JP7466562B2 - 弾性波装置 - Google Patents

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Description

本開示は、共振子および帯域フィルタなどに用いられる弾性波装置に関し、より詳細には、板波を用いた弾性波装置に関する。
従来から、レイリー波またはSH(shear horizontal)波などの様々な弾性波を用いた弾性波装置が提案されている。特許文献1には、板波を利用した弾性波装置が開示されている。
特許文献1に開示されている弾性波装置は、シリコン基板と、シリコン基板上に積層された音響反射器と、当該音響反射器上に形成された圧電膜と、圧電膜上のIDT(interdigital transducer)電極とを備える。また、音響反射器は、高い弾性波インピーダンス膜と低い弾性波インピーダンス膜とを交互に積み重ねてなる。
特表2008-530874号公報
本開示の一実施態様に係る弾性波装置は、圧電膜と、前記圧電膜の上面に位置する、それぞれIDT電極を含む第1共振子および第2共振子と、を備え、板波を利用しているものである。前記圧電膜の厚みが、前記第1共振子および前記第2共振子のいずれの前記IDT電極の電極指の周期の2倍よりも小さい。そして前記第1共振子と前記第2共振子とでIDT電極の電極指のDutyが異なる。
本開示の一実施態様に係る弾性波装置は、106°Y回転X伝搬のタンタル酸リチウム単結晶、114°Y回転X伝搬のタンタル酸リチウム単結晶、または105°Y回転X伝搬ニオブ酸リチウム単結晶のいずれかからなる圧電膜と、前記圧電膜の上面に位置する、それぞれIDT電極を含む第1共振子および第2共振子と、を備え、前記圧電膜の厚みが、前記第1共振子および前記第2共振子のいずれの前記IDT電極の電極指の周期の2倍よりも小さいものである。そして、前記第1共振子と前記第2共振子とで前記電極指のDutyが異なる。
本開示の一実施態様に係る弾性波装置は、支持基板と、前記支持基板上に位置する多層膜と、前記多層膜上に位置する圧電膜と、それぞれ前記圧電膜の上面に位置するIDT電極を含む、第1共振子および第2共振子と、を備え、前記圧電膜の厚みが、前記第1共振子および前記第2共振子のいずれの前記IDT電極の電極指の周期よりも小さく、板波を利用しているものである。そして、前記多層膜が、第1層と、該第1層よりも音響インピーダンスが高い第2層とを有し、前記第1共振子と前記第2共振子とはDutyが0.29以上0.31以下である。
図1(a)は本開示の一実施形態にかかる弾性波装置の断面図であり、図1(b)は図1(a)の要部を示す模式的な平面図である。 図2は、本開示の一実施形態にかかる弾性波装置を示す回路図である。 図3は、従来の弾性波装置の周波数特性を示す線図である。 図4は、従来の弾性波装置における圧電膜の厚みとスプリアス周波数との相関を示す線図である。 図5は、本開示の実施形態にかかる弾性波装置における圧電膜の厚みとスプリアス周波数との相関を示す線図である。 図6(a)は、低周波数側の共振子を基準とした共振周波数とDutyとの相関を示す線図であり、図6(b)は、高周波数側の共振子を基準とした共振周波数とDutyとの相関を示す線図である。 図6(b)を満たす共振子の設計パラメータを示す表である。 図7に示す共振子の周波数特性を示す線図である。 図9(a)および図9(b)は、本開示の実施形態にかかる弾性波装置における共振子の圧電膜の厚みとスプリアス周波数とスプリアス強度との相関を示す線図である。 本開示の別の実施形態にかかる弾性波装置を示す断面図である。 図10に示す弾性波装置にかかる共振子の圧電膜の厚みとスプリアス周波数とスプリアス強度との相関を示す線図である。 図12(a)は、従来の弾性波装置における圧電膜の厚みとスプリアス周波数との相関を示す線図であり、図12(b)は、本開示の別の実施形態にかかる弾性波装置における圧電膜の厚みとスプリアス周波数との相関を示す線図である。 図13(a)および図13(b)は、本開示の別の実施形態にかかる弾性波装置における共振子の図6(a)および図6(b)に相当する図である。 図14(a)および図14(b)は、本開示の別の実施形態にかかる弾性波装置における共振子の図7および図8に相当する図である。
以下、図面を参照しつつ、本開示の具体的な実施形態を説明する。
図1(a)は、本開示の一実施形態にかかる弾性波装置の断面図であり、図1(b)は、図1(a)の要部を示す模式的な平面図である。図中において互いに直交するD1,D2およびD3軸を定義し、厚み方向の正方向をD3軸の正方向とする。
