用のアライメントマークが読み込まれて、該アライメントマークを基準にして、塗布パターンを形成する位置、すなわち、第1液滴と第2液滴とを着弾させる位置が設定される構成としてもよい。
ステップS2では、制御装置50が、基材Wに所定の塗布パターンを形成するための設計データを読み込む。前記設計データには、例えば、第1液滴と第2液滴とを吐出する基材W上の座標データ、各座標に対して第1液滴を吐出する第1ヘッド部11の各ノズル12a、13aと、第2液滴を吐出する第2ヘッド部21の各ノズル22a、23aとの組み合わせデータなどが含まれている。
ステップS3では、制御装置50が、基材Wに形成される塗布パターン毎に、第1液滴を吐出する第1ヘッド部11のノズル12a、13aと、第2液滴を吐出する第2ヘッド部21のノズル22a、23aとの組み合わせを選定し、これらを吐出ノズルの組み合わせデータとして記憶する。
本実施の形態のように、第1ヘッド部11が2行以上の第1ヘッドモジュール12、13を備え、第2ヘッド部21が2行以上の第2ヘッドモジュール22、23を備えている場合、第1液滴を吐出する第1ヘッド部11のノズル12a、13aと第2液滴を吐出する第2ヘッド部21のノズル22a、23aとの組み合わせデータは、各ノズルの行番号と列番号との組み合わせで示される。例えば、塗布パターンの座標ごとに、第1ヘッド部11のn行目、m列目のノズルと、第2ヘッド部21のn行目、m列目のノズルとの組み合わせデータが選定される。
なお、別の構成例として、第1ヘッド部11が1行の第1ヘッドモジュール12で構成され、第2ヘッド部21が1行の第2ヘッドモジュール22で構成されている場合は、第1液滴を吐出する第1ヘッド部11のノズル12aと第2液滴を吐出する第2ヘッド部21のノズル22aとの組み合わせデータは、各ノズルの列番号の組み合わせで示される。例えば、塗布パターンの座標ごとに、第1ヘッド部11のm列目のノズルと、第2ヘッド部21のm列目のノズルとの組み合わせデータが選定される。
ステップS4では、制御装置50が、走査部30を駆動させて、第1塗布ユニット10と第2塗布ユニット20とを所定の速度でX軸方向に走査させる制御を開始する。第1塗布ユニット10及び第2塗布ユニット20と、塗布ステージ40との相対走査の速度を示す前記所定の速度は、例えば、30~50mm/secに設定され得るが、この速度範囲に限定されない。前記相対走査の速度は、塗布装置1の仕様、基材Wの種類、塗布パターンの種類などに応じて、適宜設定され得る。
ステップS5では、制御装置50が、第1液滴と第2液滴とを吐出する基材W上の座標データと、各座標に対して各液滴を吐出するノズルの組み合わせデータとに基づいて、第1ヘッド部11の複数のノズル12a、13aの中から第1液滴を吐出する制御を開始する。すなわち、制御装置50は、第1ヘッド部11と第2ヘッド部21とをX軸方向に同じ速度で移動させつつ、基材W上の塗布パターンを形成する座標位置に、該座標位置に対するノズルの組み合わせデータとして選定された第1ヘッド部11のノズルから第1液滴を吐出する制御を行う。第1ヘッド部11が通過した基材Wの上面には、塗布パターンの設計データに基づいて所定の座標位置に吐出された第1液滴による液滴パターンが形成される。
ステップS6では、制御装置50が、第1液滴と第2液滴とを吐出する基材W上の座標データと、各座標に対して各液滴を吐出するノズルの組み合わせデータとに基づいて、第2ヘッド部21の複数のノズル22a、23aの中から第2液滴を吐出する制御を開始する。すなわち、制御装置50は、第1ヘッド部11と第2ヘッド部21とをX軸方向に同じ速度で移動させつつ、先に第1ヘッド部11が通過した領域に第2ヘッド部21が到達するタイミングで(すなわち、吐出タイムラグの経過後)、基材W上に吐出された第1液滴に隣接する位置、又は少なくとも一部が重なり合う位置に、第2液滴を吐出する制御を行う。第2ヘッド部21が通過した基材Wの上面には、塗布パターンの設計データに基づいて所定の座標位置に吐出された第1液滴と第2液滴とが隣接又は少なくとも一部が重なり合った状態の液滴パターンが形成される。
