JP7460903B2 - 特殊鋼板の製造方法 - Google Patents

特殊鋼板の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7460903B2
JP7460903B2 JP2020101406A JP2020101406A JP7460903B2 JP 7460903 B2 JP7460903 B2 JP 7460903B2 JP 2020101406 A JP2020101406 A JP 2020101406A JP 2020101406 A JP2020101406 A JP 2020101406A JP 7460903 B2 JP7460903 B2 JP 7460903B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
casting
inclination
rolling
dendrite
special steel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020101406A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021194662A (ja
Inventor
浩太 渡邉
雅文 宮嵜
直嗣 吉田
隆 諸星
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2020101406A priority Critical patent/JP7460903B2/ja
Publication of JP2021194662A publication Critical patent/JP2021194662A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7460903B2 publication Critical patent/JP7460903B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Metal Rolling (AREA)
  • Continuous Casting (AREA)

Description

本発明は、特殊鋼板の製造方法に関するものである。
省工程・省エネルギーの観点から、最終品に近い薄板を鋳造段階で製造する技術、すなわちニアネットシェイプ連続鋳造の開発が行われている。このうち、薄板系のニアネットシェイプ連続鋳造として有力なものとして、いわゆるストリップ連続鋳造法が知られている。ストリップ連続鋳造法とは、溶湯と鋳型ロール(あるいはベルト)を直接接触させて凝固させ、鋳造厚0.1~10mm程度に連続鋳造するニアネットシェイプ連続鋳造法である(非特許文献1)。以下、ここでは「薄肉鋳片の連続鋳造」と呼ぶ。薄肉鋳片の連続鋳造方法としては、双ロール式連続鋳造方法、単ロール式連続鋳造方法、双ベルト式連続鋳造方法、単ベルト式連続鋳造方法などが知られている。
双ロール式連続鋳造装置による薄肉鋳片の連続鋳造においては、図1に示すように、一対の鋳造ロール1を配置し、ロール間の最近接距離(ギャップ最小部20のギャップ)が鋳造する薄肉鋳片5の厚みとなる。鋳造ロール1の両端に固定堰2(サイド堰ともいう。)を押し付けて溶融金属プール部3を形成し、ノズル4から溶融金属プール部3に溶湯を連続的に供給しながら一対の鋳造ロール1を互いに反対方向に回転させる。ロール周面に沿って生成した一対の凝固シェル23をロール間の最近接部位(ギャップ最小部20)で圧着し薄肉鋳片5とする。鋳造ロール1の周速が、薄肉鋳片5の鋳造速度vとなる。
特許文献1に記載のように、双ロール鋳造においては、鋳造された鋳片のデンドライトが板面の垂線方向に対して10~20°傾くことが知られており、ロールの回転速度を大きくするほど、デンドライトの傾角も大きくなるとしている。
