JP7490872B1 - 胡麻油 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、新規な胡麻油を提供することを目的とする。また、本発明は、原料が皮むき胡麻であって、前記皮むき胡麻から得られる、皮むき胡麻油の提供を目的とする。【解決手段】本発明は、原料である皮むき胡麻から得られた皮むき胡麻油に関する。また、前記皮むき胡麻油が、L*a*b*表色系における、L*値が、85~98であり、a*値が、-6~-2であり、及び、b*値が、22~30である、皮むき胡麻油に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、胡麻油に関し、具体的には、皮むき胡麻から得られた胡麻油に関する。
胡麻油は、一般に、(1)皮つきの胡麻種子を焙煎し、圧搾及び/又は抽出することによって得られた焙煎胡麻油と、(2)皮つきの胡麻種子を焙煎せず、その他の植物油の製造方法と同様に、原料である皮つき胡麻種子そのものを搾油した後、精製されて得られる精製胡麻油との2つに大別される。
上記(1)の焙煎胡麻油は、和食又は中華料理を代表とする幅広い料理において、胡麻の風味を付与するために利用されている。例えば、この焙煎胡麻油は、天ぷら、炒め物等の加熱料理で、天ぷら油又は炒め油に用いられている。
これに対して、上記(2)の精製胡麻油は、天ぷら油に利用されるだけでなく、サラダ、刺身等の料理に直接かけるドレッシング等に利用されている。また、この精製胡麻油は、焙煎していないことから、焙煎胡麻油のような焙煎臭がなく、無色透明、かつ、無味無臭であるため、近年では、食品以外の分野、例えば、化粧品、化学品の原材料等にも活用されてきている。
ところで、これら胡麻油には、セサミン等のリグナン類と呼ばれる機能性成分が含まれていることが知られている。焙煎胡麻油は、通常、精製を行わないことから、リグナン類が多く含まれるが、前述のように調理シーン(用途)が限定されている。一方、精製胡麻油は汎用的ではあるが、精製工程を経ることから、焙煎胡麻油に比べて総リグナン含量、セサミン含量等が少ない傾向にあるという問題がある。
例えば、特許文献1には、総リグナン類含量等が高い精製胡麻油の製造方法が記載されている。
しかしながら、この特許文献1で得られた精製胡麻油は、精製されているので無色透明、かつ、無味無臭の油であり、サラダ等にかけても、胡麻特有の色及び香りがなく、特に焙煎していないことから、焙煎して生じる胡麻の香ばしい風味等もなく、特徴となる風味に乏しいといえる。
一方、焙煎胡麻油は、特有の風味によって使用される調理シーン(用途)が限定的であるといえる。
また、上述するとおり、これまでの胡麻油といえば、焙煎胡麻油及び精製胡麻油のいずれも、原料に皮つき胡麻種子を用いたものである。
そこで、胡麻油を幅広い用途へ拡大するためにも、新しいタイプの胡麻油の開発が熱望されている。
特開2009-325838号公報
本発明は、新規な胡麻油を提供することを目的とする。
また、本発明は、原料が皮むき胡麻であって、前記皮むき胡麻から得られる、皮むき胡麻油の提供を目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、原料に皮むき胡麻を用いて胡麻油を製造すると、特徴ある色調を有する胡麻油が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
項1.
原料である皮むき胡麻から得られた皮むき胡麻油。
項2.
前記皮むき胡麻油が、L表色系における、
値が、85~98であり、
値が、-6~-2であり、及び、
値が、22~30である、項1に記載の皮むき胡麻油。
項3.
前記皮むき胡麻油が、エピセサミンを実質的に含まない、項1に記載の皮むき胡麻油。
項4.
原料である前記皮むき胡麻が、L表色系における、
値が、54~72であり、
値が、2~11であり、及び、
値が、19~23である、項1に記載の皮むき胡麻油。
項5.
原料が皮むき胡麻であり、前記原料を圧搾する工程を備える、皮むき胡麻油の製造方法。
項6.
前記皮むき胡麻油が、L表色系における、
値が、85~98であり、
値が、-6~-2であり、及び、
値が、22~30である、項5に記載の皮むき胡麻油の製造方法。
項7.
前記皮むき胡麻油が、エピセサミンを実質的に含まない、項5に記載の皮むき胡麻油の製造方法。
項8.
原料である前記皮むき胡麻が、L表色系における、
値が、54~72であり、
値が、2~11であり、及び、
値が、19~23である、項5に記載の皮むき胡麻油の製造方法。
項9.