ステップS7では、制御装置50は、基材Wに対する走査を完了したか否かを判断し、走査を完了していないと判断すれば、ステップS5に戻り塗布処理を継続する一方、走査を完了したと判断すれば、ステップS8に処理を進める。
ステップS8では、塗布パターンが形成された基材Wを塗布ステージ40から搬出し、基材Wの塗布処理を終え、制御装置50は、走査部30を駆動制御して、第1塗布ユニット10と第2塗布ユニット20とを初期位置に移動する制御を行う。前記搬出は、例えば、ロボットハンドなどにより行われる。基材Wは、その後、乾燥工程など後工程に搬送される。
上記実施の形態(1)に係るインクジェット塗布装置1によれば、第1塗布ユニット10及び第2塗布ユニット20の基材Wに対する相対走査の中で、第1ヘッド部11と第2ヘッド部21とから、相反する極性を有する第1液滴と第2液滴とが、隣接又は少なくとも一部が重なり合う位置に前記吐出タイムラグで吐出される。したがって、第1ヘッド部11と第2ヘッド部21とが通過する基材Wの面内において、前記吐出タイムラグを一定に保ちつつ、第2液滴を吐出する際の第1液滴の乾燥具合を均一にでき、かつ第1液滴と第2液滴とを液体の状態で確実に接触させることが可能となる。これにより、第1液滴と第2液滴との特性、すなわち、極性反発を利用した高精細なパターン、例えば、微小幅のギャップを有するパターンを形成することが可能となり、基材Wを大面積化した場合であっても、極性反発を利用して形成される微細な塗布パターンを面内で均一に形成することができる。
また、インクジェット塗布装置1によれば、制御装置50が、前記吐出タイムラグが揃うように、第1ヘッド部11の複数のノズル12a、13aの中から第1液滴を吐出するノズルと、第2ヘッド部21の複数のノズル22a、23aの中から第2液滴を吐出するノズルとの組み合わせを選定する選定部として機能している。そのため、第1ヘッド部11及び第2ヘッド部21の何れのノズルから第1液滴と第2液滴とを隣接又は少なくとも一部が重なり合う位置に吐出する場合であっても、その吐出間隔が、前記吐出タイムラグから極力ばらつかないように、第1ヘッド部11のノズルと第2ヘッド部21のノズルとの組み合わせを選定することができる。
また、インクジェット塗布装置1によれば、第1ヘッド部11と第2ヘッド部21とがそれぞれ複数行のノズル列を含んで構成されている場合であっても、第1ヘッド部11のノズルと第2ヘッド部21のノズルとの組み合わせを複数行のノズル列の中から互いに対応する行のノズルを選定して、第1液滴と第2液滴との吐出を適切に制御することができる。したがって、第1液滴と第2液滴との吐出間隔が、前記吐出タイムラグから極力ばらつかないようにすることができ、第1ヘッド部11及び第2ヘッド部21のノズル構成の違いに柔軟に対応させることができ、また、第1液滴と第2液滴との極性反発を利用した高精細なパターンを面内で均一に、かつ安定的に形成することができる。
また、インクジェット塗布装置1によれば、基材Wに対する撥液性が相対的に高い第1液滴が先に吐出され、基材Wに対する撥液性が相対的に低い第2液滴が後に吐出される。そのため、第1液滴と第2液滴とを吐出すべき位置、及び基材W上に吐出された第1液滴と第2液滴との極性反発作用により形成される境界(微細幅のギャップ)をより正確に画定することができ、高精細な塗布パターンを形成することができる。
また、インクジェット塗布装置1によれば、第1ヘッド部11及び第2ヘッド部21が、前記相対走査の方向(X軸方向)への1回の走査で基材Wの塗布領域全体に塗布パターンを形成できる数のノズルを備えているので、1回の走査で基材Wの塗布領域全体に塗布パターンを形成することができ、塗布工程の生産性を高めることができる。
なお、別の構成例では、前記相対走査の方向へ複数回の走査を行って、基材Wの塗布領域全体に塗布パターンを形成する構成としてもよいが、本実施の形態(1)では、複数回走査を行う場合と比較して、複数回の走査に起因する帯状の塗布ムラや、液滴の乾燥状態が面内でばらつくことに起因する乾燥ムラが少ない、より均一性が高い塗布パターンを形成することができる。