特殊鋼板の製造においては、冷間圧延前の板において板面に垂直な方向に<100>方位が揃っている場合、磁気特性に優れた鋼板が製造できるとされている。特許文献1では、鋳片の鋳造組織におけるデンドライトを凝固シェルの表面に対して垂直に成長させ、板面に垂直な方向に<100>方位が揃ったデンドライトを有する鋳片の場合、磁気特性に優れた鋼板が製造できるとしている。
特許文献1においては、双ロール鋳造の2個のロール間に形成される溶湯湯溜り部に溶湯の凝固開始点を固定する接触制限板を装入して、溶融プールがロールと接触する弧長を短くし、これによって同一の厚みを有する薄肉鋳片を製造する際の鋳造ロールの周速(鋳造速度)を低下させ、デンドライトの傾角を小さくする方法が開示されている。
特開平5-277657号公報
第5版鉄鋼便覧 第1巻 製銑・製鋼、第456~457頁 鉄と鋼、61巻14号(1975)2982~2990頁
特許文献1に記載の方法では、鋳片のデンドライト傾角を小さくするために鋳造ロールの周速、即ち鋳造速度を低下させており、低速鋳造のため、連続鋳造のスループットが小さくなり、生産性が悪化するという問題を有している。
ここでは、特殊鋼板の製造において、冷間圧延前の素材を「特殊鋼板素材」と呼ぶ。本発明は、双ロール式連続鋳造装置を用いた鋳造で低速鋳造を行うことなく、デンドライト傾角が小さい特殊鋼板素材を製造することのできる、特殊鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
[1]双ロール式連続鋳造装置を用いて薄肉鋳片を鋳造し、前記薄肉鋳片を熱間圧延して特殊鋼板素材とする特殊鋼板の製造方法であって、
鋳片のデンドライトの傾きをθとし(板垂線との間の角度であって、鋳造方向を正とする。)、
製造する品種について、あらかじめ、θ=0°の鋳片のサンプルを圧下率pで熱間圧延して得られたサンプルのデンドライトの傾きωと前記圧下率pとの関係式である下記(2)式から係数aの値を定めるとともに、熱間圧延で再結晶しない限界圧下率pmaxを定めておき、
前記係数aを用い、下記(1)式で表すφCが、-10°≦φC≦10°を満足するように、鋳片のデンドライトの傾きθと圧下率pとを、下記(4)式の範囲内で調整することを特徴とする特殊鋼板の製造方法。
ただし、圧下率p(%)は、圧延前の板厚xと圧延後の板厚yとから下記(3)式によって求められる。
φC=θ-a×p (1)
ω=-a×p (2)
p=(x-y)/x×100 (3)
p<pmax (4)
[2]双ロール式連続鋳造装置における鋳造速度を調整することにより、鋳片のデンドライトの傾きθを調整することを特徴とする[1]に記載の特殊鋼板の製造方法。
本発明の特殊鋼板の製造方法において、双ロール式連続鋳造と熱間圧延を用い、連続鋳造鋳片のデンドライトの傾きθを調整するとともに、熱間圧延の圧下率を調整することにより、熱間圧延後の特殊鋼板素材においてデンドライトの傾きφを最適範囲に調整して、良好な品質の特殊鋼板を製造することができる。
(A)は双ロール式連続鋳造の状況を示す概念図であり、(B)は薄肉鋳片断面の拡大図である。 鋳片(凝固シェル)におけるデンドライトの傾きθを示す概念図である。 鋳片(デンドライトの傾きθ=0°)を圧下率pで圧延したときの、圧下率pと圧延後のデンドライトの傾きωの関係を示す図である。 熱延圧下率と熱延後の結晶粒径の関係を示す図である。
回転する1対の鋳造ロールを用いる双ロール式連続鋳造装置においては、図1に示すように、1対の鋳造ロール1を回転させ、鋳造ロール1に凝固シェル23を形成しつつ薄肉鋳片5を連続鋳造する。1対の鋳造ロール1は、お互いの表面が上方から下方に向かって距離が近接し、最も接近した部分においてギャップ最小部20を形成する。さらに、鋳造ロール1の両端に接する固定堰2を有し、1対の鋳造ロール1のギャップ最小部20の上部には、鋳造ロールと固定堰2とで囲まれた溶融金属プール部3を形成する。ノズル4を経由して溶融金属プール部3中に金属溶湯を供給すると、鋳造ロール1に接する部分で溶湯が凝固し、凝固シェル23が形成される。鋳造ロール1を相互に反対方向に回転させることにより、鋳造ロール表面に形成された凝固シェル23は鋳造ロール1とともに移動し、ギャップ最小部20で両方の鋳造ロール表面の凝固シェル23が圧着して薄肉鋳片5となり、ギャップ最小部20から下方に薄肉鋳片5が排出される。