さらに焙煎工程を備える、項5に記載の皮むき胡麻油の製造方法。
なお、本発明のうち、製造工程で規定された物の発明は、現時点で、どのような成分までが含まれているか、又は、その構造がどのようなものであるか、その全てを特定することが不可能又はおよそ実際的ではない程度に困難であるため、プロダクトバイプロセスクレームによって記載している。
本発明によれば、新規な胡麻油が得られる。また、本発明によれば、皮むき胡麻から得られる、皮むき胡麻油であって、前記皮むき胡麻油が、L表色系における、L値が、85~98であり、a値が、-6~-2であり、及び、b値が、22~30である、皮むき胡麻油が提供される。
1.皮むき胡麻油
本発明の皮むき胡麻油は、原料として、皮むきの胡麻(皮むきの胡麻種子ということもある。)を用いて製造することができる。
本発明は、原料が皮むき胡麻であって、前記皮むき胡麻から得られる、皮むき胡麻油の提供を目的としている。具体的には、前記皮むき胡麻油が、L表色系における、L値が、85~98であり、a値が、-6~-2であり、及び、b値が、22~30である、皮むき胡麻油を提供することを目的の1つとしている。
胡麻油とは、一般に、胡麻の種子に圧搾等の加工をして作られる食用油の一種である。胡麻油の原料には、一般的に、皮つきの胡麻種子が用いられている。そして、一般的な胡麻油は、従来から、(1)皮つきの胡麻種子を焙煎し、圧搾及び/又は抽出することによって搾油した焙煎胡麻油と、(2)皮つきの胡麻種子を焙煎せず、その他の植物油の製造方法と同様に搾油した後、精製されて得られる精製胡麻油との2つに大別されている。
それに対して、本発明の皮むき胡麻油は、上記の一般的な「皮つき」の胡麻種子から製造されるものではなく、皮つき胡麻種子の皮を剥いた「皮むき」胡麻から製造されるものである。
胡麻油は、炭素数18の不飽和脂肪酸であるリノール酸とオレイン酸とを主成分としている。一般的な胡麻油に含まれる具体的な脂肪酸の比率は、例えば、リノール酸(通常41.8~45.1質量%)、オレイン酸(通常39.0~41.3質量%)、パルミチン酸(通常8.8~9.7質量%)、ステアリン酸(通常5.1~6.2質量%)、アラキジン酸(通常0.6~0.7質量%)、α-リノレン酸(通常0.3~0.4質量%)、エイコセン酸(通常0.1~0.3質量%)、パルミトレイン酸(通常0.1質量%)等である。
一般的な胡麻油には、上記脂肪酸に加えて、ゴマリグナン、ビタミン、ミネラル(無機質)等が含まれている。
ゴマリグナンは、胡麻油に特徴的に含まれる微量成分である。ゴマリグナンには、体の酸化を抑制する効果、抗酸化成分として知られるビタミンEの働きを高める効果等があるといわれている。
ビタミンとしては、例えば、ビタミンE、ビタミンK等が挙げられる。ビタミンは、胡麻油中に、0.001~0.1質量%程度含まれる。
ミネラルとしては、例えば、セレン、カルシウム、リン、クロム等が挙げられる。ミネラルは、胡麻油中に、0.001~0.1質量%程度含まれる。
ここで、ゴマリグナンは、例えば、セサミン、エピセサミン、セサモリン、セサミノール、セサミノール配糖体、セサモ-ル等を含んでいる。
セサミンは、ゴマリグナンの中で最も含有量が多く、体内で抗酸化作用を発揮する。また、セサミンは、肝機能改善効果、アルコール代謝活性効果、コレステロールの合成又は吸収阻害効果等を有することが確認されている。
エピセサミンは、セサミンが胡麻油の精製過程で化学変化した、セサミンのジアステレオマーである。
セサモリンは、ゴマリグナンの中でセサミンに次いで含有量が多く、胡麻油の製造過程でセサミノール及びセサモールに変化する。
セサミノールは、胡麻油の製造過程中にセサモリンが変化したものであり、精製胡麻油に特徴的なゴマリグナンである。セサミノールは、体内における抗酸化効果に加えて、油の酸化抑制効果も有している。
セサミノール配糖体は、セサミノールに糖の分子がついたものであり、水溶性である。それ自体に抗酸化性はないが、体内の腸内細菌によって分解され、セサミノールとなる。
セサモールは、胡麻油の製造過程で胡麻を加熱することによってセサモリンが変化したものであり、焙煎胡麻油に含まれている。セサモールは、体内における抗酸化効果に加えて、油の酸化抑制効果も有している。
以上のことから、精製胡麻油には、ゴマリグナンとして、通常、セサミンだけでなく、精製工程で得られる特徴的な化合物である、エピセサミン等が含まれる。よって、皮つき胡麻から得られた焙煎胡麻油と、皮つき胡麻から精製工程を経て得られた精製胡麻油とを混合した油は、精製胡麻油を含むことから、精製工程で得られた成分、例えば、エピセサミンを含むことになる。
一方、本発明の皮むき胡麻油は、原料の皮むき胡麻を焙煎、蒸煮、圧搾等することによって得られたものであって、例えば、皮つき胡麻から得られた焙煎胡麻油と、皮つき胡麻から精製工程を経て得られた精製胡麻油とを混合することで、特定の色にしたのではない。
したがって、本発明の皮むき胡麻油は、エピセサミン等の精製工程で得られる成分を実質的に含まないことを特徴の1つとしている。
また、本発明の皮むき胡麻油は、精製工程を経ずに、特定のL値、a値及びb値の範囲を有することが特徴の1つである。
本発明の皮むき胡麻油の色度は、L表色系(JIS Z8781-4:2013)によって測定することができる。
表色系による色度の測定方法は、次のとおりである。
本発明の皮むき胡麻油は、測色色差計(Color meter ZE6000)を用いて測色を行った。測色条件は、照明受光条件:透過型、光源:ハロゲンランプ 12V 20W(NA55919)、視野角:2°(度)である。
本発明の皮むき胡麻油は、皮むき胡麻の焙煎又は搾油の条件によって色調が変わるが、例えば、L表色系における、L値が、85~98であり、a値が、-6~-2であり、及び、b値が、22~30である色調を有している。
