JP7488941B1 - 合わせガラス用中間膜、及び合わせガラス - Google Patents

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【課題】意匠性に優れた合わせガラス用中間膜を提供する。【解決手段】一方向から入射した光に対する反射光のL*a*b*色空間と、反対方向から入射した光に対する反射光のL*a*b*色空間とにおける色差△E*abが1.2以上である、合わせガラス用中間膜。【選択図】なし

Description

本発明は、合わせガラス用中間膜、及び合わせガラス用中間膜を有する合わせガラスに関する。
合わせガラスは、外部衝撃を受けて破損してもガラスの破片が飛散することが少なく安全であるため、自動車等の各種乗り物の窓ガラスや、建築物等の窓ガラスに広く使用されている。合わせガラスとしては、一対のガラス間に、ポリビニルアセタール樹脂などの樹脂成分を含む合わせガラス用中間膜を介在させ、一体化させたものが広く知られている。
従来、合わせガラスには、様々な機能を付与することを目的として、反射フィルムを含有させることが知られている。例えば、特許文献1では、合わせガラスにおいて、一対のガラス間に、可視光選択反射層と、赤外光選択反射層とを有する反射フィルムが組み込まれることが開示されている。ここで、可視光選択反射層は、380~850nmの範囲に反射ピークを有し、かつ反射ピーク波長における自然光反射率を5~25%とすることで、高い透過率を維持しつつも、ヘッドアップディスプレイ用光源からの光を一定量反射させ、HUD画像の投影性を良好にできることが示されている。また、赤外光選択反射層は、900~1200nmの範囲に反射ピークを有し、かつ反射ピークの波長における自然光反射率が26%以上であることで、赤外光による運転者の顔や虹彩認証を容易にできることが示されている。
また、合わせガラス用中間膜は、近年、意匠性が求められることが多く、合わせガラス用中間膜に着色剤を含有させて着色させることがある。また、合わせガラス用中間膜には、着色のために金属系粒子を配合されることも知られており、例えば、特許文献2では、ポリビニルブチラールと、可塑剤とを備える、合わせガラス用中間膜に、着色のために金属系顔料が配合されることが開示されている。また、特許文献2における合わせガラス用中間膜は、金属系顔料が配合された樹脂組成物中に、さらに顔料、染料などの色材がさらに含有されてもよいことも示されている。
国際公開第2022/075184号 国際公開第2016/028963号
しかしながら、近年、自動車や建築物の窓ガラスは、デザインの多様化が進んでおり、例えば、自動車においても様々な表現を行うことが望まれることがある。しかし、従来の顔料や染料を配合した合わせガラス用中間膜は、窓ガラスを着色するのみであり、意匠性を十分に高めることができない。
そこで、本発明は、意匠性に優れた合わせガラス用中間膜を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、合わせガラス用中間膜において、一方向から入射した光に対する反射光と、反対方向から入射した光に対する反射光の色差△E*abを、一定値以上とすることで、中間膜を有する合わせガラスの一方の面からみた際の意匠と他方の面からみた意匠とを異ならせることができることを見出し、以下の本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[22]を提供する。
[1]一方向から入射した光に対する反射光のL*a*b*色空間と、反対方向から入射した光に対する反射光のL*a*b*色空間とにおける色差△E*abが0.5以上である、合わせガラス用中間膜。
[2]反射層を備える、上記[1]に記載の合わせガラス用中間膜。
[3]前記反射層がナノ積層フィルムである、上記[2]に記載の合わせガラス用中間膜。
[4]前記反射層は、屈折率の異なる2つの樹脂層Aと樹脂層Bとを含み、これらが30層以上積層されている、上記[3]に記載の合わせガラス用中間膜。
[5]前記樹脂層Aの厚みが30nm以上500nm以下であり、前記樹脂層Bの厚みは30nm以上500nm以下である、上記[4]に記載の合わせガラス用中間膜。
[6]前記樹脂層Aと、前記樹脂層Bとの屈折率差は0.01以上0.15以下である、上記[4]又は[5]に記載の合わせガラス用中間膜。
[7]前記反射層の波長380~780nmの範囲における平均反射率が25.0%以上である、上記[2]~[6]のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
[8]前記反射層は、面内で不均一な色相を有する、上記[2]~[7]のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
[9]前記反射層よりも中間膜の一方の面側に配置される、1又は2以上の第1の樹脂層を備える、上記[2]~[8]のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
[10]前記1又は2以上の第1の樹脂層は、着色剤を含む着色層を少なくとも有する、上記[9]に記載の合わせガラス用中間膜。
[11]前記着色剤が顔料を含み、
前記顔料がカーボンブラック、キナクリドン系顔料、銅フタロシアニン系顔料、ニッケル錯体アゾ系顔料、イソインドリノン顔料、及び、ペリレン系顔料からなる群から選択されるいずれか1種以上を含む、上記[10]に記載の合わせガラス用中間膜。
[12]前記反射層よりも中間膜の他方の面側に配置される、1又は2以上の第2の樹脂層を備える、上記[2]~[11]のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
[13]前記第2の樹脂層が、非金属材料及び金属酸化物の少なくともいずれかを有するフィラー(A)を含む、上記[12]に記載の合わせガラス用中間膜。
[14]前記フィラー(A)が、2種類以上の金属酸化物を含む、上記[13]に記載の合わせガラス用中間膜。
[15]前記2種類以上の金属酸化物の屈折率が互いに異なる、上記[14]に記載の合わせガラス用中間膜。
[16]前記フィラー(A)が平板形状である、上記[13]~[15]のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
[17]前記フィラー(A)が多層構造を有する、上記[13]~[16]のいずれかにに記載の合わせガラス用中間膜。
[18]前記フィラー(A)のアスペクト比が1以上50以下である、上記[13]~[17]のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
[19]前記反射層よりも中間膜の一方の面側に配置される、1又は2以上の第1の樹脂層と、
前記反射層よりも中間膜の他方の面側に配置される、1又は2以上の第2の樹脂層とを備え、
前記第1の樹脂層の可視光線透過光と、前記第2の樹脂層の可視光線透過光とのL*a*b*表色系における色差△E*abが0より大きく100未満である、上記[2]~[18]のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
[20]第1の合わせガラス部材と、
第2の合わせガラス部材と、
上記[1]~[19]のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜とを備え、
前記第1の合わせガラス部材と前記第2の合わせガラス部材との間に、前記合わせガラス用中間膜が配置される、合わせガラス。
[21]一方向から入射した光に対する反射光のL*a*b*色空間と、反対方向から入射した光に対する反射光のL*a*b*色空間とにおける色差△E*abが0.5以上である、合わせガラス。
[22]第1の部材と、反射層と、第2の部材とを備え、
前記第1の部材が、第1の合わせガラス部材と、1又は2以上の第1の樹脂層とを有し、
前記第2の部材が、第2の合わせガラス部材と、1又は2以上の第2の樹脂層とを有し、
前記第1の合わせガラス部材と、前記第1の樹脂層と、前記反射層と、前記第2の樹脂層と、前記第2の合わせガラス部材とがこの順に配置されており、
前記第1の部材の色と前記第2の部材の色とが異なる、上記[20]又は[21]に記載の合わせガラス。
本発明によれば、中間膜を有する合わせガラスの一方の面からみた際の意匠と他方の面からみた意匠とを異ならせることができ、優れた意匠性を有する合わせガラス用中間膜を提供できる。
積層構造を有する平板形状のフィラー(A)を示す模式的な断面図である。 合わせガラスの一例を示す模式的な断面図である。 合わせガラスの一例を示す模式的な断面図である。 合わせガラスの一例を示す模式的な断面図である。 合わせガラスの一例を示す模式的な断面図である。 合わせガラスの一例を示す模式的な断面図である。 合わせガラスの一例を示す模式的な断面図である。 合わせガラスの一例を示す模式的な断面図である。 合わせガラスの一例を示す模式的な断面図である。 合わせガラスの一例を示す模式的な断面図である。 合わせガラスの一例を示す模式的な断面図である。 合わせガラスの一例を示す模式的な断面図である。 合わせガラスの一例を示す模式的な断面図である。 合わせガラスの一例を示す模式的な断面図である。 合わせガラスの一例を示す模式的な断面図である。 合わせガラスの一例を示す模式的な断面図である。 合わせガラスの一例を示す模式的な断面図である。 合わせガラスの一例を示す模式的な断面図である。 合わせガラスの一例を示す模式的な断面図である。
以下、本発明についてより詳細に説明する。
<合わせガラス用中間膜>
本発明の合わせガラス用中間膜(以下、単に「中間膜」ということがある)は、一方向から入射した光に対する反射光のL*a*b*色空間と、反対方向から入射した光に対する反射光のL*a*b*色空間とにおける色差△E*ab(なお、以下、△E*ab(R)ということがある)が0.5以上である。
本発明では、以上の反射光の色差△E*ab(R)が0.5以上であることで、本発明の中間膜を有する合わせガラスの一方の面からみた際の意匠と他方の面からみた意匠とを異ならせることができるので、合わせガラスに高い意匠性を付与することができる。
上記の反射光の色差△E*ab(R)は、意匠性を高める観点から、2.0以上が好ましく、15以上がより好ましく、30以上がさらに好ましい。また、上記の反射光の色差△E*ab(R)は、実現容易性の観点、及び一方の面からみた意匠と他方の面からみた意匠とが大きく異なりすぎないようにする観点から、100以下が好ましく、75以下がより好ましく、50以下がさらに好ましい。
なお、反射光の色差△E*ab(R)は、後述する通り、中間膜に反射層を設けたり、反射層に加えて、第1の樹脂層として着色層を設けたりすることでも大きくすることができる。さらに、中間膜に、第2の樹脂層として特定のフィラー(A)を有するフィラー含有層を設けることでも大きくしやすくなる。
さらには、反射光の色差△E*ab(R)は、後述する、第1の樹脂層の可視光線透過光と、第2の樹脂層の可視光線透過光との色差△E*ab(S)を大きくしたりすることでも大きくしやすくなる。
なお、本発明において、上記した反射光の色差△E*ab(R)は、中間膜を介して、2枚の基準クリアガラス板を貼り合わせて合わせガラスを作製して、その合わせガラスに対して、測定して求めた値である。具体的には、作製した合わせガラスの一方の面(すなわち、一方向)から光を入射し、その光の反射光のL*a*b*色空間と、合わせガラスの他方の面(すなわち、反対方向)から光を入射し、その光の反射光のL*a*b*色空間とを求める。そして、求められたL*、a*、b*の値により色差を算出して、上記した反射光の色差△E*ab(R)を求めることができる。
なお、基準クリアガラス板は、厚み2.5mmでJIS R 3106:1998に準拠した測定した可視光線透過率が90.5%である。また、該クリアガラス板は、JIS Z 8781-1(2012)、JIS Z 8781-2(2012)、及びJIS Z 8781-4(2013)で規定される、CIE標準イルミナントD65、及び10°視野等色関数を用いて得た、a*=-0.6、b*=0.2、ヘイズが0.2%以下である。
[反射層]
本発明における中間膜は、反射層を備えることが好ましい。反射層は、可視光を反射できる層であるとよい。反射層は、可視光を反射することで、後述する第1の樹脂層や、第2の樹脂層などと適宜併用されることで、上記した反射光の色差△E*ab(R)を一定以上にすることができる。
上記の通り、色差△E*ab(R)を一定値以上としやすくする観点から、反射層は、可視光領域における平均反射率が一定以上であることが好ましい。具体的には、反射層は、波長380~780nmの範囲における平均反射率が25.0%以上であることが好ましく、30.0%以上であることが好ましく、35.0%以上であることがさらに好ましい。
また、反射層は、中間膜に一定の透明性を確保する観点から、可視光領域における平均反射率が一定以下であることが好ましい。具体的には、反射層は、波長380~780nmの範囲における平均反射率が70.0%以下であることが好ましく、60.0%以下であることが好ましく、55.0%以下であることがさらに好ましい。
反射層は、可視光領域に加えて、赤外領域における光を反射するものであるとよいが、赤外領域における光を反射しないものであってもよい。反射層は、赤外光領域における光を反射することで中間膜の遮熱性能を向上させることができる。
反射層は、波長380~2500nmの範囲における平均反射率が15.0%以上であることが好ましく、17.0%以上であることがより好ましく、21.0%以上であることがさらに好ましく、また、55.0%以下であることが好ましく、40.0%以下であることが好ましく、30.0%以下であることがさらに好ましい。
反射層は、可視光領域における平均反射率が、赤外光領域における平均反射率よりも高いことが好ましく、具体的には、波長380~780nmの範囲における平均反射率が、波長780~2500nmの範囲における平均反射率よりも高いことが好ましい。このように可視光領域における平均反射率を高くすることで、反射層の構造を複雑にしたり、反射層を必要以上に厚くしたりすることなく、上記した反射光の色差△E*ab(R)を大きくしやすくなる。以上の観点から、波長380~780nmの範囲における平均反射率は、波長780~2500nmの範囲における平均反射率よりも高く、かつその差が好ましくは5%以上、より好ましくは12%以上、さらに好ましくは18%以上である。また、上記平均反射率の差の上限は、特に限定されないが、例えば50%、好ましくは45%、より好ましくは38%である。
具体的な波長780~2500nmの範囲における平均反射率は、0%以上であればよいが、実用性の観点、また一定の遮熱性を確保する観点から、3.0%以上が好ましく、5%以上がより好ましく、10%以上がさらに好ましい。また、反射層の構造の簡素化などの観点から40%以下であることが好ましく、30%以下であることが好ましく、20%以下であることがさらに好ましい。
また、反射層は、面内で不均一な色相を有するものであることが好ましい。反射層が、このような特徴を有することで、例えばメタリック感を出しやすくなり、意匠性をより一層高めやすくなる。なお、「面内で不均一な色相を有する」とは、反射層に対して、太陽光や疑似太陽光を照射する角度を変えることによって反射強度が異なり、色が異なるように見えることを意味する。以上の特徴を有する反射層は、例えば後述するナノ積層フィルムを使用することで実現できる。
反射層としては、特に限定されず、ナノ積層フィルム、金属薄膜をスパッタした樹脂フィルム(例えば、PETフィルムなど)の公知の反射フィルムが挙げられるが、これらの中では、ナノ積層フィルムが好ましい。ナノ積層フィルムを使用することで、後述する樹脂層Aと樹脂層Bの面内屈折率差、積層数、層厚などを適宜調整することで、所望の波長域における反射率を高めやすくなる。そのため、反射率が高くする波長域を適宜調整することで、反射光の色差△E*ab(R)も大きくしやすくなる。また、ナノ積層フィルムを使用することで、メタリック感を付与しやすくなり、意匠性を高めやすくなる。
ナノ積層フィルムは、屈折率の異なる2つの樹脂層Aと樹脂層Bとを含み、これらが30層以上積層されるとよい。樹脂層Aと樹脂層Bは、交互に積層されるとよく、樹脂層Aの1層あたりの厚みは30nm以上500nm以下であり、かつ樹脂層Bの1層あたり厚みは30nm以上500nm以下であることが好ましい。
樹脂層Aの厚みは、50nm以上500nm以下がより好ましく、100nm以上400nm以下がさらに好ましく、また、樹脂層Bの厚みは、50nm以上500nm以下がより好ましく、100nm以上400nm以下がさらに好ましい。
また、ナノ積層フィルムの総積層数は、上記の通り30層以上であればよいが、50層以上であることが好ましく、200層以上であることがより好ましく、400層以上であることがさらに好ましく、600層以上であることが特に好ましい。総積層数を多くすることで、可視光領域の反射率を容易に高くすることが可能となり、また、高輝度のメタリック感を付与しやすくなる。総積層数は、上限に関しては特に限定されないが、製造装置の大型化を防ぎ、かつ積層精度が低下して波長選択性が低下することを防止するために、1500層以下であることが好ましい。
ナノ積層フィルムにおいて、樹脂層Aの屈折率は、樹脂層Bの屈折率よりも相対的に高いものであるとよく、また、樹脂層Aの屈折率と樹脂層Bの屈折率との差は、0.01以上であることが好ましい。上記屈折率差を0.01以上とすることで、十分な反射率が得られやすくなる。また、樹脂層Aの屈折率と樹脂層Bの屈折率との差は、0.15以下であることが好ましい。なお、ここでいう屈折率は、面内平均屈折率であり、フィルムの面方向に平行な方向の屈折率の平均値であり、例えば、互いに垂直な2方向の平均値(フィルムのMDとTDが分かっている場合には、MDとTDの屈折率の平均値)により求めることができる。
