JP7004134B2 - 発色シート、転写箔、成形体、および、転写箔の製造方法 - Google Patents

発色シート、転写箔、成形体、および、転写箔の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、構造色を呈する発色シート、転写箔、成形体、および、転写箔の製造方法に関する。
モルフォ蝶等の自然界の生物の色として多く観察される構造色は、色素が呈する色のように分子における電子遷移に起因して視認される色とは異なり、光の回折や干渉や散乱といった、物体の微細な構造に起因した光学現象の作用によって視認される色である。
例えば、多層膜干渉による構造色は、相互に隣り合う薄膜の屈折率が互いに異なる多層膜層において、多層膜の各界面で反射した光が干渉することによって生じる構造色であり、多層膜干渉は、モルフォ蝶の翅の発色原理の1つである。モルフォ蝶の翅では、多層膜干渉に加えて、翅の表面の微細な凹凸構造によって光の散乱や回折が生じる結果、鮮やかな青色が広い観察角度において視認される。
モルフォ蝶の翅のような構造色を人工的に再現する構造として、特許文献1に記載のように、不均一に配列された微細な凹凸を有する基材の表面に、多層膜層が積層された構造が提案されている。
多層膜層において、干渉によって強められる光の波長は、多層膜層の各層にて生じる光路差によって変わり、光路差は各層の膜厚および屈折率に応じて決まる。そして、干渉によって強められた光の出射方向は、入射光の入射角度に依存した特定の方向に限定される。したがって、平面に多層膜層が積層された構造では、視認される反射光の波長が観察角度によって大きく変化するため、視認される色が観察角度によって大きく変化する。
これに対し、特許文献1の構造では、不規則な凹凸の上に多層膜層が積層されていることにより、干渉によって強められた反射光が多方向に広がるため、観察角度による色の変化が緩やかになる。その結果、モルフォ蝶の翅のように広い観察角度で特定の色を呈する発色体が実現される。
特開2005-153192号公報
上記発色体の構造は、例えば、発色シートに適用される。発色シートは、例えば、物品に貼り付けられて物品の装飾等に利用される。
ここで、特許文献1に記載の発色体においては、基材として石英ガラス基板が用いられ、ドライエッチングによって基材の表面の凹凸が形成される。石英ガラス基板の可撓性は低いため、こうした発色体の構造を発色シートに適用すると、発色シートの柔軟性が低くならざるを得ない。発色シートの柔軟性が低いと、物品の曲面に発色シートを貼り付ける場合に、曲面に発色シートを沿わせるために大きな圧力や熱を要したり、曲面と発色シートとの密着性が低くなって発色シートが剥がれやすくなったりする。
本発明は、柔軟性の向上を可能とした発色シート、転写箔、成形体、および、転写箔の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する発色シートは、多層膜層と接着層とを備える発色シートであって、前記多層膜層は、第1面と、前記第1面とは反対側の面である第2面とを有し、前記多層膜層において相互に隣接する層の屈折率は互いに異なり、前記多層膜層への入射光のうちの特定の波長域での光の反射率が他の波長域での光の反射率よりも高く、前記第1面は前記多層膜層で構成された凹凸構造を有して前記発色シートの最外面を構成し、前記凹凸構造を構成する凹部は前記凹部の開口する平面から1段以上に窪み、前記第1面と対向する方向から見て、前記凹部が構成するパターンは、第1方向に沿った長さがサブ波長以下であって、前記第1方向と直交する第2方向に沿った長さが前記第1方向に沿った長さ以上である複数の図形要素の集合からなるパターンを含み、前記複数の図形要素において、前記第2方向に沿った長さの標準偏差は、前記第1方向に沿った長さの標準偏差よりも大きく、前記接着層は、前記多層膜層に対して前記第2面と対向する側に位置して前記発色シートの最外面を構成する。
上記課題を解決する発色シートは、多層膜層と接着層と保護層とを備える発色シートであって、前記多層膜層は、第1面と、前記第1面とは反対側の面である第2面とを有し、前記多層膜層において相互に隣接する層の屈折率は互いに異なり、前記多層膜層への入射光のうちの特定の波長域での光の反射率が他の波長域での光の反射率よりも高く、前記第1面は前記多層膜層で構成された凹凸構造を有し、前記凹凸構造を構成する凹部は前記凹部の開口する平面から1段以上に窪み、前記第1面と対向する方向から見て、前記凹部が構成するパターンは、第1方向に沿った長さがサブ波長以下であって、前記第1方向と直交する第2方向に沿った長さが前記第1方向に沿った長さ以上である複数の図形要素の集合からなるパターンを含み、前記複数の図形要素において、前記第2方向に沿った長さの標準偏差は、前記第1方向に沿った長さの標準偏差よりも大きく、前記接着層は、前記多層膜層に対して前記第2面と対向する側に位置して前記発色シートの最外面を構成し、前記保護層は樹脂を含む層であって前記第1面を覆い、前記接着層とは反対側で前記発色シートの最外面を構成する。
上記構成によれば、発色シートが、多層膜層の凹凸構造の形成に用いられた基材を備えていないため、特に発色シートが合成石英からなる基材を備える構成と比較して、発色シートの柔軟性が高められる。したがって、被着体の表面に発色シートが沿いやすくなるため、発色シートを被着体に固定する際に発色シートにかかる加熱や加圧等の負荷の低減が可能である。また、発色シートと被着体との密着性が高められるため、発色シートが被着体から剥がれにくくなる。
また、多層膜層が発色シートの最外面を構成する形態であれば、特に発色シートの厚さを小さく抑えることが可能である。また、多層膜層が保護層に覆われ、保護層が発色シートの最外面を構成する形態であれば、多層膜層が有する凹凸構造の保護が可能である。
上記構成において、前記保護層は、塗布層であってもよい。
上記構成によれば、多層膜層の凹凸構造を保護する層として好適な保護層が実現される。
上記構成において、前記第2面と前記接着層との間に、前記入射光のうち前記多層膜層を透過する光の少なくとも一部を吸収する光吸収性を有する吸収層を備えてもよい。
上記構成によれば、多層膜層を透過した光の少なくとも一部は吸収層によって吸収され、透過光が第1面側に返ってくることが抑えられる。したがって、第1面側から発色シートを観察した場合に、多層膜層からの反射光とは異なる波長域の光が視認されることが抑えられるため、反射光による色の視認性が低下することが抑えられる。
また、発色シートが接着層とは別に吸収層を備えるため、接着層が光吸収性を有する構成と比較して、接着層の材料の選択や吸収層の材料の選択の自由度が高まる。したがって、接着層の接着性や吸収層の光吸収性の調整の自由度が高く得られる。
上記構成において、前記吸収層は、黒色顔料を含み、前記第2面と前記吸収層との間に、前記吸収層の接着性を高めるアンカー層を備えてもよい。
上記構成によれば、吸収層が可視領域において広い波長域の光を吸収可能であるため、入射光が可視領域の光である構成において、多層膜層の構成に応じた透過光の波長域の差異に関わらず、透過光を好適に吸収する吸収層が実現できる。そして、アンカー層によって、顔料を含む吸収層を多層膜層の上に好適に固定することができる。
上記構成において、前記接着層は、前記入射光のうち前記多層膜層を透過する光の少なくとも一部を吸収する光吸収性を有してもよい。
上記構成によれば、多層膜層を透過した光の少なくとも一部は接着層によって吸収され、透過光が第1面側に返ってくることが抑えられる。したがって、第1面側から発色シートを観察した場合に、多層膜層からの反射光とは異なる波長域の光が視認されることが抑えられるため、反射光による色の視認性が低下することが抑えられる。
また、接着層が光吸収性を有しているため、発色シートが接着層とは別に光吸収性を有する層を備える構成と比較して、発色シートの層構成が簡易になり、発色シートを薄くすることが可能である。
上記構成において、前記第1面と対向する方向から見て、前記凹部が構成するパターンは、前記複数の図形要素の集合からなるパターンであり、前記凹部の深さは一定であってもよい。
上記構成によれば、多層膜層の凹凸構造によって反射光の拡散効果が得られ、多層膜層からの反射光として特定の波長域の光が広い角度で観察される。