弾性波装置1は、板波を利用した弾性波装置である。この例では、弾性波装置1は、支持基板3と、支持基板3上に位置する多層膜5と、多層膜5上に位置する圧電膜7と、圧電膜7上に位置するIDT電極9とを備える。なお、弾性波装置1は、IDT電極9をそれぞれ含む第1共振子および第2共振子を備える。第1共振子および第2共振子は、後述する圧電膜7の厚みの設計およびIDT電極9の設計により、それぞれが所望の共振周波数を有するものとなり、かつ、スプリアスを抑制するものとなる。
支持基板3は、その上部に位置する多層膜5および圧電膜7を支持することができれば特に材料に限定はない。例えば、Si基板、セラミックス基板、ガラス基板、有機基板またはサファイア基板を用いることができる。また、例えば、水晶(SiO)、ニオブ酸リチウム(LiNbO:以下、LNという)またはタンタル酸リチウム(LiTaO:以下、LTという)等からなる圧電結晶基板を用いることができる。支持基板3は、1種の材料から構成されてもよいし、材料が異なる2以上の層が積層されるなどして2種以上の材料から構成されてもよい。
支持基板3の厚みは、上部に位置する構造を支持可能であれば特に限定されないが、例えば50μm~250μmとしてもよい。
支持基板3上には、多層膜5が位置している。支持基板3と多層膜5とは直接接合されていてもよいし、不図示の接合層、平坦化層および/または密着層等を介して間接的に接合されていてもよい。
多層膜5は、第1層11と第2層13とを交互に積層することにより構成されている。これらの材料は、例えば、第2層13の音響インピーダンスが第1層11の音響インピーダンスよりも高くなるように適宜に選択されてよい。これにより、例えば、両者の界面においては弾性波の反射率が比較的高くなる。その結果、例えば、圧電膜7を伝搬する弾性波の漏れが低減される。具体的には、例えば、第1層11の材料は、二酸化ケイ素(SiO)とされてよい。この場合において、第2層13の材料は、例えば、五酸化タンタル(Ta)、酸化ハフニウム(HfO)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化チタン(TiO)または酸化マグネシウム(MgO)とされてよい。
多層膜5の積層数は適宜に設定されてよい。例えば、多層膜5は、第1層11および第2層13の合計の積層数が3層以上12層以下とされてよい。ただし、多層膜5は、1層の第1層11と1層の第2層13との合計2層から構成されてもよい。また、多層膜5の合計の積層数は、偶数でもよいし、奇数でもよい。圧電膜7に接する層は、例えば、第1層11である。基板3に接する層については第1層11であってもよいし、第2層13であってもよい。
第1層11および第2層13の厚みは、例えば、板波の反射率が高くなるように決定されてよい。後の説明では、第1層11および第2層13の厚みの具体例として、0.20μmおよび0.17μm等の値が示される。第1層11および第2層13の厚みは、例示された値を中心として±0.01μmの範囲で設定されてもよい。
圧電膜7の材料には、例えば、LT,LN,酸化亜鉛(ZnO),窒化アルミニウム(AlN)または水晶等を用いてよい。このような圧電材料を用いて、板波を効果的に励振することができる。
具体的には、例えば、圧電膜7の材料がLTである場合においては、圧電膜7は、オイラー角(φ、θ、ψ)によって(0°±20°,-5°以上65°以下,0°±10°)と表されるものであってよい。別の観点では、圧電膜7は、回転YカットX伝搬のものとされ、また、Y軸は、圧電膜7の法線(D3軸)に対して85°以上155°以下の角度で傾斜してよい。また、上記と等価なオイラー角で表される圧電膜7が用いられてもよい。例えば、上記と等価なオイラー角としては、(180°±10°,-65°~5°,0°±10°)、およびφに120°を加算若しくは減算したものを挙げることができる。
また、例えば、圧電膜7の材料がLNである場合においては、圧電膜7は、オイラー角(φ、θ、ψ)によって(0°,0°±20°,A°)と表されるものであってよい。ただし、A°は0°以上360°以下の値である。すなわち、A°は任意の角度をとることができる。
圧電膜7の厚みは、後述のIDT電極9の電極指17のピッチp(2以上の共振子(IDT電極)が設けられている場合は例えば最小のもの)に対して2p未満の値としている。弾性波装置1は圧電膜7の厚みが極薄いため、IDT電極9に電圧が印加されたときに板波が効率よく励振される。さらに、多層膜5側に漏洩した板波を圧電膜7側に反射することで、発生した板波のロスを低減し、圧電膜7中を伝搬する板波のエネルギー強度を高くすることができる。
