JP7463733B2 - 発色構造体、および、発色構造体の製造方法 - Google Patents

発色構造体、および、発色構造体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、構造色を呈する発色構造体、および、発色構造体の製造方法に関する。
モルフォ蝶等の自然界の生物の色として多く観察される構造色は、光の回折や干渉や散乱といった、物体の微細な構造に起因した光学現象の作用によって視認される色である。例えば、多層膜干渉による構造色は、相互に隣り合う薄膜の界面で光が反射し、その反射した光が干渉することによって生じる。多層膜干渉は、モルフォ蝶の翅の発色原理の1つである。モルフォ蝶の翅では、多層膜干渉に加えて、翅の表面の微細な凹凸構造によって光の散乱や回折が生じる結果、鮮やかな青色が広い観察角度において視認される。
モルフォ蝶の翅のような構造色を人工的に再現する構造として、特許文献1に記載のように、不均一に配列された微細な凹凸を有する基材の表面に、多層膜層が積層された構造が提案されている。平面に多層膜層が積層された構造では、視認される反射光の波長が観察角度によって大きく変化するため、視認される色が観察角度によって大きく変化する。これに対し、特許文献1の構造では、干渉によって強められた反射光が不規則な凹凸によって多方向に広がるため、観察角度による色の変化が緩やかになる。その結果、モルフォ蝶の翅のように広い観察角度で特定の色を呈する構造体が実現される。
特開2005-153192号公報
しかしながら、多層膜層の製造工程では、互いに異なる材料から形成された薄膜が相互に隣り合うように、複数の薄膜を精密な膜厚で順に積層することが必要である。そのため、上述したような、微細な凹凸構造に多層膜層が積層された構造体の製造に要する負荷は大きい。
本発明は、簡易な構成で、観察角度の変化による色変化を抑えることのできる発色構造体、および、発色構造体の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する発色構造体は、凹凸構造を有する凹凸層と、前記凹凸構造に追従した表面形状を有し、干渉によって強められた反射光を射出する単層の薄膜からなる誘電体層と、を備え、前記凹凸構造を構成する凸部は、前記凸部の基部が位置する平面から1段以上の段差形状を有し、前記凹凸層の表面と対向する視点から見て、前記凸部が構成するパターンは、第1方向に沿った長さがサブ波長以下であって、前記第1方向と直交する第2方向に沿った長さが前記第1方向に沿った長さ以上である複数の図形要素の集合からなるパターンを含み、前記複数の図形要素において、前記第2方向に沿った長さの標準偏差は、前記第1方向に沿った長さの標準偏差よりも大きく、前記誘電体層の材料の可視領域での消衰係数は、前記反射光における支配色の波長域にて最も小さい値を有し、前記支配色の波長域以外にて最も大きい値を有する。
上記課題を解決する発色構造体は、凹凸構造を有する凹凸層と、前記凹凸構造に追従した表面形状を有し、干渉によって強められた反射光を射出する単層の薄膜からなる誘電体層と、を備え、前記凹凸構造を構成する凸部は、前記凸部の基部が位置する平面から1段以上の段差形状を有し、前記凹凸層の表面と対向する視点から見て、前記凸部が構成するパターンは、第1方向に沿った長さがサブ波長以下であって、前記第1方向と直交する第2方向に沿った長さが前記第1方向に沿った長さ以上である複数の図形要素の集合からなるパターンを含み、前記複数の図形要素において、前記第2方向に沿った長さの標準偏差は、前記第1方向に沿った長さの標準偏差よりも大きく、前記誘電体層は、金属酸化物、金属窒化物、および、金属酸窒化物のいずれかの金属化合物からなり、当該金属化合物は、化学量論組成よりも金属元素が過剰な組成を有する。
上記構成によれば、干渉を生じさせる誘電体層が単層の薄膜であるため、多層膜層を用いる場合と比較して、発色構造体の構成が簡易となり、発色構造体の製造に要する負荷が軽減される。また、誘電体層が、可視領域の上記支配色以外の光のうちに吸収性を有するため、この吸収性を有する波長域の光が、発色構造体からの反射光に含まれることが抑えられる。したがって、発色構造体が呈する支配色の鮮明さが高められる。
上記構成において、前記誘電体層は、酸化チタンからなり、前記酸化チタンは、化学量論組成よりもチタンを多く含んでもよい。
上記構成によれば、可視領域の支配色以外の光のうちに吸収性を有する誘電体層が好適に実現される。
上記構成において、前記誘電体層は前記凹凸層に接し、前記誘電体層に対して前記凹凸層と反対側に位置し、前記反射光の強度を強める機能を有する反射層を備えてもよい。
上記構成によれば、誘電体層に対して凹凸層の位置する側から観察される発色構造体において、反射光の強度が高められる。したがって、発色構造体が呈する色の視認性が高められる。
上記構成において、前記凹凸層と前記誘電体層との間に位置し、前記反射光の強度を強める機能を有する反射層を備えてもよい。
上記構成によれば、凹凸層に対して誘電体層の位置する側から観察される発色構造体において、反射光の強度が高められる。したがって、発色構造体が呈する色の視認性が高められる。
上記構成において、前記誘電体層は、10nm以上10μm以下の厚さを有してもよい。
上記構成において、前記誘電体層の材料の屈折率は、1.5より大きく3.0以下であってもよい。
上記各構成によれば、誘電体層における光の干渉が好適に生じやすくなる。
上記構成において、前記反射層における前記誘電体層を透過した光の反射率が30%以上であってもよい。
上記構成において、前記反射層は金属材料から構成されてもよい。
上記構成において、前記反射層は、50nm以上の厚さを有してもよい。
上記各構成によれば、反射光の強度がより高められる。
上記構成において、前記凹凸層を支持する基材をさらに備えてもよい。
上記構成によれば、凹凸構造の形成にインプリント法を適用することが容易である。
上記構成において、前記凹凸層の表面と対向する視点から前記凹凸構造を見たとき、前記凸部が構成するパターンは、前記図形要素の集合からなる第1パターンと、前記第2方向に沿って延び、前記第1方向に沿って並ぶ複数の帯状領域からなる第2パターンとが重ね合わされたパターンであり、前記第2パターンにおいて、前記第1方向に沿った前記帯状領域の配列間隔は、前記複数の帯状領域において一定ではなく、前記複数の帯状領域における前記配列間隔の平均値は、前記誘電体層への入射光に含まれる波長域における最小波長の1/2以上であり、前記凸部は、前記凹凸層の厚さ方向への投影像が前記第1パターンを構成する要素であって所定の高さを有する凸部要素と、前記厚さ方向への投影像が前記第2パターンを構成する要素であって所定の高さを有する凸部要素とが高さ方向に重ねられた多段形状を有してもよい。
上記構成によれば、凹凸構造によって反射光の拡散効果と回折効果とが得られる。その結果、干渉で強められた反射光、すなわち、支配色が広い観察角度で観察可能であるとともに、この反射光の強度が高められることにより光沢感のある鮮やかな色が視認される。