上記構成において、前記第1面と対向する方向から見て、前記凹部が構成するパターンは、前記複数の図形要素の集合からなる第1パターンと、前記第2方向に沿って延び、前記第1方向に沿って並ぶ複数の帯状領域からなる第2パターンとが重ね合わされたパターンであり、前記第1方向に沿った前記帯状領域の配列間隔は、前記複数の帯状領域において一定ではなく、その平均値が前記入射光に含まれる波長域における最小波長の1/2以上であり、前記凹部は、前記第1面と対向する方向への投影像が前記第1パターンを構成する要素であって所定の深さを有する凹部要素と、前記第1面と対向する方向への投影像が前記第2パターンを構成する要素であって所定の深さを有する凹部要素とが深さ方向に並んだ多段形状を有してもよい。
上記構成によれば、多層膜層の凹凸構造によって反射光の拡散効果と回折効果とが得られ、多層膜層からの反射光として特定の波長域の光が広い観察角度で観察可能であるとともに、この反射光の強度が高められることにより光沢感のある鮮やかな色が視認される。
上記課題を解決する成形体は、上記発色シートと、前記発色シートが固定された被着体と、を備える。
上記構成によれば、発色シートの柔軟性が高められているため、被着体における発色シートの固定される面の形状の自由度が高まり、また、発色シートが被着体から剥がれにくい成形体が実現される。
上記課題を解決する転写箔は、表面に凹凸構造を有する剥離層と、前記凹凸構造に追従した表面形状を有する多層膜層であって、当該多層膜層において相互に隣接する層の屈折率が互いに異なり、当該多層膜層への入射光のうちの特定の波長域での光の反射率が他の波長域での光の反射率よりも高い前記多層膜層と、前記多層膜層に対して前記剥離層と反対側に位置する接着層と、を備え、前記凹凸構造を構成する凸部は、前記凸部の位置する平面から1段以上の段差形状を有し、前記剥離層の表面と対向する方向から見て、前記凸部が構成するパターンは、第1方向に沿った長さがサブ波長以下であって、前記第1方向と直交する第2方向に沿った長さが前記第1方向に沿った長さ以上である複数の図形要素の集合からなるパターンを含み、前記複数の図形要素において、前記第2方向に沿った長さの標準偏差は、前記第1方向に沿った長さの標準偏差よりも大きく、前記剥離層は、前記多層膜層に対して剥離可能に構成されている。
上記構成によれば、剥離層が多層膜層に対して剥離可能に構成されているため、接着層を被着体に貼り付けて転写箔を被着体に固定した後、剥離層を多層膜層から剥離することができる。それゆえ、転写箔を用いることによって、多層膜層の凹凸構造の形成に用いられた基材を備えていない、柔軟性の高い発色シートを被着体上に配置することができる。
上記構成において、前記剥離層は、基材と、基材の表面に位置して前記凹凸構造を有する樹脂層とを備え、前記樹脂層は、離型剤を含んでもよい。
上記構成によれば、多層膜層に対して剥離可能な剥離層が好適に実現される。また、凹凸構造が樹脂層に形成されているため、剥離層の凹凸構造の形成に、ナノインプリント法等の、微細な凹凸を好適にかつ簡便に形成可能な製造方法を用いることが可能である。
上記構成において、前記剥離層と前記多層膜層との間に、離型剤を含む層を備えてもよい。
上記構成によれば、多層膜層に対して剥離可能な剥離層が好適に実現される。
上記構成において、前記剥離層は、物理的な外部刺激を受けることに基づいて前記多層膜層に対する剥離性を発現してもよい。
上記構成によれば、外部刺激の有無や外部刺激を与えるタイミングによって、剥離層の剥離を制御することができる。
上記課題を解決する転写箔の製造方法は、凹版の有する凹凸をナノインプリント法を用いて樹脂を含む層に転写することにより、表面に凹凸構造を有する剥離層を形成する第1工程と、前記凹凸構造に沿って、多層膜層を、当該多層膜層において相互に隣接する層の屈折率が互いに異なり、当該多層膜層への入射光のうちの特定の波長域での光の反射率が他の波長域での光の反射率よりも高くなるように形成する第2工程と、前記多層膜層に対して前記剥離層とは反対側に接着層を形成する第3工程と、を含み、前記第1工程では、前記剥離層の表面と対向する方向から見て、前記凹凸構造を構成する1段以上の凸部の構成するパターンが、第1方向に沿った長さがサブ波長以下であって、前記第1方向と直交する第2方向に沿った長さが前記第1方向に沿った長さ以上である複数の図形要素の集合からなるパターンを含み、前記複数の図形要素において、前記第2方向に沿った長さの標準偏差が、前記第1方向に沿った長さの標準偏差よりも大きくなるように前記凹凸構造を形成し、かつ、前記剥離層を前記多層膜層に対して剥離可能に形成する。
上記製法によれば、多層膜層の凹凸構造の形成に用いられる層が、多層膜層に対して剥離に形成される。したがって、柔軟性の高い発色シートを被着体に転写することのできる転写箔が得られる。また、ナノインプリント法を用いて剥離層の凹凸構造が形成されるため、微細な凹凸構造を好適に、かつ、簡便に形成することができる。
本発明によれば、発色シートの柔軟性を向上することができる。
転写箔の第1実施形態について、転写箔の断面構造を示す断面図。 第1実施形態の転写箔について、(a)は、剥離層が有する凹凸構造の平面構造を示す平面図、(b)は、剥離層が有する凹凸構造の断面構造を示す断面図。 第1実施形態の転写箔を被着体に貼り付けた状態を示す模式図。 第1の発色シートが転写された被着体である成形体を示す模式図。 第1実施形態の発色シートの断面構造を示す断面図。 第1実施形態の変形例の発色シートの断面構造を示す断面図。 転写箔の第2実施形態について、転写箔の断面構造を示す断面図。 第2実施形態の転写箔について、(a)は、第2凸部要素のみからなる凹凸構造の平面構造を示す平面図、(b)は、第2凸部要素のみからなる凹凸構造の断面構造を示す断面図。 第2実施形態の転写箔について、(a)は、剥離層が有する凹凸構造の平面構造を示す平面図、(b)は、剥離層が有する凹凸構造の断面構造を示す断面図。 第2実施形態の発色シートの断面構造を示す断面図。
(第1実施形態)
図1~図6を参照して、発色シート、転写箔、成形体、および、転写箔の製造方法の第1実施形態を説明する。なお、発色シートに対する入射光および反射光の波長域は特に限定されないが、以下の実施形態においては、一例として、可視領域の光を対象とした発色シートについて説明する。以下の説明において、可視領域の光とは、360nm以上830nm以下の波長域の光を指す。
[転写箔の構成]
まず、転写箔の構成を説明する。転写箔は、物品等の被着体に発色シートを貼り付けるために用いられるシートである。詳細には、転写箔は、転写箔が備える発色シートを被着体に転写するために用いられる。
図1が示すように、転写箔10は、剥離層15と、多層膜層16と、アンカー層17と、吸収層18と、接着層19とを備えている。このうち、多層膜層16、アンカー層17、吸収層18、および、接着層19が、発色シート11を構成する。すなわち、転写箔10は、剥離層15と発色シート11との積層体である。
剥離層15は、平坦な層である基材12と、基材12の表面に位置する樹脂層13とを備える。樹脂層13は、基材12と接する面とは反対側の面である表面に、凹凸構造を有する。樹脂層13の有する凹凸構造は、複数の凸部15aと、複数の凸部15aの間の領域である凹部15bとから構成され、凸部15aは、不規則な長さを有して略帯状に延びる部分から構成される。
剥離層15は可視領域の光を透過する材料から形成されていることが好ましい。基材12としては、例えば、合成石英基板や、ポリエチレンテレフタラート(PET)等の樹脂からなるフィルムが用いられる。転写箔10の可撓性が高められる観点では、基材12は樹脂から構成されていることが好ましい。樹脂層13を構成する樹脂としては、例えば、光硬化性樹脂が用いられる。基材12の膜厚は、例えば、10μm以上100μm以下である。
剥離層15は、発色シート11の多層膜層16から剥離可能に構成されている。例えば、樹脂層13は、シリコーンオイルやフッ素化合物等の離型剤として機能する成分を含有している。
多層膜層16は、樹脂層13の表面を覆い、樹脂層13の凹凸構造に追従した表面形状を有している。多層膜層16は、樹脂層13に接する面である第1面16Fと、第1面16Fとは反対側の面である第2面16Sとを有している。第1面16Fは、樹脂層13の凹凸構造における凸部15aと凹部15bとが反転された凹凸からなる凹凸構造を有している。第2面16Sは、樹脂層13の凹凸構造に追従した凹凸構造を有している。
多層膜層16は、高屈折率層16aと低屈折率層16bとが交互に積層された構造を有する。高屈折率層16aの屈折率は、低屈折率層16bの屈折率よりも大きい。例えば、剥離層15と接する第1面16Fを高屈折率層16aが構成し、第2面16Sを低屈折率層16bが構成する。樹脂層13における凸部15a上と凹部15b上とで、多層膜層16の構成、すなわち、多層膜層16を構成する各層の材料や膜厚や積層順序は一致している。