本発明の皮むき胡麻油の好ましいL値は89~97.5であり、より好ましいL値は90~97.1である。
本発明の皮むき胡麻油の好ましいa値が-6~-4であり、より好ましいa値は-5.5~-4.5である。
本発明の皮むき胡麻油の好ましいb値が24~30であり、より好ましいb値は26~30である。
皮むき胡麻
皮むき胡麻は、収穫した生の胡麻種子を焙煎する前に外側の皮を剥いたものである。
皮むき胡麻は、一般に、歯ごたえが柔らかく、粒の食感を残しつつも、消化吸収を良くしたい場合等にそのまま食されている。
しかしながら、この皮むき胡麻から、胡麻油を製造することは、これまで知られていなかった。
本発明の皮むき胡麻油は、皮つき胡麻種子の皮を剥く皮むき工程を経て得られた皮むき胡麻を原料として用いる。
皮むき胡麻の製造方法
皮むき胡麻の製造方法は、皮つき胡麻種子から皮むき胡麻が得られれば、その製造工程は特に限定はなく、例えば、皮つき胡麻種子の皮を物理的に剥く皮むき工程、皮つき胡麻種子の皮を化学的に剥く皮むき工程等の脱皮工程を備える。
皮むき胡麻の製造方法は、具体的には、皮つき胡麻種子に加水する工程、皮つき胡麻種子の皮を剥く皮むき工程(「脱皮工程」ともいう)、選別工程、水洗工程、脱水工程、乾燥工程等を含む。これら工程以外にも、通常の皮むき胡麻を製造するときの公知の工程が含まれていてもよい。
皮つき胡麻種子
皮つき胡麻種子の種類及び産地は、特に限定されない。皮つき胡麻種子としては、例えば、白胡麻、黒胡麻、金胡麻等が挙げられる。皮つき胡麻種子の産地は、例えば、アジア、中国、アフリカ、南米等を含む世界中いずれでもよい。また、皮つき胡麻種子(原料)は、1種のみを用いてもよく、又は、2種以上を併用してもよい。
皮つき胡麻種子に加水する工程
皮つき胡麻種子に加水する工程は、皮つき胡麻種子に水を加える工程である。
皮つき胡麻種子に加水する方法としては、特に限定はなく、皮つき胡麻種子を水に浸漬する方法、皮つき胡麻種子に水を噴霧する方法、皮つき胡麻種子にジョウロ等で水をかける方法等が挙げられる。
皮つき胡麻種子に加水する工程の水の量としては、皮つき胡麻種子に湿り気が付与される程度の水であれば特に限定はない。
水の温度としては、特に限定はなく、冷水、常温水、又は加温した水のいずれであってもよい。
皮つき胡麻種子を水に浸漬する方法の場合、その浸漬時間は、特に限定はなく、例えば、通常1秒~30分、好ましくは1秒~10分、より好ましくは1秒~1分が挙げられる。
皮つき胡麻種子に水を噴霧又はかける方法としては、雨だれ式、スプレー式に散布する方法、皮つき胡麻種子の上から水を直接かける方法等が挙げられる。
皮つき胡麻種子の皮を剥く皮むき工程(脱皮工程)
皮つき胡麻種子の皮を剥く皮むき工程は、皮つき胡麻種子の外側の皮を剥いて、皮むき胡麻を得る工程である。脱皮方法としては、特に限定はなく、例えば、物理的処理、化学的処理等を挙げることができる。物理的処理としては、例えば、撹拌混合機(例えば、ミキサー、脱皮機等)等を利用して、胡麻同士を物理的に摩擦して脱皮する方法等が挙げられる。
化学的処理としては、例えば、希塩酸(0.5%程度)及び希水酸化ナトリウム水溶液(0.2%程度)を用いて酸及びアルカリ処理する方法等の薬品処理が挙げられる。
脱皮工程によって、皮つき胡麻種子の皮が全て(100%)取り除かれることが好ましいが、以下の工程中においても皮が除かれることから、皮むき胡麻の表面にある程度皮が残っていてもよい。また、原料である皮むき胡麻種子は、本発明の効果を損なわない程度に、皮つき胡麻種子を含むものであってもよい。
選別工程
選別工程は、皮むき胡麻と、剥かれた皮とを選別して、皮を除去する工程である。選別方法としては、特に限定なく、例えば、振動選別、風力選別等が挙げられる。
振動選別の振動装置としては、特に限定はなく、例えば、バイブロセパレーター等が挙げられる。振動数は、特に限定はなく、例えば、50Hzが挙げられる。
風力選別の風力装置としては特に限定はなく、例えば、アスピレーターが挙げられる。風力は、特に限定はない。
水洗工程
水洗工程は、皮むき胡麻を水で洗う工程である。水洗方法としては、特に限定はなく、例えば、水流による洗浄等が挙げられる。
水洗工程の水温度は、通常、1~50℃であり、好ましくは10~45℃であり、より好ましくは25~40℃である。
水洗工程の水洗時間は、特に限定はないが、通常、1分~10分であり、好ましくは1分30秒~7分30秒であり、より好ましくは2分~5分である。
水洗方法としては、例えば、水洗タンク及び攪拌機を用いる方法等が挙げられる。
脱水工程
脱水工程は、水で洗った皮むき胡麻の水を除去する工程である。
脱水工程の脱水温度としては、特に限定はなく、通常、1℃~50℃であり、好ましくは10~40℃であり、より好ましくは15~35℃である。
脱水工程の脱水時間としては、特に限定はなく、通常、60分未満であり、好ましくは30分未満であり、より好ましくは15分未満である。
脱水方法としては、特に限定はなく、例えば、遠心分離機を用いる方法等が挙げられる。遠心分離機としては、特に限定はなく、例えば、連続遠心分離機(プッシャー)が挙げられる。
乾燥工程
乾燥工程は、脱水した皮むき胡麻を乾燥させる工程である。
乾燥工程の乾燥温度としては、特に限定はなく、通常、約50~100℃であり、好ましくは55~95℃であり、より好ましくは60~90℃である。
乾燥工程の乾燥時間としては、特に限定はなく、通常、1~60分であり、好ましくは5分~45分であり、より好ましくは10分~30分である。
乾燥方法としては、特に限定はなく、例えば、熱風乾燥機を用いる方法等が挙げられる。熱風乾燥としては、例えば、熱風直火式ロータリー式型乾燥機が挙げられる。