また、別の実施の形態では、基材Wの塗布領域周囲に額縁状のダミー塗装を行った後、第1ヘッド部11及び第2ヘッド部21により、前記相対走査の方向への1回の走査で基材Wの塗布領域全体を塗布する方法が採用されてもよい。
かかる塗布方法によれば、前記相対走査の方向への1回の走査で基材Wの塗布領域全体に塗布パターンを形成することができ、塗布工程の生産性を高めることができる。また、基材Wの塗布領域周囲にダミー塗装を行うので、基材Wが大面積のものであっても、基材Wの中央部分と周縁部分とで、液滴の溶剤蒸気濃度の違いに起因する乾燥ムラを抑制することができ、より均一性が高い塗布パターンを形成することができる。
なお、前記ダミー塗装は、第1ヘッド部11又は第2ヘッド部21で行ってもよいし、インクジェット塗布装置1とは別装置を用いた前工程で前記ダミー塗装を行い、前記ダミー塗装がなされた基材Wを塗布ステージ40に搬入するようにしてもよい。
図7は実施の形態(2)に係るインクジェット塗布装置を概略的に示す側面図である。但し、図1に示す実施の形態(1)に係るインクジェット塗布装置1と同一機能を有する構成要素については、同一符号を付し、ここではその説明を省略することとする。
インクジェット塗布装置1Aは、第1塗布ユニット10A、第2塗布ユニット20A、走査部30、塗布ステージ40、制御装置50A、及び検査部60を備えている。
第1塗布ユニット10Aは、第1ヘッド部11と、第1ガントリ部14と、回転機構16と、シフト移動機構17とを備えている。
回転機構16は、第1ヘッド部11を鉛直軸方向(Z軸方向)に回転させるための装置である。回転機構16は、例えば、第1ヘッド部11と第1ガントリ部14のビーム部材14bとの間に設けられ、第1ヘッド部11がZ軸回りに回転できるように、Z軸方向に回転する回転部と、該回転部を回転駆動させる駆動モータなどを含んで構成されている。回転機構16により、第1ヘッド部11のノズル12a、13aの配列方向がY軸方向に一致する初期状態から、X軸方向に対して任意の角度に傾斜した状態で固定できるように構成されている。
シフト移動機構17は、第1ヘッド部11を前記相対走査の方向(X軸方向)に対して直交する方向(Y軸方向)に移動させる直動機構である。シフト移動機構17は、例えば、第1ガントリ部14のビーム部材14bに設けられたY軸方向に延びるレール部材を含んで構成されている。回転機構16が装備された第1ヘッド部11が前記レール部材にスライド自在に取り付けられ、第1ヘッド部11に取り付けられたリニアモータが駆動制御されることにより、第1ヘッド部11がY軸方向の任意の位置に移動、及び停止できるようになっている。シフト移動機構17によって第1ヘッド部11がY軸方向に微小移動できるようになっている。
これら回転機構16とシフト移動機構17とは、制御装置50Aにより駆動制御されるようになっている。なお、第1塗布ユニット10Aには、回転機構16とシフト移動機構17とが装備されているが、別の構成例では、回転機構16とシフト移動機構17のいずれか一方のみが装備されている構成でもよい。
第2塗布ユニット20Aは、第2ヘッド部21と、第2ガントリ部24と、回転機構26と、シフト移動機構27とを備えている。
回転機構26は、第2ヘッド部21を鉛直軸方向(Z軸方向)に回転させる回転機構であり、上記した回転機構16と略同様に構成されている。
シフト移動機構27は、第2ヘッド部21を前記相対走査の方向(X軸方向)に対して直交する方向(Y軸方向)に移動させる直動機構であり、上記したシフト移動機構17と同様に構成されている。
これら回転機構26とシフト移動機構27とは、制御装置50Aにより駆動制御されるようになっている。なお、第2塗布ユニット20Aには、回転機構26とシフト移動機構27とが装備されているが、別の構成例では、回転機構26とシフト移動機構27のいずれか一方のみが装備されている構成でもよい。
検査部60は、第1ヘッド部11のノズル12a、13aから吐出される第1液滴、及び第2ヘッド部21のノズル22a、23aから吐出される第2液滴の基材への着弾状態を検査するための装置で構成されている。検査部60は、第1ヘッド部11と第2ヘッド部21のそれぞれに配設されている。検査部60は、例えば、1以上の撮像用カメラと、画像処理部と、検査処理部とを含んで構成されている。