また、圧電膜7の厚みは、1p未満としてもよい。その場合には、IDT電極9の電極指17を安定して製造できる程度の大きさのピッチpで板波を効率よく励振することができる。さらに、圧電膜7の厚みは、0.6p未満としてもよい。その場合には、後述のスプリアスを少なくすることができる。なお、板波としては、例えばA1モードのラム波等を例示できる。
なお、板波は、変位成分に応じてラム波(弾性波伝搬方向、および圧電膜厚み方向の成分が主)とSH波(SH成分が主)に分類される。更に、ラム波は対称モード(Sモード)と反対称モード(Aモード)に分類される。圧電膜厚みの半分のラインで折り返したとき、変位が重なるものを対称モード、変位が反対方向のものを反対称モードとしている。ここで、A1モードラム波とは、1次反対称モードラム波である。
IDT電極9は、例えば、金属により形成されている。金属は、適宜な種類のものとされてよく、例えば、アルミニウム(Al)またはAlを主成分とする合金(Al合金)である。Al合金は、例えば、アルミニウム-銅(Cu)合金である。なお、IDT電極9は、複数の金属層から構成されていてもよい。例えば、AlまたはAl合金と、圧電膜7との間に、これらの接合性を強化するためのチタン(Ti)からなる比較的薄い層が設けられていてもよい。IDT電極9の厚さは適宜に設定されてよい。例えば、IDT電極9の厚さは、0.04p以上0.2p以下とされてよい。
IDT電極9は、図1(b)に示すように、一対の櫛歯状電極15を含む。櫛歯状電極15はその歯に相当する電極指17を複数備えており、この電極指17が互い違いに噛み合うように(交差するように)配置されている。
電極指17は、繰り返し配列方向(板波の伝搬方向)にピッチpで配列されている。なおピッチpは電極指17の繰り返し配列方向(板波の伝搬方向)における幅の中心の間隔を示すものとする。そして、電極指17の繰り返し配列方向における幅をwとし、w/pでIDT電極9のDutyを表すものとする。
複数の電極指17のピッチ(周期)p(互いに隣り合う2本の電極指17の中心間距離)は、IDT電極9内において基本的に一定である。なおIDT電極9は、一部にピッチpに関して特異な部分を有していてもよい。特異な部分としては、例えば、大部分(例えば8割以上)よりもピッチpが狭くなる狭ピッチ部、大部分よりもピッチpが広くなる広ピッチ部、少数の電極指17が実質的に間引かれた間引き部が挙げられる。
以下において、ピッチpという場合、特に断りがない限りは、上記のような特異な部分を除いた部分(複数の電極指17の大部分)のピッチをいうものとする。また、特異な部分を除いた大部分の複数の電極指17においても、ピッチが変化しているような場合においては、大部分の複数の電極指17のピッチの平均値をピッチpの値として用いてよい。IDT電極9のDutyについても同様である。
なお、IDT電極9はダミー電極等を備えていてもよい。また、弾性波装置1はIDT電極9の上部を覆うような絶縁膜を備えていてもよい。絶縁膜は、1種の材料からなるものであってもよいし、互いに異なる材料からなる複数の層の積層体であってもよい。絶縁膜の材料としては、例えばSiO、SiまたはTa等を用いてよい。
IDT電極9のピッチpおよびDutyについては後述する。また、IDT電極9の電極指17の配列方向の両側には、反射器電極を設けてもよい。
IDT電極9はT1とT2とを高周波信号の入出力端子とする1ポート共振子として機能する。そして、この共振子を図2に示すようにラダー型に接続することで、帯域通過型のフィルタを構成することができる。図2は、弾性波装置1の回路構成を示す図である。
図2において、弾性波装置1は、複数の直列共振子S(S1~S3)と複数の並列共振子P(P1~P3)がInとOutとの各端子間にラダー型に接続されてなる。そして、個々の共振子SおよびPが図1(b)で示すIDT電極9で構成される。なお、図2において、IDT電極9の形状は簡略化して示している。
弾性波装置1が帯域通過フィルタとして機能するためには直列共振子Sと並列共振子Pとで共振周波数を異ならせる必要がある。共振周波数fは音速Vを波長λで除した値となる(f=V/λ)。ここで波長λは2pで表される。このことから、従来の弾性波装置であれば、音速Vが一定であることからIDT電極のピッチpを変更することで共振周波数を比例関数的に調整することができる。
これに対して、実施形態にかかる弾性波装置1は、板波を用いることからIDT電極9のピッチpを調整するのみでは周波数を調整することが困難な場合がある。これは、板波の音速が、圧電膜7の厚みが薄い場合に早くなることに起因する。より詳細には、共振周波数fを低くするためにピッチpを大きくすると、波長λも大きくなる。その一方で、圧電膜7のλに対する相対厚みが小さくなることから音速Vは速くなる。この関係を、f=V/λの式にあてはめると、周波数fを低くしようとλを大きくしても、それに伴い音速Vも大きくなり、共振周波数fの変化が小さくなる。以上より、周波数fを所望の値に調整することが困難となる。これは、共振周波数の異なる共振子を同一厚みの圧電膜7に設ける場合に特有の課題である。