1粒の皮むき胡麻は、表面の一部又は全部に皮が残ったものであってもよい。原料となる皮むき胡麻(複数の皮むき胡麻種子)は、前記表面の一部又は全部に皮が残ったものが含まれていてもよい。原料に、皮つき胡麻種子が含まれる場合、皮むき胡麻種子の割合は、全体の原料のうち、少なくとも70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。上限としては、特に限定はなく、100質量%が好ましい。
原料である皮むき胡麻は、L表色系における、L値が、54~72であり、a値が、2~11であり、及び、b値が、19~23である、色を有している。なお、ここでいう皮むき胡麻は、焙煎した後の皮むき胡麻であってもよく、又は、未焙煎のままの皮むき胡麻であってもよい。
皮むき胡麻の好ましいL値は65~71であり、より好ましいL値は68~71である。
皮むき胡麻の好ましいa値は3~6であり、より好ましいa値は3~5である。
皮むき胡麻の好ましいb値は19~22であり、より好ましいb値は19~21.7である。
2.皮むき胡麻油の製造方法
本発明の皮むき胡麻油の製造方法は、原料として皮むき胡麻を用いて、L表色系における、L値が、85~98であり、a値が、-6~-2であり、及び、b値が、22~30である、皮むき胡麻油が得られる方法であれば、特に限定されない。
本発明の皮むき胡麻油の製造方法は、例えば、原料が皮むき胡麻であり、前記原料を圧搾する工程を備えている。
本発明の皮むき胡麻油の製造方法は、さらに焙煎工程を備えることが好ましい。
本発明の皮むき胡麻油の製造方法は、具体的には、皮むき胡麻を焙煎して煎り胡麻を得る工程、得られた煎り胡麻を蒸煮する工程、蒸煮した煎り胡麻を圧搾する工程、圧搾した皮むき胡麻油を静置する工程、静置した皮むき胡麻油をろ過する工程等を備えている。なお、焙煎工程を備えなくても、本発明の皮むき胡麻油を製造することは可能である。
皮むき胡麻を焙煎して煎り胡麻を得る工程(焙煎工程)
焙煎条件は、適宜変更することができ、特に限定はない。
焙煎温度は、通常の焙煎胡麻油よりも低ければ、特に限定は無く、品温が通常190℃未満であり、100~170℃になるように焙煎することが好ましく、105~160℃がより好ましく、110~135℃が特に好ましい。
焙煎時間は、特に限定はなく、例えば、品温が焙煎温度に到達して1~60分焙煎することが好ましく、2~45分焙煎することがより好ましく、3~30分焙煎することが特に好ましい。
焙煎方法は、特に限定されないが、例えば、外部より電熱、熱風、バーナー、マイクロ波等を介して加熱することにより行うことができる。また、使用する焙煎機は特に限定されないが、例えば、回転流動床式、回転ドラム式、ロータリーキルン式等を使用することができる。
煎り胡麻を搾油前に加温する工程(加温工程)
搾油前の加温工程の条件は、適宜変更するができる。加温方法としては、特に限定はなく、例えば、蒸煮方法等が挙げられる。蒸煮温度及び蒸煮時間は、特に限定はない。
例えば、蒸煮温度としては、特に限定はなく、通常50~150℃であり、80~140℃が好ましく、100~130℃がより好ましい。
胡麻の加温には、このように水蒸気を用いることが通常であるため、蒸煮と呼ばれることもある。蒸煮方法は、特に限定されないが、例えば、ケトルと呼ばれる釜を用いて胡麻に直接水蒸気をあてる方法等によって行われる。
加温した煎り胡麻を圧搾する工程
圧搾条件は、特に制限はなく、通常の圧搾機を使用することができる。圧搾機は、特に型式は問わないが、例えば、円筒状に形成されたケーシングとその内部に回転自在に設けられたスクリューよりなるエキスペラー式圧搾機を好適に利用することができる。回転数、処理量等は適宜調整することができる。
圧搾した皮むき胡麻油を静置する工程
静置条件は、適宜変更することができる。例えば、静置温度及び静置時間は、特に限定はないが、胡麻油の香気成分の飛散等を考慮すると、3か月以内に静置する工程を完了させることが望ましい。
静置温度は、通常50℃以下であり、4~40℃が好ましく、10~30℃がより好ましい。
静置した皮むき胡麻油をろ過する工程
ろ過方法は、特に限定はなく、例えば、木綿等の布で胡麻油を濾す方法、定性濾紙で胡麻油を濾す方法等である。ろ過の温度及び時間は、特に限定はない。
ろ過温度は、通常50℃以下であり、40℃以下が好ましく、10~30℃程度がより好ましい。
本発明の皮むき胡麻油の利用用途としては、特に限定はなく、例えば、各種食品にかける、和える、混ぜる、練り込む等して利用できる。具体的な利用としては、例えば、ドレッシングとして野菜にかける、又は野菜と和える、ソースのようにパスタにかける、オリーブオイルの食し方の様にパンに付ける、ソースの様にアイスクリームにかける、スープに垂らす(滴下する)等して使用してもよい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
(実施例1)
皮むき胡麻の原料として白胡麻の種子(皮つき胡麻)100kgを用いた。この皮つき胡麻種子の上から常温水約10Lを直接かけて、加水した後、攪拌混合式の脱皮機を用いて脱皮した。脱皮した胡麻種子を、振動選別機及び風力選別機を用いて、皮むき胡麻と剥かれた皮とを選別し、皮むき胡麻を水洗タンク及び撹拌機を用いて水流により洗浄した。さらに、遠心分離機を用いて、水で洗った皮むき胡麻の水分を除去した後、熱風乾燥機を用いて、約80℃で、約20分間乾燥させ、皮むき胡麻約80kgを得た。
乾燥後の皮むき胡麻(約60kg)を、ガス加熱方式の焙煎機を用いて、焙煎し(焙煎温度(品温)118℃)、表1に記載のL値、a値、及び、b値の皮むき胡麻を得た。
そして、上記の焙煎後の皮むき胡麻約30kgを原料胡麻として用い、ケトルを用いて品温約100~130℃に加温した後、エキスペラー式圧搾機を用いて搾油して、皮むき胡麻油の原油を約10kg得た。