前記撮像用カメラは、第1ヘッド部11と第2ヘッド部21の各ノズルからテスト用基材に吐出された第1液滴と第2液滴との着弾状態を撮像する。
前記画像処理部は、前記撮像用カメラで撮像された画像データを取り込んで、後の検査処理を行うための画像処理を行う。
前記検査処理部は、前記画像処理部で処理された画像データに基づいて、各ノズルから吐出された第1液滴と第2液滴との着弾位置や着弾面積を検査する他、不吐出の有無などの検査を行い、これら検査データを制御装置50Aへ送出する。
制御装置50Aが、本発明に係るインクジェット塗布装置を構成する制御部、選定部、及び位置調整部として動作する機能を備えている。
制御装置50Aは、選定部として機能する。すなわち、制御装置50Aは、検査部60による検査結果を考慮して、第1ヘッド部11の複数のノズル12a、13aの中から第1液滴を吐出するノズルと、第2ヘッド部21の複数のノズル22a、23aの中から第2液滴を吐出するノズルとの組み合わせを選定する制御を行う。
制御装置50Aは、位置調整部として機能する。すなわち、制御装置50Aは、適切なノズルの組み合わせが選定できない箇所がある場合に、第1塗布ユニット10Aの回転機構16及びシフト移動機構17のうちの少なくともいずれかを動作させて、隣接又は少なくとも一部が重なり合う位置に第1液滴と第2液滴とを吐出可能なノズルの組み合わせが選定できるように、第1ヘッド部11を位置調整するための制御を行う。
また、制御装置50Aは、適切なノズルの組み合わせが選定できない箇所がある場合に、第2塗布ユニット20Aの回転機構26及びシフト移動機構27のうちの少なくともいずれかを動作させて、隣接又は少なくとも一部が重なり合う位置に第1液滴と第2液滴とを吐出可能なノズルの組み合わせが選定できるように、第2ヘッド部21を位置調整するための制御を行う。
図8は、実施の形態(2)に係るインクジェット塗布装置1Aを構成する第1ヘッド部11と第2ヘッド部21との動作機構を説明するための部分拡大図である。
図8では、便宜上、第1塗布ユニット10Aと、第2塗布ユニット20Aの周辺部の構成を簡略化して記載しており、第1塗布ユニット10Aの回転機構16及びシフト移動機構17、第2塗布ユニット20Aの回転機構26及びシフト移動機構27などは、その記載を省略している。
図8に示す動作例では、第1塗布ユニット10Aのシフト移動機構17が駆動されて、第1ヘッド部11がY軸方向にわずかに移動し、ノズル12a、13aの位置がY軸方向に微調整されている。
また、第2塗布ユニット20Aの回転機構26が駆動させて、第2ヘッド部21がZ軸中心にわずかに回転し、ノズル22a、23aの位置がZ軸中心に微調整されている。
上記構成により、ノズル12a、13a及びノズル22a、23aの位置調整が可能となっている。したがって、初期のノズル配置状態でノズルの組み合わせが適切に選定できない箇所がある場合でも、回転機構16、26、及びシフト移動機構17、27のうちの少なくともいずれかを駆動させて、第1液滴と第2液滴とを隣接又は少なくとも一部が重なり合う位置に吐出可能なノズルの組み合わせが選定可能となる。
図9は、実施の形態(2)に係るインクジェット塗布装置1Aの動作を示すフローチャートである。
ステップS11では、塗布ステージ40にテスト用基材(図示せず)が搬入される。
ステップS12では、制御装置50Aが、テスト用基材に塗布する検査用パターンと、該検査用パターン用の吐出ノズルの組み合わせデータとを読み込む。
ステップS13では、制御装置50Aが、走査部30を駆動させて、第1塗布ユニット10Aと第2塗布ユニット20AとをX軸方向に走査させる制御を開始し、第1塗布ユニット10Aと第2塗布ユニット20Aとをテスト用基材上に移動させる。