上記課題を解決する発色構造体の製造方法は、凹版を形成する工程と、インプリント法を用いて前記凹版の凹凸を転写することにより、基材上に凹凸構造を有する樹脂層を形成する工程と、前記凹凸構造に追従した表面形状を有し、干渉によって強められた反射光を射出する単層の薄膜からなる誘電体層を、可視領域での消衰係数が、前記反射光における支配色の波長域に最も小さい値を有し、前記支配色の波長域以外にて最も大きい値を有する材料から形成する工程と、を含み、前記凹凸構造を構成する凸部は、前記凸部の基部が位置する平面から1段以上の段差形状を有し、前記樹脂層の表面と対向する視点から見て、前記凸部が構成するパターンは、第1方向に沿った長さがサブ波長以下であって、前記第1方向と直交する第2方向に沿った長さが前記第1方向に沿った長さ以上である複数の図形要素の集合からなるパターンを含み、前記複数の図形要素において、前記第2方向に沿った長さの標準偏差は、前記第1方向に沿った長さの標準偏差よりも大きい。
上記課題を解決する発色構造体の製造方法は、凹版を形成する工程と、インプリント法を用いて前記凹版の凹凸を転写することにより、基材上に凹凸構造を有する樹脂層を形成する工程と、前記凹凸構造に追従した表面形状を有し、干渉によって強められた反射光を射出する単層の薄膜からなる誘電体層を、金属酸化物、金属窒化物、および、金属酸窒化物のいずれかの金属化合物であって、化学量論組成よりも金属元素が過剰な組成を有する前記金属化合物から形成する工程と、を含み、前記凹凸構造を構成する凸部は、前記凸部の基部が位置する平面から1段以上の段差形状を有し、前記樹脂層の表面と対向する視点から見て、前記凸部が構成するパターンは、第1方向に沿った長さがサブ波長以下であって、前記第1方向と直交する第2方向に沿った長さが前記第1方向に沿った長さ以上である複数の図形要素の集合からなるパターンを含み、前記複数の図形要素において、前記第2方向に沿った長さの標準偏差は、前記第1方向に沿った長さの標準偏差よりも大きい。
上記製法によれば、干渉を生じさせる誘電体層が単層の薄膜であるため、多層膜層を用いる場合と比較して、発色構造体の構成が簡易となり、発色構造体の製造に要する負荷が軽減される。また、インプリント法を用いて凹凸構造が形成されるため、微細な凹凸を有する凹凸層を好適に、かつ、簡便に形成することができる。
本発明によれば、簡易な構成で、観察角度の変化による色変化を抑えることができる。
発色構造体の第1実施形態について、第1の構造の凹凸構造を有する発色構造体の断面構造を示す図。 第1実施形態の発色構造体について、(a)は、第1の構造の凹凸構造の平面構造を示す図、(b)は、第1の構造の凹凸構造の断面構造を示す図。 第1実施形態の発色構造体について、第2の構造の凹凸構造を有する発色構造体の断面構造を示す図。 第1実施形態の発色構造体について、(a)は、第2凸部要素のみからなる凹凸構造の平面構造を示す図、(b)は、第2凸部要素のみからなる凹凸構造の断面構造を示す図。 第1実施形態の発色構造体について、(a)は、第2の構造の凹凸構造の平面構造を示す図、(b)は、第2の構造の凹凸構造の断面構造を示す図。 TiOの屈折率および消衰係数の波長に応じた変化を示す図。 TiOの屈折率および消衰係数の波長に応じた変化を示す図。 アルミニウムの屈折率および消衰係数の波長に応じた変化を示す図。 ポリエチレンテレフタラートの屈折率および消衰係数の波長に応じた変化を示す図。 TiOおよびTiOの各々を用いた場合の反射光の波長を示す図。 発色構造体の第2実施形態について、発色構造体の断面構造を示す図。 変形例の発色構造体の断面構造を示す図。
(第1実施形態)
図1~図10を参照して、発色構造体、および、発色構造体の製造方法の第1実施形態を説明する。発色構造体が対象とする入射光および反射光は、可視領域の光である。以下の説明において、可視領域の光とは、360nm以上830nm以下の波長域の光を指す。
[発色構造体の構成]
図1が示すように、発色構造体10は、基材12と、凹凸層の一例である樹脂層13と、誘電体層14と、反射層15とを備えている。
基材12は、平坦な層であり、樹脂層13を支持している。基材12は、可視領域全体の光を透過する材料、すなわち、可視領域の光に対して透明な材料から構成される。例えば、基材12としては、合成石英基板や、ポリエチレンテレフタラート(PET)等の樹脂からなるフィルムが用いられる。発色構造体10の可撓性が高められる観点では、基材12は樹脂フィルムであることが好ましい。基材12の膜厚は、例えば、10μm以上100μm以下である。
樹脂層13は、基材12と接する面とは反対側の面である表面に、凹凸構造を有する。樹脂層13の有する凹凸構造は、不規則に配置された複数の凸部を含む。樹脂層13は、可視領域全体の光を透過する樹脂、すなわち、可視領域の光に対して透明な樹脂から構成される。樹脂層13の材料の樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂が用いられる。
誘電体層14は、樹脂層13の表面を覆い、樹脂層13が有する凹凸構造に追従した表面形状を有している。誘電体層14は、誘電体から構成された単層の薄膜からなる層であり、干渉によって強められた反射光を射出する。誘電体層14は、金属酸化物、金属窒化物、および、金属酸窒化物のいずれかの材料から構成される。誘電体層14における光の干渉を好適に生じさせるためには、誘電体層14の材料の屈折率は、1.5より大きく3.0以下であることが好ましく、また、誘電体層14の膜厚は10nm以上10μm以下であることが好ましい。なお、誘電体層14の材料および膜厚は、発色構造体10にて発色させる所望の色に応じて、選択されればよい。
反射層15は、誘電体層14に対して樹脂層13とは反対側で、誘電体層14に接している。反射層15は、誘電体層14の表面の凹凸構造に追従した表面形状を有している。反射層15は、干渉によって強められて射出される反射光の強度を高める機能を有する。可視領域について透過率よりも反射率の方が大きい反射層15を実現可能であれば、その材料および膜厚は限定されないが、反射光の強度をより高めるためには、反射層15は金属材料から構成されることが好ましく、反射層15の膜厚は50nm以上であることが好ましい。
第1実施形態の発色構造体10は、樹脂層13に対して基材12の位置する側から発色構造体10に入る光を入射光として、樹脂層13に対して基材12の位置する側から観察される。言い換えれば、発色構造体10は、誘電体層14に対して樹脂層13の位置する側から観察される。
基材12および樹脂層13を透過した入射光が誘電体層14に入ると、誘電体層14は、薄膜干渉による反射光を射出する。すなわち、誘電体層14と樹脂層13との界面で反射した光および誘電体層14と反射層15との界面で反射した光が干渉を起こし、これによって強められた波長域の光が射出される。反射層15が、誘電体層14に対して樹脂層13と反対側に位置することにより、反射層15が設けられていない場合と比較して、観察者に向けて射出される反射光の強度が大きくなる。そして、干渉によって強められた反射光が、樹脂層13の不規則な凹凸によって散乱されて多方向に射出されるため、観察角度による色の変化が緩やかになる。
反射光の強度を高めるためには、誘電体層14と反射層15との界面における光の反射率、すなわち、反射層15における誘電体層14を透過した光の反射率は、30%以上であることが好ましい。