この皮むき胡麻の原油を、ステンレス製容器で3日間、約25℃環境下で静置した後、定性濾紙で濾過し、約9kgの皮むき胡麻油を得た。
(実施例2)
原料胡麻を、ロットの異なる白胡麻の種子(皮つき胡麻)を用いて製造した、表1に記載のL値、a値、及び、b値の皮むき胡麻に代えた以外は、実施例1と同様の製造方法で、皮むき胡麻油約9kgを得た。なお、実施例2で用いた原料胡麻(焙煎後の皮むき胡麻)は、皮むき胡麻の原料である皮つき胡麻のロット(産地等)が実施例1とは異なっており、それに伴い、焙煎工程の焙煎温度等を変更することで(品温は、120℃)、表1(実施例2)に記載のL値、a値、及び、b値の皮むき胡麻が得られた。
(実施例3)
原料胡麻を、ロットの異なる白胡麻の種子(皮つき胡麻)を用いて製造した、表1に記載のL値、a値、及び、b値の皮むき胡麻に代えた以外は、実施例1と同様の製造方法で、皮むき胡麻油約9kgを得た。なお、実施例3で用いた原料胡麻(焙煎後の皮むき胡麻)は、皮むき胡麻の原料である皮つき胡麻のロット(産地等)が実施例1とは異なっており、それに伴い、焙煎工程の焙煎温度等を変更することで(品温は、124℃)、表1(実施例3)に記載のL値、a値、及び、b値の皮むき胡麻が得られた。
(実施例4)
原料胡麻を、ロットの異なる白胡麻の種子(皮つき胡麻)を用いて製造した、表1に記載のL値、a値、及び、b値の皮むき胡麻に代えた以外は、実施例1と同様の製造方法で、皮むき胡麻油約9kgを得た。なお、実施例4で用いた原料胡麻(焙煎後の皮むき胡麻)は、皮むき胡麻の原料である皮つき胡麻のロット(産地等)が実施例1とは異なっており、それに伴い、焙煎工程の焙煎温度等を変更することで(品温は、125℃)、表1(実施例4)に記載のL値、a値、及び、b値の皮むき胡麻が得られた。
(実施例5)
原料胡麻を、ロットの異なる白胡麻の種子(皮つき胡麻)を用いて製造した、表1に記載のL値、a値、及び、b値の皮むき胡麻に代えた以外は、実施例1と同様の製造方法で、皮むき胡麻油約9kgを得た。なお、実施例5で用いた原料胡麻(焙煎後の皮むき胡麻)は、皮むき胡麻の原料である皮つき胡麻のロット(産地等)が実施例1とは異なっており、それに伴い、焙煎工程の焙煎温度等を変更することで(品温は、125℃)、表1(実施例5)に記載のL値、a値、及び、b値の皮むき胡麻が得られた。
(実施例6)
原料胡麻を、ロットの異なる白胡麻の種子(皮つき胡麻)を用いて製造した、表1に記載のL値、a値、及び、b値の皮むき胡麻に代えた以外は、実施例1と同様の製造方法で、皮むき胡麻油約9kgを得た。なお、実施例6で用いた原料胡麻(焙煎後の皮むき胡麻)は、皮むき胡麻の原料である皮つき胡麻のロット(産地等)が実施例1とは異なっており、それに伴い、焙煎工程の焙煎温度等を変更することで(品温は、136℃)、表1(実施例6)に記載のL値、a値、及び、b値の皮むき胡麻が得られた。
(実施例7)
原料胡麻を、ロットの異なる白胡麻の種子(皮つき胡麻)を用いて製造した、表1に記載のL値、a値、及び、b値の皮むき胡麻に代えた以外は、実施例1と同様の製造方法で、皮むき胡麻油約9kgを得た。なお、実施例7で用いた原料胡麻(焙煎後の皮むき胡麻)は、皮むき胡麻の原料である皮つき胡麻のロット(産地等)が実施例1とは異なっており、それに伴い、焙煎工程の焙煎温度等を変更することで(品温は、158℃)、表1(実施例7)に記載のL値、a値、及び、b値の皮むき胡麻が得られた。
(実施例8)
原料胡麻を、ロットの異なる白胡麻の種子(皮つき胡麻)を用いて、焙煎工程を行なわずに製造した表1に記載のL値、a値、及び、b値の皮むき胡麻に代えた以外は、実施例1と同様の製造方法で、皮むき胡麻油約9kgを得た。なお、実施例8で用いた原料胡麻(未焙煎の皮むき胡麻)は、皮むき胡麻の原料である皮つき胡麻のロット(産地等)が異なっている。
(実施例9)
原料胡麻を、ロットの異なる白胡麻の種子(皮つき胡麻)を用いて製造した、表1に記載のL値、a値、及び、b値の皮むき胡麻に代えた以外は、実施例1と同様の製造方法で、皮むき胡麻油約9kgを得た。なお、実施例9で用いた原料胡麻(焙煎後の皮むき胡麻)は、皮むき胡麻の原料である皮つき胡麻のロット(産地等)が実施例1とは異なっており、それに伴い、焙煎工程の焙煎温度等を変更することで(品温は、180℃)、表1(実施例9)に記載のL値、a値、及び、b値の皮むき胡麻が得られた。
(比較例1)
皮つき胡麻の原料として白胡麻の種子を用い、この種子を間接熱風方式の焙煎機で155℃、1時間当たり1トンの処理量で焙煎(乾燥)したものを原料胡麻とした。この皮つき胡麻30kgをケトルで50~150℃に加熱した後、搾油機に投入して圧搾し、胡麻油の原油10Lを得た。この胡麻油の原油を静置、濾過して、皮つき胡麻から得られた焙煎胡麻油9Lを得た。
(比較例2)
皮つき胡麻の原料として黒胡麻の種子を用い、この種子を間接熱風方式の焙煎機で153℃、1時間当たり1トンの処理量で焙煎(乾燥)したものを原料胡麻とした。この皮つき胡麻30kgをケトルで50~150℃に加熱した後、搾油機に投入して圧搾し、胡麻油の原油10Lを得た。この胡麻油の原油を静置、濾過して、皮つき胡麻から得られた焙煎胡麻油9Lを得た。
(比較例3)
皮つき胡麻の原料として白胡麻の種子を用い、未焙煎のものと原料胡麻とした。この皮つき胡麻30kgをケトルで50~150℃に加熱した後、搾油機に投入して圧搾し、胡麻油の原油10Lを得た。この胡麻油の原油を静置、濾過して、皮つき胡麻から得られた未焙煎の胡麻油9Lを得た。
(比較例4)
皮つき胡麻の原料として黒胡麻の種子を用い、未焙煎のものと原料胡麻とした。この皮つき胡麻30kgをケトルで50~150℃に加熱した後、搾油機に投入して圧搾し、胡麻油の原油10Lを得た。この胡麻油の原油を静置、濾過して、皮つき胡麻から得られた未焙煎の胡麻油9Lを得た。