ステップS14では、制御装置50Aが、前記検査用パターンと、該検査用パターン用の吐出ノズルの組み合わせデータとに基づいて、第1ヘッド部11の各ノズル12a、13aから第1液滴を吐出する制御を開始する。すなわち、制御装置50Aは、第1ヘッド部11と第2ヘッド部21とをX軸方向に移動させつつ、前記検査用パターンを形成する座標位置に、第1ヘッド部11の各ノズル12a、13aから第1液滴を吐出する制御を行う。
ステップS15では、制御装置50Aが、前記検査用パターンと、該検査用パターン用の吐出ノズルの組み合わせデータとに基づいて、第2ヘッド部21の各ノズル22a、23aから第2液滴を吐出する制御を開始する。すなわち、制御装置50Aは、第1ヘッド部11と第2ヘッド部21とをX軸方向に移動させつつ、先に第1ヘッド部11が通過した領域に、第2ヘッド部21が所定の吐出タイムラグで到達するタイミングで、第2液滴を吐出する制御を行う。
ステップS16では、検査部60が、第1ヘッド部11と第2ヘッド部21とによる検査用パターンの印刷を終えた後、第1ヘッド部11の各ノズル12a、13aからテスト基材に吐出された第1液滴と、これら第1液滴の隣接又は少なくとも一部が重なり合う位置に、第2ヘッド部21から吐出された第2液滴との着弾状態を検査する処理を行う。
例えば、着弾状態の撮像画像に基づいて、第1ヘッド部11のノズル12a、13aと、第2ヘッド部21のノズル22a、23aとの組み合わせ毎に、第1液滴と第2液滴との着弾位置の状態、着弾面積の状態、及び不吐出の有無などが検査される。
そして、検査部60は、第1ヘッド部11の各ノズル12a、13a(n行目、m列目のノズル)と、これらに対応する第2ヘッド部21の各ノズル22a、23a(n行目、m列目のノズル)との組み合わせ可否を判定する。
ステップS17では、検査部60は、ステップS16で判定された、吐出ノズルの組み合わせ可否の判定データを含む着弾検査データを記憶する。
ステップS18では、塗布ステージ40上からテスト用基材を搬出し、検査部60による検査処理を終え、ステップS19に処理を進める。
ステップS19では、制御装置50Aは、走査部30を駆動させて、第1塗布ユニット10Aと第2塗布ユニット20Aとを初期位置に移動させる制御を行う。
ステップS20では、塗布ステージ40に基材Wが搬入される。この際に、例えば、基材Wに設けられた位置決め用のアライメントマークが読み込まれて、該アライメントマークを基準にして、塗布パターンを形成する位置、すなわち、第1液滴と第2液滴とを着弾させる位置が設定される構成としてもよい。
ステップS21では、制御装置50Aが、基材Wに所定の塗布パターンを形成するための設計データを読み込む。前記設計データには、例えば、第1液滴と第2液滴とを吐出する基材W上の座標データ、各座標に対して第1液滴を吐出する第1ヘッド部11の各ノズル12a、13aと、第2液滴を吐出する第2ヘッド部21の各ノズル22a、23aとの組み合わせデータなどが含まれている。
ステップS22では、制御装置50Aが、基材Wに形成される塗布パターン毎に、着弾状態の検査データも考慮して、第1ヘッド部11のノズル12a、13aと、第2ヘッド部21のノズル22a、23aとの組み合わせを選定し、これらを吐出ノズルの組み合わせデータとして記憶する。例えば、各ノズルの行番号と列番号との組み合わせデータが記憶される。
ステップS23では、制御装置50Aは、着弾状態の検査データに基づいて、第1液滴と第2液滴とを吐出する基材W上の各座標に対して、吐出ノズルの組み合わせが選定できない箇所があったか否かを判断する。
ステップS23において、吐出ノズルの組み合わせが選定できない箇所があったと判断すれば、ステップS24に処理を進める一方、吐出ノズルの組み合わせが選定できない箇所がなかったと判断すれば、ステップS25に処理を進める。
ステップS24では、制御装置50Aが、吐出ノズルの組み合わせが選定できない箇所について、吐出タイムラグからのずれが極力少なくなる吐出ノズルの組み合わせが選定できるように、第1ヘッド部11、及び第2ヘッド部21のうちの少なくともいずれかの位置調整量を演算する。
制御装置50Aは、例えば、第1ヘッド部11、及び第2ヘッド部21のうちの少なくともいずれかのY軸方向のシフト調整量、及びZ軸中心の回転量のうちの少なくともいずれかを演算する。そして、制御装置50Aは、吐出ノズルの組み合わせが選定できない箇所に対する、吐出ノズルの組み合わせデータと、シフト調整量、及び回転量のうちの少なくともいずれかを含む位置調整量とを対応付けて記憶する。