こうした多層膜層16に光が入射すると、多層膜層16における高屈折率層16aと低屈折率層16bとの各界面で反射した光が干渉を起こすとともに多層膜層16の最外面における不規則な凹凸に起因して進行方向を変える結果、特定の波長域の光が広い角度に出射される。この反射光として強く出射される特定の波長域は、高屈折率層16aと低屈折率層16bとの材料および膜厚、ならびに、凹凸の幅、高さおよび配置によって決まる。
高屈折率層16aと低屈折率層16bとは、可視領域の光を透過する材料、すなわち、可視領域の光に対して透明な材料から構成される。高屈折率層16aの屈折率が、低屈折率層16bの屈折率よりも高い構成であれば、これらの層の材料は限定されないが、高屈折率層16aと低屈折率層16bとの屈折率の差が大きいほど、少ない積層数で高い強度の反射光が得られる。こうした観点から、例えば、高屈折率層16aと低屈折率層16bとを無機材料から構成する場合、高屈折率層16aを二酸化チタン(TiO)から構成し、低屈折率層16bを二酸化珪素(SiO)から構成することが好ましい。ただし、高屈折率層16aおよび低屈折率層16bの各々は有機材料から構成されてもよい。
高屈折率層16aおよび低屈折率層16bの各々の膜厚は、発色シート31にて発色させる所望の色に応じて、転送行列法等を用いて設計されればよい。例えば、青色を呈する発色シート31の場合は、TiOからなる高屈折率層16aの膜厚は40nm程度であることが好ましく、SiOからなる低屈折率層16bの膜厚は75nm程度であることが好ましい。
なお、図1では、多層膜層16として、剥離層15に近い位置から高屈折率層16aと低屈折率層16bとがこの順に交互に積層された10層からなる多層膜層16を例示したが、多層膜層16が有する層数や積層の順序はこれに限られず、所望の波長域の反射光が得られるように高屈折率層16aと低屈折率層16bとが設計されていればよい。例えば、第1面16Fを低屈折率層16bが構成し、その上に高屈折率層16aと低屈折率層16bとが交互に積層されている構成でもよい。また、多層膜層16における第2面16Sを構成する層も、高屈折率層16aと低屈折率層16bとのいずれであってもよい。さらに、低屈折率層16bと高屈折率層16aとが交互に積層されていれば、第1面16Fを構成する層と第2面16Sを構成する層との材料が同じであってもよい。さらに多層膜層16は、3つ以上の屈折率の異なる層の組み合わせによって構成されてもよい。
要は、多層膜層16は、相互に隣接する層の屈折率が互いに異なり、多層膜層16に入射する光のうち特定の波長域での光の反射率が他の波長域での反射率よりも高いように構成されていればよい。
アンカー層17、吸収層18、および、接着層19は、多層膜層16に対して、第2面16Sと対向する側に位置する。
アンカー層17は、多層膜層16の第2面16Sを覆い、多層膜層16と吸収層18とに挟まれている。アンカー層17は、吸収層18における下層に対する接着性を高める機能を有する。換言すれば、アンカー層17は、多層膜層16に対する吸収層18の固定の強度を高めている。アンカー層17を構成する材料としては、例えば、ビニル樹脂等が用いられる。アンカー層17の膜厚は、例えば、1μm以上10μm以下である。
吸収層18は、アンカー層17に対して多層膜層16と反対側でアンカー層17に接し、多層膜層16を透過した光を吸収する光吸収性を有する。例えば、吸収層18は、光吸収剤や黒色顔料等の可視領域の光を吸収する材料を含む層である。具体的には、吸収層18は、カーボンブラック、チタンブラック、黒色酸化鉄、黒色複合酸化物等の黒色の無機顔料が樹脂に混合された層であることが好ましい。吸収層18の膜厚は、例えば、1μm以上10μm以下である。
接着層19は、吸収層18に対して多層膜層16と反対側で吸収層18に接し、接着性を有する。接着層19を構成する材料としては、例えば、アクリル系樹脂等が用いられる。接着層19の膜厚は、例えば、10μm以上100μm以下である。
なお、転写箔10における接着層19の多層膜層16とは反対側の表面は、接着層19を保護して接着性の低下を抑えるための保護シートで覆われていてもよい。
[凹凸構造の構成]
図2を参照して、剥離層15が有する凹凸構造の詳細について説明する。図2(a)は、樹脂層13をその表面と対向する方向から見た平面図であり、図2(b)は、図2(a)のII-II線に沿った樹脂層13の断面構造を示す断面図である。図2(a)においては、凹凸構造を構成する凸部15aにドットを付して示している。
図2(a)が示すように、第1方向Dxと第2方向Dyとは、剥離層15の広がる方向に沿った平面に含まれる方向であり、第1方向Dxと第2方向Dyとは直交する。上記平面は、剥離層15の厚さ方向と直交する面である。
樹脂層13をその表面と対向する方向から見たとき、凸部15aが構成するパターンは、破線によって示す複数の矩形Rの集合からなるパターンである。矩形Rは、図形要素の一例である。矩形Rは、第2方向Dyに延びる形状を有し、矩形Rにおいて、第2方向Dyの長さd2は、第1方向Dxの長さd1以上の大きさを有する。複数の矩形Rは、第1方向Dxおよび第2方向Dyのいずれにおいても重ならないように配列されている。
複数の矩形Rにおいて、第1方向Dxの長さd1は一定であり、複数の矩形Rは、第1方向Dxに、長さd1の配列間隔、すなわち、長さd1の周期で配置されている。
一方、複数の矩形Rにおいて、第2方向Dyの長さd2は不規則であって、各矩形Rにおける長さd2は、所定の標準偏差を有する母集団から選択された値である。この母集団は、正規分布に従うことが好ましい。複数の矩形Rからなるパターンは、例えば、所定の標準偏差で分布する長さd2を有する複数の矩形Rを所定の領域内に仮に敷き詰め、各矩形Rの実際の配置の有無を一定の確率に従って決定することにより、矩形Rの配置される領域と矩形Rの配置されない領域とを設定することによって形成される。多層膜層16からの反射光を効率よく散乱させるためには、長さd2は、平均値が4.15μm以下、かつ、標準偏差が1μm以下の分布を有することが好ましい。
矩形Rの配置されている領域が、凸部15aの配置される領域であり、互いに隣接する矩形Rが接する場合には、各矩形Rの配置されている領域が結合された1つの領域に1つの凸部15aが配置される。こうした構成においては、凸部15aの第1方向Dxの長さは、矩形Rの長さd1の整数倍である。
多層膜層16の凹凸によって虹色の分光が生じることを抑えるために、矩形Rにおける第1方向Dxの長さd1は可視領域の光の波長以下とされる。換言すれば、長さd1は、サブ波長以下、すなわち、入射光の波長域以下の長さを有する。すなわち、長さd1は830nm以下であることが好ましく、700nm以下であることがより好ましい。さらに、長さd1は、多層膜層16から反射される上記特定の波長域の光が有するピーク波長よりも小さいことが好ましい。例えば、発色シート11にて青色を発色させる場合は、長さd1は300nm程度であることが好ましく、発色シート11にて緑色を発色させる場合は、長さd1は400nm程度であることが好ましく、発色シート11にて赤色を発色させる場合は、長さd1は460nm程度であることが好ましい。
多層膜層16からの反射光の広がりを大きくするため、すなわち、反射光の散乱効果を高めるためには、凹凸構造の起伏が多いことが好ましく、樹脂層13の表面と対向する方向から見て、単位面積あたりにおいて凸部15aが占める面積の比率は40%以上60%以下であることが好ましい。例えば、樹脂層13の表面と対向する方向から見て、単位面積あたりにおける凸部15aの面積と凹部15bとの面積の比率は、1:1であることが好ましい。
図2(b)が示すように、凸部15aの高さh1は一定であり、凸部15aは、凸部15aの位置する平面から1段の段差形状を有する。凸部15aの高さh1は、発色シート11にて発色させる所望の色、すなわち、発色シート11から反射させることの望まれる波長域に応じて設定されればよい。凸部15a上や凹部15b上における多層膜層16の表面粗さよりも、凸部15aの高さh1が大きければ、反射光の散乱効果は得られる。
ただし、多層膜層16の凹凸での反射に起因した光の干渉を抑えるために、高さh1は可視領域の光の波長の1/2以下であることが好ましく、すなわち、415nm以下であることが好ましい。さらに、上記光の干渉を抑えるために、高さh1は、多層膜層16から反射される上記特定の波長域の光が有するピーク波長の1/2以下であることがより好ましい。