また、樹脂層Aの上記面内平均屈折率と厚み方向屈折率の差が0.01以上であり、かつ樹脂層Bの上記面内平均屈折率と厚み方向屈折率差が0.01以下であることが好ましい。これによって、入射角が大きくなっても、反射帯域の反射率低下が起きにくいためより好ましい。
樹脂層Aを構成する樹脂aと樹脂層Bを構成する樹脂bは、それぞれ同一の基本骨格を含む樹脂であることが好ましい。ここで基本骨格とは、樹脂aおよび樹脂bを構成する繰り返し単位のことであり、例えば、一方の樹脂がポリエチレンテレフタレートの場合は、エチレンテレフタレートが基本骨格である。また別の例としては、一方の樹脂がポリエチレンの場合、エチレンが基本骨格である。樹脂aと樹脂bが同一の基本骨格を含む樹脂であると、さらに層間での剥離が生じにくくなるので好ましい。
樹脂aと樹脂bの好ましい組み合わせとしては、樹脂aと樹脂bのガラス転移温度差が20℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度差が20℃以下であることでナノ積層フィルムを製膜する際の厚み均一性が良好となり、色むらなどの外観不良が生じにくくなる。また、ナノ積層フィルムを成形する際の過延伸などが発生することも防止できる。
ナノ積層フィルムを構成する樹脂としては、ポリエスル樹脂が好ましく、したがって、樹脂aと樹脂bは、いずれもポリエステル樹脂であることが好ましい。また、ナノ積層フィルムを構成する樹脂としては、少なくともポリエチレンテレフタレートを使用することがより好ましい。したがって、樹脂aと、樹脂bは、エチレンテレフタレートを基本骨格として含むことがより好ましい。また、樹脂aがポリエチレンテレフタレートであり、樹脂bがスピログリコール、シクロヘキサンジメタノール、及びシクロヘキサンジカルボン酸を共重合したポリエステルの少なくともいずれかを共重合したポリエステルであることが好ましい。
樹脂aと樹脂bの組み合わせの好ましい例として、例えば、樹脂aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであり、樹脂bがスピログリコールを含んでなるポリエステルである組み合わせが挙げられる。ここで、スピログリコールを含んでなるポリエステルとは、スピログリコールを共重合したポリエステル、または、他のホモポリエステルにこれをブレンドしたポリエステルのことを言う。スピログリコールを含んでなるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、成形時に過延伸になりにくく、かつ層間剥離も生じにくくなる。
樹脂aと樹脂bの組み合わせのさらに好ましい例として、樹脂aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであり、樹脂bがスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を含んでなるポリエステルである組み合わせが挙げられる。ここで、スピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を含んでなるポリエステルとは、スピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸(またはシクロヘキサンジカルボン酸のエステル誘導体)を共重合したポリエステル、または、他のホモポリエステルにこれをブレンドしたポリエステルのことを言う。樹脂bがスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を含んでなるポリエステルであると、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとの面内屈折率差が大きくなるため、高い反射率が得られやすくなる。また、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、成形時に過延伸になりにくく、かつ層間剥離も生じにくくなる。
樹脂aと樹脂bの組み合わせの他の好ましい例として、樹脂aがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであり、樹脂bがシクロヘキサンジメタノールを含んでなるポリエステルである組み合わせが挙げられる。ここで、シクロヘキサンジメタノールを含んでなるポリエステルとは、シクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステル、または、他のホモポリエステルにこれをブレンドしたポリエステルのことを言う。シクロヘキサンジメタノールを含んでなるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、成形時に過延伸になりにくく、かつ層間剥離も生じにくくなる。
より好ましくは、樹脂bがシクロヘキサンジメタノールの共重合量が15mol%以上60mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体である。このようにすることにより、高い反射性能を有しながら、特に加熱や経時による光学的特性の変化が小さく、層間での剥離も生じにくくなる。シクロヘキサンジメタノールの共重合量が15mol%以上60mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体は、ポリエチレンテレフタレートと非常に強く接着する。また、そのシクロヘキサンジメタノール基は幾何異性体としてシス体あるいはトランス体があり、また配座異性体としてイス型あるいはボート型もあるので、ポリエチレンテレフタレートと共延伸しても配向結晶化しにくく、高反射率で、熱履歴による光学特性の変化もさらに少なく、かつ製膜時の破損も起こりにくくなる。
本発明におけるナノ積層フィルムは、樹脂層Aと樹脂層Bとを厚み方向に交互に積層した構造をとるが、この交互積層構造の中には、樹脂層Aと樹脂層B以外の第3の層(樹脂層C)が含まれていてもよい。例えば、A(BCA)n、A(BCBA)n、A(BABCBA)nなどの規則的順列の積層構造が挙げられる。ここでnは繰り返しの単位数であり、例えばA(BCA)nにおいてn=3の場合、厚み方向にABCABCABCAの順列で積層されているものを表す。
上述したナノ積層フィルムの製造方法は、例えば、特開2004-249587号公報、特開2005-59332号公報、特開2007-301982号公報、特開2009-78421号公報、特開2010-184493号公報、特開2015-110276号公報等に記載されており、これらの特許公報を参照して製造することができる。
また、本発明に用いられるナノ積層フィルムは、一般に市販されており入手することができる。例えば、東レ社製の「ピカサス(PICASUS)」(登録商標)、帝人デュポンフィルム社製の商品名「MLFフィルム」シリーズなどが挙げられる。
反射層の厚みは、例えば20μm以上300μm以下であるが、30μm以上250μm以下が好ましく、50μm以上200μm以下がより好ましい。反射層は、20μm以上とすることで、可視光を十分に反射して、上記した反射光の色差△E*ab(R)を大きくしやすくなる。また、300μm以下とすることで、反射層が必要以上の厚くなることを防止して、中間膜を適切な厚みに調整できる。
[第1の樹脂層]
本発明の中間膜は、反射層に加えて、1又は2以上の第1の樹脂層を備えることが好ましい。第1の樹脂層は、中間膜において反射層よりも、中間膜の一方の面側に配置される樹脂層である。第1の樹脂層は、単層であってもよいし、複数層あってもよい。
なお、以下の説明では、中間膜の一方の面(すなわち、第1の樹脂層側の面)が、合わせガラスとして使用される際、屋内側(すなわち、自動車では車内側)の面になるものとして説明する。したがって、中間膜の他方の面(すなわち、後述する第2の樹脂層が設けられる場合には、第2の樹脂層側の面)は、合わせガラスとして使用される際、屋外側(すなわち、自動車では車外側)の面となる。
(着色層)
第1の樹脂層は、着色剤を含有する着色層を含むことが好ましい。したがって、第1の樹脂層が、単層の場合には、その1層の樹脂層が着色層であればよいし、第1の樹脂層が複数層ある場合には、複数の第1の樹脂層のうち、少なくとも1層が着色層であるとよい。第1の樹脂層において、着色剤は、第1の樹脂層を構成する樹脂に分散していればよい。
第1の樹脂層は、着色層を有することで、中間膜を所望の色に着色して、より高い意匠性を付与しやすくなる。さらに、着色剤によって太陽光の一部を吸収することが可能になるので、遮熱性も向上しやすくなる。
また、第1の樹脂層が着色層を有することで、入射された光や反射層によって反射された光が着色層で吸収されるため、中間膜の一方の面側から入射された光やその反射光のL*、a*、b*が十分に変化して、上記した反射光の色差△E*ab(R)が大きくなりやすくなる。したがって、中間膜を例えば、他方の面側から見る場合と、一方の面側から見る場合では色相が変わりやすく、例えば、他方の面側から見るとメタリック感が強い一方で、一方の面側から見ると、メタリック感を抑えたりすることも可能となり、意匠性をより一層高くしやすくなる。なお、上記の通り、他方の面側から見るとメタリック感が強く、一方の面側から見るとメタリック感が弱い外観であると、他方の面(すなわち、屋外)から見た際には、インパクトのある外観にできる一方で、一方の面(すなわち、屋内)から見た際には落ち着いた印象の内装にすることができ、それにより、意匠性を高めることができる。
着色剤としては、従来の合わせガラス用中間膜に配合される顔料、染料を用いることができる。また、着色剤は、少ない配合量で効果的に中間膜を着色できる観点から、顔料が好適である。
顔料としては、例えば、銅フタロシアニン系顔料などのフタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、キナクリドン系顔料、酸化チタン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、チオインジゴ系顔料、Ni錯体系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、キノフタロン系顔料、スレン系顔料、ジオキサジン系顔料、ピロコリン系顔料、炭酸カルシウム等並びにこれらの誘導体が挙げられる。
着色層において、着色剤は、1種が単独で使用されてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上記した中では耐久性や膜との相性の観点から、カーボンブラック、キナクリドン系顔料、銅フタロシアニン系顔料、コバルトフタロシアニン系顔料、ニッケル錯体アゾ系顔料、イソインドリノン顔料、アントラキノン(アンスラキノン)系顔料、チオインジゴ系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、スレン系顔料、酸化チタン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、及び、ペリレン系顔料からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、カーボンブラック、キナクリドン系顔料、銅フタロシアニン系顔料、ニッケル錯体アゾ系顔料、イソインドリノン顔料、及び、ペリレン系顔料からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、中でも、着色剤にはカーボンブラックが含まれることが特に好ましい。カーボンブラックを使用することで、落ち着いた色調にすることができ、高級感などを付与しやすくなり、意匠性をより一層高めることができる。また、着色剤としてカーボンブラックを使用する場合、意匠性をより高める観点から、カーボンブラックと、カーボンブラック以外の着色剤を併用することも好ましく、カーボンブラック以外の着色剤としては、上記したカーボンブラック以外の着色剤を適宜適宜選択して使用するとよい。より具体的にはアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料の内のいずれかを併用することも好ましい。
着色層における着色剤の含有率は、0.0001質量%以上0.3質量%以下であることが好ましい。含有率を0.0001質量%以上とすると、透過光や反射層によって反射された光が着色剤によって十分に吸収され、合わせガラスの一方の面からみた際の意匠と他方の面からみた意匠とを十分に異ならせることができ、意匠性が高められる。また、適度な着色性も発現できる。また、0.3質量%以下とすることで、着色剤によって光が必要以上に吸収されることを防止して、合わせガラスの透明性を確保しやすくなる。これら観点から、着色層における着色剤の含有率は、0.001質量%以上がより好ましく、0.003質量%以上がさらに好ましく、0.05質量%以上がよりさらに好ましく、また、0.2質量%以下がより好ましく、0.15質量%以下がさらに好ましく、0.12質量%以下がよりさらに好ましい。
なお、着色層は、上記した着色剤に加えて、遮熱材料を含有していてもよい。すなわち、着色層は、後述する遮熱層の機能を有してもよい。着色層において使用される遮熱材料は、後述する遮熱層において説明する通りであり、また、その含有率も、遮熱層で説明する通りであるので、その説明は省略する。
(遮熱層)
第1の樹脂層は、遮熱材料を含有する遮熱層を含んでいてもよい。第1の樹脂層が、遮熱層を有することで、車内や屋内が暑くなることを適切に防止することができる。また、入射された光や反射層によって反射された光が遮熱層で一定量吸収されるので、上記した反射光の色差△E*ab(R)が大きくなりやすく、他方の面側から見る場合と、一方の面側から見る場合に意匠を変化させることも可能になる。遮熱材料は、遮熱層を構成する樹脂に分散していればよい。
遮熱層は、典型的には、波長が780nm以上の赤外線、すなわち熱線を吸収することができる材料である。遮熱材料は、無機材料からなり、典型的には遮熱粒子が使用され、その具体例としては、金属酸化物粒子、六ホウ化ランタン(LaB6)粒子等の金属酸化物粒子以外の粒子が挙げられる。金属酸化物粒子としては、アルミニウムドープ酸化錫粒子、インジウムドープ酸化錫粒子、アンチモンドープ酸化錫粒子(ATO粒子)などの酸化錫粒子、ガリウムドープ酸化亜鉛粒子(GZO粒子)、インジウムドープ酸化亜鉛粒子(IZO粒子)、アルミニウムドープ酸化亜鉛粒子(AZO粒子)、錫ドープ酸化亜鉛粒子及び珪素ドープ酸化亜鉛粒子などの酸化亜鉛粒子、ニオブドープ酸化チタン粒子などの酸化チタン粒子、錫ドープ酸化インジウム粒子(ITO粒子)などの酸化インジウム粒子、ナトリウムドープ酸化タングステン粒子、セシウムドープ酸化タングステン粒子(CWO粒子)、タリウムドープ酸化タングステン粒子、ルビジウムドープ酸化タングステン粒子などの酸化タングステン粒子が挙げられる。また、これら以外の遮熱材料を用いてもよい。遮熱材料は、一種単独で使用しても良いし、2種以上を併用してもよい。
これらの中では、熱線の遮蔽機能が高いため、金属酸化物粒子が好ましく、ATO粒子、GZO粒子、ITO粒子及びCWO粒子から選択される少なくとも1種を使用することがより好ましく、ITO粒子又はCWO粒子を使用することがさらに好ましく、ITO粒子を使用することが好ましい。
遮熱層における遮熱材料の含有率は、特に限定されないが、遮熱層全量基準で、例えば0.01質量%以上3質量%以下、好ましくは0.05質量%以上1質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以上0.5質量%以下である。遮熱材料の含有率を上記下限値以上とすることで、車内や屋内が暑くなることを適切に防止することができる。また、上記した反射光の色差△E*ab(R)などを大きくしやすくなる。また、上記上限値以下とすることで、遮熱層によって中間膜の透明性が必要以上に損なわれることが防止できる。
(フィラー含有層)
また、第1の樹脂層は、後述するフィラー(A)を含有するフィラー含有層を有してもよい。第1の樹脂層がフィラー含有層を有すると、中間膜にメタリック感を出しやすくなる。フィラー含有層において使用されるフィラー(A)は、後述する第2の樹脂層において説明する通りであり、また、その含有率も、後述する通りであるので、その説明は省略する。
(クリア層)
第1の樹脂層は、上記した着色剤、遮熱剤、及びフィラー(A)を実質的に含有しない層を有してもよい。着色剤、遮熱剤、フィラー(A)を実質的に含有しない層は、一般的に透過率が高く、本明細書では、クリア層とも呼ぶ。
なお、着色剤、遮熱剤、及びフィラー(A)を実質的に含有しないとは、第1の樹脂層に着色剤、遮熱剤、フィラー(A)が意図して配合しないことを意味し、第1の樹脂層における具体的な着色剤、遮熱剤、フィラー(A)の含有率は、合計で例えば0.0001質量%未満であり、好ましくは0.00001質量%未満であり、最も好ましくは0質量%である。
第1の樹脂層は、1層から構成されてもよいが、2層以上で構成されてもよく、したがって、中間膜には、反射層よりも、一方の面側に単層の樹脂層が配置されてもよいし、2以上の樹脂層が配置されていてもよい。
各第1の樹脂層は、上記の通り、着色層、遮熱層、フィラー含有層、及びクリア層のいずれであるとよく、第1の樹脂層が単層の場合には、その単層の第1の樹脂層が、着色層、遮熱層、フィラー含有層、又はクリア層のいずれかであるとよい。