ステップS25では、制御装置50Aが、走査部30を駆動させて、第1塗布ユニット10Aと第2塗布ユニット20Aとを所定の速度でX軸方向に移動させる制御を開始する。
ステップS26では、制御装置50Aが、第1液滴と第2液滴とを吐出する基材W上の座標データと、各座標に対して各液滴を吐出するノズルの組み合わせデータと、前記位置調整量とに基づいて、第1ヘッド部11の複数のノズル12a、13aの中から第1液滴を吐出する制御を開始する。
すなわち、制御装置50Aは、第1ヘッド部11と第2ヘッド部21とをX軸方向に同じ速度で移動させつつ、基材W上の塗布パターンを形成する座標位置に、該座標位置に対するノズルの組み合わせデータとして選定された第1ヘッド部11のノズルから第1液滴を吐出する制御を行う。また、前記位置調整量が設定されている場合は、そのシフト調整量、又は回転量に基づいて、第1ヘッド部11及び第2ヘッド部21の少なくともいずれかを、Y軸方向にシフト調整したり、又はZ軸方向に回転したりして、吐出タイムラグからのずれが極力小さくなるノズルの組み合わせが選定される。第1ヘッド部11が通過した基材Wの上面には、塗布パターンの設計データに基づいて所定の座標位置に吐出された第1液滴による液滴パターンが形成される。
ステップS27では、制御装置50Aが、第1液滴と第2液滴とを吐出する基材W上の座標データと、各座標に対して各液滴を吐出するノズルの組み合わせデータと、前記位置調整量とに基づいて、第2ヘッド部21の複数のノズル22a、23aの中から第2液滴を吐出する制御を開始する。
すなわち、制御装置50Aは、第1ヘッド部11と第2ヘッド部21とをX軸方向に同じ速度で移動させつつ、先に第1ヘッド部11が通過した領域に、第2ヘッド部21が所定の吐出タイムラグで到達するタイミングで、基材W上に吐出された第1液滴に隣接する位置、又は第1液滴に少なくとも一部が重なり合う位置に、第2液滴を吐出する制御を行う。
第2ヘッド部21が通過した基材Wの上面には、塗布パターンの設計データに基づいて所定の座標位置に吐出された第1液滴と第2液滴とが隣接又は少なくとも一部が重なり合った状態の液滴パターンが形成される。
ステップS28では、制御装置50Aは、基材Wに対する走査を完了したか否かを判断し、走査を終了していないと判断すれば、ステップS25に戻り塗布処理を行う一方、走査を完了したと判断すれば、ステップS29に処理を進める。
ステップS29では、塗布パターンが形成された基材Wを塗布ステージ40から搬出し、基材Wの塗布処理を終え、制御装置50Aは、走査部30を駆動させて、第1塗布ユニット10Aと第2塗布ユニット20Aとを初期位置に移動させる制御を行う。
上記実施の形態(2)に係るインクジェット塗布装置1Aでは、検査部60により第1ヘッド部11から吐出される第1液滴と第2ヘッド部21から吐出される第2液滴との着弾状態が検査され、該着弾状態の検査データを考慮して、隣接又は少なくとも一部が重なり合う一対の液滴を吐出する第1ヘッド部11のノズル12a、13aと第2ヘッド部21のノズル22a、23aとの組み合わせが選定される。
また、インクジェット塗布装置1Aでは、ノズルの組み合わせが選定できない箇所がある場合、第1液滴と第2液滴とを隣接又は少なくとも一部が重なり合う位置に吐出可能なノズルの組み合わせが選定できるように、制御装置50Aが、回転機構16、26及びシフト移動機構17、27のうちの少なくともいずれかを動作させて、ノズル位置調整が行われる。
したがって、インクジェット塗布装置1Aによれば、ノズル12a、13aとノズル22a、23aとの組み合わせが適切に選定できない箇所がある場合であっても、該液滴の吐出に適したノズル、すなわち、吐出タイムラグからのずれが小さく、隣接又は少なくとも一部が重なり合う位置に吐出可能となるノズルの組み合わせを選定することができ、適応性をさらに高めることができる。