そこで、実施形態に係る弾性波装置1では、直列共振子Sと並列共振子Pとで、IDT電極9のピッチpを異ならせるのに加え、Dutyも異ならせることで、直列共振子Sと並列共振子Pとの共振周波数を所望の値に調整している。Dutyを変化させることでも共振周波数fを変化させることができ、また、Dutyの変化と音速Vとの関連性は低いため、効果的に共振周波数を変化させることができる。
一般的には直列共振子S(第1共振子)の共振周波数の方が並列共振子P(第2共振子)の共振周波数より高いため、直列共振子Sのピッチp1を並列共振子Pのピッチp2に比べ小さくし、かつ、直列共振子SのDutyを並列共振子PのDutyに比べ小さくすることで、所望の共振周波数を得ることができる。
上記実施形態の弾性波装置1を下記の仕様で作成した。
圧電膜7:材料 LT,カット角 114°YカットX伝搬
多層膜5:積層数 8層
第1層11:材料 SiO,厚み 0.2μm ,層数 4
第2層13:材料 HfO,厚み 0.17μm,層数 4
IDT電極9:材料 Al,厚み
直列共振子S:ピッチp1 1.0265μm ,Duty 0.3
並列共振子P:ピッチp2 1.2607μm ,Duty 0.55
支持基板3:材料 Si,厚み 200μm
また、比較のために、直列共振子Sと並列共振子PとでDutyを同一とした点を除いては同様にして構成した弾性波装置を比較例1として用意した。なお、比較例1において直列共振子Sと並列共振子Pとのピッチpは音速Vが一定と仮定した場合に所望の周波数差を得ることのできる値となっている。
この場合に、弾性波装置1の直列共振子Sの共振周波数f1は5439MHz、並列共振子Pの共振周波数f2は5052MHzであった。これに対して、比較例1の直列共振子の共振周波数は5439MHz、並列共振子の共振周波数は5190MHzとなった。これは、共振周波数と***振周波数との差分であるΔfで比較すると、弾性波装置1は387MHzであるのに対して、比較例1は249MHzとなり、十分な周波数変化を得られていないことを確認した。
2つの共振子間で、音速Vを一定と仮定したときに所望の周波数差を得られるピッチの差以上に、ピッチ差を取った上でそれに加えDutyもその周波数差を広げる方向に差をつけてもよい。すなわち、周波数の変化率以上にピッチを変化させた上にDutyを異ならせてもよい。換言すれば、f1/f2<p2/p1とされてよい。この場合、所望の周波数差を実現することが更に容易化される。具体的には、音速Vが一定の場合にはf1/f2=p2/p1となる。上記の例では、f1/f2は1.07であり、周波数の変化率は7%であるが、p2/p1は1.228であり、ピッチの変化率は約23%となっている。
このようなピッチおよびDutyの調整は、特に実現するフィルタの帯域が広いときに重要となる。具体的には比帯域幅が4%以上のときに重要性が高くなる。比帯域幅(または比帯域)は、公知のように、帯域幅(通過帯域)を中心周波数(帯域幅の中心の周波数)で割った比である。帯域幅としては、例えば、-3dB帯域幅を挙げることができる。
(圧電膜7の厚みとIDT電極9のピッチとの関係)
板波を用いた共振子には無数のスプリアスが発生する。このようなスプリアスは、圧電膜7のカット角、厚み、IDT電極9のピッチpおよび/または厚みの最適化等により、共振周波数および***振周波数の間において低減されてよい。しかしながら、上述の通り、フィルタの通過帯域を構成するためには共振周波数の異なる共振子を組み合わせる必要がある。ここで、これらスプリアス低減の最適構成を一方の共振子に合わせると、他方の共振子の最適構成から外れてしまい、結果として、弾性波装置1全体としてはスプリアスの影響が大きくなってしまう可能性がある。
図3に、共振周波数をピッチのみを用いて異ならせて構成した場合の共振子特性を示す。具体的にはピッチを0.929μm,1.018μm,1.175μmとした。実現する帯域幅が狭い場合は、少なくとも2つの異なる共振周波数を備える共振子でフィルタを実現できるが、帯域幅が広い場合には、図3に示すように、複数の(この例では3つの)共振周波数を備える共振子を必要とする。
図3において横軸は周波数、縦軸はインピーダンスの位相を示す。位相の立ち上がり(位相の山の低周波数側の境界)は、概ね、共振周波数に対応する。位相の立ち下がり(位相の山の高周波数側の境界)は、概ね、***振周波数に対応する。また、この共振子を用いて帯域通過フィルタを形成する場合の帯域も図中に示している。図3からも明らかなように通過帯域内にもスプリアスが発生している様子が確認できる。