上記構成において、誘電体層14の材料の屈折率をn1、樹脂層13の材料の屈折率をn2、反射層15の材料の屈折率をn3とする。n1>n2、かつ、n1>n3であるとき、干渉で強め合う可視領域の波長について下記式(1)が満たされる。下記式(1)において、dは誘電体層14の膜厚であり、mは0または任意の正の整数であり、θは入射光の入射角度であり、λは入射光の波長である。
2×n1×d×cosθ=(1/2+m)λ ・・・(1)
また、n1>n2、かつ、n1<n3であるとき、干渉で強め合う可視領域の波長について下記式(2)が満たされる。下記式(2)において、dは誘電体層14の膜厚であり、mは任意の正の整数であり、θは入射光の入射角度であり、λは入射光の波長である。
2×n1×d×cosθ=m×λ ・・・(2)
上記式(1)または(2)が満たされる構成であれば、薄膜干渉によって強められた反射光が好適に得られる。
ここで、一般に、単層の薄膜干渉あるいは多層膜干渉を生じさせるための誘電体層は、反射成分を増大させるために、可視領域全体の光を透過する材料、すなわち、可視領域の全域の光に対して透明な材料から構成される。しかしながら、単層の薄膜干渉による反射光の波長域は、多層膜干渉による反射光の波長域ほど急峻なピークを有さないため、反射光の波長選択性が低くなりやすく、その結果、反射光として視認される色の鮮明さが低くなりやすい。つまり、単層の薄膜干渉を生じさせる従来の誘電体層は、特定の色を発色させるための構造体に用いるには不向きであった。
そこで、本実施形態では、可視領域の光のうち、誘電体層14における反射光の支配色以外の少なくとも一部の光を、誘電体層14が吸収するように、誘電体層14を構成している。反射光の支配色は、すなわち、光の干渉が生じた結果、反射光において最も強度が大きくなる波長域に対応する色である。発色構造体10には支配色が視認される。
詳細には、可視領域において、誘電体層14の材料の消衰係数kは、反射光の支配色の波長域にて最も小さい値を有し、かつ、支配色の波長域以外にて最も大きい値を有する。例えば、反射光の支配色の波長域において、誘電体層14の材料の消衰係数kは0であり、当該波長域から離れるほど、上記材料の消衰係数kが大きくなる。
こうした誘電体層14は、その材料として、化学量論組成よりも金属元素が過剰な組成を有する金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物を用いることにより実現できる。これらの金属化合物は、化学量論組成を有する場合には、可視領域全体の光を透過する。そして、金属化合物の消衰係数kの最小値は、金属元素が過剰になるにつれて低波長側にシフトしやすい。なお、金属の消衰係数kは、波長が大きくなるにつれて大きくなる。
本実施形態の発色構造体10によれば、可視領域の光のうち、誘電体層14の反射光の支配色以外の少なくとも一部の光が、誘電体層14に吸収される。したがって、入射光のうち、反射光の支配色以外の光、すなわち、発色構造体10にて発色させたい色とは異なる色の光が、発色構造体10にて反射して観察者に視認されることが抑えられる。そのため、発色構造体10にて発色させたい特定の色がより鮮明に視認されるようになる。
[凹凸構造の構成]
樹脂層13が有する凹凸構造の詳細について説明する。凹凸構造としては、第1の構造と第2の構造との2つの構造のいずれもが適用可能であり、これらの2つの構造の各々について説明する。図1は、第1の構造の凹凸構造を有する発色構造体10である発色構造体10Aを示している。第1の構造の凹凸構造は、複数の凸部13aと、複数の凸部13aの間の領域である凹部13bとから構成される。
<第1の構造>
図2を参照して、第1の構造の凹凸構造の詳細を説明する。図2(a)は、樹脂層13をその表面と対向する視点から見た平面図であり、図2(b)は、図2(a)のII-II線に沿った樹脂層13の断面図である。図2(a)においては、凹凸構造を構成する凸部13aにドットを付して示している。
図2(a)が示すように、第1方向Dxと第2方向Dyとは、樹脂層13の広がる方向に沿った平面に含まれる方向であり、第1方向Dxと第2方向Dyとは直交する。上記平面は、樹脂層13の厚さ方向と直交する面である。
樹脂層13をその表面と対向する視点から見たとき、凸部13aが構成するパターンは、破線によって示す複数の矩形Rの集合からなるパターンである。矩形Rは、図形要素の一例である。矩形Rは、第2方向Dyに延びる形状を有し、矩形Rにおいて、第2方向Dyの長さd2は、第1方向Dxの長さd1以上の大きさを有する。複数の矩形Rは、第1方向Dxおよび第2方向Dyのいずれにおいても重ならないように配列されている。
複数の矩形Rにおいて、第1方向Dxの長さd1は一定である。第1方向Dxにおける複数の矩形Rの配列間隔はd1であり、すなわち、複数の矩形Rは、第1方向Dxにd1の周期で配置されている。
一方、複数の矩形Rにおいて、第2方向Dyの長さd2は不規則であって、各矩形Rにおける長さd2は、所定の標準偏差を有する母集団から選択された値である。この母集団は、正規分布に従うことが好ましい。複数の矩形Rからなるパターンは、例えば、所定の標準偏差で分布する長さd2を有する複数の矩形Rを所定の領域内に仮に敷き詰め、各矩形Rの実際の配置の有無を一定の確率に従って決定することにより、矩形Rの配置される領域と矩形Rの配置されない領域とを設定することによって形成される。誘電体層14からの反射光を効率よく散乱させるためには、長さd2は、平均値が4.13μm以下、かつ、標準偏差が1μm以下の分布を有することが好ましい。
矩形Rの配置されている領域が、凸部13aの配置される領域であり、互いに隣接する矩形Rが接する場合には、各矩形Rの配置されている領域が結合された1つの領域に1つの凸部13aが配置される。こうした構成においては、凸部13aの第1方向Dxの長さは、矩形Rの長さd1の整数倍である。
凹凸に起因して虹色の分光が生じることを抑えるために、矩形Rにおける第1方向Dxの長さd1は可視領域の光の波長以下とされる。換言すれば、長さd1は、サブ波長以下、すなわち、入射光の波長域以下の長さを有する。すなわち、長さd1は830nm以下であることが好ましく、700nm以下であることがより好ましい。さらに、長さd1は、誘電体層14における反射光の支配色の波長域よりも小さいことが好ましい。例えば、発色構造体10にて青色を発色させる場合は、長さd1は300nm程度であることが好ましく、発色構造体10にて緑色を発色させる場合は、長さd1は400nm程度であることが好ましく、発色構造体10にて赤色を発色させる場合は、長さd1は460nm程度であることが好ましい。
誘電体層14からの反射光の広がりを大きくするため、すなわち、反射光の散乱効果を高めるためには、凹凸構造の起伏が多いことが好ましく、樹脂層13の表面と対向する視点から見て、単位面積あたりにおいて凸部13aが占める面積の比率は40%以上60%以下であることが好ましい。例えば、樹脂層13の表面と対向する視点から見て、単位面積あたりにおける凸部13aの面積と凹部13bとの面積の比率は、1:1であることが好ましい。