また、第1の樹脂層が、複数層からなる場合には、上記のうち少なくとも1つを有ればよく、同じ種類の層を2以上有していてもよい。例えば、2以上の第1の樹脂層において、着色層が2層又はそれ以上設けられてもよいし、遮熱層が2層又はそれ以上設けられてもよいし、フィラー含有層が2層又はそれ以上設けられてもよいし、クリア層が2層又はそれ以上設けられてもよい。
また、第1の樹脂層が、複数の場合には、上記のうち2種の層が設けられてもよく、例えば、着色層と、クリア層が設けられてもよいし、着色層と遮熱層が設けられてもよいし、着色層とフィラー含有層が設けられてもよい。
第1の樹脂層は、上記の中では、クリア層、着色層又は遮熱層を少なくとも有することが好ましく、中でも着色層又は遮熱層を少なくとも有することがより好ましく、特に着色層を少なくとも有することがより好ましい。第1の樹脂層は、遮熱層又は着色層、特に着色層を有することで、上記したとおり、反射光の色差△E*ab(R)が大きくなりやすくなり、他方の面側から見る場合と、一方の面側から見る場合とで色相や意匠が変わりやすくなり、意匠性を向上させやすくなる。
また、第1の樹脂層が、複数である場合には、着色層又は遮熱層に加えてクリア層を有する態様も好ましく、中でも着色層に加えてクリア層を有する態様がより好ましい。
[第2の樹脂層]
本発明の中間膜は、反射層に加えて、1又は2以上の第2の樹脂層を備えることが好ましい。第2の樹脂層は、中間膜において反射層よりも、中間膜の他方の面側に配置される樹脂層である。第2の樹脂層は、単層であってもよいし、複数層あってもよい。
したがって、中間膜は、反射層よりも一方の面側に配置される1又は2以上の第1の樹脂層を有し、かつ反射層よりも他方の面側に配置される1又は2以上の2の樹脂層を有することがより好ましい。
(フィラー含有層)
第2の樹脂層は、フィラー(A)を含有する層(本明細書において、「フィラー含有層」ということがある)を有することが好ましい。したがって、第2の樹脂層が、単層の場合には、その1層の樹脂層がフィラー含有層であればよいし、第2の樹脂層が複数層ある場合には、複数の第2の樹脂層のうち、少なくとも1層がフィラー含有層であるとよい。フィラー含有層において、フィラー(A)は、フィラー含有層を構成する樹脂に分散していればよい。
フィラー(A)は、金属、金属酸化物、及び非金属材料のいずれかを有するフィラーである。フィラー(A)は、可視光反射性能を有するものである。フィラー(A)は、金属酸化物、及び非金属材料の少なくともいずれかを有することが好ましく、金属酸化物を有することがより好ましい。フィラー(A)は、特定の材料により形成され、かつ可視光反射性能を有することで、メタリック感を出しやすくなる。
本発明では、第2の樹脂層が、フィラー含有層を有することで、中間膜にメタリック感を出しやすくなり、特に他方の面側(すなわち、屋外側)から見たときにメタリック感を出しやすくなる。また、他方の面側から入射した光をより一層反射させやすくなり、反射光の色差△E*ab(R)を大きくしやすくなる。そのため、中間膜を例えば、他方の面側から見るのと、一方の面側から見るのとでは意匠を大きく異ならせることができ、他方の面側から見るとメタリック感が強くなる一方で、一方の面側から見ると、メタリック感を抑えた印象を与えることが可能になる。これにより、他方の面側(すなわち、屋外側)から見た際には、インパクトのある外観にできる一方で、一方の面側(すなわち、屋内側)から見た際には落ち着いた印象の内装にすることができ、意匠性をより一層高めることができる。
フィラー(A)における金属としては、アルミニウム、銀、銅、白金、金、チタン、ニッケル、スズ、スズ-コバルト合金、インジウム、クロムなどが挙げられる。金属酸化物としては、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化インジウム、酸化ニオブ、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化アルミニウムなどの金属酸化物などが挙げられる。また、非金属材料としては、金属、金属酸化物以外の無機化合物が挙げられ、具体的には、ガラス、マイカなどが挙げられる。
金属酸化物を含むフィラー(A)は、各粒子において2種以上の化合物を含有するフィラーが好ましく、各粒子において金属酸化物を2種以上含むフィラーや、各粒子において金属酸化物と、マイカやガラスなどの非金属材料を含むフィラーが好ましい。この際、非金属材料はガラスが好ましい。
また、2種以上の化合物を含有するフィラーは、多層構造を有することが好ましく、具体的には、2種以上の金属酸化物の多層構造を有するフィラー、金属酸化物とマイカの多層構造を有するフィラー、金属酸化物とガラスの多層構造を有するフィラーが挙げられる。第1の樹脂層は、フィラー(A)が上記の多層構造を有することで、メタリック感が出やすくなる。また、中間膜に対する光の入射角の変化に伴い、透過光や反射光の色相も変化させることができるので、見る角度によって色が異なるカラートラベルを生じさせ、中間膜の意匠性を優れたものにできる。
フィラー(A)は、2種以上の金属酸化物の多層構造を有することで、透過光や反射光に対してメタリック感を付与しやすくなる。また、反射光に彩色を付しやすい一方で、中間膜を透過する透過光に対しては、色目が付きにくく、無彩色に近い光にすることもできる。
また、フィラー(A)は、金属酸化物とガラスの多層構造を有することで、ヘイズを低くでき、合わせガラス用中間膜の透明性を確保しやすくなる。さらに、フィラー(A)からの反射などを光沢感のある粒模様として視認することができ、合わせガラス用中間膜に特異な意匠性を持たせることができる。
さらに、フィラー(A)は、金属酸化物とマイカの多層構造を有することで、中間膜の白色度を高くでき、また、光沢感なども持たせることができるようになる。
金属酸化物の多層構造において、2種以上の金属酸化物は、互いに屈折率が異なるとよい。互いに屈折率が異なる金属酸化物により、屈折率が異なる層が形成されることで、層間で反射して適度なメタリック感を確保しやすくなる。また、金属酸化物の多層構造を有するフィラーにおいて、互いに屈折率が異なる金属酸化物により形成される層は、隣接しているとよい。
互いに屈折率が異なる金属酸化物の屈折率差は、透明性及びメタリック感をより良好にする観点から、0.1以上1.2以下であることが好ましい。上記屈折率差は、0.3以上1.1以下であることがより好ましく、0.6以上1.05以下であることがさらに好ましい。
2種以上の金属酸化物の多層構造を有するフィラー(A)において、互いに異なる金属酸化物により形成された層間の厚み比は、1:2~1:15であることが好ましい。フィラー(A)は、このような厚み比を有することで、メタリック感を得やすくなる。上記厚み比は、1:3~1:13であることがより好ましく、1:4~1:11であることがさらに好ましい。また、フィラー(A)は、厚み比を制御することによって、反射光の色味を変化させることもできる。
なお厚み比は、任意の50個の粒子について、走査電子顕微鏡(SEM)などで観察して測定した値の平均値である。
2種以上の金属酸化物はそれぞれ、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化インジウム、酸化ニオブ、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化アルミニウム、酸化鉄からなる群から選ばれるとよく、これら中でも酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウムが好ましい。酸化チタンは、二酸化チタン(TiO)であり、ルチル型でもよいし、アナターゼ型でもよいし、ブルッカイト型でもよい。酸化ケイ素は、二酸化ケイ素(SiO)である。酸化アルミニウムは、アルミナ(Al)であるとよい。
フィラー(A)は、酸化チタン及び酸化ケイ素の両方を含有することがより好ましく、酸化チタン層と酸化ケイ素層の多層構造であることがさらに好ましい。
また、フィラー(A)は、酸化チタンと酸化アルミニウムの両方を含有することも好ましく、酸化チタン層と酸化アルミニウム層の多層構造であることも好ましい。
フィラー(A)は、上記の通り2種以上の金属酸化物から形成された、多層構造を有する金属酸化物粒子であることが好ましく、少なくとも1種の金属酸化物からなる金属酸化物粒子(後述する中層)が異なる種類の少なくとも1種の金属酸化物によって被覆された粒子であることが好ましい。
金属酸化物とガラスの多層構造を有するフィラー(A)は、ガラスと、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化インジウム、酸化ニオブ、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化アルミニウム、酸化鉄からなる群から選ばれる金属酸化物から形成されるとよい。金属酸化物は、これら中でも酸化チタン、酸化ケイ素、又はこれらの両方が好ましい。
金属酸化物とガラスの多層構造を有するフィラー(A)は、ガラス層と、金属酸化物層の多層構造であることがさらに好ましく、中でもガラス層を構成する中層が、金属酸化物(好ましくは酸化チタン、酸化ケイ素、又はこれらの両方)によって被覆された粒子であることが好ましい。
金属酸化物とマイカの多層構造を有するフィラー(A)は、マイカと、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化インジウム、酸化ニオブ、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化アルミニウム、酸化鉄からなる群から選ばれる金属酸化物から形成されるとよく、金属酸化物は、これら中でも酸化チタンが好ましい。金属酸化物とマイカの多層構造を有するフィラー(A)は、マイカ層と、金属酸化物層の多層構造であることがさらに好ましく、中でもマイカ層を構成する中層が、金属酸化物(好ましくは酸化チタン)によって被覆された粒子であることが好ましい。
フィラー(A)の形状は、球状、四角柱状などの多角形状、三角錐形状、四角錐形状などの多角錐形状、円柱状、円錐状、不定形、針状、繊維状、平板形状などのいずれの形状であってもよいが、平板形状であることが好ましい。フィラー(A)は、平板形状であることで、カラートラベルを生じさせ、中間膜に対する光の入射角の変化に伴い、透過光や反射光の色相を変化させることができる。
フィラー(A)は、平板形状であることで、後述する通りに中間膜の面方向に沿って配向させることで、入射された可視光線を一定量反射させつつ、中間膜の透明性を高めやすくなる。また、規則的に反射されることで、光散乱が生じにくくなり、合わせガラスのヘイズを低くしやすくなる。
平板形状のフィラー(A)は、上記した多層構造を有する場合、厚さ方向に沿って複数層設けられることが好ましく、厚さ方向に沿って好ましくは2~5層、より好ましくは2~4層、更に好ましくは3層設けられる。
3層構造の平板形状のフィラー(A)の具体例を図1に示す。フィラー(A)が、3層構造の場合、図1に示すとおり、中層100と、中層100の両面に設けられる被覆層111、112とを備えるとよい。図1に示すフィラーは、金属酸化物の多層構造を有するとよく、各被覆層111、112を形成する金属酸化物は、中層100を形成する金属酸化物と異なるとよい。被覆層111、112を形成する金属酸化物は、互いに同一であることが好ましい。
各被覆層111、112を形成する金属酸化物の屈折率は、中層100の屈折率よりも高いことが好ましい。被覆層111、112の屈折率を相対的に高くすることで、適度に反射しつつ、光が透過して、中間膜の透明性とメタリック感の両方を良好にしやすくなる。また、3層構造で、かつ被覆層111、112の金属酸化物の屈折率が、中層100の屈折率より高いことで、両表面のいずれから光が入射されても適度に反射するので、より効果的に透明性を確保しつつメタリック感を出すことができる。なお、被覆層111、112と中層100の屈折率の差の好適値は、上記の通りである。
また、被覆層111、112のそれぞれ厚みは、中層100の厚みよりも小さいことが好ましい。具体的な厚み比(各被覆層:中層)の好適値は、層間の厚み比で示した通りである。
金属酸化物の多層構造を有する平板形状のフィラー(A)において、被覆層111、112は、いずれも酸化チタン層であり、中層100は、酸化ケイ素層又は酸化アルミニウム層であることが好ましく、中でも中層100が酸化ケイ素層であることが特に好ましい。なお、平板形状のフィラー(A)は、上記3層構造を有するものに限定されず、2層構造であってもよく、その場合、被覆層111、112の一方が省略されてもよい。また、4層以上の多層構造であってもよい。
また、ガラスと金属酸化物の多層構造のフィラーは、中層を構成するガラス層と、ガラス層の両面に設けられ、被覆層を構成する金属酸化物層から構成されるとよい。金属酸化物層における金属酸化物は、上記金属酸化物から選択される少なくとも1種であるとよいが、酸化チタン、酸化ケイ素が好ましい。酸化チタン及び酸化ケイ素は、こちらのうち1種を単独で使用してもよいし、これら2種(酸化チタン及び酸化ケイ素)を併用してもよい。ここで、各被覆層において、金属酸化物層は、1層であってもいし、2層であってもよい。すなわち、ガラスと金属酸化物の多層構造のフィラーは、金属酸化物層、中層、及び金属酸化物層の3層構造となってもよいが、上記した各金属酸化物層が2層構造となり、金属酸化物層、金属酸化物層、中層、金属酸化物層、及び金属酸化物の5層構造を有してもよい。5層構造においては、外側の金属酸化物層を構成する金属酸化物が、酸化チタンであり、内側の金属酸化物層を構成する金属酸化物が、酸化ケイ素であることが好ましい。
また、中層がガラス層から構成される多層構造のフィラーにおいて、ガラス層の両面それぞれに設けられる金属酸化物層は2層構造に限定されず、3層以上となっていてもよく、したがって、中層がガラス層から構成される多層構造のフィラーは、ガラス層の両面に単層又は多層の金属酸化物層が設けられた構造であれば特に限定されない。
金属酸化物層を有するフィラーは、マイカ層と金属酸化物層を有するフィラーであってもよい。具体的には、マイカ層が中層を構成し、金属酸化物層が被覆層を構成するとよく、被覆層は酸化チタン層であることが好ましい。
上記の通り、フィラー(A)は、中層と、金属酸化物により形成される被覆層を有するフィラーであることが好ましいが、この場合、被覆層は、中層表面全体を被覆してもよいが、中層表面の一部を被覆していてもよい。中層表面の一部を被覆することで、フィラー(A)による反射が不均一となる。そのため、合わせガラスにおける反射光や透過光が、例えばまだら状となって特異な意匠性を持たせることができる。
中層表面の一部を被覆する場合、被覆層による中層の被覆率は、例えば30%以上99%以下、好ましくは40%以上90%以下、さらに好ましくは50%以上80%以下である。中層表面の一部を被覆する場合、中層の被覆層によって被覆されない部分は、連続的に設けられてもよいし、斑点状に形成されるなどにより不連続に設けられてもよい。
フィラー(A)の平均粒径(D50)は、1μm以上100μm以下であることが好ましい。平均粒径を上記範囲内とすることで、中間膜に対する光の入射角などの変化に伴い、透過光や反射光の色相も変化させやすくなり、カラートラベルが生じやすくなる。カラートラベルを生じさせる観点から、フィラー(A)の平均粒径は、3μm以上90μm以下であることがより好ましく、5μm以上80μm以下であることがさらに好ましい。
なお、平均粒径(D50)は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定した値であり、累積体積が50%であるときの値(D50)を平均粒径とする。
また、金属酸化物の多層構造を有するフィラー(A)の平均粒径は、透明性とメタリック感の両立を達成させつつ、中間膜における光散乱を抑制しやすくなる観点から、1μm以上20μm以下であることが好ましく、3μm以上18μm以下であることが好ましく、5μm以上16μm以下であることがより好ましい。
一方で、金属酸化物とガラスの多層構造を有するフィラー(A)の平均粒径は、フィラーからの反射光などにより光沢感のある粒模様などを視認させることができ、合わせガラス用中間膜に特異な意匠性を持たせる観点から、一定値以上の大きさであることが好ましく、具体的には、5μm以上100μm以下が好ましく、10μm以上90μm以下がより好ましく、15μm以上80μm以下であることがさらに好ましい。
フィラー(A)の厚みは、透明性を確保しやすく、かつカラートラベルを生じさせやすくする観点から、好ましくは0.01μm以上4μm以下、より好ましくは0.1μm以上3.5μm以下、さらに好ましくは0.2μm以上3μm以下である。また、上記厚み範囲を有する金属酸化物の多層構造を有するフィラー(A)は、メタリック感を出しやすくなる。フィラー(A)の厚みは、任意の50個の粒子について、走査電子顕微鏡(SEM)などで観察して測定した値の平均値である。フィラー(A)は、フィラーの長手方向に対して垂直な方向の長さのうちその最大値が最も短くなる方向の長さを厚みとするとよく、平板形状のフィラー(A)の厚みは、図1においては、上下方向の長さである。
フィラー(A)のアスペクト比は、好ましくは1以上であり、より好ましくは1.1以上、さらに好ましくは1.2以上であり、また、好ましくは50以下であり、より好ましくは30以下であり、さらに好ましくは15以下、よりさらに好ましくは10以下である。上記アスペクト比とすると、カラートラベルを生じさせやすくなる。また、後述する通りにフィラー(A)を中間膜の面方向に沿って配向させることで、入射された可視光線を一定量反射させつつ、中間膜の透明性を高めやすくなる。また、アスペクト比を50以下とすることで、フィラー(A)の平均粒径(D50)が必要以上に大きくなることを防止できる。なお、フィラー(A)のアスペクト比とは、走査電子顕微鏡により観察されたフィラー(A)の短軸の長さに対する長軸の長さの比である。なお、長軸及び短軸とは、厚み方向に沿って平面視したフィラー(A)における長軸及び短軸であり、平板形状のフィラーでは、その面方向における、長手方向及びその垂直方向を意味する。