ここで、圧電膜7の厚みを変化させたときの共振子のスプリアス発生周波数をシミュレーションによって求めた。以下も同様だが、シミュレーションは有限要素法(FEM)で行なった。FEMはソフトによる依存性は少ないが、例えば、ANSYS Mecanical Ver19.0を用いてもよい。シミュレーションの基本モデルは下記の通りである。
支持基板3:Si基板
多層膜5:8層
第1層11:材料 SiO,厚み 0.2μm ,層数 4
第2層13:材料 HfO,厚み 0.17μm ,層数 4
圧電膜7:材料 114°Y回転X伝搬LT基板
IDT電極9:材料 Al,Duty 0.5,厚み 0.13μm
なお、所望の共振周波数を実現できるように、上述の条件においてピッチpを調整している。
図4に、3つの共振周波数(5050MHz、5250MHz、5450MHz)を実現する共振子について、圧電膜7の厚みとスプリアスの周波数との相関を示す。なお、共振周波数はピッチpの変更のみで実現している。参考までに、図4中に、図3で示した3つの共振周波数を用いて実現するフィルタについて通過帯域を右端に両矢印で示している。通過帯域は具体的には5.05GHz~5.35GHzである。
図4において横軸は圧電膜の厚みtLT(単位:μm)、縦軸はスプリアスの周波数fsp(単位:MHz)である。各厚みにおいて、プロットは、インピーダンスの絶対値の極値が生じる周波数においてなされており、スプリアスの周波数だけでなく、共振点の周波数(共振周波数)もプロットされている。従って、上述した共振周波数近傍において横軸に概略平行に並ぶ複数のプロットは、共振周波数を示している。また、残りの複数のプロット(概略、横軸に対して傾斜する方向に並んでいる複数のプロット)は、スプリアスの周波数を示している。図4に示す通り、圧電膜の厚みをいずれの値に設定した場合であってもスプリアスが共振周波数近傍を含めて多く生じている様子を確認できる。
これに対して、弾性波装置1によれば、スプリアスの影響を低減させることができる。その結果を図5に示す。図5は、図4の結果からDutyを0.3~0.55まで変化させてスプリアス最少となるよう調整した場合の結果を示すものである。具体的には、共振周波数5450MHzを実現する共振子R1のDutyを0.3とし、共振周波数5250MHzを実現する共振子R2のDutyを0.3とし、共振周波数5050MHzを実現する共振子R3のDutyを0.55とし、それぞれの共振子R1~R3において生じるスプリアスの周波数をプロットした。
図5において、共振子R1~R3の共振周波数を示すL1~L3にいずれのスプリアスも重ならない領域(以下、スプリアスフリー領域という)がある。具体的には共振子R3のスプリアスの一モードM3(三角形のプロットからなる複数の配列のうちM3の引き出し線が指しているもの)と共振子R1のスプリアスの一モードM1(円形のプロットからなる複数の配列のうちM1の引き出し線が指しているもの)との間に、点線で囲うようなスプリアスフリー領域が確認できる。このような領域は図4においては確認できなかった。このように、周波数をピッチpのみではなく、Dutyも異ならせることで、共振周波数近傍にスプリアスが発生しないスプリアスフリー領域を作り出すことができることを確認した。具体的には、圧電膜7の厚みを0.414μm±0.01μmとしたときに、共振周波数近傍におけるスプリアスの発生を抑制できる。
また、共振周波数よりも高周波数側において発生するスプリアスの強度も小さくすることができる。図9(a)および図9(b)に、共振子R1と共振子R3とにおいて生じるスプリアスの周波数と基板厚みとの関係を示す。バブルの大きさがスプリアス強度を示している。この図からも基板の厚みを上述の範囲内にすることで、共振周波数よりも高周波数側、ひいては、フィルタの通過帯域よりも高周波数側におけるスプリアス強度を小さくすることができることが分かる。
このような、モードM1とモードM3とで挟まれるスプリアスフリー領域を実現する共振周波数とDutyとの関係を図6(a)および図6(b)に示す。図6(a)および図6(b)は、一般化するために、フィルタを構成するために用いられる複数の共振子のうち1つの共振子の共振周波数で規格化したときの、当該1つの共振子および他の少なくとも1つの共振子の規格化周波数をスプリアスフリー領域に位置させることのできる条件をシミュレーションしたものである。図6(a)および図6(b)において、横軸は規格化周波数(単位なし)、縦軸はDuty(単位なし)である。