鋳造ロール1表面の周方向速度が、溶融金属プール部3における凝固シェル23の走行速度となり、同時に薄肉鋳片5の鋳造速度vとなる。溶融金属プール部3の溶鋼にも湯流れが存在し、図2は、凝固シェル23が鋳造方向24に走行する状況を示す概念図である。凝固シェル表面25は鋳造ロール(図示しない)に接している。凝固シェル23と溶鋼プールとの固液界面26において、溶融金属プール部の溶鋼流速wと凝固シェル23の走行速度(鋳造速度v)との差分が、両者の間の相対速度V(凝固シェル23からみた溶鋼流速)となる。
凝固シェル23の固液界面26において、凝固シェル23と溶鋼プールとの間に相対速度Vが存在すると、図2に示すように、形成するデンドライト27の成長方向に傾きが生じることが知られている。薄肉鋳片(図2の凝固シェル23)において、デンドライト27の方向と、鋼板表面に対する垂線との間の角度を、デンドライトの傾きθとおく。相対速度Vが大きいほど、デンドライトの傾きθも大きくなる。相対速度Vの方向と、デンドライトの傾きの方向とは逆方向であることがわかっている。相対速度Vとデンドライトの傾きθとの関係については、岡野らによって明らかにされている。詳細は後述する。
ここで本発明では、薄肉鋳片のデンドライトの傾きの角度は、薄肉鋳片表面の垂線となす角度が鋳造方向24を正、逆方向を負と定義した(図2参照)。
通常は、凝固シェル23の走行速度(鋳造速度v)が大きくなるほど、相対速度Vも大きくなる。従って、双ロール式連続鋳造においては、鋳造速度vを変動させることにより、鋳片のデンドライトの傾きθを変化させることができる。相対速度Vは鋳造速度vの反対方向なので、図2に示すように、デンドライト27の傾斜は鋳造方向24を向き、傾きθは正の値となる。
板材のロール圧延において、圧延前の板材にあらかじめ板表面に垂直な垂線を罫書いておき、あるいは鋳片のデンドライトが板表面に垂直である鋳片を用い、所定の圧下率で圧下を行うと、圧延の進行とともに順次材料の表面が中心部よりも先に進んだ状態になって、元の垂線は曲がったままロールから出てゆく。その結果、圧延後の板の断面において、表面から表面下1/4厚さまでの領域について見ると、圧延前に設けた罫書き線(デンドライト)(板表面に垂直)は、板の垂線との間に傾きωの傾きを有することになる。傾きωは圧下率pによって変化し、圧下率pが大きくなるほど傾きωも大きくなる。傾きωの傾斜方向は、圧延方向と反対方向である。鋳造方向と圧延方向とを同一方向とするとき、傾きωは負の値となる。
以上から明らかなように、双ロール式連続鋳造と熱間圧延を用いた薄鋼板の製造(鋳造方向と圧延方向を同一方向とする)においては、圧延前に傾きθ=0°であった鋳片のデンドライトを圧延後にデンドライトの傾きωになり、熱間圧延の圧延率を調整することにより、傾きω(負の値)を調整することが可能である。また、双ロール連続鋳造の鋳造速度等の調整により、圧延前のデンドライトの傾きθ(正の値)を種々調整することが可能である。
そこで本発明では、特殊鋼板の製造方法において、双ロール式連続鋳造と熱間圧延を用い、連続鋳造鋳片のデンドライトの傾きθを調整するとともに、熱間圧延の圧下率を調整することにより、熱間圧延後のデンドライトの傾きφを最適範囲に調整して特殊鋼板素材としたとき、良好な品質の特殊鋼板を製造できるのではないか、と着想した。
《熱間圧延によるデンドライト傾き制御(θ=0°の鋳片を使用)》
熱間圧延がデンドライトの傾きに及ぼす影響を調べるため、熱間圧延試験を行った。鋳型浸漬実験を用いて、鋳片のデンドライトの傾きθがほぼ0°の特殊鋼の片面サンプルを作製した。当該サンプルを熱間圧延し、熱間圧延の圧下率pがデンドライトの傾きω(≒φ)に及ぼす影響を調査した。鋳造した特殊鋼を900℃で5min加熱した後、熱間圧延を行った。熱延での圧下率pを調べるため、あらかじめマイクロメータにて鋳片の板厚を測定し、熱間圧延後にも測定し、(3)式を用いて圧下率pを算出した。また、得られたサンプルのL断面(鋳造方向及び板厚方向と平行)を切断し、研磨し、ピクリン酸エッチングを施す。表面から1/4厚み部のデンドライトの傾き20点を測定・平均することでデンドライトの傾きωを求めた。結果を図3に示す。図3から明らかなように、圧下率pが大きくなるほどデンドライトの傾きωは負の方向で大きくなった。