また、高さh1が過剰に大きいと、多層膜層16における反射光の散乱効果が高くなりすぎて、反射光の強度が低くなりやすいため、反射光が可視領域の光である場合、高さh1は10nm以上200nm以下であることが好ましい。例えば、青色を呈する発色シート11では、効果的な光の広がりを得るためには、高さh1は40nm以上150nm以下の程度であることが好ましく、散乱効果が高くなりすぎることを抑えるためには、高さh1は100nm以下であることが好ましい。
なお、矩形Rは、第1方向Dxに沿って並ぶ2つの矩形Rの一部が重なるように配列されることにより、凸部15aのパターンを構成していてもよい。すなわち、複数の矩形Rは、第1方向Dxに、長さd1よりも小さい配列間隔で配置されていてもよいし、矩形Rの配列間隔は一定でなくてもよい。矩形Rが重なり合う部分では、各矩形Rの配置されている領域が結合された1つの領域に1つの凸部15aが位置する。この場合、凸部15aの第1方向Dxの長さは、矩形Rの長さd1の整数倍とは異なる長さとなる。また、矩形Rの長さd1は、一定でなくてもよく、各矩形Rにおいて、長さd2が長さd1以上であって、複数の矩形Rにおける長さd2の標準偏差が長さd1の標準偏差よりも大きければよい。こうした構成によっても、多層膜層16における反射光の散乱効果は得られる。
[転写箔の製造方法]
上記転写箔10の製造方法を説明する。
まず、剥離層15が形成される。樹脂層13の凹凸構造の形成方法としては、例えば、ナノインプリント法が用いられる。例えば、光ナノインプリント法によって樹脂層13の凹凸構造を形成する場合、まず、形成対象の凹凸の反転された凹凸を有する凹版であるモールドの凹凸が形成された面に、樹脂層13の材料である光硬化性樹脂を含む塗布液が塗布される。塗布液には離型剤も含まれる。塗布液の塗布方法は特に限定されず、インクジェット法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、スリットコート法、グラビアコート法等の公知の塗布法が用いられればよい。
次いで、塗布液からなる層の表面に、基材12が重ねられ、基材12とモールドとが互いに押し付けられた状態で、基材12側もしくはモールド側から光が照射される。続いて、硬化した光硬化性樹脂を含む層および基材12からモールドが離型される。これによって、モールドの有する凹凸が光硬化性樹脂に転写されて、表面に凹凸を有する樹脂層13が形成され、基材12と樹脂層13とからなる剥離層15が形成される。モールドは、例えば、合成石英やシリコンから構成され、光または荷電粒子線を照射するリソグラフィやドライエッチング等の公知の微細加工技術を利用して形成される。
なお、塗布液は、基材12の表面に塗布され、基材12上の塗布液からなる層にモールドが押し当てられた状態で、光の照射が行われてもよい。
また、光ナノインプリント法に代えて、熱ナノインプリント法が用いられてもよく、この場合、樹脂層13を構成する樹脂としては、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等の、製造方法に応じた樹脂が用いられる。
続いて、剥離層15の凹凸を有する表面に、多層膜層16を構成する層が順に積層される。多層膜層16を構成する高屈折率層16aと低屈折率層16bとが無機材料から形成される場合、高屈折率層16aおよび低屈折率層16bの各々は、スパッタリング、真空蒸着、あるいは、原子層堆積法等の公知の薄膜形成技術を用いて形成される。また、高屈折率層16aおよび低屈折率層16bの各々が有機材料から形成される場合、高屈折率層16aおよび低屈折率層16bの形成には、自己組織化等の公知の技術が用いられればよい。
続いて、多層膜層16の上面である第2面16Sに、アンカー層17が形成される。アンカー層17は、例えば、インクジェット法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、スリットコート法、グラビアコート法等の公知の塗布法を用いて形成される。
続いて、アンカー層17の表面に、吸収層18が形成される。吸収層18は、例えば、インクジェット法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、スリットコート法、グラビアコート法等の公知の塗布法を用いて形成される。吸収層18の形成のための塗布液であるインクには、必要に応じて、溶媒が混合されてもよい。溶媒としては、吸収層18を構成する樹脂と相性のよい溶媒が選択されればよく、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、キシレン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等が挙げられる。
続いて、吸収層18の表面に、接着層19が形成される。接着層19は、例えば、インクジェット法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、スリットコート法、グラビアコート法等の公知の塗布法を用いて形成される。
これにより、転写箔10が形成される。
[発色シートおよび成形体]
上記転写箔10から被着体への発色シート11の転写方法を説明しつつ、発色シート11および成形体の構成について説明する。なお、発色シート11は、例えば、被着体である物品の意匠性を高める目的で用いられてもよいし、物品の偽造の困難性を高める目的で用いられてもよいし、これらの目的を兼ねて用いられてもよい。
図3が示すように、転写箔10は、接着層19が被着体61と接するように、被着体61に貼り付けられる。すなわち、転写箔10が被着体61に固定されている状態において、剥離層15の基材12が外側に向けられている。被着体61の形状や材料は特に限定されず、被着体61は、接着層19の接着可能な表面を有していればよい。
図4が示すように、転写箔10が被着体61に固定された後、発色シート11から剥離層15が剥離される。例えば、剥離層15を被着体61と反対側に引っ張る力が剥離層15に加えられることにより、剥離層15が引き剥がされる。
これにより、転写箔10から被着体61に発色シート11が転写され、発色シート11が被着体61の表面に固定される。そして、発色シート11と被着体61とから構成される成形体60が得られる。
図5が示すように、被着体61に転写された後において、発色シート11における多層膜層16の第1面16Fは発色シート11の最外面を構成し、外気に露出されている。また、接着層19は、発色シート11における第1面16Fと反対側の最外面を構成する。
上述のように、第1面16Fが有する凹凸構造は、剥離層15の有する凹凸の凸部15aと凹部15bとが反転された凹凸から構成される。すなわち、第1面16Fと対向する方向から見たとき、第1面16Fが有する凹部11aが構成するパターンは、複数の矩形Rの集合からなるパターンであり、矩形Rの幅の分布や矩形Rの配置について、樹脂層13の表面と対向する方向から見た凸部15aの構成するパターンと同様の特徴を有する。
また、凹部11aの深さk1は、凸部15aの高さh1と一致し、凹部11aの深さk1は、一定である。すなわち、凹部11aは、凹部11aの開口する平面から1段に窪む形状を有している。
[作用]
本実施形態の作用について説明する。上述のように、発色シート11の製造時に、多層膜層16の凹凸構造を形成するために用いられた基材12および樹脂層13からなる層は、多層膜層16に対して剥離可能に構成されており、発色シート11が被着体61に貼り付けられた後に、剥離される。このように、発色シート11は製造時の基材を有さないため、発色シート11の柔軟性が高められる。
例えば、基材12および樹脂層13を含めた構造体から発色シートが構成され、多層膜層16に加えて、基材12および樹脂層13も被着体61に固定される場合、発色シートが被着体61の曲面に固定された状態を保つためには、多層膜層16だけでなく、基材12および樹脂層13も曲面に沿う形状に変形させる必要がある。そのためには、例えば、被着体61が樹脂から構成される場合、ラミネート加飾工法等を用いて、被着体61と発色シートを一体化させることが行われる。しかしながら、ラミネート加飾工法では、加熱処理や加圧処理や真空処理が行われるため、発色シートにかかる物理的あるいは化学的な負荷が大きい。結果として、多層膜層16の有する凹凸構造が崩れて、所望の発色が得られ難くなる場合がある。また、発色シートの取り付け対象として用いることのできる被着体61の材質や表面形状にも制約が生じる。
また、ラミネート加飾工法が用いられる場合に限らず、基材12および樹脂層13における被着体61の表面への形状の追従性が低いと、発色シートが被着体61から剥がれやすくなる。