フィラー(A)は、平板形状を有する場合などのように配向可能な異方性を有する場合、その長手方向が中間膜の面方向に沿うように配向することが好ましい。また、平板形状を有する場合、フィラー(A)の面方向が、中間膜の面方向に沿うように配向することが好ましい。すなわち、平板形状のフィラー(A)は、フィラー(A)の厚み方向が中間膜の厚み方向に沿うように配向することが好ましい。以上の配向を有するフィラー(A)は、中間膜中を厚み方向に沿って進行する光を適切に反射しつつ一部を透過させ、また、フィラー(A)で生じる光散乱も抑制することができる。そのため、ヘイズを低くして透明性を向上させやすくなる。
第1の樹脂層において、フィラー(A)は1種単独で使用されてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
フィラー(A)の製造方法は、特に限定されず、例えば、多層構造を有するフィラー(A)は、金属酸化物から形成される粒子に、別の金属酸化物を被覆したり、マイカ又はガラスから形成される粒子に、金属酸化物を被覆したりして製造するとよい。また、金属酸化物から形成されるシートに別の金属酸化物を被覆した後に、破砕などして平板形状のフィラー(A)としてもよい。フィラー(A)は市販品を使用してもよい。
フィラー含有層におけるフィラー(A)の含有率は、0.01質量%以上0.5質量%以下であることが好ましい。含有率を0.01質量%以上とすると、色差△E*ab(R)を比較的大きくしやすくなり、また、メタリック感を出したり、カラートラベルを生じさせやすくしたりして、意匠性を高めやすくなる。また、0.5質量%以下とすることで、第1の樹脂層で光が必要以上に反射されることを防止して、ヘイズを低くし、かつ合わせガラスの透視性を確保しやすくなる。これら観点から、フィラー(A)の含有率は、0.02質量%以上がより好ましく、0.04質量%以上がさらに好ましく、0.08質量%以上がよりさらに好ましく、また、0.4質量%以下がより好ましく、0.3質量%以下がさらに好ましく、0.2質量%以下がよりさらに好ましい。
フィラー含有層は、着色剤をさらに含有して着色層の機能を有してもよい。フィラー含有層が着色剤を含有することで、中間膜の意匠性をより高めやすくなる。着色剤の詳細は、上記した第1の樹脂層で述べたとおりである。
ただし、第2の樹脂層に使用されるフィラー含有層は、着色剤を実質的に含有しないほうが好ましい。着色剤を実質的に含有しないことで、フィラー含有層の透過光がフィラー(A)の色相を反映させたものとなりやすくなる。また、フィラー(A)の反射が着色剤により遮られにくくなり、カラートラベルが生じやすくなる。なお、着色剤を実質的に含有しないとは、フィラー含有層に着色剤が意図して配合しないことを意味し、フィラー含有層における具体的な着色剤の含有率は、フィラー含有層全量基準で、例えば0.0001質量%未満であり、好ましくは0.00001質量%未満であり、最も好ましくは0質量%である。
一方で、フィラー含有層が着色剤を含有する場合、その着色剤の詳細は、上記の第1の樹脂層において説明した通りであり、着色剤の含有率も、上記した通りであり、その説明は省略する。
第2の樹脂層は、着色剤を有する着色層を有してもよい。第2の樹脂層が着色層を有することで中間膜の意匠性を高めやすくなる。第2の樹脂層における着色層に使用される着色剤の詳細は、上記の第1の樹脂層において説明した通りである。また、第2の樹脂層の着色層における着色剤の含有率も、上記した通りであり、その説明は省略する。
第2の樹脂層は、遮熱材料を有する遮熱層を有してもよい。第2の樹脂層が、遮熱層を有することで、車内や屋内が暑くなることを適切に防止することができる。第2の樹脂層における遮熱層に使用される遮熱材料の詳細は、上記の通りである。また、第2の樹脂層における遮熱材料の含有率も、上記した通りであり、その説明は省略する。
また、第2の樹脂層は、上記した着色剤、遮熱剤、及びフィラー(A)を実質的に含有しない層(クリア層)を有してもよい。クリア層の詳細は、上記第1の樹脂層で説明したとおりであり、その詳細は省略する。
第2の樹脂層は、1層から構成されてもよいが、2層以上で構成されてもよく、したがって、中間膜には、反射層よりも、他方の面側に単層の樹脂層が配置されてもよいし、2以上の樹脂層が配置されていてもよい。
各第2の樹脂層は、上記の通り、着色層、遮熱層、フィラー含有層、及びクリア層のいずれであるとよく、第2の樹脂層が単層の場合には、その単層の第2の樹脂層が、着色層、遮熱層、フィラー含有層、又はクリア層のいずれかであるとよい。
また、第2の樹脂層が、複数層からなる場合には、上記のうち少なくとも1つを有ればよく、同じ種類の層を2以上有していてもよい。例えば、2以上の第2の樹脂層において、着色層が2層又はそれ以上設けられてもよいし、遮熱層が2層又はそれ以上設けられてもよいし、フィラー含有層が2層又はそれ以上設けられてもよいし、クリア層が2層又はそれ以上設けられてもよい。
また、第2の樹脂層が、複数の場合には、上記のうち2種の層が設けられてもよく、例えば、フィラー含有層と、クリア層が設けられてもよいし、フィラー含有層と着色層が設けられてもよいし、着色層と遮熱層が設けられてもよい。
第2の樹脂層は、上記の中では、クリア層、遮熱層、カラー層、及びフィラー含有層の少なくとも1つを有することが好ましく、中でもフィラー含有層を少なくとも有することが特に好ましい。第1の樹脂層は、フィラー含有層を有することで、上記したとおり、反射光の色差△E*ab(R)が大きくなりやすくなり、また、意匠性を向上させやすくなる。
また、第1の樹脂層が、複数である場合には、フィラー含有層に加えてクリア層を有する態様も好ましい。
[熱可塑性樹脂]
上記した各第1の樹脂層(着色層、遮熱層、クリア層、フィラー含有層など)を構成する樹脂は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。また、各第2の樹脂層(着色層、遮熱層、クリア層、フィラー含有層など)を構成する樹脂も、熱可塑性樹脂であることが好ましい。第1の樹脂層、又は第2の樹脂層は、熱可塑性樹脂を含有することで、接着層としての機能を果たしやすくなり、合わせガラス部材や、中間膜を構成する他の層に対する接着性が良好になる。
各樹脂層における熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、熱可塑性エラストマー、アクリル樹脂、アクリル-酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂及びポリスチレン樹脂などが挙げられる。これら樹脂を使用することで、合わせガラス部材との接着性を確保しやすくなる。
これらの中では、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、熱可塑性エラストマーが好ましい。
本発明の中間膜において熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、2種以上併用する場合、中間膜においては、1つの樹脂層(第1又は第2の樹脂層)に2種以上の熱可塑性樹脂を含有させてもよいし、異なる樹脂層(第1及び2の樹脂層)それぞれに互いに異なる種類の熱可塑性樹脂を含有させてもよい。
これらの中では、ポリビニルアセタール樹脂及びエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂から選択される少なくとも1種が好ましく、特に、可塑剤と併用した場合に、無機ガラスに対して優れた接着性を発揮する点から、ポリビニルアセタール樹脂がより好ましい。
したがって、各第1の樹脂層における樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂及びエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂から選択される少なくとも1種がより好ましく、ポリビニルアセタール樹脂がさらに好ましい。同様に、各第2の樹脂層における樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂及びエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂から選択される少なくとも1種がより好ましく、ポリビニルアセタール樹脂がさらに好ましい。
また、各樹脂層を構成する樹脂は、上記で列挙した樹脂から適宜選択されればよい。また、各樹脂層を構成する樹脂は、互いに異なる樹脂であってもよいが、互いに同一であることが好ましい。
したがって、第1及び第2の樹脂層を構成する樹脂はいずれも、ポリビニルアセタール樹脂又はエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂であることが好ましく、いずれもポリビニルアセタール樹脂であることがより好ましい。
(ポリビニルアセタール樹脂)
ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコール(PVA)をアルデヒドでアセタール化して得られるポリビニルアセタール樹脂であれば特に限定されない。
上記アルデヒドは特に限定されないが、一般には、炭素数が1~10のアルデヒドが好適に用いられる。上記炭素数が1~10のアルデヒドは特に限定されず、例えば、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n-バレルアルデヒド、2-エチルブチルアルデヒド、n-ヘキシルアルデヒド、n-オクチルアルデヒド、n-ノニルアルデヒド、n-デシルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒドは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記したなかでも、n-ブチルアルデヒド、n-ヘキシルアルデヒド、n-バレルアルデヒドが好ましく、n-ブチルアルデヒドがより好ましい。したがって、ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルブチラール樹脂が好適である。
ポリビニルアルコール(PVA)は、例えば、ポリ酢酸ビニルなどのポリビニルエステルをけん化することにより得られる。ポリビニルアルコールのけん化度は、一般に70~99.9モル%である。ポリビニルアセタール樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
PVAの平均重合度は、好ましくは200以上、より好ましくは500以上、さらに好ましくは1000以上、よりさらに好ましくは1500以上である。平均重合度を上記下限以上とすると、合わせガラスの耐貫通性が高くなる。また、PVAの平均重合度は、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下、さらに好ましくは3500以下、よりさらに好ましくは2500以下である。
なお、ポリビニルアルコールの平均重合度は、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠した方法により求められる。
ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量は、好ましくは15モル%以上であり、また、好ましくは38モル%以下である。水酸基量を15モル%以上とすることで、接着性が良好になりやすく、また、合わせガラスの耐貫通性などを良好にさせやすくなる。また、水酸基量を38モル%以下とすることで、合わせガラスが硬くなり過ぎたりすることを防止する。上記水酸基量は合わせガラス部材との接着性などの観点から、より好ましくは20モル%以上であり、さらに好ましくは25モル%以上である。また、上記水酸基量は、より好ましくは35%以下、さらに好ましくは33モル%以下である。
ポリビニルアセタール樹脂としてポリビニルブチラール樹脂を用いる場合も、同様の観点から、水酸基量は15モル%以上であり、また、好ましくは38モル%以下であり、より好ましくは20モル%以上、さらに好ましくは25モル%以上であり、より好ましくは35%モル以下、さらに好ましくは33モル%以下である。
ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量は、水酸基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記水酸基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は、好ましくは47モル%以上、また好ましくは85モル%以下である。上記アセタール化度は、より好ましくは55モル%以上、さらに好ましくは60モル%以上であり、また、より好ましくは80モル%以下、さらに好ましくは75モル%以下である。
なお、アセタール化度とは、アセタール基がブチラール基であり、ポリビニルアセタール樹脂(A)がポリビニルブチラール樹脂の場合には、ブチラール化度を意味する。
上記アセタール化度は、主鎖の全エチレン基量から、水酸基が結合しているエチレン基量と、アセチル基が結合しているエチレン基量とを差し引いた値を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。アセタール化度(ブチラール化度)は、例えばJIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出するとよい。
ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度は、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下、よりさらに好ましくは2モル%以下である。上記アセチル化度が上記上限以下であると、中間膜及び合わせガラスの耐湿性が高くなる。また、上記アセチル化度は、特に限定されないが、好ましくは0.01モル%以上であり、より好ましくは0.1モル%以上である。
上記アセチル化度は、アセチル基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記アセチル基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
(エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂)
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂としては、非架橋型のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂であってもよいし、また、高温架橋型のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂であってもよい。また、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂としては、エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物、エチレン-酢酸ビニルの加水分解物などのようなエチレン-酢酸ビニル変性体樹脂も用いることができる。
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂は、JIS K 6730「エチレン・酢酸ビニル樹脂試験方法」またはJIS K 6924-2:1997に準拠して測定される酢酸ビニル含量が好ましく10~50質量%、より好ましくは20~40質量%である。酢酸ビニル含量をこれら下限値以上とすることで、合わせガラス部材への接着性が高くなり、また、合わせガラスの耐貫通性が良好になりやすくなる。また、酢酸ビニル含量をこれら上限値以下とすることで、中間膜の破断強度が高くなり、合わせガラスの耐衝撃性が良好になる。
(アイオノマー樹脂)
アイオノマー樹脂としては、特に限定はなく、様々なアイオノマー樹脂を用いることができる。具体的には、エチレン系アイオノマー、スチレン系アイオノマー、パーフルオロカーボン系アイオノマー、テレケリックアイオノマー、ポリウレタンアイオノマー等が挙げられる。これらの中では、合わせガラスの機械強度、耐久性、透明性などが良好になる点、合わせガラス部材への接着性に優れる点から、エチレン系アイオノマーが好ましい。
エチレン系アイオノマーとしては、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーが透明性と強靭性に優れるため好適に用いられる。エチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、少なくともエチレン由来の構成単位および不飽和カルボン酸由来の構成単位を有する共重合体であり、他のモノマー由来の構成単位を有していてもよい。
不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等が挙げられ、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく、メタクリル酸が特に好ましい。また、他のモノマーとしては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、1-ブテン等が挙げられる。