圧下率p(%)と傾きω(°)の関係を下記(2)式(aは定数)で表したとき、係数aは、鋼種によって変わるので、本試験例のように予め求めておくことが好ましい。発明者の諸々の試験では、例えば図3に用いた鋼種では、これらデータから最小二乗法により求めた傾き0.87を、当該鋼種に適用する係数aとした。異なる鋼種についても、同様な手法で係数aを求めることができる。
ω=-a×p (2)
p=(x-y)/x×100 (3)
《双ロール式連続鋳造と熱間圧延の組み合わせによるデンドライト傾き制御》
図1に示すような、鋳造ロール幅400mm、直径600mmの一対の鋳造ロールを有する双ロール鋳造装置を用いて、特殊鋼の鋳造を行った。鋳造弧角ηは40°に固定した。鋳造速度は20~100m/minまで行った。鋳造速度が速いほど、鋳片厚みが薄くなり、鋳片厚みdは鋳造速度vの平方根にほぼ反比例する。
あらかじめそれぞれの鋳造速度での薄肉鋳片5のデンドライトの傾きθを測定した。双ロール法で鋳造した鋳片を採取し、幅中央のL断面(鋳造方向と板厚方向に平行)を切り出す。その後、断面を埋め込み、研磨し、ピクリン酸エッチングを施す。その後、鋳片表面から1/4厚み位置のデンドライトの傾きを20点測定した。また、測定場所については、任意のデンドライトの傾きを選び測定した後、隣接するデンドライトを測定することを繰り返し、合計20点測定を行った。20点の平均値をデンドライトの傾きθとした。
なお、鋳造後の結晶粒径は鋳造速度にかかわらず、100μm程度だった。
その後、熱間圧延を行い、熱延後の薄鋼板(特殊鋼板素材)の板厚が1mmになるよう圧延を行った。鋳造方向と圧延方向は同一方向としている。
得られた薄鋼板(特殊鋼板素材)サンプルのL断面を観察し、デンドライトの傾きφを測定した。φの測定方法は、前述のθ、ωの測定方法と同様である。
また、同じL断面について結晶粒径を切片法(JIS G0551)にて測定し、再結晶の有無を確認した。試料の断面にナイタールエッチングを施し、鋳片の板表面から1/8厚部の任意の位置で、板表面に平行に全長2mmの直線を1本引き、この直線が横切った結晶粒の数nを求める。直線の端がその内部にある結晶粒は(1/2)個と数える。2mmを結晶粒の個数nで割り、結晶粒径を求めた。圧延によるひずみは表層に多く入るので、表層から概ね1/4厚までの範囲が再結晶する。本発明では、表層から1/8厚位置における、平均結晶粒径を上記方法により求めた。なお、再結晶による結晶径の変化は相当大きく、再結晶が起きたか否かは視覚観察によって十分判別できる。特段結晶径の臨界値があるわけではない。例えば本実施例で示すように鋳造後平均径100μmであったものが、再結晶すると平均20μm程度になる。このように平均粒径が急激に変化するときの圧下率を限界圧下率pmaxとする。限界圧下率は鋼種や圧延条件によって変わるので、必要に応じてあらかじめ測定される。特殊鋼は図4に示すように、圧下率30%以上の圧下を加えると再結晶した。
製造条件及び製造結果を表1に示す。表1から明らかなように、鋳造速度vが速くなるほど、鋳片厚dが薄くなるとともに、鋳片のデンドライトの傾きθが大きくなっていることがわかる。
Figure 0007460903000001
表1に示す結果に基づき、まず、傾きθ、φと圧下率pとの間の関係を調査した。
前記(3)式にa=0.87を代入し、各実施例について(3)式に基づいてωを算出した。次に、θ、ωとφとの相互関係について評価した。その結果、
φ=θ+ω (5)
の関係が成立していることが判明した。この式に(3)式を代入すると、
φ=θ-a×p (6)
が成立する。(6)式が、θ、pとφとの関係を示す実験式である。
また、表1の「デンドライト傾角ω計算値」に示すように、熱延後のデンドライト傾角φから鋳片のデンドライト傾角θを引いた値(ω=φ-θ)と、(2)式から求めたデンドライト傾角(ω=-a×p)を比較すると、両者はほぼ一対一で対応した。これより、(6)式により熱延後のデンドライト傾角は予測できると考えられた。