これに対し、本実施形態によれば、基材12および樹脂層13は剥離されるため、これらの層を塑性変形として被着体61の表面に沿う形状に変形させる必要はない。基材12および樹脂層13は、転写箔10が被着体61に貼り付けられてから剥離層15が剥離されるまでの短期間において被着体61の表面に沿う程度の可撓性は有しているため、加熱や加圧等の大きな負荷を発色シート11にかけずとも、転写箔10を用いて発色シート11を被着体61に固定することができる。そして、被着体61に固定された発色シート11は、製造時の基材を有さないが故に柔軟性が高いため、発色シート11と被着体61の表面との密着性が高くなる結果、発色シートが被着体61から剥がれることも抑えられる。
さらに、製造時の基材を有している場合と比較して、発色シート11の厚さが薄くなる。したがって、成形体60において発色シート11が貼り付けられている部分が盛り上がることが抑えられる。それゆえ、発色シート11が装飾のために用いられる場合には、その装飾性を高めることも可能である。
また、多層膜層16は可視領域の光に対して透明な材料から形成されているため、入射光に含まれる波長域のうち、多層膜層16にて反射される特定の波長域以外の波長域の光の一部は、多層膜層16を透過する。この透過光の波長域は多層膜層16における反射光の波長域とは異なり、透過光の色は、主として、反射光の色の補色である。そのため、こうした透過光が視認されると、反射光による色の視認性が低下する。
本実施形態では、発色シート11が吸収層18を備えていることにより、多層膜層16の透過光は吸収層18に吸収され、この透過光が被着体61の表面等で反射されて多層膜層16の第1面16F側に射出されることが抑えられる。したがって、第1面16F側から見て、多層膜層16からの反射光とは異なる波長域の光が視認されることが抑えられるため、反射光による色の視認性が低下することが抑えられ、発色シート11において所望の発色が好適に得られる。
なお、上記実施形態では転写箔10を被着体61に貼り付けて固定した後、剥離層15を多層膜層16から剥離する例について説明した。発色シート11の被着体61への固定の手順はこの順に限定されず、例えば、被着体61に貼り付ける前に転写箔10にて剥離層15を剥離し、その後に発色シート11を被着体61に貼り付けてもよい。これにより、柔軟性が高められた状態で発色シート11が被着体61に貼り付けられるため、被着体61における発色シート11の固定される面の形状の自由度がより高まる。この場合、転写箔10は、剥離層15の剥離の際に接着層19を保護して接着性の低下を抑えるための保護シートを備えていることがさらに好ましい。
[変形例]
発色シート11の変形例について説明する。
図6が示すように、発色シート11は、多層膜層16の第1面16Fを覆う保護層20を備えていてもよい。この場合、保護層20が、発色シート11の最外面を構成する。保護層20は、樹脂を含む塗布層であり、可視領域の光に対して光透過性を有する材料、すなわち、可視領域の光に対して透明な材料から構成される。保護層20を構成する材料としては、例えば、アクリル系樹脂等が用いられる。例えば、保護層20が、フッ素を含む樹脂から構成される形態であれば、発色シート11の表面に皮脂などの汚れが付着することが抑えられる。保護層20の膜厚は、例えば、1μm以上100μm以下である。
保護層20は、剥離層15が剥離された後に、形成される。保護層20は、例えば、インクジェット法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、スリットコート法、グラビアコート法等の公知の塗工法を用いて形成される。
発色シート11が保護層20を備える場合であっても、発色シートが製造時の基材である基材12および樹脂層13を備える構成と比較して、発色シート11全体の厚さを薄くすることが可能であり、発色シート11の柔軟性は高められる。
以上説明したように、第1実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)発色シート11が、多層膜層16の凹凸構造の形成に用いられた基材を備えていないため、発色シート11の柔軟性が高められる。したがって、被着体61の表面に発色シート11が沿いやすくなるため、発色シート11を被着体61に固定する際に発色シート11にかかる加熱や加圧等の負荷の低減が可能である。また、発色シート11と被着体61との密着性が高められるため、発色シート11が被着体61から剥がれにくくなる。
また、多層膜層16が発色シート11の最外面を構成する形態であれば、特に発色シート11の厚さを小さく抑えることが可能である。また、多層膜層16が保護層20に覆われ、保護層20が発色シート11の最外面を構成する形態であれば、多層膜層16が有する凹凸構造の保護が可能であり、凹凸構造の変形を抑えられる。そのため、発色シート11において所望の発色が好適に得られる。
(2)発色シート11が、吸収層18を備えているため、多層膜層16を透過した光は吸収層18によって吸収され、透過光が第1面16F側に返ってくることが抑えられる。したがって、第1面16F側から発色シート11を観察した場合に、多層膜層16からの反射光とは異なる波長域の光が視認されることが抑えられるため、反射光による色の視認性が低下することが抑えられる。そして、発色シート11が接着層19とは別に吸収層18を備えるため、接着層19が光吸収性を有する構成と比較して、接着層19の材料の選択や吸収層18の材料の選択の自由度が高まる。したがって、接着層19の接着性や吸収層18の光吸収性の調整の自由度が高く得られる。
(3)吸収層18が黒色顔料を含む層であれば、吸収層18が可視領域において広い波長域の光を吸収可能である。したがって、入射光が可視領域の光である構成において、多層膜層16の透過光が好適に吸収される。そして、アンカー層17によって、顔料を含む吸収層18を多層膜層16の上に好適に固定することができる。
(4)多層膜層16の凹凸構造によって反射光の拡散効果が得られ、多層膜層16からの反射光として特定の波長域の光が広い角度で観察される。
(5)上記発色シート11を備える成形体60によれば、発色シート11の柔軟性が高められているため、被着体61における発色シート11の固定される面の形状の自由度が高まり、また、発色シート11が被着体61から剥がれにくい成形体60が実現される。
(6)転写箔10において、剥離層15が多層膜層16に対して剥離可能に構成されているため、接着層19を被着体61に貼り付けて転写箔10を被着体61に固定した後、剥離層15を多層膜層16から剥離することができる。それゆえ、転写箔10を用いることによって、多層膜層16の凹凸構造の形成に用いられた基材を備えていない、柔軟性の高い発色シート11を被着体61上に配置することができる。
(7)剥離層15において、基材12の表面を覆う樹脂層13に凹凸構造が形成されている構成であれば、凹凸構造の形成に、微細な凹凸の形成に適したナノインプリント法の適用が可能である。そして、樹脂層13に離型剤が含まれる構成であれば、多層膜層16に対して剥離可能な剥離層15が好適に実現される。
(8)ナノインプリント法を用いて剥離層15の凹凸構造が形成される製造方法によれば、微細な凹凸構造を好適に、かつ、簡便に形成することができる。
(第2実施形態)
図7~図10を参照して、発色シート、転写箔、成形体、および、転写箔の製造方法の第2実施形態を説明する。以下では、第2実施形態と第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
図7が示すように、第2実施形態は、第1実施形態と比較して、転写箔にて剥離層15が有する凹凸構造、すなわち、多層膜層16の第1面16Fが有する凹凸構造の構成が異なる。こうした凹凸構造の構成以外については、第2実施形態の転写箔30および発色シート31は、第1実施形態の転写箔10および発色シート11と同様の構成を有する。
第2実施形態の剥離層15における樹脂層13の凹凸構造を構成する凸部15cは、第1実施形態の凸部15aと同様の構成を有する第1凸部要素と、帯状に延びる第2凸部要素とが、剥離層15の厚さ方向に重畳された構造を有する。
第1実施形態の発色シート11によれば、反射光の散乱効果によって視認される色の観察角度による変化は緩やかになるものの、散乱に起因した反射光の強度の低下によって、視認される色の鮮やかさは低下する。発色シートの用途等によっては、より鮮やかな色を広い観察角度で観察可能なシートが求められる場合もある。第2実施形態において、第2凸部要素は、入射光が特定の方向へ強く回折されるように配列されており、第1凸部要素に基づく光の散乱効果と第2凸部要素に基づく光の回折効果とによって、より鮮やかな色を広い観察角度で観察可能な発色シート31が実現される。