図2(b)が示すように、凸部13aの高さh1は一定であり、凸部13aは、凸部13aの基部が位置する平面から1段の段差形状を有する。凸部13aの高さh1は、発色構造体10にて発色させる所望の色、すなわち、発色構造体10から反射させることの望まれる波長域に応じて設定されればよい。凸部13a上や凹部13b上における誘電体層14の表面粗さよりも、凸部13aの高さh1が大きければ、反射光の散乱効果は得られる。
ただし、凹凸での反射に起因した光の干渉を抑えるために、高さh1は可視領域の光の波長の1/2以下であることが好ましく、すなわち、413nm以下であることが好ましい。さらに、上記光の干渉を抑えるために、高さh1は、誘電体層14における反射光の支配色の波長域の1/2以下であることがより好ましい。
また、高さh1が過剰に大きいと、凹凸による反射光の散乱効果が高くなりすぎて、反射光の強度が低くなりやすいため、高さh1は10nm以上200nm以下であることが好ましい。例えば、青色を呈する発色構造体10では、効果的な光の広がりを得るためには、高さh1は40nm以上130nm以下の程度であることが好ましく、散乱効果が高くなりすぎることを抑えるためには、高さh1は100nm以下であることが好ましい。
なお、矩形Rは、第1方向Dxに沿って並ぶ2つの矩形Rの一部が重なるように配列されることにより、凸部13aのパターンを構成していてもよい。すなわち、複数の矩形Rは、第1方向Dxに、長さd1よりも小さい配列間隔で配置されていてもよいし、矩形Rの配列間隔は一定でなくてもよい。矩形Rが重なり合う部分では、各矩形Rの配置されている領域が結合された1つの領域に1つの凸部13aが位置する。この場合、凸部13aの第1方向Dxの長さは、矩形Rの長さd1の整数倍とは異なる長さとなる。また、矩形Rの長さd1は、一定でなくてもよく、各矩形Rにおいて、長さd2が長さd1以上であって、複数の矩形Rにおける長さd2の標準偏差が長さd1の標準偏差よりも大きければよい。こうした構成によっても、反射光の散乱効果は得られる。
<第2の構造>
図3は、第2の構造の凹凸構造を有する発色構造体10である発色構造体10Bを示している。樹脂層13が第1の構造の凹凸構造を有する形態と、第2の構造の凹凸構造を有する形態とで、発色構造体10における凹凸構造の構成以外は共通する。
第2の構造の凹凸構造を構成する凸部13cは、第1の構造の凸部13aと同様の構成を有する第1凸部要素と、帯状に延びる第2凸部要素とが、樹脂層13の厚さ方向に重畳された構造を有する。
第1の構造の凹凸構造を有する発色構造体10Aによれば、反射光の散乱効果によって視認される色の観察角度による変化は緩やかになるものの、散乱に起因した反射光の強度の低下によって、視認される色の鮮やかさは低下する。発色構造体10の用途等によっては、より鮮やかな色を広い観察角度で観察可能なシートが求められる場合もある。第2の構造における第2凸部要素は、入射光が特定の方向へ強く回折されるように配列されており、第1凸部要素に基づく光の散乱効果と第2凸部要素に基づく光の回折効果とによって、より鮮やかな色を広い観察角度で観察可能な発色構造体10Bが実現される。
図4を参照して、第2凸部要素の構成について説明する。図4(a)は、第2凸部要素のみからなる凹凸構造の平面図であり、図4(b)は、図4(a)のIV-IV線に沿った断面図である。図4(a)においては、第2凸部要素にドットを付して示している。
図4(a)が示すように、平面視において、第2凸部要素13Ebは、第2方向Dyに沿って一定の幅で延びる帯状を有し、複数の第2凸部要素13Ebは、第1方向Dxに沿って、間隔をあけて並んでいる。換言すれば、第2凸部要素13Ebが構成するパターンは、第2方向Dyに沿って延び、第1方向Dxに沿って並ぶ複数の帯状領域からなるパターンである。第2凸部要素13Ebにおける第1方向Dxの長さd3は、第1凸部要素のパターンを決定する上記矩形Rの長さd1と一致していてもよいし、異なっていてもよい。
第1方向Dxにおける第2凸部要素13Ebの配列間隔de、すなわち、第1方向Dxにおける帯状領域の配列間隔は、第2凸部要素13Ebが構成する凹凸構造の表面での反射光の少なくとも一部が、一次回折光として観測されるように設定される。一次回折光は、換言すれば、回折次数mが1または-1である回折光である。すなわち、入射光の入射角度をθ、反射光の反射角度をφ、回折する光の波長をλとした場合、配列間隔deは、de≧λ/(sinθ+sinφ)を満たす。例えば、λ=360nmである可視光線を対象とするとき、第2凸部要素13Ebの配列間隔deは180nm以上であればよく、すなわち、配列間隔deは、入射光に含まれる波長域における最小波長の1/2以上であればよい。なお、配列間隔deは、互いに隣り合う2つの第2凸部要素13Ebの端部間の第1方向Dxに沿った距離であって、第1方向Dxにおいて第2凸部要素13Ebに対して同一の側に位置する端部間の距離である。
第2凸部要素13Ebが構成するパターンの周期性は、樹脂層13が有する凹凸構造の周期性に反映される。複数の第2凸部要素13Ebの配列間隔deが一定の場合、誘電体層14の最外面での回折現象によって、誘電体層14からは、特定の波長の反射光が特定の角度に出射される。この回折による光の反射強度は、第1凸部要素に基づく光の散乱効果によって生じる反射光の反射強度と比較して非常に強いため、金属光沢のような輝きを有する光が視認されるが、一方で、回折による分光が生じ、観察角度の変化に応じて視認される色が変化する。
したがって、例えば、青色を呈する発色構造体10が得られるように誘電体層14および第1凸部要素の構造を設計したとしても、第2凸部要素13Ebの配列間隔deを400nm~5μmの程度の一定値とすると、観察角度によっては、回折に起因した強い緑色から赤色の光が観察される。これに対し、例えば、第2凸部要素13Ebの配列間隔deを50μm程度に大きくすると、可視領域の光が回折される角度の範囲が狭くなるため、回折に起因した色の変化が視認されにくくなるが、金属光沢のような輝きを有する光は特定の観察角度でのみしか観察されない。
そこで、配列間隔deを一定の値とせず、第2凸部要素13Ebのパターンを、周期が異なる複数の周期構造が重ね合わされたパターンとすれば、回折による反射光に複数の波長の光が混じり合うため、分光された単色性の高い光は視認されにくくなる。したがって、光沢感のある鮮やかな色が広い観察角度で観察される。この場合、配列間隔deは、例えば、360nm以上5μm以下の範囲から選択され、複数の第2凸部要素13Ebの配列間隔deの平均値が、入射光に含まれる波長域における最小波長の1/2以上であればよい。
ただし、配列間隔deの標準偏差が大きくなるにつれ、第2凸部要素13Ebの配列が不規則となって散乱効果が支配的になり、回折による強い反射が得られにくくなる。そのため、第2凸部要素13Ebの配列間隔deは、第1凸部要素に基づく光の散乱効果によって光が広がる角度に応じて、この光が広がる範囲と同程度の範囲に回折による反射光が出射されるように決定することが好ましい。例えば、青色の反射光が、入射角度に対して±40°の範囲に広がって出射される場合、第2凸部要素13Ebのパターンにおいて、配列間隔deを、その平均値が1μm以上5μm以下の程度であり、標準偏差が1μm程度であるように設定する。これにより、第1凸部要素に基づく光の散乱効果によって光が広がる角度と同程度の角度に回折による反射光が生じる。