前記(6)式は実験式であり、(6)式の右辺の値がφに一致するとの実験結果を表している。当該実験結果に基づいて本発明を実施するに際しては、(6)式の右辺の値を示す変数としてφCを導入し、
φC=θ-a×p (1)
なる(1)式を定義する。そして、θとpを調整して、(1)式から算出されるφCについて-10°≦φC≦10°となるように調整する。
即ち、双ロール式連続鋳造を用い、鋳片のデンドライトの傾きθを調整するとともに、連続鋳造後の熱間圧延における圧下率pを調整することにより、(1)式に基づいてφCを調整し、デンドライト傾角の小さい薄鋼板(特殊鋼板素材)の製造が可能となった。ここにおいて、製造する品種について、あらかじめ()式のaの値を実験により定めておく。
さらに、予め再結晶しない限界圧下率pmaxを求めておき、下記(4)式を満たすことで、未再結晶の特殊鋼板素材が得られる。この結果、デンドライト傾角を小さくすることと生産性を両立し、高品質な特殊鋼板を製造できる。本試験で用いた2鋼種では、限界圧下率pmaxはほぼ30%同等であった。限界圧下率pmaxは鋼種毎に都度求めておけばよい。
p<pmax (4)
連続鋳造後の薄肉鋳片では、デンドライトの方向は<100>方向である。そのため、熱間圧延で再結晶せずに凝固組織が残っている際には、熱間圧延後の特殊鋼板素材においても、デンドライトの方向は<100>方向であるとみなされる。但し、熱間圧延で再結晶した場合には、内部から新しい結晶粒が生成・成長するため、凝固組織が完全に破壊されるので、デンドライトの傾きと<100>方向は一致しなくなり、結晶方位はランダムになる。
表1に示す実施例において、本発明例No.1~13については、(1)式のφが-10°~10°の範囲内にあり、圧下率pが(4)式を満足しており、結果として熱延後のンドライト傾角φが-10°~10°の範囲内にあり、再結晶していない特殊鋼鋼板素材を得ることができた。
一方、比較例No.1~8は、(1)式のφ及び熱延後のデンドライト傾角φがいずれも-10°~10°の範囲から外れていた。また、比較例No.1~4、6、7は、圧下率が(4)式を満たさず、特殊鋼板素材において再結晶が進行していた。なお、本発明範囲から外れる数値に下線を付している。
《溶鋼流動によるデンドライトの傾きθの推定》
通常の連続鋳造鋳片のデンドライトの傾きθは、岡野らによって(7)、(8)式に従うことが知られている(非特許文献2参照)。ここで、Vは溶鋼流速(溶鋼と凝固シェルとの間の相対速度)、fは凝固速度である。この式を変形すると(7)’、(8)’式で表せる。また、図2に示すように、凝固シェルと溶鋼との相対速度Vは、鋳造速度vと下降流の溶鋼流速wによって(9)式のように表せる。なお、溶鋼流速(相対速度V)が2~100cm/sの範囲のとき、(7)’、(8)’式は適応できる。また、凝固速度fは鋳造スラブ厚などにも影響されるが、f=0.01~1cm/sである。
このような知見から、薄肉鋳片についても、鋳造条件によっては、本式を用いてデンドライトの傾きθを推定することも可能である。
lnV=(θ+9.73・lnf+33.7)/(1.45・lnf+12.5) v<50 (7)
lnV=(θ+4.83・lnf+7.2)/(0.1・lnf+5.4) v≧50 (8)
θ=lnV×(1.45 ・lnf+12.5)-(9.73・lnf+33.7) v<50 (7)’
θ=lnV×(0.1 ・lnf+5.4)-(4.83・lnf+7.2) v≧50 (8)’
V=v-w (9)
1 鋳造ロール
2 固定堰
3 溶融金属プール部
4 ノズル
5 薄肉鋳片
20 ギャップ最小部
23 凝固シェル
24 鋳造方向
25 凝固シェル表面
26 固液界面
27 デンドライト
v 鋳造速度
w 溶鋼流速
V 相対速度
θ 鋳片のデンドライトの傾き
φ 鋼板のデンドライトの傾き
ω 鋼板のデンドライトの傾き(鋳片のデンドライトの傾きが0°のとき)
η 鋳造弧角