図8を参照して、第2凸部要素の構成について説明する。図8(a)は、第2凸部要素のみからなる凹凸構造の平面図であり、図8(b)は、図8(a)のVIII-VIII線に沿った断面構造を示す断面図である。図8(a)においては、第2凸部要素にドットを付して示している。
図8(a)が示すように、平面視において、第2凸部要素15Ebは、第2方向Dyに沿って一定の幅で延びる帯状を有し、複数の第2凸部要素15Ebは、第1方向Dxに沿って、間隔をあけて並んでいる。換言すれば、第2凸部要素15Ebが構成するパターンは、第2方向Dyに沿って延び、第1方向Dxに沿って並ぶ複数の帯状領域からなるパターンである。第2凸部要素15Ebにおける第1方向Dxの長さd3は、第1凸部要素のパターンを決定する上記矩形Rの長さd1と一致していてもよいし、異なっていてもよい。
第1方向Dxにおける第2凸部要素15Ebの配列間隔de、すなわち、第1方向Dxにおける帯状領域の配列間隔は、第2凸部要素15Ebが構成する凹凸構造の表面での反射光の少なくとも一部が、一次回折光として観測されるように設定される。一次回折光は、換言すれば、回折次数mが1または-1である回折光である。すなわち、入射光の入射角度をθ、反射光の反射角度をφ、回折する光の波長をλとした場合、配列間隔deは、de≧λ/(sinθ+sinφ)を満たす。例えば、λ=360nmである可視光線を対象とするとき、第2凸部要素15Ebの配列間隔deは180nm以上であればよく、すなわち、配列間隔deは、入射光に含まれる波長域における最小波長の1/2以上であればよい。なお、配列間隔deは、互いに隣り合う2つの第2凸部要素15Ebの端部間の第1方向Dxに沿った距離であって、第1方向Dxにおいて第2凸部要素15Ebに対して同一の側に位置する端部間の距離である。
第2凸部要素15Ebが構成するパターンの周期性は、剥離層15が有する凹凸構造の周期性、すなわち、多層膜層16の最外面における凹凸構造の周期性に反映される。複数の第2凸部要素15Ebの配列間隔deが一定の場合、多層膜層16の最外面での回折現象によって、多層膜層16からは、特定の波長の反射光が特定の角度に出射される。この回折による光の反射強度は、第1実施形態にて説明した第1凸部要素に基づく光の散乱効果によって生じる反射光の反射強度と比較して非常に強いため、金属光沢のような輝きを有する光が視認されるが、一方で、回折による分光が生じ、観察角度の変化に応じて視認される色が変化する。
したがって、例えば、青色を呈する発色シートが得られるように第1凸部要素の構造を設計したとしても、第2凸部要素15Ebの配列間隔deを400nm~5μmの程度の一定値とすると、観察角度によっては、回折に起因した強い緑色から赤色の表面反射による光が観察される。これに対し、例えば、第2凸部要素15Ebの配列間隔deを50μm程度に大きくすると、可視領域の光が回折される角度の範囲が狭くなるため、回折に起因した色の変化が視認されにくくなるが、金属光沢のような輝きを有する光は特定の観察角度でのみしか観察されない。
そこで、配列間隔deを一定の値とせず、第2凸部要素15Ebのパターンを、周期が異なる複数の周期構造が重ね合わされたパターンとすれば、回折による反射光に複数の波長の光が混じり合うため、分光された単色性の高い光は視認されにくくなる。したがって、光沢感のある鮮やかな色が広い観察角度で観察される。この場合、配列間隔deは、例えば、360nm以上5μm以下の範囲から選択され、複数の第2凸部要素15Ebの配列間隔deの平均値が、入射光に含まれる波長域における最小波長の1/2以上であればよい。
ただし、配列間隔deの標準偏差が大きくなるにつれ、第2凸部要素15Ebの配列が不規則となって散乱効果が支配的になり、回折による強い反射が得られにくくなる。そのため、第2凸部要素15Ebの配列間隔deは、第1凸部要素に基づく光の散乱効果によって光が広がる角度に応じて、この光が広がる範囲と同程度の範囲に回折による反射光が出射されるように決定することが好ましい。例えば、青色の反射光が、入射角度に対して±40°の範囲に広がって出射される場合、第2凸部要素15Ebのパターンにおいて、配列間隔deを、その平均値が1μm以上5μm以下の程度であり、標準偏差が1μm程度であるように設定する。これにより、第1凸部要素に基づく光の散乱効果によって光が広がる角度と同程度の角度に回折による反射光が生じる。
すなわち、複数の第2凸部要素15Ebに基づく凹凸構造は、特定の波長域の光を回折させて取り出すための構造とは異なり、配列間隔deの分散により、回折を利用して所定の角度範囲に様々な波長域の光を射出させるための構造である。
さらに、より長周期の回折現象を生じさせるために、一辺が10μm以上100μm以下の正方形領域を単位領域とし、単位領域ごとの第2凸部要素15Ebのパターンにおいて、配列間隔deを、平均値が1μm以上5μm以下の程度、かつ、標準偏差が1μm程度としてもよい。なお、複数の単位領域のなかには、配列間隔deが1μm以上5μm以下の範囲に含まれる一定の値である領域が含まれてもよい。配列間隔deが一定である単位領域が存在したとしても、この単位領域と隣接する単位領域のいずれかにおいて、配列間隔deが標準偏差1μm程度のばらつきを有していれば、人の目の解像度においてはすべての単位領域で配列間隔deがばらつきを有している構成と同等の効果が期待できる。
なお、図8に示した第2凸部要素15Ebは、第1方向Dxのみに、配列間隔deに起因した周期性を有している。第1凸部要素に基づく光の散乱効果は、主として、多層膜層16の第1面16Fと対向する方向から見た場合での第1方向Dxに沿った方向への反射光に作用するが、第2方向Dyに沿った方向への反射光にも一部影響し得る。したがって、第2凸部要素15Ebは、第2方向Dyにも周期性を有してもよい。すなわち、第2凸部要素15Ebのパターンは、第2方向Dyに延びる複数の帯状領域が、第1方向Dxと第2方向Dyとの各々に沿って並ぶパターンであってもよい。
こうした第2凸部要素15Ebのパターンにおいて、例えば、帯状領域の第1方向Dxに沿った配列間隔と第2方向Dyに沿った配列間隔との各々は、各々の平均値が1μm以上100μm以下であるようにばらつきを有していればよい。また、第1凸部要素に基づく光の散乱効果の第1方向Dxへの影響と第2方向Dyへの影響との違いに応じて、第1方向Dxに沿った配列間隔の平均値と、第2方向Dyに沿った配列間隔の平均値とは互いに異なっていてもよく、第1方向Dxに沿った配列間隔の標準偏差と、第2方向Dyに沿った配列間隔の標準偏差とは互いに異なっていてもよい。
図8(b)が示すように、第2凸部要素15Ebの高さh2は、凸部15c上や凹部15b上における多層膜層16の表面粗さよりも大きければよい。ただし、高さh2が大きくなるほど、凹凸構造が反射光に与える効果において第2凸部要素15Ebに基づく回折効果が支配的となって、第1凸部要素に基づく光の散乱効果が得られにくくなるため、高さh2は第1凸部要素の高さh1と同程度であることが好ましく、高さh2は高さh1と一致していてもよい。例えば、第1凸部要素の高さh1と第2凸部要素15Ebの高さh2とは、10nm以上200nm以下の範囲に含まれていることが好ましく、青色を呈する発色シート31では、第1凸部要素の高さh1と第2凸部要素15Ebの高さh2とは、10nm以上150nm以下の範囲に含まれていることが好ましい。
図9を参照して、剥離層15が有する凹凸構造の詳細について説明する。図9(a)は、樹脂層13をその表面と対向する方向から見た平面図であり、図9(b)は、図9(a)のIX-IX線に沿った樹脂層13の断面構造を示す断面図である。図9(a)においては、第1凸部要素が構成するパターンと、第2凸部要素が構成するパターンとに異なる密度のドットを付して示している。
図9(a)が示すように、樹脂層13をその表面と対向する方向から見た場合、凸部15cが構成するパターンは、第1凸部要素15Eaが構成するパターンである第1パターンと、第2凸部要素15Ebが構成するパターンである第2パターンとが重ね合わされたパターンである。すなわち、凸部15cが位置する領域には、第1凸部要素15Eaのみから構成される領域S1と、第1凸部要素15Eaと第2凸部要素15Ebとが重なっている領域S2と、第2凸部要素15Ebのみから構成される領域S3とが含まれる。なお、図9においては、第1凸部要素15Eaと第2凸部要素15Ebとが、第1方向Dxにおいてその端部が揃うように重ねられているが、こうした構成に限らず、第1凸部要素15Eaの端部と第2凸部要素15Ebの端部とはずれていてもよい。