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体としては、該共重合体が有する全構成単位を100モル%とすると、エチレン由来の構成単位を75~99モル%有することが好ましく、不飽和カルボン酸由来の構成単位を1~25モル%有することが好ましい。
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーは、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体が有するカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和または架橋することにより得られるアイオノマー樹脂であるが、該カルボキシル基の中和度は、通常は1~90%であり、好ましくは5~85%である。
アイオノマー樹脂におけるイオン源としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、亜鉛等の多価金属が挙げられ、ナトリウム、亜鉛が好ましい。
アイオノマー樹脂の製造方法としては特に限定はなく、従来公知の製造方法によって、製造することが可能である。例えばアイオノマー樹脂として、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーを用いる場合には、例えば、エチレンと不飽和カルボン酸とを、高温、高圧下でラジカル共重合を行い、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体を製造する。そして、そのエチレン・不飽和カルボン酸共重合体と、上記のイオン源を含む金属化合物とを反応させることにより、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマーを製造することができる。
(ポリウレタン樹脂)
ポリウレタン樹脂としては、イソシアネート化合物と、ジオール化合物とを反応して得られるポリウレタン、イソシアネート化合物と、ジオール化合物、さらに、ポリアミンなどの鎖長延長剤を反応させることにより得られるポリウレタンなどが挙げられる。また、ポリウレタン樹脂は、硫黄原子を含有するものでもよい。その場合には、上記ジオールの一部又は全部を、ポリチオール及び含硫黄ポリオールから選択されるものとするとよい。ポリウレタン樹脂は、有機ガラスとの接着性を良好にすることができる。そのため、合わせガラス部材が有機ガラスである場合に好適に使用される。
(熱可塑性エラストマー)
熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系熱可塑性エラストマー、脂肪族ポリオレフィンが挙げられる。スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。スチレン系熱可塑性エラストマーは、一般的に、ハードセグメントとなるスチレンモノマー重合体ブロックと、ソフトセグメントとなる共役ジエン化合物重合体ブロック又はその水添ブロックとを有する。スチレン系熱可塑性エラストマーの具体例としては、スチレン-イソプレンジブロック共重合体、スチレン-ブタジエンジブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレントリブロック共重合体、スチレン-ブタジエン/イソプレン-スチレントリブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレントリブロック共重合体、並びにその水素添加体が挙げられる。
上記脂肪族ポリオレフィンは、飽和脂肪族ポリオレフィンであってもよく、不飽和脂肪族ポリオレフィンであってもよい。上記脂肪族ポリオレフィンは、鎖状オレフィンをモノマーとするポリオレフィンであってもよく、環状オレフィンをモノマーとするポリオレフィンであってもよい。中間膜の保存安定性、及び、遮音性を効果的に高める観点からは、上記脂肪族ポリオレフィンは、飽和脂肪族ポリオレフィンであることが好ましい。
上記脂肪族ポリオレフィンの材料としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、trans-2-ブテン、cis-2-ブテン、1-ペンテン、trans-2-ペンテン、cis-2-ペンテン、1-ヘキセン、trans-2-ヘキセン、cis-2-ヘキセン、trans-3-ヘキセン、cis-3-ヘキセン、1-ヘプテン、trans-2-ヘプテン、cis-2-ヘプテン、trans-3-ヘプテン、cis-3-ヘプテン、1-オクテン、trans-2-オクテン、cis-2-オクテン、trans-3-オクテン、cis-3-オクテン、trans-4-オクテン、cis-4-オクテン、1-ノネン、trans-2-ノネン、cis-2-ノネン、trans-3-ノネン、cis-3-ノネン、trans-4-ノネン、cis-4-ノネン、1-デセン、trans-2-デセン、cis-2-デセン、trans-3-デセン、cis-3-デセン、trans-4-デセン、cis-4-デセン、trans-5-デセン、cis-5-デセン、4-メチル-1-ペンテン、及びビニルシクロヘキサン等が挙げられる。
(可塑剤)
中間膜は、さらに可塑剤を含有してもよい。中間膜は、上記のとおり、1又は複数の樹脂層を有するが、各樹脂層(すなわち、例えば、第1の樹脂層及び第2の樹脂層それぞれ)は、熱可塑性樹脂に加えて、可塑剤を含有してもよい。
各樹脂層は、可塑剤を含有することにより柔軟となり、その結果、合わせガラスの柔軟性を向上させ、耐貫通性も向上させる。さらには、合わせガラス部材に対する接着性を向上させることも可能になる。可塑剤は、熱可塑性樹脂としてポリビニルアセタール樹脂を使用する場合に含有させると特に効果的である。したがって、第1の樹脂層、又は第2の樹脂層などの各樹脂層はそれぞれ、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤を含有することがより好ましい。
可塑剤としては、例えば、一塩基性有機酸エステル及び多塩基性有機酸エステル等の有機エステル可塑剤、並びに有機リン酸エステル系可塑剤及び有機亜リン酸エステル系可塑剤などのリン系可塑剤等が挙げられる。なかでも、有機エステル可塑剤が好ましい。
有機エステル可塑剤は、例えば、トリエチレングリコールジ-2-エチルブチレート、トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジ-n-オクタノエート、トリエチレングリコールジ-n-ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ-n-ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート、エチレングリコールジ-2-エチルブチレート、1,3-プロピレングリコールジ-2-エチルブチレート、1,4-ブチレングリコールジ-2-エチルブチレート、1,2-ブチレングリコールジ-2-エチルブチレート、ジエチレングリコールジ-2-エチルブチレート、ジエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート、ジプロピレングリコールジ-2-エチルブチレート、トリエチレングリコールジ-2-エチルペンタノエート、テトラエチレングリコールジ-2-エチルブチレート、ジエチレングリコールジカプリエート、トリエチレングリコールジ-n-ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ-n-ヘプタノエート、トリエチレングリコールジ-2-エチルブチレート、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ヘキシルシクロヘキシル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ヘプチルノニル、セバシン酸ジブチル、油変性セバシン酸アルキド、リン酸エステルとアジピン酸エステルとの混合物、混合型アジピン酸エステルなどが挙げられる。混合型アジピン酸エステルとしては、炭素数4~9のアルキルアルコール及び炭素数4~9の環状アルコールから選択される2種以上のアルコールから作製されたアジピン酸エステルが挙げられる。
上記可塑剤のなかでも、トリエチレングリコール-ジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)が特に好適に用いられる。
例えば、各第1の樹脂層、又は各第の2樹脂層などの各樹脂層における可塑剤の含有量は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂100質量部に対して、好ましくは10質量部以上100質量部以下である。可塑剤の含有量を10質量部以上とすると、樹脂層が適度に柔軟になり、耐貫通性、接着性等が良好になる。また、可塑剤の含有量を100質量部以下とすると、各樹脂層から可塑剤が分離することが防止される。各樹脂層における可塑剤の含有量は、より好ましくは20質量部以上であり、さらに好ましくは30質量部以上であり、さらに好ましくは35質量部以上であり、また、より好ましくは70質量部以下、さらに好ましくは63質量部以下である。
各樹脂層は、樹脂、又は樹脂及び可塑剤が主成分となるものであり、例えば、各第1の樹脂層、又は各第2の樹脂層において、熱可塑性樹脂及び可塑剤の合計量は、各樹脂層全量基準で、通常70質量%以上、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上100質量%未満である。
[その他の添加剤]
本発明の各樹脂層は、上記以外の添加剤を含有してもよく、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定化剤、接着力調整剤、遮熱剤、蛍光増白剤、結晶核剤等の各添加剤を含有してもよい。本発明の中間膜は、上記した通り、1又は2以上の樹脂層を有するが、各樹脂層が、適宜これら添加剤から選択される少なくとも1種を含有してもよい。
<積層構造>
以下、図面を参照して、本発明の中間膜の積層構造について説明する。
中間膜10は、例えば図2~19に示すとおり、反射層15と、反射層15よりも中間膜の一方の面10A側に設けられる1又は2以上の第1の樹脂層11と、反射層15よりも中間膜の他方の面10B側に設けられる1又は2以上の第2の樹脂層12とを備えることが好ましい。
そして、中間膜10は、1又は2以上の第1の樹脂層11を介して、第1の合わせガラス部材21に接着し、かつ1又は2以上の第2の樹脂層12を介して、第2の合わせガラス部材22に接着して、合わせガラス20を構成するとよい。ここで、中間膜10は、一方の面10Aが、第1の合わせガラス部材21との接着面となり、他方の面10Bが第1の合わせガラス部材21との接着面となるとよいが、一方の面10Aと第1の合わせガラス部材21の間、他方の面10Bと第2の合わせガラス部材22の間には、他の層が設けられてもよい。
なお、上記の通り、中間膜10は、合わせガラスに適用される際、第2の樹脂層12側、すなわち、他方の面10B側が、屋外側(すなわち、自動車では車外側)に配置され、一方の面10A側が屋内側(すなわち、自動車では車内側)に配置されるとよい。
以下、中間膜が、第1及び第2の樹脂層を有する場合の層構成について、より詳細に説明する。中間膜は、図2~5に示すととおり、第1の樹脂層11として着色層11Aを備えることが好ましく、この場合、反射層の他方の面側には第2の樹脂層12として、フィラー含有層12Bが設けられてもよいし(図2参照)、遮熱層12Cが設けられてもよいし(図3参照)、クリア層12Dが設けられてもよいし(図4参照)、着色層12Aが設けられてもよい(図5参照)。
中間膜10は、図2に示すとおりに一方の面10A側に着色層11Aを備え、かつ他方の面10B側にフィラー含有層12Bを備えることで、着色層11A及びフィラー含有層12Bにより、反射光の色差△E*ab(R)を大きくしやすくなり、一方の面10Aからみた意匠と他方の面10Bからみた意匠とを十分に異ならせることができる。また、フィラー含有層12Bによりメタリック感を出したり、カラートラベルが生じたりするようにすることも可能となり、より一層意匠性を向上させることができる。
さらに、フィラー含有層12Bが他方の面10B側に配置され、着色層11Aが一方の面10A側に配置されることで、他方の面10B側(すなわち、屋外側)から見るとメタリック感が強い一方で、一方の面10A側(すなわち、屋内側)から見ると、メタリック感が抑えられた印象となる。そのため、他方の面10B(すなわち、屋外)から見た際には、インパクトのある外観にできる一方で、一方の面10A(すなわち、屋内)から見た際には落ち着いた印象の内装にすることができ、意匠性を高めることができる。
中間膜10は、図3に示すとおりに、一方の面10A側に着色層11Aを備え、かつ他方の面10B側に遮熱層12Cを備えることで、着色層11Aにより、反射光の色差△E*ab(R)が一定以上としやすくなり、一方の面からみた際の意匠と他方の面からみた意匠とを十分に異ならせることができる。また、遮熱層を設けることで、車内や屋内が暑くなることを適切に防止することができる。
また、中間膜10は、図4に示すとおりに、一方の面10A側に着色層11Aを備え、かつ他方の面10B側にクリア層12Dを備えることで、第1の樹脂層11を透過する可視光(可視光線透過光)と、第2の樹脂層12を透過する可視光(可視光線透過光)の色差を比較的大きくできる。そのため、一方の面からみた際の意匠と他方の面からみた意匠とを十分に異ならせることができる。また、クリア層12Dを設けることで、中間膜10全体の透過率を高くしやすくなる。なお、図4の構成において、後述する通り、第2の樹脂層12を多層構造にしてもよいが、その場合、第2の樹脂層12はいずれもクリア層とすることが好ましい。
さらに、中間膜10は、図5に示すとおりに、一方の面10A側に着色層11Aを備え、かつ他方の面10B側に着色層12Aを備えることで、様々なカラー表現が可能となる。また、一方の面からみた際の意匠と他方の面からみた意匠とも異ならせることができる。
なお、中間膜10は、一方の面10A側に着色層11Aを備え、かつ他方の面10B側に着色層12Aを備える場合、各着色層の着色剤の種類や含有率を、後述する色差ΔE*ab(S)が一定値以上となるように適宜調整するとよい。また、第1の樹脂層11の可視光線透過光におけるL*(S1)が、第2の樹脂層12の可視光線透過光におけるL*(S2)よりも小さく、また、その差ΔL*が一定値以上となるように、使用する着色剤の種類や含有率を適宜調整するとよい。
また、中間膜は、上記した図2や、図6~8に示すととおり、他方の面10B側に第2の樹脂層12としてフィラー含有層12Bを備えることが好ましく、この場合、一方の面10A側には第1の樹脂層11として、上記の通り着色層11Aが設けられてもよいし(図2参照)、遮熱層11Cが設けられてもよいし(図6参照)、クリア層11Dが設けられてもよいし(図7参照)、フィラー含有層11Bが設けられてもよい(図8参照)。
中間膜10は、図6に示すとおりに、一方の面10A側に遮熱層11Cを備え、かつ他方の面10B側にフィラー含有層12Bを備えることで、フィラー含有層12Bにより、反射光の色差△E*ab(R)が一定値以上としやすくなり、一方の面からみた際の意匠と他方の面からみた意匠とを十分に異ならせることができる。また、メタリック感を出したり、カラートラベルが生じたりするようにすることも可能となる。加えて、遮熱層11Cを設けることで、車内や屋内が暑くなることを適切に防止することができる。
中間膜10は、図7に示すとおりに、一方の面10A側にクリア層11Dを備え、かつ他方の面10B側にフィラー含有層12Bを備えることで、フィラー含有層12Bにより、反射光の色差△E*ab(R)が一定以上としやすくなり、一方の面からみた際の意匠と他方の面からみた意匠とを十分に異ならせることができる。また、メタリック感を出したり、カラートラベルが生じたりするようにすることも可能となる。加えて、クリア層11Dにより、中間膜10全体の透過率を高くしやすくなる。
また、中間膜10は、図8に示すとおりに、一方の面10A側及び他方の面10B側それぞれに、フィラー含有層11B、及びフィラー含有層12Bを備えることで、他方の面10B側(屋外側)のみならず、一方の面10A側(屋内側)から見たときのいずれも十分なメタリック感を出し、また、カラートラベルも生じやすくすることができる。
また、一方の面からみた際の意匠と他方の面からみた意匠とも異ならせることができる。
なお、中間膜10は、以上のように、両側にフィラー含有層12B,11Bを備える場合、使用するフィラー(A)の種類や含有率を適宜調整して、後述する色差ΔE*ab(S)が、一定値以上となるようにするとよい。また、第1の樹脂層11の可視光線透過光におけるL*(S1)が、第2の樹脂層12の可視光線透過光におけるL*(S2)よりも小さく、また、その差ΔL*が一定値以上となるように、使用するフィラー(A)の種類や含有率を適宜調整するとよい。
また、以上の図2~8の構成では、第1の樹脂層11が1層からなり、第2の樹脂層12が1層からなる態様を例示したが、各構成において、第1の樹脂層11及び第2の樹脂層12のうち少なくともいずれか一方が、2層以上であってもよい。
第1の樹脂層11及び第2の樹脂層12のうちいずれか一方が2層以上である場合においても、中間膜は、図2~5で例示して説明したとおり、第1の樹脂層11が着色層11Aを備え、若しくは、図2、6~8で例示して説明したとおり、第2の樹脂層12がフィラー含有層12Bを備えることが好ましい。