(比較例5)
皮つき胡麻の原料として白胡麻、黒胡麻及び茶胡麻が混在した胡麻種子を用い、未焙煎のものと原料胡麻とした。この胡麻30kgをケトルで50~150℃に加熱した後、搾油機に投入して圧搾し、胡麻油の原油10kgを得た。この胡麻油の原油を静置、濾過して、皮つき胡麻から得られた未焙煎の胡麻油9kgを得た。
(比較例6)
皮つき胡麻の原料として白胡麻、黒胡麻及び茶胡麻が混在した胡麻種子を用い、未焙煎のものと原料胡麻とした。この胡麻をケトルで50~150℃に加熱後、搾油機に投入して圧搾し、胡麻油の原油を得た。この胡麻油の原油を精製(脱酸、脱色、脱臭)し、静置、濾過して、皮つき胡麻から得られた未焙煎の精製胡麻油を得た(比較例6は、かどや製油株式会社製品、製品名:かどやの太白ごま油)。
(比較例7~9)
皮つき胡麻の原料として白胡麻、黒胡麻及び茶胡麻が混在した胡麻種子を用い、この種子を間接熱風方式の焙煎機(ロータリーキルン)で190℃~240℃、1時間当たり2トンの処理量で焙煎したものを原料胡麻とした。この皮つき胡麻をケトルで50~150℃に加熱した後、搾油機に投入して圧搾し、胡麻油の原油を得た。この胡麻油の原油を静置、濾過して、皮つき胡麻から得られた焙煎胡麻油を得た。この胡麻油に、精製菜種油を配合した(比較例7は、かどや製油株式会社製品、製品名:鳳凰。比較例8は、かどや製油株式会社製品、製品名:香麻油。比較例9は、かどや製油株式会社製品、製品名:調合ごま油)。
(比較例10)
皮つき胡麻の原料として白胡麻、黒胡麻及び茶胡麻が混在した胡麻種子を用い、この種子を間接熱風方式の焙煎機(ロータリーキルン)で190℃~240℃、1時間当たり2トンの処理量で焙煎したものを原料胡麻とした。この皮つき胡麻をケトルで50~150℃に加熱した後、搾油機に投入して圧搾し、胡麻油の原油を得た。この胡麻油の原油に精製胡麻油を配合した後、静置、濾過、及び精製胡麻油の配合を行い、皮つき胡麻から得られた焙煎胡麻油を得た(比較例10は、かどや製油株式会社製品、製品名:金印ごま油(淡泊))。
(比較例11)
皮つき胡麻の原料として白胡麻、黒胡麻及び茶胡麻が混在した胡麻種子を用い、この種子を間接熱風方式の焙煎機(ロータリーキルン)で190℃~240℃、1時間当たり2トンの処理量で焙煎したものを原料胡麻とした。この皮つき胡麻をケトルで50~150℃に加熱した後、搾油機に投入して圧搾し、胡麻油の原油を得た。この胡麻油の原油に精製胡麻油を配合した後、静置、及び濾過して、皮つき胡麻から得られた焙煎胡麻油を得た(比較例11は、かどや製油株式会社製品、製品名:純正ごま油)。
(比較例12)
皮つき胡麻の原料として白胡麻、黒胡麻及び茶胡麻が混在した胡麻種子を用い、この種子を間接熱風方式の焙煎機(ロータリーキルン)で190℃~240℃、1時間当たり2トンの処理量で焙煎したものを原料胡麻とした。この皮つき胡麻をケトルで50~150℃に加熱した後、搾油機に投入して圧搾し、胡麻油の原油を得た。この胡麻油の原油を静置、及び濾過して、皮つき胡麻から得られた焙煎胡麻油を得た(比較例12は、かどや製油株式会社製品、製品名:純正ごま油(濃口))。
(参考例1)
参考例1は、市販品A(A社の焙煎胡麻油と精製胡麻油とを配合した胡麻油)である。
(参考例2)
参考例2は、市販品B(B社の皮つき胡麻から得られた生搾りタイプの胡麻油)である。
試験例1:色度
表色系による色度を測定した。色度は、日本電産「ZE-8000」分光測色機を用いて測定した。その結果を表1(表1中の表1(1)及び表1(2))に示す。
試験例2:胡麻の水分値
原料である皮むき胡麻の水分値は、例えば、基準油脂分析試験法2013年度版、III基準法、1油脂原料及び脱脂物、1.4.1-2013 水分(加熱乾燥法)により測定できる。

<結果>
その結果、実施例1~7の皮むき胡麻油は、淡黄色から黄色であり、上記表1に示すとおり、L表色系における、L値が、90~98であり、a値が、-6~-4であり、及び、b値が、24~30である、皮むき胡麻油であった。
また、実施例8の皮むき胡麻油は、焙煎をせず、L値が、92.04であり、a値が、-4.10であり、及び、b値が、22.26である、皮むき胡麻油であった。
また、実施例9の皮むき胡麻油は、焙煎が非常に強く、L値が、85.14であり、a値が、-2.72であり、及び、b値が、26.74である、皮むき胡麻油であった。
一方、比較例1~4の皮つき胡麻油で焙煎度合いが低いものは、黄色であり、上記表1に示すとおり、L表色系における、L値が、89.06~93.23であり、a値が、-3.10~-4.00であり、及び、b値が、21.53~23.66である胡麻油であった。
また、比較例5の皮つき非焙煎胡麻油は、黄色であり、上記表1に示すとおり、L表色系における、L値が、91.83であり、a値が、-6.17であり、及び、b値が、42.31である胡麻油であった。
また、比較例6の精製胡麻油は、無色透明であり、上記表1に示すとおり、L表色系における、L値が、93.32であり、a値が、-1.54であり、及び、b値が、7.05である胡麻油であった。
また、比較例7~9の皮つき焙煎胡麻油に精製菜種油を配合した調合胡麻油は、淡茶褐色~茶褐色であり、上記表1に示すとおり、L表色系における、L値が、67.86~89.20であり、a値が、-1.13~12.54であり、及び、b値が、35.41~42.25である胡麻油であった。
また、比較例10の、焙煎胡麻油に精製胡麻油を配合した胡麻油では、淡茶褐色であり、上記表1に示すとおり、L表色系における、L値が、98.31であり、a値が、-2.86であり、及び、b値が、18.14である胡麻油であった。
また、比較例11の、焙煎胡麻油に精製胡麻油を配合した胡麻油では、茶褐色であり、上記表1に示すとおり、L表色系における、L値が、69.32であり、a値が、10.36であり、及び、b値が、43.11である胡麻油であった。