図6(a)は、低周波数側の共振子を基準とした共振周波数とDutyとの相関を示す線図であり、図6(b)は、高周波数側の共振子を基準とした共振周波数とDutyとの相関を示す線図である。
図6(a)および図6(b)は、具体的には、以下のようにして求めた。
シミュレーションの条件として、共振周波数を5050MHz~5450MHzの範囲で種々設定するとともに、Dutyを0.2~0.7の範囲で種々設定した。また、設定されたDutyによって、設定された共振周波数が実現されるようにピッチpを設定した。すなわち、共振周波数およびDuty(ならびにピッチp)が互いに異なる複数の共振子を想定した。複数の共振子の他の条件は、上述した条件と同様である。
上記のように設定した複数の共振子のそれぞれについて、モードM1およびM3のスプリアスの発生周波数をシミュレーションによって求めた。別の観点では、共振子毎に、図5のようにプロットされる特性を算出した。そして、共振子毎に、モードM1およびM3のスプリアスが位置しないスプリアスフリー領域が確保されているか否か判定した。具体的には、概略、厚みtLTが0.40~0.42、かつ周波数が5050MHz~5450MHzの範囲に、モードM1およびM3(並びに他のモード)の発生周波数が位置するか否か判定し、位置しなければ、スプリアスフリー領域が確保されていると判定した。
共振周波数毎に、スプリアスフリー領域が確保される上限のDutyと、スプリアスフリー領域が確保される下限のDutyとを求めた。図6(a)および図6(b)では、求められた上限および下限のDutyが破線で示されている。図6(a)は、上述した周波数範囲の下限である5050MHzによって横軸が規格化されている。図6(b)は、上述した周波数範囲の上限である5450MHzによって横軸が規格化されている。
2以上の共振子のIDT電極9を設計する際に、図6(a)および/または図6(b)において破線で囲まれた閉空間内に座標が位置するようにDutyと共振周波数との組み合わせを決定してよい。そして、所望の共振周波数を指定のDutyで実現できるようにピッチpを調整してよい。なお、本件は板波を用いていることから、共振周波数frは、例えば、4GHz以上である。
弾性波装置1がラダー型フィルタを有している場合においては、例えば、複数の並列共振子Pのうち最も共振周波数の低い並列共振子の共振周波数を基準としたときに、複数の直列共振子Sおよび複数の並列共振子Pのうち少なくとも2以上のDutyと共振周波数との関係が図6(a)に破線で示す範囲内であってよい。および/または、複数の直列共振子Sのうち最も共振周波数の高い直列共振子の共振周波数を基準としたときに、複数の直列共振子Sおよび複数の並列共振子Pのうち少なくとも2以上のDutyと共振周波数との関係が図6(b)に破線で示す範囲内であってよい。
なお、実現したい周波数差(共振周波数の差分)の区分が、図6(a)および/または図6(b)に示す閉空間の規格化周波数方向における広がりよりも小さい場合は、閉空間の範囲内で自由に区分の起点を選ぶことができる。すなわち、図6(a)において、両矢印で示すように、例えば規格化周波数で4%に相当する区分Aを実現する際は、規格周波数1.0~1.04の範囲を用いてもよいし、規格周波数1.04から始まる範囲を用いてもよい。
図6(a)において、破線の内部に位置する規格化周波数とDutyとの組み合わせで共振子Rx1-Rx5を作成したときの条件を図7に、共振子の周波数特性を図8に示す。各共振子の図7に示す設計値以外の条件は下記の通りである。
支持基板3:Si基板
多層膜5:8層
第1層:材料 SiO,厚み 0.2μm
第2層:材料 HfO,厚み 0.17μm
圧電膜7:材料 114°Y回転X伝搬LT基板,厚み 0.406μm
IDT電極9:材料 Al,厚み 0.13μm
IDT電極9上の保護膜:材料 SiO,厚み 0.013μm
図8からも明らかなように、各共振子ともに、他の共振子の共振周波数および***振周波数近傍に図3に示すようなスプリアスは確認されなかった。特に、ラダー型フィルタを構成する場合には、並列共振子の***振周波数と直列共振子の共振周波数とを略一致させて通過帯域を構成する。ここで、図8において、低周波数側の共振子の***振周波数と、高周波数側の共振子の共振周波数とが重なる共振子の組み合わせで確認すると、通過帯域近傍にスプリアスがないことを確認できる。
さらに、図8に示す共振子の特性によれば、***振周波数の高周波数側においても大きなスプリアスは確認されないことから、高周波数側に位置する他のフィルタ等への影響も低減することができることが分かる。
以上より、実施形態にかかる弾性波装置1によれば、板波を用いることで5GHzを超える高い共振周波数の共振子を複数、同一厚みの圧電膜7上に位置させることができ、かつ、スプリアスを低減した周波数特性を実現することができる。