例えば、第1の樹脂層11として着色層11Aが、第2の樹脂層12としてフィラー含有層12Bが設けられる態様において、図9に示すとおりに、第2の樹脂層12にさらに付加的にクリア層12Dが設けられ、第2の樹脂層12がクリア層12Dとフィラー含有層12Bを有してもよい。もちろん、第1の樹脂層11として着色層11Aが、第2の樹脂層12としてフィラー含有層12Bが設けられる態様においては、図示しないが、第1の樹脂層11がクリア層11Dと着色層11Aを有してもよい。
さらに、図4の示す構成のように、第1の樹脂層11として着色層11Aが、第2の樹脂層12としてクリア層12Dが設けられる態様において、図10に示すとおりに、第1の樹脂層11にさらに付加的にクリア層11Dが設けられ、第1の樹脂層11が着色層11Aとクリア層11Dを有してもよい。
同様に、第1の樹脂層11としてクリア11Dが、第2の樹脂層12としてフィラー含有層12Bが設けられる態様において、図11に示すとおりに、第2の樹脂層12にさらに付加的にクリア層12Dが設けられ、第2の樹脂層11がフィラー含有層12Bとクリア層12Dを有してもよい。
また、例えば、第1の樹脂層11として着色層11Aが、第2の樹脂層12として着色層12Aが設けられる態様において、図12に示すとおりに、第1の樹脂層11にさらに付加的にクリア層11Dが設けられ、第1の樹脂層11が着色層11Aとクリア層11Dを有してもよい。同様に、図示しないが、第1の樹脂層11として着色層11Aが、第2の樹脂層12として着色層12Bが設けられる態様において、第2の樹脂層12にさらに付加的にクリア層12Dが設けられ、第2の樹脂層12が着色層12Aとクリア層12Dを有してもよい。
さらに、例えば、第1の樹脂層11としてフィラー含有層11Bが、第2の樹脂層12としてフィラー含有層12Bが設けられる態様において、図13に示すとおりに、第2の樹脂層12にさらに付加的にクリア層12Dが設けられ、第2の樹脂層12がフィラー含有層12Bとクリア層12Dを有してもよい。同様に、図示しないが、第1の樹脂層11としてフィラー含有層11Bが、第2の樹脂層12としてフィラー含有層12Bが設けられる態様において、第1の樹脂層11にさらに付加的にクリア層11Dが設けられ、第1の樹脂層11がフィラー含有層11Bとクリア層11Dを有してもよい。
また、以上では、第1の樹脂層11が複数設けられる場合、第1の樹脂層11として、クリア層11Dと、着色層11Aなどのクリア層11D以外の層が設けられる態様が示されたが、クリア層11Dが設けられる必要はなく、クリア層11以外の層が2層設けられてもよく、例えば着色層11Aなどのクリア層11D以外の同じ層が2層以上設けられてもよいし、クリア層11D以外の互いに異なる層が2層以上設けられてもよく、例えば、図14に示すとおり、着色層11Aと、フィラー含有層11Bとが設けられてもよい。この場合、第2の樹脂層12は、フィラー含有層12Bが設けられることが好ましいが、他の態様を有してもよい。
同様に、第2の樹脂層12が複数設けられる場合、第2の樹脂層12として、クリア層12Dと、フィラー含有層12Bなどのクリア層12D以外の層が設けられる態様が示されたが、クリア層12Dが設けられる必要はなく、クリア層12以外の層が2層設けられてもよく、例えばフィラー含有層12Bなどのクリア層12D以外の同じ層が2層以上設けられてもよいし、クリア層12D以外の互いに異なる層が2層以上設けられてもよく、例えば、図15に示すとおり、着色層12Aと、フィラー含有層12Bとが設けられてもよい。この場合、第1の樹脂層11は、着色層11Aが設けられることが好ましいが、他の態様を有してもよい。
以上では、第1の樹脂層11として着色層11Aが設けられ、または、第2の樹脂層12としてフィラー含有層12Bが設けられる構成を説明したが、着色層11A及びフィラー含有層12Bは設けられなくてもよい。そのような場合、例えば、第1及び第2の樹脂層11、12それぞれが遮熱層及びクリア層の少なくともいずれかからなるとよく、一態様として、第1及び第2の樹脂層11、12のいずれもが図16に示すとおりにクリア層11D,12Dであってもよい。
このような場合には、例えば、後述する△E*ab(S)が一定値以上となり、また、L*(S1)が、L*(S2)よりも小さく、かつその差ΔL*(S)が一定以上となるように、クリア層11D,12Dの構成が調整されればよく、例えば、第1の樹脂層11の厚みを、第2の樹脂層12の厚みよりも大きくすればよい。
第1の樹脂層11が2層以上からなる場合、例えば、図17に示すとおり、第1の樹脂層11のうち、中心の樹脂層をコア層11Tとし、その両側の層をスキン層11S,11Sとする3層構造を有し、遮音性能を付与してもよい。
ここで、スキン層11S、及びコア層11Tに使用される樹脂は、上記の通りであるが、好ましくは、ポリビニルアセタール樹脂であることが好ましく、ポリビニルブチラール樹脂がより好ましい。
また、スキン層11S及びコア層11Tは、上記の通りいずれも可塑剤を含有することが好ましい。その際、コア層11Tにおける可塑剤の熱可塑性樹脂100質量部に対する含有量は、スキン層11Sにおける可塑剤の熱可塑性樹脂100質量部に対する含有量よりも多いことが好ましく、その含有量の差が、好ましくは5質量部以上60質量部以下、より好ましくは10質量部以上50質量部以下、さらに好ましくは15質量部以上35質量部以下である。コア層11Tにおける可塑剤の含有量を多くすることで、遮音性能を向上させやすくなる。
また、コア層11Tにおけるポリビニルアセタール樹脂の水酸基量が、スキン層11Sにおけるポリビニルアセタール樹脂の水酸基量よりも低いことが好ましく、その水酸基量の差は、好ましくは1モル%以上20モル%以下、より好ましくは2モル%以上15モル%以下、さらに好ましくは2モル%以下10モル%以下である。コア層における水酸基量を低くすることで、可塑剤の含有量を高くしやすくなり、遮音性能も向上しやすくなる。
第1の樹脂層が3層構造を有する場合でも、上記で説明したとおり、第1の樹脂層は、着色層11Aを有することが好ましく、スキン層11S及びコア層11Tのうち、いずれかが着色層11Aであることが好ましいが、図17に示すとおりに、スキン層11S、11Sのうちのいずれかが着色層11Aであることが好ましく、中でも図17に示すとおり、外側のスキン層11Sが着色層11Aであることがより好ましい。
この場合、第2の樹脂層12は、図17に示すとおり、フィラー含有層12Bが設けられてもよいし、図3~5を参照して説明したとおり、遮熱層12Cが設けられてもよいし、クリア層12Dが設けられてもよいし、着色層12Aが設けられてもよい。
もちろん、第1の樹脂層がスキン層11S、11S及びコア層11Tを有する3層構造を有する場合、第1の樹脂層は着色層を有する必要はなく、図6、8を参照して説明したとおり、遮熱層11Cやフィラー含有層11Bが設けられてもよい。遮熱層11C又はフィラー含有層11Bは、着色層11Aの場合と同様に、スキン層11S、11S及びコア層11Tのうちのいずれかにより構成されればよいが、スキン層11S、11Sのうちのいずれかにより構成されることが好ましく、中でも、外側のスキン層11Sが遮熱層11C又はフィラー含有層11Bであることが好ましい。
また、図7、16を参照して説明したとおり、第1の樹脂層11には、着色層11A、遮熱層11C、フィラー含有層11Bが設けられなくてもよく、第1の樹脂層11のスキン層11S、11S及びコア層11Tがいずれもクリア層11Dであってもよい。
同様に、第2の樹脂層11が2層以上からなる場合、例えば、図18に示すとおり、第2の樹脂層が中心の樹脂層をコア層12Tとし、その両側の層をスキン層12S,12Sとする3層構造を有し、遮音性能を付与してもよい。
この場合、コア層12T,スキン層12Sの詳細は、上記したコア層11T,スキン層11Sの場合と同様であるので、その説明を省略する。
また、第2の樹脂層が3層構造を有する場合でも、上記で説明したとおり、第2の樹脂層は、フィラー含有層12Bを有することが好ましく、スキン層12S及びコア層12Tのうちのいずれかが、フィラー含有層12Bであることが好ましいが、スキン層12S、12Sのうちのいずれかがフィラー含有層12Bであることがより好ましく、中でも図18に示すとおり、外側のスキン層12Sがフィラー含有層12Bであることが好ましい。
この場合、第1の樹脂層11は、図18に示すとおり、着色層11Aが設けられてもよいし、図6~8を参照して説明したとおり、遮熱層11Cが設けられてもよいし、クリア層11Dが設けられてもよいし、フィラー含有層11Bが設けられてもよい。
もちろん、第2の樹脂層がスキン層12S、12S及びコア層12Tを有する3層構造を有する場合、第2の樹脂層はフィラー含有層12Bを有する必要はなく、図3、図5を参照して説明したとおり、遮熱層12Cや着色層12Aが設けられてもよい。遮熱層12C又は着色層12Aは、フィラー含有層12Bの場合と同様に、スキン層12S、12S及びコア層12Tのうちのいずれかにより構成されればよいが、スキン層12S、12Sのうちのいずれかにより構成されることが好ましく、中でも、外側のスキン層12Sが遮熱層12C又は着色層12Aであることが好ましい。
また、図4、16を参照して説明したとおり、第2の樹脂層は、着色層12A、遮熱層12C、フィラー含有層12Bが設けられなくてもよく、スキン層12S、12S及びコア層122Tがいずれもクリア層12Dであってもよい。
なお、中間膜の以上で説明した積層構造は、一例であって、上記に限定されないことはいうまでもなく、1又は2以上の第1の樹脂層及び1又は2以上の第2の樹脂層はそれぞれ、上記以外の積層構造を有してもよい。
また、第1の樹脂層及び第2の樹脂層の少なくともいずれかは省略されてもよく、そのような場合には、反射層が、合わせガラス部材に直接接着されてもよいし、反射層が第1及び第2の樹脂層以外の層を介して合わせガラス部材に接着されてもよい。
(樹脂層の光学特性)
中間膜は、上記の通り、反射層と、1又は2以上の第1の樹脂層11と、1又は2以上の第2の樹脂層12とを備えることが好ましい。この場合、第1の樹脂層11の可視光線透過光と、第2の樹脂層12の可視光線透過光のL*a*b*表色系における色差△E*ab(以下、「△E*ab(S)」ということがある)は、例えば0より大きく100未満であるとよい。
△E*ab(S)が0より大きいことで、上記した色差△E*ab(R)を一定以上の値にしやすくなり、一方の面からみた際の意匠と他方の面からみた意匠とを異ならせることができる。また、100未満とすることで、第1の樹脂層や第2の樹脂層に極端な着色をしたりしなくてもよいので、良好な意匠性を維持できる。
△E*ab(以下、△E*ab(S))は、1以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、20以上であることがさらに好ましく、35以上であることがよりさらに好ましく、また、95以下であることが好ましく、85以下であることがより好ましく、75以下であることがさらに好ましく、65以下であることがよりさらに好ましい。
また、第1の樹脂層11の可視光線透過光のL*(以下、「L*(S1)」ということがある)と、第2の樹脂層12の可視光線透過光のL*(以下、「L*(S2)」ということがある)(S2)は、L*(S2)がL*(S1)より高いことが好ましい。L*(S2)がL*(S1)より高いことで、中間膜10の一方の面10A側から見たときよりも、中間膜10の他方の面10B側(すなわち、屋外側)から見たときのほうが、反射層15の反射光をより反映された意匠とすることができる。そのため、屋外側から見たときのほうがよりインパクトの強い外観にすることができ、意匠性をより高めることができる。
また、L*(S2)とL*(S1)の差ΔL*(S)は、1以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、20以上であることがさらに好ましく、30以上であることがよりさらに好ましく、また、95以下であることが好ましく、85以下であることがより好ましく、75以下であることがさらに好ましく、65以下であることがよりさらに好ましい。
なお、第1の樹脂層11の可視光線透過光のL*(S1)は、特に限定されないが、中間膜に一定の透明性を付与する観点から、5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、20以上であることがさらに好ましく、35以上であることがよりさらに好ましい。また、L*(S1)は、100未満であればよいが、実用性及び意匠性の観点から97以下が好ましく、80以下がより好ましく、70以下がさらに好ましく、60以下がよりさらに好ましい。
また、第2の樹脂層12の可視光線透過光のL*(S2)は、特に限定されないが、中間膜に一定の透明性を付与する観点から、40以上であることが好ましく、50以上であることがより好ましく、60以上であることがさらに好ましく、70以上であることがよりさらに好ましい。また、L*(S2)は、100未満であればよいが、実用性及び意匠性の観点から、98以下が好ましく、97以下がより好ましく、93以下がさらに好ましい。
なお、△E*ab(S)は、上記した第1の樹脂層及び第2の樹脂層それぞれに光を照射した際の可視光線透過光より、第1の樹脂層及び第2の樹脂層それぞれについて、L*、a*、b*を測定して、測定したL*、a*、b*より色差(△E*ab(S))を算出することで求めることができる。この際、第1の樹脂層が複数設けられる場合には、上記可視光線透過光とは、設けられる全ての第1の樹脂層に対する透過光を意味し、したがって、L*、a*、b*は、複数の第1の樹脂層の積層体を用いて測定するとよい。第2の樹脂層が設けられる場合も同様である。
また、各樹脂層のL*、a*、b*などの光学特性の測定は、各樹脂層を介して、2枚の基準クリアガラス板を貼り合わせて合わせガラスを作製して、その合わせガラスに対して、測定した値である。
本発明の中間膜は、例えば遮熱層を有する場合、2枚の基準クリアガラス板が中間膜を介して接着されることで作製された合わせガラスの全日射透過率(Tts)が70%以下であることが好ましい。全日射透過率(Tts)が70%以下とすることで、十分な遮熱性を確保することができ、車内や室内が暑くなることを防止できる。
上記全日射透過率(Tts)は、より好ましくは60%以下、さらに好ましくは55%以下、よりさらに好ましくは45%以下、よりさらに好ましくは40%以下、よりさらに好ましくは35%以下、特に好ましくは33%以下である。全日射透過率(Tts)は、遮熱性を向上させる観点から低ければ低いほどよく0%以上であればよいが、実用的には10%以上であることが好ましい。なお、全日射透過率(Tts)は、両面それぞれから光を入射させて、測定したときのいずれかが上記の範囲内となればよいが、好ましくは他方の面10B(すなわち、屋外側の面)から光を入射させて測定したときの値が上記範囲内となることが好ましい。
なお、ここでいうTtsは、車外側(すなわち、第2の樹脂層側)から光を透過させて測定したときの値を採用する。
中間膜は、第1の樹脂層が多層(好ましくは3層以上)である場合には、複数ある第1の樹脂層のうちのいずれかは、一部の領域に設けられてもよく、例えば、第1の樹脂層において、一部の領域がクリア層/着色層/クリア層の積層構造を有し、残りの領域がクリア層/クリア層の積層構造を有してもよい。この際、着色層が設けられない領域では、2つのクリア層は、一体となって、1つのクリア層を構成してもよい。
同様に、第2の樹脂層が多層(好ましくは3層以上)である場合には、複数ある第2の樹脂層のうちのいずれかは、一部の領域に設けられてもよく、例えば、第2の樹脂層において、一部の領域がクリア層/フィラー含有層/クリア層の積層構造を有し、残りの領域がクリア層/クリア層の積層構造を有してもよい。この際、フィラー含有層が設けられない領域では、2つのクリア層は、一体となって、1つのクリア層を構成してもよい。
このように、複数ある第1の樹脂層や、複数ある第2の樹脂層のうちのいずれかが、一部の領域に設けられる場合には、いずれかの領域において、色差△E*ab(R)が所定の値になっているとよく、また、いずれかの領域において、上記積層構造を有していればよい。
中間膜は、断面矩形であり、厚さは一定であってもよいが、断面矩形に限定されず、例えば楔形状を有していてよい。楔形状を有する中間膜は、断面における一端と、その一端の反対側に他端の厚さが互い異なるものであり、断面が台形形状を有してもよいが、三角形状を有してもよい。また、楔形状の中間膜は、一端から他端に向けて厚さが変化するものであるが、全ての部分で厚さが変化する必要はなく、厚さが一定の部分を有しており、厚さが変化する部分が一部分であってもよい。
[各層の厚み]
第1の樹脂層の合計厚みは、0.1mm以上1.8mm以下であることが好ましく、0.16mm以上1.6mm以下であることがより好ましく、0.2mm以上1.2mm以下であることがさらに好ましい。
なお、ここでいう合計厚みとは、第1の樹脂層が単層である場合には、その単層の樹脂層の厚みであり、第1の樹脂層が複数ある場合には、複数層の合計厚みであり、以下の第2の樹脂層の合計厚みも同じである。
また、第1の樹脂層が複数設けられる場合、各第1の樹脂層の厚みは、0.05mm以上1.0mm以下であることが好ましく、0.08mm以上0.9mm以下であることがより好ましく、0.1mm以上0.8mm以下であることがさらに好ましい。第1の樹脂層が複数設けられる場合、各第1樹脂層の厚みは互いに同一であってもよいし、互いの異なっていてもよい。
第2の樹脂層の合計厚みは、0.1mm以上1.8mm以下であることが好ましく、0.16mm以上1.6mm以下であることがより好ましく、0.2mm以上1.2mm以下であることがさらに好ましい。第2の樹脂層の合計厚みは、第1の樹脂層の合計厚みと同一であってもよいし、異なっていてもよい。