図9(b)が示すように、領域S1では、凸部15cの高さは、第1凸部要素15Eaの高さh1である。また、領域S2では、凸部15cの高さは、第1凸部要素15Eaの高さh1と第2凸部要素15Ebの高さh2との和である。また、領域S3では、凸部15cの高さは、第2凸部要素15Ebの高さh2である。このように、凸部15cは、剥離層15の厚さ方向への投影像が第1パターンを構成し、所定の高さh1を有する第1凸部要素15Eaと、上記厚さ方向への投影像が第2パターンを構成し、所定の高さh2を有する第2凸部要素15Ebとが、高さ方向に重ねられた多段形状を有する。
なお、第1凸部要素15Eaが構成するパターンと、第2凸部要素15Ebが構成するパターンとは、第1凸部要素15Eaと第2凸部要素15Ebとが重ならないように配置されてもよい。こうした構造によっても、第1凸部要素15Eaに基づく光の拡散効果と第2凸部要素15Ebに基づく光の回折効果とは得られる。ただし、第1凸部要素15Eaと第2凸部要素15Ebとを互いに重ならないように配置しようとすれば、第1実施形態と比較して、単位面積あたりにおける第1凸部要素15Eaの配置可能な面積が小さくなり、光の拡散効果が低下する。したがって、凸部要素15Ea,15Ebに基づく光の拡散効果と回折効果とを高めるためには、図9に示したように、第1凸部要素15Eaと第2凸部要素15Ebとを重ねて凸部15cを多段形状とすることが好ましい。
図10が示すように、発色シート31において多層膜層16の第1面16Fが有する凹凸構造は、剥離層15の有する凹凸の凸部15cと凹部15bとが反転された凹凸から構成される。すなわち、第1面16Fと対向する方向から見たとき、第1面16Fが有する凹部31aが構成するパターンは、第1凸部要素15Eaの反転された第1凹部要素が構成するパターンと、第2凸部要素15Ebの反転された第2凹部要素が構成するパターンとが重ね合わされたパターンである。第1凹部要素が構成するパターン、すなわち、第1面16Fと対向する方向への第1凹部要素の投影像が構成するパターンは、矩形Rの幅の分布や矩形Rの配置について上記第1パターンと同様の特徴を有する。第2凹部要素が構成するパターン、すなわち、第1面16Fと対向する方向への第2凹部要素の投影像が構成するパターンは、帯状領域の幅や配置について上記第2パターンと同様の特徴を有する。
そして、凹部31aは、第1凹部要素と第2凹部要素とが深さ方向に並んだ多段形状を有する。第1凹部要素のみから構成される領域では、凹部31aの深さk1は、第1凸部要素15Eaの高さh1と一致する。また、第1凹部要素と第2凹部要素とが重なっている領域では、凹部31aの深さk3は、第1凸部要素15Eaの高さh1と第2凸部要素15Ebの高さh2との和と一致する。また、第2凹部要素のみから構成される領域では、凹部31aの深さk2は、第2凸部要素15Ebの高さh2と一致する。
なお、第1実施形態と同様、発色シート31は、多層膜層16の第1面16Fを覆う保護層20を備えていてもよい。
以上のように、第2実施形態の発色シート31によれば、凹部31aにおける第1凹部要素が構成する部分に起因した光の拡散現象と、第2凹部要素が構成する部分に起因した光の回折現象との相乗によって、特定の波長域の反射光が広い観察角度で観察可能であるとともに、この反射光の強度が高められることにより光沢感のある鮮やかな色が視認される。
以上説明したように、第2実施形態によれば、第1実施形態の(1)~(8)の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(9)多層膜層16の凹凸構造によって反射光の拡散効果と回折効果とが得られ、多層膜層16からの反射光として特定の波長域の光が広い観察角度で観察可能であるとともに、この反射光の強度が高められることにより光沢感のある鮮やかな色が視認される。
[変形例]
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。
・上記実施形態では、剥離層15の樹脂層13が離型剤を含むことにより、剥離層15が多層膜層16から剥離可能に構成されている。これに代えて、転写箔10は、剥離層15と多層膜層16との間に、剥離層15の凹凸構造に沿った層であって、離型剤を含む層である離型層を備えていてもよい。離型層は、例えば、多層膜層16の形成前に、樹脂層13に離型剤が塗布されることによって形成される。そして、剥離層15と離型層との界面、もしくは、離型層と多層膜層16との界面にて剥離が生じることにより、剥離層15が多層膜層16から剥離される。剥離層15と離型層との界面にて剥離が生じる場合には、発色シート11,31は、離型層を保護層20として備える。例えば、離型層がフッ素を含む樹脂から構成される形態であれば、離型層によって剥離層15が多層膜層16から剥離可能とされるとともに、剥離層15の剥離後には、離型層は、保護層20として発色シート11,31の表面に皮脂などの汚れが付着することを抑える効果を発揮する。
・剥離層15は、基材12のみを備え、基材12の表面に凹凸構造を有していてもよい。基材12の表面の凹凸構造は、例えば、光または荷電粒子線を照射するリソグラフィやドライエッチング等の公知の微細加工技術を利用して形成される。こうした基材12に対しては、例えば、上述の離型層を設けることによって、剥離層15を多層膜層16から剥離可能に構成することができる。
・剥離層15は、加熱あるいは冷却等の物理的な外部刺激を受けることに基づいて、多層膜層16に対する剥離性を発現するように構成されていてもよい。こうした構成によれば、外部刺激の有無や外部刺激を与えるタイミングによって、剥離層15の剥離を制御することができる。すなわち、意図しないときに剥離層15が剥離されることが抑えられる。
・吸収層18は、可視領域の光のすべてを吸収せずとも、多層膜層16を透過する光の少なくとも一部を吸収する光吸収性を有する構成であれば、こうした光吸収性を有する層が設けられない構成と比較して、反射光による色の視認性が低下することを抑える効果は得られる。例えば、吸収層18は、多層膜層16を透過する光の波長域に応じた色の顔料を含む層であってもよい。ただし、吸収層18が黒色顔料を含む黒色の層であれば、透過光の波長域に応じた吸収層18の色の調整等が不要であり、また、吸収層18が広い波長域の光を吸収するため、簡便に、かつ、好適に、反射光による色の視認性の低下が抑えられる。
・発色シート11,31は、接着層19と別体の吸収層18を有さず、接着層19が、多層膜層16を透過する光の少なくとも一部を吸収する光吸収性を有していてもよい。こうした構成によっても、第1面16F側から観察した場合に、多層膜層16からの反射光とは異なる波長域の光が視認されることが抑えられるため、反射光による色の視認性が低下することが抑えられる。接着層19が光吸収性を有している構成であれば、発色シート11,31が接着層19とは別に光吸収性を有する層を備える構成と比較して、発色シート11,31の層構成が簡易になり、発色シート11,31を薄くすることが可能である。なお、吸収層18が設けられない場合には、発色シート11,31はアンカー層17を備えなくてよい。すなわち、接着層19が多層膜層16の第2面16Sを覆っていればよい。
・発色シート11,31は、多層膜層16を透過する光の少なくとも一部を吸収する層を備えていなくてもよい。こうした発色シート11,31が利用される場合としては、例えば、反射光による色の視認性が高いことが求められない用途に発色シート11,31が利用される場合や、発色シート11,31が被着体61における黒色の面に貼り付けられる形態等、多層膜層16の透過光が第1面16F側に返ってくることが抑えられる態様で発色シート11,31が利用される場合が想定される。
・保護層20は塗布層でなくてもよく、また、保護層20は複数の層から構成されてもよい。
・第1実施形態において、剥離層15の凸部15aが構成するパターン、すなわち、多層膜層16の凹部11aが構成するパターンを構成する図形は、矩形に限られない。換言すれば、第2実施形態において、第1凸部要素または第1凹部要素が構成するパターンを構成する図形は、矩形に限られない。これらのパターンを構成する図形は、長円等であってもよく、要は、第2方向Dyに沿った長さが第1方向Dxに沿った長さ以上である形状を有する図形要素であればよい。そして、図形要素における第1方向Dxの長さd1と第2方向Dyの長さd2とが、第1実施形態で説明した条件を満たしていればよい。