すなわち、複数の第2凸部要素13Ebに基づく凹凸構造は、特定の波長域の光を回折させて取り出すための構造とは異なり、配列間隔deの分散により、回折を利用して所定の角度範囲に様々な波長域の光を射出させるための構造である。
さらに、より長周期の回折現象を生じさせるために、一辺が10μm以上100μm以下の正方形領域を単位領域とし、単位領域ごとの第2凸部要素13Ebのパターンにおいて、配列間隔deを、平均値が1μm以上5μm以下の程度、かつ、標準偏差が1μm程度としてもよい。なお、複数の単位領域のなかには、配列間隔deが1μm以上5μm以下の範囲に含まれる一定の値である領域が含まれてもよい。配列間隔deが一定である単位領域が存在したとしても、この単位領域と隣接する単位領域のいずれかにおいて、配列間隔deが標準偏差1μm程度のばらつきを有していれば、人の目の解像度においてはすべての単位領域で配列間隔deがばらつきを有している構成と同等の効果が期待できる。
なお、図4に示した第2凸部要素13Ebは、第1方向Dxのみに、配列間隔deに起因した周期性を有している。第1凸部要素に基づく光の散乱効果は、主として、発色構造体10の平面視での、第1方向Dxに沿った方向への反射光に作用するが、第2方向Dyに沿った方向への反射光にも一部影響し得る。したがって、第2凸部要素13Ebは、第2方向Dyにも周期性を有してもよい。すなわち、第2凸部要素13Ebのパターンは、第2方向Dyに延びる複数の帯状領域が、第1方向Dxと第2方向Dyとの各々に沿って並ぶパターンであってもよい。
こうした第2凸部要素13Ebのパターンにおいて、例えば、帯状領域の第1方向Dxに沿った配列間隔と第2方向Dyに沿った配列間隔との各々は、各々の平均値が1μm以上100μm以下であるようにばらつきを有していればよい。また、第1凸部要素に基づく光の散乱効果の第1方向Dxへの影響と第2方向Dyへの影響との違いに応じて、第1方向Dxに沿った配列間隔の平均値と、第2方向Dyに沿った配列間隔の平均値とは互いに異なっていてもよく、第1方向Dxに沿った配列間隔の標準偏差と、第2方向Dyに沿った配列間隔の標準偏差とは互いに異なっていてもよい。
図4(b)が示すように、第2凸部要素13Ebの高さh2は、凸部13c上や凹部13b上における誘電体層14の表面粗さよりも大きければよい。ただし、高さh2が大きくなるほど、凹凸構造が反射光に与える効果において第2凸部要素13Ebに基づく回折効果が支配的となって、第1凸部要素に基づく光の散乱効果が得られにくくなるため、高さh2は第1凸部要素の高さh1と同程度であることが好ましく、高さh2は高さh1と一致していてもよい。例えば、第1凸部要素の高さh1と第2凸部要素13Ebの高さh2とは、10nm以上200nm以下の範囲に含まれていることが好ましく、青色を呈する発色構造体10では、第1凸部要素の高さh1と第2凸部要素13Ebの高さh2とは、10nm以上130nm以下の範囲に含まれていることが好ましい。
図5を参照して、第2の構造の凹凸構造の詳細について説明する。図5(a)は、樹脂層13をその表面と対向する視点から見た平面図であり、図5(b)は、図5(a)のV-V線に沿った樹脂層13の断面図である。図5(a)においては、第1凸部要素が構成するパターンと、第2凸部要素が構成するパターンとに異なる密度のドットを付して示している。
図5(a)が示すように、樹脂層13をその表面と対向する視点から見た場合、凸部13cが構成するパターンは、第1凸部要素13Eaが構成するパターンである第1パターンと、第2凸部要素13Ebが構成するパターンである第2パターンとが重ね合わされたパターンである。すなわち、凸部13cが位置する領域には、第1凸部要素13Eaのみから構成される領域S1と、第1凸部要素13Eaと第2凸部要素13Ebとが重なっている領域S2と、第2凸部要素13Ebのみから構成される領域S3とが含まれる。なお、図5においては、第1凸部要素13Eaと第2凸部要素13Ebとが、第1方向Dxにおいてその端部が揃うように重ねられているが、こうした構成に限らず、第1凸部要素13Eaの端部と第2凸部要素13Ebの端部とはずれていてもよい。
図5(b)が示すように、領域S1では、凸部13cの高さは、第1凸部要素13Eaの高さh1である。また、領域S2では、凸部13cの高さは、第1凸部要素13Eaの高さh1と第2凸部要素13Ebの高さh2との和である。また、領域S3では、凸部13cの高さは、第2凸部要素13Ebの高さh2である。このように、凸部13cは、樹脂層13の厚さ方向への投影像が第1パターンを構成し、所定の高さh1を有する第1凸部要素13Eaと、上記厚さ方向への投影像が第2パターンを構成し、所定の高さh2を有する第2凸部要素13Ebとが、高さ方向に重ねられた多段形状を有する。ちなみに、凸部13cは、凸部13cの基部から、第1凸部要素13Eaに第2凸部要素13Ebが積層されていると捉えることもできるし、第2凸部要素13Ebに第1凸部要素13Eaが積層されていると捉えることもできる。
なお、第1凸部要素13Eaが構成するパターンと、第2凸部要素13Ebが構成するパターンとは、第1凸部要素13Eaと第2凸部要素13Ebとが重ならないように配置されてもよい。こうした構造によっても、第1凸部要素13Eaに基づく光の散乱効果と第2凸部要素13Ebに基づく光の回折効果とは得られる。ただし、第1凸部要素13Eaと第2凸部要素13Ebとを互いに重ならないように配置しようとすれば、第1の構造と比較して、単位面積あたりにおける第1凸部要素13Eaの配置可能な面積が小さくなり、光の散乱効果が低下する。したがって、凸部要素13Ea,13Ebに基づく光の散乱効果と回折効果とを高めるためには、図5に示したように、第1凸部要素13Eaと第2凸部要素13Ebとを重ねて凸部13cを多段形状とすることが好ましい。
[誘電体層の特性]
誘電体層14の特性について、シミュレーション結果を用いて説明する。当該シミュレーションにおいては、発色構造体10に青色を発色させる場合において、誘電体層14の材料として、化学量論組成の酸化チタン(TiO)を用いたときと、化学量論組成よりも金属元素が過剰な酸化チタン(TiO:0<x<2)を用いたときとの各々について、反射光の波長域を求めた。TiOは、言い換えれば、TiOに対して酸素が欠損している状態の酸化チタンである。また、当該シミュレーションにおいては、反射層15の材料にアルミニウムを適用した。
まず、図6~図8に、誘電体層14および反射層15の材料の屈折率nおよび消衰係数kを示す。図6は、TiOの屈折率nおよび消衰係数kを示し、図7は、酸素が欠損するように成膜したTiOの屈折率nおよび消衰係数kを示し、図8は、アルミニウムの屈折率nおよび消衰係数kを示す。なお、図9は、基材12として用いるポリエチレンテレフタラートの屈折率nおよび消衰係数kを示す。図6,8,9は市販品の規格値であり、図7は実測値である。