Claims (2)

  1. 双ロール式連続鋳造装置を用いて薄肉鋳片を鋳造し、前記薄肉鋳片を熱間圧延して特殊鋼板素材とする特殊鋼板の製造方法であって、
    鋳片のデンドライトの傾きをθとし(板垂線との間の角度であって、鋳造方向を正とする。)、
    製造する品種について、あらかじめ、θ=0°の鋳片のサンプルを圧下率pで熱間圧延して得られたサンプルのデンドライトの傾きωと前記圧下率pとの関係式である下記(2)式から係数aの値を定めるとともに、熱間圧延で再結晶しない限界圧下率pmaxを定めておき、
    前記係数aを用い、下記(1)式で表すφCが、-10°≦φC≦10°を満足するように、鋳片のデンドライトの傾きθと圧下率pとを、下記(4)式の範囲内で調整することを特徴とする特殊鋼板の製造方法。
    ただし、圧下率p(%)は、圧延前の板厚xと圧延後の板厚yとから下記(3)式によって求められる。
    φC=θ-a×p (1)
    ω=-a×p (2)
    p=(x-y)/x×100 (3)
    p<pmax (4)
  2. 双ロール式連続鋳造装置における鋳造速度を調整することにより、鋳片のデンドライトの傾きθを調整することを特徴とする請求項1に記載の特殊鋼板の製造方法。
JP2020101406A 2020-06-11 2020-06-11 特殊鋼板の製造方法 Active JP7460903B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020101406A JP7460903B2 (ja) 2020-06-11 2020-06-11 特殊鋼板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020101406A JP7460903B2 (ja) 2020-06-11 2020-06-11 特殊鋼板の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021194662A JP2021194662A (ja) 2021-12-27
JP7460903B2 true JP7460903B2 (ja) 2024-04-03