また、比較例12の、焙煎胡麻油は、濃茶褐色であり、上記表1に示すとおり、L表色系における、L値が、53.62であり、a値が、22.38であり、及び、b値が、36.90である胡麻油であった。
また、市販品の参考例1及び参考例2の胡麻油では、淡黄色であり、上記表1に示すとおり、L表色系における、L値が、95.20~99.95であり、a値が、-3.83~-2.01であり、及び、b値が、20.28~24.05である胡麻油であった。
以上のとおり、本発明は、原料が皮つき胡麻ではなく、皮むき胡麻を用いることが特徴であって、このような皮むき胡麻から胡麻油を製造することは知られておらず、L値が、85~97であり、a値が、-6~-2であり、及び、b値が、22~30である、皮むき胡麻油という新規な胡麻油が得られた。特に、L値が、90~98であり、a値が、-6~-4であり、及び、b値が、27~30である、皮むき胡麻油である実施例1~7の皮むき胡麻油は、下記試験例5に示すとおり、食品として興味深い新規な香りの胡麻油が得られた。また、実施例8の皮むき胡麻油は、香りが抑えられていることから、化粧品等の原料に用いることが可能である。
試験例3:エピセサミンの測定試験
実施例1~9の皮むき胡麻油、比較例1~12の胡麻油、及び、参考例1~2の胡麻油を、日立製の日立高速液体クロマトグラフ(製品名:Chromaster)を用いて、ゴマリグナン類であるセサミン、エピセサミン、セサモール、セサミノール及びセサモリンの含有量を測定した。
なお、表1において、定量下限より値が小さい場合は「tr.」とし、不検出の場合は「n.d.」とした。
<結果>
その結果、実施例1~9は、エピセサミンが含まれていなかった。これに対して、比較例6、10、11、及び参考例1の胡麻油はエピセサミンが含まれていた。上記比較例及び参考例は、焙煎胡麻油に精製胡麻油を配合することで色調を淡化させ、通常の焙煎胡麻油とは色調を異とするものに見せかけていることが示唆された。
試験例4:官能評価(外観)
実施例1~9の皮むき胡麻油、比較例1~12の胡麻油、及び、参考例1~2の胡麻油について、下記の外観(色)をそれぞれ評価した。官能評価は、訓練されたパネリスト6名によって、2回(繰り返しにより実施し、(すなわち、N=12)その平均を求めた。その結果を表2(表2(1)と表2(2))に示す。
<評価>
5点:胡麻油の色が焙煎胡麻油の濃い色(かどや製油(株)製の製品「純正胡麻油(濃口)」を基準)
4点:胡麻油の色が焙煎胡麻油の中濃色(かどや製油(株)製の製品「純正胡麻油」を基準)
3点:胡麻油の色が黄色(市販品 参考例2を基準)
2点:胡麻油の色が淡黄色
1点:胡麻油の色が精製胡麻油の色(かどや製油(株)製の製品「かどやの太白胡麻油」を基準)
<総合評価>
表2に記載の評価結果(平均点)に基づいて、胡麻油の外観(色)についての総合評価を行った。その際の評価基準は以下のとおりである。
×:4~5
△:3.5~4未満
〇:2.5~3.5未満
△:2~2.5未満
×:1~2未満
なお、5点が、従来の焙煎胡麻油の濃い茶色であり、1点が、従来の精製胡麻油の無色に近い色であるが、本発明の皮むき胡麻油は、従来の胡麻油とは異なる外観を目指しているため、5点と1点との中間(2.5~3.5未満)を「〇」(良好)と評価した。
<結果>
その結果、皮むき胡麻から、従来の焙煎胡麻油及び精製胡麻油とは異なる、新しい外観(色)を有する皮むき胡麻油が得られた(実施例1~9)。
この皮むき胡麻油のさらなる用途(食品、化粧品等)を検討するため、以下の官能評価を実施した。
試験例5:官能評価(香り:甘いコクのある、胡麻らしくないナッツ香)
実施例1~9の皮むき胡麻油、比較例1~12の胡麻油、及び、参考例1~2の胡麻油について、下記の香り(オルソネーザル、レトロネーザル)をそれぞれ評価した。官能評価は、訓練されたパネリスト6名によって、2回(繰り返しにより実施し、(すなわち、N=12)その平均を求めた。その結果を表3(表3(1)と表3(2))に示す。
<(1):香り(鼻):オルソネーザル(たち香):甘いコクのある、胡麻らしくないナッツ香>
5点:甘いコクのある、胡麻らしくないナッツ香が 非常に強い
4点:甘いコクのある、胡麻らしくないナッツ香が 強い
3点:甘いコクのある、胡麻らしくないナッツ香が ある
2点:甘いコクのある、胡麻らしくないナッツ香が 弱い
1点:甘いコクのある、胡麻らしくないナッツ香が ない
<(2):香り(鼻):レトロネーザル(あと香):甘いコクのある、胡麻らしくないナッツ香>
5点:甘いコクのある、胡麻らしくないナッツ香が 非常に強い
4点:甘いコクのある、胡麻らしくないナッツ香が 強い
3点:甘いコクのある、胡麻らしくないナッツ香が ある
2点:甘いコクのある、胡麻らしくないナッツ香が 弱い
1点:甘いコクのある、胡麻らしくないナッツ香が ない
<総合評価>
表3に記載の評価結果(オルソネーザルの平均点と、レトロネーザルの平均点とを合計した合計点)に基づいて、胡麻油の香り(甘いコクのある、胡麻らしくないナッツ香)についての総合評価を行った。その際の評価基準は以下のとおりである。
◎:5~10
〇:3~5未満
×:1~3未満
試験例6:官能評価(香り:焙煎胡麻油の香ばしい焙煎香)
実施例1~9の皮むき胡麻油、比較例1~12の胡麻油、及び、参考例1~2の胡麻油について、下記の香り(オルソネーザル、レトロネーザル)をそれぞれ評価した。官能評価は、訓練されたパネリスト6名によって、2回(繰り返しにより実施し、(すなわち、N=12)その平均を求めた。その結果を表4(表4(1)と表4(2))に示す。
<(1):香り(鼻):オルソネーザル(たち香):焙煎胡麻油の香ばしい焙煎香>