図6が示すように、TiOについては、可視領域の全体において消衰係数kが0であり、すなわち、TiOは可視領域の全体において光を透過する。一方、図7が示すように、TiOについては、青色光の波長域の一部である約410nm~約450nmの波長域において消衰係数kが0であり、当該波長域から離れるにつれて、消衰係数kが大きくなっている。例えば、約750nm以上の波長域での消衰係数kは、0.05付近である。このように、化学量論組成よりも金属元素が過剰な酸化チタンにおいては、消衰係数kが、青色光の波長域にて最も小さく、青色光以外の波長域で、青色光の波長域よりも大きい。当該消衰係数kは、可視領域においては、赤色光の波長域にて最大となる。なお、図6および図7が示すように、TiOとTiOとで、屈折率nには差異はない。
TiOとTiOとの各々について、入射光の入射角を30°、反射層15の膜厚を0.1μmとし、誘電体層14と反射層15との積層体からの反射光の支配色が青色となる最適な膜厚を、遺伝的アルゴリズムを用いて探索した。その結果、青色発色に適したTiOの膜厚は0.0682μmであり、青色発色に適したTiOの膜厚は0.0624μmであった。
誘電体層14の材料としてTiOとTiOとの各々を用いた場合について、誘電体層14の膜厚を上記青色発色に適した膜厚とし、反射層15の膜厚を0.1μmとして、誘電体層14と反射層15との積層体からの反射光の波長域を求めた。図10は、その結果を示す。なお、図10には、参考値として、青色発色の多層膜層における反射光の波長域を示す。この多層膜層は、TiO薄膜とSiO薄膜との交互積層体である。
図10が示すように、単層の薄膜からなる誘電体層14を用いた場合、多層膜層を用いた場合と比べて、青色光以外の波長域、すなわち、支配色とは異なる色に対応する波長域での反射光の強度が大きいことがわかる。しかし、誘電体層14の材料としてTiOを用いた場合と、TiOを用いた場合とを比較すると、TiOを用いた場合の方が、青色光以外の波長域での反射光の強度が低くなっている。このことは、上述のように、青色光以外の波長域において、TiOの消衰係数kがTiOの消衰係数kよりも大きいことに因る。すなわち、TiOからなる誘電体層14は、青色光以外の光の吸収性を有しており、その結果、可視領域全体で吸収性を有さないTiOを用いた場合と比較して、青色光以外の波長域、言い換えれば、青色光の波長域よりも長波長領域での反射光の強度が低くなっている。
したがって、単層の薄膜からなる誘電体層14を用いる場合においては、TiOを用いた場合よりも、TiOを用いた場合の方が、反射光に含まれる青色以外の色の光が少なくなり、結果として、青色の反射光が視認されやすくなる。言い換えれば、より鮮やかな青色が観察される。
なお、TiOとTiOとをそれぞれ用いた場合について、誘電体層14の膜厚を、青色発色に適したTiOの膜厚に統一した場合、および、青色発色に適したTiOの膜厚に統一した場合のいずれにおいても、同様の結果が得られた。すなわち、TiOを用いた場合の方が、青色光以外の波長域での反射光の強度が低くなった。
[発色構造体の製造方法]
上記発色構造体10の製造方法を説明する。
まず、基材12上に樹脂層13が形成される。樹脂層13の凹凸構造の形成方法としては、例えば、ナノインプリント法が用いられる。例えば、光ナノインプリント法によって樹脂層13の凹凸構造を形成する場合、まず、形成対象の凹凸の反転された凹凸を有する凹版であるモールドの凹凸が形成された面に、樹脂層13の材料を含む塗布液が塗布される。樹脂層13の材料としては、光硬化性を有する樹脂が用いられる。塗布液の塗布方法は特に限定されず、インクジェット法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、スリットコート法、グラビアコート法等の公知の塗布法が用いられればよい。
次いで、塗布液からなる層の表面に、基材12が重ねられ、基材12とモールドとが互いに押し付けられた状態で、基材12側もしくはモールド側から光が照射される。続いて、硬化した樹脂からなる層および基材12からモールドが離型される。これによって、モールドの有する凹凸が樹脂に転写されて、表面に凹凸を有する樹脂層13が形成され、基材12と樹脂層13とからなる積層体が形成される。モールドは、例えば、合成石英やシリコンから構成され、光または荷電粒子線を照射するリソグラフィやドライエッチング等の公知の微細加工技術を利用して形成される。
なお、塗布液は、基材12の表面に塗布され、基材12上の塗布液からなる層にモールドが押し当てられた状態で、光の照射が行われてもよい。また、光ナノインプリント法に代えて、熱ナノインプリント法が用いられてもよい。
続いて、樹脂層13の凹凸を有する表面に、誘電体層14が形成される。さらに、誘電体層14の表面に、反射層15が形成される。誘電体層14および反射層15は、材料に応じて、スパッタリングや真空蒸着等の公知の薄膜形成技術によって形成される。これにより、発色構造体10が形成される。
誘電体層14の成膜時における材料の導入量の調整によって、化学量論組成よりも金属元素が過剰な組成を有する金属化合物の生成が可能である。例えば、金属酸化物からなる誘電体層14の形成時には、化学量論組成を有する薄膜の形成時よりも酸素流量を減じることで、金属元素が過剰な組成を有する誘電体層14を形成できる。
本実施形態の発色構造体10は、干渉を生じさせる層として、単層の薄膜からなる誘電体層14を備えるため、干渉を生じさせる層として多層膜層を備える構造と比較して、その構成が簡易であり、必要な薄膜の形成数が少ない。また、多層膜層を備える構造と比較して、1つの薄膜の膜厚の製造誤差が発色構造体10の発色に与える影響が小さい。そのため、発色構造体10の製造に要する負荷の軽減が可能であり、所望の発色も得られやすい。
以上、第1実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)干渉を生じさせる誘電体層14が単層の薄膜であるため、多層膜層を用いる場合と比較して、発色構造体10の構成が簡易となる。したがって、不規則な凹凸による光の散乱効果によって観察角度の変化による色変化が抑えられた発色構造体10において、その製造に要する負荷が軽減される。
(2)誘電体層14が、可視領域において反射光の支配色以外の光の吸収性を有するため、この吸収性を有する波長域の光が、発色構造体10からの反射光に含まれることが抑えられる。したがって、発色構造体10が呈する支配色の鮮明さが高められる。
具体的には、誘電体層14の材料の可視領域での消衰係数kが、誘電体層14における反射光の支配色の波長域にて最も小さい値を有し、支配色の波長域以外にて最も大きい値を有する。また、誘電体層14は、金属酸化物、金属窒化物、および、金属酸窒化物のいずれかの金属化合物からなり、当該金属化合物は、化学量論組成よりも金属元素が過剰な組成を有する。これらによって、上記効果が得られる。
(3)発色構造体10が、誘電体層14に対して樹脂層13と反対側に位置する反射層15を備えている。これにより、誘電体層14に対して樹脂層13の位置する側から観察される発色構造体10において、反射光の強度が高められる。したがって、発色構造体10が呈する色の視認性が高められる。