また、ピッチpとDutyとの双方を異ならせて共振周波数を調整することで、ロスを低減した弾性波装置1を提供することができる。その理由としては、例えば、既述のように、圧電膜中を伝搬する弾性波の音速にDutyが及ぼす影響は小さく、2つの共振子のそれぞれで最適設計が得られやすいことが挙げられる。また、例えば、下記のように、多層膜5の影響も挙げられる。
多層膜5を構成する第1層11と第2層13との膜厚は、ピッチpを元に反射率を高めるように決定されている。ここで、上述の通り、フィルタの通過帯域を構成するために、ピッチp1とピッチp2との差は通常の弾性波装置に比べて大きくなる。このため、多層膜5の各層の厚みを一方の共振子に最適なように設定すると、他方の共振子の最適構成から大きく外れることとなる。所望の周波数差をピッチpの調整のみで実現する場合には、2つの共振子でピッチpの絶対値の差が大きくなるため、他方の共振子においてロスが大きくなることとなる。これに対して、弾性波装置1によれば、2つの共振子間でピッチpの差を小さくすることができるので、多層膜の最適膜厚構成からのズレを低減し、その結果、ロスを低減することができる。
なお、上述の例では、共振周波数の異なる共振子の例として、ラダー型フィルタを構成する直列共振子と並列共振子とを例に説明したが、この限りではない。例えば、同一厚みの圧電膜上に2以上の通過帯域の異なるフィルタを配置し、一方のフィルタを構成する共振子と他方のフィルタを構成する共振子とに本開示に係る技術を適用してもよい。また、1つのフィルタを構成する共振子と、それに接続される特性調整用の共振子とに本開示に係る技術を適用してもよい。
(別の実施形態)
上述の例では、多層膜5と支持基板3とを備える構成を例に説明したが、これらを備えなくてもよい。図10に、本開示の他の実施形態に係る弾性波装置1Aの模式的な断面図を示す。
弾性波装置1Aは、圧電膜7が支持基板3に直接配置されており、かつ、圧電膜7のうちIDT電極9の位置と重なる位置において支持基板3に凹部3xが形成されている。すなわち、圧電膜7は支持基板3に空隙を介して支持されている「メンブレン」形状となっている。
図11は、図9(a)の共振子において、多層膜をなくし、支持基板3の形状を図10に示す形状とし、その他の設計は同様とした場合の圧電膜厚みとスプリアス周波数との関係を示す図である。バブルの大きさはスプリアス強度を示している。図からも明らかなように、多層膜を備える場合と、備えない場合(メンブレム形状の場合)との間に、スプリアスの強度や周波数は殆ど差異がないことを確認できた。
この結果によれば、多層膜は、板波を閉じ込めるために有用な構造ではあるが、今回検討した種類のスプリアスの低減に必須ではない(別の観点では多層膜が今回検討したスプリアスに及ぼす影響は少ない。)。
以上より、弾性波装置1に関する結果(例えば、図5~図9)は、主として圧電膜と電極指の設計に依存し、多層膜の有無、多層膜の材料や厚み、支持基板の有無、支持基板の材料や厚み等に対する依存性は低いものであることが分かった。
(別の実施形態)
上述の例では、圧電膜7としてカット角114°のLTを用いた場合を例に説明したが、他のカット角を用いたり、他の材料を用いたりしてもよい。
図12(a)に、圧電膜7として106°Y回転X伝搬LT基板を用いた場合の図4に相当する図を、図12(b)に、図5に相当する図を示す。これらの図から、カット角を異ならせた場合であっても、Dutyを調整することでスプリアスフリーとなる領域が出現することを確認した。
また、圧電膜として、105°Y回転X伝搬LN基板(オイラー角(0°,15°,0°))を用いた場合の図6(a)および図6(b)に相当する図を図13(a)および図13(b)に、図7および図8に相当する図を図14(a)および図14(b)にそれぞれ示す。これらの図からLN基板を用いた場合であっても同様にDutyを調整することでスプリアスを低減することができることを確認できた。
なお、図13(a)~図14(b)のシミュレーションにおいて、図14(a)に示す設計値以外の条件は以下の通りである。
支持基板3:Si基板
多層膜5:8層
第1層:材料 SiO,厚み 0.2μm
第2層:材料 Ta,厚み 0.14μm
圧電膜7:厚み 0.386μm
IDT電極9:材料 Al,厚み 0.11μm
IDT電極9上の保護膜:材料 SiO,厚み 0.013μm
また、この構成において、多層膜5の構成を以下のようにした場合も図13(a)~図14(b)と同様の結果を得た。
多層膜5:8層
第1層:材料 SiO,厚み 0.2μm
第2層:材料 Ta,厚み 0.16μm
(別の実施形態)