また、第2の樹脂層が複数設けられる場合、各第2の樹脂層の厚みは、0.05mm以上1.0mm以下であることが好ましく、0.08mm以上0.9mm以下であることがより好ましく、0.1mm以上0.8mm以下であることがさらに好ましい。第2の樹脂層が複数設けられる場合、各第2樹脂層の厚みは互いに同一であってもよいし、互いの異なっていてもよい。
また、中間膜全体の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.25mm以上3.5mm以下、より好ましくは0.4mm以上2.5mm以下、さらに好ましくは0.5mm以上2mm以下である。
なお、各樹脂層及び中間膜は、厚みが変化することがあるが、その場合には、以上で説明した各樹脂層の厚み及び中間膜の厚みは、色差△E*ab(R)が所定の要件を満たす領域における平均値とすればよい。
(中間膜の製造方法)
本発明の中間膜は、特に限定されないが、各樹脂層を形成するための各樹脂組成物を作製して、得られた樹脂組成物から樹脂層を成形し、成形した樹脂層を反射層に適宜積層し、また、必要に応じて樹脂層同士も適宜積層して得ればよい。各樹脂組成物は、例えば熱可塑性樹脂に、必要に応じて配合されるフィラー(A)着色剤、遮熱材料、可塑剤、その他の添加剤を混合して得るとよい。
ここで、各着色層、遮熱層、フィラー含有層においては、熱可塑性樹脂に加えて、着色剤、遮熱材料、フィラー(A)を配合するとよいが、樹脂組成物における分散性を高める観点から、例えば可塑剤を使用する場合には、着色剤、遮熱材料、又はフィラー(A)のいずれかを可塑剤に配合して可塑剤に十分に分散させたうえで、熱可塑性樹脂と混合してもよい。この際、可塑剤には適宜分散剤などを加えてもよい。
中間膜は、押出成形、プレス成形などで成形すればよく、例えば、押出成形により押し出して得た樹脂層を反射層上に積層すればよい。また、押出成形により適宜樹脂層同士を積層すればよい。押出成形は、必要に応じて共押出法を利用してもよい。
また、各樹脂層は、厚み方向に直交する方向に沿って厚みが変化することがあるが、その場合には、例えば、押出成形において樹脂の供給量などを調整して、厚みを変化させるとよい。
また、中間膜は、樹脂層及び反射層を用意し、かつその樹脂層及び反射層を一対の合わせガラス部材の間に配置させて積層体を得て、該積層体を熱圧着(プレス成形)することで、合わせガラスを製造しつつ、中間膜も合わせて製造してもよい。
なお、フィラー(A)は、平板形状を有する場合などのように配向可能な異方性を有する場合、上記したプレス成形、押出成形などにより、フィラー(A)の長手方向ないし面方向が中間膜(各樹脂層)の面方向に沿うように配向させることができる。
<合わせガラス>
本発明は、さらに合わせガラスを提供する。合わせガラスは、2枚の合わせガラス部材(第1及び第2の合わせガラス部材)と、これら合わせガラス部材の間に配置される中間膜を備える。2枚の合わせガラス部材は中間膜を介して接着される。中間膜は、一方の面が一方の合わせガラス部材に接着し、他方の面が他方の合わせガラス部材に接着する。中間膜の構成は、上記の通りである。
合わせガラスは、2枚の合わせガラス部材の間に、上記した中間膜を配置して、これらを熱圧着などすることで一体化することで製造すればよい。また、樹脂層及び反射層を用意し、かつ樹脂層及び反射層を一対の合わせガラス部材の間に配置させて積層体を得て、該積層体を熱圧着などすることで一体化することで製造してもよい。
(合わせガラス部材)
合わせガラスで使用する合わせガラス部材としては、ガラス板が挙げられ、ガラス板は、無機ガラス、有機ガラスのいずれでもよいが、無機ガラスが好ましい。無機ガラスとしては、特に限定されないが、クリアガラス、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、線入り板ガラス、着色ガラス等が挙げられる。
また、有機ガラスとしては、一般的に樹脂ガラスと呼ばれるものが使用され、特に限定されないが、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリル共重合体樹脂、ポリエステルなどの樹脂から構成される有機ガラスが挙げられる。有機ガラスも着色ガラスであってもよい。なお、着色ガラスは、後述する通りである。
2枚の合わせガラス部材は、互いに同種の材質から構成されてもよいし、別の材質から構成されてもよい。例えば、一方が無機ガラスで、他方が有機ガラスであってもよいが、2枚の合わせガラス部材の両方が無機ガラスであるか、又は有機ガラスであることが好ましい。
また、各合わせガラス部材の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.1~15mm程度、好ましくは0.5~5mmである。各合わせガラス部材の厚みは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
本発明の合わせガラスは、一方向から入射した光に対する反射光のL*a*b*色空間と、反対方向から入射した光に対する反射光のL*a*b*色空間とにおける色差△E*ab(なお、以下、「△E*ab(Rg)」ということがある)が0.5以上であるとよい。
本発明では、以上の反射光の色差△E*ab(R)が0.5以上であることで、本発明の合わせガラスの一方の面からみた際の意匠と他方の面からみた意匠とを異ならせることができるので、合わせガラスに高い意匠性を付与することができる。
上記の反射光の色差△E*ab(Rg)は、意匠性を高める観点から、2.0以上が好ましく、15以上がより好ましく、30以上がさらに好ましい。また、反射光の色差△E*ab(Rg)は、実現容易性の観点、及び一方の面からみた際の意匠と他方の面からみた意匠とが大きく異なりすぎないようにする観点から、100以下が好ましく、75以下がより好ましく、50以下がさらに好ましい。
なお、色差△E*ab(Rg)は、中間膜の△E*ab(R)を上記の通りに一定値以上とすることで、一定値以上とすることができる。
また、後述する別の側面に係る合わせガラスに示すとおりに、一方の合わせガラス部材(例えば、第1の合わせガラス部材)に色を付すなどして、第1の部材の色を、第2の部材の色と異なるせることでも、色差△E*ab(Rg)を所定の範囲内に調整することができる。
なお、本発明において、上記した合わせガラスの反射光及び透過光の色差△E*ab(Rg)は、合わせガラスの一方の面(すなわち、一方向)から光を入射し、その光の反射光のL*a*b*色空間と、合わせガラスの他方の面(すなわち、反対方向)から光を入射し、その光の反射光のL*a*b*色空間とを求める。そして、求められたL*、a*、b*の値により色差を算出して、上記した反射光の色差△E*ab(Rg)を求めることができる。
(別の側面に係る合わせガラス)
本発明の別の側面において、合わせガラスは、図面を参照して説明すると、図2~19に示すとおりに、第1の合わせガラス部材21及び1又は2以上の第1の樹脂層11を有する第1の部材31と、反射層15と、第2の合わせガラス部材22及び1又は2以上の第2の樹脂層12を有する第2の部材32とを備えるものともいえる。
ここで、合わせガラスにおいて、第1の合わせガラス部材21、1又は2以上の第1の樹脂層11、反射層15、1又は2以上の第2の樹脂層12、及び第2の合わせガラス部材22がこの順に配置されてなるものである。そして、第1の部材31と第2の部材32は、互いに色が異なるものであるとよい。
以上の構成を有する合わせガラスは、反射層15が設けられ、かつ第1の部材31と第2の部材32の色が互いに異なることで、△E*ab(Rg)を所定の値以上として、合わせガラスを一方の面側から見た際の意匠と他方の面側から見た際の意匠を異ならせることができる。
ここで、第1の部材31と、第2の部材32の色を異ならせるには、例えば、第1の樹脂層11と、第2の樹脂層12の色を異ならせるとよい。具体的には、上記したとおりに、第1の樹脂層11の可視光線透過光と、第2の樹脂層12の可視光線透過光の色差△E*ab(△E*ab(S))が、例えば0より大きく100未満であればよい。なお、△E*ab(S)の好適な範囲は、上記通りである。
また、第1の部材31と、第2の部材32の色を異ならせるには、第1の合わせガラス部材21と、第2の合わせガラス部材22の色を異ならせてもよい。具体的には、第1の合わせガラス部材21の可視光線透過光と、第1の合わせガラス部材22の可視光線透過光のL*a*b*表色系における色差△E*ab(以下、△E*ab(G))が、例えば0より大きく100未満であればよい。
ここで、△E*ab(G)は、1以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、10以上であることがさらに好ましく、15以上であることがよりさらに好ましく、また、95以下であることが好ましく、70以下であることがより好ましく、50以下であることがさらに好ましく、40以下であることがよりさらに好ましい。
第1及び第2の合わせガラス部材21、22の色を互いに異ならせる場合、第1の合わせガラス部材21の可視光線透過光のL*(以下、「L*(G1)」ということがある)と、第2の合わせガラス部材22の可視光線透過光のL*(以下、「L*(G2)」ということがある)(G2)は、L*(G2)がL*(G1)より高いことが好ましい。L*(G2)がL*(G1)より高いことで、合わせガラスの第1の合わせガラス部材21側(すなわち、一方の面10A側)から見たときよりも、第2の合わせガラス部材22側(すなわち、他方の面10B側)から見たときのほうが、反射層15の反射光がより反映された意匠とすることができる。そのため、屋外側から見たときのほうがよりインパクトの強い外観にすることができ、意匠性をより高めることができる。
また、L*(G2)がL*(G1)より高い場合、L*(G2)とL*(G1)の差ΔL(G)は、1以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、10以上であることがさらに好ましく、20以上であることがよりさらに好ましく、また、95以下であることが好ましく、70以下であることがより好ましく、50以下であることがさらに好ましく、40以下であることがよりさらに好ましい。
なお、第1の合わせガラス部材21と、第2の合わせガラス部材22の色を異ならせる場合、第1の合わせガラス部材21の可視光線透過光のL*(G1)は、特に限定されないが、合わせガラスに一定の透明性を付与する観点から、30以上であることが好ましく、40以上であることがより好ましく、50以上であることがさらに好ましく、55以上であることがよりさらに好ましい。また、L*(G1)は、100未満であればよいが、実用性及び意匠性の観点から97以下が好ましく、95以下がより好ましく、90以下がさらに好ましく、80以下がよりさらに好ましい。
また、第1の合わせガラス部材21と、第2の合わせガラス部材22の色を異ならせる場合、第2の合わせガラス部材22の可視光線透過光のL*(G2)は、特に限定されないが、合わせガラスに一定の透明性を付与する観点から、70以上であることが好ましく、80以上であることがより好ましく、90以上であることがさらに好ましく、また、L*(G2)は、100未満であればよいが、実用性及び意匠性の観点から、98以下が好ましく、97以下がより好ましい。
上記の通りに第1及び第2の合わせガラス部材21、22の色を異ならせるには、これらのうち少なくとも一方を着色して、着色ガラスとすることが好ましく、中でも図19に示すとおりに、第1の合わせガラス部材21を着色して着色ガラス21Cとすることが好ましい。着色ガラス21Cは、着色剤により着色されたガラスである。
着色ガラス21Cは、合わせガラス部材そのものに着色剤を含有させてもよい。例えば、ガラス部材に着色剤を含有させる場合、公知の構成でよく、無機ガラスの場合には、金属イオンなど公知の着色剤を無機ガラスに配合させればよい。また、有機ガラスの場合には、上記した顔料、染料などを有機ガラスに配合すればよい。ガラス部材そのものに着色剤を含有させる場合、例えば、2つのガラス部材のうち少なくとも一方のガラス部材に着色剤を含有させればよい。
また、合わせガラス部材の表面に着色剤を含有する着色層を形成することで着色ガラスとしてもよい。具体的には、合わせガラス部材21の中間膜10側の面(内側面21X)に設けられてもよいし、合わせガラス部材21の中間膜10側の面とは反対側の面(外側面21Y)に設けられてもよい。
着色層は、ガラス部材の表面に形成される被膜であり、着色剤を含有する限りいかなる態様でもよいが、該被膜は必要に応じて、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などのバインダー成分を含んでもよく、さらに適宜添加剤が含有されてもよい。
着色ガラスは、一般的にグリーンガラス、プライシーガラスなどとして市販されているものを使用してもよい。
なお、着色ガラスにおいて、着色層は、合わせガラスの全領域に設けられる必要はなく、一部の領域のみに設けられてもよい。また、合わせガラスを構成するガラス部材そのものに着色剤を含有させ、ガラス部材を着色する場合でも、ガラス部材の一部の領域のみを着色させてもよい。
また、着色ガラス21Cを使用する態様は、図19に示すとおりに、第1及び第2の樹脂層11、12のいずれもがクリア層11D、12Dである態様を例示したが、本態様に限定されるものではなく、図2~18に示すいずれの積層構造を採用することができるし、上記で説明した図2~18以外の積層構造も採用できる。
ただし、着色ガラス21Cを使用する場合には、上記したなかでは、図19に示すとおりに第1及び第2の樹脂層11、12のいずれもがクリア層11D、12Dである態様、
第1の樹脂層11に着色層11Aが設けられる態様(例えば、図2~5参照)、第2の樹脂層12にフィラー含有層12Bが設けられる態様(例えば、図2、図6~8参照)が好ましい。
そしてさらに、第1の樹脂層11に着色層11Aが設けられる態様においては、第2の樹脂層12がクリア層12Dである態様(例えば、図4参照)、第2の樹脂層12にフィラー含有層12Bが設けられる態様(図2参照)が好ましい。また、第2の樹脂層12にフィラー含有層12Bが設けられる態様においては、第1の樹脂層11に着色層11Aが設けられる態様(図2参照)、第1の樹脂層11がクリア層11Dである態様(図7参照)が好ましい。
なお、第1の部材31と第2の部材32の色を異ならせる場合、第1の樹脂層11と、第2の樹脂層12の色を異ならせつつ、第1の合わせガラス部材21と、第2の合わせガラス部材22の色を異ならせてもよい。
本発明の合わせガラスは、自動車などの各種車両、航空機、船舶などの乗り物、建築物等の窓ガラスなどとして使用可能であるが、自動車用合わせガラスとして使用することが好ましい。自動車用合わせガラスは、ウィンドシールドガラス(フロントガラス)、サイドガラス、リアガラス、ルーフガラスのいずれでもよい。
各用途において、窓ガラスは、一般的に屋外と屋内を仕切るための部材として使用される。そして、中間膜10は、上記の通りに、第1の樹脂層11側の面である一方の面10Aが屋内側(すなわち、自動車では車内側)、第2の樹脂層12側の面である他方の面10Bが屋外側(自動車では車外側)に配置されるとよい。
本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
本実施例における測定方法及び評価方法は、以下の通りである。
[反射光の色差△E*ab(R)、(Rg)]
実施例、比較例で得られた合わせガラスの一方の面に対して、入射角90°でD65光源からの光を10°視野で測定波長300nm-2000nmの範囲で照射して、一方の面において波長間隔5nmの条件で反射光を検出し、絶対反射率測定ユニット(ARSN-733)を付属させた紫外可視近赤分光光度計「V-670」(日本分光社製)により、a*、b*、L*を測定した。また、合わせガラスの他方の面に対して、入射角90°で同様に光源からの光を照射して、他方の面において波長間隔5nmの条件で反射光を検出し、同様にa*、b*、L*を測定した。
なお、一方の面で検出されたa*、b*、L*を、a*1、b*1、L*1とし、他方の面で検出されたa*、b*、L*を、a*2、b*2、L*2をとして、以下の式(1)により色差△E*abを算出して、色差△E*ab(Rg)とした。なお、合わせガラスにおいて、2枚の合わせガラス部材がいずれも基準クリアガラス板である場合には、△E*ab(Rg)は、色差△E*ab(R)となる。
式(1):△E*ab={(a*2-a*1)+(b*2-b*1)+(L*2-L*1)1/2
[合わせガラス部材のL*、a*、b*、及び色差△E*ab(G)]
JIS Z 8781-1(2012)、JIS Z 8781-2(2012)、及びJIS Z 8781-4(2013)で規定される、CIE標準イルミナントD65、及び10°視野等色関数を用いて、第1及び第2の合わせガラス部材のL*、a*、b*を測定した。なお、第1の合わせガラス部材のa*、b*、L*を、a*1、b*1、L*1とし、第2の合わせガラス部材のa*、b*、L*を、a*2、b*2、L*2として、上記式(1)により色差△E*abを算出して、得られた値を色差△E*ab(G)とした。
[樹脂層のL*、a*、b*、及び色差△E*ab(S)]
各実施例及び比較例と同様の方法で各樹脂層を製造し、得られた樹脂層を介して合わせガラス部材を、各実施例、比較例と同様の条件で圧着させて、合わせガラス(測定用合わせガラス)を作製した。合わせガラス部材としては、基準クリアガラス板を使用した。