・剥離層15の凹凸構造を構成する凸部は、基部から頂部に向かって第1方向Dxの幅が徐々に小さくなる構成を有していてもよい。こうした構成によれば、凸部に多層膜層16が成膜されやすくなる。この場合、第1方向Dxの長さd1や長さd3は、凸部の底面が構成するパターンにて規定される。すなわち、多層膜層16の第1面16Fの凹凸構造を構成する凹部は、底部から開口部に向かって第1方向Dxの幅が徐々に大きくなる構成を有していてもよい。凹部における第1方向Dxの長さは、凹部の開口部が構成するパターンにて規定される。
Dx…第1方向、Dy…第2方向、10,30…転写箔、11,31…発色シート、11a,31a…凹部、12…基材、13…樹脂層、15…剥離層、15a,15c…凸部、15b…凹部、15Ea…第1凸部要素、15Eb…第2凸部要素、16…多層膜層、16a…高屈折率層、16b…低屈折率層、16F…第1面、16S…第2面、17…アンカー層、18…吸収層、19…接着層、20…保護層、60…成形体、61…被着体。

Claims (14)

  1. 多層膜層と接着層とを備える発色シートであって、
    前記多層膜層は、第1面と、前記第1面とは反対側の面である第2面とを有し、前記多層膜層において相互に隣接する層の屈折率は互いに異なり、前記多層膜層への入射光のうちの特定の波長域での光の反射率が他の波長域での光の反射率よりも高く、
    前記第1面は前記多層膜層で構成された凹凸構造を有して前記発色シートの最外面を構成し、前記凹凸構造を構成する凹部は前記凹部の開口する平面から1段以上に窪み、前記第1面と対向する方向から見て、前記凹部が構成するパターンは、第1方向に沿った長さがサブ波長以下であって、前記第1方向と直交する第2方向に沿った長さが前記第1方向に沿った長さ以上である複数の図形要素の集合からなるパターンを含み、前記複数の図形要素において、前記第2方向に沿った長さの標準偏差は、前記第1方向に沿った長さの標準偏差よりも大きく、
    前記凹部における前記第1方向の幅は、前記凹部の底部から開口部に向かって徐々に大きくなり、前記凹部の傾斜した側面に対応する位置に積層されている部分において前記多層膜層を構成する層の傾斜が前記第1面から前記第2面に向かって急になり、
    前記接着層は、前記多層膜層に対して前記第2面と対向する側に位置して前記発色シートの最外面を構成する
    発色シート。
  2. 多層膜層と接着層と保護層とを備える発色シートであって、
    前記多層膜層は、第1面と、前記第1面とは反対側の面である第2面とを有し、前記多層膜層において相互に隣接する層の屈折率は互いに異なり、前記多層膜層への入射光のうちの特定の波長域での光の反射率が他の波長域での光の反射率よりも高く、
    前記第1面は前記多層膜層で構成された凹凸構造を有し、前記凹凸構造を構成する凹部は前記凹部の開口する平面から1段以上に窪み、前記第1面と対向する方向から見て、前記凹部が構成するパターンは、第1方向に沿った長さがサブ波長以下であって、前記第1方向と直交する第2方向に沿った長さが前記第1方向に沿った長さ以上である複数の図形要素の集合からなるパターンを含み、前記複数の図形要素において、前記第2方向に沿った長さの標準偏差は、前記第1方向に沿った長さの標準偏差よりも大きく、
    前記凹部における前記第1方向の幅は、前記凹部の底部から開口部に向かって徐々に大きくなり、前記凹部の傾斜した側面に対応する位置に積層されている部分において前記多層膜層を構成する層の傾斜が前記第1面から前記第2面に向かって急になり、
    前記接着層は、前記多層膜層に対して前記第2面と対向する側に位置して前記発色シートの最外面を構成し、
    前記保護層は樹脂を含む層であって前記第1面を覆い、前記接着層とは反対側で前記発色シートの最外面を構成する
    発色シート。
  3. 前記保護層は、塗布層である
    請求項2に記載の発色シート。
  4. 前記第2面と前記接着層との間に、前記入射光のうち前記多層膜層を透過する光の少なくとも一部を吸収する光吸収性を有する吸収層を備える
    請求項1~3のいずれか一項に記載の発色シート。
  5. 前記吸収層は、黒色顔料を含み、
    前記第2面と前記吸収層との間に、前記吸収層の接着性を高めるアンカー層を備える
    請求項4に記載の発色シート。
  6. 前記接着層は、前記入射光のうち前記多層膜層を透過する光の少なくとも一部を吸収する光吸収性を有する
    請求項1~3のいずれか一項に記載の発色シート。
  7. 前記第1面と対向する方向から見て、前記凹部が構成するパターンは、前記複数の図形要素の集合からなるパターンであり、前記凹部の深さは一定である
    請求項1~6のいずれか一項に記載の発色シート。
  8. 前記第1面と対向する方向から見て、前記凹部が構成するパターンは、前記複数の図形要素の集合からなる第1パターンと、前記第2方向に沿って延び、前記第1方向に沿って並ぶ複数の帯状領域からなる第2パターンとが重ね合わされたパターンであり、
    前記第1方向に沿った前記帯状領域の配列間隔は、前記複数の帯状領域において一定ではなく、その平均値が前記入射光に含まれる波長域における最小波長の1/2以上であり、
    前記凹部は、前記第1面と対向する方向への投影像が前記第1パターンを構成する要素であって所定の深さを有する凹部要素と、前記第1面と対向する方向への投影像が前記第2パターンを構成する要素であって所定の深さを有する凹部要素とが深さ方向に並んだ多段形状を有する
    請求項1~7のいずれか一項に記載の発色シート。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載の発色シートと、
    前記発色シートが固定された被着体と、を備える
    成形体。
  10. 表面に凹凸構造を有する剥離層と、
    前記凹凸構造に追従した表面形状を有する多層膜層であって、当該多層膜層において相互に隣接する層の屈折率が互いに異なり、当該多層膜層への入射光のうちの特定の波長域での光の反射率が他の波長域での光の反射率よりも高い前記多層膜層と、
    前記多層膜層に対して前記剥離層と反対側に位置する接着層と、を備え、
    前記凹凸構造を構成する凸部は、前記凸部の位置する平面から1段以上の段差形状を有し、前記剥離層の表面と対向する方向から見て、前記凸部が構成するパターンは、第1方向に沿った長さがサブ波長以下であって、前記第1方向と直交する第2方向に沿った長さが前記第1方向に沿った長さ以上である複数の図形要素の集合からなるパターンを含み、前記複数の図形要素において、前記第2方向に沿った長さの標準偏差は、前記第1方向に沿った長さの標準偏差よりも大きく、
    前記凸部における前記第1方向の幅は、前記凸部の基部から頂部に向かって徐々に小さくなり、前記凸部の傾斜した側面上に積層されている部分において前記多層膜層を構成する層の傾斜が前記接着層に向かって急になり、
    前記剥離層は、前記多層膜層に対して剥離可能に構成されている
    転写箔。
  11. 前記剥離層は、基材と、基材の表面に位置して前記凹凸構造を有する樹脂層とを備え、
    前記樹脂層は、離型剤を含む
    請求項10に記載の転写箔。
  12. 前記剥離層と前記多層膜層との間に、離型剤を含む層を備える
    請求項10に記載の転写箔。
  13. 前記剥離層は、物理的な外部刺激を受けることに基づいて前記多層膜層に対する剥離性を発現する
    請求項10~12のいずれか一項に記載の転写箔。
  14. 凹版の有する凹凸をナノインプリント法を用いて樹脂を含む層に転写することにより、表面に凹凸構造を有する剥離層を形成する第1工程と、
    前記凹凸構造に沿って、多層膜層を、当該多層膜層において相互に隣接する層の屈折率が互いに異なり、当該多層膜層への入射光のうちの特定の波長域での光の反射率が他の波長域での光の反射率よりも高くなるように形成する第2工程と、
    前記多層膜層に対して前記剥離層とは反対側に接着層を形成する第3工程と、を含み、
    前記第1工程では、前記剥離層の表面と対向する方向から見て、前記凹凸構造を構成する1段以上の凸部の構成するパターンが、第1方向に沿った長さがサブ波長以下であって、前記第1方向と直交する第2方向に沿った長さが前記第1方向に沿った長さ以上である複数の図形要素の集合からなるパターンを含み、前記複数の図形要素において、前記第2方向に沿った長さの標準偏差が、前記第1方向に沿った長さの標準偏差よりも大きくなるように前記凹凸構造を形成し、かつ、前記剥離層を前記多層膜層に対して剥離可能に形成する
    転写箔の製造方法。
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