図6(a)および図6(b)において、Dutyを一定とした場合に、スプリアスフリー領域を保った状態で調整可能な共振周波数幅を確認した。その結果、Dutyを0.29以上0.31以下にすると調整可能な共振周波数幅を最大に広げることができることを確認した。このように、板波を用いた弾性波装置において、IDT電極のDutyを通常より小さい0.29以上0.31以下とすると、互いに異なる共振周波数を有する複数の共振子のそれぞれにおいて、スプリアスを低減することが容易化される。ひいては、複数の共振子を有する弾性波装置においてスプリアスを低減することが容易化される。この場合も、支持基板や多層膜は省略して、圧電膜をいわゆるメンブレン形状としてもよい。
(別の実施形態)
圧電膜の厚みは、圧電膜の加工性等を考慮して0.3p以上としてもよい。この場合には、所望の膜厚から差異の少ない厚みを実現することができるので、その結果、電気特性を良好なものとすることができる。また、圧電膜の厚みはスプリアスの影響を考えると0.6p以下としてもよいため、0.3p以上0.6p以下としてもよい。
実施形態の説明では、2つの共振子の間で、ピッチとDutyとの双方を互いに異ならせる態様を例に取った。ただし、2つの共振子は、Dutyのみが互いに異なっていてもよい。例えば、1つのフィルタ内において、複数の直列共振子は、フィルタの特性を微調整するために共振周波数が僅かにずらされることがある。このような場合において、複数の直列共振子間において、ピッチは同一で、Dutyが互いに異ならされてもよい。複数の並列共振子についても同様である。
1…弾性波装置
3…支持基板
5…多層膜
7…圧電膜
9…IDT電極

Claims (5)

  1. オイラー角(0°±20°,-5°以上65°以下、0°±10°)又はこれと等価なオイラー角のタンタル酸リチウム単結晶からなる圧電膜と、
    前記圧電膜の上面に位置する、それぞれIDT電極を含む第1共振子および第2共振子と、
    を備え、
    前記圧電膜の厚みが、前記第1共振子および前記第2共振子のいずれの前記IDT電極の電極指の周期の2倍よりも小さく、
    前記第1共振子と前記第2共振子とで前記電極指のDutyが異なり、
    前記第1共振子は、前記第2共振子の共振周波数に比べて高い共振周波数を備え、
    前記第1共振子の前記電極指の周期は、第2共振子の前記電極指の周期に比べて小さく、
    前記第1共振子の前記電極指のDutyは、第2共振子の前記電極指のDutyに比べて小さく、
    複数の直列共振子と複数の並列共振子と、がラダー型に接続されたフィルタを構成しており、
    前記複数の直列共振子の少なくとも1つが、前記第1共振子であり、
    前記複数の並列共振子の少なくとも1つが、前記第2共振子であり、
    前記複数の並列共振子のうち最も共振周波数の低い並列共振子の共振周波数を基準としたときに、前記複数の直列共振子および前記複数の並列共振子のうち少なくとも2以上のDutyと共振周波数との関係が図6(a)に破線で示す範囲内である、
    もしくは、
    前記複数の直列共振子のうち最も共振周波数の高い直列共振子の共振周波数を基準としたときに、前記複数の直列共振子および前記複数の並列共振子のうち少なくとも2以上のDutyと共振周波数との関係が図6(b)に破線で示す範囲内である、
    板波を利用する弾性波装置。
  2. 前記第2共振子の前記電極指の周期を前記第1共振子の前記電極指の周期で割った比は、前記第1共振子の共振周波数を前記第2共振子の共振周波数で割った比よりも大きい、請求項1に記載の弾性波装置。
  3. 支持基板と
    前記支持基板上に位置する多層膜と、を備え、
    前記圧電膜は、前記多層膜上に位置する、請求項1または2に記載の弾性波装置。
  4. 前記圧電膜の下に交互に積層されている第1層および第2層を備え、
    前記第1層は、SiOからなり、その厚みは0.20μm±0.01μmであり、
    前記第2層は、HfOからなり、その厚みは0.17μm±0.01μmであり、
    前記圧電膜は、114°Y回転X伝搬のタンタル酸リチウム単結晶からなる、請求項1乃至3のいずれかに記載の弾性波装置。
  5. 前記圧電膜の厚みが、前記第1共振子および前記第2共振子のいずれの前記IDT電極の電極指の周期よりも小さく、
    前記多層膜が、第1層と、該第1層よりも音響インピーダンスが高い第2層とを有し、
    前記第1共振子と前記第2共振子とはDutyが0.29以上0.31以下である、請求項3に記載の弾性波装置。
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