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明したが、上記説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく、種々の改良、変更、又は構成の組み合わせが可能であることは言うまでもない。
上記実施の形態(1)、(2)では、第1ヘッド部11が第1ガントリ部14に、第2ヘッド部21が第2ガントリ部24に、それぞれ取り付けられているが、別の構成例では、1つのカントリ部に、第1ヘッド部11と第2ヘッド部21とが走査方向に並べて取り付けられた構成としてもよい。また、1つのヘッド部内に、複数の第1ヘッドモジュール12、13と、複数の第2ヘッドモジュール22、23とが走査方向に並べて配設された構成としてもよい。かかる構成により、第1ヘッドモジュール12、13と、複数の第2ヘッドモジュール22、23との物理的な距離(間隔)が短くなり、よって、前記吐出タイムラグをさらに短くすることができ、第1液滴と第2液滴とを液体の状態で確実に接触させることができ、より均一な微細パターンを形成することが可能となる。
本発明は、インクジェット印刷技術を利用して、フレキシブル配線基板、有機ELディスプレイ、電子ペーパー、コイルアンテナ等の各種の電子デバイスを製造する分野などにおいて、2種以上の溶媒の極性反発特性などの非相溶性を利用して形成するパターンを大面積で均一に形成し、量産性を高めることが求められる場合に広く利用することができる。
1、1A インクジェット塗布装置
10、10A 第1塗布ユニット
11 第1ヘッド部
12、13 第1ヘッドモジュール
12a、12a1、12a2、13a、13a1、13a2 ノズル
14 第1ガントリ部
14a 脚部
14b ビーム部材
15 第1液滴
16 回転機構
17 シフト移動機構
20、20A 第2塗布ユニット
21 第2ヘッド部
22、23 第2ヘッドモジュール
22a、22a1、22a2、23a、23a1、23a2 ノズル
24 第2ガントリ部
24a 脚部
24b ビーム部材
25 第2液滴
26 回転機構
27 シフト移動機構
30 走査部
40 塗布ステージ
50、50A 制御装置
60 検査部
W 基材
P ノズルピッチ
PT 塗布パターン

Claims (9)

  1. 基材に塗布パターンを形成するインクジェット塗布装置であって、
    前記塗布パターンを形成するための、第1溶媒を含むインクで構成される第1液滴を吐出する複数のノズルを有する第1ヘッド部と、
    前記第1液滴とは互いに混ざり合わない性質を有し、前記塗布パターンを形成するための、第2溶媒を含むインクで構成される第2液滴を吐出する複数のノズルを有する第2ヘッド部と、
    前記第1ヘッド部と前記第2ヘッド部とを前記基材に対して相対走査させる走査部と、
    前記相対走査の中で、前記第1ヘッド部の複数のノズルの中から前記第1液滴を吐出する制御と前記第2ヘッド部の複数のノズルの中から前記第2液滴を吐出する制御とを行う制御部とを備え、
    前記第1液滴及び前記第2液滴のうち、前記基材に対する撥液性が相対的に高い方が先に吐出され、前記基材に対する撥液性が相対的に低い方が後に吐出されるように、前記第1ヘッド部と前記第2ヘッド部とが配置され、
    前記制御部が、
    前記相対走査の速度と前記第1ヘッド部及び前記第2ヘッド部の配置間隔とに応じた吐出タイムラグで、前記第1液滴と前記第2液滴とを隣接又は少なくとも一部が重なり合う位置に吐出制御可能に構成されていることを特徴とするインクジェット塗布装置。
  2. 前記塗布パターンが形成される前記基材上の各座標に対して、前記第1ヘッド部の複数のノズルの中から前記第1液滴を吐出するノズルと、前記第2ヘッド部の複数のノズルの中から前記第2液滴を吐出するノズルとの組み合わせを選定する選定部を備えていることを特徴とする請求項1記載のインクジェット塗布装置。
  3. 前記第1ヘッド部から吐出される前記第1液滴と前記第2ヘッド部から吐出される前記第2液滴との着弾状態を検査する検査部を備え、
    前記選定部が、