得られた測定用合わせガラスを絶対反射率測定ユニット(ARSN-733)を付属させた紫外可視近赤分光光度計「V-670」(日本分光社製)により第1及び第2の樹脂層のL*、a*、b*を測定した。なお、第1の樹脂層のa*、b*、L*を、a*1、b*1、L*1とし、第2の樹脂層のa*、b*、L*を、a*2、b*2、L*2として、上記式(1)により色差△E*abを算出して、得られた値を色差△E*ab(S)とした。
[反射層の反射率]
反射層の一方の面に対して、入射角90°でD65光源からの光を10°視野で測定波長300nm-2000nmの範囲で照射して、一方の面において波長間隔5nmの条件で反射光を検出し、絶対反射率測定ユニット(ARSN-733)を付属させた紫外可視近赤分光光度計「V-670」(日本分光社製)により、各波長における反射率を測定して、380~780nmの平均反射率、780~2500nmの平均反射率、380~2500nmの平均反射率を測定した。
[全日射透過率(Tts)]
全日射透過率(Tts:Total Solar Transmittance)は、ISO13837に準拠して、分光光度計(日立ハイテクノロジー社製「U-4100」)を用いて測定した。測定条件は、スキャンスピード300nm/min、スリット巾8nmとした。
[評価]
車内側または車外側からガラスを見た時に、目視で感じる見かけのメタリック感の違いを以下の4段階で評価した。なお、数字が小さいほど意匠性良い。
1:車外側はメタリック感を強く感じるが、車内側はメタリック感を感じない。
2:車外側はメタリック感を弱く感じるが、車内側はメタリック感を感じない。
3:車外側も車内側も強くメタリック感を感じる。
4:車外側も車内側も全くメタリック感を感じない。
なお、実施例、比較例で使用した各原料は、以下の通りである。
[合わせガラス部材]
CLR:クリアガラス(基準クリアガラス板)
Gray:プライバシーガラス(灰色に着色されたプライバシーガラス)
[反射層]
GM40:東レ社製、「ピカサス」、品番:GM40、面内で不均一な色相を有するナノ積層フィルム
GL40:東レ社製、「ピカサス」、品番:GL40、面内で不均一な色相を有するナノ積層フィルム
(1)熱可塑性樹脂
PVB:ポリビニルブチラール樹脂、アセタール化度69モル%、水酸基量30モル%、アセチル化度1モル%、合成に用いたPVAの平均重合度1700
(2)可塑剤
3GO:トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート
(3)フィラー(A)
フィラー1:中層が屈折率1.46のSiO層、被覆層が屈折率2.49のTiO層である図1に示す3層構造の平板形状、厚み比(各被覆層:中層=1:8)、D50:14μm、厚み0.5μm、アスペクト比:2.8
フィラー2:中層が屈折率1.46のSiO層、被覆層が屈折率2.49のTiO層である図1に示す3層構造の平板形状、厚み比(各被覆層:中層=1:9)、D50:14μm、厚み0.5μm、アスペクト比:2.8
フィラー3:TiO/SiO/ガラス/SiO/TiOの5層構造、D50=72μm、厚み:2.5μm、アスペクト比:1.5
フィラー4:中層が酸化アルミ層、被覆層がTiO/酸化スズ/酸化ジルコニウムの多層構造
フィラー5:中層がマイカ層、被覆層がTiO/酸化ジルコニウム/酸化スズの多層構造
(4)遮熱材料
ITO:錫ドープ酸化インジウム粒子
(5)着色剤
CB:カーボンブラック、ピグメントブラック7(CAS No.1333-86-4)、カーボンブラック顔料
GRN:フタロシアニン、(CAS No.147-14-8)、
[実施例1]
(中間膜の作製)
表1の配合に従って、可塑剤及びポリビニルブチラール樹脂(PVB)を押出機に投入して、押出機においてこれら混練して樹脂組成物を得て、得られた樹脂組成物から表1に示す厚みの第1及び第2の樹脂層を成形し、ナノ反射フィルム(反射層)の両面に積層して、第1の樹脂層/反射層/第2の樹脂層の3層構造の中間膜を作製した。
(合わせガラスの作製)
それぞれが縦100mm×横100mm×厚み2.5mmの2枚のクリアガラス(基準クリアガラス板)を第1及び第2の合わせガラス部材として用意した。上記で得られた中間膜を、2枚のクリアガラスの間に挟持し、真空バック法によって仮圧着した。その仮圧着された積層体を、オートクレーブ内で、温度140℃、圧力1.2MPaの条件下で20分間保持した後、23℃まで温度を下げ大気圧に戻すことにより本圧着を終了して、中間膜により2枚のクリアガラスが接着された合わせガラスを得た。得られた合わせガラスについて各光学特性を測定し、中間膜及び合わせガラスの評価結果として表1に示す。
[実施例2]
表1の配合に従って、着色剤としてのカーボンブラックを可塑剤に混合して分散させたうえで、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)とともに押出機に投入して、押出機においてこれら混練して、第1の樹脂層を形成するための樹脂組成物を得た。また、可塑剤及びポリビニルブチラール樹脂(PVB)を押出機に投入して、押出機においてこれら混練して第2の樹脂層を形成するための樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物から表1に示す厚みの第1及び第2の樹脂層を成形して、反射層の両面に積層して、第1の樹脂層/反射層/第2の樹脂層の3層構造の中間膜を作製した。その後、実施例1と同様に合わせガラスを作製した。
[実施例3]
第1の樹脂層における着色剤の含有率を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例2と同様に実施した。
[実施例4]
使用するナノ反射フィルムを表1に示すとおりに変更した以外は、実施例2と同様に実施した。
[実施例5]
表1の配合に従って、着色剤としてのカーボンブラックを可塑剤に混合して分散させたうえで、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)とともに押出機に投入して、押出機においてこれら混練して、第1の樹脂層を形成するための樹脂組成物を得た。また、フィラー(A)を可塑剤に混合して分散させたうえで、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)とともに押出機に投入して、押出機においてこれら混練して、第2の樹脂層を形成するための樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物から表1に示す厚みの第1及び第2の樹脂層を成形し、反射層の両面に積層して、第1の樹脂層/反射層/第2の樹脂層の3層構造の中間膜を作製した。その後、実施例1と同様に合わせガラスを作製した。なお、フィラー(A)は、その面方向が中間膜の面方向に沿うように配向しており、以下のフィラー(A)を使用した実施例でも同様であった。
[実施例6~9]
使用するフィラー(A)の種類を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例5と同様に実施した。
[実施例10]
使用するナノ反射フィルムを表1に示すとおりに変更した以外は、実施例5と同様に実施した。
[実施例11]
第2の樹脂層の厚みを表1に示すとおりに変更し、かつ第1の樹脂層に重ね合わせる第1の合わせガラス部材としてのクリアガラスをプライシーガラスに変更した以外は、実施例1と同様に実施した。
[実施例12]
表1の配合に従って、可塑剤及びポリビニルブチラール樹脂(PVB)に押出機に投入して、押出機においてこれら混練して、第1の樹脂層を形成するための樹脂組成物を得た。また、フィラー(A)を可塑剤に混合して分散させたうえで、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)とともに押出機に投入して、押出機においてこれら混練して、第2の樹脂層を形成するための樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物から表1に示す厚みの第1及び第2の樹脂層を成形し、反射層の両面に積層して、第1の樹脂層/反射層/第2の樹脂層の3層構造の中間膜を作製した。その後、第1の樹脂層に重ね合わせる第1の合わせガラス部材としてのクリアガラスをプライシーガラスに変更した以外は、実施例1と同様に合わせガラスを作製した。
[実施例13、14]
第1の樹脂層に重ね合わせる第1の合わせガラス部材としてのクリアガラスをプライシーガラスに変更した以外は、実施例4、5それぞれと同様に実施した。
[実施例15]
表1の配合に従って、着色剤としてのカーボンブラックを可塑剤に混合して分散させたうえで、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)とともに押出機に投入して、押出機においてこれら混練して、第1の樹脂層を形成するための樹脂組成物を得た。また、着色剤としてのカーボンブラックを可塑剤に混合して分散させたうえで、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)とともに押出機に投入して、押出機においてこれら混練して、第2の樹脂層を形成するための樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物から表1に示す厚みの第1及び第2の樹脂層を成形し、反射層の両面に積層して、第1の樹脂層/反射層/第2の樹脂層の3層構造の中間膜を作製した。その後、実施例1と同様に合わせガラスを作製した。
[実施例16]
表1の配合に従って、着色剤としてのカーボンブラックを可塑剤に混合して分散させたうえで、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)とともに押出機に投入して、押出機においてこれら混練して、第1の樹脂層を形成するための樹脂組成物を得た。また、遮熱材料を可塑剤に混合して分散させたうえで、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)とともに押出機に投入して、押出機においてこれら混練して、第2の樹脂層を形成するための樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物から表1に示す厚みの第1及び第2の樹脂層を成形し、反射層の両面に積層して、第1の樹脂層/反射層/第2の樹脂層の3層構造の中間膜を作製した。その後、実施例1と同様に合わせガラスを作製した。
[比較例1]
実施例2と同様に樹脂組成物を得て、得られた樹脂組成物から表1に示す厚みの第1及び第2の樹脂層を成形し、これらを直接積層して、第1の樹脂層/第2の樹脂層の2層構造の中間膜を作製した以外は実施例2と同様に実施した。
※phrは、PVB100質量部に対する質量部である。
※wt%は、第1の樹脂層又は第2の樹脂層における含有率(質量%)である。
表1に示すとおり、各実施例では、中間膜における反射光の色差△E*ab(R)、又は合わせガラスにおける反射光の色差△E*ab(Rg)が0.5以上であった。そのため、合わせガラスを第1の合わせガラス部材側(すなわち、一方の面側)から見たときの意匠と、第2の合わせガラス部材側(すなわち、他方の面側)から見たときの意匠が異なるものとなった。また、いずれの実施例でも第2の合わせガラス部材側(車外側)から見るとメタリック感を出すことができ、高い意匠性を有していた。
さらに、実施例2~16では、第1の樹脂層に着色剤が含有され、或いは、第1の合わせガラス部材が着色ガラスであったため、第1の合わせガラス部材側から見た意匠は、落ち着いた印象を有していた。また、第2の樹脂層にフィラー(A)を含有する実施例5~10、12、14では、第2の合わせガラス部材側から見た際には、インパクトのある外観にすることができた。
さらに、遮熱材料を使用した実施例16などでは、Ttsが高くなり遮熱性能が向上した。
それに対して、比較例1では、中間膜における反射光の色差△E*ab(R)、及び合わせガラスにおける反射光の色差△E*ab(Rg)が0.5未満であった。そのため合わせガラスを第1の合わせガラス部材側(すなわち、一方の面側)から見たときの意匠と、第2の合わせガラス部材側(すなわち、他方の面側)から見たときの意匠が十分に異ならず、高い意匠性を付与することができなかった。
10 合わせガラス用中間膜
10A 一方の面
10B 他方の面
11 第1の樹脂層
12 第2の樹脂層
11A,12A 着色層
11B,12B フィラー含有層
11C,12C 遮熱層
11D,12D クリア層
11T コア層
11S スキン層
20 合わせガラス
21 第1の合わせガラス部材
22 第2の合わせガラス部材
31 第1の部材
32 第2の部材
100 中層
111、112 被覆層

Claims (20)

  1. 一方向から入射した光に対する反射光のL*a*b*色空間と、反対方向から入射した光に対する反射光のL*a*b*色空間とにおける色差△E*abが0.5以上であり、
    反射層を備え、かつ前記反射層の波長380~780nmの範囲における平均反射率が25.0%以上である、合わせガラス用中間膜。
  2. 前記反射層がナノ積層フィルムである、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
  3. 前記反射層は、屈折率の異なる2つの樹脂層Aと樹脂層Bとを含み、これらが30層以上積層されている、請求項2に記載の合わせガラス用中間膜。
  4. 前記樹脂層Aの厚みが30nm以上500nm以下であり、前記樹脂層Bの厚みは30nm以上500nm以下である、請求項3に記載の合わせガラス用中間膜。
  5. 前記樹脂層Aと、前記樹脂層Bとの屈折率差は0.01以上0.15以下である、請求項3に記載の合わせガラス用中間膜。
  6. 前記反射層は、面内で不均一な色相を有する、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
  7. 前記反射層よりも中間膜の一方の面側に配置される、1又は2以上の第1の樹脂層を備える、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
  8. 前記1又は2以上の第1の樹脂層は、着色剤を含む着色層を少なくとも有する、請求項7に記載の合わせガラス用中間膜。
  9. 前記着色剤が顔料を含み、
    前記顔料がカーボンブラック、キナクリドン系顔料、銅フタロシアニン系顔料、ニッケル錯体アゾ系顔料、イソインドリノン顔料、及び、ペリレン系顔料からなる群から選択されるいずれか1種以上を含む、請求項8に記載の合わせガラス用中間膜。
  10. 前記反射層よりも中間膜の他方の面側に配置される、1又は2以上の第2の樹脂層を備える、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
  11. 前記第2の樹脂層が、非金属材料及び金属酸化物の少なくともいずれかを有するフィラー(A)を含む、請求項10に記載の合わせガラス用中間膜。
  12. 前記フィラー(A)が、2種類以上の金属酸化物を含む、請求項11に記載の合わせガラス用中間膜。
  13. 前記2種類以上の金属酸化物の屈折率が互いに異なる、請求項12に記載の合わせガラス用中間膜。
  14. 前記フィラー(A)が平板形状である、請求項11に記載の合わせガラス用中間膜。
  15. 前記フィラー(A)が多層構造を有する、請求項11に記載の合わせガラス用中間膜。
  16. 前記フィラー(A)のアスペクト比が1以上50以下である、請求項11~15のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
  17. 前記反射層よりも中間膜の一方の面側に配置される、1又は2以上の第1の樹脂層と、
    前記反射層よりも中間膜の他方の面側に配置される、1又は2以上の第2の樹脂層とを備え、
    前記第1の樹脂層の可視光線透過光と、前記第2の樹脂層の可視光線透過光とのL*a*b*表色系における色差△E*abが0より大きく100未満である、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
  18. 第1の合わせガラス部材と、
    第2の合わせガラス部材と、
    請求項1に記載の合わせガラス用中間膜とを備え、
    前記第1の合わせガラス部材と前記第2の合わせガラス部材との間に、前記合わせガラス用中間膜が配置される、合わせガラス。
  19. 第1の合わせガラス部材と、第2の合わせガラス部材と、合わせガラス用中間膜とを備え、
    前記第1の合わせガラス部材と前記第2の合わせガラス部材との間に、前記合わせガラス用中間膜が配置される、合わせガラスであって、
    一方向から入射した光に対する反射光のL*a*b*色空間と、反対方向から入射した光に対する反射光のL*a*b*色空間とにおける色差△E*abが0.5以上であり、
    前記合わせガラス用中間膜が反射層を備え、かつ前記反射層の波長380~780nmの範囲における平均反射率が25.0%以上である、合わせガラス。
  20. 第1の部材と、第2の部材とを備え、
    前記第1の部材が、第1の合わせガラス部材と、1又は2以上の第1の樹脂層とを有し、
    前記第2の部材が、第2の合わせガラス部材と、1又は2以上の第2の樹脂層とを有し、
    前記第1の合わせガラス部材と、前記第1の樹脂層と、前記反射層と、前記第2の樹脂層と、前記第2の合わせガラス部材とがこの順に配置されており、
    前記第1の部材の色と前記第2の部材の色とが異なる、請求項18又は19に記載の合わせガラス。
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