Family

ID=79196764

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020101406A Active JP7460903B2 (ja) 2020-06-11 2020-06-11 特殊鋼板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7460903B2 (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000219940A (ja) 1999-01-29 2000-08-08 Nkk Corp エッチング性に優れた電子部品用低熱膨張合金薄板素材の熱延鋼板
JP2004516382A (ja) 2000-12-18 2004-06-03 チッセンクラップ アッチアイ スペチアリ テルニ ソシエタ ペル アチオニ 粒配向電気鋼の製造方法
JP2014046323A (ja) 2012-08-30 2014-03-17 Nippon Steel & Sumitomo Metal 鋼の連続鋳造方法
JP2015516505A (ja) 2012-03-14 2015-06-11 バオシャン アイアン アンド スティール カンパニー リミテッド ストリップ連続鋳造法による700MPa級高強度耐候性鋼の製造方法
JP2017087227A (ja) 2015-11-04 2017-05-25 新日鐵住金株式会社 鋼材の熱間圧延方法
JP2021079426A (ja) 2019-11-22 2021-05-27 日本製鉄株式会社 薄鋼板の製造方法
JP2021079418A (ja) 2019-11-21 2021-05-27 日本製鉄株式会社 双ロール式連続鋳造装置および双ロール式連続鋳造方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000219940A (ja) 1999-01-29 2000-08-08 Nkk Corp エッチング性に優れた電子部品用低熱膨張合金薄板素材の熱延鋼板
JP2004516382A (ja) 2000-12-18 2004-06-03 チッセンクラップ アッチアイ スペチアリ テルニ ソシエタ ペル アチオニ 粒配向電気鋼の製造方法
JP2015516505A (ja) 2012-03-14 2015-06-11 バオシャン アイアン アンド スティール カンパニー リミテッド ストリップ連続鋳造法による700MPa級高強度耐候性鋼の製造方法
JP2014046323A (ja) 2012-08-30 2014-03-17 Nippon Steel & Sumitomo Metal 鋼の連続鋳造方法
JP2017087227A (ja) 2015-11-04 2017-05-25 新日鐵住金株式会社 鋼材の熱間圧延方法
JP2021079418A (ja) 2019-11-21 2021-05-27 日本製鉄株式会社 双ロール式連続鋳造装置および双ロール式連続鋳造方法
JP2021079426A (ja) 2019-11-22 2021-05-27 日本製鉄株式会社 薄鋼板の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021194662A (ja) 2021-12-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8016021B2 (en) Casting steel strip with low surface roughness and low porosity
JP7243405B2 (ja) 冷却ロール、双ロール式連続鋳造装置、薄肉鋳片の鋳造方法、及び、冷却ロールの製造方法
US6905558B2 (en) Billet by continuous casting and manufacturing method for the same
JP2021079418A (ja) 双ロール式連続鋳造装置および双ロール式連続鋳造方法
JP7460903B2 (ja) 特殊鋼板の製造方法
JPH0420696B2 (ja)
JP7348511B2 (ja) 薄鋼板の製造方法
JP2004167561A (ja) 高炭素鋼ブルーム鋳片の連続鋳造方法
CN109261920B (zh) 小方坯连铸单辊压下方法和设备
JP3495278B2 (ja) ベルト式連続鋳造装置およびベルト式連続鋳造方法
JP2004237291A (ja) 連続鋳造鋳片の製造方法及びその鋳片を加工した鋼材
JPH05277657A (ja) 双ロール鋳造における薄鋳片柱状晶組織の傾角制御方法
JP3583901B2 (ja) 連続鋳造薄鋳片及びその鋳造方法
JPH09136145A (ja) 薄帯鋳片連続鋳造用冷却ドラム周面の窪み加工方法
JP7502604B2 (ja) 連続鋳造方法及び連続鋳造機
JP3063533B2 (ja) 広幅薄鋳片の連続鋳造方法
JPH038863B2 (ja)
JP3394730B2 (ja) 鋼鋳片の連続鋳造方法
JP2909339B2 (ja) 薄鋳片の製造方法
JPH0539807Y2 (ja)
JP2002178113A (ja) 優れた凝固組織を有する鋳片及びそれを加工した鋼材
JP2831297B2 (ja) 表面性状の優れたステンレス薄帯板の製造方法
JPS5940539B2 (ja) 連続鋳造法
JPH07290193A (ja) 冷延表面性状の優れたCr−Ni系ステンレス鋼薄肉鋳片及びその製造方法
JP2023025988A (ja) 冷却ロールの押圧荷重制御方法、および、薄肉鋳片の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230217

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20231102

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20231128

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20231208

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240220

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240304

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7460903

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150