    前記検査部での検査によって得られる前記着弾状態の検査データを考慮して、前記塗布パターンが形成される前記基材上の各座標に対して、前記第1ヘッド部の複数のノズルの中から前記第1液滴を吐出するノズルと、前記第2ヘッド部の複数のノズルの中から前記第2液滴を吐出するノズルとの組み合わせを選定するものであることを特徴とする請求項2記載のインクジェット塗布装置。
  4. 前記第1ヘッド部及び前記第2ヘッド部のうちの少なくともいずれかを鉛直軸方向に回転させる回転機構、及び/又は前記第1ヘッド部及び前記第2ヘッド部のうちの少なくともいずれかを前記相対走査の方向に対して直交する方向に移動させるシフト移動機構と、
    前記回転機構及び前記シフト移動機構のうちの少なくともいずれかを動作させて、前記第1ヘッド部及び前記第2ヘッド部のうちの少なくともいずれかのノズル位置調整を行う位置調整部とをさらに備え、
    該位置調整部が、
    前記選定部により前記着弾状態の検査データに基づいてノズルの組み合わせが選定できない前記基材上の座標箇所があると判定された場合、当該基材上の座標箇所に対して、前記第1液滴と前記第2液滴とを前記隣接又は少なくとも一部が重なり合う位置に吐出可能なノズルの組み合わせが選定できるように、前記ノズル位置調整を行うことを特徴とする請求項3記載のインクジェット塗布装置。
  5. 前記第1ヘッド部が、複数行のノズル列を含んで構成され、
    前記第2ヘッド部が、複数行のノズル列を含んで構成され、
    前記選定部が、
    前記第1ヘッド部の前記複数行のノズル列の中から前記第1液滴を吐出するノズルと、前記第2ヘッド部の前記複数行のノズル列の中から前記第2液滴を吐出するノズルとの組み合わせを選定する場合に、互いに対応する行のノズルを選定するものであることを特徴とする請求項2~4のいずれかの項に記載のインクジェット塗布装置。
  6. 前記第1ヘッド部及び前記第2ヘッド部が、
    前記相対走査の方向への1回の走査で前記基材の塗布領域全体に前記塗布パターンを形成できる数のノズルを備えていることを特徴とする請求項1~5のいずれかの項に記載のインクジェット塗布装置。
  7. 基材に塗布パターンを形成するインクジェット塗布方法であって、
    前記塗布パターンを形成するための、第1溶媒を含むインクで構成される第1液滴を吐出する第1ヘッド部と、前記第1液滴とは互いに混ざり合わない性質を有し、前記塗布パターンを形成するための、第2溶媒を含むインクで構成される第2液滴を吐出する第2ヘッド部とを前記基材に対して相対走査させつつ、前記第1ヘッド部の複数のノズルの中から前記第1液滴、該第1液滴が吐出される前記基材上の着弾位置に対して、隣接又は少なくとも一部が重なり合う位置に、前記第2ヘッド部の複数のノズルの中から前記第2液滴を、前記相対走査の速度と前記第1ヘッド部及び前記第2ヘッド部の配置間隔とに応じた吐出タイムラグで吐出し、
    前記第1液滴及び前記第2液滴のうち、前記基材に対する撥液性が相対的に高い方を先に吐出し、前記基材に対する撥液性が相対的に低い方を後に吐出することを特徴とするインクジェット塗布方法。
  8. 前記塗布パターンが形成される前記基材上の各座標に対して、前記第1液滴と前記第2液滴とが前記隣接又は少なくとも一部が重なり合う位置に吐出されるように、前記第1ヘッド部の複数のノズルの中から前記第1液滴を吐出するノズルと、前記第2ヘッド部の複数のノズルの中から前記第2液滴を吐出するノズルとの組み合わせを選定することを特徴とする請求項記載のインクジェット塗布方法。
  9. 前記第1ヘッド部及び前記第2ヘッド部が、前記相対走査の方向への1回の走査で前記基材の塗布領域全体を塗布できる数のノズルを備えているものであり、
    前記基材の塗布領域周囲にダミー塗装を行った後、
    前記第1ヘッド部及び前記第2ヘッド部により、前記相対走査の方向への1回の走査で前記基材の塗布領域全体を塗布することを特徴とする請求項又は請求項のいずれかの項に記載のインクジェット塗布方法。
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