(4)誘電体層14が10nm以上10μm以下の厚さを有すること、および、誘電体層14の材料の屈折率が1.5より大きく3.0以下であることの各々によって、誘電体層14における光の干渉が好適に生じやすくなる。
(5)反射層15における誘電体層14を透過した光の反射率が30%以上であること、反射層15が金属材料から構成されること、および、反射層15が50nm以上の厚さを有することの各々によって、反射光の強度がより高められる。
(6)樹脂層13が第2の構造の凹凸構造を有する形態では、凹凸構造によって反射光の拡散効果と回折効果とが得られる。その結果、干渉で強められた反射光、すなわち、支配色が広い観察角度で観察可能であるとともに、この反射光の強度が高められることにより光沢感のある鮮やかな色が視認される。
(7)インプリント法を用いて樹脂層13の凹凸構造が形成されるため、微細な凹凸を有する樹脂層13を好適に、かつ、簡便に形成することができる。また、発色構造体10が樹脂層13を支持する基材12を備える構成であれば、インプリント法の適用が容易に可能である。
(第2実施形態)
図11を参照して、発色構造体、および、発色構造体の製造方法の第2実施形態を説明する。第2実施形態では、誘電体層と反射層との位置関係が、第1実施形態と異なる。以下では、第2実施形態と第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
図11が示すように、第2実施形態の発色構造体11においては、樹脂層13に反射層15が接し、反射層15に対して樹脂層13と反対側に誘電体層14が位置している。すなわち、第2実施形態の発色構造体11では、樹脂層13に対する誘電体層14と反射層15との位置が第1実施形態とは反対になっており、樹脂層13と誘電体層14との間に反射層15が挟まれている。誘電体層14は、発色構造体11の最外層であり、空気層に接している。
第2実施形態においても、樹脂層13が有する凹凸構造としては、第1実施形態で説明した第1の構造と第2の構造とのいずれもが適用可能である。図11では、樹脂層13が第2の構造の凹凸構造を有する形態を例示している。第2実施形態における基材12および樹脂層13の構成は、第1実施形態と同様である。
反射層15は、樹脂層13の表面を覆い、樹脂層13が有する凹凸構造に追従した表面形状を有している。誘電体層14は、反射層15の表面の凹凸構造に追従した表面形状を有しており、すなわち、樹脂層13が有する凹凸構造に追従した表面形状を有している。誘電体層14と反射層15との位置関係以外の構成、すなわち、誘電体層14と反射層15との材料および特性は、第1実施形態と同様である。
また、誘電体層14と反射層15との形成の順序が反対であること以外は、発色構造体11の製造方法は、第1実施形態と同様である。
第2実施形態の発色構造体11は、樹脂層13に対して基材12と反対側から発色構造体11に入る光を入射光として、樹脂層13に対して基材12と反対側、すなわち、樹脂層13に対して誘電体層14が位置する側から観察される。
誘電体層14に光が入射すると、誘電体層14は、薄膜干渉による反射光を射出する。すなわち、誘電体層14と空気層との界面で反射した光および誘電体層14と反射層15との界面で反射した光が干渉を起こし、これによって強められた波長域の光が射出される。反射層15が、誘電体層14に対して樹脂層13と同じ側に位置することにより、反射層15が設けられていない場合と比較して、観察者に向けて射出される反射光の強度が大きくなる。そして、干渉によって強められた反射光が、不規則な凹凸によって散乱されて多方向に射出されるため、観察角度による色の変化が緩やかになる。
上記構成において、誘電体層14の材料の屈折率をn1、空気の屈折率をn4、反射層15の材料の屈折率をn3とする。n1>n4、かつ、n1>n3であるとき、干渉で強め合う可視領域の波長について下記式(3)が満たされる。下記式(3)において、dは誘電体層14の膜厚であり、mは0または任意の正の整数であり、θは入射光の入射角度であり、λは入射光の波長である。
2×n1×d×cosθ=(1/2+m)λ ・・・(3)
また、n4<n1<n3であるとき、干渉で強め合う可視領域の波長について下記式(4)が満たされる。下記式(4)において、dは誘電体層14の膜厚であり、mは任意の正の整数であり、θは入射光の入射角度であり、λは入射光の波長である。
2×n1×d×cosθ=m×λ ・・・(4)
上記式(3)または(4)が満たされる構成であれば、薄膜干渉によって強められた反射光が好適に得られる。
第2実施形態においても、誘電体層14の材料としては、化学量論組成よりも金属元素が過剰な組成を有する金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物が用いられる。そして、可視領域において、誘電体層14の材料の消衰係数kは、誘電体層14における反射光の支配色の波長域にて最も小さい値を有し、かつ、支配色の波長域以外にて最も大きい値を有する。
したがって、可視領域の光のうち、誘電体層14における反射光の支配色以外の少なくとも一部の光が、誘電体層14に吸収される。それゆえ、入射光のうち、反射光の支配色以外の光、すなわち、発色構造体11にて発色させたい色とは異なる色の光が、発色構造体11にて反射して観察者に視認されることが抑えられるため、発色構造体11にて発色させたい特定の色がより鮮明に視認されるようになる。
以上、第2実施形態によれば、第1実施形態の(1),(2),(4)~(7)の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(8)発色構造体11が、誘電体層14と樹脂層13との間に位置する反射層15を備えている。これにより、樹脂層13に対して誘電体層14の位置する側から観察される発色構造体11において、反射光の強度が高められる。したがって、発色構造体11が呈する色の視認性が高められる。
[変形例]
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。
・発色構造体は、反射層15に代えて、吸収層を備えていてもよい。吸収層は、観察者から見て誘電体層14よりも奥に位置する。例えば、樹脂層13に対して誘電体層14の位置する側から発色構造体が観察される場合、図12が示すように、吸収層16は、基材12における樹脂層13と反対側の面を覆う。吸収層16は、少なくとも、可視領域の光のうち、誘電体層14における反射光の支配色以外の光の一部を吸収する。吸収層16は、黒色顔料等を含む黒色の層であって、可視領域全体の光を吸収してもよい。吸収層が設けられていることにより、誘電体層14における反射光の支配色の波長域とは異なる波長域の光が、発色構造体内部の各層の界面や、発色構造体とその外部との界面で反射して観察者に向けて射出されることが抑えられる。したがって、発色構造体に視認される支配色の鮮明さが高められる。
また、樹脂層13に対して誘電体層14の位置する側から発色構造体が観察される場合、樹脂層13と誘電体層14との間に代えて、図12の吸収層16の位置、すなわち、基材12における樹脂層13と反対側の面を覆う位置に反射層が設けられていてもよい。誘電体層14と樹脂層13と基材12とを透過して反射層によって反射される光に、支配色以外の光が混じっていても、誘電体層14が支配色以外の光の吸収性を有するため、支配色以外の光が観察者に向けて射出されることは抑えられる。結果として、反射層は、反射光における支配色の光の強度をさらに高めることに寄与する。