5点:焙煎胡麻油の香ばしい焙煎香が 非常に強い
4点:焙煎胡麻油の香ばしい焙煎香が 強い
3点:焙煎胡麻油の香ばしい焙煎香が ある
2点:焙煎胡麻油の香ばしい焙煎香が 弱い
1点:焙煎胡麻油の香ばしい焙煎香が ない
<(2):香り(鼻):レトロネーザル(あと香):焙煎胡麻油の香ばしい焙煎香>
5点:焙煎胡麻油の香ばしい焙煎香が 非常に強い
4点:焙煎胡麻油の香ばしい焙煎香が 強い
3点:焙煎胡麻油の香ばしい焙煎香が ある
2点:焙煎胡麻油の香ばしい焙煎香が 弱い
1点:焙煎胡麻油の香ばしい焙煎香が ない
<総合評価>
表4に記載の評価結果(オルソネーザルの平均点と、レトロネーザルの平均点とを合計した合計点)に基づいて、焙煎胡麻油の香ばしい焙煎香についての総合評価を行った。その際の評価基準は以下のとおりである。
◎:1~3未満
〇:3~5未満
×:5~10
試験例7:官能評価(味覚)
実施例1~9の皮むき胡麻油、比較例1~12の胡麻油、及び、参考例1~2の胡麻油について、下記の風味(味)をそれぞれ評価した。官能評価は、訓練されたパネリスト6名によって、2回(繰り返しにより実施し、(すなわち、N=12)その平均を求めた。その結果を表5(表5(1)と表5(2))に示す。
<(1):風味(口):ピーナッツオイルのようなナッツ様の甘み>
5点:ピーナッツオイルのようなナッツ様の甘みが 非常に強い
4点:ピーナッツオイルのようなナッツ様の甘みが 強い
3点:ピーナッツオイルのようなナッツ様の甘みが ある
2点:ピーナッツオイルのようなナッツ様の甘みが 弱い
1点:ピーナッツオイルのようなナッツ様の甘みが ない
<(2):風味(口):焙煎胡麻油の苦み>
5点:焙煎胡麻油の苦みが 非常に強い
4点:焙煎胡麻油の苦みが 強い
3点:焙煎胡麻油の苦みが ある
2点:焙煎胡麻油の苦みが 弱い
1点:焙煎胡麻油の苦みが ない
<総合評価>
表5に記載の評価結果に基づいて、下記式の合計点(Z)から、胡麻油の味についての総合評価を行った。
式:合計点(Z)=(X)-(Y)
式中(X)は、上記(1):風味(口):ピーナッツオイルのようなナッツ様の甘みの平均点を表す。
式中(Y)は、上記(2):風味(口):焙煎胡麻油の苦みの平均点を表す。

<結果>
その結果、実施例1~7の皮むき胡麻油は、オルトネーザル(立ち香)とレトロネーザル(あと香)共に、甘いコクのある、胡麻らしくないナッツ香が強く、焙煎胡麻油の香ばしい焙煎香は無かった。
一方、実施例8の皮むき胡麻油は、甘いコクのある、胡麻らしくないナッツ香が弱く、焙煎胡麻油の香ばしい焙煎香が無かった。
また、実施例9の皮むき胡麻油は、甘いコクのある、胡麻らしくないナッツ香及び焙煎胡麻油の焙煎香が弱かった。
実施例1~7の皮むき胡麻油は、これら実施例8及び9の皮むき胡麻油よりも、食品用の胡麻油として非常に興味深く、新しい外観、香り、及び風味の胡麻油となった。
なお、化粧品等の用途については、実施例8の皮むき胡麻油は、他の実施例の胡麻油よりも、香りが抑えられていることから、その用途が期待できる。
また、実施例9の皮むき胡麻油は、弱いが甘いコクがあり、焙煎胡麻油の香ばしい焙煎香が弱く、弱いがいり胡麻香があり、苦味が無いことから和食、精進料理等の用途への使用が期待できる。
これに対して、比較例1~4の胡麻油は、甘いコクのある、胡麻らしくないナッツ香はない又は弱く、焙煎胡麻油の香ばしい焙煎香も無い又は弱かった。
また、比較例5及び6の胡麻油は、甘いコクのある、胡麻らしくないナッツ香も焙煎胡麻油の香ばしい焙煎香も無かった。
また、比較例12の焙煎胡麻油は、甘いコクのある、胡麻らしくないナッツ香が無く、焙煎胡麻油の香ばしい焙煎香は非常に強かった。
実施例1~9の皮むき胡麻油は、比較例1~12及び参考例1及び2とは異なる香り及び風味(香味)を有し、幅広い用途に利用可能な、新しいタイプの胡麻油であることがわかった。

Claims (6)

  1. 原料が皮むき胡麻であり、
    前記原料である皮むき胡麻焙煎する工程、及び、
    前記焙煎後の皮むき胡麻を圧搾する工程を備える、皮むき胡麻油の製造方法であって、
    前記原料である前記皮むき胡麻が、L 表色系における、
    値が、54~72であり、
    値が、2~11であり、及び、
    値が、19~23であり、
    前記原料である皮むき胡麻を焙煎する工程における焙煎温度は、品温が100~170℃になる温度であり、
    前記皮むき胡麻油が、L 表色系における、
    値が、89~97.5であり、
    値が、-6~-4であり、及び、
    値が、24~30であり、かつ、
    前記皮むき胡麻油が、胡麻らしくないナッツ香を有する、
    皮むき胡麻油の製造方法
  2. 前記焙煎後の皮むき胡麻を圧搾する工程の前に、加温工程を備え、かつ、
    前記加温工程における温度が、100~130℃である、請求項1に記載の皮むき胡麻油の製造方法。
  3. 前記皮むき胡麻油が、L 表色系における、
    値が、90.85~97.01であり、
    値が、-5.46~-4.45であり、及び、
    値が、26.68~29.20である、請求項1に記載の皮むき胡麻油の製造方法。
  4. 前記原料である前記皮むき胡麻が、L 表色系における、
    値が、67.96~71.15であり、
    値が、2.98~5.14であり、及び、
    値が、19.08~21.78である、請求項3に記載の皮むき胡麻油の製造方法。
  5. 前記皮むき胡麻油が、エピセサミンを実質的に含まない、請求項に記載の皮むき胡麻油の製造方法。
  6. 請求項1~5の何れか一項に記載の製造方法で得られた皮むき胡麻油。
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