・発色構造体は、基材12と反対側で発色構造体の最外部を構成する保護層や、紫外線吸収機能を有する層等、上記各実施形態および変形例で説明した層とは異なる層をさらに備えていてもよい。
・基材12に凹凸構造が形成され、基材12が凹凸層として機能してもよい。すなわち、凹凸構造を有する基材12の表面に、誘電体層14や反射層15である機能層が積層されていてもよい。この場合、凹凸構造は、例えば、ドライエッチング法を用いて形成される。
・凹凸層における凹凸構造の第1の構造にて凸部13aが構成するパターン、および、第2の構造にて第1凸部要素13Eaが構成するパターンを構成する図形は、矩形に限られない。これらのパターンを構成する図形は、長円等であってもよく、要は、第2方向Dyに沿った長さが第1方向Dxに沿った長さ以上である形状を有する図形要素であればよい。そして、図形要素における第1方向Dxの長さd1と第2方向Dyの長さd2とが、第1の構造の説明にて述べた各種の条件を満たしていればよい。
・凹凸層の凹凸構造を構成する凸部は、基部から頂部に向かって第1方向Dxの幅が徐々に小さくなる構成を有していてもよい。こうした構成によれば、凸部に誘電体層14や反射層15が成膜されやすくなる。この場合、第1方向Dxの長さd1や長さd3は、凸部の底面が構成するパターンにて規定される。
・発色構造体の用途は特に限定されない。発色構造体は、装飾のために物品に付されてもよいし、偽造の防止のために物品に付されてもよい。また、各用途において、発色構造体は、シール部材に適用されて物品に貼り付けられてもよいし、転写シートに適用されて物品に転写されてもよい。
[実施例]
上述した発色構造体およびその製造方法を、具体的な実施例を用いて説明する。本実施例の発色構造体は、第1実施形態に対応する構造を有する。
まず、光インプリント法を用いて凹凸構造を形成するためのモールドを形成した。光ナノインプリント法において照射する光として、365nmの波長の光を用いるため、この波長の光を透過する合成石英をモールドの材料として用いた。樹脂層への形成対象の凹凸の反転された凹凸を、電子線描画およびドライエッチング法を用いて合成石英基板に形成することにより、モールドを形成した。形成対象の凹凸構造は、第2の構造の凹凸構造である。モールドの表面には、離型剤としてオプツールHD-1100(ダイキン工業製)を塗布した。
次に、片面に易接着処理が施されたPETフィルム上に光硬化性樹脂を塗布し、この樹脂にモールドの凹凸が形成されている面を押し当て、365nmの波長の光を照射して樹脂を硬化させた。その後、硬化した樹脂およびPETフィルムをモールドから剥離した。これにより、凹凸構造を有する樹脂層と基材であるPETフィルムとの積層体が得られた。
続いて、得られた樹脂層と基材との積層体の凹凸を有する面に、スパッタリング法によって、誘電体層として、膜厚が60nmである1層の酸化チタン膜を形成した。この際、チャンバーに導入する酸素流量を調整することによって、化学量論組成よりも金属元素が過剰になるように、酸化チタン膜を形成した。さらに、誘電体層の上面に、スパッタリング法によって、反射層として、膜厚が100nmである1層のアルミニウム膜を形成した。
これにより、実施例の発色構造体が得られた。実施例の発色構造体を誘電体層に対して樹脂層の位置する側から観察した。基材の面に直交する方向に対して30°傾斜した方向から観察した結果、光沢感のある青色が視認性良く確認された。
さらに、誘電体層に対して樹脂層の位置する側に射出される反射光の角度依存性を測定した。発色構造体に対して白色光を30°の入射角で入射させた結果、正反射光に対して±30°の範囲で散乱光が確認された。
Dx…第1方向、Dy…第2方向、10,11…発色構造体、12…基材、13…樹脂層、13a,13c…凸部、13b…凹部、13Ea…第1凸部要素、13Eb…第2凸部要素、14…誘電体層、15…反射層。

Claims (10)

  1. 凹凸構造を有する凹凸層と、
    前記凹凸構造に追従した表面形状を有し、干渉によって強められた反射光を射出する単層の薄膜からなる誘電体層と、を備え、
    前記凹凸構造を構成する凸部は、前記凸部の基部が位置する平面から1段以上の段差形状を有し、前記凹凸層の表面と対向する視点から見て、前記凸部が構成するパターンは、第1方向に沿った長さがサブ波長以下であって、前記第1方向と直交する第2方向に沿った長さが前記第1方向に沿った長さ以上である矩形状を有する複数の図形要素の集合からなるパターンを含み、前記複数の図形要素において、前記第2方向に沿った長さの標準偏差は、前記第1方向に沿った長さの標準偏差よりも大きく、
    前記誘電体層は、酸化チタンからなり、前記酸化チタンは、化学量論組成よりもチタンを多く含む
    発色構造体。
  2. 前記誘電体層は前記凹凸層に接し、
    前記誘電体層に対して前記凹凸層と反対側に位置し、前記反射光の強度を強める機能を有する反射層を備える
    請求項に記載の発色構造体。
  3. 前記凹凸層と前記誘電体層との間に位置し、前記反射光の強度を強める機能を有する反射層を備える
    請求項に記載の発色構造体。
  4. 前記誘電体層は、10nm以上10μm以下の厚さを有する
    請求項1~のいずれか一項に記載の発色構造体。
  5. 前記誘電体層の材料の屈折率は、1.5より大きく3.0以下である
    請求項1~のいずれか一項に記載の発色構造体。
  6. 前記反射層における前記誘電体層を透過した光の反射率が30%以上である
    請求項またはに記載の発色構造体。
  7. 前記反射層は金属材料から構成される
    請求項2,3,6のいずれか一項に記載の発色構造体。
  8. 前記反射層は、50nm以上の厚さを有する
    請求項2,3,6,7のいずれか一項に記載の発色構造体。
  9. 前記凹凸層を支持する基材をさらに備える
    請求項1~のいずれか一項に記載の発色構造体。
  10. 凹版を形成する工程と、
    インプリント法を用いて前記凹版の凹凸を転写することにより、基材上に凹凸構造を有する樹脂層を形成する工程と、
    前記凹凸構造に追従した表面形状を有し、干渉によって強められた反射光を射出する単層の薄膜からなる誘電体層を、化学量論組成よりもチタンを多く含む酸化チタンから形成する工程と、を含み
    前記凹凸構造を構成する凸部は、前記凸部の基部が位置する平面から1段以上の段差形状を有し、前記樹脂層の表面と対向する視点から見て、前記凸部が構成するパターンは、第1方向に沿った長さがサブ波長以下であって、前記第1方向と直交する第2方向に沿った長さが前記第1方向に沿った長さ以上である矩形状を有する複数の図形要素の集合からなるパターンを含み、前記複数の図形要素において、前記第2方向に沿った長さの標準偏差は、前記第1方向に沿った長さの標準偏差よりも大きい
    発色構造体の製造方法。
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